JP3733911B2 - 汚泥処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水処理汚泥などの有機性汚泥を処理する方法に関し、特に高分子凝集剤を用いて有機性汚泥を凝集処理し、凝集した有機性汚泥を脱水する汚泥処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機性汚泥を処理する方法としては、次のような方法がある。
(1)汚泥に鉄塩、消石灰などの無機凝集剤を添加し、凝集した汚泥を脱水装置を用いて脱水する。
(2)汚泥に高分子凝集剤を添加し、凝集した汚泥を脱水装置を用いて脱水する。
(3)汚泥を熱処理(例えば汚泥を140〜160℃程度の温度で数十分〜数時間処理する)した後、脱水装置を用いて脱水する(例えば特開平3−8497号公報を参照)。
(4)汚泥をオゾン、超音波、レーザなどで処理した後、脱水装置を用いて脱水する(例えば特開昭51−98145号公報、特開平4−331000号公報、特開平8−57475号公報を参照)。
また、(3)または(4)の方法を、(1)または(2)の方法と組み合わせた処理方法もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年では、下水処理やし尿処理などからの生物処理汚泥等の有機性汚泥が、有機物含有量の増加や腐敗などにより、難脱水化する傾向がある。
また、廃棄物発生量が増大する傾向にある一方で、処分場を確保することが困難となっており、汚泥脱水物(脱水ケーキ)の減容化が望まれている。
しかしながら、従来の処理方法では、汚泥の脱水性を十分に向上させるのが困難であったり、新たな設備が必要となるため設備コストがかさみ、また運転コストの点で不利になるという問題があった。
このため、コスト低減が可能であり、しかも汚泥の脱水性を改善して脱水ケーキの含水率を低減することができる技術が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、低コストで実施でき、しかも汚泥の脱水性を高めることができる汚泥処理方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の汚泥処理方法は、有機性汚泥に高分子凝集剤を添加して凝集処理する汚泥凝集工程と、凝集した有機性汚泥を脱水する汚泥脱水工程とを有する汚泥処理方法において、有機性汚泥に金属塩を添加する金属塩添加工程と、有機性汚泥に過硫酸塩を添加して汚泥を改質する汚泥改質工程とを有し、汚泥改質工程を、汚泥凝集工程の後に行うことを特徴とする。
本発明の汚泥処理方法では、汚泥改質工程に先だって、凝集汚泥を濃縮する汚泥濃縮工程を行うことができる。
金属塩添加工程においては、金属塩として鉄(III)塩を用いるのが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の汚泥処理方法の第1の実施形態を実施可能な汚泥処理装置を示す概略構成図である。
図1において、符号1は、有機性汚泥を貯留する汚泥貯留槽であり、符号2は、汚泥に金属塩を添加する金属塩添加槽であり、符号3は、汚泥に高分子凝集剤を添加し凝集処理する凝集処理槽であり、符号4は、汚泥に過硫酸塩を添加して汚泥を改質する汚泥改質槽であり、符号5は、汚泥を脱水する脱水機(脱水手段)である。
符号6は、金属塩添加槽2に金属塩を供給する金属塩供給部であり、符号7は、凝集処理槽3に高分子凝集剤を供給する凝集剤供給部であり、符号8は、汚泥改質槽4に過硫酸塩を供給する過硫酸塩供給部である。
金属塩供給部6、凝集剤供給部7、過硫酸塩供給部8は、それぞれ金属塩、高分子凝集剤、過硫酸塩を水溶液の状態で供給することができるように構成するのが好ましい。
【0006】
図2は、脱水機5の一例を示すもので、ここに示す脱水機5は、ベルトプレス型脱水機である。
この図において、符号10は、汚泥を供給する汚泥供給部であり、符号11、12は、汚泥供給部10からの汚泥を固液分離する第1および第2の濾布であり、符号13は、濾布11、12間の汚泥を圧搾する圧搾ローラであり、符号14は第1濾布11上で汚泥を重力濃縮する重力濃縮部であり、符号15は圧搾ローラ13よって濾布11、12間の汚泥を圧搾脱水する圧搾脱水部である。
