JP3736125B2 - 方向性電磁鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、変圧器や発電機の鉄心などに利用される方向性電磁鋼板であって、特にコイル幅方向端部の形状に優れる方向性けい素鋼板を提案しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
Siを含有し、かつ、結晶方位が(110)[001]方位や(100)[001]方位に配向した方向性電磁鋼板は、優れた軟磁気特性を有することから商用周波数域での各種鉄心材料として広く用いられている。この用途において、方向性電磁鋼板に要求される特性としては、一般に50Hzの周波数で1.7 T に磁化させた場合の損失であるW17/50(W/kg)で表されるところの鉄損が低いことが重要であり、また、一般には800 A/m の磁化力における磁束密度B8(T) で表される磁束密度が高いことが重要である。
【0003】
かかる方向性電磁鋼板は、鋼板中にAlN 、MnSeやMnS などのインヒビターと呼称される析出物を微細に分散させて一次再結晶粒の成長を抑え(その能力は抑制力と呼称される。)、二次再結晶現象によってゴス方位と呼ばれる(110)[001]方位に近い結晶粒のみを選択的に成長させることで製造される。
二次再結晶後はインヒビターを分解し鋼板から除去するために1200℃近傍での高温の加熱(一般に、純化焼鈍と呼ばれる。)を行うが、二次再結晶と純化焼鈍は通常、連続して行われるため、まとめて最終仕上げ焼鈍と呼称されている。したがって、この最終仕上げ焼鈍は高温長時間の焼鈍となるが、鋼板はコイル状に巻かれた状態で焼鈍されるため、積層された鋼板相互の融着防止のため鋼板表面に非金属物質からなる焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上げ焼鈍に供する。
【0004】
しかしながら、高温長時間焼鈍の問題として、コイル幅方向端部の形状不良の発生がある。すなわち、鋼板表面に熱伝導度の低い非金属物質を塗布してコイル状に巻いているため、コイル外部から加熱すると、熱伝導はコイル幅方向端部から進行し、コイルラジアル方向の熱伝導は鋼板層間の焼鈍分離剤が断熱作用によって抑制されている。したがって、コイルの昇温の際にコイル幅方向の端部と中心部とで大きな温度差が発生し、コイル端部で相対的に大きな熱膨張を来すために該端部に変形が生じて最終仕上げ焼鈍後の鋼板のコイル幅端部の形状不良をもたらすことになるのである。
このようなコイル幅方向端部の形状不良は、その後の未反応焼鈍分離剤の除去やコーティング塗布/焼き付け工程などの後工程の妨げとなるばかりでなく、磁気特性不良の原因となったり、変圧器の鉄心とするためのスリット処理のサイズを変化させて材料欠陥をもたらしたり、変圧器鉄心の積み厚を変動させたりして工業的なトラブルの原因となっていた。
【0005】
このコイル幅方向端部の形状不良問題を解決する従来法として、コイル端部側縁が凹凸形状になるように巻き取る技術が特公昭52−13169号公報に、また、コイルの幅方向で巻き取り張力を変更する方法が特公昭59−14522号公報にそれぞれ開示されている。この従来法のうち、特公昭52−13169号公報の技術は、突起側縁に集中的に荷重が加わるため、突起部の座屈を惹起し、逆に形状劣化を助長するおそれがある。また、特公昭59−14522号公報の技術は、最終仕上げ焼鈍直前の焼鈍の冷却時にコイルの端部側縁の任意幅を中央部よりも優先的かつ選択的に冷却し、端部と中央部との温度差により端部に相対的な塑性変形を生じさせ、コイル状に巻き取った際にコイル中央部に比較し相対的に強い張力がコイル端部側縁にかかるようにして、これによって端部側縁に発生する歪を軽減しようとするものである。しかしながら、この方法では、最終仕上げ前から存在するコイル端部側縁の歪がますます助長されることになり、逆にコイル端部形状が劣化する結果となり、所望の効果を得ることは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、高温、長時間処理である最終仕上げ焼鈍後に発生するコイル幅方向端部の形状不良は、当該端部に切り込みを入れる方法、端部を凹凸の形状とする方法、コイル端部に相対的に強い張力を付加する方法といった従来の方法では解決できなかった。そこで、この発明は、かかる困難な課題を、端部形状不良が発生する原因まで遡り追求し、二次再結晶の発現温度がコイル端部形状に大きな影響を及ぼすことを新規に知見し、そこから二次再結晶の制御技術をコイル端部に適用することにより効果的に解決した、コイル幅端部の形状に優れる低鉄損方向性電磁鋼板を提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、最終仕上げ焼鈍によってコイル幅方向端部の形状不良が発生する原因を根本に遡って検討し、高温長時間焼鈍時にコイル端部と中央部とで温度差が生じ、熱膨張量差によってコイル中央部に対してコイル端部への変形力が作用したり、焼鈍炉のベースプレートと接するコイル下端部ではコイル重量がかかり、同じく変形力が作用したりするが、このとき、一次再結晶粒からなる組織の場合は二次再結晶粒からなる組織に比較して同一の変形力に対しクリープ変形による変形量が大きく、この組織状態がコイル幅方向端部における形状不良の真の原因であることを新規に見い出した。
【0008】
すなわち、高温長時間焼鈍でのコイル幅方向端部の形状不良を起こす高温変形を支配するものが、高温クリープ変形であることを実験により見い出した。二次再結晶組織の場合は、粒界密度が大幅に低下しているため、クリープ強度が大幅に増加する。したがって、上記課題の解決法としては、コイルが高温になる前に変形力を受けるコイル端部を優先的に二次再結晶させておくことが有効で、更に、発生する二次再結晶粒に関してサイズが2 mm以下の結晶粒の割合を低減させた二次再結晶組織にすることで、クリープ変形に対して大きな抵抗力を付与することができ、これによって実質的な変形が抑制されることを新規に知見した。
【0009】
また、このような最終仕上げ焼鈍後の二次再結晶組織においては、次工程のコイルセットを矯正する平坦化焼鈍後においても、更に形状や占積率の点で優れた結果を得ることを発見したものである。
以上の発見に加えて、二次再結晶を低温で発現させる工夫を凝らすことで、上記二次再結晶の効果を有効に活用できることを発見し、前述の課題を解決し、この発明を完成させた。
