JP3732073B2 - 半導体用電極およびその製造方法 - Google Patents
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- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体用電極およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体用電極としては、半導体との接触抵抗が低い銀を含んだ導電性ペーストを塗布し、乾燥して形成したものが一般的に用いられている。しかしながら、銀を導電材として単独で用いた銀電極を、光によって起電力を生じる半導体用の電極として用いた場合、太陽光の照射により徐々に崩壊する問題があり、耐光性および寿命信頼性に難点があった。これは、水分の存在下で光によって起電力を生じる半導体に光を照射すると電極中の銀がイオン化して電気泳動する現象、いわゆるマイグレーションにより、銀電極中の銀が半導体中に入り込むことに起因する。
また、従来から用いられている銀電極はエポキシ樹脂やフェノール樹脂をバインダーとして用いたものが主流であるが、これらの樹脂は可撓性に劣り、さらにヒートサイクルなどで大きく劣化する問題があった。
【0003】
特開昭59−167056号公報には、炭素、フェノール樹脂、銀を含む導電性ペーストから形成する第一層と、金属から形成する第二層とを積層したシリコン半導体用の電極が開示されているが、その電極を備えたシリコン半導体を用いた光起電力素子では満足な変換効率が得られなかった。この問題は、電極材として銀およびフェノール樹脂を用いているので、電極の寿命信頼性、耐ヒートサイクル性、および可撓性などが劣ることに起因する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決し、半導体との接触抵抗が低く、かつ長寿命で高信頼性の半導体用電極を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体用電極は、少なくとも銀(Ag)粉末、インジウム(In)粉末およびセルロースアセテートブチレート系樹脂(CAB系樹脂)を含むことを特徴とするものである。さらに、Ag粉末とIn粉末との含有量の比は重量比でAg粉末/In粉末=1〜4であることが好ましい。
これにより、半導体との接触抵抗が低く、かつ長寿命で高信頼性が高い半導体用電極を得ることができる。
【0006】
また、本発明の半導体用電極の製造方法は、少なくともAg粉末、In粉末およびCAB系樹脂を含む導電性ペーストを半導体素子に塗布する工程と、前記塗布した導電性ペーストをInの融点より高い温度に加熱して乾燥する工程を有することを特徴とするものである。
これにより、導電性ペーストの塗布層に均一に分散したInが電極と半導体との接合部分に拡散しで合金化し易くなり、電極と半導体との電気的接触および物理的な密着性を向上させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体用電極に含まれる主導電材はAg粉末とIn粉末である。InはAgのようなマイグレーションを起こさないので耐光性安定化剤として働く。従って、In粉末と高導電性のAg粉末とを混合して導電材として用いることにより、耐光性と導電性を兼ね備えた半導体用電極を形成することができる。本発明の半導体用電極中には、Ag粉末およびIn粉末以外の他の導電材として、例えばニッケル、鉄、コバルト、金、白金、銅、カーボンなどの粉末を含有させてもよい。
【0008】
また、上記本発明の半導体用電極に含まれるCAB系樹脂はバインダーとして機能する樹脂材料である。前記のように、従来から用いられてきたフェノール樹脂は硬く、可撓性がないため、電極が接続された半導体に大きなストレスがかかり、さらに耐ヒートサイクル性が弱い問題点があった。一方、CAB系樹脂は分子の構造が網目構造であるためフィルム状に形成しやすく、また可撓性があるため半導体にストレスがかかり難い。さらにCAB系樹脂は耐ヒートサイクル性にも優れた樹脂なので、これを用いることにより上記従来のバインダーの問題点を全て解決することができる。
