JP3731608B2 - 繊維状団結コンニャク食品の製造方法および装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、多数の糸状コンニャクが容易に離れられる状態で相互に接着された繊維状団結コンニャク食品の製造方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の繊維状団結コンニャク食品は、各糸状コンニャクの間に隙間を有し、この隙間に煮汁が染み込みやすく、かつ、糸状コンニャクの1本1本が独立した歯ごたえを与えて、通常の塊状コンニャク食品の歯ごたえと相異する特徴を有するものである。
【0003】
上記繊維状団結コンニャク食品の製造方法および装置として、従来、図8に示す方法および装置が特開平2−23837号が提案されている。
上記装置では、水平方向から垂直方向へと湯水の流路1の垂直方向の上方に、支柱2を設置し、該支柱2に原料供給管4と接続した上下方向のノズル3を回転自在に取り付け、該ノズル3の下端に多数の小孔5を設けた目皿6を取り替え自在に固定し、該目皿6を湯面Sの上方に配置し、かつ、上記ノズル3を駆動源7により連続回転させている。
【0004】
上記製造装置において、原料供給管4よりコンニャク糊をノズル3へ供給し、回転するノズル3より下端の目皿6の小孔5より多数の糸状コンニャクとして押し出し、目皿6が回転していることにより、押し出された糸状コンニャク糊はねじれた状態となった湯水へ投下され、流れる湯水で糸状コンニャク糊の束を流しながら加熱してねじり糸コンニャクを製造している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記装置により製造した場合、目皿6が流路1の上方に位置され、目皿6と湯面Sとの間に距離があるため、目皿6より回転されて押し出された糸状コンニャク糊はねじれて相互に接触した状態で湯水中に投入されることとなる。コンニャク糊は表面に水が付着すると接着しにくくなるが、水が付着していない状態では非常に接着力が強く、また、小孔5から押し出される直径2mm程度の細い糸状コンニャク糊に対して相互に接触するようにねじれ力が負荷されると、各糸状コンニャク糊は隣接する糸状コンニャク糊の全外周面と面接触するように変形する。よって、湯水に投入される前に、糸状コンニャク糊の相互間には隙間が殆ど生じない状態となる。
このように、湯水に投入される前に、各糸状コンニャク糊が隣接する糸状コンニャクと全面接着した状態となり、さらに、湯水の流れにより引っ張られて求心的な力が負荷されると、さらに強固に糸状コンニャク糊が接着することとなる。
【0006】
よって、上記装置により製造されるコンニャク食品は、図9に示すように、各糸状コンニャク8の外周面8aが隣接する糸状コンニャク8の外周面と全面接触して、殆ど或いは全く隙間のない状態となる。このように隣接する糸状コンニャク8の間に隙間がないと、従来の団子状のコンニャク食品(所謂、板コンニャク)と同様に、味染みが悪くなり、この糸状コンニャクを相互に団結させて形成するコンニャク食品の利点がなくなる問題がある。
【0007】
また、コンニャク糊はコンニャクイモに水を加えて糊状とし、これにアルカリ性の石灰を加え、湯水で所要時間加熱し、凝固を促進して製品としているが、コンニャク製品の品質向上を図るには、石灰を均一に分布させた状態で湯水に投入して加熱することが好ましい。よって、石灰を加えて混練した後、出来るだけ早く湯水に投入することが好ましいが、図8に示す装置では上記要求を満たすことができない。
即ち、目皿6と一体に回転するノズル3は、その内径を小さくすると詰まやすいため、内径は大きく設定されており、そのため、原料供給管4よりノズル3の内部を通るコンニャク糊はノズル3と連動して回転せず、ノズル3の内部を略真っすぐに直進し、その先端の目皿6の小孔5より押し出されることとなる。よって、コンニャク糊は原料供給管4に供給される前に混練機で練られているだけ、その後、目皿より押し出す前に再度練られいない。しかも、通常、混練機とノズルとの間には装置設置上の関係等で近接して設ける事が困難で、相当離れて位置している。
