JP3731574B2 - 無段変速機用の伝動ベルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溝幅が可変の一対の可変プーリ間に伝動ベルトが巻き掛けられ動力が伝達される形式のベルト式無段変速機に関し、特にその伝動ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
溝幅が可変の一対の可変プーリ間に伝動ベルトが巻き掛けられ動力が伝達される形式のベルト式無段変速機は、車両用駆動装置などに使用される。このベルト式無段変速機は、可変プーリに巻き掛けられた伝動ベルトのエレメントの接触面とそのエレメントに接触させられている可変プーリのシーブ面との摩擦力により、入力側可変プーリに与えられたトルクを出力側可変プーリに伝えている。このため、伝動ベルトのエレメントと可変プーリとの間のスリップ防止、伝達効率の向上、摩擦面の耐久性の向上などが望まれている。
【0003】
これに対して、伝動ベルトのエレメントの接触面および可変プーリのシーブ面を、ショットピーニング処理を用いて3〜10μmRzの表面粗さにすることで、伝動ベルトのエレメントおよび可変プーリの相互接触面における摩耗量が少なくなるので、ベルト式無段変速機の耐久性が高められ、また伝動ベルトのエレメントおよび可変プーリの相互接触面における摩擦係数が高くなるので、許容伝達トルクが高められ、トルクの急増時などにおいて伝動ベルトのスリップが防止され、或いは、ベルト式無段変速機が従来よりも小型に構成され得る技術が提案されている。たとえば、特許文献1に記載されたものがそれである。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−157146号公報
【特許文献2】
特開2001−193798号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、車両用のベルト式無段変速機としては、エンジンの高出力高トルク化に伴う高伝達トルク容量、環境やスペース効率を改善するための小型、軽量化が近年ますます要求されてきている。このためには、伝動ベルトのエレメントと可変プーリとの摩擦係数をさらに高くする必要があるが、現状では、伝動ベルトのエレメントと可変プーリは潤滑油で潤滑されている場合、潤滑油に含まれる添加剤が接触面に反応膜を生成し摩耗、錆などを抑制するので接触面の摩擦係数を充分に向上することができず摩擦係数μは、μ=0.1強にとどまっている。
【0006】
また、可変プーリが伝動ベルトを挟む圧力を高くすることで高トルクを伝達することが考えられるが、この場合接触面の摩耗量が大きくなり、ベルト式無段変速機の耐久性が充分得られない可能性があり、また摩耗によって摩擦係数が低下する可能性がある。
【0007】
また、車両用のベルト式無段変速機としては、乗員の乗り心地や騒音問題に対して、静粛性も近年ますます要求されてきている。特に、伝動ベルトが引張式伝動ベルトの場合圧縮式伝動ベルトと比較すると、ベルトを構成するエレメントのピッチが比較的大きく、エレメントが可変プーリと接触する入り口では、エレメントが可変プーリに対して間欠的に衝突することになるので、その衝突に起因する騒音が大きくなってしまう。
【0008】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、伝動ベルトと可変プーリとの接触面において、高い摩擦係数が得られしかも摩耗量が少なくさらに静粛性も向上するベルト式無段変速機用の伝動ベルトを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、動力伝達のために溝幅が可変の一対の可変プーリ間に巻き掛けられるベルト式無段変速機用の伝動ベルトであって、基材としての50重量%以上の熱硬化性樹脂材料に5〜30重量%の短繊維材および5〜30重量%の粉末材が充填剤として混合された材料で構成され、前記伝動ベルトを構成するエレメントの前記可変プーリと接触する接触面に固着された樹脂製被膜を、備えたことにある。
【0010】
【発明の効果】
このようにすれば、可変プーリとの接触面は樹脂製被膜となり、樹脂製被膜の基材である熱硬化性樹脂材料が50重量%以上含まれてその熱硬化性樹脂自身の特性により樹脂製被膜の強度が確保されることに加え、短繊維材が5〜30重量%混合されることでさらに強度、耐摩耗性、摩擦係数が高められ、粉末材が5〜30重量%混合されることでさらに摩擦係数が高められるので、樹脂製被膜の摩耗量を充分に抑えつつ、その強度を高め、高い摩擦係数を得ることができる。
【0011】
この結果、伝動ベルトのエレメントと可変プーリとの相互接触面において、耐久性を確保しつつ、可変プーリが伝動ベルトのエレメントを挟む圧力に対して十分な強度を確保し例えば可変プーリが伝動ベルトのエレメントを挟む圧力によって樹脂製被膜が破壊されることがなく、摩擦係数が高められるので、許容伝達トルクがさらに高められ、トルクの急増時などにおいて伝動ベルトのスリップが防止され、或いは、ベルト式無段変速機が従来よりもさらに小型、軽量に構成され得る。
【0012】
また、充填剤となる繊維材に短繊維材を用いることで、伝動ベルトのエレメントに樹脂製被膜を固着する製造工程において、大量生産に適したディッピング、スプレーコーティング等による固着方法を用いることができる。
【0015】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記樹脂製被膜は、前記充填剤としての硬質粒子材および自己潤滑剤の少なくとも一つがさらに含まれる材料で構成されたものである。このようにすれば、その硬質粒子材によって摩擦係数、耐摩耗性が一層高められ、またその自己潤滑剤によって摩擦係数の速度に対する安定性を確保できる。
【0016】
また、好適には、前記エレメントは金属製であり、前記可変プーリと接触する接触面に固着される前記樹脂製被膜の基材を構成する前記熱硬化性樹脂材料はフェノール樹脂或いはエポキシ樹脂のいずれかである。このようにすれば、そのエレメントとその可変プーリとの接触面に作用する摩擦力によって生じるその樹脂製被膜を引き剥がす力に対して、フェノール樹脂或いはエポキシ樹脂は、金属との接着力が強いのでベルト式無段変速機の使用下においてエレメントよりその樹脂製被膜が剥離することがない十分な接着力を確保できる。また、エレメントに樹脂製被膜を固着する製造工程において接着力を強くするための前処理等、たとえばプレコート等が不要になり、フェノール樹脂或いはエポキシ樹脂自身が熱硬化性樹脂の中で比較的低コストであることを含めて製造コストの低減が図れる。さらに、上記基材自身の耐摩耗性が優れているので、充填剤による補強が容易になる。
【0017】
また、好適には、前記短繊維材は、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、銅繊維のうち少なくとも一つを含むものである。このようにすれば、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維では強度、耐摩耗性を一層向上させることができる。特にアラミド繊維は少量でもその効果が大きい。また、銅繊維では耐摩耗性だけでなく摩擦係数をも一層向上させることができる。