上記CAB系樹脂としては、セルロースアセテートブチレート樹脂を始め、セルロースアセテートブチレートの側鎖がメチル基、フッ素原子、窒素原子などで置換された各種の樹脂を用いることができる。
【0009】
また、本発明の半導体用電極の製造方法は、少なくともAg粉末、In粉末およびCAB系樹脂を含む導電性ペーストを半導体に塗布し、この塗布膜をInの融点より高い温度に加熱して、乾燥する方法である。
上記の導電性ペーストは、例えば、少なくともAg粉末およびIn粉末を含む導電材を均一に混合し、これをCAB系樹脂を溶媒に溶解させた溶液に加えて三本ロール、らいかい機、ポットミル、ニーダーなどにより混合することにより、調製することができる。
【0010】
上記の溶媒としては、例えば▲1▼エチレングリコールアルキルエーテルやその酢酸エステルのようなセロソルブ系溶剤、▲2▼アルキレン部分が置換されていてもよいジエチレングリコールモノアルキルエーテルやその酢酸エステルのようなカルビトール系溶剤、▲3▼セロソルブ系溶剤やカルビトール系溶剤のエチレン部分を他のアルキレンで置換された、例えばジプロピレングリコールモノアルキルエーテルなど、▲4▼テルピネオールのようなテルペンアルコール、▲5▼コハク酸ジメチルのような二塩基性酸、および▲6▼酢酸ベンジルなどを用いることができる。上記の中のアルキルは、メチル、エチル、プロピル、あるいはブチルであることが好ましく、特にブチルであることが好ましい。
【0011】
上記導電性ペーストを半導体表面に塗布する方法は、スクリーン印刷法、ホトリソグラフィー、オフセット印刷、筆やヘラによる塗り付け、およびスプレーなどによる吹き付け法などを採ることができる。導電性ペーストの塗布層を乾燥する方法としては、ホットプレートや循環型乾燥機あるいは温風乾燥などにより加熱する方法を採ることができる。
【0012】
本発明は広く各種IC素子や電子機器に用いられている半導体の電極に適用することができる。例えば、太陽電池用半導体としてはアモルファスシリコン、ポリシリコンなどのシリコン系半導体、CdS、CdTe、GaAsなどに代表される各種化合物半導体があり、これらの半導体用の電極として本発明を効果的に用いることができる。例えば、本発明を太陽電池に適用する場合には、n型半導体膜あるいはp型半導体膜に電気的に接続される各種の電極に適用することができる。具体的には、同一透光性基板上に形成された複数のセル間を電気的に接続するための電極、或いは、単数または複数のセルから構成されるサブモジュールの+側電極や−側電極として本発明の電極を用いることができる。
【0013】
本発明の半導体用電極は、半導体に直接に接続された電極以外にも、例えば、CdS/CdTe系太陽電池のCdTe膜上に形成されたカーボン膜上に設けられた電極のように、間接的に半導体と電気的接続される電極としても用いることができる。
【0014】
【実施例】
本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
【0015】
《実施例1》
本発明による半導体用電極を用いたCdS/CdTe系太陽電池を作製した。その概略断面を図1に示す。
まず、透明ガラス基板1(820×714mm、厚さ1.2mmのホウ珪酸ガラス板)上に、酸化錫からなる透明導電膜2(伝導率;10Ω/cm2、光透過率;98%)を形成した。次いで、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウム錯体を熱分解させることにより、透明導電膜2上に厚さ800オングストロームのCdS膜3を形成した。さらに、このCdS膜3と透明導電膜2とをYAGレーザーにより同時にパターニングしてセル単位の膜に分割した。次いで、パターニングされたCdS膜3上および透明ガラス基板1の露出部上に、近接昇華法により厚さ3000オングストロームのCdTe膜4を形成した。このCdTe膜4をサンドブラスト法によりパターニングして130のセル単位の膜に分割した。
【0016】