上記理由により、図7に示す従来装置では、コンニャク糊の成分の均一化が図りにくく、コンニャク糊の濃度が部分的に偏より、品質を向上させることが困難である。
【0008】
さらに、ノズルより押し出された糸状コンニャク糊は流路の垂直部に投入されるため、どのような状態となっているかを初期に監視することが出来ず、略100m離れた流路の取出口先端から押し出されてくるまで、製品状況がわからない問題がある。例えば、コンニャク糊の濃度、湯水の濃度等の関係で、糸状コンニャクがバラバラで繊維状に団結しない場合がある一方、糸状コンニャク糊が相互に一体化してしまい塊状となることもあるが、取出口より取り出されるまでは分からず、上記のように繊維状に団結していない場合には、不良製品として破棄しなけらばならない欠点がある。
【0009】
本発明は上記問題した問題を全て解消せんとするもので、団結した糸状コンニャクの間に隙間が確実に出来るようにすると共に、湯水投入直前にコンニャク糊が再度練られるようにして成分の均一化を図り、かつ、不良製品の発生を低減することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、pH7〜8の中性の湯水を所要の流速で略水平方向へ流通させている流路中に、コンニャク糊供給管の下端に取り付けた目皿を上記湯水中に浸漬し、該湯水中で目皿を回転しながら、目皿に穿設している多数の小孔を通して、コンニャク糊を湯水中に連続的に押し出し、
上記目皿の回転と湯水の流れにより、上記目皿の押出位置から多数の糸状コンニャク糊を湯水を巻き込みながらねじり合わせて接着させ、この状態で水平方向から垂直方向へと流通させる湯水に沿って搬送しながら加熱して、糸状コンニャク糸状が部分的に隙間を有して相互に接着し、
かつ、コンニャク糊からアルカリ成分が流出してアルカリ性となる湯水は、水を補給して湯水のアルカリ性がコンニャク糊のアルカリ性よりも常時低くなるpH11.0以下に調節し、湯水のアルカリ性をコンニャク糊のアルカリ性よりは低く保持することにより、湯水中において各糸状コンニャクの芯部を外周部と比較してアルカリ性を高くし、芯部の凝固速度を外周部より促進させて、各糸状コンニャクに凝固速度の差を設けている繊維状団結コンニャク食品の製造方法を提供するものである。
【0012】
さらに、本発明は、pH7〜8の中性の湯水を所要の流速で水平方向から垂直方向へと循環させる流路形成部材と、
上記流路形成部材の水平方向の上方に回転不可に固定した上下方向のコンニャク糊供給管と、上記コンニャク糊供給管の下端に回転自在に取り付けて湯水中に浸漬させている多数の小孔を設けた目皿と、
上記目皿を回転させる回転駆動手段とを備え、上記湯水に浸漬している円盤形状の目皿を傾斜させて配置し、目皿の小孔から糸状コンニャク糊が湯水の流れ方向の下流側にむけて押し出されるようにし、かつ、
上記目皿が浸漬される流路形成部材の両側壁より、中央に向けて湯水を噴射する供給部を設け、上記目皿より押し出される糸状コンニャク糊に対して噴射する湯水で求心的な力を負荷して相互にねじり合いながら団結させる構成としていることを特徴とする繊維状団結コンニャク食品の製造装置を提供するものである。
【0014】
【作用】
本発明に係る製造方法では、コンニャク糊供給管を通して供給されるコンニャク糊は、該コンニャク糊供給管の下端で目皿が回転していることにより、目皿の上部で下向きに真っすぐに送られてきたコンニャク糊が水平方向へ回転されて練られた状態で目皿の小孔より押し出し出される。即ち、まず、目皿の小孔より回転される前にコンニャク糊が練られることとなる。
【0015】
上記目皿を流路中に浸漬して配置していることより、目皿の小孔より押し出された糸状コンニャク糊は湯水中でねじれ合いながら団結した束となる。かつ、湯水の流れによりねじれ合いながら引っ張られるため、糸状コンニャク糊の相互間に団結する求心力が作用する。