なお、脱水機5としては、遠心脱水機、真空脱水機、スクリュープレス型脱水機、フィルタプレス型脱水機などを用いることもできる。
【0007】
次に、図1および図2に示す汚泥処理装置を用いた場合を例として、本発明の汚泥処理方法の第1の実施形態を説明する。
本発明の処理対象となる有機性汚泥としては、下水の最初沈殿池汚泥、し尿、下水等の三次処理で発生する汚泥、各種産業廃水の汚泥、し尿の嫌気性消化汚泥、し尿の好気性消化汚泥、し尿浄化槽汚泥、し尿消化脱離液、下水、各種産業廃水の活性汚泥処理における余剰汚泥を挙げることができる。
【0008】
(1)金属塩添加工程
有機性汚泥を、汚泥貯留槽1に一時貯留した後、金属塩添加槽2に導入し、金属塩供給部6を用いて、金属塩を添加する。
金属塩としては、鉄塩、アルミニウム塩を用いることができる。特に鉄塩は、酸化還元反応の還元剤として作用するため、汚泥改質効果を高めることができる。
鉄塩としては、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄などが使用可能である。
なかでも特に、鉄(III)塩は、酸化還元反応(レドックス反応)の還元剤として作用するとともに、汚泥の荷電中和作用も高く、好適に使用することができる。
鉄(III)塩が酸化還元反応の還元剤として作用するのは、汚泥中が還元性環境であるため、鉄(III)イオンが鉄(II)イオンに還元されるためであると考えられる。
アルミニウム塩としては、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどが使用可能である。
金属塩の添加量は、汚泥の性状や濃度に応じて適宜設定されるが、100〜10000mg/lとするのが好ましい。
金属塩の添加によって、有機性汚泥は荷電中和されることなどにより凝集する。
【0009】
(2)汚泥凝集工程
金属塩を添加した汚泥を凝集処理槽3に導入し、凝集剤供給部7を用いて、高分子凝集剤を添加する。
高分子凝集剤としては、汚泥の脱水処理に使用できるものであれば特に制限はなく、カチオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤、両性高分子凝集剤のうち1種または2種以上を用いることができる。
なかでも特に、両性高分子凝集剤を用いると、凝集汚泥どうしを効率的に架橋することができることから、強固なフロックを得ることができるため好ましい。
【0010】
カチオン系高分子凝集剤としては、アミノアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体;アミノアルキル(メタ)アクリレートとアクリルアミドまたは他のモノマーとの共重合体;ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物;ポリアクリルアミドのホフマン分解物;ポリアミドポリアミン;ポリビニルイミダゾリン;ポリエチレンイミン;ポリジアルキルジアリルアンモニウム塩から選ばれる1種以上を用いることができる。
【0011】
アニオン系高分子凝集剤としては、ポリアクリル酸またはその塩;ポリアクリルアミドの部分加水分解物;アクリル酸またはその塩と、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−エチルプロパンスルホン酸またはその塩との共重合体;アクリル酸またはその塩と、アクリルアミドと、ビニルスルホン酸またはその塩との三元共重合体から選ばれる1種以上を用いることができる。
ノニオン系有機高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド等を用いることができる。
【0012】
両性高分子凝集剤としては、アニオン性のモノマー成分およびカチオン性のモノマー成分の共重合体;アニオン性のモノマー成分、カチオン性のモノマー成分およびノニオン性のモノマー成分の共重合体;アニオン性のモノマー成分とノニオン性のモノマー成分の共重合体のマンニッヒ変性物またはホフマン分解物などを挙げることができる。
