JP3733210B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置の製造方法および液晶表示装置に関し、詳しくは、1対のガラス基板を互いに接着するためのシール材のシール幅を確認することが可能な確認マークを形成して液晶表示装置を製造する液晶表示装置の製造方法、およびその確認マークが形成されている液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、シール材の位置決め用マークを形成する液晶表示装置の製造方法として、特開平6−186515号公報に記載された方法が従来から知られている。この液晶表示装置の製造方法では、シール材を印刷する工程の前に、ガラス基板におけるシール材を印刷すべきシール位置の少なくとも一部に位置決めマークを形成し、次いで、その位置決めマークを基準としてシール材印刷用マスクの位置合わせを行った後に、シール材を印刷している。この場合、シール材印刷工程では、一般的に、位置合わせしたシール材印刷用マスク上にシール材を盛った後に、ヘら状のスキージーを用いてシール材を所定圧力で擦り付けることにより、シール材を所定厚でガラス基板に印刷する。次いで、シール材を印刷したガラス基板と他のガラス基板とを互いに密着させ、その状態で紫外線を照射してシール材を硬化させることにより両ガラス基板を互いに接着する。この後、液晶充填口を介して両基板間における空間部の空気を抜いて真空状態にし、この状態を維持しつつ空間部に液晶を充填する。次いで、両ガラス基板を所定の大きさに切断することにより、液晶表示装置が完成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の液晶表示装置の製造方法には、以下の問題点がある。
【0004】
すなわち、従来の液晶表示装置の製造方法において用いられている位置決めマークは、シール材を印刷すべきシール幅の一方の端部を位置決めする基準として機能するだけであって、シール材を均一のシール幅に印刷するために機能するものではない。つまり、シール材印刷後における実際のシール幅は、シール材の粘度やスキージーの圧力などによって左右される。したがって、たとえ、位置決めマークが形成されていたとしても、シール材の粘度が高い場合やスキージーの圧力が低い場合には、マスクを介してシール材が適正量よりも少な目にガラス基板に印刷され、シール材の粘度が低い場合やスキージーの圧力が高い場合には、シール材が適正量よりも多めにガラス基板に印刷される。さらに、両ガラス基板を接着した状態におけるシール幅についても、一般的には、印刷時のシール幅よりも2〜3倍程度に拡がるが、この拡がりの程度もシール材の粘度によって左右される。
【0005】
この場合、シール材が少な目に印刷されると、シール切れが生じることがある。かかる状態になると、液晶が漏れたり、空気抜きを十分に行うことができないために、所定量の液晶を充填することができないという事態を生じる。また、シール材が少な目の状態では、ガラス基板の空間部と外気との遮蔽性が低下するため、外気中の水分が液晶に侵入することによる表示品質の低下を招いたり、ガラス基板間の接着強度が低下することによるガラス基板の剥がれを招いたりする。
【0006】
一方、シール材が多めに印刷されることによりガラス基板の切断部位までシール材が拡がった場合には、ガラス基板を切断しにくくなる結果、切断作業に長時間を要したり、ばりが出て高精度で切断することができなかったりするという事態を生じる。また、例えば、ガラス基板の表示枠として黒色の見切りを設ける場合には、赤外線を照射してもシール材が硬化しないことがあり、かかる場合には、液晶内にシール材が漏れ込むことに起因して表示品質の低下を招くことがある。
【0007】
このため、従来の液晶表示装置の製造方法では、たとえ、シール材の位置決めマークが形成されていたとしても、これで十分ではなく、これに加えて、シール材の粘度の管理や、スキージー圧力の制御などを十分に行うことによってガラス基板に印刷するシール材の印刷量を調整しているのが現状である。したがって、従来の液晶表示装置の製造方法には、シール材の粘度やスキージー圧力の管理が不十分の場合には、適正量のシール材を印刷することができない結果、液晶表示装置の歩留まりを低下させてしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決すべくなされたものであり、液晶表示装置の製造過程におけるシール材の塗布量を適正量に管理することが可能な液晶表示装置の製造方法および液晶表示装置を提供することを主目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置は、一対の基板がシール材によって互いに接着されてなり、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板に、前記シール材を塗布後にシール幅を確認する塗布後シール幅マークを配置してなることを特徴とする。
【0019】
本発明の液晶表示装置は、前記シール材と重なる位置に、前記塗布後シール幅マークを配置してなることを特徴とする。
【0020】
本発明の液晶表示装置は、前記基板の角部に前記塗布後シール幅マークを形成することが好ましい。
【0021】
本発明の液晶表示装置は、少なくとも2カ所に前記塗布後シール幅マークを形成してもよい。
【0022】
本発明の液晶表示装置は、一対の基板がシール材によって互いに接着されてなり、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板に、前記シール材を塗布後にシール幅を確認する塗布後シール幅マークを配置してなることを特徴とする。また、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板に、前記一対の基板を接着後に前記シール材のシール幅を確認する接着後シール幅確認マークを配置してなることを特徴とする。