このように、目皿の回転と湯水の流れにより目皿の小孔より間隔をあけて押し出される糸状コンニャク糊はねじれて相互に接着するが、その際、湯水を巻き込むため、糸状コンニャク糊の外周面は隣接する糸状コンニャク糊の外周面に全面接着せずに湯水が巻き込まれた隙間が必ず発生する。
【0016】
また、コンニャク糊はアルカリ性が高い程、凝固速度が早く、よって、コンニャク糊よりアルカリ性の低い湯水に投入された各糸状コンニャク糊は、外周面よりアルカリ成分が湯水に流出することにより、糸状コンニャク糊の芯部より外周部のアルカリ性が低下する。その結果、湯水に投入直後から、芯部の凝固は外周部の凝固より迅速に進み、芯部が半凝固状態(半ゲル状態)の時、外周部はまだ糊状のゾル状態である。このように、外周部が糊状のゾル状態であるため、上記ねじり力が付加されて隣接する糸状コンニャクが接触すると、相互に接着される。しかしながら、糸状コンニャクの芯部は半ゲル状態から凝固したゲル状態となっているため、ねじり力によっても変形せず、1本1本が糸状コンニャクの形状を保持し、隣接する糸状コンニャク同士は言わば点接触状態で、外周面全体が面接触した状態とはならない。
【0017】
上記のように、隣接する糸状コンニャク同士が点接触で、全面が面接触しないため、上記したように、湯水が糸状コンニャク相互間に巻き込まれやすく、隙間が発生し、かつ、糸状コンニャク同士が塊状とならずに、糸状コンニャクが互いに分離されやすい状態で団結する繊維状団結コンニャク食品が製造できる。
【0018】
さらに、上記目皿を水平流路中に浸漬して配置すると、目皿より湯水中に押し出されてねじれ合って団結する状態を水平流路の上部から観察することが出来る。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を図面に示す実施例により詳細に説明する。
図1はコンニャク糊の製造部分から繊維状団結コンニャク食品が袋詰されるまでの全体の構成を概略的に示し、図2から図4は本発明装置の要部を示し、図5は製造されたコンニャク食品が袋詰された状態を示し、図6(A)(B)(C)(D)は製造されたコンニャク食品を示すものである。
【0020】
まず、コンニャク糊の製造工程を図1を参照して概略的に説明すると、水を貯溜したミキサー付きホッパー10にコンニャク製粉を所要量投入し、撹拌してコンニャク製粉を膨潤させる。上記水とコンニャク製粉の割合は本実施例では、水300重量部に対してコンニャク製粉10重量部としている。
【0021】
コンニャク製粉を膨潤させて糊状とした後、ホッパー10の下端取出口より供給管11を通してポンプ12により混練機13へと供給する。
該混練機13で凝固剤となる石灰液を投入し、上記糊状原料と撹拌してコンニャク糊を生成する。
上記石灰液の投入量は上記糊状原料に対して7%〜10%とし、生成されるコンニャク糊のpH(水素イオン濃度)が常温(25℃)で、12.5〜10.0、好ましくは、12.0〜11.3としている。また、粘度が110CP〜140CPとなるように設定している。
【0022】
混練機13で石灰がコンニャク糊中に均質に含まれるように練った後、混練機13の取出口に接続したコンニャク糊供給管14へ押し出す。該コンニャク糊供給管14へ押し出されたコンニャク糊をポンプ16で圧力をかけてコンニャク糊供給管14の先端へと押し出す。
【0023】
上記コンニャク糊供給管14は混練機13と接続した水平部分14aを、流路形成部材15の水平流路部15aの上方で、下向きに屈折させ、垂直部14bを連続させている。
上記垂直部14aの下端先端14cには、後で詳細に説明するように、目皿25をホルダー26を介して回転自在に取り付け、該目皿25を水平流路15aを流れる湯水W中に浸漬するように配置している。
【0024】
