JP3737537B2 - 画像処理用照明手段の劣化検出方法 - Google Patents
画像処理用照明手段の劣化検出方法Info
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、計測対象の製品中にある抽出対象物の個数および/または位置を計測する画像処理を行う際の、計測対象に対する照明手段の劣化を検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、ポリアミド繊維のような合成繊維糸条を延伸撚糸機、延伸仮撚機等で加工処理する場合、原糸ボビン間で巻始め時にトラバース領域外のボビン端部に、いわゆるトランスファーテールを形成している。その際、巻取られた糸条パッケージはトランスファーテール処理が容易に行えるように、一定の長さのトランスファーテールを残してボビン端に形成されたピグバンチを剥取られた後の糸条巻始め時にバンチ巻部と糸条パッケージの間に形成されるピグテール部をテープ、ラベル、シール(紙)等でボビン端に固定されている。
【0003】
従来、かかるバンチ部の剥取処理は人手により行われていたが、近年機械化、自動化が試みられている。その中でもピグバンチ切断位置を検出する方法としては、まず計測対象の製品としてのチーズ糸条パッケージのピグバンチ及びピグテール部を含むトランスファーテールを含む領域に、照明手段によって近紫外光を照射する。そして、画像処理用カメラにより糸条とボビンからの2次励起光を検出して撮像する。さらに撮像画像を、抽出対象物としてのトランスファーテールと背景としてのボビンに、画像強度の違いを利用して2値化する。その上で、トランスファーテールを認識して、ピグバンチとピグテールの位置を計測する方法が提案されている。
【0004】
ここで撮像画像を、抽出対象物としてのトランスファーテールと背景としてのボビンに2値化する際には、画像処理装置で糸条からの2次励起光とボビンからの2次励起光の間に差があることを利用できる。そして画像強度の違いを利用して2値化するための閾値を決定する方法としては、まずは画像処理装置に取り込んだトランスファーテールの画像に、ラインセンサと呼ばれる仮想的走査線を設定する。そして2値化レベルとも呼ばれる画像強度の明暗の閾値を、黒側から白側へ走査してゆく。ラインセンサ上で最初にトランスファーテールとボビンを分割認識した時の2値化レベルを起点、すなわち閾値の下限値とし、ラインセンサがトランスファーテールを分割認識できる2値化レベルを越えて後に最初にラインセンサ上のトランスファーテールとボビンを分割認識できなくなる時の2値化レベルを終点、すなわち閾値の上限値とする。そして、起点と終点の2値化レベルの中間値を、画像処理するための最適な2値化レベルとして決定する。
【0005】
これにより自動化搬送ライン上においてボビンと糸条パッケージの反射光量レベルが未知の銘柄の糸条パッケージに対しても、自動的かつ客観的に最適な2値化レベルを決定することができ、ピグバンチ切断位置を検出するための画像処理が精度よく計測することが可能となった。また、扱う各銘柄の糸条パッケージとボビン色の組合せに対応した明暗の閾値を予め調べて記憶しておき、処理する銘柄の変更時には、閾値の設定を対応する値に切換えることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら画像処理時に使用する画像処理用照明手段は、経時的な劣化等により照度低下を生じる。このため、照明手段の劣化時には結果的に低い2値化レベルが決定される。この場合、2値化画像にはノイズ等が発生したり、また糸条パッケージ近傍のピグテールがパッケージと同化しやすくピグテールの認識が困難で誤認識して、処理の成功率に影響するなどの課題があった。
【0007】
本発明はかかる現状に鑑みなされたものであり、経時的な劣化等により照度の低下した照明に対して、照度計等の計器を使用することなく、処理用の画像処理装置によりその明るさの度合いを検出し、照明の更新時期を警報することにより、照明劣化に起因する画像処理のトラブルを防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理用照明手段の劣化検出方法は、計測対象の製品を照明手段によって照明しつつ、画像処理用カメラを用いて撮像し、撮像した画像信号に対して設定する画像強度の閾値レベルを調整することにより、撮像画像を計測対象中の抽出対象物と背景とに2値化し、2値化した撮像画像中で計測対象の製品中にある抽出対象物の個数および/または位置を計測する画像処理を行う際の、照明手段の劣化を検出する方法において、
前記抽出対象物を計測する際に設定する画像信号強度の閾値レベルを、抽出対象物と背景とを撮像画像中で2値化できる画像強度値の上限値と下限値との中間の値に設定し、
初期状態の照明手段を用いた場合における、抽出対象物を計測する際の画像強度の閾値レベルと、初期状態の照明手段を用いた場合における、抽出対象物と背景とを撮像画像中で2値化できる画像強度値の下限値との中間の値を前記許容下限値とし、
前記閾値レベルが、前記許容下限値を下回る際には、照明手段が劣化しており交換が必要であると判定することを特徴とする。
【0009】
なお、計測対象の製品がチーズ糸条パッケージであり、抽出対象物がチーズ糸条パッケージのボビン端のトランスファーテールであり、背景がボビンであることが好ましい。
【0010】
【実施例】
図1は、一つの銘柄の糸条パッケージに対して本発明を適用した一実施例を示す。図中、1はバンチ巻部2とピグテール部3とを含むトランスファーテール、4はその背景となるボビン、5はマーキングプレート、6は撮像範囲、7は3本の仮想的なラインセンサである。
【0011】
まず、ボビン4端部を原点としてその原点近傍に、トランスファーテール1などの糸条と比較して非常に大きなコントラストをもつよう黒のマーキングプレート5を用いる。このマーキングプレート5により、ボビン4端面からバンチ巻部2までの背景(ボビン4)部分を覆う。これにより、原点の画像強度を低レベルに設定すると共に、ボビン4背景からの画像ノイズを低減させておく。
