JP3731837B2 - 車両用シートのスライドレール構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は後席近傍までロアレールを延設したワンボックス車用の座席(シート)の前後位置調節用スライドレール、詳しくは、前席を後席近傍まで後退させることにより前席の前のスペースを拡大し得る車両用シートのスライドレールに関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に示すように、セカンドシート(102)の後方に、サードシート(103)を有するワンボックス車は、セカンドシート(102)に全長が長いスライドレール(R)(R)を設けることにより、サードシート(103)の近傍までセカンドシート(102)を後退させることができる。これにより、セカンドシート(102)と、ドライバーシート(100)、アシスタントシート(101)との間に広いスペースが得られ、セカンドシート(102)の居住性を向上させることができる。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】
ところで、セカンドシート(102)は、スライドレール(R)の全長が長いため、前後位置の調節範囲が広くなる。そのため、後席側のサードシート(103)又は前席側のドライバーシート(100)に対して所定の間隔が生じるようにセカンドシート(102)の前後位置を調節するのが困難であった。特に、後方のサードシート(103)との間隔を調節する際には、後席の乗員の脚に接触しないように後方を視覚し乍ら、セカンドシート(102)の後方に移動しなければならない不具合があった。
【0004】
そこで、本発明は全長の長いスライドレール付のセカンドシートにおいて、前後位置を簡単に調節できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するための本発明は、車床側に固定した長尺状のロアレールと、このロアレールに摺動自在に嵌合しロアレールの任意位置にロックするロック装置を有するシート側のアッパーレールとからなり、前記アッパーレールの先端部にはアッパーレールの摺動を一旦停止する一旦停止機構が設け、該一旦停止機構は前記ロアレール内から外に突出してアッパーレールの先端部に挿通するリリースレバーと、このリリースレバーと一体に連結されロアレールに設けた停止孔に係合すると共に係合方向にばねによって付勢されロアレール内にアッパーレールと共に前進、後退するフックとからなることを特徴とする。
【0006】
従って、アッパーレールと一体のシートを所定の前後位置以上に移動させると、アッパーレール側のフックがロアレールの停止孔に係合する。これにより、シートの移動は前、後席に対して所定の前後位置で停止し、リリースレバーの操作によりフックが停止孔から離脱するため、更に前席又は後席方向にシートを前進又は後退させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るスライドレール構造を示し、図中(1)は左右一対のロアレールで、図4に示すように、従来と同様に全長が長い長尺状のものである。
【0008】
このロアレール(1)は車床側に上面が車床と略同一平面状になるように車床に設けた凹溝(不図示)内に埋設されている。
ロアレール(1)は底部(10)と左右側部(11)と上面部(12)(12)と各上面部(12)の先端に設けた折曲部(13)とから構成されている。即ち、スリット(イ)を上向きにした断面略筒状に形成されており、このロアレール(1)の底部(10)における幅方向中央には多数のロック孔(10B)…が間隔をあけて前後方向に開孔されている。
【0009】
ロアレール(1)内を前後方向に摺動自在に嵌合するアッパーレール(2)にはシート(不図示)が載置固定され、アッパーレール(2)はロアレール(1)内に配設される垂直部(2B)と垂直部(2B)と一体に形成した水平部(2A)とから構成され、垂直部(2B)の前後にはロアレール(1)内を転動するローラ(23)が設けてあり、また、垂直部(2B)の一部を切欠した個所にはロック装置を構成するロック片(22)が上下方向に摺動自在に設けてある。このロック片(22)の下端に有するロック爪(22B)が、前記ロック孔(10B)に挿入係止することにより、アッパーレール(2)はロアレール(1)にロックされる。
【0010】
図中(3)はアッパーレール(2)の先端部(前端又は後端)に設けてアッパーレール(2)の摺動を一旦停止させる一旦停止機構を示す。