流路形成部材15は、樋状部材とパイプ状の筒体を組み合わせたものからなり、樋状の上記水平流路部15aを上端に配置し、該水平流路部15aの先端に筒体からなる垂直流路部15bを連続させている。該垂直流路部15bの下端を樋状の2段目水平流路部15cの一端に連続させ、該水平流路部15cの先端に筒状の垂直流路部を接続し、以後、水平流路部と垂直流路部とを交互に連続させて言わばジグザグ状として、100mの流路を形成している。
【0025】
流路の下端取出口15dは樋状の水平流路部15fの先端に設け、該取出口15dに繊維状団結コンニャクFを搬送するコンベヤ17を連続させると共に、湯水を取り出す筒状の垂直流路部15gを連続させ、該垂直流路部15gに流れ込んだ湯水をポンプ18により上端の水平流路部15aにくみ上げ、湯水を流路に循環させている。
【0026】
上記流路を流れる湯水として、略中性(pH7〜8)の真水を加熱(45℃〜70℃)したものを用いている。この中性の湯水に対してコンニャク糊が投入されると、コンニャク糊よりアルカリ成分が流出するため、中性(pH7〜8)の湯水を使用していても、湯水のアルカリ性は急激に高められる。かつ、上記のように湯水を循環させるため、湯水のアルカリは高くなり、よって、コンニャク糊のpHより低下させるために、適時、中性の湯水を補給している。
コンニャク糊を加熱して凝固を促進する湯水は、コンニャク糊からのアルカリ成分の流出を抑制するために、湯水のアルカリ性を運転開始時より高めておくことが好ましいが、本発明では、湯水に投入される糸状コンニャク糊の芯部と外周部にアルカリ濃度差を大きく持たせる方が好ましいため、湯水のアルカリ性は他の塊状コンニャク食品を製造する場合と比較して低く設定している。
【0027】
即ち、本発明の実施例では、湯水のpHを常温で11.0以下となるように設定している。コンニャク糊中のアルカリ成分は石灰であり、該石灰液は温度の上昇に伴い、同一量の石灰が加わっていてもpHは低下する。湯水の温度は45℃〜70℃(季節によって変わる)としているため、当該45℃〜70℃での湯水のpHが略10.0以下となるように設定している。
【0028】
上記流路の取出口15dからコンベヤ17で搬送してきた繊維状団結コンニャクFを水を貯溜した貯水槽19に所要時間浸漬する。
ついで、貯水槽19よりコンベヤ20で搬送し、搬送過程で、まず、カッター21で所定長さに切断し、この切断した繊維状団結コンニャクF’を袋詰装置22で、図5に示すように、保存水23を入れた袋24に充填し、密閉している。
【0029】
上記したように、コンニャク糊供給管14は固定されており、該コンニャク糊供給管14の下端に目皿25をホルダー26を介して着脱自在に取り付けている。
即ち、図3に示すように、パイプ状のコンニャク糊供給管14の下端外周縁に沿って径方向へ突出したフランジ部27を突設している。該フランジ部27の底面側には、コンニャク糊供給管14の中心孔14dより外径に向かって傾斜する溝27aを設け、該溝27aの外縁より平坦な円環面よりなる固定面27bを形成している。
さらに、コンニャク糊供給管14の下端より所要距離を隔てた外周面より支持部28を突設している。
【0030】
目皿25は図4に示すように、上記フランジ部27の外径と略同一の外径を有する円板部25aと、該円板部25aの外周縁より上向きに突設させた円環状の固定部25bとを備える。円板部25aには同心状に一定ピッチをあけて略50〜70個の小孔30を形成している。これら小孔30は目皿25をフランジ部27に取り付けた時に、溝27aの外縁より内方に位置するように設定している。また、固定部25bの外面にはホルダー26と着脱自在に固定するための係止部材31を取り付けている。
【0031】
上記ホルダー26は円環形状で、下部座金32を介してフランジ部24の上面に回転自在に載置するもので その外周面に上記目皿25の係止部31に固定される被係止突起32を突設している。
該ホルダー26の上面にはギヤ33をネジで固定し、ギヤ33の上面と上記支持部28との間に上部座金34を介設している。