分割された各CdTe膜4上にカーボンペーストを塗布した後、150℃で加熱して硬化させ、さらに、窒素雰囲気中で400℃で10分間の焼成を行ってカーボン膜5を形成した。次いで、導電性ペーストをカーボン膜5と隣接するセルのCdS膜3にかけてスクリーン印刷により塗布し、これをInの融点(156.6℃)より高い温度の200℃で1時間加熱して乾燥させ、本発明によるAgIn電極6を形成した。このようにして130セルが直列に接続された太陽電池サブモジュールを作製した。この際、これらの各セルはAgIn電極6aにより直列に接続されている。また、両端のカーボン膜5上に形成されたAgIn電極6bおよび6cはそれぞれ前記サブモジュールの+側電極および−側電極として機能する。
【0017】
上記の導電性ペーストは下記のようにして調製した。まず、粒径5〜100μm(平均粒径:約20μm)のAgフレーク粉末と粒径9〜100μm(平均粒径:約22μm)のIn粉末を重量比で2:1の割合で混合した導電材と、セルロースアセテートブチレート樹脂(CAB樹脂)とを79:21の重量比で混合した。これに溶剤としてブチルカルビトールを加え、ポットミルで攪拌し均一組成になるまで混合して粘度40Pa・sの導電性ペーストを調製した。
【0018】
上記のようにしてCdS/CdTe系太陽電池のサブモジュールを10個作製した。
これらの各太陽電池サブモジュールについて、ソーラーシミュレーターによってAM1.5、100mW/cm2の条件下で変換効率を測定して評価した。
まず、各太陽電池サブモジュールの初期の変換効率を測定した結果、10.2〜10.6%であり、平均値は10.4%であった。これらの太陽電池サブモジュールのうちの5個をヒートサイクル試験に供した。ヒートサイクル試験は、高温(90±2℃)と低温(−40±3℃)の環境下にそれぞれ15分間ずつ曝す繰り返しを200サイクル連続させることにより行った。ヒートサイクル試験後の太陽電池サブモジュールの変換効率を測定した結果、ヒートサイクル試験による変換効率の劣化率は、初期の変換効率値の0.5%以下に止まることが判明した。
【0019】
ヒートサイクル試験前後の太陽電池サブモジュールは、いずれも外観の変化は殆どなく、電極の密着性を評価するための剥離試験結果も良好であった。剥離試験は電極表面にセロハンテープを貼付け、充分に密着させた後、セロハンテープを一気に剥がし、剥がれ具合を観察することにより行った。
また、他の5個の太陽電池については温湿度サイクル試験を行った。温湿度サイクル試験による変換効率の劣化率は0.6%以下であった。外観の変化は殆ど無く、剥離試験結果も良好であった。尚、温湿度サイクル試験は、温度85±2℃、湿度85±5%で30分間、温度−40±3℃で1時間の環境下に曝す繰り返しを10サイクル連続させることにより行った。
【0020】
《比較例1》
Agフレーク粉末のみを導電材として用いた以外は実施例1と同様に調製した導電性ペーストを用いて、実施例1のAgIn電極の代わりにAg電極を形成した。それ以外は実施例1と同様にして10個の太陽電池サブモジュールを作製した。これら太陽電池サブモジュールの初期の変換効率を実施例1と同様の方法で測定した。その結果、5.8〜7.6%と実施例1よりも著しく低い変換効率を示し、しかも大きなバラツキを示した。
【0021】
《比較例2》
CAB樹脂に代わり、ウレタン樹脂(ブロック型ポリイソシアネート)を用いた以外は実施例1と同様に導電性ペーストを調製した。この導電性ペーストを用いて、実施例1のAgIn電極の代わりに従来型の電極を形成した。それ以外は実施例1と同様にして10個の太陽電池サブモジュールを作製した。これらの各太陽電池サブモジュールの初期の変換効率を実施例1と同様の方法で測定した。その結果、10.3〜10.6%の変換効率を示した。
【0022】
比較例2の太陽電池サブモジュールのうちの5個を実施例1と同様のヒートサイクル試験に供した。ヒートサイクル試験後の変換効率の劣化率は46〜100%と極めて大きな値を示した。また、ヒートサイクル試験後には、目視でAgIn電極の色変化や剥離が観測されたものもあり、剥離試験では、全数が容易に剥離した。