【0010】
すなわち、この発明のコイル幅方向端部の形状に優れる低鉄損方向性電磁鋼板は、Si:1.5 〜7.0 wt%、Mn:0.03〜2.5 wt%を含有し、残部は Fe および不純物の組成になる方向性電磁鋼板において、コイル幅方向端部から幅方向に一定距離を選び定めた端部からの領域にて、粒径(但し、粒径は、面積が等価な円の相当径で示す)が2mm以下の結晶粒の該領域に占める面積比率が15%となるその一定距離Lが、両端部もしくは一方の端部から30mm以下であることを特徴とし、また、
Si:1.5 〜7.0 wt%、Mn:0.03〜2.5 wt%を含有し、残部は Fe および不純物の組成になる方向性電磁鋼板において、コイル幅方向で両端部もしくは一方の端部から30mmの距離までの領域にて、粒径(但し、粒径は、面積が等価な円の相当径で示す)が2mmを超える結晶粒の面内方位ずれ角(但し、面内方位ずれ角とは、 [001] 方位の鋼板面内における (110)[001] からのずれ角を示す)の平均値αe が、コイル幅方向中央部100 mm幅の領域での粒径(但し、粒径は、面積が等価な円の相当径で示す)が2mmを超える結晶粒の面内方位ずれ角(但し、面内方位ずれ角とは、 [001] 方位の鋼板面内における (110)[001] からのずれ角を示す)の平均値αc よりも3 〜20度大きいことを特徴とし、更に、
Si:1.5 〜7.0 wt%、Mn:0.03〜2.5 wt%を含有し、残部は Fe および不純物の組成になる方向性電磁鋼板において、コイル幅方向で両端部もしくは一方の端部から30mmの距離までの領域にて、粒径(但し、粒径は、面積が等価な円の相当径で示す)が2mmを超える結晶粒の平均粒径が、4mm以上でかつコイル幅方向中央部100 mm幅の領域での粒径(但し、粒径は、面積が等価な円の相当径で示す)が2mmを超える結晶粒の平均粒径よりも3mm以上小さいか3mm以上大きいことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、この発明を完成させるに至った経緯を調査と実験例とに基づいて以下に述べる。
(実験1:コイル温度分布の調査実験)
幅1000mm、長さ4 km、重量が約10t の脱炭焼鈍後のコイルの鋼板表面にMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、コイルの長手方向中央位置の幅方向上端部、中央部及び下端部に熱電対を設置し、コイル状に巻き取った。その後、このコイルを特公昭62−56206号公報の実施例で示される最終仕上げ焼鈍、すなわち、昇温速度20℃/hで1200℃まで昇温し、10時間この温度で保持した後、自然炉冷した。このときのコイル中央部とコイル上端部との温度差ΔTL の経時変化を図1に示す。この図1のように、コイル幅方向中央部とコイル上端部とでは昇温途中において、最大240 ℃の温度差が発生していることがわかった。
【0014】
ちなみに、このコイルのコイル幅方向端部領域の形状不良の程度を、図2で示す波高:H(mm)と形状不良の幅端部からの距離:D(mm)との積HDで表すと、コイル長手方向での平均値で、コイル上端部側が250 mm2 、コイル下端部側が380 mm2 であった。
【0015】
従来より、コイル幅方向端部の形状不良は、最終仕上げ焼鈍時のコイルが高温で軟化した際、コイル荷重のためコイルを受けるベースプレートと接する側のコイル端部で座屈変形が生じるためとされていた。しかしながら、この実験で認められるように、確かにベースプレートと接触するコイル下端部側の形状不良は大きいが、同様にコイル上端部側にも形状不良が発生しており、コイル荷重とコイルの高温軟化のみではこの結果を説明できない。また、同一のサイズと重量を有するコイルを同一の焼鈍パターンで焼鈍しても端部形状の異なるコイルが発生することがあるが、この原因もコイル荷重とコイルの高温軟化説のみでは説明不可能である。
【0016】
したがって、発明者らは、形状不良を助長する原因として、確かにコイル荷重の存在はあり得ても、これは、高温長時間焼鈍を受けるコイル下端部のみに対応するものであって、コイル荷重が加わらない上端部では、昇温時や高温保持時に中央部との温度差を生じ、熱膨張量の差によってコイル上端部に変形を伴う応力が加わるのではないかと考えた。したがって、いずれにしても高温長時間の最終仕上げ焼鈍時にコイル端部域には、大きな変形応力が加わることになるので、コイル幅方向端部の形状不良の程度がコイルごとに異なる真の理由は、熱処理を受ける材料そのものに起因するものではないかと考え、次の実験を行った。
【0017】
(実験2:3 %Si電磁鋼板の高温荷重引張試験)
3.3 wt%のSiと0.06wt%のMn及びインヒビター成分として0.02wt%のSeと0.02wt%のAl及び0.02wt%のSbを含有する0.22mm板厚の脱炭焼鈍板(記号A)と、これに最終仕上げ焼鈍した鋼板(最終仕上げ焼鈍板:記号B)とを試料とした。脱炭焼鈍板Aの平均粒径は8.2 μm であり、また、最終仕上げ焼鈍板Bは完全に二次再結晶しており、そのマクロ組織の平均結晶粒径は18.4mmであった。
これらの試料を用いて800 〜1100℃における荷重下(σ=0.75kgf/mm2 )での高温荷重引張試験(有効長さ100 mm)を行った。その結果の一例(1000℃)を図3に示し、図4に高温変形速度をまとめて示す。
【0018】
図3の結果及び光学顕微鏡を用いた組織観察により、これらの高温荷重下での変形が結晶粒界のすべりによる高温クリープによって起こることがわかった。したがって、結晶粒径の小さい脱炭焼鈍板ほど変形速度は大きくなる。また、図4より950 ℃以上では、脱炭焼鈍板の変形速度が最終仕上げ焼鈍板の変形速度よりも大きくなり、高温になればなるほどその差は大きくなることが分かる。
【0019】
この実験から、結晶粒径に大きな差がある二次再結晶前と二次再結晶後では、高温時の変形量に大きな差が生じること、及び二次再結晶の発現が高温になればなるほど変形の程度がひどくなることが推定できる。とはいえ、二次再結晶挙動が同一のコイルであっても、ときにコイル幅方向の端部形状が同一でないコイルが得られる場合もあり、コイル自身に起因する因子や最終仕上げ焼鈍条件に起因するものとは別の、例えば、コイルの巻き取り張力といった因子も多少は関係していることが推定された。これらの推定を実証するために、二次再結晶促進剤として硫酸マグネシウムを用い、次の実験を行った。