【0018】
また、好適には、前記粉末材は、カシューダスト、鉄粉、銅粉、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム・ゴムコートのうち少なくとも一つを含むものである。このようにすれば、摩擦係数を一層向上させることができる。また、これらは研磨材としてではなく凝着によって摩擦係数を向上させるものであり、樹脂製被膜は、エレメントと接触する可変プーリのシーブ面の摩耗を増大させてしまうということがない。
【0019】
また、好適には、前記充填剤は、前記硬質粒子材としての、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、超硬合金(WC)、炭化クロム(Cr3C2)、炭化珪素(SiC)、炭化クロム鉄(FeCrC)、前記自己潤滑剤としての、黒鉛、二硫化モリブデン、四フッ化エチレンのうちの少なくとも一つを含むものである。このようにすれば、アルミナ、シリカ、WC、Cr3C2、SiC、FeCrCは、摩擦係数、耐摩耗性を一層向上させることができる。また、黒鉛、二硫化モリブデン、四フッ化エチレンは、摩擦係数の速度に対する安定性を一層確保できる。
【0020】
また、好適には、前記樹脂製被膜の厚みは、0.1mm乃至1mmである。このようにすれば、0.1mm以上とすることで摩耗量に対して十分な厚みを確保して伝動ベルトの性能が維持され、1mm以下とすることで厚すぎるために伝動ベルトの機能が損なわれたり、また過剰品質とならず製造コストを低く抑えることができる。
【0021】
また、好適には、前記ベルト式無段変速機用の伝動ベルトは、(a)無端環状のフープと前記エレメントとして該フープに沿って厚さ方向に多数連ねられた厚肉板片状のブロックとを有する無端環状の圧縮式伝動ベルトであるか、或いは(b)リンクプレートと前記エレメントとしての連結ピンを有し、交互に重ねられたリンクプレートの端部がその連結ピンによって相互に連結されることにより無端環状のリンクチェーンを構成する引張式伝動ベルトである。このようにすれば、そのエレメントの可変プーリとの接触面に樹脂製被膜が固着されているので、摩耗量を充分に抑えつつ、その強度を高め、高い摩擦係数を得ることができる。この結果、伝動ベルトのエレメントと可変プーリとの相互接触面において、耐久性を確保しつつ、可変プーリが伝動ベルトのエレメントを挟む圧力に対して十分な強度を確保し、摩擦係数が高められるので、許容伝達トルクがさらに高められ、トルクの急増時などにおいて伝動ベルトのスリップが防止され、或いは、ベルト式無段変速機が従来よりもさらに小型、軽量に構成され得る。また、エレメントの可変プーリとの接触面が金属製の場合と比較して、樹脂製被膜は、弾性率が小さいため可変プーリとの接触時の衝撃を小さく抑えるので、騒音を小さくすることができる。特に、引張式伝動ベルトの場合は、エレメントが可変プーリと接触する入り口での間欠衝突に対して衝撃力が小さくなるのでより効果がある。また、ベルト式無段変速機の製造工程の中で伝動ベルトのエレメント部分に樹脂製被膜を固着する工程が追加されるだけなので、エレメントの接触面と可変プーリのシーブ面の両方を表面処理等の加工をして性能を向上させることに比べて、製造コストを低く抑えることができる。
【0022】
また、好適には、動力伝達のために溝幅が可変の一対の可変プーリ間に巻き掛けられるベルト式無段変速機用の伝動ベルトであって、基材としての熱硬化性樹脂材料に短繊維材および粉末材を充填剤として混合された材料で構成され、前記伝動ベルトを構成するエレメントの前記可変プーリと接触する接触面に固着された樹脂製被膜を備え、前記エレメントは、金属製であって、前記可変プーリと接触する前記接触面に、突起、窪み或いは凹凸が形成されたものであり、前記樹脂製被膜は、その突起、窪み或いは凹凸の上に固着させられたものであることにある。このようにすれば、可変プーリとの接触面は樹脂製被膜となり、樹脂製被膜の基材である熱硬化性樹脂自身の特性に加え短繊維材を混合することでさらに強度、耐摩耗性、摩擦係数が高められ、粉末材を混合することでさらに摩擦係数が高められので、摩耗量を充分に抑えつつ、その強度を高め、高い摩擦係数を得ることができる。この結果、伝動ベルトのエレメントと可変プーリとの相互接触面において、耐久性を確保しつつ、可変プーリが伝動ベルトのエレメントを挟む圧力に対して十分な強度を確保し、摩擦係数が高められるので、許容伝達トルクがさらに高められ、トルクの急増時などにおいて伝動ベルトのスリップが防止され、或いは、ベルト式無段変速機が従来よりもさらに小型、軽量に構成され得る。また、充填剤となる繊維材に短繊維材を用いることで、伝動ベルトのエレメントに樹脂製被膜を固着する製造工程において、大量生産に適したディッピング、スプレーコーティング等による固着方法を用いることができる。また、その接触面とその樹脂製被膜との接着面積がより大きくなり、上記エレメントとプーリとの相互接触面に作用する摩擦力によって生じる樹脂製被膜を引き剥がす力に対して、ベルト式無段変速機の使用下において樹脂製被膜が剥離することがない充分な接着力を確保できる。
【0023】
また、好適には、動力伝達のために溝幅が可変の一対の可変プーリ間に巻き掛けられるベルト式無段変速機用の伝動ベルトであって、基材としての熱硬化性樹脂材料に短繊維材および粉末材を充填剤として混合された材料で構成され、前記伝動ベルトを構成するエレメントの前記可変プーリと接触する接触面に固着された樹脂製被膜を備え、前記エレメントは、金属製であり、前記可変プーリと接触する前記接触面は孔部が形成されるとともに、その孔部が形成された接触面とそれに略垂直に隣接する面にはその孔部に通じる第二孔部が形成されており、前記樹脂製被膜は、その材料が射出成形によりその孔部とその第二孔部の内部を満たすように流入させられることにより、その接触面とそれに略垂直に隣接する面に固着させられると同時に、上記孔部および第二孔部内に流入させられた材料と一体とさせられたものであることにある。このようにすれば、可変プーリとの接触面は樹脂製被膜となり、樹脂製被膜の基材である熱硬化性樹脂自身の特性に加え短繊維材を混合することでさらに強度、耐摩耗性、摩擦係数が高められ、粉末材を混合することでさらに摩擦係数が高められので、摩耗量を充分に抑えつつ、その強度を高め、高い摩擦係数を得ることができる。この結果、伝動ベルトのエレメントと可変プーリとの相互接触面において、耐久性を確保しつつ、可変プーリが伝動ベルトのエレメントを挟む圧力に対して十分な強度を確保し、摩擦係数が高められるので、許容伝達トルクがさらに高められ、トルクの急増時などにおいて伝動ベルトのスリップが防止され、或いは、ベルト式無段変速機が従来よりもさらに小型、軽量に構成され得る。また、充填剤となる繊維材に短繊維材を用いることで、伝動ベルトのエレメントに樹脂製被膜を固着する製造工程において、大量生産に適したディッピング、スプレーコーティング等による固着方法を用いることができる。また、接触面とそれに略垂直に隣接する面に固着させられた樹脂製被膜は、そのエレメントの内部を通じて固着させられた樹脂と一体となり抜き取れない様な構造となるので、エレメントと可変プーリとの相互接触面に作用する摩擦力によって生じる樹脂製被膜を引き剥がす力に対して、ベルト式無段変速機の使用下において樹脂製被膜が剥離することがない充分な接着力を確保できる。