また、他の太陽電池サブモジュール5個を実施例1と同様の温湿度サイクル試験に供した。温湿度サイクル試験試験後の変換効率の劣化率は63〜100%という極めて大きな値を示した。目視によりAgIn電極の色変化が見られ、剥離試験では、AgIn電極中の樹脂が破壊されて脆くなっているために容易に剥離するものや、AgIn電極が半導体と一緒に剥がれるものもあった。
【0023】
比較例2では本発明のCAB樹脂に代わり、ウレタン樹脂樹脂を用いたが、エステル変性エポキシポリオールやノボラック型フェノール樹脂、シアノエステル樹脂などCAB系樹脂を含まないものを用いた場合にも、比較例2の場合と同様にヒートサイクルおよび温湿度サイクル試験後に変換効率の大きな劣化、および電極の著しい剥離や色変化が観測された。
【0024】
また、実施例1ではAg粉末とIn粉末との含有量の比を重量比で、1:2としたが、Ag粉末/In粉末=1〜4の重量比の範囲内では、実施例1と同様の効果が得られることが実験により確認されている。
さらに、導電性ペーストの乾燥温度は実施例1では200℃としたが、Inの融点より高い温度以上で、CAB樹脂が焼失しない程度の温度以下であれば同様の結果を得ることができた。
【0025】
【発明の効果】
本発明により、半導体との密着性と電気的導通性に優れ、可撓性に富み、さらには長寿命で信頼性が高い半導体用電極を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の半導体用電極を用いた太陽電池の断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 透明導電膜
3 CdS膜
4 CdTe膜
5 カーボン膜
6 AgIn電極
6a AgIn電極(セル間接続用電極)
6b AgIn電極(+側電極)
6c AgIn電極(−側電極)
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体用電極およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体用電極としては、半導体との接触抵抗が低い銀を含んだ導電性ペーストを塗布し、乾燥して形成したものが一般的に用いられている。しかしながら、銀を導電材として単独で用いた銀電極を、光によって起電力を生じる半導体用の電極として用いた場合、太陽光の照射により徐々に崩壊する問題があり、耐光性および寿命信頼性に難点があった。これは、水分の存在下で光によって起電力を生じる半導体に光を照射すると電極中の銀がイオン化して電気泳動する現象、いわゆるマイグレーションにより、銀電極中の銀が半導体中に入り込むことに起因する。
また、従来から用いられている銀電極はエポキシ樹脂やフェノール樹脂をバインダーとして用いたものが主流であるが、これらの樹脂は可撓性に劣り、さらにヒートサイクルなどで大きく劣化する問題があった。
【0003】
特開昭59−167056号公報には、炭素、フェノール樹脂、銀を含む導電性ペーストから形成する第一層と、金属から形成する第二層とを積層したシリコン半導体用の電極が開示されているが、その電極を備えたシリコン半導体を用いた光起電力素子では満足な変換効率が得られなかった。この問題は、電極材として銀およびフェノール樹脂を用いているので、電極の寿命信頼性、耐ヒートサイクル性、および可撓性などが劣ることに起因する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決し、半導体との接触抵抗が低く、かつ長寿命で高信頼性の半導体用電極を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体用電極は、少なくとも銀(Ag)粉末、インジウム(In)粉末およびセルロースアセテートブチレート系樹脂(CAB系樹脂)を含むことを特徴とするものである。さらに、Ag粉末とIn粉末との含有量の比は重量比でAg粉末/In粉末=1〜4であることが好ましい。
これにより、半導体との接触抵抗が低く、かつ長寿命で高信頼性が高い半導体用電極を得ることができる。
【0006】