アニオン性のモノマー成分としては、例えばアクリル酸(AA)、アクリル酸ナトリウム(NaA)、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。
カチオン性のモノマー成分としては、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート(DAM)、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、およびそれらの四級化物などを挙げることができる。
【0013】
高分子凝集剤の添加量は、汚泥の性状や濃度に応じて適宜設定されるが、1〜1000mg/lとするのが好ましい。
高分子凝集剤の添加によって、汚泥は架橋、荷電中和されることなどによりさらに凝集し、粗大な凝集物が得られる。
【0014】
(3)汚泥改質工程
高分子凝集剤により凝集した汚泥を汚泥改質槽4に導入し、過硫酸塩供給部8を用いて、過硫酸塩を添加する。
過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム((NH4)2S2O8)、過硫酸ナトリウム(Na2S2O8)、過硫酸カリウム(K2S2O8)のうち1種または2種以上を用いるのが好ましい。
過硫酸塩を添加する際の温度条件は、常温(5〜40℃)とすることができる。
過硫酸塩の添加量は、汚泥の性状や濃度に応じて適宜設定されるが、金属塩に対し、モル基準の倍率で0.1〜100モル倍とするのが好ましい。
過硫酸塩の添加によって、凝集汚泥は改質され、脱水性が良好な状態となる。
【0015】
汚泥の脱水性が良好となるのは、過硫酸塩によって汚泥中の粘質物が変質するためであると考えられる。
この粘質物の変質は、金属塩添加工程で添加される金属塩の存在下において、過硫酸塩が粘質物に特異的に作用するために起こると考えられる。
特に、金属塩として鉄塩を用いた場合には、優れた汚泥改質効果が得られる。鉄塩を用いた場合に優れた汚泥改質効果が得られる理由は、次の通りであると推測される。
汚泥中に鉄(II)イオンが存在すると、鉄(II)イオン(Fe2+)と過硫酸イオン(S2O8 2-)とが関与する酸化還元反応(レドックス反応)によりラジカルが発生し、このラジカルが汚泥中の粘質物を分解する。
これによって、汚泥が脱水性に優れた状態となると考えられる。
なお、上述したとおり、鉄(III)塩を汚泥に添加した場合でも、汚泥中が還元性環境であるため、鉄(III)塩の少なくとも一部は還元され、汚泥中に鉄(II)イオンが生成すると考えられる。
【0016】
(4)汚泥濃縮工程
図2に示すように、過硫酸塩を添加した汚泥を脱水機5の汚泥供給部10を通して第1濾布11上に供給する。
濾布11上に供給された汚泥は、重力濃縮部14において、濾布11により図中矢印方向に搬送される過程で、汚泥中の水分が濾布11を透過する。これによって汚泥は水分が除去され、濃縮される。
【0017】
(5)汚泥脱水工程
次いで、汚泥は、第1濾布11と第2濾布12との間に挟み込まれた状態で圧搾脱水部15を通過し、その過程で圧搾ローラ13により圧搾され、脱水される。
脱水された汚泥は、排出部16に至り、ここで脱水ケーキ17として排出される。
【0018】
本実施形態の汚泥処理方法では、汚泥に金属塩を添加する金属塩添加工程と、汚泥に高分子凝集剤を添加して凝集させる汚泥凝集工程と、過硫酸塩の添加により汚泥を改質する汚泥改質工程と、汚泥を脱水する汚泥脱水工程とを有するので、凝集した汚泥を過硫酸塩により改質し、脱水性が良好な状態とすることができる。
汚泥の脱水性が良好となるのは、金属塩の存在下で、過硫酸塩が汚泥中の粘質物に特異的に作用し、この粘質物を変質させるためであると考えられる。
従って、汚泥脱水工程において、含水率が低く、剥離性にも優れた脱水ケーキ17を得ることができる。
また、加熱処理を行うことなく低含水率の脱水ケーキ17が得られるため、加熱のための設備コストや運転コストを削減することができる。
【0019】
