JP3731615B2 - 触媒担体の製造方法およびそれを用いた水素化分解触媒の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒担体の製造方法およびそれを用いた水素化分解触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
石油精製業界においては、重質油を水素化分解して、付加価値の高い中間留分を製造する触媒は数多く報告されている。このような触媒としては、高い分解活性を得るための高い固体酸性を示すゼオライト(結晶性アルミノシリケートゼオライト)とアルミナ含有担体に、活性金属成分を担持したゼオライト含有水素化分解触媒が使用されている。
【0003】
例えば、特公昭56−38527、USP4,894,142、USP4,401,556、USP4,517,073等には、ゼオライトを種々規定した多くの先行発明があるが、これらの先願発明はマトリックスであるアルミナの性状に関しては、ほとんど注意は払われていない。また、USP3,536,605は、マトリックスとして用いるシリカ−アルミナの組成比を、USP3,535,229はマトリックスの組成としてアルミナ−シリカ−(チタニアまたはジルコニア)を指定しているが、マトリックスの化学的性質については言及されていない。
【0004】
これらの先行発明においては、ゼオライト含有水素化分解触媒の主な分解活性部位がゼオライトであるために、水素化分解触媒担体に使用するゼオライトに関しては多くの研究がなされているものの、もう一つの水素化分解触媒担体の主成分であるアルミナ自体、あるいはゼオライトとアルミナの相互作用については、ほとんど研究されておらず、そこに工業的に有用なゼオライト含有水素化分解触媒を得るための研究余地が充分残っているのが実情である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、ゼオライトの持つ高い固体酸性を損なうことなく、優れた重質油の分解活性および脱硫活性を示すゼオライト含有水素化分解触媒の製造方法およびそれに使用する触媒担体の製造方法を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、マトリックスとして特定の性状を有するアルミナ水和物を使用した際に、ゼオライトの持つ高い固体酸性を損なうことなく優れた分解活性を示すことを見いだし本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
本発明の1つは、(a)ゼオライト、(b)アルミニウム−酸溶解指数が30以下のアルミナ水和物および必要に応じて(c)シリカ前駆体、チタニア前駆体およびジルコニア前駆体などの他の無機酸化物前駆体、とを混合した後、成形、乾燥、焼成することを特徴とする触媒担体の製造方法に関する。
【0008】
本発明の他の1つは前記製造方法により得られた触媒担体に、周期律表2B族、5A族、6A族および8族よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属を担持させることを特徴とする水素化分解触媒の製造方法に関する。
【0009】
一般にゼオライト含有水素化分解触媒は次に示す製法によって生産される。まずゼオライトを調製する。次にゼオライトとは別の工程によりアルミナ水和物を調製する。次いで調製されたゼオライトとアルミナ水和物とを混合し、成形可能な水分に調整し、成形し、乾燥し、焼成することにより担体を得る。この担体に水素化活性金属成分を含浸、乾燥、焼成してゼオライト含有水素化分解触媒を得る。
【0010】
本発明に使用できるゼオライトは、天然品あるいは合成品のいずれであってもよく、例えば、Y型ゼオライト、L型ゼオライト、β−ゼオライト、ω−ゼオライト、モルデナイト、ZSM−5などを用いることができる。また、ゼオライトに脱アルミニウム処理を施したものも用いることができ、特に、超安定性Y型ゼオライト(USY)は好適である。この脱アルミニウム処理には特に制限が無く、スチーミング処理、酸処理、キレート試薬による処理、四塩化珪素処理等、目的に応じた公知技術を用いることができる。また、合成段階あるいは後処理において、第3の金属成分をイオン交換または骨格置換などの処理を行うことによって得られる金属含有ゼオライトも使用できる。
【0011】
次に、前述のゼオライトは、アルミナ水和物と混合され、成形可能な濃度に水分調整され、成形、乾燥および焼成工程により触媒担体となる。
【0012】