【0024】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の一例である伝動ベルトとして圧縮式伝動ベルト16を用いたベルト式無段変速機10の構成を示す断面図である。このベルト式無段変速機10は、互いに平行な軸心まわりに回転させられる溝幅が可変の入力側可変プーリ12および出力側可変プーリ14と、動力を伝達するためにそれら入力側可変プーリ12および出力側可変プーリ14との間に巻き掛けられた圧縮式伝動ベルト16とを備えている。
【0026】
上記入力側可変プーリ12は、入力軸18に固定された金属製、たとえば炭素鋼等の鋼製の入力側固定プーリ12aと、入力軸18の軸方向に移動可能に取り付けられた金属製、たとえば炭素鋼等の鋼製の入力側可動プーリ12bとで構成されていて、入力側油圧アクチュエータ20により入力側可動プーリ12bが入力軸18の軸方向に移動させられることによって入力側固定プーリ12aと入力側可動プーリ12bとの間の溝幅12w、すなわち入力側可変プーリ12の有効径が変化させられる。同様に、上記出力側可変プーリ14は、出力軸22に固定された金属製、たとえば炭素鋼等の鋼製の出力側固定プーリ14aと、出力軸22の軸方向に移動可能に取り付けられた金属製、たとえば炭素鋼等の鋼製の出力側可動プーリ14bとで構成されていて、出力側油圧アクチュエータ24により出力側可動プーリ14bが出力軸22の軸方向に移動させられることによって出力側固定プーリ14aと出力側可動プーリ14bとの間の溝幅14w、すなわち出力側可変プーリ14の有効径が変化させられる。
【0027】
上記入力側可変プーリ12を構成する入力側固定プーリ12aと入力側可動プーリ12bとの対向面には中心側ほど互いに接近する円錐状の一対の入力側シーブ面12cが形成されることにより、それら入力側固定プーリ12aと入力側可動プーリ12bとの間に入力側V溝26が形成されている。同様に、上記出力側可変プーリ14を構成する出力側固定プーリ14aと出力側可動プーリ14bとの対向面には中心側ほど互いに接近する円錐状の一対の出力側シーブ面14cが形成されることによりそれら出力側固定プーリ14aと出力側可動プーリ14bとの間に出力側V溝28が形成されている。入力側可変プーリ12および出力側可変プーリ14の外径は種々のものが用いられ得るが、車両用駆動装置に用いる場合には、たとえば20〜30cm程度とされる。
【0028】
図2は、図1の入力側可変プーリ12、出力側可変プーリ14および圧縮式伝動ベルト16を示す斜視図である。圧縮式伝動ベルト16は、図1および図2に示すように無端環状のテープ状の一対のフープ30と、その一対のフープ30に沿って厚さ方向に互いに密着するように多数連ねられたエレメントとしての厚肉板片状のブロック32とを有し、そのブロック32の板厚方向に対して垂直方向すなわち側面側に開いている一対のフープ嵌合溝32aに一対のフープ30がそれぞれ嵌め入れられた、全体として無端環状の構成になっている。フープ30はたとえば均一な幅を有する鋼製の無端環状の薄板が複数枚積層されることによって可撓性を有するように構成されている。
【0029】
前記入力側油圧アクチュエータ20によって、入力側可変プーリ12の溝幅12wが変化させられると、入力側可変プーリ12に巻き掛けられた圧縮式伝動ベルト16は入力側シーブ面12cの径方向に沿って移動させられ、入力側可変プーリ12の有効径が変化させられることになる。同時に、圧縮式伝動ベルト16の張力を維持するために出力側油圧アクチュエータ24によって、出力側可変プーリ14の溝幅14wが変化させられると、出力側可変プーリ14に巻き掛けられた圧縮式伝動ベルト16は出力側シーブ面14cに沿って移動させられ、出力側可変プーリ14の有効径が変化させられることになる。これにより、ベルト式無段変速機10の変速比γ(=入力側可変プーリ12の回転速度/出力側可変プーリ14の回転速度)が変化させられる。
【0030】
図3は、上記圧縮式伝動ベルト16の部分拡大図である。圧縮式伝動ベルト16のブロック32は、金属製たとえば炭素鋼等の鋼製で、動力を伝達するために前記入力側シーブ面12cおよび前記出力側シーブ面14cと接触している接触面34が、前記入力側V溝26を構成する入力側シーブ面12cおよび前記出力側V溝28を構成する出力側シーブ面14cに沿うように同様の角度で形成されている。さらに、接触面34に樹脂製被膜36が固着させられている。これによりブロック32の接触面34は樹脂製被膜36を介して入力側シーブ面12cおよび出力側シーブ面14cと接触することとなる。
【0031】
図4(a)は上記ブロック32の接触面34に樹脂製被膜36が固着される前の状態での接触面34方向から見た正面図であり、図4(b)はその図4(a)に示したA−A断面図である。図4(a)および図4(b)に示すように接触面34には略長方形で深さ約0.1mm程度の窪み38aが形成され、接触面34に略垂直に隣接する面40すなわち図4(a)において接触面34の左右の面もしくは図4(b)の上部の左右の面には、接触面34からブロック32の板厚の幅程度の長さで深さ約0.3mm程度の窪み38bが形成され、図4(b)の点線に示すように接触面34と略垂直に隣接する面40を覆うように樹脂製被膜36が接触面34における膜厚が窪み38aの底部から約0.5mm程度となるように、また隣接する面40における膜厚が約0.3mm程度となるように固着される。この結果接触面34は樹脂製被膜36による接触面34bとなる。
【0032】
図5は、上記樹脂製被膜36を上記ブロック32の接触面34に固着するための製造工程100の手順を示した図である。調合工程102では、樹脂製被膜36の基材となる熱硬化性樹脂と強度を高めるための短繊維材および耐久性を高めるための粉末材を含む種々の充填剤とが混合されることにより流動性の塗布材料が調合される。塗布工程104では、その塗布材料が上記接触面34に、たとえばディピング、スプレーコーティング、射出成形等により塗布される。硬化工程106では、塗布された材料が、たとえば150〜180℃程度で熱硬化される。仕上工程108では、必要に応じばり取りなどの機械加工によって規定の寸法通りとする仕上げ加工を行ってもよい。
【0033】
