JP3737388B2 - 最尤符号探索装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信システムに関し、特に、伝送の際に生じる誤りを訂正して情報シンボル系列を正しく受信するために用いられる誤り訂正復号化装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
伝送の際に生じる誤りによって情報シンボル系列が正しく受信されないことを防ぐために、無線通信システム等においては、誤り訂正符号化装置と誤り訂正復号化装置が、広く用いられている。
【0003】
図9は、従来の無線通信システムにおける送信装置の基本構成を示す機能ブロック図である。図において、入力端子91から入力された情報シンボル系列Uが、誤り訂正符号化装置92に入力される。そして、誤り訂正符号化装置92から出力された符号シンボル系列Cが、変調器93に入力される。変調器93は、符号シンボル系列Cを、アナログ・ベースバンド信号系列に変換して、変換結果を出力する。変調器93から出力されたアナログ・ベースバンド信号系列は、アップ・コンバータ94で高周波信号に変換されて、アンテナ95から送信される。
【0004】
図10は、従来の無線通信システムにおける受信装置の基本構成を示す機能ブロック図である。図において、アンテナ101で受信された高周波信号が、ダウン・コンバータ102に入力される。ダウン・コンバータ102は、高周波信号をアナログ・ベースバンド信号系列に変換して、変換結果を出力する。復調器103は、ダウン・コンバーター102の出力するアナログ・ベースバンド信号系列を復調して、復調結果を出力する。そして、復調結果として得られた受信信号系列Rが、誤り訂正復号化装置104に入力され、誤り訂正復号化装置104の出力する情報シンボル系列Uが、出力端子105から出力される。
【0005】
図11は、従来の誤り訂正符号化装置92(図9参照)の基本構成の一例を示す機能ブロック図である。図において、情報シンボル系列Uが、入力端子111から入力されて、変換手段112に供給される。
【0006】
変換手段112は、入力された情報シンボル系列Uに対して、予め決められた変換を施して、変換結果を、符号シンボル系列Cとして、出力端子113から出力する。
【0007】
尚、変換手段112は、情報シンボル系列UがU(k)であれば、符号シンボル系列CとしてC(k)を出力するものとする。ここで、kは、1以上16以下の整数であり、情報シンボル系列の集合{U(1),U(2),...,U(16)}と、符号シンボル系列の集合{C(1),C(2),...,C(16)}は、予め決められているシンボル系列の集合である。
【0008】
図12は、従来の誤り訂正復号化装置104(図10参照)の基本構成の一例を示す機能ブロック図である。図において、入力端子125から受信信号系列Rが入力されて、尤度計算手段122(1)〜122(16)に供給される。
【0009】
記憶手段121には、予め、符号シンボル系列C(1)〜C(16)が記憶されている。記憶されている符号シンボル系列C(1)〜C(16)は、夫々、尤度計算手段122(1)〜122(16)に供給される。また、記憶されている符号シンボル系列C(1)〜C(16)は、最尤符号探索装置123にも供給される。
【0010】
尤度計算手段122(1)は、受信信号系列Rと符号シンボル系列C(1)との尤度、すなわち、受信信号系列Rが受信された時に送信された符号シンボル系列がC(1)である可能性の高さ、を計算して、計算結果を最尤符号探索装置123に供給する。尚、以下では、尤度計算手段122(1)の出力する尤度をM(1)と表記する。
【0011】
尤度計算手段122(2)〜122(16)は、尤度計算手段122(1)と同じ構造をとり、尤度計算手段122(1)が符号シンボル系列C(1)に対して施したのと同じ操作を、夫々、符号シンボル系列C(2)〜C(16)に対して施し、尤度M(2)〜M(16)を出力する。
【0012】
最尤符号探索装置123は、入力された尤度M(1)〜M(16)の中から、その値が最大であるような尤度を求める。そして、あるkに対して、尤度M(k)が最大である場合には、入力された符号シンボル系列C(1)〜C(16)の中から、C(k)を選択して出力する。尚、最尤符号探索装置123の構成については、後述する。
【0013】
変換手段124は、入力された符号シンボル系列Cに対して、予め決められた変換を施して、変換結果を、情報シンボル系列Uとして、出力端子129から出力する。
【0014】
尚、変換手段124は、符号シンボル系列CがC(k)であれば、情報シンボル系列UとしてU(k)を出力するものとする。ここで、kは、1以上16以下の整数であり、情報シンボル系列の集合{U(1),U(2),...,U(16)}と、符号シンボル系列の集合{C(1),C(2),...,C(16)}は、図11の誤り訂正符号化装置の変換手段112で予め決められている集合と、夫々、等しい。