また、汚泥改質工程を、汚泥凝集工程の後に行うので、高分子凝集剤の添加を行った(汚泥凝集工程)後に、過硫酸塩の添加を行う(汚泥改質工程)ことになる。このため、過硫酸塩により高分子凝集剤が劣化するのを最小限に抑えることができる。
従って、凝集汚泥のフロックの強度が低下するのを防ぎ、汚泥処理量を維持したまま脱水ケーキの含水率を低下させることができる。
【0020】
なお、本発明では、汚泥濃縮工程を省いてもよい。
【0021】
次に、本発明の汚泥処理方法の第2の実施形態を説明する。
図3は、本実施形態の汚泥処理方法を実施可能な処理装置を示すもので、この処理装置は、汚泥改質槽4を備えていない点、過硫酸塩供給部8からの過硫酸塩を、ベルトプレス型脱水機5の重力濃縮部14に添加することができるようにされている点で、図1に示す処理装置と異なる。
【0022】
本実施形態の汚泥処理方法では、上記第1の実施形態の処理方法と同様の(1)金属塩添加工程と(2)汚泥凝集工程とを行った後、次に示す汚泥濃縮工程、汚泥改質工程および汚泥脱水工程を行う。
【0023】
(3)汚泥濃縮工程
図2に示すように、凝集処理槽3を経た汚泥を、脱水機5の第1濾布11上に供給し、重力濃縮部14において重力濃縮を行う。
【0024】
(4)汚泥改質工程
図2に示すように、破線で示す供給経路18を通して、第1濾布11上で重力濃縮された汚泥Sに過硫酸塩を添加する。
【0025】
(5)汚泥脱水工程
汚泥を圧搾脱水部15に供給し、圧搾ローラ13により圧搾脱水し、脱水ケーキ17を得る。
【0026】
この処理方法では、脱水機5の重力濃縮部14において汚泥を濃縮する汚泥濃縮工程を、汚泥改質工程に先だって行うので、濃縮された汚泥に対し過硫酸塩を作用させることができる。このため、少量の過硫酸塩で十分な汚泥改質が可能である。
従って、過硫酸塩使用量を削減し、薬剤コスト低減を図ることができる。
【0027】
また、濃縮された汚泥に過硫酸塩を供給した後、この汚泥をそのまま圧搾脱水部15(汚泥脱水工程)に供給することができる。
このため、過硫酸塩を添加した汚泥に過大な力を加えることなく、脱水を行うことができる。
従って、汚泥中の高分子凝集剤が過硫酸塩によって劣化した場合でも、脱水前にフロックが破壊されるのを防ぎ、汚泥処理量および回収率が低下するのを防ぐことができる。
【0028】
本発明の汚泥処理方法では、特開平7−256298号公報等に記載された造粒濃縮法を採用することも可能である。
図4は、この造粒濃縮法を採用した汚泥処理方法を実施可能な処理装置を示すもので、この処理装置は、凝集処理槽3と汚泥改質槽4との間に、造粒濃縮槽9が設けられている点、凝集剤供給部7からの高分子凝集剤を造粒濃縮槽9に添加することができるようにされている点において、図1に示す処理装置と異なる。
【0029】
本実施形態の汚泥処理方法では、上記第1の実施形態の処理方法と同様の(1)金属塩添加工程と(2)汚泥凝集工程とを行った後、次に示す汚泥濃縮工程、汚泥改質工程および汚泥脱水工程を行う。
(3)汚泥濃縮工程
凝集処理槽3を経た汚泥を、造粒濃縮槽9に導入するとともに、供給経路19を通して高分子凝集剤を造粒濃縮槽9に添加する。
高分子凝集剤を添加した汚泥を攪拌機20を用いて撹拌し、この汚泥を造粒させることにより濃縮する。
【0030】
(4)汚泥改質工程
濃縮された汚泥を、汚泥改質槽4に導入するとともに、過硫酸塩供給部8から過硫酸塩を添加する。
【0031】
(5)汚泥脱水工程
過硫酸塩を添加した濃縮汚泥を、脱水機5に導入し、脱水を行う。
【0032】
この処理方法では、造粒濃縮槽9において汚泥を造粒濃縮する汚泥濃縮工程を、汚泥改質工程に先だって行うので、過硫酸塩が添加される汚泥のフロック強度を高めることができる。
従って、汚泥中の高分子凝集剤が過硫酸塩によって劣化した場合でも、フロックが破壊されるのを防ぎ、汚泥の処理量および回収率が低下するのを防ぐことができる。
また、第2実施形態の処理方法と同様、過硫酸塩使用量を削減し、薬剤コスト低減を図ることができる。
【0033】
なお、造粒濃縮法を採用した汚泥処理方法でも、汚泥改質工程を、金属塩添加工程に先だって行うことが可能である。
【0034】
【実施例】
(参考例1〜3)
表1に示す汚泥を用いて、以下の試験を行った。