表1は、上記樹脂製被膜36に用いた種々の材料で構成された各試料の成分組成および性能試験の結果とを示している。この試験では、図4(a)、(b)に示した形状のブロック32を用いて、上記製造工程100に従い、ブロック32に樹脂製被膜36を表1に示す種々の基材および充填剤を混合した材料で構成して固着させた試料No.1乃至試料No.20が作成され、それ等をベルト式無段変速機10が実際に使用された場合の実寿命(絶対寿命)を把握できる加速試験、すなわち負荷を実車走行状態に比較し大きく設定した試験で実施された。ただし、試料No.19および試料No.20は、基材となる樹脂が熱可塑性樹脂であるので樹脂製被膜36の固着方法は、製造工程100ではなく、簡単に示すと、熱可塑性樹脂を加熱させた後充填剤を混合した材料をブロック32に塗布等してその後冷却して固着させる手順となる。また、各試料とは別に従来品すなわちブロック32に樹脂製被膜36が固着させられてなく接触面34が鋼であるものの試験結果も表1に記載した。表1中の性能試験結果のうち摩擦係数μは、従来品と比較するために、従来品を1.00として相対的に数値化したものである。ここでは、1.00以上となれば摩擦係数が向上したこととなる。また、摩耗量は、実際に摩耗した絶対値であり、耐久試験等で得られたデータに基づき導き出された経験的な数値である50μm以下であれば使用可と判定する。また、強度特性は、破壊、クラック等のひび割れが発生すれば×、発生しなければ○とした。各成分組成の数値は、全体重量に対する混合率(重量%)である。また、総合評価は、性能が充分に改善されたものを○、されないものを×として記載した。表1の見方の一例は、試料No.1は、基材樹脂材料のフェノール樹脂を重量比50%として充填剤である短繊維材のガラス繊維を重量比30%および粒子の炭酸カルシウムを重量比20%混合した材料で樹製脂被膜36をブロック32の接触面34に固着させて試験をした結果、摩擦係数は現行比1.22、摩耗量は10μmおよび強度特性は○となり摩耗量を充分に抑えつつ、強度を確保して従来より高い摩擦係数を得る結果となるので、総合評価は○となる。
【0034】
【表1】
【0035】
本実施例では、上記短繊維材は、繊維材の中で平均繊維径が0.3〜30.0μm程度で、繊維長が0.01〜6mm程度のものを使用する。特に、表1に示した短繊維材の形状を表2に示す。また、表1中の粉末材のカシューダストは、カシューナッツの殻から抽出した殻液(カシューオイル)を主成分として精製したものに架橋剤(ホルムアルデヒド、ヘキサミン、フルフラール等)を加え重合して硬化させ、固形化した物を粉砕して得られた物である。また、銅粉はCuSn、CuP等を用いている。
【0036】
(表2)
短繊維材 平均繊維径 ( μm ) ×繊維長 ( mm )
ガラス繊維 12 × 3
PAN 系高弾性 カーボン 繊維 4 × 0.2
アラミド短繊維 6 × 1
銅繊維 30 × 6
【0037】
表1において、上記樹脂製被膜36の基材となる樹脂は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂に分けられる。熱可塑性樹脂のPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂を基材とした試料No.19は、摩擦係数、摩耗量および強度特性のすべてにおいて、同じくポリアミドイミド樹脂を基材とした試料No.20は、摩擦係数および摩耗量において良好な結果を得ることができなかった。なお、表1には示していないがPEEK樹脂およびポリアミドイミド樹脂は、短繊維材および粒子等の充填剤を種々組み合わせた材料においても試料No.19および試料No.20と同様の結果となった。これは、基材となる樹脂材自身、すなわち熱可塑性樹脂の特性によるものであると考えられる。この結果より、基材となる樹脂には、熱可塑性樹脂は適さないと考えられる。
【0038】
これに対し、熱硬化性樹脂のフェノール樹脂またはエポキシ樹脂が重量比で50%以上含まれる試料No.1乃至15では、摩擦係数、摩耗量および強度特性のすべてにおいて良好な結果が得られた。また、試料No.16乃至18では摩耗量および強度特性において、良好な結果が得られなかった。これは、基材であるフェノール樹脂の重量比が50%に満たないためにフェノール樹脂、すなわち熱硬化性樹脂が充填剤と混合することで強靱な成形物が得られるという特徴を生かせてないと考えられる。この結果より、基材となる樹脂は、熱硬化性樹脂が適していて、その混合率は重量比で少なくとも50%以上必要であると考えられる。
【0039】
また、試料No.14において摩耗量が50μmとなって使用可の判断の限度の数値となっているのは、充填剤である短繊維材および粉末材の重量比がそれぞれ5%と少ないためであると考えられる。この結果より、充填剤である短繊維材および粉末材は、それぞれ重量比で少なくとも5%以上必要であると考えられる。また、試料No.1は、短繊維材が30%混合されていて、試料No.11は、粉末材が30%混合されている。この結果より、基材となる樹脂が50%以上混合されている場合において、短繊維材または粉末材は、混合率が30%以内であれば良好な結果が得られると考えられる。
【0040】
また、試料No.1と試料No.2を比較すると、試料No.1の摩耗量が半分以下に抑えられているのは、充填剤である短繊維材がより多く混合されているためであると考えられる。この結果より、短繊維材は、耐摩耗性の向上に効果があると考えられる。
【0041】
また、試料No.16および試料No.18は、試料No.17、試料No.19および試料No.20と比べて摩擦係数が向上しているのは、粉末材が混合されているためであると考えられる。この結果より、粉末材は摩擦係数の向上に効果があると考えられる。また、粉末材は、表1には示してないが鉄粉であるFeC、SUS等やケイ酸ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム・ゴムコートでも同様の効果を得る結果となっている。
【0042】
また、試料No.9と試料No.10を比較すると、試料No.10は、摩擦係数が向上して、さらに摩耗量は半分以下に抑えられており、これは、充填剤である硬質粒子材がより多く混合されていることと短繊維材のアラミド繊維が混合されているためであると考えられる。この結果より、硬質粒子材は、摩擦係数および耐摩耗性を一層向上させる効果があり、また短繊維材のアラミド繊維は少量でも耐摩耗性を向上させる効果が大きいと考えられる。また、硬質粒子材は、表1には示してないがCr3C2、SiCでも同様の効果を得る結果となっている。
【0043】
また、試料No.3と試料No.6を比較すると、試料No.6は、摩擦係数の向上に効果がある粉末材および硬質粒子を合わせた重量比が少なくなっているにも拘わらず摩擦係数が同等であるのは、銅繊維が混合されているためであると考えられる。この結果、短繊維材の銅繊維は、耐摩耗性だけではなく摩擦係数の向上にも効果があると考えられる。
【0044】
また、試料No.4と試料No.7を比較すると、試料No.4は、摩擦係数の向上が抑えられて、摩耗量が半分以下になっているのは、充填剤である自己潤滑剤の黒鉛が混合されたためであると考えられる。この結果より、自己潤滑剤は、接触面を潤滑することで摩擦係数の速度に対する安定性を確保する効果があると考えられる。また、自己潤滑剤は、表1には示してないが二硫化モリブデン、四フッ化エチレンでも同様の効果を得る結果となっている。
【0045】
また、ベルト式無段変速機10において伝動ベルトに従来品の圧縮式伝動ベルトと本実施例の圧縮式伝動ベルト16をそれぞれ取り付け、無響音室での暗騒音に対する騒音レベルを比較した結果、従来品を用いた場合を100とすれば本実施例の試料No.1乃至15を用いた圧縮式伝動ベルト16は、80程度となり騒音レベルが低下する。
