JP3736946B2 - 洗濯機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯槽兼脱水槽及び撹拌体の駆動構造を改良した洗濯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の洗濯機は、特開平9−122385号公報に開示されているように、水槽の内部に設けられた洗濯槽兼脱水槽と、この洗濯槽兼脱水槽の内部に設けられた撹拌体と、前記洗濯槽兼脱水槽に回転力を伝達するための中空状の脱水軸と、この脱水軸に挿通され前記撹拌体に回転力を伝達するための洗濯軸と、この洗濯軸と同心状態に設けられるステータとこの洗濯軸の下端部に取り付けられるロータとから構成されるモータと、洗い運転に際して前記ロータと前記洗濯軸とを連携する場合と脱水運転に際して前記ロータと前記洗濯軸及び脱水軸の双方とを連携する場合とを切り替えるクラッチと、前記水槽の外底部に取り付けられる機構部ハウジングを備え、前記脱水軸、洗濯軸、モータ及びクラッチを前記機構部ハウジングに取り付けて一体化した洗濯機である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成によって、更なる従来の構成であるベルト伝達機構やギア減速機構を介さずモータのロータにより洗濯軸を直接的に回転駆動する、いわゆるダイレクトドライブ構造となり洗濯機の小型化、軽重量化及び騒音の減少が図られたが、まだ、脱水時には洗濯軸と脱水軸を連携する前記クラッチが必要であった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためのもので、前記クラッチのような複雑な機構を用いることなく、洗濯工程では洗濯軸の回転駆動ができ、脱水工程では脱水軸と洗濯軸の同期回転駆動ができる洗濯機を提供することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の洗濯機は上記の目的を達成するためになされたもので、水槽の内部に設けられた洗濯槽兼脱水槽と、この洗濯槽兼脱水槽の内部に設けられた撹拌体と、洗濯槽兼脱水槽に回転力を伝達するための中空状の脱水軸と、この脱水軸に挿通され撹拌体に回転力を伝達するための洗濯軸と、この洗濯軸と同心状態に設けられるステータと洗濯軸の下端部に取り付けられるロータとから構成されるモータとを備え、脱水軸と洗濯軸とモータとを機構部ハウジングに一体化して水槽の外底部に取り付けた洗濯機において、洗濯軸に固定した第1の係合部と、脱水軸に固定した第2の係合部とを備え、第1の係合部と第2の係合部とは、洗濯軸の回転方向に沿って同一平面上に配置されており、洗い運転時には、第1の係合部が第2の係合部に接触しない範囲で交互に洗濯軸の回転を360度以内で反転させることにより、第1の係合部と第2の係合部とを係合させないで洗濯軸を回転駆動させ、脱水時には、洗濯軸の1方向の連続回転により第1の係合部と第2の係合部とを係合させ、洗濯軸と脱水軸とを連携して回転駆動させるようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の洗濯機の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0013】
まず、本発明の洗濯機の実施の形態を図1乃至図3を参照しながら説明する。
【0014】
本発明の洗濯機の実施の形態は図2に示すように構成するものであり、図2において、箱型の外枠1内に複数の吊り棒4により水槽2を懸架し、この水槽2内に洗濯槽兼脱水槽3が後述するように配設され、この洗濯槽兼脱水槽3の内部に撹拌体5が後述するように配設されている。前記水槽2の底部には脱水軸貫通孔部6が形成されていると共に、排水口7が形成され、前記排水口7には排水弁8を備えた排水路9が接続されている。
【0015】
前記水槽2の外底部には、図1に示すように機構部ハウジング10が取り付けられており、この機構部ハウジング10の軸支持筒部11が上下方向に延びるように形成されている。この軸支持筒部11には、中空状の脱水軸12が上下のベアリング13a,13bを介して回転自在に挿通支承されている。
【0016】
この脱水軸12の外周面と軸支持筒部11の上端部との間にはシールが装着されている。さらに、脱水軸12の内部には、洗濯軸14が軸受部材例えばメタル軸受14a,14bを介して回転自在に挿通支承されており、その上下端は脱水軸12から突出している。