本発明では、ゼオライトとアルミナ水和物との混合割合は固形物換算で10:90〜90:10(重量比)の間で好ましくは15:85〜70:30の間で選択できる。ゼオライトの含有量は、触媒としたときに要求される分解活性や原料油性状によって調節され、一般に要求される分解活性が高いほど、また原料油が重質になるほどゼオライト含有量が多くなる。一方、重質油の分解触媒においては、高い分解活性と同時に優れた脱硫活性、脱窒素活性が要求される。一般に脱硫活性点や脱窒素活性点は、担体中のアルミナ上の活性金属(または活性金属硫化物)に存在すると考えられており、ゼオライト含有水素化分解触媒の脱硫活性および脱窒素活性を高めるには、担体中のアルミナの含有量を高めることが有利となる。
【0013】
すなわち、高い分解活性と高い脱硫活性などを同時に発現させるためには、ゼオライトの持つ固体酸性質を損なうことの少ないアルミナを用いることで、より少ないゼオライト含有量で分解活性を発現させると共に、担体中のアルミナ含有量を増加させることで脱硫活性点などを多く発現させることが重要である。
【0014】
ゼオライトは固体酸性を持ち、その固体酸性が分解触媒の分解活性点となるが、分解触媒の製造工程においては、ゼオライトと混合されるアルミナ水和物に対しても酸として作用し、アルミナ水和物より遊離したアルミニウムを発生させる。この遊離したアルミニウムは、イオン状のアルミニウム、または低分子量のポリ水酸化アルミニウムと考えられる。この遊離したアルミニウムは、ゼオライトとアルミナ水和物の混合工程、水分調整工程、捏和工程および成形工程において発生し、ゼオライトの固体酸点、分解活性部位あるいはゼオライト粒子の外表面に存在するメソポアに吸着あるいは付着し、ゼオライト自体が持つ、あるいは脱アルミニウム処理などによって付与された酸特性等を損なう原因となっている。
【0015】
アルミナ水和物から発生する遊離したアルミニウムが多いほどゼオライトの持つ酸性質等への影響が大きく、一方アルミナ水和物から遊離するアルミニウムの発生が少ないほどゼオライトの持つ酸性質等への影響が小さい。すなわち、ゼオライトとアルミナを含有する水素化分解触媒担体の調製において、遊離するアルミニウムのより少ないアルミナ水和物を用いることが、優れた分解活性を示す触媒担体を得るために重要である。
本発明の方法では、以下に規定されるアルミニウム−酸溶解指数が30以下、好ましくは20以下のアルミナ水和物とゼオライトを混合することを特徴とする。アルミニウム−酸溶解指数が30よりも大きいアルミナ水和物の場合、前述の理由により所望の分解活性を有する水素化分解触媒が得られない。
【0016】
アルミニウム−酸溶解指数が30以下、好ましくは20以下、特に好ましくは15以下の場合、ゼオライトの持つ酸性質等への影響が極めて軽微で、高い分解活性を示す触媒担体を得ることができる。
【0017】
本発明でのアルミニウム−酸溶解指数はアルミナ水和物の硝酸水溶液に対する溶解性の難易度を表わす指数であり次の方法により求められた値である。
(1)容積1リッターのガラス製ビーカーにアルミナ水和物を酸化物換算で10.0g採取し、イオン交換水を加え全容が約700mlの懸濁液を得る。
(2)次いでこの懸濁液のpHを25℃で、7.0±0.2の範囲に10wt%苛性ソーダ溶液または10wt%硝酸溶液を加えて調整する。
(3)つぎに10wt%硝酸溶液171gを加え、1リッターのメスフラスコに移し、イオン交換水を用いて全容を1リッターとする。この懸濁液全量を2リッターの還流器付きセパラブルフラスコに移し、撹拌しながら90℃で1時間加熱する。
(4)冷却後0.4μおよび0.2μの濾紙(東洋濾紙社製DISMIC−25HP)で濾過し、濾液中のアルミニウム濃度を測定する。
(5)次式によりアルミニウム−酸溶解指数を計算する。
(アルミニウム−酸溶解指数)=100×(濾液中のA1濃度)÷〔アルミナ水和物10.0グラム(酸化物換算)に含まれるアルミナが全量溶解したと仮定したときのA1濃度〕
【0018】
次に本発明で使用されるアルミニウム一酸溶解指数が30以下のアルミナ水和物調製方法の一例を以下に示すが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0019】
例えばアルカリ性アルミニウム塩水溶液と酸性物質とを反応させて得られる水酸化アルミニウム(擬ベーマイト)スラリーを洗浄した後、pH9以上、温度90℃以上、撹拌などの条件の組み合せで必要時間熟成することにより、アルミニウム−酸溶解指数が30以下のアルミナ水和物を得ることができる。
【0020】