【0046】
上述のように、本実施例によれば、ベルト式無段変速機10に用いられる無端環状のフープ30とエレメントとしてそのフープ30に沿って厚さ方向に多数連ねられた厚肉板片状のブロック32で構成された圧縮式伝動ベルト16は、それを構成するブロック32の入力側シーブ面12cおよび出力側シーブ面14cとの接触面34に、基材としての熱硬化性樹脂に短繊維材および粉末材を充填剤として混合された材料で構成された樹脂製被膜36を固着させられる構成とし、その熱硬化性樹脂が材料全体の重量比で50%以上含まれ、さらにその短繊維材および粉末材がそれぞれ材料全体の重量比で5〜30%含まれるように混合されるので、熱硬化性樹脂自身の特性に加え短繊維材を混合することでさらに強度、耐摩耗性、摩擦係数が高められ、粉末材を混合することでさらに摩擦係数が高められので、摩耗量を充分に抑えつつ、その強度を高め、高い摩擦係数を得ることができる。この結果、圧縮式伝動ベルト16のブロック32と可変プーリとの相互接触面において、耐久性を確保しつつ、可変プーリが圧縮式伝動ベルト16のブロック32を挟む圧力に対して十分な強度を確保し、摩擦係数が高められるので、許容伝達トルクがさらに高められ、トルクの急増時などにおいて圧縮式伝動ベルト16のスリップが防止され、或いは、ベルト式無段変速機10が従来よりもさらに小型、軽量に構成され得る。また、ブロック32の接触面34が金属製の場合と比較して、樹脂製被膜36は弾性率が小さいため可変プーリとの接触時の衝撃を小さく抑えるので、騒音を小さくすることができる。また、ベルト式無段変速機10の製造工程の中で圧縮式伝動ベルト16のブロック32部分に樹脂製被膜36を固着する工程が追加されるだけなので、ブロック32の接触面34と可変プーリのシーブ面の両方を表面処理等の加工をして性能を向上させることに比べて、製造コストを低く抑えることができる。さらに、充填剤となる繊維材に短繊維材を用いるので、圧縮式伝動ベルト16のブロック32に樹脂製被膜36を固着する製造工程において、大量生産に適したディッピング、スプレーコーティング等による固着方法を用いることができる。
【0047】
また、本実施例によれば、樹脂製被膜36は、充填剤としてさらに硬質粒子材であるアルミナ、シリカ、WC、Cr3C2、SiC、FeCrC、自己潤滑剤である黒鉛、二硫化モリブデン、四フッ化エチレンのうちの少なくとも一つが含まれる材料で構成されたものなので、その硬質粒子材によって摩擦係数、耐摩耗性が一層高められ、またその自己潤滑剤によって摩擦係数の速度に対する安定性を確保できる。
【0048】
また、本実施例によれば、ブロック32は金属製であり、可変プーリと接触する接触面34に固着される樹脂製被膜36の基材を構成する熱硬化性樹脂材料はフェノール樹脂或いはエポキシ樹脂のいずれかにすることで、そのブロック32の可変プーリとの相互接触面に作用する摩擦力によって生じる樹脂製被膜36を引き剥がす力に対して、フェノール樹脂或いはエポキシ樹脂は、金属との接着力が強いのでベルト式無段変速機10の使用下においてブロック32よりその樹脂製被膜36が剥離することがない十分な接着力を確保できる。また、ブロック32に樹脂製被膜36を固着する製造工程において接着力を強くするための前処理等、たとえばプレコート等が不要になり、フェノール樹脂或いはエポキシ樹脂自身が熱硬化性樹脂の中で比較的低コストであり、また手に入りやすいことを含めて製造コストの低減が図れる。さらに、基材自身の耐摩耗性が優れているので、充填剤による補強が容易になる。
【0049】
また、本実施例によれば、短繊維材は、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、銅繊維のうち少なくとも一つを含むものであるので、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維では強度、耐摩耗性を一層向上させることができる。特にアラミド繊維は少量でもその効果が大きい。また、銅繊維では耐摩耗性だけでなく摩擦係数をも一層向上させることができる。
【0050】
また、本実施例によれば、粉末材は、カシューダスト、鉄粉、銅粉、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム・ゴムコートのうち少なくとも一つを含むものであるので、摩擦係数を一層向上させることができる。また、これらは研磨材としてではなく凝着によって摩擦係数を向上させるものであり、樹脂製被膜36は、ブロック32と接触する可変プーリのシーブ面の摩耗を増大させてしまうということがない。
【0051】
また、本実施例によれば、樹脂製被膜36の厚みは、0.5mm程度としたので、耐久試験等で得られたデータに基づき導き出された経験的な数値である摩耗量50μmに対して十分な厚みを確保して圧縮式伝動ベルト16の性能が維持され、厚すぎるために圧縮式伝動ベルト16の機能が損なわれたり、また過剰品質とならず製造コストを低く抑えることができる。
【0052】
また、本実施例によれば、ブロック32の接触面34には略長方形で深さ約0.1mm程度の窪み38aが形成され、接触面34に略垂直に隣接する面40には、接触面34からブロック32の板厚の幅程度の長さで深さ約0.3mm程度の窪み38bが形成され、接触面34と略垂直に隣接する面40を覆うように樹脂製被膜36が接触面34における膜厚が窪み38aの底部から約0.5mm程度となるように、また隣接する面40における膜厚が約0.3mm程度となるように固着されるので、その接触面34とその樹脂製被膜36との接着面積がより大きくなり、さらに隣接する面40にも樹脂製被膜36が一体となって固着されるので、ブロック32と入力側シーブ面12cおよび出力側シーブ面14cとの相互接触面に作用する摩擦力によって生じる樹脂製被膜36を引き剥がす力に対して、ベルト式無段変速機10の使用下において樹脂製被膜36が剥離することがない充分な接着力を確保できる。
【0053】
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
図6(a)は、本発明の図4に示したブロック32の接触面34に関する他の実施例におけるブロック32の接触面34に樹脂製被膜36が固着される前の状態での接触面34方向から見た正面図であり、図6(b)はその図6(a)に示したA−A断面図である。図6(a)および図6(b)に示すように接触面34には略正方形で深さ約0.1mm程度の窪み38cが複数個形成され、接触面34に略垂直に隣接する面40すなわち図6(a)において接触面34の左右の面もしくは図6(b)の上部の左右の面には、接触面34からブロック32の板厚の幅程度の長さで深さ約0.3mm程度の窪み38bが形成され、図6(b)の点線に示すように接触面34と略垂直に隣接する面40を覆うように樹脂製被膜36が接触面34における膜厚が窪み38cの底部から約0.5mm程度となるように、また隣接する面40における膜厚が約0.3mm程度となるように固着される。この結果接触面34は樹脂製被膜36による接触面34bとなる。このようにすれば、その接触面34とその樹脂製被膜36との接着面積がより大きくなり、さらに隣接する面40にも樹脂製被膜36が一体となって固着されるので、ブロック32と入力側シーブ面12cおよび出力側シーブ面14cとの相互接触面に作用する摩擦力によって生じる樹脂製被膜36を引き剥がす力に対して、ベルト式無段変速機10の使用下において樹脂製被膜36が剥離することがない充分な接着力を確保できる。