汚泥200mlをビーカ(250ml容量)に入れ、これに過硫酸塩(酸化剤)を添加し、この汚泥を、攪拌機を用いて回転数750rpmで15秒間撹拌した(汚泥改質工程)。
汚泥に鉄塩を添加し、この汚泥を、攪拌機を用いて回転数750rpmで15秒間撹拌した(金属塩添加工程)。
両性高分子凝集剤(栗田工業(株):クリベストP355)を汚泥に添加し、この汚泥を、攪拌機を用いて回転数180rpmで30秒間撹拌した(汚泥凝集工程)。
ナイロン製の濾布を敷いたブフナーロート内に、硬質塩化ビニル製の円筒(内径50mm)を置き、その中へ上記汚泥を投入して濾過した(汚泥濃縮工程)。
濾布上に堆積した汚泥の一定量を2枚の濾布ではさみ、98kPaの圧力で1分間圧搾して脱水ケーキを得た(汚泥脱水工程)。
この脱水ケーキの含水率、剥離性、ケーキ収量を評価した。
剥離性は、圧搾処理後の脱水ケーキを濾布からはがし取り、はがし取った脱水ケーキの乾燥重量A(mg)と、濾布上に残った脱水ケーキの乾燥重量B(mg)とから(1)式により算出した。
剥離性=[A/(A+B)]×100(%)・・・(1)
また、ケーキ収量は、圧搾処理後の濾布上に広がった脱水ケーキの面積C(cm2)を測定し、(2)式により算出した。
ケーキ収量=(A+B)/C(mg/cm2)・・・(2)
試験結果を表2に示す。
【0035】
(比較例1)
過硫酸塩を添加しないこと以外は、参考例1と同様の試験を行った。試験結果を表2に併せて示す。
【0036】
(比較例2)
過硫酸塩に代えて、H2O2(酸化剤)を添加すること以外は、参考例1と同様の試験を行った。試験結果を表2に併せて示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
表2より、過硫酸塩を添加する参考例では、過硫酸塩を添加しない比較例に比べ、含水率および剥離性の点で優れた脱水ケーキが得られたことがわかる。
【0040】
(実施例1、2)
参考例1で用いたものと同じ汚泥を用いて、以下の試験を行った。
汚泥200mlをビーカ(250ml容量)に入れ、これに鉄塩を添加し、この汚泥を攪拌機を用いて回転数750rpmで15秒間撹拌した(金属塩添加工程)。
両性高分子凝集剤(栗田工業(株):クリベストP355)を汚泥に添加し、この汚泥を攪拌機を用いて回転数180rpmで30秒間撹拌した(汚泥凝集工程)。
ナイロン製の濾布を敷いたブフナーロート内に、硬質塩化ビニル製の円筒(内径50mm)を置き、その中へ上記汚泥を投入し、20秒間の重力濾過を行った(汚泥濃縮工程)。
濾布上に堆積した汚泥に、過硫酸塩(酸化剤)を添加した(汚泥改質工程)。
汚泥改質工程終了後の汚泥を、98kPaの圧力で1分間圧搾して脱水ケーキを得た(汚泥脱水工程)。
この脱水ケーキの含水率および剥離性、ケーキ収量を評価した。試験結果を表3に示す。
【0041】
(比較例3、4)
過硫酸塩に代えて、塩化第二鉄またはH2O2(酸化剤)を添加すること以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験結果を表3に併せて示す。
【0042】
【表3】
【0043】
表3より、過硫酸塩を添加する実施例では、過硫酸塩を添加しない比較例に比べ、含水率および剥離性の点で優れた脱水ケーキが得られたことがわかる。
また、実施例1、2では、汚泥改質工程を汚泥凝集工程の後に行うため、特に汚泥の回収率の目安となる剥離性と、汚泥処理量の目安となるケーキ収量の点で優れた脱水ケーキ17を得ることができたことがわかる。
【0044】
(参考例4)
参考例1で用いたものと同じ汚泥を用いて、以下の試験を行った。
汚泥200mlをビーカ(250ml容量)に入れ、これに鉄塩を添加し、この汚泥を、攪拌機を用いて回転数750rpmで15秒間撹拌した(金属塩添加工程)。
この汚泥に過硫酸アンモニウム(酸化剤)を添加し、この汚泥を攪拌機を用いて回転数750rpmで15秒間撹拌した(汚泥改質工程)。
両性高分子凝集剤(栗田工業(株):クリベストP355)を汚泥に添加し、この汚泥を攪拌機を用いて回転数180rpmで30秒間撹拌した(汚泥凝集工程)。