また、本発明の半導体用電極の製造方法は、少なくともAg粉末、In粉末およびCAB系樹脂を含む導電性ペーストを半導体素子に塗布する工程と、前記塗布した導電性ペーストをInの融点より高い温度に加熱して乾燥する工程を有することを特徴とするものである。
これにより、導電性ペーストの塗布層に均一に分散したInが電極と半導体との接合部分に拡散しで合金化し易くなり、電極と半導体との電気的接触および物理的な密着性を向上させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体用電極に含まれる主導電材はAg粉末とIn粉末である。InはAgのようなマイグレーションを起こさないので耐光性安定化剤として働く。従って、In粉末と高導電性のAg粉末とを混合して導電材として用いることにより、耐光性と導電性を兼ね備えた半導体用電極を形成することができる。本発明の半導体用電極中には、Ag粉末およびIn粉末以外の他の導電材として、例えばニッケル、鉄、コバルト、金、白金、銅、カーボンなどの粉末を含有させてもよい。
【0008】
また、上記本発明の半導体用電極に含まれるCAB系樹脂はバインダーとして機能する樹脂材料である。前記のように、従来から用いられてきたフェノール樹脂は硬く、可撓性がないため、電極が接続された半導体に大きなストレスがかかり、さらに耐ヒートサイクル性が弱い問題点があった。一方、CAB系樹脂は分子の構造が網目構造であるためフィルム状に形成しやすく、また可撓性があるため半導体にストレスがかかり難い。さらにCAB系樹脂は耐ヒートサイクル性にも優れた樹脂なので、これを用いることにより上記従来のバインダーの問題点を全て解決することができる。
上記CAB系樹脂としては、セルロースアセテートブチレート樹脂を始め、セルロースアセテートブチレートの側鎖がメチル基、フッ素原子、窒素原子などで置換された各種の樹脂を用いることができる。
【0009】
また、本発明の半導体用電極の製造方法は、少なくともAg粉末、In粉末およびCAB系樹脂を含む導電性ペーストを半導体に塗布し、この塗布膜をInの融点より高い温度に加熱して、乾燥する方法である。
上記の導電性ペーストは、例えば、少なくともAg粉末およびIn粉末を含む導電材を均一に混合し、これをCAB系樹脂を溶媒に溶解させた溶液に加えて三本ロール、らいかい機、ポットミル、ニーダーなどにより混合することにより、調製することができる。
【0010】
上記の溶媒としては、例えば▲1▼エチレングリコールアルキルエーテルやその酢酸エステルのようなセロソルブ系溶剤、▲2▼アルキレン部分が置換されていてもよいジエチレングリコールモノアルキルエーテルやその酢酸エステルのようなカルビトール系溶剤、▲3▼セロソルブ系溶剤やカルビトール系溶剤のエチレン部分を他のアルキレンで置換された、例えばジプロピレングリコールモノアルキルエーテルなど、▲4▼テルピネオールのようなテルペンアルコール、▲5▼コハク酸ジメチルのような二塩基性酸、および▲6▼酢酸ベンジルなどを用いることができる。上記の中のアルキルは、メチル、エチル、プロピル、あるいはブチルであることが好ましく、特にブチルであることが好ましい。
【0011】
上記導電性ペーストを半導体表面に塗布する方法は、スクリーン印刷法、ホトリソグラフィー、オフセット印刷、筆やヘラによる塗り付け、およびスプレーなどによる吹き付け法などを採ることができる。導電性ペーストの塗布層を乾燥する方法としては、ホットプレートや循環型乾燥機あるいは温風乾燥などにより加熱する方法を採ることができる。
【0012】
本発明は広く各種IC素子や電子機器に用いられている半導体の電極に適用することができる。例えば、太陽電池用半導体としてはアモルファスシリコン、ポリシリコンなどのシリコン系半導体、CdS、CdTe、GaAsなどに代表される各種化合物半導体があり、これらの半導体用の電極として本発明を効果的に用いることができる。例えば、本発明を太陽電池に適用する場合には、n型半導体膜あるいはp型半導体膜に電気的に接続される各種の電極に適用することができる。具体的には、同一透光性基板上に形成された複数のセル間を電気的に接続するための電極、或いは、単数または複数のセルから構成されるサブモジュールの+側電極や−側電極として本発明の電極を用いることができる。