【0055】
また、図7(a)は、本発明の図4に示したブロック32の接触面34に関する他の実施例におけるブロック32の接触面34に樹脂製被膜36が固着される前の状態での接触面34方向から見た正面図であり、図7(b)はその図7(a)に示したA−A断面図である。図7(a)および図7(b)に示すように接触面34には略円形で高さ約0.1mm程度の突起42が複数個形成され、接触面34に略垂直に隣接する面40すなわち図7(a)において接触面34の左右の面もしくは図7(b)の上部の左右の面には、接触面34からブロック32の板厚の幅程度の長さで深さ約0.3mm程度の窪み38bが形成され、図7(b)の点線に示すように接触面34と略垂直に隣接する面40を覆うように樹脂製被膜36が接触面34における膜厚が接触面34から約0.5mm程度となるように、また隣接する面40における膜厚が約0.3mm程度となるように固着される。この結果接触面34は樹脂製被膜36による接触面34bとなる。このようにすれば、その接触面34とその樹脂製被膜36との接着面積がより大きくなり、さらに隣接する面40にも樹脂製被膜36が一体となって固着されるので、ブロック32と入力側シーブ面12cおよび出力側シーブ面14cとの相互接触面に作用する摩擦力によって生じる樹脂製被膜36を引き剥がす力に対して、ベルト式無段変速機10の使用下において樹脂製被膜36が剥離することがない充分な接着力を確保できる。
【0056】
また、図8(a)は、本発明の図4に示したブロック32の接触面34に関する他の実施例におけるブロック32の接触面34に樹脂製被膜36が固着される前の状態での接触面34方向から見た正面図であり、図8(b)はその図8(a)に示したA−A断面図である。図8(a)および図8(b)に示すように接触面34にはブロック32の板厚の幅方向に垂直に細長の深さ約0.1mm程度の窪み38dが複数本形成され、接触面34に略垂直に隣接する面40すなわち図8(a)において接触面34の左右の面もしくは図8(b)の上部の左右の面には、接触面34からブロック32の板厚の幅程度の長さで深さ約0.3mm程度の窪み38bが形成され、図8(b)の点線に示すように接触面34と略垂直に隣接する面40を覆うように樹脂製被膜36が接触面34における膜厚が窪み38dの底部から約0.5mm程度となるように、また隣接する面40における膜厚が約0.3mm程度となるように固着される。この結果接触面34は樹脂製被膜36による接触面34bとなる。このようにすれば、その接触面34とその樹脂製被膜36との接着面積がより大きくなり、さらに隣接する面40にも樹脂製被膜36が一体となって固着されるので、ブロック32と入力側シーブ面12cおよび出力側シーブ面14cとの相互接触面に作用する摩擦力によって生じる樹脂製被膜36を引き剥がす力に対して、ベルト式無段変速機10の使用下において樹脂製被膜36が剥離することがない充分な接着力を確保できる。
【0057】
また、図9(a)は、本発明の図4に示したブロック32の接触面34に関する他の実施例におけるブロック32の接触面34に樹脂製被膜36が固着される前の状態での接触面34方向から見た正面図であり、図9(b)はその図9(a)に示したA−A断面図である。図9(a)および図9(b)に示すように接触面34には孔部44がブロック32の板厚の幅程度の深さで形成されるとともに、接触面34に略垂直に隣接する面40の一方の面すなわち図9(a)において接触面34の左右の面の一方の面もしくは図9(b)の上部の左右の面の一方の面にはその孔部44に通じる第二孔部46が形成されており、さらにその面にはその第二孔部46の入り口に続くように接触面34より略垂直に深さ約0.3mm程度の溝48が形成されている。ここで、上記樹脂製被膜36は、その材料が射出成形によりその孔部44とその第二孔部46の内部およびその溝48を満たすように流入させられ、その接触面34に固着させられると同時に、上記孔部44と第二孔部46の内部および溝48を満たすように流入させられた材料と一体とさせられたものである。このようにすれば、接触面に固着させられた樹脂製被膜36は、溝48およびそのブロック32の内部を通じて固着させられた樹脂と一体となり抜き取れない様な構造となるので、ブロック32と入力側シーブ面12cおよび出力側シーブ面14cとの相互接触面に作用する摩擦力によって生じる樹脂製被膜36を引き剥がす力に対して、ベルト式無段変速機10の使用下において樹脂製被膜36が剥離することがない充分な接着力を確保できる。
【0058】
また、図10(a)は、本発明の他の実施例における図1および図2に示したベルト式無段変速機10の圧縮式伝動ベルト16に代えて用いる引張式伝動ベルト50の部分拡大図であり、図10(b)は、図10(a)の上面から見た図であり、図10(c)は、引張式伝動ベルト50のエレメントとして機能するピン52の図10(b)に示したA−A断面図である。その引張式伝動ベルト50は、図10(a)および図10(b)に示すように、金属製薄板状で二つのピン孔56が開けられた前記リンクプレート54と、交互に重ねられたリンクプレート54のピン孔56を相互に連結する連結されたピン52とを有し、全体として無端環状のリンクチェーンを構成している。そのピン52は、図10(c)に示すように金属製たとえば炭素鋼等の鋼製で、動力を伝達するために前記入力側シーブ面12cおよび前記出力側シーブ面14cと接触している接触面60が、前記入力側V溝26を構成するシーブ面12cおよび前記出力側V溝28を構成するシーブ面14cに沿うように同様の角度で形成されている。さらに、接触面60を覆うように、樹脂製被膜58がその膜厚を約0.5mm程度となるように固着させられている。これによりピン52の接触面60は樹脂製被膜58による接触面60bを介して入力側シーブ面12cおよび出力側シーブ面14cと接触することとなる。この樹脂製被膜58は、前述と同様に図5に示す製造工程100において、調合工程102では、樹脂製被膜58の基材となる熱硬化性樹脂と強度を高めるための短繊維材および耐久性を高めるための粉末材を含むの充填剤とが混合されることにより流動性の塗布材料が調合され、塗布工程104では、その塗布材料が接触面60に、たとえばディピング、スプレーコーティング、射出成形等により塗布され、硬化工程106では、塗布された材料が、たとえば200℃程度で熱硬化され、仕上工程108では、たとえばばり取りなどの機械加工によって規定の寸法通りとする仕上げ加工が施される。その樹脂製被膜58の材料は、基材となる熱硬化性樹脂が材料全体の重量比で50%以上含まれ、充填剤として短繊維材および粉末材がそれぞれ材料全体の重量比で5〜30%含まれるように混合されている。