【0032】
上記のように、固定したコンニャク糊供給管14より突設したフランジ部27と支持部28との間に座金32、34を介して互いに固定したホルダー26とギヤ33とを回転自在に取り付け、該ホルダー26に目皿25を固定していることにより、固定したコンニャク糊供給管14の下端で目皿25のみが回転される。よって、コンニャク糊供給管14を通して真っすぐに押し出されてくるコンニャク糊は、フランジ部27の溝27aと目皿25の円板部25aの間の空隙35で回転され、小孔30より押し出される直前に練られるようにしている。
【0033】
さらに、上記コンニャク糊供給管14より突設した支持部28の上面に基板39を固定し、該基板39の他端にモータ36を設置し、該モータ36の出力軸36aに固定したギヤ37を上記ギヤ33を噛み合わせている。
よって、モータ36の駆動により、ギヤ37→ギヤ33→ホルダー26を介して目皿25を回転している。
【0034】
上記目皿25は、図2に示すように、水平流路部15aを垂直流路部15bへと流れる湯W中に、目皿25のみが浸漬する状態でコンニャク糊供給管14の下端フランジ部27に固定している。該目皿25の小孔30より糸状コンニャク糊を押し出す位置は水面下15mm〜20mmの範囲としている。
また、目皿25の配置位置は、垂直流路部15bに近い方が好ましい。
【0035】
本実施例では、目皿25の小孔30の直径は17mm〜18mmに設定し、かつ、目皿25の回転速度は100回転/分〜200回転/分の範囲に設定している。
さらに、目皿25からの糸状コンニャクの押し出し速度は44.2mm/秒程度に設定している。
流路の湯水の流速は平均340mm/秒とし、小孔30より押し出されて100mの流路を流れた後、下端の取出口15dより取り出されるまでに要する時間は4〜5分の範囲に設定している。
【0036】
次に、上記装置における繊維状団結コンニャク食品の製造方法を説明する。
コンニャク糊供給管14を通してポンプにより目皿25へと押し出されてくるコンニャク糊は、上記したように、常温25℃で12.5〜10.0、好ましくは12.0〜11.3の範囲に設定しており、目皿25に達するまではコンニャク糊供給管14の内部で練られることなく管内部を略真っすぐな状態で押し出されてくる。
【0037】
コンニャク糊供給管14の下端より、目皿25の円板部25a上で空隙35にコンニャク糊が達すると、目皿25が回転しているため、空隙35内のコンニャク糊は練られ、練られながら多数の小孔30を通して湯水Wへと押し出される。其の際、目皿25が回転しているため、小孔30より湯水Wへと押し出される多数の糸状コンニャク糊は相互にねじれ合う。
かつ、湯水Wは図2に示すように水平流路部15aより垂直流路部15bへと下流側へと所定の流速で流れているため、この水流により小孔30より押し出された多数の糸状コンニャク糊に互いに接着する求心力が負荷される。
【0038】
よって、小孔30より押し出された多数の糸状コンニャク糊はねじれあって、隣接する糸状コンニャク糊の外周面が接触し、湯水に押し出された直後の糸状コンニャク糊の外周面はゾル状態であって接着力を保持しているため、糸状コンニャクの接触した部分は相互に接着していく。
かつ、糸状コンニャク糊がねじれ合う時に湯水を巻き込み、隣接する糸状コンニャク糊の外周面は、湯水が巻き込まれた部分は接触せず、よって、隙間をあけて接触し、隙間をあけて接着していくこととなる。
【0039】
さらに、湯水WのpHは運転開始時には、pH7〜8の中性の水を加熱した湯水を投入しているため、コンニャク糊よりpHが低いと共に、運転が経過して湯水のpHが上昇してきた場合も、中性の湯水を補給して、湯水WのpHを常時コンニャク糊のpHよりも低く設定しているため、各糸状コンニャク糊の外周部のアルカリ成分は湯水へ流出して、その外周部のpHはその芯部のpHよりも低下する。