【0020】
(実験3:コイル幅方向端部領域の二次再結晶促進とコイル巻き取り張力変更実験)
3.05wt%のSi、0.07wt%のMn、0.02wt%のSe、0.02wt%のAl、0.02wt%のSb、0.012 wt%のMo、0.008 wt%のNを含み、残部は鉄及び不可避的不純物からなり、幅1200mm、厚み0.22mm、重量15t の脱炭焼鈍後の方向性電磁鋼板を4 コイル用意し、その表面に5 wt%のTiO2と2 wt%の水酸化ストロンチウムを添加したMgO からなる焼鈍分離剤を10g/m2塗布した。
このとき、一つのコイルは焼鈍分離剤を塗布した後、巻き取り張力2 kgf/mm2 で巻き取り、最終仕上げ焼鈍前のコイルとした(条件a)。他の一つのコイルは焼鈍分離剤を塗布した後、巻き取り張力8 kgf/mm2 で巻き取り、最終仕上げ焼鈍前のコイルとした(条件b)。また、他の一つのコイルは焼鈍分離剤を塗布した後、コイル幅方向の端部と端部から100 mmまでの距離との間のコイル両端部域に、硫化銅を焼鈍分離剤の上に更に重ねて2 g/m2塗布し、巻き取り張力2 kgf/mm2 で巻き取り最終仕上げ焼鈍前のコイルとした(条件c)。残る一つのコイルは、焼鈍分離剤を塗布した後、コイル幅方向の端部と端部から100 mmまでとの距離の間のコイル両端部域に、硫化銅を焼鈍分離剤の上に更に重ねて2 g/m2塗布し、巻き取り張力8 kgf/mm2 で巻き取り最終仕上げ焼鈍前のコイルとした(条件d)。
【0021】
最終仕上げ焼鈍は、ベースプレートの上に各コイルを載せ、インナーカバーをかぶせて、ヒーター付きのボックスに装入し回転炉床式炉で行った。最終仕上げ焼鈍の条件は、850 ℃までN2中で平均30℃/hの昇温速度で昇温し、同じくN2中、850 ℃で15時間保持した後、25%のNH3 と75%のH2の雰囲気中で15℃/hの平均昇温速度で1180℃まで昇温し、H2中で1180℃、5 時間保持した後、降温したものである。その後、未反応の焼鈍分離剤を除去し、コイル長手方向1 m ごとにコイルの幅方向端部域の平均形状不良係数HDを測定し、各々の磁気コイル長手方向全長における平均値を求めた。
【0022】
その結果を表1に、各コイルの磁気特性を仕上げ焼鈍後の磁気特性として表2にそれぞれ示す。なお、この実験と同一の脱炭焼鈍後の鋼板に、同じく5 wt%のTiO2と2 wt%の水酸化ストロンチウムを添加したMgO からなる焼鈍分離剤を10g/m2塗布した試料と、この上に更に重ねて硫化銅を2 g/m2塗布した試料とを用意し、研究室の実験炉で焼鈍し、二次再結晶温度を求めたところ、前者の試料の二次再結晶温度は1020℃であったが、硫化銅を追加塗布した後者の試料の二次再結晶温度は950 ℃に低下していた。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
表1の結果より、コイル幅方向端部域に二次再結晶促進剤である硫酸マグネシウムを塗布した条件c及びdのコイルは、幅方向端部の形状が、極めて優れたものとなり、特に巻き取り張力を高め、8 kgf/mm2 とした条件dではかつてない優れたものが得られ、大きな改善効果が得られていることが分かる。コイル巻き取り張力の、このような効果を調査したところ、張力が弱い場合には、焼鈍中に鋼板層間での鋼板のずれが起こり易く、このときには鋼板の一部に過剰な応力がかかりやすくなるため局部的に大きな変形が起こりがちになることがわかった。
【0026】
したがって、コイル幅方向端部域の形状を改善するためには、この領域での二次再結晶を促進させ、高温変形に強い二次再結晶粒を低温から発現させることが必要で、特に、この技術にコイル巻き取り張力を高めて高温焼鈍時に各鋼板に均一に応力がかかるようにする技術を組み合わせることが効果的である。なお、磁気特性は、表2に示すように4 種類の条件において差異はない。
【0027】
次に、この実験で得た4 種類のコイルについて、鋼板表面にリン酸マグネシウムとコロイダルシリカを主成分とする張力被膜を塗布し平坦化焼鈍を施した。このとき、各コイルを2 分割し、一方はコイルセットが矯正される程度の0.4 kgf/mm2 を最小引張張力として、各コイルの幅方向端部域の形状が矯正されるまでコイル端部域の形状不良の程度に応じて0.4 〜8 kgf/mm2 の張力を付加しつつ800 ℃で平坦化焼鈍し、残る一方のコイルは一律8 kgf/mm2 の張力を付加しつつ800 ℃で平坦化焼鈍した。前者の各コイルの磁気特性を平坦化焼鈍後の磁気特性として表2に示す。また、後者の各コイルのコイル幅方向両端部から300 mm幅で圧延方向の長さ1 m の鋼板を多数切り出し、これを100 枚積層して占積率を測定し、更に800 ℃で3 時間の歪取り焼鈍を施した後、再び占積率を測定した。これらの結果も表2に示す。
【0028】
表2に示されるように、コイル幅方向端部域の形状の悪い条件aやbのコイルでは、平坦化焼鈍後の磁気特性が大幅に劣化しているのに対し、形状の優れている条件cやdのコイルではほとんど磁気特性の劣化が認められない。これは、条件a、bのコイルはコイル幅方向端部域の形状矯正のため鋼板を過剰に伸び変形させたため、鋼板中に多くの転位が導入され磁気特性の劣化を招いたためである。
【0029】
また、平坦化焼鈍による矯正処理を同一条件で行った後者の場合においても、コイル幅方向の端部域から採取した鋼板について、条件aやbにおいては歪取り焼鈍前(平坦化焼鈍後)で既に占積率が低下しており、更に歪取り焼鈍後では占積率が大幅に劣化している。この原因を調査したところ、条件aやbではコイル幅方向の端部域から採取した鋼板に2 mm以下の粒径からなる二次再結晶の領域が多数あり、これがこうした現象をもたらすものであることがわかった。表3に、コイル幅方向中央部と端部域について鋼板のマクロエッチングによる組織観察の結果を、粒径2 mm以下の二次再結晶粒の割合及び二次再結晶粒の平均結晶粒径で示す。
【0030】
【表3】
【0031】
表3より、端部域の鋼板には上述の2 mm以下の粒径の微細粒が二次再結晶組織内に多数存在することが分かった。最終仕上げ焼鈍時における二次再結晶前に熱膨張差に起因して強い応力を受けるコイル幅方向の端部域には、微細粒を有する二次再結晶組織が発生し易い。発明者らの研究により、この微細粒が占積率低下を来す原因であることが判明した。
【0032】