【0017】
そして、前記脱水軸12の上端部にはフランジ部が形成されていて、このフランジ部に前記洗濯槽兼脱水槽3が一体回転するように取り付けられており、また、洗濯軸14の上端部には前記撹拌体5が一体回転するように取り付けられている。
【0018】
さて、水槽2の外底部の機構ハウジング10部分には、ブラシレスモータ形に構成されたモータ15が設けられている。すなわち、機構部ハウジング10には、洗濯軸14と同心状態にステータ18が段付きネジにより取り付けられている。このステータ18は積層鉄心19と、巻線20と、上ボビン及び下ボビンとを有して構成されている。

【0019】
一方、前記ステータ18とでモータ15を構成するロータ16は、図1に示すように、前記洗濯軸14の下端部にこれと一体回転するように取り付けられている。ロータ16は、ロータハウジング17と、ロータヨーク21と、ロータマグネット22とを有して構成されている。
【0020】
前記ロータハウジング17は、アルミダイキャストにて形成されており、中心部にはボス部を有すると共に、外周端部に水平部及び垂直部からなるマグネット配置部を有する。このマグネット配置部の垂直部内面には、上述のロータヨーク21がネジにより取着されている。
【0021】
このロータヨーク21内面に、1極1個の前記ロータマグネット22が円周方向にN極、S極を交互に偶数個(例えば12個)接着により取着されており、このロータマグネット22は、前記ロータヨーク21の上端よりも上方へ突出している。
【0022】
前記機構部ハウジング10には、モータ15のロータマグネット22の回転位置検出手段たる例えば3個の内の1つ(図1では1個のみ図示)のホール素子23が取り付けられており、この場合ホール素子23は、前記ロータマグネット22において前記ロータヨーク21から突出部分に対向する位置にある。
【0023】
前記脱水軸12の下方部には係合部台26が固着され、この係合部台26には第2の係合部25が設けられている。前記係合部台26と第2の係合部25の位置関係を模式的に図3に示した。また、ソレノイド27が機構部ハウジング10に固設されプランジャー28と摺動している。
【0024】
前記プランジャー28は通常、バイアスバネ29によって上方へ押し戻され前記ソレノイド27に通電した時に下方へ押し出され、前記係合部台26に設けられた係合凹部30に嵌合するようになっている。前記係合凹部30は共回り防止用係合部であり、脱水軸径よりも大きな、回転中心からの距離でもって前記係合部台26の上に設け、より小さい力で係止できるようにしてある。
【0025】
前記嵌合は通常前記係合部台26の1回転以内に起こるが、係合凹部30は1個所だけでなく複数個所設け嵌合する確率を上げてもよい。また、共回り防止用ソレノイドである上記ソレノイド27のプランジャー28の横方向の曲げ防止用補強材31を機構部ハウジング10のプランジャー挿通穴に設けられている。補強材31としては例えばメタル軸受けである。
【0026】
また、前記ロータハウジング17には第1の係合部24が設けられている。第1の係合部24と第2の係合部25の位置関係を模式的に図3に示す。
【0027】
しかして、洗い運転時には、図1に示すように、前記プランジャー28と係合凹部30との嵌合により、前記脱水軸12が共回りしないように固定し、上記ロータ16により洗濯軸14を360度以内で反転させる。前記360度以内は第1の係合部24が第2の係合部25に接触しない範囲である。
【0028】
この制御は、図6の本発明の洗濯機の実施の形態の1個のホール素子の出力信号とその信号(マイクロコンピュータへの入力信号)のパルスを用いて、反転後のパルス数のカウント制御の説明図に示したように、1個のホール素子23の出力信号から反転後のパルス数をカウントすることによって、行うようになっている。
【0029】
すなわち、ホール素子23からはN極でH信号が出力され、S極でL信号が出力されるため、極数を2n個とした場合、1回転でその1/2のn個のH信号が出力されることになる。例えばH信号すなわちパルス数6個で1回転するならば、1回転以内のパルス数5個で反転制御させている。
【0030】