コンニャク糊はpHが高いと凝固速度が早いため、湯水Wに押し出されて、加熱にされると、各糸状コンニャク糊の芯部と外周部とに凝固速度の差が発生し、芯部は半ゲル状の時、外周部はまだゾル状態で、上記したように、隣接する糸状コンニャク糊が接触すると接着が進行する。しかしながら、この時、芯部は半ゲル状あるいはゲル状態となっているため、ねじり力が負荷されても糸状の形状を保持し、言わば、隣接する糸状コンニャク糊は点接触状態となる。このように点接触状態であるため、上記したように湯水が巻き込まれやすく、かつ、点接触した接触部分にも湯水の巻き込みによる隙間が発生する。
【0040】
この状態で、水流によりねじられた状態を保持しつつ、流路に沿って流される間に加熱され、コンニャク糊は炊き上げられて、隣接する糸状コンニャクが隙間をあけて接着した繊維状団結コンニャクが生成される。
上記繊維状団結コンニャクは連続的に流路の下端取出口より吐出され、前記したように、一旦、貯水槽にためた後、所定寸法に切断し、図5に示す保存液23を入れた袋24に密閉される。
【0041】
上記方法により製造された繊維状団結コンニャクF’は、図6(A)(B)(C)(D)に示すように、多数の糸状コンニャク50はねじれた状態で団結し、かつ、これら糸状コンニャク50の間には、両端面および外周面と連通する隙間51が存在する。
上記隙間51の存在により、この繊維状団結コンニャクF’を調理した際、煮汁が隙間51を通って内部に染み込み、味染みが良くなる。
さらに、糸状コンニャク50は1本1本が糸状の形状を保持しているため、塊状のコンニャクとは異なった歯ごたえを与える。
また、多数の糸状コンニャク50は団結を保持しているが、隣接する糸状コンニャクの間に隙間51が存在するため、1本1本を容易に分離することが出来る。
【0042】
本発明は上記実施例に限定されず、例えば、図7に示すように、湯水Wに浸漬する目皿25を水流の流れ方向に向けて傾斜させて配置してもよい。その場合、目皿25の小孔30より押し出される糸状コンニャク糊は水流に逆らわずに押し出されるため、スムーズにねじり合って団結状態となる。
さらに、図7に示すように、目皿25の小孔30より押し出される糸状コンニャク糊により強い求心力を負荷するため、流路の両側に湯水噴射口60を設け、該湯水噴射口60より湯水を噴射させても良い。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明に係わる製造装置により繊維状団結コンニャクを製造すれば、目皿を湯水に浸漬して、糸状コンニャク糊を湯水中に押し出しているため、ねじれあって団結する糸状コンニャクの間に湯水が巻き込まれて、隙間を確実に発生させる事が出来る。よって、前記図8に示す装置における目皿を湯水の上部に配置した場合に発生する欠点、即ち、湯水に投下される前に糸状コンニャク糊の外周面全体が面接触して隙間が生じない欠点を解消することが出来る。
【0044】
また、図8に示す装置では、コンニャク糊供給管と目皿との間にノズルを介設し、このノズルと目皿とを一体とし、ノズルを回転させているが、本発明ではノズルを不要として、コンニャク糊供給管に直接目皿を回転自在に取り付けているため、部品点数の低減を図ることができ、かつ、目皿のみを回転させればよいため、ノズルと一体回転する場合と比較して回転駆動力を低減できる利点もある。
【0045】
さらに、本発明の装置では、目皿のみを回転させているため、コンニャク糊供給管より押し出されてくるコンニャク糊は必ず目皿上で練られ、練られながら目皿の小孔より押し出されるため、押し出された糸状コンニャク糊の成分の均一化が図られる。
さらに、目皿より押し出す直前にコンニャク糊を練るために、混練機との間隔をあけることができ、混練機の配置位置の自由度を高めることができる。
【0046】
さらにまた、目皿より押す出す位置を水平流路中としており、該水平流路は樋状としているため、目皿より押し出された糸状コンニャク糊がどのような状態でねじれ合いながら団結していくかを観察することができ、不良品の発生率を押さえることができる。