ナイロン製の濾布を敷いたブフナーロート内に、硬質塩化ビニル製の円筒(内径50mm)を置き、その中へ上記汚泥を投入して濾過した(汚泥濃縮工程)。
濾布上に堆積した汚泥の一定量を2枚の濾布ではさみ、98kPaの圧力で1分間圧搾して脱水ケーキを得た(汚泥脱水工程)。
この脱水ケーキの含水率、剥離性、ケーキ収量を評価した。試験結果を表4に示す。
【0045】
(比較例5)
過硫酸塩に代えて、H2O2(酸化剤)を添加すること以外は、参考例4と同様の試験を行った。試験結果を表4に併せて示す。
【0046】
【表4】
【0047】
表4より、過硫酸塩を添加する参考例では、過硫酸塩を添加しない比較例に比べ、含水率および剥離性の点で優れた脱水ケーキが得られたことがわかる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の汚泥処理方法は、有機性汚泥に高分子凝集剤を添加して凝集処理する汚泥凝集工程と、凝集汚泥を脱水する汚泥脱水工程と、汚泥に金属塩を添加する金属塩添加工程と、汚泥に過硫酸塩を添加して汚泥を改質する汚泥改質工程とを有するので、凝集した汚泥を過硫酸塩により改質し、脱水性が良好な状態とすることができる。
汚泥の脱水性が良好となるのは、金属塩の存在下で、過硫酸塩が汚泥中の粘質物に特異的に作用し、この粘質物を変質させるためであると考えられる。
従って、汚泥脱水工程において、含水率が低く、剥離性にも優れた脱水ケーキを得ることができる。
また、加熱処理を行うことなく低含水率の脱水ケーキが得られるため、加熱のための設備コストや運転コストを削減することができる。
【0049】
また、汚泥改質工程を、汚泥凝集工程の後に行うことによって、過硫酸塩により高分子凝集剤が劣化するのを最小限に抑えることができ、凝集汚泥のフロックの強度が低下するのを防ぎ、汚泥処理量(ケーキ収量)や回収率(剥離性)が低下するのを防止することができる。
【0050】
また、汚泥改質工程に先だって、凝集汚泥を濃縮する汚泥濃縮工程を行うことによって、濃縮された汚泥に対し過硫酸塩を作用させることができる。このため、少量の過硫酸塩で十分な汚泥改質が可能である。
従って、過硫酸塩使用量を削減し、薬剤コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の汚泥処理方法の第1の実施形態を実施可能な処理装置を示す概略構成図である。
【図2】 図1に示す処理装置に使用可能なベルトプレス型脱水機を示す概略構成図である。
【図3】 本発明の汚泥処理方法の第2の実施形態を実施可能な処理装置を示す概略構成図である。
【図4】 本発明の汚泥処理方法の第3の実施形態を実施可能な処理装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
2・・・金属塩添加槽、3・・・凝集処理槽、4・・・汚泥改質槽、5・・・脱水機、6・・・金属塩供給部、7・・・凝集剤供給部、8・・・過硫酸塩供給部、9・・・造粒濃縮槽、14・・・重力濃縮部、15・・・圧搾脱水部
Claims (3)
- 有機性汚泥に高分子凝集剤を添加して凝集処理する汚泥凝集工程と、凝集した有機性汚泥を脱水する汚泥脱水工程とを有する汚泥処理方法において、
有機性汚泥に金属塩を添加する金属塩添加工程と、有機性汚泥に過硫酸塩を添加して汚泥を改質する汚泥改質工程とを有し、
汚泥改質工程を、汚泥凝集工程の後に行うことを特徴とする汚泥処理方法。 - 汚泥改質工程に先だって、凝集汚泥を濃縮する汚泥濃縮工程を行うことを特徴とする請求項1記載の汚泥処理方法。
- 金属塩添加工程において、金属塩として鉄(III)塩を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥処理方法。
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CN107446961A (zh) * | 2017-09-08 | 2017-12-08 | 太原理工大学 | 一种硫酸盐还原菌为介导强化污泥碳源转化的方法 |
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