この場合熟成条件は、用いる水酸化アルミニウム(擬ベーマイト)スラリーの経歴により異なるが、前もって実験的にアルミニウム−酸溶解指数が30以下となる条件を求めることができる。また、熟成時の撹拌は必須で撹拌による剪断力が小さい場合、アルミニウム−酸溶解指数を30以下に低下させることが困難と成る。熟成は、常圧で行うこともできるし、オートクレーブ等の加圧条件下で、より高温で行うこともできる。熟成時の温度が高いほど短時間でアルミニウム−酸溶解指数を30以下に下げることができる。また、水酸化アルミニウムのpH調整には、アンモニア水を用いることが望ましい。熟成時のpHが9より低い場合にはアルミニウム−酸溶解指数を30以下に低下させるに長時間を要し、実用的ではない。さらにはアンモニア水を用いてpH調整されたアルミナスラリーは、ゼオライトとの混合に先立ち加熱処理等によりアンモニア成分を実質的に取り除いておくことが望ましく、pHの高いアルミナスラリーとゼオライトを混合した場合、ゼオライトの結晶構造が破壊される可能性がある。
【0021】
本発明では前述のゼオライトと前述のアルミナ水和物および必要に応じてシリカ、チタニアおよびジルコニアの前駆体から選ばれた少なくとも1種とを混合して、好適な水素化分解触媒を得る。
【0022】
前述のアルミナ水和物に他の無機酸化物前駆体が含まれる場合も同様に処理できる。例えば、アルミナ−シリカの場合、水酸化アルミニウムとシリカヒドロゲルの混合物、共沈物等公知の方法で得た前駆体スラリーを水熱熟成することによりアルミナ水和物のアルミニウム−酸溶解指数を低下させることができる。また、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−チタニア、アルミナ−シリカ−チタニア、アルミナ−シリカ−ジルコニア等前駆体も同様の処方を採用できる。
【0023】
また、アルミナ含有無機酸化物マトリックスまたはその前駆体を調製する段階において、好適な条件を設定することでアルミナ含有無機酸化物マトリックスのアルミニウム−酸溶解指数を30以下に低下させることも可能である。
【0024】
一方、アルミナ水和物をゼオライトとの混合に先立ち、焼成することにより水酸化物またはヒドロゲル状物質から酸化物状物質へ変換して酸化アルミニウムにすると、アルミニウム−酸溶解指数を30以下に低下させることが可能であるが、この場合ゼオライトとアルミナの混合性が著しく低下し、優れた分解活性を示す触媒を得ることができない。
【0025】
ゼオライトとアルミナ水和物とを混合し、水分調整後、成形される。成型方法に関して特に制限されないが、押出成形が一般的である。成形された担体は、通常の触媒担体の場合と同様に60〜200℃で乾燥、および200〜800℃で焼成することができる。
【0026】
得られた担体に、周期律表2B族、5A族、6A族および8族に属する金属成分の中から選ばれた少なくとも1種を、好ましくはMo,W,Co,Ni,VおよびZnから選ばれた少なくとも1種を担持させて、水素化分解触媒を得ることができる。また、これらの活性金属成分は通常の量が担持され、担持方法は通常の方法で行うことができる。
【0027】
また、本発明の方法で得られた水素化分解触媒は、通常の水素化分解条件が採用可能である。
また、本発明の方法で得られた触媒担体は、前述の水素化分解触媒の他に脱硝触媒、接触分解触媒、異性化触媒など各種の触媒担体として使用可能である。
【0028】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に詳しく説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【0029】
合成例1(アルミナスラリーの調製)
内容積200リットルのスチームジャケット付きステンレス容器に、希釈アルミン酸ナトリウム溶液(濃度Al2O3として5.0wt%)80Kgおよび50wt%グルコン酸溶液240gを加え、60℃に加熱した。次いで希釈硫酸アルミニウム溶液(濃度Al2O3として2.5wt%)88Kgを別容器に準備し、15分間でpHが7.2になるよう前記希釈硫酸アルミニウム溶液を添加して水酸化アルミニウム水和物のスラリー(調合スラリー)を得た。調合スラリーを更に60℃に保ったまま、60分熟成した。次いで、調合スラリー全量を平板フィルターにより脱水し、60℃の0.3wt%アンモニア水600リットルで洗浄した。