【0047】
また、湯水のpHをコンニャク糊のpHよりも常時低く設定しているため、湯水に押し出された各糸状コンニャク糊の芯部と外周部とにpHの差を発生させ、この差異を利用することにより、1本1本が糸状を保持しつつ、容易に分離できる状態で団結したコンニャク食品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造装置全体の概略構成図である。
【図2】 図1の要部を示す正面図である。
【図3】 図2の要部断面図である。
【図4】 図2に示す目皿の底面図である。
【図5】 製造されたコンニャクを袋詰めした状態を示す正面図である。
【図6】 製造されたコンニャクを示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は断面図、(D)は(C)の拡大図である。
【図7】 他の実施例を示す概略図である。
【図8】 従来の装置を示す正面図である。
【図9】 図8に示す装置で製造されたコンニャクの断面図である。
【符号の説明】
14 コンニャク糊供給管
15 流路形成部材
15a 水平流路部
25 目皿
26 ホルダー
30 小孔
36 モータ
F’ 繊維状団結コンニャク
50 糸状コンニャク
51 隙間
Claims (2)
- pH7〜8の中性の湯水を所要の流速で略水平方向へ流通させている流路中に、コンニャク糊供給管の下端に取り付けた目皿を上記湯水中に浸漬し、該湯水中で目皿を回転しながら、目皿に穿設している多数の小孔を通して、コンニャク糊を湯水中に連続的に押し出し、
上記目皿の回転と湯水の流れにより、上記目皿の押出位置から多数の糸状コンニャク糊を湯水を巻き込みながらねじり合わせて接着させ、この状態で水平方向から垂直方向へと流通させる湯水に沿って搬送しながら加熱して、糸状コンニャク糸状が部分的に隙間を有して相互に接着し、
かつ、コンニャク糊からアルカリ成分が流出してアルカリ性となる湯水は、水を補給して湯水のアルカリ性がコンニャク糊のアルカリ性よりも常時低くなるpH11.0以下に調節し、湯水のアルカリ性をコンニャク糊のアルカリ性よりは低く保持することにより、湯水中において各糸状コンニャクの芯部を外周部と比較してアルカリ性を高くし、芯部の凝固速度を外周部より促進させて、各糸状コンニャクに凝固速度の差を設けている繊維状団結コンニャク食品の製造方法。 - pH7〜8の中性の湯水を所要の流速で水平方向から垂直方向へと循環させる流路形成部材と、
上記流路形成部材の水平方向の上方に回転不可に固定した上下方向のコンニャク糊供給管と、上記コンニャク糊供給管の下端に回転自在に取り付けて湯水中に浸漬させている多数の小孔を設けた目皿と、
上記目皿を回転させる回転駆動手段とを備え、上記湯水に浸漬している円盤形状の目皿を傾斜させて配置し、目皿の小孔から糸状コンニャク糊が湯水の流れ方向の下流側にむけて押し出されるようにし、かつ、
上記目皿が浸漬される流路形成部材の両側壁より、中央に向けて湯水を噴射する供給部を設け、上記目皿より押し出される糸状コンニャク糊に対して噴射する湯水で求心的な力を負荷して相互にねじり合いながら団結させる構成としていることを特徴とする繊維状団結コンニャク食品の製造装置。
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JP25446193A JP3731608B2 (ja) | 1993-10-12 | 1993-10-12 | 繊維状団結コンニャク食品の製造方法および装置 |
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JPH07107958A JPH07107958A (ja) | 1995-04-25 |
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