ちなみに、平坦化焼鈍後の前述の鋼板a及びcのマクロ組織における粒径2 mm以下の結晶粒の面積比率を、コイル幅方向端部からの距離との関係で図5に示す。ここに、2 mm以下の結晶粒とは、面積が等価な円の相当径が2 mm以下の結晶粒のことであり、二次再結晶不良の粒や2 mm以下の微細な二次再結晶を含む。図5において、コイル端部域の形状不良や、占積率不良をもたらした鋼板aにおいては、2 mm以下の結晶粒の面積比率が高く、この面積比率が15%となる点のコイル幅方向端部からの距離L15は58mm及び63mmであり、これに対して、コイル端部域の形状や占積率に優れた鋼板cにおいては、微細粒の生成が抑制されており、L15の値は25mmと21mmであることが分かった。
【0033】
ここで、このような結果を得た理由を考察すると、2 mm以下の微細粒を含有する組織が粗大な二次再結晶粒組織と混在していると、鋼板は平坦化焼鈍の矯正時に不均一な内部歪を含有するようになるので歪取り焼鈍後の鋼板形状は再び劣化し、結局、占積率の低下を招くことになる。これに対し、二次再結晶促進剤を塗布した条件cやdでは2 mmを超える二次再結晶がコイル幅方向端部域まで進行するため、上述のような不利益は発生しない。更に、表3に示されるように、コイル幅方向端部における二次再結晶組織は平均的に二次再結晶が促進されるため、幅方向中央部よりも平均粒径が小さくなっており、このことは変形強度を高める上でも有利なので、更に優れた占積率が歪取り焼鈍後も維持されることが期待できる。
【0034】
ところで、コイル幅方向端部の変形強度を高め、優れた占積率が歪取り焼鈍後も維持されるこのような作用効果は、上述した二次再結晶の粒径を低減する手法だけでなく、この他にも、二次再結晶粒の方位を低下させることによっても可能である。すなわち、コイル幅方向中央部の二次結晶粒の方位が通常のように(110)[001]方位に比較的揃っているのに対し、二次再結晶促進剤を塗布した場所での二次再結晶粒の方位は(110)[001]方位からずれる傾向を有する。こうした傾向は、変形に対して有利に作用するので変形強度を更に高め、歪取り焼鈍後の占積率の劣化を抑制するのに有効である。
以上の実験と調査結果を基に鋭意研究の結果、この発明は、完成されたものである。
【0035】
以下、この発明の方向性電磁鋼板の成分組成や製造方法に関して、この発明の効果を有利に得るための要件とその範囲及び作用について詳述する。
まず、この発明の方向性電磁鋼板の成分組成を限定した理由について説明する。
(Si:1.5 〜7.0 wt%)
Siは、製品の電気抵抗を高め、鉄損を低減するのに有効な成分であり、このために1.5 wt%以上を含有させるが、7.0 wt%を超えると硬度が高くなり製造や加工が困難になる。したがって1.5 〜7.0 wt%の範囲で含有させる。
(Mn:0.03〜2.5 wt%)
MnもSiと同じく電気抵抗を高める作用があり、また、製造に熱間加工を容易にする作用がある。このためには0.03wt%以上を含有させる必要があるが、2.5 wt%を超えると熱処理時にγ変態を誘起して磁気特性を劣化させるので、0.03〜2.5 wt%の範囲で含有させるものとする。
【0036】
上記成分はいずれも含有させることが必須の成分であるが、その他、インヒビターとして含有されており、最終仕上げ焼鈍によって純化され得ないもので磁気特性を劣化させないものであれば、適宜含有させることができる。また、C、Al、S、Nなどは磁気特性の上で有害な成分であり、純化焼鈍あるいは脱炭焼鈍によって鋼中から除去できるものであるので、製品においてはできるだけ含有量を低減することが好ましい。
このような成分を有する鋼板は、鋼板表面に通常各種の被膜を有しているが、ときには被膜がない状態で使用される場合もある。
【0037】
更に、方向性電磁鋼板の結晶組織については、下記のa)、b)及びc)のいずれかを満たすことが、この発明の方向性電磁鋼板には必要である。
すなわち、コイル幅方向端部域が二次再結晶の細粒組織である場合には、下記のa)を満たすことが必要とされる。ここで、二次再結晶の細粒組織とは、通常の二次再結晶不良と呼称される組織とは異なり、マクロエッチングした対象領域において、各結晶粒の面積を等価面積の円に置き換えたときの円の直径(円相当径)にして2 mm以下の結晶粒の該領域に占める面積比率が15%以上であるような二次再結晶粒の組織のことである。また、コイル幅方向端部域が二次再結晶の細粒組織であるとは、コイル幅方向から一定距離Lを選び定めたとき、二次再結晶の細粒組織となるLが存在するということである。
【0038】
a)方向性電磁鋼板コイルにおいて、コイル幅方向で端部から一定距離Lを選び定めたときのコイル端部からLまでの幅の領域につき、Lが30mmを超える値の場合には二次再結晶の細粒組織の出現が抑制されていることが必要である。Lが30mmを超える端部域においても二次再結晶の細粒組織が出現する場合、端部域の形状不良のため平坦化焼鈍による過剰の矯正を行う必要があり、これに起因する磁気特性の劣化や歪取り焼鈍後の端部域の占積率の低下を招く結果となる。したがって、このような不利益の発生を抑制するためには、上記二次再結晶が細粒組織となる端部域に対応する距離Lの大きさとして30mm以下に規制することが必要である。また、このように規制した端部域はコイル両端部であっても、一方の端部であっても効果が得られることはいうまでもない。
【0039】
次に、コイル幅方向端部域に二次再結晶の細粒組織が認められない場合には、下記のb)もしくはc)の組織とすることが必要である。すなわち、
b)L=30mm、すなわち、コイル端部から幅30mmまでのコイル幅方向端部域の二次再結晶粒の平均粒径が4 mm以上であり、かつ、その平均粒径が幅方向中央部100 mm幅の領域での平均粒径よりも3 mm以上大きいか、3 mm以上小さい組織とすることが、平坦化焼鈍による過剰の矯正に起因する磁気特性の劣化や歪取り焼鈍後の占積率の低下を更に抑制する上で必要である。この端部域での二次再結晶粒の平均粒径が中央部100 mm幅の領域の二次再結晶粒の平均粒径の値から±3 mm未満の範囲である場合は、平坦化焼鈍による過剰の矯正に起因する磁気特性の劣化や歪取り焼鈍後の占積率の低下を抑制する作用が現れない。また、この端部域での二次再結晶粒の平均粒径が4 mm未満であると二次再結晶組織全体がやはり細粒組織の状態に近づくので逆にコイル形状が劣化する。また、このように規制した端部域はコイル両端部であっても、一方の端部であっても効果が得られることはいうまでもない。なお、ここで、二次再結晶粒の平均粒径とは、円相当径が2 mm以下の結晶粒を除いた残部領域について、通常行われているように、残部領域全体の面積を残部領域に占める結晶粒の個数で除し、この値と等価な円の面積の直径で表したものである。