【0023】
本発明の液晶表示装置は、一対の基板がシール材によって互いに接着されてなり、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板に、前記一対の基板を接着後に前記シール材のシール幅を確認する接着後シール幅確認マークを配置してなることを特徴とする。
【0024】
本発明の液晶表示装置は、前記接着後シール幅マークは互いに離間するよう対向して配置された一対のパターンであり、前記シール材は前記一対の前記パターン間に位置としてなることを特徴とする。
【0025】
本発明の液晶表示装置は、前記基板の角部に前記接着後シール幅マークを形成することが好ましい。
【0026】
本発明の液晶表示装置は、少なくとも2カ所に前記接着後シール幅マークを形成してもよい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る液晶表示装置の製造方法および液晶表示装置の好適な実施の形態について説明する。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置1は、MIM(Metal Insulator Metal )が形成された透明なガラス基板2と、カラーフィルタが形成されたガラス基板31(図6(a)参照)とをシール材5を介して互いに接着することによって形成されている。ガラス基板2の四隅には、シール材5を塗布する際の塗布幅を確認するためのカギ状のマーク(本発明における塗布後シール幅確認マークに相当する)3,3・・と、両ガラス基板2,31を接着した後のシール材5のシール幅を確認するための長方形状のマーク(本発明における接着後シール幅確認マークに相当する)4,4・・とが、例えばタンタルなどの遮光性材料を用いてそれぞれ形成されている。なお、同図では、両ガラス基板2,31の接着後におけるシール材5のシール幅を破線で示しており、シール材5は、特に限定されないが、エポキシ系樹脂が用いられる。また、シール材5は、ガラス基板2の周囲に沿って塗布されているが、同図の左側において塗布されていない部分は、液晶を充填する際の液晶充填口6として機能する。
【0029】
この液晶表示装置1では、シール材5の塗布位置に対応する切欠孔が形成されているマスクを介してシール材5を塗布することにより、シール材5の粘度やスキージーの圧力の管理が正常時においては、図2に示すように、シール材5がマーク3と同一直線上に塗布される。この場合、マーク3は、予め規定したシール材5のシール幅の中心位置にシール幅と同一幅で形成されているため、シール材5塗布後において、シール材5のシール幅がマーク3のマーク幅と同一幅で、かつ同一直線上に塗布されているか否かを透視によって容易に確認することができる。また、両基板2,31を互いに接着した後においては、シール材5のシール幅がマーク4,4の離間長と同一のシール幅で、かつ両マーク4,4の互いに対向する側の長辺をそれぞれ延長した線分間に塗布されているかを、同じく透視によって容易に確認することができる。
【0030】
なお、マーク3,4の形状や位置については、図1に示した例に限定されず、種々の形状等に形成することができる。例えば、マーク3,4を破線で形成してもよいし、図3に示すように、マーク3,4に代えて、1/4円弧状のマーク7,8,8をガラス基板2の角部にそれぞれ形成してもよい。なお、マーク7がマーク3に相当し、マーク8がマーク4に相当する。このようにすべてのマーク7,8,8をガラス基板2の角部に形成した場合には、ガラス基板2に形成されたITO膜などの電極に接触するおそれがなく、電極を形成するためにガラス基板2の表面積を有効に利用することができる。
【0031】
さらに、接着後におけるシール材5のシール幅を確認するためのマークは、シール材5のシール幅を確認できるのもであればよく、図4(a)に示すように、目盛り状のマーク9,9・・で形成することもできる。この場合には、接着後におけるシール材5のシール幅を検査者の感に頼るのではなく、精度よく実測することができる。また、マーク9に代えて、同図(b)に示すように、短辺を極く短く形成した長方形状のマーク10,10・・を用いることもできる。この場合にも、シール幅を精度よく確認することができる。
【0032】
次に、この液晶表示装置1の製造工程について、図5,6を参照して説明する。
【0033】
最初に、図5を参照してガラス基板2の製造工程について説明する。まず、同図(a)に示すように、ガラス基板2の元となるガラス板21に例えばタンタル膜22を形成する。次いで、同図(b)に示すように、タンタル膜22上にレジスト23を塗布する。次に、フォトマスク24を介して同図(c)の矢印に示す方向から光を照射することにより、レジスト23をポジ型に感光させる。この後、ガラス基板2を現像することにより、同図(d)に示すように、フォトマスク24によって遮光された部分のレジスト25,25が取り残される。次いで、エッチングを行うことにより、同図(e)に示すように、取り残されたレジスト25,25の部分に対応するタンタル膜22を残して不要部分のタンタル膜22を除去する。次に、レジスト25,25を剥離することにより、MIMパターン26と、マーク3やマーク4に対応するパターン27とが形成されたガラス基板2が完成する。この場合、パターン27の材質がガラス基板2を形成するための材料であるため、なんら工程を増やすことがない。したがって、液晶表示装置1の製造コストを上げることなく、マーク3,4を形成することができる。
【0034】