【0015】
図13は、最尤符号探索装置123の基本構成を示す機能ブロック図である。図において、入力端子132(1)〜132(16)から、夫々、尤度M(1)〜M(16)が入力され、入力端子133(1)〜133(16)から、夫々、符号シンボル系列C(1)〜C(16)が入力される。
【0016】
比較選択手段131(1)は、入力された尤度と符号シンボル系列の組(M(1),C(1))と、入力されたもう一方の組(M(2),C(2))に対して、M(1)とM(2)の大小を比較し、M(1)≧M(2)なら、(M(1),C(1))を選択して出力し、さもなくば、(M(2),C(2))を選択して出力する。尚、以下では、出力された組を、(N(1),D(1))と表記する。
【0017】
比較選択手段131(2)〜131(15)は、比較選択手段131(1)と同じ構造をとり、比較選択手段131(1)が、(M(1),C(1))及び(M(2),C(2))に対して施したのと同じ操作を、入力される尤度と符号シンボル系列の2つの組に施して、一方の組を出力する。尚、比較選択手段131(2)〜131(15)の出力する組を、夫々、(N(2),D(2))〜(N(15),D(15))と表記する。
【0018】
そして、比較選択手段131(15)の出力する符号シンボル系列D(15)が、出力端子134から出力される。
【0019】
図14は、比較選択手段131(1)の基本構成を示す機能ブロック図である。図において、入力端子144a及び144bから、尤度M(1)及び符号シンボル系列C(1)が夫々入力され、入力端子145a及び145bから、尤度M(2)及び符号シンボル系列C(2)が夫々入力される。
【0020】
比較器141は、尤度M(1)と尤度M(2)の大小を比較して、比較結果を、セレクタ142、143に供給する。
【0021】
セレクタ142は、もし、M(1)≧M(2)ならば、M(1)を選択して出力し、もし、M(1)<M(2)ならば、M(2)を選択して出力する。そして、セレクタ142の出力は、尤度N(1)として、出力端子146aから出力される。
【0022】
セレクタ143は、もし、M(1)≧M(2)ならば、C(1)を選択して出力し、もし、M(1)<M(2)ならば、C(2)を選択して出力する。そして、セレクタ143の出力は、符号シンボル系列D(1)として、出力端子146bから出力される。
【0023】
尚、誤り訂正符号や、変換手段112及び124の構成方法については、本発明とは直接関係ないし、当業者によく知られているし、この分野の書籍(例えば、今井著「符号理論」、電子情報通信学会など)に詳しく述べられていることなので、詳しい説明は省略する。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の最尤符号探索装置(図13)には、入力する符号シンボル系列の個数を多くすると、最尤符号を探索するための計算時間(すなわち、入力が与えられてから、最尤符号が求められるまでの遅延時間)が大きくなるという問題があった。
【0025】
なぜなら、図13の比較選択手段131における遅延時間をdとし、符号シンボル系列の個数をQとすると、最尤符号探索装置(図13)の遅延時間はdlog2Q になるからである。しかも、比較選択手段131において比較演算が行われるため、遅延時間dが大きかったからである。
【0026】
このため、無線通信システムにおいて、高速な誤り訂正復号化装置を利用することは困難であった。
【0027】
例えば、ヴィタビ復号化装置と呼ばれる誤り訂正復号化装置では、従来は、Qの大きさを24〜27程度にしかできなかった。それ以上Qを大きくすると、誤り訂正復号化装置の処理速度が遅くなり過ぎて、実用的な処理速度が得られなかった。
【0028】
【発明の目的】
本発明は、上記の問題点を解決し、符号シンボル系列の個数Qが大きくても高速に最尤符号を探索できる最尤符号探索装置を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明に係る最尤符号探索装置は、複数のシンボル系列の夫々の尤度を表す複数の数値と1個の閾値とを入力し、該閾値と尤度を表す複数の数値の夫々とを比較する複数の比較手段と;前記複数の比較手段が夫々出力する比較結果のうち、尤度を表す前記数値が前記閾値以上であることを示す比較結果の数が、0個、1個、2個以上、のいずれであるかを判定して、判定結果を出力する計数手段と;尤度を表す前記数値が前記閾値以上であることを示す比較結果の数が1個の場合には、該1個の比較手段に対応するシンボル系列を選択して出力する選択手段と;尤度を表す前記数値が前記閾値以上であることを示す比較結果の数が1個でない場合には前記計数手段の出力する判定結果にもとづいて前記閾値の値を増減し、前記比較手段に前記閾値を供給する制御手段とを具備し、前記選択手段の出力を外部に出力することを特徴とする。