洗浄したアルミナ水和物ケーキの一部を純水および15wt%のアンモニア水を用い、アルミナ酸化物濃度12.0wt%、pH10.5のスラリーを得た。このスラリーを還流器付きのステンレス製熟成タンクに入れ、撹拌しながら95℃で熟成した。熟成時間8,15,20,30,42時間で取り出し、それぞれアルミナ濃度で20wt%となるよう加熱濃縮すると同時に脱アンモニアし、それぞアルミナ水和物スラリーA〜Eを得た。
同様に、洗浄したアルミナ水和物ケーキの他の一部を純水および15wt%のアンモニア水を用い、アルミナ酸化物濃度9.0wt%,pH10.5のスラリーを得た。このスラリーを還流器付きのステンレス製熟成タンクにいれ、撹拌しながら95℃で熟成した。熟成時間8,15,20時間で取り出し、それぞれアルミナ濃度で20wt%となるよう加熱濃縮すると同時に脱アンモニアし、それぞれアルミナ水和物スラリーF〜Hを得た。
また、洗浄したアルミナ水和物ケーキの他の一部を純水および15wt%のアンモニア水を用い、アルミナ酸化物濃度9.0wt%,pH10.5のスラリーを得た。このスラリーを還流器付きのステンレス製熟成タンクに入れ、撹拌しながら95℃で20時間熟成した後、このスラリーを撹拌機付きオートクレーブに移し、145℃で3,7,11時間熟成し、同様に濃縮しアルミナ水和物スラリーI〜Kを得た。
市販のアルミナ水和物粉末〔米国ラ・ロッシェ社製バーサル250(Versal−250)〕を純水に加えAl2O3濃度20wt%のアルミナ水和物スラリーLを得た。同様にアルミナ水和物粉末〔独国コンディア社製ピュラルSB−III(PURAL SB−III)〕を純水に加えAl2O3濃度20wt%のアルミナ水和物スラリーMを得た。
【0030】
(アルミニウム−酸溶解指数の測定)
前述したアルミナ水和物スラリーA〜Mのアルミニウム−酸溶解指数を測定した結果を表1〜2に示した。アルミナ水和物スラリーD,E,I,JおよびKは本発明範囲に属するアルミナ水和物スラリーであることが分かる。
【0031】
【表1】
【表2】
【0032】
合成例2(USYの調製)
合成Na−Yゼオライト(Na2O=13.3wt%、SiO2/Al2O3モル比=5.0)をアンモニウム交換し、NH4−Yゼオライト(Na2O=1.3wt%)を得た。次いでこのNH4−Yゼオライトを580℃でスチーミング処理しUSY−1を得た。10KgのUSY−1を純水200リットルに懸濁させた後、この懸濁液を75℃に昇温し30分間撹拌した。次いでこの懸濁液に10wt%硝酸溶液81.9Kgを40分間で添加し、添加終了後10分間更に撹拌したのち、濾過、洗浄し、固形分濃度30.5wt%のUSY−2スラリーを得た。
【0033】
実施例1
2130gのUSY−2スラリーと1750gのアルミナ水和物スラリーD(ゼオライト/アルミナ重量比65:35)をニーダーに加え、加熱、撹拌しながら押出し成形可能な濃度に濃縮し、捏和物を得た。濃縮に要した時間は3時間20分であった。
この捏和物を直径1.6mmの円柱状に押し出し形成した後、110℃で16時間乾燥し、次いで550℃で3時間焼成し担体を得た。この担体にMoO3として10.5wt%、CoOとして4.5wt%になるように活性金属成分を担持し触媒Dを得た。
同様にして、アルミナ水和物スラリーE,JおよびKを用いて触媒E,JおよびKを得た。
【0034】
比較例1
実施例1と同様にアルミナ水和物スラリーA,C,H,LおよびMを用い、触媒A,C,H,LおよびMを得た。
【0035】
実施例2(分解活性測定)
実施例1で得られた触媒D,E,JおよびKまた比較例1で得られた触媒A,C,H,LおよびMの常圧残油に対する水素化分解活性を測定した。触媒400ミリリットルを高圧固定床反応器に充填し、硫化処理した後、アラビアンヘビー常圧残油を用いて反応温度400℃,LHSV=0.3Hr-1、水素分圧135Kg/cm2、水素/油比1,000Nm3/キロリットルの条件下で水素化分解反応を行った。得られた生成油をASTMのD−1160蒸留法により分析を行い、343℃+留分(343℃より高い温度の留分)分解率を求め、常圧残油水素化分解活性を求めた。測定結果を表3に示した。
【0036】
【表3】
【0037】
表3から明らかなように、本発明の範囲に含まれる実施例1によって得られた触媒D,E,JおよびKは用いられたアルミナ水和物のアルミニウム−酸溶解指数が適切な範囲にあるため、本発明範囲に含まれない比較例1に示す触媒A,CH,LおよびMと同一の担体組成、担持活性金属量であるに関わらず、高い分解活性を示すことが分かる。
【0038】
実施例3