【0040】
c)コイル幅方向端部域の二次再結晶の面内方位ずれ角の平均値αe (但し、面内方位ずれ角とは[001]方位の鋼板面内における(110)[001]からのずれ角、すなわち、通称α角と呼称されるものを示す。)が、幅方向中央部100 mmの幅の領域での二次再結晶粒の面内方位ずれ角の平均値αc よりも3 〜20度大きいことが、平坦化焼鈍による過剰の矯正に起因する磁気特性の劣化やコイル幅方向端部域での歪取り焼鈍後の占積率の低下を抑制する上で必要である。このときの端部域は、コイル端部からコイル幅方向に30mmまでの幅の領域とする。端部から30mmまでの幅の領域の面内方位ずれ角の平均値αe が中央部100 mm幅の領域の面内方位ずれ角の平均値αc の値を超えることが3 度未満となる場合には、平坦化焼鈍による過剰の矯正に起因する磁気特性の劣化や端部域の歪取り焼鈍後の占積率の低下を抑制することができない。また、αe がαc を20度を超える程に大きな値である場合には、端部域の磁気特性の過大な劣化を招き、電磁鋼板として使用できない。したがって、コイル幅方向端部から30mmまでの幅の領域の面内方位ずれ角の平均値αe の値は、コイル幅方向中央部100 mmの幅の領域の面内方位ずれ角の平均値αc の値よりも3 〜20度大きい値とする。また、このように規制した端部域は、コイル両端部であっても、一方の端部であっても効果が得られることはいうまでもない。なお、面内方位ずれ角の平均値は、結晶粒の面積平均をとったものであり、例えば二次元的に一定間隔で結晶方位を測定し、この平均値をとる方法が適切である。
【0041】
以上、通常コイルの幅方向端部の形状不良は、製品の出荷の際には切れ捨てられるが、これでも、形状不良の部分がしばしば製品に混入し、占積率の低下や不均一などによる変圧器などの加工工程での大きなトラブルの原因となっていたが、最終仕上げ焼鈍後の状態において、上記特徴をそなえる鋼板を実現することによって、製品の形状品質の向上と製品歩留りの大幅な向上、並びに変圧器などの加工工程におけるトラブルの解消が実現した。
なお、この発明における方向性電磁鋼板は、発明の目的からして当然のことではあるが、製品を幅方向に分割してスリットコイルを意味するものではない。
【0042】
次に、この発明に従う方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
まず、素材の成分組成についてその限定理由について述べる。
(Si:1.5 〜7.0 wt%)
Siは、電気抵抗を増加させ、鉄損を低減するのに有効に寄与するが、1.5 wt%に満たないとその効果に乏しく、一方、7.0 wt%を超えると加工性が劣化し、製造それ自体や製品の加工が極めて困難になるので、1.5 〜7.0 wt%の範囲に限定する。
(Mn:0.03〜2.5 wt%)
MnもSiと同じく電気抵抗の向上に有用なだけでなく、熱間加工性の改善にも有効に寄与するが、0.03wt%に満たないとその添加効果に乏しく、2.5 wt%を超えると熱処理時にγ変態を誘起して磁気特性の劣化を招くので、0.03〜2.5 wt%の範囲に限定した。
【0043】
鋼中には、上記の成分の他に二次再結晶を誘起するための公知のインヒビター成分を含有させる。すなわち、インヒビター成分として、Al、B、Bi、Sb、Te、Se、S、Sn、P、Ge、As、Nb、Cr、Ti、Cu、Pb、Zn及びInなどが知られている。また、インヒビター添加成分としては、一種類のみでも単独で作用を発揮するが、好ましくは二種類以上の複合添加がより好ましい結果を得る。
なお、上記したインヒビター成分は、製造段階において所期の目的を果たしたのち、製品中に不純物として残留する。
【0044】
その他の成分については、公知の方向性電磁鋼板用の成分組成が全て適合するが、特に、下記の成分については有利となる範囲が存在する。
Cの含有量について、0.120 wt%を超えると脱炭焼鈍で十分に除去できず磁気特性が劣化する傾向となり、一方、0.010 wt%未満では組織改善効果が劣り、二次再結晶が不完全となりがちで、やはり磁気特性が劣化する傾向となる。したがって、Cは0.010 〜0.120 wt%の範囲が好ましい。
【0045】
その他の添加成分については、高磁束密度を得るためには必ずしも必要とされるものではないが、例えば、Moの添加などは鋼板の表面性状を改善する効果があるので適宜含有させることは可能である。
【0046】
以上の成分に調整した鋼は公知の方向性電磁鋼板の熱延方法によって熱延鋼板としたのち、必要に応じて熱延板焼鈍を施し、1 回もしくは中間焼鈍をはさむ2 回以上の冷間圧延で最終板厚とする。なお、上記の圧延に際し、公知の温間圧延やパス間時効処理を組み合わせることは、この発明でも有効である。また、最終圧延後、磁区細分化のために鋼板表面に線状の溝を設けることも可能である。
更に、熱延板焼鈍や中間焼鈍の際に弱脱炭処理を施すことも可能である。
【0047】
次いで、一次再結晶焼鈍を施すが、このとき、必要に応じて同時に脱炭処理も兼備させ、C量を所定の値以下まで低減する。一次再結晶焼鈍後には、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布し、コイル状に巻き取り最終仕上げ焼鈍を施す。このとき、3 kgf/mm2 以上のコイル巻き取り張力でコイルを巻き取ることによって、この発明の効果が相乗的に高まる。すなわち、コイル巻き取り張力は、最終仕上げ焼鈍時のコイルの熱的変形による座屈を抑制しつつ、相乗的にこの発明の目的であるコイル幅方向端部域の形状を改善する作用があるので、特に重要な技術である。
【0048】
また、焼鈍分離剤としては、最終仕上げ焼鈍時にフォルステライト被膜を形成させる場合にはMgO を主成分とする粉末をスラリー化したものを塗布するが、被膜形成を抑制する場合にはAl2O3 など、MgO 以外の物質の主成分を用いることもよく知られており、この発明に適用できることはいうまでもない。最終仕上げ焼鈍は、二次再結晶と純化とを目的とした焼鈍であり、通常両者は同一の焼鈍で行われる。しかし、ときに二つの焼鈍に分離して行われる場合もあり、この場合でもこの発明の方法が適用できる。最終仕上げ焼鈍後は未反応の焼鈍分離剤を除去して、必要に応じて平坦化焼鈍を兼ねて絶縁コーティングを塗布焼き付けて製品とする。また、製品にはレーザーやプラズマジェットを局部的に照射したり、突起ロールで微少歪を局部的に導入して磁区細分化処理を施すこともできる。