【0012】
そして計測対象の製品である糸条パッケージを、照明手段によって照明する。そして画像処理用カメラを用いて、抽出対象であるトランスファーテール1を含む範囲6を撮像する。ここで糸条は、背景としてのボビン4よりも画像処理用カメラへ入射する光量が多い。
【0013】
撮像された画像にはまずその画像強度によって、全黒(レベル0)から全白(レベル255)までを、256のレベルに分割した階調が与えられる。その上で、画像強度の閾値レベルを設定して、撮像画像の2値化を行う。さらに2値化した画像中には、仮想的走査線としての3本のラインセンサ7を設定する。そしてこのラインセンサ7上での画像強度の走査を行い、抽出対象としてのトランスファーテール1を表す白領域の個数と距離を検出する。
【0014】
このときに、2値化するための閾値レベルが低すぎると、マーキングプレート5から画像ノイズが生じる。そこで閾値レベルはまず初めには、マーキングプレート5からの画像ノイズが発生しない程度に設定する。その上で、十分低いレベル(黒側)から高いレベル(白側)へ閾値レベルを変えながら走査する。
【0015】
このとき、2値化するための閾値レベルが低過ぎる場合、マーキングプレート5以外のトランスファーテール1およびボビン4を含む全ての画像は、閾値より高レベルにあるため、2値化画像中ではそれらの区別がつかず白くなる。このためラインセンサ7上の白領域個数は識別不能であるため0となる。
【0016】
閾値レベルを上げて行き、そのレベルが最適値になると、トランスファーテール1は高レベル(白)とボビン4は低レベル(黒)というように正しく領域が分割される。これが図1に示す本実施例では、ラインセンサ7上の白領域個数は4となる。
【0017】
閾値レベルが高くなり過ぎると、ピグテール3は細い糸のため反射光量が少なく消えてしまう。そのためバンチ巻部2のみが識別されて、ラインセンサ7上の白領域個数は1となる。
【0018】
なおラインセンサ7上の白領域個数が、実際の白領域個数より多くなる場合がある。これはボビン4からの光量がランダムな画像ノイズとして白領域となって現れるためである。
【0019】
そこで本実施例では、閾値レベルを上げて行きながら、3本のラインセンサ7の内の少なくとも1本で、白領域個数が0より多くなった時の閾値レベルを起点、すなわち下限値とする。但し、少なくとも1本のラインセンサ7上の白領域個数が0より多くなった場合であっても、その後再び3本全てのラインセンサ1上の白領域個数が0となった場合には、起点はリセットされ、新たな起点を探すものとする。
【0020】
そして閾値レベルの起点を経て、さらに閾値レベルを上げて行き、3本のラインセンサ7の全てで白領域個数が1より多くなり、さらにその後ラインセンサ7の内の少なくとも1本で白領域個数が1となった時の閾値レベルを終点、すなわち上限値として走査を終了する。
【0021】
このようにして検出された起点と終点の閾値レベルの中間値を、2値化に最適な閾値レベルとして決定し処理終了する。すなわち抽出対象物を計測する際に設定する画像強度の閾値レベルは、抽出対象物と背景とを撮像画像中で2値化できる画像強度値の上限値と下限値との中間の値とする。
【0022】
ところでこのようにして決定された2値化に最適な閾値レベルは、同一銘柄の糸条パッケージと同色のボビンとの組合せで比較しても、照明手段の劣化とともに低下する。すなわち照明手段の光量が低下すると、閾値レベルが低くなり、マーキングプレート5からの光量の影響が画像ノイズとして大きく影響するとともに、抽出対象と背景との分別も誤りが多くなる。
【0023】
そこで本実施例では、照明手段が初期状態の際に、2値化に最適な閾値レベルと閾値レベルの下限値とを測定し、その中間値をその照明手段における許容下限値とした。そして経時変化を経て、2値化に最適な閾値レベルが初めに設定した照明手段の許容下限値を下回った場合には、照明劣化警報表示して照明更新時期を知らせることとした。
【0024】
【発明の効果】
本発明により、画像処理用の照明の経時的な照度劣化を2値化画像を得るために設定する2値化の閾値レベルにより検出することにより、照度計等を用いずに劣化を認識でき、画像処理の誤認識等のトラブルを未然に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 糸条パッケージに対する画像処理
【符号の説明】
1 トランスファーテール
2 バンチ巻部
3 ピグテール部
4 ボビン
5 マーキングプレート
6 撮像範囲
7 仮想的なラインセンサ
Claims (2)
- 計測対象の製品を照明手段によって照明しつつ、画像処理用カメラを用いて撮像し、撮像した画像信号に対して設定する画像強度の閾値レベルを調整することにより、撮像画像を計測対象中の抽出対象物と背景とに2値化し、2値化した撮像画像中で計測対象の製品中にある抽出対象物の個数および/または位置を計測する画像処理を行う際の、照明手段の劣化を検出する方法において、
前記抽出対象物を計測する際に設定する画像信号強度の閾値レベルを、抽出対象物と背景とを撮像画像中で2値化できる画像強度値の上限値と下限値との中間の値に設定し、
初期状態の照明手段を用いた場合における、抽出対象物を計測する際の画像強度の閾値レベルと、初期状態の照明手段を用いた場合における、抽出対象物と背景とを撮像画像中で2値化できる画像強度値の下限値との中間の値を前記許容下限値とし、
前記閾値レベルが、前記許容下限値を下回る際には、照明手段が劣化しており交換が必要であると判定することを特徴とする画像処理用照明手段の劣化検出方法。 - 計測対象の製品がチーズ糸条パッケージであり、抽出対象物がチーズ糸条パッケージのボビン端のトランスファーテールであり、背景がボビンであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理用照明手段の劣化検出方法。
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