【0011】
この一旦停止機構(3)はシートを前席又は後席との間に所定の間隔(例えば、移動するシートの乗員、又は後席の乗員の着座スペース)が生じるように、シートを前、後進させた際、そのシートが所定の前、後位置で停止するようにしたものである。
【0012】
図示する一旦停止機構(3)は図3に示すように、ロアレール(1)内に摺動自在に装着したスペーサ(33)と、ロアレール(1)内から外方に突出するリリースレバー(30)と、このリリースレバー(30)と一体でロアレール(1)に設けた停止孔(10A)(10A)に係合すると共に係合方向にばね(32)によって付勢されているフック(31B)付のストッパ(31)とから構成されている。
【0013】
前記スペーサ(33)は合成樹脂で中央にロアレール(1)のスリット(イ)内に嵌合する逆U字状の中央部(33B)と、その左右に一体に抜止部(33C)と、中央部(33B)の一端側に設けてリリースレバー(30)を挟持する挟持部(33A)(33A)とから構成されている。なお、このスペーサ(33)はリリースレバー(33)の動作を良好にするためのものであるから、必ずしも必要としない。
【0014】
リリースレバー(30)には下端に突起(30E)(30F)が設けてあり、この両突起(30E)(30F)をストッパ(31)に設けた通孔(31E)(31F)に挿通した状態で溶接されており、一端側に前記ばね(32)を挿通するための挿通孔(30C)、他端側に前記スペーサ(33)をスプリングピン(34)で取付けるための通孔(30D)が開孔されている。
【0015】
ストッパ(31)は左右両側にロアレール(1)の停止孔(10A)(10A)に係合するフック(31B)が設けてあり、図示するフック(31B)は前端縁がテーパに後端縁が垂直状に成形され、停止孔(10A)に係合状態で、アッパーレール(2)を前進させることによりフック(31B)が停止孔(10A)内より脱出し、またアッパーレール(2)を後進させようとしても、後端縁が停止孔(10A)の孔縁に突き当たり、後進できないようになっている。
【0016】
ばね(32)はアッパーレール(2)の摺動方向に沿って湾曲状に形成して、アッパーレール(2)の摺動方向における中央部が図2に示すようにロアレール(1)の上面部(12)の内面に弾接するように配設することにより、フック(31B)を下方に付勢している。図中(32A)(32A)はばね(32)の遊端で、この遊端(32A)(32A)はストッパ(31)の係止孔(31A)(31A)に掛止されている。
【0017】
前記フック(31B)が係合する停止孔(10A)(10A)は、図1に示すようにロアレール(1)の底部(10)における幅方向の左右に開孔されている。この停止孔(10A)(10A)はロアレール(1)の長手方向における前後に開孔され、前述の如く、シートの前進時、又は後進時にフック(31B)が係合するように構成されている。
図1において、図中(14)はロアレール(1)を車床側に締結する取付ブラケットを示す。
【0018】
以上のリリースレバー(30)はロアレール(1)より外部に突出する部分がクランク状に折曲され、この折曲した部分が図2に示すようにアッパーレール(2)の先端部に設けたガイドプレート(20)上に位置するようにガイドプレート(20)に設けたガイド孔(20A)に挿通されている。
【0019】
また、リリースレバー(30)の後端縁(30A)はアッパーレール(2)の先端面(21A)に対応するように配設されているため、アッパーレール(2)を前進させると、アッパーレール(2)の先端面(21A)によってリリースレバー(30)が前方に押動され、それに伴いスペーサ(33)、ストッパ(31)がロアレール(1)内を前進する。
【0020】
逆にアッパーレール(2)を後退させると、リリースレバー(30)の先端縁(30B)がガイド孔(20A)の孔縁に引掛かるため、リリースレバー(30)と共にスペーサ(33)、ストッパ(31)がアッパーレール(2)と共にロアレール(1)内を後退する。
【0021】
次に本構造の動作を図4に示すセカンドシート(102)に使用した場合について説明すると、セカンドシート(102)をドライバーシート(100)側である