【0031】
本発明に係る最尤符号探索方法は、(a) 複数のシンボル系列の夫々の尤度を表す複数の数値と1個の閾値とを入力し、該閾値と尤度を表す複数の数値の夫々とを比較する工程と、(b) 尤度を表す前記数値が前記閾値以上であることを示す比較結果の数が、0個、1個、2個以上、のいずれであるかを判定する工程と、(c) 尤度を表す前記数値が前記閾値以上であることを示す比較結果の数が1個でない場合には、前記工程(b)での判定結果にもとづいて前記閾値の値を増減する工程と、(d) 尤度を表す前記数値が前記閾値以上であることを示す比較結果の数が1個の場合には、その比較結果に対応するシンボル系列を選択して出力する工程とを有することを特徴とする。
【0032】
本発明に係る第2の最尤符号探索装置は、複数のシンボル系列の夫々の尤度を表す複数の数値のうち、負でない数値の数が、0個、1個、2個以上、のいずれであるかを判定して、判定結果を出力する計数手段と;尤度を表す前記数値のうち負でない数値の数が1個の場合には、該1個の数値に対応するシンボルを選択して出力する選択手段と;尤度を表す前記数値のうち負でない数値の数が1個でない場合には前記計数手段の出力する判定結果にもとづいて尤度を表す前記数値の値を増減する制御手段とを具備し、前記選択手段の出力を外部に出力することを特徴とする。
【0033】
本発明に係る第2の最尤符号探索方法は、(a) 複数のシンボル系列の夫々の尤度を表す複数の数値のうち負でない数値の数が、0個、1個、2個以上、のいずれであるかを判定する工程と、(b) 尤度を表す前記数値のうち負でない数値の数が1個でない場合には、前記工程(a)での判定結果にもとづいて尤度を表す前記数値の値を増減する工程と、(c) 尤度を表す前記数値のうち負でない数値の数が1個の場合には、その比較結果に対応するシンボルを選択して出力する工程とを有することを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
誤り訂正復号化装置における最尤符号探索問題は、次のような特徴があるという点で、一般的な最尤値探索問題と異なっている。
【0035】
その特徴とは、すなわち、最大の尤度と2番目に大きな尤度との差が、高い確率で一定値以上になるということである。なぜなら、誤り訂正符号化装置で用いられる符号シンボル系列の集合は、符号シンボル系列の集合に属する任意の2つの符号シンボル系列間のハミング距離が一定値以上になるように設計されているからである。
【0036】
本発明の最尤符号探索装置は、それらの特徴を利用して、最尤符号を探索するものである。
【0037】
すなわち、本発明の最尤符号探索装置では、新たに閾値Tを導入する。そして、閾値Tと入力される尤度との大小を比較し、閾値Tより大きな尤度が1個だけ存在すれば、その尤度を最大の尤度とし、その尤度に対応する符号シンボル系列を最尤符号として出力する。
【0038】
また、本発明の最尤符号探索装置は、もし、閾値Tより大きな尤度が存在しなければ閾値Tを減少させて、再度、閾値Tとすべての尤度との大小を比較する。また、本発明の最尤符号探索装置は、もし、閾値Tより大きな尤度が複数存在すれば閾値Tを増加させて、再度、閾値Tとすべての尤度との大小を比較する。そして、最尤符号が得られるまで、以上の操作を繰り返す。
【0039】
発明の最尤符号探索装置は、このような繰り返し操作を行うものであるが、前述の特徴により、少ない繰り返し回数で最尤符号を求められるし、以下で説明するように回路の遅延時間が小さく済むので、最尤符号を高速に探索できる。
【0040】
次に、本発明の最尤符号探索装置の実施の形態1について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の最尤符号探索装置の実施の形態を示す機能ブロック図であり、図12のブロック123に対応している。尚、図の最尤符号探索装置は、16個の符号シンボル系列C(1)〜C(16)とそれらの尤度M(1)〜M(16)に対して、最尤符号(最大の尤度を持つ符号シンボル系列)を探索するものである。
【0041】
図1において、尤度M(1)〜M(16)が、入力端子16(1)〜16(16)から入力されて、比較手段12(1)〜12(16)に供給される。
【0042】
比較手段12(1)は、制御手段11から供給される閾値Tと尤度M(1)を比較して、比較結果G(1)を出力する。尚、G(1)は、M(1)≧Tなら、G(1)=1で、M(1)<Tなら、G(1)=0である。
【0043】