次に、ガラス基板2,31を用いての液晶表示装置1の製造工程について、図6を参照して説明する。まず、同図(a)に示すように、MIMパターン26やマーク3,4が形成されたガラス基板2、およびカラーフィルタが形成されたガラス基板31に配向膜32を形成するためのコーティング処理を行う。次いで、同図(b)に示すように、ローラ33を用いて配向膜32を擦ることによりラビング処理を行う。次に、同図(c)に示すように、図外のスキージーおよびマスクなどを用いてシール材5を塗布する。シール材5の塗布工程が終了すると、シール材5のシール幅とマーク3のマーク幅とが一致するかを透視により確認する。この際に、シール幅が太すぎたり細すぎたりした場合には、シール材5を剥離した後にシール材5の塗布工程を再度行う。
【0035】
次に、同図(d)に示すように、プラスチックボールやガラスボールなどで形成されたスペーサ34を散布する。次いで、同図(e)に示すように、ガラス基板2とガラス基板31とを重ね合わせた後、同図(f)に示すように、ガラス基板31の上方から加圧することにより、両ガラス基板2,31を接着する。この後、シール材5がマーク4,4の互いに対向する側の長辺をそれぞれ延長した線分間に塗布されているかを透視により確認する。この時点でシール材5が適正量で塗布されていない場合には、後の工程を行うことなく、ガラス基板2,31を再利用または廃棄する。これにより、後の工程に要する製造コストを削減することができる。
【0036】
次に、同図(g)に示すように、液晶充填口6を介して液晶35を充填した後、同図(h)に示すように、封止材36によって液晶充填口6を封止する。次いで、同図(i)に示すように、加熱することにより、液晶36の向きを均一化するための等方性処理を行う。この後、同図(j)に示すように、所定の大きさに切断することにより、液晶表示装置1が完成する。
【0037】
このように、この実施形態に係る液晶表示装置1によれば、シール材5を塗布した後のシール幅をマーク3を用いて確認し、両ガラス基板2,31の接着後におけるシール材5のシール幅をマーク4,4を用いて確認することにより、シール材5が適正量で塗布されたか否かを容易に確認することができる。これにより、液晶表示装置1の完成を待つまでもなく、シール材5が適正量で塗布されていないと確認できた時点で中間品の液晶表示装置1を再利用または廃棄することにより、その後の工程に要する製造コストを削減することができる。また、これにより、液晶表示装置1の製造工程における歩留まりを実質的に向上させることができる。
【0038】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されない。例えば、マーク3,4は上記した実施形態以外にも、シール材5のシール幅を矢印で示してもよく、種々の形状で形成することができる。また、マーク3,4の形成位置についても、ガラス基板2の四隅以外の部位に形成することもできる。さらに、マーク3,4を5カ所以上にそれぞれ形成することもできる。かかる場合には、シール材5のシール幅をより精度よく確認することができる。また、マーク3,4の材質も本実施形態に示した材質に限定されず、種々の材質を用いることができる。ただし、他の工程内においてマーク3,4の塗布工程を同時に行うことができるのが好ましく、このためには、ガラス基板2,31に用いられている材料によって形成する必要がある。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る液晶表示装置の製造方法および液晶表示装置によれば、塗布後シール幅確認マークを用いることにより、塗布されたシール材の塗布量を容易に確認することができる。これにより、液晶表示装置の歩留まりを向上させることができると共に、その確認結果をシール材塗布工程にフィードバックすることによってスキージーの圧力などを適切に管理することができる。
【0040】
また、接着後シール幅確認マークを用いることにより、1対のガラス基板を接着した後のシール幅を容易に確認することができる。これにより、例えば、その確認結果をシール材の粘度管理にフィードバックすることによってシール材の粘度を一定に維持することができる。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置におけるガラス基板の外観図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置におけるガラス基板の一部を拡大した拡大図である。
【図3】他の実施の形態に係るガラス基板の一部拡大図である。
【図4】(a),(b)は、それぞれ他の実施の形態に係るガラス基板の一部拡大図である。
【図5】ガラス基板の製造工程を示す工程図である。
【図6】液晶表示装置の製造工程を示す工程図である。
【符号の説明】
1 液晶表示装置
2 ガラス基板
3,4,7,8,9,10 マーク
5 シール材
31 ガラス基板
Claims (3)
- 一対の基板がシール材によって互いに接着されてなる液晶表示装置において、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板は、前記一対の基板を接着する前の前記シール材の幅を確認する塗布後シール幅確認マークと、接着後のシール幅を確認する接着後シール幅確認マークと、を有することを特徴とする液晶表示装置。
- 請求項1において、
前記一方の基板の角部に前記塗布後シール幅確認マーク及び、前記接着後シール幅確認マークが配置されてなることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項1又は請求項2において、
少なくとも2カ所に前記塗布後シール幅確認マーク及び、前記接着後シール幅確認マークが配置されてなることを特徴とする液晶表示装置。
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