【0049】
このような方向性電磁鋼板の製造工程において、二次再結晶を目的とした高温長時間焼鈍より以前において、コイル幅方向両端部もしくは一方の端部域に中央部領域に比較して付加的な二次再結晶促進処理を施し、コイル幅方向端部の形状を改善することが、この発明の方向性電磁鋼板の製造方法の最も主要をなす構成要件である。
【0050】
ここで、二次再結晶促進処理とは、二次再結晶の発現を早期化、低温化させるための処理であり、コイル巻き取った後、幅方向の端面を高温のアンモニア雰囲気にさらし窒化させるなどの処理が該当するが、最も有効な方法としては、1)一次再結晶粒を細粒化する処理、2)強い抑制力のもと一次再結晶粒の粒成長を抑制した状態のもと、一次再結晶粒への20%までの歪付与処理といったような一次再結晶粒の粒成長の駆動力を強化する処理や、3)インヒビターの抑制力を強化して、二次再結晶を促進する処理、がある。
【0051】
このうち、1)の一次再結晶粒を細粒化する処理や、2)の一次再結晶粒の粒成長の駆動力を強化する処理は、特にコイル幅方向端部の形状を改善する効果が高く、かつ安定しており、工業的に実施することが容易であり優れている。かかる処理をコイル幅方向端部域に、すなわち幅方向に局部的に行う。
更に、上記の方法について、より具体的方法を述べると、局部的な一次再結晶粒径の微細化処理の方法としては、鋼板の焼鈍時においてコイル幅方向端部域の温度を低下させる方法、温間圧延時においては、コイル幅方向端部域の温度を高める方法、表層弱脱炭処理時においてコイル幅方向端部域の表層脱炭を抑制する方法がある。
【0052】
また、一次再結晶粒への歪付与処理としては、一次再結晶焼鈍後に、コイル幅方向端部域に圧延などの方法で歪を付与する方法がある。しかしながら20%を超える歪を付与すると、逆に微細な二次再結晶粒が増加し、不適合となる。
【0053】
また、コイル幅方向端部域の鋼板表面をめっきで覆い、二次再結晶前における鋼板表面からのインヒビターの消失を抑制する方法や、焼鈍分離剤塗布の前、あるいは後においてコイル幅方向端部域に抑制力強化剤を塗布したり、焼鈍分離剤中に抑制力強化剤を添加するといった抑制力強化剤を使用する方法がある。ここで、抑制力強化剤とは、セレン酸塩やセレン化物など、セレンを含有する物質、テルルを含有する物質、リン酸カルシウム、リン酸アンモニウムなどの燐を含有する物質、酸化スズなどスズを含有する物質、窒化鉄や窒化マンガンなどの窒化物というように、インヒビター成分を含有する物質のうち、特に二次再結晶を促進し、2 mm以下の微細結晶粒の二次再結晶の出現を抑制する物質の総称である。
【0054】
また、このような二次再結晶促進処理を施す端部域の幅としては、30mm以下とすることが、コイル幅方向端部の形状を改善する効果が顕著となりより好ましい。
【0055】
コイル幅方向両端部域もしくは一方の端部域に、上述のような付加的な二次再結晶促進処理を施した場合に形成される二次再結晶の組織は、一次再結晶後の鋼板のインヒビターと一次再結晶粒径とのバランスにおいてさまざまの形態をとる。
すなわち、一次再結晶後の鋼板のインヒビターが強く、したがって一次再結晶粒径が小さい場合に二次再結晶促進処理を施すと、二次再結晶粒の面内方位ずれ角:αが増大する方向に変化する。また、一次再結晶後の鋼板のインヒビターが強く、かつ、一次再結晶粒径が大きい場合に二次再結晶促進処理を施すと、二次再結晶の平均粒径が減少する。更に、一次再結晶後の鋼板のインヒビターが弱く、したがって一次再結晶粒径が大きい場合には、二次再結晶促進処理によって二次再結晶の細粒組織が低減する。また、一次再結晶後の鋼板のインヒビターが弱く、かつ、一次再結晶粒径が小さい場合に二次再結晶促進処理を施すと、二次再結晶の平均粒径が増加する。
以上のように、一次再結晶焼鈍後の方向性電磁鋼板の組織の状態に応じてさまざまな形態の二次再結晶組織が出現するが、いずれもコイル幅方向端部域の形状不良を改善するのに有効である。
【0056】
【実施例】
(実施例1)
C:0.08wt%、Si:3.32wt%、Mn:0.07wt%、Al:0.02wt%、Sb:0.025 wt%、N:0.008 wt%を含み、残部は鉄及び不可避的不純物からなる重量20t の鋼スラブ2 本を、1420℃に加熱した後、常法により2.2 mm厚の熱延鋼板とした。次いで、1000℃、30秒の熱延板焼鈍後、酸洗し、1.6 mm厚に冷間圧延した。その後、1080℃で40秒間の中間焼鈍を施したが、その際、1 本はコイル幅方向に均一の1080℃の温度で焼鈍し(比較例)、他の1 本はコイル幅方向両端部域として端部から100 mmまでの領域の温度を炉内遮蔽板により30℃低下させ1050℃として焼鈍した(発明例)。
この後、双方とも200 ℃の鋼板温度での温間圧延により0.22mmの最終板厚とした。次いで、脱脂処理後、850 ℃で2 分間の脱炭焼鈍を施した後、5 %のTiO2と2 %のSrSO4 を添加したMgO を焼鈍分離剤として12g/m2塗布したが、このとき、各々のコイルを均等に二分割し、一方は2 kgf/mm2 でコイル状に巻き取り、もう一方は6 kgf/mm2 でコイル状に巻き取った。このときの一次再結晶粒の平均粒径を測定したところ、コイル幅方向中央部でいずれのコイルも8 〜9 μm の範囲内であった。
【0057】
次いで、最終仕上げ焼鈍を施したが、その条件としてはN2中で850 ℃まで30℃/hの昇温速度で昇温し、850 ℃で25時間保持した後、25%のN2と75%のH2の混合雰囲気中で15℃/hの昇温速度で1200℃まで昇温し、更にH2中で5 時間保持した後、降温した。
その後、これらのコイルは未反応の焼鈍分離剤を除去した後、50%のコロイダルシリカを含有する張力コーティングを塗布し、1.0 kgf/mm2 の張力を付加しつつ平坦化焼鈍を兼ねて800 ℃で1 分間焼き付け、製品とした。
【0058】
これらの製品の磁気特性とコイルの幅方向端部域の平均形状不良係数HDを測定し、各々のコイルの長手方向全長における平均値を求めた。また、コイル幅方向両端部から300 mm幅で圧延方向の長さ1 m の鋼板を多数切り出し、これを100 枚積層して800 ℃で3 時間の歪取り焼鈍を施した後の占積率を測定した。これらの測定値を表4に示す。更に、コイル幅方向両端部域(両端部30mm幅)のマクロエッチング後の結晶組織を幅方向中央部域100 mm幅の結晶組織と比較して表4に併記する。