【0013】
本発明の半導体用電極は、半導体に直接に接続された電極以外にも、例えば、CdS/CdTe系太陽電池のCdTe膜上に形成されたカーボン膜上に設けられた電極のように、間接的に半導体と電気的接続される電極としても用いることができる。
【0014】
【実施例】
本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
【0015】
《実施例1》
本発明による半導体用電極を用いたCdS/CdTe系太陽電池を作製した。その概略断面を図1に示す。
まず、透明ガラス基板1(820×714mm、厚さ1.2mmのホウ珪酸ガラス板)上に、酸化錫からなる透明導電膜2(伝導率;10Ω/cm2、光透過率;98%)を形成した。次いで、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウム錯体を熱分解させることにより、透明導電膜2上に厚さ800オングストロームのCdS膜3を形成した。さらに、このCdS膜3と透明導電膜2とをYAGレーザーにより同時にパターニングしてセル単位の膜に分割した。次いで、パターニングされたCdS膜3上および透明ガラス基板1の露出部上に、近接昇華法により厚さ3000オングストロームのCdTe膜4を形成した。このCdTe膜4をサンドブラスト法によりパターニングして130のセル単位の膜に分割した。
【0016】
分割された各CdTe膜4上にカーボンペーストを塗布した後、150℃で加熱して硬化させ、さらに、窒素雰囲気中で400℃で10分間の焼成を行ってカーボン膜5を形成した。次いで、導電性ペーストをカーボン膜5と隣接するセルのCdS膜3にかけてスクリーン印刷により塗布し、これをInの融点(156.6℃)より高い温度の200℃で1時間加熱して乾燥させ、本発明によるAgIn電極6を形成した。このようにして130セルが直列に接続された太陽電池サブモジュールを作製した。この際、これらの各セルはAgIn電極6aにより直列に接続されている。また、両端のカーボン膜5上に形成されたAgIn電極6bおよび6cはそれぞれ前記サブモジュールの+側電極および−側電極として機能する。
【0017】
上記の導電性ペーストは下記のようにして調製した。まず、粒径5〜100μm(平均粒径:約20μm)のAgフレーク粉末と粒径9〜100μm(平均粒径:約22μm)のIn粉末を重量比で2:1の割合で混合した導電材と、セルロースアセテートブチレート樹脂(CAB樹脂)とを79:21の重量比で混合した。これに溶剤としてブチルカルビトールを加え、ポットミルで攪拌し均一組成になるまで混合して粘度40Pa・sの導電性ペーストを調製した。
【0018】
上記のようにしてCdS/CdTe系太陽電池のサブモジュールを10個作製した。
これらの各太陽電池サブモジュールについて、ソーラーシミュレーターによってAM1.5、100mW/cm2の条件下で変換効率を測定して評価した。
まず、各太陽電池サブモジュールの初期の変換効率を測定した結果、10.2〜10.6%であり、平均値は10.4%であった。これらの太陽電池サブモジュールのうちの5個をヒートサイクル試験に供した。ヒートサイクル試験は、高温(90±2℃)と低温(−40±3℃)の環境下にそれぞれ15分間ずつ曝す繰り返しを200サイクル連続させることにより行った。ヒートサイクル試験後の太陽電池サブモジュールの変換効率を測定した結果、ヒートサイクル試験による変換効率の劣化率は、初期の変換効率値の0.5%以下に止まることが判明した。
【0019】
ヒートサイクル試験前後の太陽電池サブモジュールは、いずれも外観の変化は殆どなく、電極の密着性を評価するための剥離試験結果も良好であった。剥離試験は電極表面にセロハンテープを貼付け、充分に密着させた後、セロハンテープを一気に剥がし、剥がれ具合を観察することにより行った。