このようにすれば、熱硬化性樹脂自身の特性に加え短繊維材を混合することでさらに強度、耐摩耗性、摩擦係数が高められ、粉末材を混合することでさらに摩擦係数が高められので、摩耗量を充分に抑えつつ、その強度を高め、高い摩擦係数を得ることができる。この結果、引張式伝動ベルト50のピン52と可変プーリとの相互接触面において、耐久性を確保しつつ、可変プーリが引張式伝動ベルト50のピン52を挟む圧力に対して十分な強度を確保し、摩擦係数が高められるので、許容伝達トルクがさらに高められ、トルクの急増時などにおいて引張式伝動ベルト50のスリップが防止され、或いは、ベルト式無段変速機10が従来よりもさらに小型、軽量に構成され得る。また、ピン52の接触面60が金属製の場合と比較して、樹脂製被膜58は弾性率が小さいため可変プーリとの接触時の衝撃を小さく抑えるので、騒音を小さくすることができる。特に、本実施例の引張式伝動ベルト50の場合は、ピン52が可変プーリと接触する入り口での間欠衝突に対して衝撃力が小さくなるのでより効果がある。また、ベルト式無段変速機10の製造工程の中で引張式伝動ベルト50のピン52部分に樹脂製被膜58を固着する工程が追加されるだけなので、ピン52の接触面60と可変プーリのシーブ面の両方を表面処理等の加工をして性能を向上させることに比べて、製造コストを低く抑えることができる。さらに、充填剤となる繊維材に短繊維材を用いるので、引張式伝動ベルト50のピン52に樹脂製被膜58を固着する製造工程において、大量生産に適したディッピング、スプレーコーティング等による固着方法を用いることができる。
【0059】
また、本実施例によれば、樹脂製被膜58は、充填剤としてさらに硬質粒子材であるアルミナ、シリカ、WC、Cr3C2、SiC、FeCrC、自己潤滑剤である黒鉛、二硫化モリブデン、四フッ化エチレンのうちの少なくとも一つが含まれる材料で構成されたものなので、その硬質粒子材によって摩擦係数、耐摩耗性が一層高められ、またその自己潤滑剤によって摩擦係数の速度に対する安定性を確保できる。
【0060】
また、本実施例によれば、ピン52は金属製であり、可変プーリと接触する接触面60に固着される樹脂製被膜58の基材を構成する熱硬化性樹脂材料はフェノール樹脂或いはエポキシ樹脂のいずれかにすることで、そのピン52の可変プーリとの相互接触面に作用する摩擦力によって生じる樹脂製被膜58を引き剥がす力に対して、フェノール樹脂或いはエポキシ樹脂は、金属との接着力が強いのでベルト式無段変速機10の使用下においてピン52よりその樹脂製被膜58が剥離することがない十分な接着力を確保できる。また、ピン52に樹脂製被膜58を固着する製造工程において接着力を強くするための前処理等、たとえばプレコート等が不要になり、フェノール樹脂或いはエポキシ樹脂自身が熱硬化性樹脂の中で比較的低コストであるとことを含めて製造コストの低減が図れる。さらに、基材自身の耐摩耗性が優れているので、充填剤による補強が容易になる。
【0061】
また、本実施例によれば、短繊維材は、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、銅繊維のうち少なくとも一つを含むものであるので、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維では強度、耐摩耗性を一層向上させることができる。特にアラミド繊維は少量でもその効果が大きい。また、銅繊維では耐摩耗性だけでなく摩擦係数をも一層向上させることができる。
【0062】
また、本実施例によれば、粉末材は、カシューダスト、鉄粉、銅粉、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム・ゴムコートのうち少なくとも一つを含むものであるので、摩擦係数を一層向上させることができる。また、これらは研磨材としてではなく凝着によって摩擦係数を向上させるものであり、樹脂製被膜58は、ピン52と接触する可変プーリのシーブ面の摩耗を増大させてしまうということがない。
【0063】
また、本実施例によれば、樹脂製被膜58の厚みは、約0.5mm程度としたので、耐久試験等で得られたデータに基づき導き出された経験的な数値である摩耗量50μmに対して十分な厚みを確保して引張式伝動ベルト50の性能が維持され、厚すぎるために引張式伝動ベルト50の機能が損なわれたり、また過剰品質とならず製造コストを低く抑えることができる。
【0064】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0065】
たとえば、前述の圧縮式伝動ベルト16のエレメントとしての厚肉板片状のブロック32に固着させられた樹脂製被膜36は、接触面34に略垂直に隣接する面40の部分の四つの面のどこに設けてもよいし設けなくてもよい。また、接触面34および接触面34に略垂直に隣接する面40に形成された窪み38a、38b、38c、38d、突起42,孔部44、第二孔部46および溝48は、窪みや突起を組み合わせて凹凸状としてもよく、また必ずしも設けられなくてもよい。
【0066】
また、前述の図10に示した引張式伝動ベルト50の実施例では、接触面60は平面のままであったが圧縮式伝動ベルト16の場合と同様に、突起、窪みおよび凹凸を形成して樹脂製被膜58を固着させてもよい。さらに接触面60に略垂直に隣接する面に窪みを形成して接触面60に固着させた樹脂製被膜58と一体になるように樹脂製被膜を固着させてもよい。
【0067】
また、前述の図10に示した引張式伝動ベルト50の実施例では、接触面60は平面のままであったが圧縮式伝動ベルト16の場合と同様に接触面60には孔部がピン52の外径の幅程度の深さで形成されるとともに、接触面60に略垂直に隣接する面にはその孔部に通じる第二孔部が形成され、さらにその面にはその第二孔部の入り口に続くように接触面60より略垂直に深さ約0.3mm程度の溝が形成され、樹脂製被膜58は、その材料が射出成形によりその孔部とその第二孔部の内部およびその溝を満たすように流入させられ、その接触面58に固着させられると同時に、孔部と第二孔部の内部および溝を満たすように流入させられた材料と一体とさせられるように固着させてもよい。
【0068】
また、上記引張式伝動ベルト50の実施例では、エレメントとしてのピン50とリンクプレート54を有し、全体として無端環状のリンクチェーンで構成されていたが、そのリンクチェーンの円周方向に対して略垂直に位置しそのリンクチェーンを貫通させる孔が形成された厚肉板状片のブロックを有するように引張式伝動ベルト50を構成してもよい。この場合、引張式伝動ベルト50が可変プーリのシーブ面と接触する面は、ピン52がブロックより突出させられていればピン52の接触面60となり、ピン52がブロックより突出させられてなければピン52とブロックまたはブロックのみとなる。ブロックが可変プーリのシーブ面と接触する場合は、ブロックのその接触する面に樹脂製被膜58を固着させてもよい。
【0069】
また、前述の接触面34或いは接触面60に形成した突起、窪み或いは凹凸は、平面と比較して接触面積が大きくなればよく、たとえば引っ掻き傷のようなものであってもよい。