比較手段12(2)〜12(16)は、比較手段12(1)と同様な構成をとり、比較手段12(1)と同様な処理を行って、夫々、比較結果G(2)〜G(16)を出力する。
【0044】
計数手段13は、比較結果G(1)〜G(16)のうち、1であるような比較結果の個数をカウントして、カウント結果を出力する。
【0045】
尚、カウント結果は、1であるような比較結果の個数が、0個であるか、1個であるか、あるいは1個より多いか、のいずれかを示す。具体的には、カウント結果は2ビットで、1であるような比較結果の個数が0個であれば、カウント結果は「00」で、個数が1個であれば、カウント結果は「01」で、個数が1個より多ければ、カウント結果は「11」であるとする。
【0046】
選択手段14は、1であるような比較結果の個数が1個であれば、G(k)=1であるようなkに対して、入力端子17(k)から入力される符号シンボル系列C(k)を選択し、選択された符号シンボル系列C(k)を出力端子19から出力する。
【0047】
尚、1であるような比較結果の個数が1個より多い場合や、0個である場合には、選択手段14の出力する値は、どのようなものであっても構わない(1個の符号シンボル系列が選択できない場合には、出力は「不定」とする故)。
【0048】
制御手段11は、閾値Tを比較手段12(1)〜12(16)に供給するとともに、計数手段13の出力が「01」になるまで、計数手段13の出力が「00」であれば閾値Tを減少させ、計数手段13の出力が「11」であれば閾値Tを増加させるという操作を繰り返す。また、制御手段11は、以上の操作が完了するまでは、出力端子18から、ACK信号として「0」を出力し、以上の操作が完了したらACK信号として「1」を出力する。尚、制御手段11の動作の詳細については後述する。
【0049】
図2は、計数手段13の基本構成を示す機能ブロック図である。
【0050】
図において、4入力計数回路21(1)〜21(7)は、夫々、4ビットの入力のうち、1であるような入力の個数をカウントして、カウント結果を出力する。
【0051】
尚、夫々のカウント結果は、2ビットであり、1であるような入力の個数が0個であれば、カウント結果は「00」で、1であるような入力の個数が1個であれば、カウント結果は「01」で、1であるような入力の個数が1個より多ければ、カウント結果は「11」である。
【0052】
比較手段12(1)〜12(16)(図1参照)の出力する比較結果G(1)〜G(16)は、入力端子28(1)〜28(16)から夫々入力される。
【0053】
そして、比較結果G(1)〜G(16)のうち、1番目から4番目の4ビットが4入力計数回路21(1)に、5番目から8番目の4ビットが4入力計数回路21(2)に、9番目から12番目の4ビットが4入力計数回路21(3)に、13番目から16番目の4ビットが4入力計数回路21(4)に、夫々、入力される。
【0054】
また、4入力計数回路21(1)及び21(2)の出力の合計4ビットが、4入力計数回路21(5)に、4入力計数回路21(3)及び21(4)の出力の合計4ビットが、4入力計数回路21(6)に、夫々入力される。
【0055】
また、4入力計数回路21(5)及び21(6)の出力の合計4ビットが、4入力計数回路21(7)に入力され、4入力計数回路21(7)の出力する2ビットが、出力端子29a及び29bから、夫々、出力される。
【0056】
図3は、4入力計数回路21(1)の基本構成の一例を示す機能ブロック図である。図において、4入力計数回路(図2参照)に入力された4ビットの入力G(1)〜G(4)のうち、G(1)及びG(2)は、夫々入力端子31a及び31bを介して、論理和回路32と論理積回路33の両方に入力され、G(2)及び(3)は、夫々入力端子31c及び31dを介して、論理和回路34と論理積回路35の両方に入力される。
【0057】
論理和回路32、論理積回路33、論理和回路34、論理積回路35は、夫々、G(1)とG(2)の論理和、G(1)とG(2)の論理積、G(3)とG(4)の論理和、G(3)とG(4)の論理積を演算して演算結果を出力する。
【0058】
論理和回路36、論理積回路37、論理和回路38は、夫々、論理和回路32と論理和回路34の出力の論理和、論理和回路32と論理和回路34の出力の論理積、論理積回路33と論理積回路35と論理積回路37の出力の論理和を演算して、演算結果を出力する。
【0059】
そして、論理和回路36の出力と論理和回路38の出力が、夫々、出力端子39a及び39bから出力される。
【0060】
尚、詳しい説明は省略するが、以上のような回路構成にすれば、出力端子39a及び39bからの出力は、出力端子39aに出力されるビットを最下位ビットとし出力端子39bに出力されるビットを最上位ビットとして2進数表現すると、4つの入力G(1)〜G(4)のうち1であるような入力の個数が0個であれば「00」、1であるような入力の個数が1個であれば「01」、1であるような入力の個数が1個より多ければ「11」となる。