また、他の5個の太陽電池については温湿度サイクル試験を行った。温湿度サイクル試験による変換効率の劣化率は0.6%以下であった。外観の変化は殆ど無く、剥離試験結果も良好であった。尚、温湿度サイクル試験は、温度85±2℃、湿度85±5%で30分間、温度−40±3℃で1時間の環境下に曝す繰り返しを10サイクル連続させることにより行った。
【0020】
《比較例1》
Agフレーク粉末のみを導電材として用いた以外は実施例1と同様に調製した導電性ペーストを用いて、実施例1のAgIn電極の代わりにAg電極を形成した。それ以外は実施例1と同様にして10個の太陽電池サブモジュールを作製した。これら太陽電池サブモジュールの初期の変換効率を実施例1と同様の方法で測定した。その結果、5.8〜7.6%と実施例1よりも著しく低い変換効率を示し、しかも大きなバラツキを示した。
【0021】
《比較例2》
CAB樹脂に代わり、ウレタン樹脂(ブロック型ポリイソシアネート)を用いた以外は実施例1と同様に導電性ペーストを調製した。この導電性ペーストを用いて、実施例1のAgIn電極の代わりに従来型の電極を形成した。それ以外は実施例1と同様にして10個の太陽電池サブモジュールを作製した。これらの各太陽電池サブモジュールの初期の変換効率を実施例1と同様の方法で測定した。その結果、10.3〜10.6%の変換効率を示した。
【0022】
比較例2の太陽電池サブモジュールのうちの5個を実施例1と同様のヒートサイクル試験に供した。ヒートサイクル試験後の変換効率の劣化率は46〜100%と極めて大きな値を示した。また、ヒートサイクル試験後には、目視でAgIn電極の色変化や剥離が観測されたものもあり、剥離試験では、全数が容易に剥離した。
また、他の太陽電池サブモジュール5個を実施例1と同様の温湿度サイクル試験に供した。温湿度サイクル試験試験後の変換効率の劣化率は63〜100%という極めて大きな値を示した。目視によりAgIn電極の色変化が見られ、剥離試験では、AgIn電極中の樹脂が破壊されて脆くなっているために容易に剥離するものや、AgIn電極が半導体と一緒に剥がれるものもあった。
【0023】
比較例2では本発明のCAB樹脂に代わり、ウレタン樹脂樹脂を用いたが、エステル変性エポキシポリオールやノボラック型フェノール樹脂、シアノエステル樹脂などCAB系樹脂を含まないものを用いた場合にも、比較例2の場合と同様にヒートサイクルおよび温湿度サイクル試験後に変換効率の大きな劣化、および電極の著しい剥離や色変化が観測された。
【0024】
また、実施例1ではAg粉末とIn粉末との含有量の比を重量比で、1:2としたが、Ag粉末/In粉末=1〜4の重量比の範囲内では、実施例1と同様の効果が得られることが実験により確認されている。
さらに、導電性ペーストの乾燥温度は実施例1では200℃としたが、Inの融点より高い温度以上で、CAB樹脂が焼失しない程度の温度以下であれば同様の結果を得ることができた。
【0025】
【発明の効果】
本発明により、半導体との密着性と電気的導通性に優れ、可撓性に富み、さらには長寿命で信頼性が高い半導体用電極を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の半導体用電極を用いた太陽電池の断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 透明導電膜
3 CdS膜
4 CdTe膜
5 カーボン膜
6 AgIn電極
6a AgIn電極(セル間接続用電極)
6b AgIn電極(+側電極)
6c AgIn電極(−側電極)
Claims (3)
- 少なくとも銀粉末、インジウム粉末およびセルロースアセテートブチレート系樹脂を含むことを特徴とする半導体用電極。
- 銀粉末とインジウム粉末との含有量の比が重量比で銀粉/インジウム粉=1〜4であることを特徴とする請求項1に記載の半導体用電極。
- 少なくとも銀粉末、インジウム粉末およびセルロースアセテートブチレート系樹脂を含む導電性ペーストを半導体素子に塗布する工程と、前記塗布した導電性ペーストをインジウムの融点より高い温度に加熱して乾燥する工程を有することを特徴とする半導体用電極の製造方法。
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