【0070】
また、前述の樹脂製被膜36或いは樹脂製被膜58の厚みは、約0.5mm程度としたが、0.1mm以上であれば耐久試験等で得られたデータに基づき導き出された経験的な数値である摩耗量50μmに対して充分な厚みを確保して圧縮式伝動ベルト16或いは引張式伝動ベルト50の性能が維持され、また1mm以下であれば厚すぎるために圧縮式伝動ベルト16或いは引張式伝動ベルト50の機能が損なわれたり、また過剰品質とならず製造コストを低く抑えることができる。
【0071】
また、前述の樹脂製被膜36或いは樹脂製被膜58の基材となる熱硬化性樹脂は、尿素樹脂やメラミン樹脂等の樹脂であってもよい。
【0072】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例である圧縮式伝動ベルトを用いたベルト式無段変速機の構成を示す断面図である。
【図2】図1の入力側可変プーリ、出力側可変プーリおよび圧縮式伝動ベルトを示す斜視図である。
【図3】圧縮式伝動ベルトの部分拡大図である。
【図4】(a)は、ブロックの接触面に樹脂製被膜が固着される前の状態での接触面方向から見た正面図である。(b)は、図4(a)に示したA−A断面図である。
【図5】樹脂製被膜をブロックの接触面に固着するための製造工程の手順を示した図である。
【図6】(a)は、本発明の他の実施例におけるブロックの接触面に樹脂製被膜が固着される前の状態での接触面方向から見た正面図である。(b)は、図6(a)に示したA−A断面図である。
【図7】(a)は、本発明の他の実施例におけるブロックの接触面に樹脂製被膜が固着される前の状態での接触面方向から見た正面図である。(b)は、図7(a)に示したA−A断面図である。
【図8】(a)は、本発明の他の実施例におけるブロックの接触面に樹脂製被膜が固着される前の状態での接触面方向から見た正面図である。(b)は、図8(a)に示したA−A断面図である。
【図9】(a)は、本発明の他の実施例におけるブロックの接触面に樹脂製被膜が固着される前の状態での接触面方向から見た正面図である。(b)は、図9(a)に示したA−A断面図である。
【図10】(a)は、本発明の他の実施例における引張式伝動ベルトの部分拡大図である。(b)は、図10(a)の上面から見た図である。(c)は、ピンの図10(b)に示したA−A断面図である。
【符号の説明】
10:ベルト式無段変速機
12:入力側可変プーリ
12w:入力側可変プーリ12の溝幅
14:出力側可変プーリ
14w:出力側可変プーリ14の溝幅
16:圧縮式伝動ベルト
30:フープ
32:ブロック(エレメント)
34:接触面
36:樹脂製被膜
38a:接触面34の窪み
38b:隣接する面40の窪み
38c:接触面34の窪み
38d:接触面34の窪み
40:接触面34に略垂直に隣接する面
42:接触面34の突起
44:孔部
46:第二孔部
50:引張式伝動ベルト
52:ピン(エレメント)
54:リンクプレート
58:樹脂製被膜
60:接触面
Claims (11)
- 動力伝達のために溝幅が可変の一対の可変プーリ間に巻き掛けられるベルト式無段変速機用の伝動ベルトであって、
基材としての50重量%以上の熱硬化性樹脂材料に5〜30重量%の短繊維材および5〜30重量%の粉末材が充填剤として混合された材料で構成され、前記伝動ベルトを構成するエレメントの前記可変プーリと接触する接触面に固着された樹脂製被膜を、備えたことを特徴とするベルト式無段変速機用の伝動ベルト。 - 前記樹脂製被膜は、前記充填剤としての硬質粒子材および自己潤滑剤の少なくとも一つがさらに含まれる材料で構成されたものである請求項1のベルト式無段変速機用の伝動ベルト。
- 前記エレメントは金属製であり、前記可変プーリと接触する接触面に固着される前記樹脂製被膜の基材を構成する前記熱硬化性樹脂材料はフェノール樹脂或いはエポキシ樹脂のいずれかである請求項1または2のベルト式無段変速機用の伝動ベルト。
- 前記短繊維材は、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、銅繊維のうち少なくとも一つを含むものである請求項1乃至3のいずれかのベルト式無段変速機用の伝動ベルト。
- 前記粉末材は、カシューダスト、鉄粉、銅粉、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム・ゴムコートのうち少なくとも一つを含むものである請求項1乃至4のいずれかのベルト式無段変速機用の伝動ベルト。
- 前記充填剤は、前記硬質粒子材としての、アルミナ、シリカ、WC、Cr3C2、SiC、FeCrC、前記自己潤滑剤としての、黒鉛、二硫化モリブデン、四フッ化エチレンのうちの少なくとも一つを含むものである請求項1乃至5のいずれかのベルト式無段変速機用の伝動ベルト。
- 前記樹脂製被膜の厚みは、0.1mm乃至1mmである請求項1乃至6のいずれかのベルト式無段変速機用の伝動ベルト。
- 前記ベルト式無段変速機用の伝動ベルトは、無端環状のフープと、前記エレメントとして該フープに沿って厚さ方向に多数連ねられた厚肉板片状のブロックとを有する無端環状の圧縮式伝動ベルトである請求項1乃至7のいずれかのベルト式無段変速機用の伝動ベルト。
- 前記ベルト式無段変速機用の伝動ベルトは、リンクプレートと、前記エレメントとしての連結ピンを有し、交互に重ねられた該リンクプレートの端部が該連結ピンによって相互に連結されることにより無端環状のリンクチェーンを構成する引張式伝動ベルトである請求項1乃至7のいずれかのベルト式無段変速機用の伝動ベルト。
- 動力伝達のために溝幅が可変の一対の可変プーリ間に巻き掛けられるベルト式無段変速機用の伝動ベルトであって、
基材としての熱硬化性樹脂材料に短繊維材および粉末材を充填剤として混合された材料で構成され、前記伝動ベルトを構成するエレメントの前記可変プーリと接触する接触面に固着された樹脂製被膜を備え、
前記エレメントは金属製であり、前記プーリと接触する前記接触面に、突起、窪み或いは凹凸が形成され、
前記樹脂製被膜は、該突起、窪み或いは凹凸の上に固着させられたものであることを特徴とするベルト式無段変速機用の伝動ベルト。 - 動力伝達のために溝幅が可変の一対の可変プーリ間に巻き掛けられるベルト式無段変速機用の伝動ベルトであって、
基材としての熱硬化性樹脂材料に短繊維材および粉末材を充填剤として混合された材料で構成され、前記伝動ベルトを構成するエレメントの前記可変プーリと接触する接触面に固着された樹脂製被膜を備え、
前記エレメントは金属製であり、前記プーリと接触する前記接触面には孔部が形成されるとともに、その孔部が形成された接触面とそれに略垂直に隣接する面には該孔部に通じる第二孔部が形成され、
前記樹脂製被膜は、その材料が射出成形により前記孔部と前記第二孔部の内部を満たすように流入させられることにより、その接触面とそれに略垂直に隣接する面に固着させられると同時に、上記孔部および第二孔部内に流入させられた材料と一体とさせられたものであることを特徴とするベルト式無段変速機用の伝動ベルト。
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