表4から明らかなように、この発明の方向性電磁鋼板を用いた場合、磁気特性やコイル幅方向端部の形状に優れ、かつ、コイル端部域の鋼板の占積率についても良好な値が得られる。
【0059】
【表4】
【0060】
(実施例2)
C:0.04wt%、Si:3.05wt%、Mn:0.06wt%、S:0.016 wt%、Cu:0.15wt%、Mo:0.010 wt%及びSb:0.015 wt%を含み、残部は鉄及び不可避的不純物からなる重量20t の鋼スラブ5 本を、1400℃に加熱した後、常法により2.4 mm厚の熱延鋼板とした。次いで、900 ℃、30秒の熱延板焼鈍後、酸洗し、冷間圧延により0.74mm厚の中間板厚とした後、1000℃で50秒間の中間焼鈍を施した。更に、冷間圧延によって0.27mmの最終板厚とした後、脱脂処理を施し、850 ℃で2 分間の脱炭焼鈍を施した後、MgO を主成分とする焼鈍分離剤を10g/m2塗布した。この後、1 つのコイルはこのまま4 kgf/mm2 の張力でコイル状に巻き取った(従来例)。他の4 コイルはコイル幅方向端部の片側に、それぞれ幅方向に10mm、20mm、30mm及び40mmの領域で第1リン酸アンモニウムを2 g/m2塗布し、4 kgf/mm2 の張力でコイル状に巻き取った(発明例)。
【0061】
これらのコイルは第1リン酸アンモニウムを2 g/m2塗布した端部側をベースプレートと接触する下端側に設置し、最終仕上げ焼鈍としてN2中で850 ℃まで30℃/hの昇温速度で昇温し、ついで100 %H2の雰囲気中にて25℃/hの昇温速度で1200℃まで昇温し、更にH2中で5 時間保持した後、降温した。
その後、これらのコイルは未反応の焼鈍分離剤を除去した後、60%のコロイダルシリカを含有する張力コーティングを塗布し、0.7 kgf/mm2 の張力を付加しつつ平坦化焼鈍を兼ねて800 ℃で1 分間焼き付け、プラズマジェットで磁区細分化処理を施し製品とした。
【0062】
これらの製品の磁気特性とベースプレートと接する側のコイルの幅方向端部域の平均形状不良係数HDを測定し、各々のコイルの長手方向全長における平均値を求めた。また、ベースプレートと接する側のコイル幅方向両端部から300 mm幅で圧延方向の長さ1 m の鋼板を多数切り出し、これを100 枚積層して800 ℃で3 時間の歪取り焼鈍を施した後の占積率を測定した。これらの測定値を表5に示す。更に、ベースプレートと接する側のコイル幅方向両端部域(両端部30mm幅)のマクロエッチング後の結晶組織を幅方向中央部域100 mm幅の結晶組織と比較して表5に併記する。コイル幅方向中央部においては細粒組織の面積比率は3 %以下であったが、端部域においてはコイル端部から細粒組織が発達していた。そこで、粒径2 mm以下の結晶粒の面積比率が15%となるコイル端部から幅方向での距離L15(両端部域の平均値)を各製品について求め表5に併記した。各製品のL15と端部形状不良係数との関係を図6に示す。
表5及び図6から明らかなように、この発明の方向性電磁鋼板を用いた場合、磁気特性やコイル幅方向端部の形状に優れ、かつ、コイル端部域の鋼板の占積率についても良好な値が得られる。
【0063】
【表5】
【0064】
(実施例3)
C:0.08wt%、Si:3.37wt%、Mn:0.07wt%、Al:0.02wt%、S:0.015 wt%、Sn:0.15wt%、N:0.008 wt%を含み、残部は鉄及び不可避的不純物からなる重量20t の鋼スラブ3 本を、1400℃に加熱した後、常法により2.2 mm厚の熱延鋼板とした。次いで、1200℃、30秒の熱延板焼鈍後、酸洗し、200 ℃での鋼板温度での温間圧延により0.26mmの最終板厚とした。次いで、脱脂処理後、磁区細分化処理として、幅:50μm 、深さ:25μm の線状の溝をコイル幅方向から15度の角度で、コイル長手方向の繰り返しピッチ:4 mmで設けた後、850 ℃で2 分間の脱炭焼鈍を施し、更に、5 %のアンモニアを含有するN2雰囲気中で800 ℃で窒化処理を行い、鋼中窒素含有量を更に100 〜150 ppm 増加させた。また、脱炭焼鈍後の平均一次結晶粒径は、いずれも16〜17μm の範囲内であった。
後、5 %のTiO2と2 %のSrSO4 を添加したMgO を焼鈍分離剤として12g/m2塗布したが、このとき、各々のコイルを均等に二分割し、一方は2 kgf/mm2 でコイル状に巻き取り、もう一方は6 kgf/mm2 でコイル状に巻き取った。このときの一次再結晶粒の平均粒径を測定したところ、コイル幅方向中央部でいずれのコイルも8 〜9 μm の範囲内であった。
【0065】
次いで、1 本のコイルは7 %のTiO2を添加したMgO を焼鈍分離剤として14g/012 、コイル幅方向に均一に塗布し2 kgf/mm2 の張力でコイル状に巻き取った(従来例)。更に1 本のコイルは、コイル幅方向端部域50mmの幅には5 %のFeN と7 %のTiO2を添加したMgO を、残りの領域には7 %のTiO2を添加したMgO を、焼鈍分離剤としてそれぞれ14g/m2塗布し、2 kgf/mm2 の張力でコイル状に巻き取った(発明例1)。また、残り1 本のコイルは、コイル幅方向端部域50mmの幅には10%のFeN と7 %のTiO2を添加したMgO を、残りの領域には7 %のTiO2を添加したMgO を、焼鈍分離剤としてそれぞれ14g/m2塗布し、2 kgf/mm2 の張力でコイル状に巻き取った(発明例2)。
【0066】
これらのコイルは、最終仕上げ焼鈍として、N2中で850 ℃まで30℃/hの昇温速度で昇温し、850 ℃で25時間保持した後、25%のN2と75%のH2の混合雰囲気中で15℃/hの昇温速度で1200℃まで昇温し、更にH2中で5 時間保持した後、降温した。
その後、これらのコイルは未反応の焼鈍分離剤を除去した後、50%のコロイダルシリカを含有する張力コーティングを塗布し、1.5 kgf/mm2 の張力を付加しつつ平坦化焼鈍を兼ねて800 ℃で1 分間焼き付け、製品とした。
【0067】