【0061】
また、これについても、詳しい説明は省略するが、図2の計数手段13においても、
出力端子29a及び29bからの出力は、出力端子29aに出力されるビットを最下位ビットとし出力端子29bに出力されるビットを最上位ビットとして2進数表現すると、入力G(1)〜G(16)のうち1であるような入力の個数が0個であれば「00」、1であるような入力の個数が1個であれば「01」で、1であるような入力の個数が1個より多ければ「11」となる。
【0062】
図4は、選択手段14(図1参照)の基本構成の一例を示す機能ブロック図である。図において、符号シンボル系列C(1)〜C(16)が、夫々、入力端子43(1)〜43(16)から入力され、比較結果G(1)〜G(16)が、入力端子44から入力される。そして、符号シンボル系列C(1)〜C(16)と、比較結果G(1)〜G(16)が、夫々、論理積回路41(1)〜41(16)に供給される。
【0063】
論理積回路41(1)は、符号シンボル系列C(1)を構成するビットの各々に、比較結果G(1)を論理積で乗算し、乗算結果として得られたビット列を出力する。すなわち、論理積回路41(1)は、比較結果G(1)が「1」に等しければ、符号シンボル系列C(1)をそのまま出力し、比較結果G(1)が「0」に等しければ、符号シンボル系列とビット長の等しいオール・ゼロのビット列を出力する。
【0064】
論理積回路41(2)〜41(16)は、夫々の入力に対して、論理積回路41(1)と同様の処理を行って、得られたビット列を出力する。
【0065】
論理和回路42は、論理積回路41(1)〜41(16)の出力するビット列のビットごとの論理和を計算して、論理和として得られたビット列を出力する。そして、論理和回路42の出力が、出力端子45から出力される。
【0066】
詳しい説明は省略するが、以上のような構成をとれば、もし、あるkに対して、比較結果G(k)だけが「1」であれば、出力端子45から出力されるビット列は、符号シンボル系列C(k)に等しい。
【0067】
図5は、制御手段11の動作を示すフローチャートである。
【0068】
図において、制御手段11が動作を開始すると、まず、ステップS110において変数jを0にし、Δの値をΔ0とし、閾値Tの値をT0とし、また、ACK信号を0として、制御をステップS120に移す。尚、ここで、Δ0とT0は、予め決められた定数である。
【0069】
ステップS120においては、計数手段13の出力する計数結果が、「11」、「00」、「01」であれば、夫々、ステップS130、ステップS140、ステップS170に制御を移す。
【0070】
ステップS130においては、閾値Tの値にΔを加算して、ステップS150に制御を移す。
【0071】
ステップS140においては、閾値Tの値からΔを減算して、ステップS150に制御を移す。
【0072】
ステップS150においては、Δの値を2分の1にするとともに、変数jの値を1増やして、ステップS160に制御を移す。
【0073】
ステップS160においては、変数jと予め決められた定数tの大小を比較し、もし、jがtよりも小さければ、ステップS120に制御を移し、さもなくば、ステップS170に制御を移す。
【0074】
ステップS170では、ACK信号を1にして、処理を終了する。
【0075】
尚、ACK信号は、図1の最尤符号探索装置の出力する最尤符号が有効であるか否かの識別のために、最尤符号探索装置の外部に出力される。
【0076】
次に、本発明の最尤符号探索装置の実施の形態2について図面を参照して詳細に説明する。
【0077】
誤り訂正符号には、畳み込み符号と呼ばれるものがある。実施の形態1は、誤り訂正符号として線形ブロック符号が用いられる場合のものであったが、実施の形態2は、誤り訂正符号として畳み込み符号が用いられる場合のものである。
【0078】
畳込み符号は、前述の書籍に詳しい記述があるので詳しい説明は省略するが、簡単に言うと、畳込み操作によって誤り訂正符号化を行うものである。このため、畳込み符号が用いられる誤り訂正符号化装置(図11)の変換手段112においては、符号シンボル系列の集合{C(1),C(2),...,C(16)}が、過去に入力された情報シンボル系列に依存して変化する。
【0079】
尚、本発明の最尤符号探索装置の実施の形態2が搭載される誤り訂正復号化装置の構成が、従来の誤り訂正復号化装置の構成と異なるので、本発明の最尤符号探索装置の実施の形態2について解説する前に、本発明の最尤符号探索装置の実施の形態2が搭載される誤り訂正復号化装置の構成について解説する。