なお、図7はホール素子23と電子制御回路との関係を示すブロック図であり、図7において、35はモータ駆動回路、36はモータ制御回路、37はマイクロコンピュータ、38は周辺回路である。
【0031】
一方、脱水時には、前記ソレノイド27への通電を停止することによりバイアスバネ29によって前記プランジャー28が押し上げられ、係合凹部30との嵌合が解除される。こうした後に前記ロータ16により前記洗濯軸14を1方向に連続回転させると、第1の係合部24と第2の係合部25が連係し、その結果前記洗濯軸14と前記脱水軸12が連係し、洗濯槽兼脱水槽3が回転するようになっている。
【0032】
図4は図1において、第1の係合部24を係合部台32に設けた場合の実施の形態を示したものである。この場合も本発明の目的は達せられるが、やや複雑な構造になる。
【0033】
また、図5は図4において、第1の係合部24及び第2係合部25の設置位置に関して回転中心からの距離を短くした実施の形態であるが、図1及び図4に比べると力のモーメントを一定とした時、第1の係合部24及び第2係合部25にかかる力は大きくなるため不利となる。従って、図1及び図4のように回転中心からの距離を大きく取ることによって小さい力で、第1の係合部24及び第2係合部25を係合することができるため、1個所の係合部でも十分な強度を得ることができるようになる。
【0034】
上記実施の形態においては、アウターロータ型のモータでの実施の形態の説明をしたが、これに限定されるものではない。
【0035】
【発明の効果】
本発明の洗濯機は上記のような構成であるから、従来例のクラッチのような複雑な機構を用いることなく、洗濯工程では洗濯軸の回転駆動ができ、脱水工程では脱水軸と洗濯軸の同期回転駆動ができる洗濯機を提供できる。
【0036】
また、発明は、洗濯軸の回転を360度以内で反転させ、第1の係合部と第2の係合部とを係合させない運転すなわち洗濯運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の洗濯機の実施の形態を示す機構部要部縦側面図である。
【図2】本発明の洗濯機の実施の形態を示す縦断側面図である。
【図3】本発明の洗濯機の実施の形態を示す第1の係合部と第2の係合部の位置関係を模式的に示した斜視図である。
【図4】図1の第1の係合部を係合部台に設けた場合の実施の形態を示した要部断面図である。
【図5】図4の第1の係合部及び第2の係合部の設置位置に関しての実施の形態を示した要部断面図である。
【図6】本発明の洗濯機の実施の形態を示す反転後のパルス数のカウント制御の説明図である。
【図7】本発明の洗濯機の実施の形態を示すホール素子と電子制御回路との関係のブロック図である。
【符号の説明】
2 水槽
3 洗濯槽兼脱水槽
5 撹拌体
10 機構部ハウジング
12 脱水軸
14 洗濯軸
15 モータ
17 ロータハウジング
22 ロータマグネット
23 ホール素子
24 第1の係合部
25 第2の係合部
27 ソレノイド
28 プランジャー
30 係合凹部
31 補強材

Claims (1)

  1. 水槽の内部に設けられた洗濯槽兼脱水槽と、この洗濯槽兼脱水槽の内部に設けられた撹拌体と、前記洗濯槽兼脱水槽に回転力を伝達するための中空状の脱水軸と、この脱水軸に挿通され前記撹拌体に回転力を伝達するための洗濯軸と、この洗濯軸と同心状態に設けられるステータと前記洗濯軸の下端部に取り付けられるロータとから構成されるモータとを備え、前記脱水軸と前記洗濯軸と前記モータとを機構部ハウジングに一体化して前記水槽の外底部に取り付けた洗濯機において、
    前記洗濯軸に固定した第1の係合部と、前記脱水軸に固定した第2の係合部とを備え、前記第1の係合部と前記第2の係合部とは、前記洗濯軸の回転方向に沿って同一平面上に配置されており、
    洗い運転時には、前記第1の係合部が前記第2の係合部に接触しない範囲で交互に前記洗濯軸の回転を360度以内で反転させることにより、前記第1の係合部と前記第2の係合部とを係合させないで前記洗濯軸を回転駆動させ、
    脱水時には、前記洗濯軸の1方向の連続回転により前記第1の係合部と前記第2の係合部とを係合させ、前記洗濯軸と前記脱水軸とを連携して回転駆動させることを特徴とする、洗濯機。
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