これらの製品の磁気特性とコイルの幅方向端部域の平均形状不良係数HDを測定し、各々のコイルの長手方向全長における平均値を求めた。また、コイル幅方向両端部から300 mm幅で圧延方向の長さ1 m の鋼板を多数切り出し、これを100 枚積層して800 ℃で3 時間の歪取り焼鈍を施した後の占積率を測定した。これらの測定値を表6に示す。更に、コイル幅方向両端部域(両端部30mm幅)のマクロエッチング後の結晶組織を幅方向中央部域100 mm幅の結晶組織と比較して表6に併記する。
表6から明らかなように、この発明の方向性電磁鋼板を用いた場合、磁気特性やコイル幅方向端部の形状に優れ、かつ、コイル端部域の鋼板の占積率についても良好な値が得られる。
【0068】
【表6】
【0069】
(実施例4)
C:0.05wt%、Si:3.17wt%、Mn:0.07wt%、Al:0.02wt%、Sb:0.025 wt%を含み、残部は鉄及び不可避的不純物からなる重量20t の鋼スラブ5 本を、1160℃に加熱した後、常法により2.4 mm厚の熱延鋼板とした。次いで、900 ℃、30秒の熱延板焼鈍後、酸洗し、150 ℃の鋼板温度での温間圧延により0.34mmの最終板厚とした。次いで、脱脂処理後、820 ℃で2 分間の脱炭焼鈍を施した。このときの平均一次結晶粒径は14〜21μm の範囲内であった。
次いでこれらのコイルは1 本はそのまま2 %の酸化錫を添加した焼鈍分離剤を塗布し5 kgf/mm2 の張力でコイル状に巻き取り(従来例)、他の4 コイルはコイル幅方向両端部域50mmの幅の領域にロール圧下によりそれぞれ1.0 %、2.5 %、4.3 %、5.7 %の変形を加え、焼鈍分離剤として抑制力強化のため、酸化錫の含有量を5 %まで増加させた焼鈍分離剤を両端部域に塗布し、5.0 kgf/mm2 の張力でコイルに巻き取った(発明例)。
【0070】
これらのコイルは最終仕上げ焼鈍としてN2中で850 ℃まで30℃/hの昇温速度で昇温し、次いで20%のN2と80%のH2の混合雰囲気中で25℃/hの昇温速度で1200℃まで昇温し、更にH2中で5 時間保持した後、降温した。
その後、これらのコイルは未反応の焼鈍分離剤を除去した後、60%のコロイダルシリカを含有する張力コーティングを塗布し、1.5 kgf/mm2 の張力を付加しつつ平坦化焼鈍を兼ねて800 ℃で1 分間焼き付け、製品とした。
【0071】
これらの製品の磁気特性とコイルの幅方向端部域の平均形状不良係数HDを測定し、各々のコイルの長手方向全長における平均値を求めた。また、コイル幅方向両端部から300 mm幅で圧延方向の長さ1 m の鋼板を多数切り出し、これを100 枚積層して800 ℃で3 時間の歪取り焼鈍を施した後の占積率を測定した。これらの測定値を表7に示す。更に、コイル幅方向両端部域(両端部30mm幅)のマクロエッチング後の結晶組織を幅方向中央部域100 mm幅の結晶組織と比較して表7に併記する。
表7から明らかなように、この発明の方向性電磁鋼板を用いた場合、磁気特性やコイル幅方向端部の形状に優れ、かつ、コイル端部域の鋼板の占積率についても良好な値が得られる。
【0072】
【表7】
【0073】
【発明の効果】
かくして、この発明によれば、方向性電磁鋼板の製品コイルの持つ優れた磁気特性を損なうことなく、最終仕上げ焼鈍後の鋼板コイル状態におけるコイル幅方向端部の形状及びこれによるコイル端部域の歪取り焼鈍後の良好な占積率をえることができ、形状不良の部分がしばしば製品に混入して占積率の低下を招いたり不均一による変圧器などの加工工程での大きなトラブルの原因になるといった問題が解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】最終仕上げ焼鈍時のコイル内中央部と上端部の位置の差異による温度差の経時変化を示す図である。
【図2】最終仕上げ焼鈍後のコイルもしくは製品コイルの幅方向端部における形状不良とその評価指標である波高H並びに形状不良の幅端部からの距離Dの説明図である。
【図3】高温荷重引張試験の測定結果により脱炭焼鈍板の平均結晶粒径の差が高温変形の強度差に及ぼす影響を示す図である。
【図4】引張高温変形速度の結晶粒径による変化を示す図である。
【図5】鋼板a及びcのマクロ組織における粒径2 mm以下の結晶粒の面積比率を、コイル幅方向端部からの距離との関係で示す図である。
【図6】粒径2 mm以下の結晶粒の面積比率が15%となるコイル端部から幅方向までの距離L15と端部形状不良係数との関係を示す図である。
Claims (3)
- Si:1.5 〜7.0 wt%、Mn:0.03〜2.5 wt%を含有し、残部は Fe および不純物の組成になる方向性電磁鋼板において、コイル幅方向端部から幅方向に一定距離を選び定めた端部からの領域にて、粒径(但し、粒径は、面積が等価な円の相当径で示す)が2mm以下の結晶粒の該領域に占める面積比率が15%となるその一定距離Lが、両端部もしくは一方の端部から30mm以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板。
- Si:1.5 〜7.0 wt%、Mn:0.03〜2.5 wt%を含有し、残部は Fe および不純物の組成になる方向性電磁鋼板において、コイル幅方向で両端部もしくは一方の端部から30mmの距離までの領域にて、粒径(但し、粒径は、面積が等価な円の相当径で示す)が2mmを超える結晶粒の面内方位ずれ角(但し、面内方位ずれ角とは、 [001] 方位の鋼板面内における (110)[001] からのずれ角を示す)の平均値αe が、コイル幅方向中央部100 mm幅の領域での粒径(但し、粒径は、面積が等価な円の相当径で示す)が2mmを超える結晶粒の面内方位ずれ角(但し、面内方位ずれ角とは、 [001] 方位の鋼板面内における (110)[001] からのずれ角を示す)の平均値αc よりも3〜20度大きいことを特徴とする方向性電磁鋼板。
- Si:1.5 〜7.0 wt%、Mn:0.03〜2.5 wt%を含有し、残部は Fe および不純物の組成になる方向性電磁鋼板において、コイル幅方向で両端部もしくは一方の端部から30mmの距離までの領域にて、粒径(但し、粒径は、面積が等価な円の相当径で示す)が2mmを超える結晶粒の平均粒径が、4mm以上でかつコイル幅方向中央部100 mm幅の領域での粒径(但し、粒径は、面積が等価な円の相当径で示す)が2mmを超える結晶粒の平均粒径よりも3mm以上小さいか3mm以上大きいことを特徴とする低鉄損方向性電磁鋼板。
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