【0080】
図6は、本発明の最尤符号探索装置の実施の形態2が搭載される誤り訂正復号化装置の構成を示す機能ブロック図であり、図10の104に対応する。
【0081】
図において、記憶手段61、尤度計算手段62、変換手段64の構成および機能は、以下で述べる相違点を除いて、それぞれ図12の記憶手段121、尤度計算手段122、変換手段124と同様であるので、以下では、相違点についてのみ説明する。最尤符号探索装置63については後述する。
【0082】
尤度計算手段62(1)は、受信信号系列Rと符号シンボル系列C(1)との尤度、すなわち、受信信号系列Rが受信された時に送信された符号シンボル系列がC(1)である可能性の高さを計算するとともに、これまでに計算された尤度の累積を計算し、尤度の累積値を最尤符号探索装置63に供給する。
【0083】
一方、尤度計算手段62(1)は、最尤符号探索装置63からINC信号が供給されたら、最尤符号探索装置63から供給される値Δを尤度の累積値M(1)に加算して、M(1)=M(1)+Δとし、最尤符号探索装置63からDEC信号が供給されたら、最尤符号探索装置63から供給される値Δを尤度の累積値M(1)から減算して、M(1)=M(1)−Δとする。
【0084】
尤度計算手段62(2)〜62(16)は、尤度計算手段62(1)と同じ構造をとり、尤度計算手段62(1)が符号シンボル系列C(1)に対して施したのと同じ操作を、夫々、符号シンボル系列C(2)〜C(16)に対して施し、尤度の累積値を出力する。尚、以下では、尤度計算手段62(1)〜62(16)から最尤符号探索装置63に供給される符号シンボル系列の尤度の累計値を夫々M(1)〜M(16)と表記する。
【0085】
変換手段64は、入力された符号シンボル系列Cに対して、畳込み符号が用いられる誤り訂正符号化装置(図11)の変換手段112と逆の変換を施して、変換結果を、情報シンボル系列Uとして、出力端子69から出力する。
【0086】
図7は、本発明の最尤符号探索装置の実施の形態2を示す機能ブロック図であり、図6のブロック63に対応している。尚、図の最尤符号探索装置は、16個の符号シンボル系列C(1)〜C(16)とそれらに対応する尤度の累積値M(1)〜M(16)に対して、最大の尤度の累積値に対応する符号シンボル系列を探索するものである。
【0087】
図7において、尤度の累積値M(1)〜M(16)が、入力端子16(1)〜16(16)から入力される。そして、それぞれ尤度の累積値M(1)〜M(16)の符号ビット(sign bit)であるG(1)〜G(16)が、計数手段13に供給される。尚、尤度の累積値の符号ビットは、尤度の累積値が負の数なら0で、さもなくば1とする。
【0088】
計数手段13は、図1の最尤符号探索装置で用いられている計数手段13と同様のものであり、1であるような符号ビットの個数をカウントして、カウント結果を出力する。
【0089】
選択手段19は、図1の最尤符号探索装置で用いられている計数手段19と同様のものであり、1であるような符号ビットの個数が1個であれば、G(k)=1であるようなkに対して、入力端子17(k)から入力される符号シンボル系列C(k)を選択し、選択された符号シンボル系列C(k)を出力端子19から出力する。
【0090】
制御手段71は、計数手段13の出力が「01」になるまで、計数手段13の出力が「00」であれば、出力端子78から制御信号INCを送出しつつ出力端子77からΔを送出し、計数手段13の出力が「11」であれば、出力端子79からDEC制御信号を送出しつつ出力端子77からΔを出力するという操作を繰り返す。また、制御手段71は、以上の操作が完了するまでは、出力端子18から、ACK信号として「0」を出力し、以上の操作が完了したらACK信号として「1」を出力する。
【0091】
図8は、制御手段71の動作を示すフローチャートである。
【0092】
図において、制御手段71が動作を開始すると、まず、ステップS210において変数jを0にし、Δの値をΔ0とし、また、ACK信号を0として、制御をステップS220に移す。尚、ここで、Δ0は、予め決められた定数である。
【0093】
ステップS220においては、計数手段74の出力する計数結果が、「11」、「00」、「01」であれば、夫々、ステップS230、ステップS240、ステップS270に制御を移す。
【0094】
ステップS230においては、出力端子77からΔを出力するとともに、出力端子79からDEC信号を出力することによって、尤度の累積値M(1)〜M(16)からΔを減算して、ステップS250に制御を移す。
【0095】
ステップS240においては、出力端子77からΔを出力するとともに、出力端子78からINC信号を出力することによって、尤度の累積値M(1)〜M(16)にΔを加算して、ステップS250に制御を移す。