656gのUSY−2スラリーと4000gのアルミナ水和物スラリーJ(ゼオライト/アルミナ重量比20:80)をニーダーに加え、加熱、撹拌しながら押し出し成形可能な濃度に濃縮し、捏和物を得た。濃縮に要した時間は3時間40分であった。この捏和物を直径1.6mmの円柱状に押し出し形成した後、110℃で16時間乾燥し、次いで550℃で3時間焼成し担体を得た。この担体にMoO3として15.0wt%、NiOとして4.5wt%になるよう活性金属成分を担持し触媒J(20)を得た。
同様にして、USY−2とアルミナ水和物スラリーの混合比率が30:70および40:60(ゼオライト/アルミナ重量比)である触媒J(30)、およびJ(40)を得た。
【0039】
比較例2
656gのUSY−2スラリーと4000gのアルミナ水和物スラリーH(ゼオライト/アルミナ重量比20:80)をニーダーに加え、加熱、撹拌しながら押し出し成形可能な濃度に濃縮し、捏和物を得た。濃縮に要した時間は3時間40分であった。この捏和物を直径1.6mmの円柱状に押し出し形成した後、110℃で16時間乾燥し、次いで550℃で3時間焼成し担体を得た。この担体にMoO3として15.0wt%、NiOとして4.5wt%になるように活性成分を担持し触媒H(20)を得た。
同様にして、USY−2とアルミナ水和物スラリーの混合比率が30:70および40:60ゼオライト/アルミナ重量比)である触媒H(30)、およびH40を得た。
【0040】
実施例4(活性測定)
実施例3で得られた触媒J(20),J(30)およびJ(40)また比較例2で得られた触媒H(20),H(30)およびH(40)の減圧軽油に対する水素化分解活性および脱硫活性を測定した。反応条件および原料油である中東系減圧軽油の性状を以下に示す。
反応条件
反応温度 (℃) 400
LHSV (Hr-1) 1.7
水素分圧 (Kg/cm2) 56
水素/油比 (nL/L) 240
原料油性状
密度 (g/ml) 0.918
硫黄 (wt%) 2.245
窒素 (ppm) 820
CCR (wt%) 0.6
蒸留性状
C5〜190℃ (vol%) 0.0
190〜360℃(vol%) 10.0
360℃〜 (vol%) 90.0
触媒300ミリリットルを高圧固定床反応器に充填し、硫化処理した後、中東系減圧軽油を用いて水素化分解反応を行った。得られた生成油の脱硫率およびASTMのD−1160蒸留法により360℃+留分(360℃より高い温度の留分)分解率を求めた。測定結果を表4に示した。
【0041】
【表4】
【0042】
表4から明らかなように、本発明の範囲に含まれる実施例2によって得られた触媒J(20)〜J(40)はアルミナ水和物のアルミニウム−酸溶解指数が適切な範囲にあるため、本発明範囲に含まれない比較例2により得られた触媒H(20)〜H(40)と比較し、担体中のゼオライト含有量が同一の場合、優れた分解活性を示すことが分かる。また、図1に表4の結果を図示したが、本発明範囲に含まれる触媒は、本発明範囲に含まれない触媒と比較して、同一の分解活性を得るためには、より低いゼオライト含有量、すなわち、より高いアルミナ含有量の担体を採用できるので、優れた分解活性および脱硫活性を合わせ持つ触媒を得ることができる。
【0043】
【効果】
本発明は、触媒担体の製造過程において、アルミニウム−酸溶解度指数が30以下のアルミナ水和物を用いることにより、ゼオライトの分解活性部位を傷めることなく、触媒担体中のアルミナ含有率を高めることができた。その結果、この担体を用いて作った水素化分解触媒は高い分解率とともに優れた脱硫活性、脱窒素活性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】分解率と脱硫率の関係を示す図である。
Claims (4)
- (a)ゼオライトおよび(b)アルミニウム−酸溶解指数が30以下のアルミナ水和物、とを混合した後、成形、乾燥、焼成することを特徴とする触媒担体の製造方法。
- (a)ゼオライト、(b)アルミニウム−酸溶解指数が30以下のアルミナ水和物および(c)シリカ前駆体、チタニア前駆体およびジルコニア前駆体よりなる群から選ばれた前駆体、とを混合した後、成形、乾燥、焼成することを特徴とする触媒担体の製造方法。
- 前記ゼオライトがY型ゼオライトである請求項1または2記載の触媒担体の製造方法。
- 請求項1,2または3記載の製造方法により得られた触媒担体に、周期律表2B族、5A族、6A族およおび8族よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属を担持させることを特徴とする水素化分解触媒の製造方法。
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