前位置ににある場合、セカンドシート(102)をサードシート(103)方向である矢印方向にロック装置(22)(10B)を解除して後退させると、フック(31B)が図2に示すように、ロアレール(1)の停止孔(10A)に係合するため、それ以上の後退が規制され、セカンドシート(102)の後退は一旦停止する。これにより、セカンドシート(102)がサードシート(103)に対して所定位置に調節され、セカンドシート(102)が後席の乗員の脚に接触することがない。
【0022】
そして、サードシート(103)に乗員が着座していない場合において、セカンドシート(102)をサードシート(103)近傍まで後退させてセカンドシート(102)とドライバーシート(100)等との間に広いスペースを設ける場合には、リリースレバー(30)を図2の矢印方向に回動操作する。これにより、リリースレバー(30)と一体のストッパ(31)はばね(32)の弾力に抗して上方に移動するため、フック(31B)が停止孔(10A)から脱出する。そのため、セカンドシート(102)はロアレール(1)の後端部まで後退でき、サードシート(103)の近接位置に移動でき、セカンドシート(102)の前方に広いスペースが得られる。
【0023】
そして、この状態より、セカンドシート(102)を前進させると、セカンドシート(102)と共に一旦停止機構も前進し、フック(31B)がロアレール(1)の後部側の停止孔(10A)に係合するがフック(31B)の形状を図示するものの如く構成することにより、その停止孔(10A)からアッパーレール(2)の前進力により抜出して、ロアレール(1)の前部側に設けたドライバーシート(103)間のスペースを規制する停止孔に係合する。その際にロアレール(1)に対するアッパーレール(2)のロック装置のロック片(22)がロック孔(10B)に係合するため、ロック装置を解除しない限り前進は規制される。これにより、セカンドシート(102)とその前席であるドライバーシート(100)との間に一定のスペースが得られる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、長尺状のロアレールからなるスライドレールにおいて、そのロアレール側に停止孔、アッパーレール側に設けた一旦停止機構のフックが係合するため、アッパーレール側に設けたシートをそのシートの前席又は後席に対しての前後位置が所定位置に簡単に調節でき、その調節性が向上する。
【0025】
加えて、一旦停止機構はロアレール内に配設されているため、外部に突出せず、シートの外観品質を損なわれないし、構造が簡単で低原価で提供できる。
【0026】
更に、一旦停止機構はアッパーレールの先端部に設けているため、アッパーレールに対する取付性が良好で組付工数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る構造の部分切欠分解図である。
【図2】要部の断面図である。
【図3】一旦停止機構の分解斜視図である。
【図4】本発明を採用する車両用シートの説明図である。
【符号の説明】
1 ロアレール
2 アッパーレール
3 一旦停止機構
10A 停止孔
30 リリースレバー
31B フック
Claims (3)
- 車床側に固定した長尺状のロアレールと、このロアレールに摺動自在に嵌合しロアレールの任意位置にロックするロック装置を有するシート側のアッパーレールとからなり、前記アッパーレールの先端部にはアッパーレールの摺動を一旦停止する一旦停止機構が設け、該一旦停止機構は前記ロアレール内から外に突出してアッパーレールの先端部に挿通するリリースレバーと、このリリースレバーと一体に連結されロアレールに設けた停止孔に係合すると共に係合方向にばねによって付勢されロアレール内にアッパーレールと共に前進、後退するフックとからなる車両用シートのスライドレール構造。
- 前記ばねはアッパーレールの摺動方向に沿って湾曲状に形成されたワイヤクリップで、アッパーレールの摺動方向中央がロアレールの内壁面に弾接してフック及びリリースレバーを下方に付勢してなる請求項1の車両用シートのスライドレール構造。
- 前記リリースレバーはアッパーレールの先端に突設したガイド片のガイド孔に挿通され、アッパーレールと共に前後に摺動する請求項1の車両用シートのスライドレール構造。
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JP09018097A JP3731837B2 (ja) | 1997-03-25 | 1997-03-25 | 車両用シートのスライドレール構造 |
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