【0096】
ステップS250においては、Δの値を2分の1にするとともに、変数jの値を1増やして、ステップS260に制御を移す。
【0097】
ステップS260においては、変数jと予め決められた定数tの大小を比較し、もし、jがtよりも小さければ、ステップS220に制御を移し、さもなくば、ステップS270に制御を移す。
【0098】
ステップS270では、ACK信号を1にして、ステップS280に制御を移す。
【0099】
ステップ280では、停止条件が成立しているか否かを判別し、もし、停止条件が成立していれば処理を終了し、さもなくばステップS210に制御を移す。尚、停止条件は、用途によって様々であるが、例えば、送信側で畳み込みの操作を一定回数で打ち切っている場合には、復号の操作が一定回数になったか否かになる。
【0100】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されないことは勿論であり、種々の変更・変形が可能である。
【0101】
例えば、計数手段13及び選択手段14の構成方法としては、以上で述べたものが好適と思われるが、最尤符号探索装置の機能を変えることなく、計数手段13及び選択手段14の構成を変形することが可能である。
【0102】
また、ステップS150(図5)及びステップS250(図8)においては、Δの変化率を2分の1にしているが、ちょうど1/2にする必要はないし、jの値に依存して、変化率を変えてもよい。
【0103】
【発明の効果】
従来の最尤符号探索装置(図13)の遅延時間は、図13の比較選択手段131における遅延時間をdとし、符号シンボル系列の個数をQとすると、dlog2Qである。
【0104】
これに対して、本発明の最尤符号探索装置(図7)の遅延時間は、図2の4入力計数回路21における遅延時間をeとし、符号シンボル系列の個数をQとすると、elog2{Q/2}であり(選択手段14の遅延時間が計数手段13の遅延時間より小さいので、選択手段14の遅延時間は無視できる)、eはdと比べて非常に小さな値である。
【0105】
本発明の最尤符号探索装置には、受信信号系列に誤りが生じて、符号シンボル系列の尤度が閾値より小さくなると、閾値の増減を何度か繰り返すという性質がある。しかし、例えば、ヴィタビ復号化装置が利用される用途においては、受信信号に誤りが生じる確率は、せいぜい10-3〜10-2程度であるから、閾値の増減を繰り返す確率は、無視できるほど小さく、平均すると、約1回程度の繰り返しだけで、最尤符号を求められる。
【0106】
以上により、本発明の最尤符号探索装置は、従来の最尤符号探索装置より、約d/e倍高速に、最尤符号を探索できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の最尤符号探索装置の基本構成を示す機能ブロック図
【図2】 図1の計数手段13の基本構成を示す機能ブロック図
【図3】 図2の4入力計数回路21(1)の基本構成を示す機能ブロック図
【図4】 図1の選択手段14の基本構成を示す機能ブロック図
【図5】 図1の制御手段11の動作を示すフローチャート
【図6】 本発明の最尤符号探索装置の実施形態2が搭載される誤り訂正復号化装置の基本構成を示す機能ブロック図
【図7】 本発明の最尤符号探索装置の実施形態2の基本構成を示す機能ブロック図
【図8】 図7の制御手段71の動作を示すフローチャート
【図9】 無線通信システムにおける送信装置の基本構成を示す機能ブロック図
【図10】 無線通信システムにおける受信装置の基本構成を示す機能ブロック図
【図11】 図9の誤り訂正符号化装置92の基本構成の一例を示す機能ブロック図
【図12】 図10の誤り訂正復号化装置104の基本構成の一例を示す機能ブロック図
【図13】 従来の最尤符号探索装置の基本構成を示す機能ブロック図
【図14】 図13の比較選択手段131(1)の基本構成を示す機能ブロック図
【符号の説明】
92 誤り訂正符号化装置
93 変調器
94 アップ・コンバータ
95,101 アンテナ
102 ダウン・コンバータ
103 復調器
104 誤り訂正復号化装置
112,124、64 変換手段
121、61 記憶手段
122、62 尤度計算手段、
123、63 最尤符号探索手段
131 比較選択手段
141 比較器
142,143 セレクタ
11,71 制御手段
12 比較手段
13 計数手段
14 選択手段
21 4入力計数回路
32,34,36,38 論理和回路
33,35,37 論理積回路
41 論理積回路
42 論理和回路

Claims (14)

  1. 複数のシンボル系列の夫々の尤度を表す複数の数値と1個の閾値とを入力し、該閾値と尤度を表す複数の数値の夫々とを比較する複数の比較手段と、
    前記複数の比較手段が夫々出力する比較結果のうち、尤度を表す前記数値が前記閾値以上であることを示す比較結果の数が、0個、1個、2個以上、のいずれであるかを判定して、判定結果を出力する計数手段と、
    尤度を表す前記数値が前記閾値以上であることを示す比較結果の数が1個の場合には、該1個の比較手段に対応するシンボル系列を最尤符号として出力する選択手段と、
    尤度を表す前記数値が前記閾値以上であることを示す比較結果の数が1個でない場合には前記計数手段の出力する判定結果にもとづいて前記閾値の値を増減し、前記比較手段に前記閾値を供給する制御手段とを具備し、
    前記選択手段の出力を外部に出力することを特徴とする最尤符号探索装置。
  2. 前記制御手段は、計数手段の出力する判定結果が、0個及び2個以上の場合には、夫々、前記閾値を減少及び増加させることを特徴とする請求項1記載の最尤符号探索装置。
  3. 前記制御手段は、前記閾値の増減回数が増加するにしたがって前記閾値の減少幅或いは増加幅を小さくすることを特徴とする請求項1或いは2記載の最尤符号探索装置。
  4. 前記制御手段は、前記閾値の増減回数が予め決められた一定数を超えると制御を終了することを特徴とする請求項2或いは3記載の最尤符号探索装置。
  5. (a) 複数のシンボル系列の夫々の尤度を表す複数の数値と1個の閾値とを入力し、該閾値と尤度を表す複数の数値の夫々とを比較する工程と、
    (b) 尤度を表す前記数値が前記閾値以上であることを示す比較結果の数が、0個、1個、2個以上、のいずれであるかを判定する工程と、
    (c) 尤度を表す前記数値が前記閾値以上であることを示す比較結果の数が1個でない場合には、前記工程(b)での判定結果にもとづいて前記閾値の値を増減する工程と、
    (d) 尤度を表す前記数値が前記閾値以上であることを示す比較結果の数が1個の場合には、その比較結果に対応するシンボル系列を最尤符号として出力する工程と、
    を有することを特徴とする最尤符号探索方法。
  6. 前記工程(c)において、前記工程(b)での判定結果が、0個及び2個以上の場合には、夫々、前記閾値を減少及び増加させることを特徴とする請求項5記載の最尤符号探索方法。
  7. 前記工程(c)において、前記閾値の増減回数が増加するにしたがって前記閾値の減少幅或いは増加幅を小さくすることを特徴とする請求項5或いは6記載の最尤符号探索方法。
  8. 複数のシンボル系列の夫々の尤度を表す複数の数値のうち、負でない数値の数が、0個、1個、2個以上、のいずれであるかを判定して、判定結果を出力する計数手段と、
    尤度を表す前記数値のうち負でない数値の数が1個の場合には、該1個の数値に対応するシンボルを最尤符号として出力する選択手段と、
    尤度を表す前記数値のうち負でない数値の数が1個でない場合には前記計数手段の出力する判定結果にもとづいて尤度を表す前記数値を増減する制御手段とを具備し、
    前記選択手段の出力を外部に出力することを特徴とする最尤符号探索装置。
  9. 前記制御手段は、計数手段の出力する判定結果が、0個の場合には尤度を表す前記数値を増加させ、2個以上の場合には尤度を表す前記数値を減少させることを特徴とする請求項8記載の最尤符号探索装置。
  10. 前記制御手段は、尤度を表す前記数値の増減回数が増加するにしたがって尤度を表す前記数値の減少幅或いは増加幅を小さくすることを特徴とする請求項8或いは9記載の最尤符号探索装置。
  11. 前記制御手段は、尤度を表す前記数値の増減回数が予め決められた一定数を超えると増減回数を初期化することを特徴とする請求項9或いは10記載の最尤符号探索装置。
  12. (a) 尤度を表す前記数値のうち負でない数値の数が、0個、1個、2個以上、のいずれであるかを判定する工程と、
    (b) 尤度を表す前記数値のうち負でない数値の数が1個でない場合には、前記工程(a)での判定結果にもとづいて尤度を表す前記数値を増減する工程と、
    (c) 尤度を表す前記数値のうち負でない数値の数が1個の場合には、その数値に対応するシンボルを最尤符号として出力する工程と、
    を有することを特徴とする最尤符号探索方法。
  13. 前記工程(b)において、前記工程(a)での判定結果が、0個の場合には尤度を表す前記数値を増加させ、2個以上の場合には尤度を表す前記数値を減少させることを特徴とする請求項12記載の最尤符号探索方法。
  14. 前記工程(b)において、尤度を表す前記数値の増減回数が増加するにしたがって尤度を表す前記数値の減少幅或いは増加幅を小さくすることを特徴とする請求項12或いは13記載の最尤符号探索方法。
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