JP3729576B2 - 発酵配合飼料とその製造方法並びに用途 - Google Patents

発酵配合飼料とその製造方法並びに用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術的分野】
本発明は、発酵配合飼料とその製造方法並びに用途に関し、更に詳細には、大豆由来飼料材料に対して、フィチン分解作用を有する小麦破砕物を固形物当たり等量以上配合し、これを湿潤状態で乳酸発酵させ得られる発酵配合飼料とその製造方法並びに用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大豆加工産業は、益々隆盛になり、多種の食品材料や加工食品を豊富に提供するようになってきた。その隆盛につれて、生産過程で排出される、例えば、脱脂大豆、大豆煮汁、おから、豆腐廃液などの副産物は、その種類、量ともに急増してきた。この副産物は、飼料材料として一部利用されているものの、その大半は廃棄物として埋立地や海洋などに廃棄されているのが現状であり、今や環境汚染が懸念される程である。
【0003】
一方、近年、養豚、養鶏、育牛、酪農などその経営規模を拡大している畜産業が必要としている飼料用穀類は、海外から大量に輸入されており、これに代えて、前記の大豆加工副産物を飼料材料として更に有効に利用することが望まれる。しかしながら、脱脂大豆、おからなどの大豆由来飼料材料は、多量のフィチンを含んでおり、飼料中へのフィチンの共存は、フィチン自体が持っているリンの利用、吸収が低いのみならず、カルシウム、鉄、銅、亜鉛などの必須ミネラルの吸収を阻害し、飼料の価値を著しく低減することが知られており、これをフィターゼで分解させることが考えられる。
【0004】
これに関して、特開平6−319539号公報には、「フィターゼは植物から微生物、特に真菌類、に広く分布している酵素であるが、単胃の動物では、腸内に、ほとんど微量にしか存在していない。植物由来のフィターゼはpH安定性に欠け、触媒活性を示すpHの範囲が狭い。そのため単胃の動物の消化管の中で急速に不活化し、生体内効率は低い。それ故、家畜用複合飼料の調製における、植物由来フィターゼの重要性は低い。」と記載されている。
【0005】
従って、大豆由来飼料材料に含まれるフィチンを効果的に分解し、リンの利用効率を向上させ、必須ミネラルの吸収を阻害しない高品質の飼料を確立することが望まれ、併せて、腐敗し易い大豆煮汁、おから、豆腐廃液など大豆由来飼料材料の保存性を高めた高品質の飼料に仕上げることが望まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、大豆加工産業副産物として大量に排出されている脱脂大豆、おからなどの大豆由来飼料材料を用いて、フィチン含量を低減させた高品質の配合飼料とその製造方法を提供するものであり、また、該飼料の畜産業への用途を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために、配合材料として植物由来材料、とりわけ、穀類由来飼料材料の配合に着目し、鋭意研究を続けてきた。その結果、意外にも、大豆由来飼料材料に対して、フィチン分解作用を有する小麦破砕物を固形物当たり等量以上、望ましくは、1.5倍量以上配合し、これを湿潤状態で乳酸発酵させることにより、フィチン含量を低減させた高品質の発酵配合飼料の得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0008】
本発明に使用される大豆由来飼料材料としては、例えば、脱脂大豆、大豆煮汁、おから、豆腐廃液、廃棄豆乳、廃棄豆腐及び大豆乳清から選ばれる1種又は2種以上が利用され、フィチン分解作用を有する小麦破砕物としては、フィターゼ活性を有する、例えば、圧扁小麦、小麦粉、末粉及び小麦麩から選ばれる1種又は2種以上が利用される。本発明において、大豆由来飼料材料とフィチン分解作用を有する小麦破砕物とを配合するには、大豆由来飼料材料に対して、フィチン分解作用を有する小麦破砕物を固形物当たり等量以上、望ましくは、1.5倍量以上配合させ、フィチン分解作用を充分働かせるとともに栄養バランスを向上させるのが好適である。
【0009】
また、本発明の発酵配合飼料の製造に際しては、大豆由来飼料材料及びフィチン分解作用を有する小麦破砕物は、飼料のカロリー給源としても適しており、できるだけ多量含有せしめるのが有利であり、通常、固形物当たり合計で50w/w%(以下、本明細書では特にことわらない限り、w/w%を%と略記する。)以上、望ましくは、60%以上配合し、必要に応じて、これに他の飼料材料を配合して製造するのが好適である。他の飼料材料としては、例えば、菌床粕、醤油粕、澱粉粕、酒粕、焼酎粕、ビール粕、ビートパルプ、コーングルテンフィード、菜種粕、落花生粕、フィッシュミール、フェザーミール、血粉、乳清などの食品産業副産物、バガス、とうもろこし幹、稲わら、麦わら、綿実、落花生殻、野菜くず、果実くず、おがくず、樹皮などの農産廃棄物、糖蜜、砂糖、乳糖、ぶどう糖、麦芽糖、デキストリン、小麦破砕物中の澱粉を部分的に糖化したもの、澱粉などの糖質、骨粉、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リン酸塩、鉄塩、銅塩、亜鉛塩、コバルト塩などのミネラル、水溶性ビタミン、脂溶性ビタミンなどのビタミン類などから適宜選ばれ、その配合時期としては、乳酸発酵前が望ましいが、必要に応じて、乳酸発酵後に配合してもよい。
【0010】
本発明において、乳酸発酵時の湿潤状態としては、乳酸菌が乳酸発酵しうる水分を下限とし、かつ、得られる発酵配合飼料から栄養物含有溶液が流出しないまでの水分量を含有すればよく、一般的には、水分を約40乃至90%、望ましくは、約45乃至80%、保存性を重視するならば約45乃至60%の比較的低水分が好適である。水分の給源には、通常、液状の大豆煮汁、豆腐廃液、廃棄豆乳、大豆乳清などが、更には高水分のおから、廃棄豆腐などが有利に利用でき、必要に応じて、適量の水を加えればよい。
【0011】
本発明において、乳酸発酵を行う工程は、乳酸発酵させ配合飼料材料のpHを酸性側、望ましくは、小麦破砕物中に含まれるフィチン分解作用がよく働くpH5付近又はそれ以下のpH域を確保し、大豆由来飼料材料中のフィチンを分解させる重要な工程である。具体的に述べれば、乳酸菌が生育できる温度、例えば、約15乃至50℃の品温が確保できる場合には、湿潤状態の配合飼料材料に、通常、乳酸菌培養物を約0.1乃至5%接種し、環境温度下で、例えば、プラスチックシートでカバーするか、フレキシルバッグに詰めるか、ラッピングするかなどして嫌気的条件に保って約2乃至5日間乳酸発酵させれば、目的の高品質発酵配合飼料を製造することができる。
【0012】
冬季のように、外気温が低く、そのままでは乳酸菌の生育が困難な場合には、湿潤状態の配合飼料材料を、まず、約1乃至2日間好気的に保って発熱発酵させ、次いで嫌気的に保って乳酸発酵させることにより、目的の高品質発酵配合飼料を約2乃至7日間の比較的短期間に製造することができる。
【0013】
乳酸菌の接種方法としては、該乳酸菌が増殖できる接種方法であればよく、その方法は問わない。例えば、いずれかの飼料材料に接種し、次いで他の飼料材料と混合した後、乳酸発酵させてもよいし、すべての飼料材料を混合し得られる配合物に接種して乳酸発酵させてもよい。本発明に用いる乳酸菌としては、公知のエンテロコッカス属、ラクトバシラス属、ペディオコッカス属及びストレプトコッカス属から選ばれる1種又は2種以上の乳酸菌が適宜用いられる。先に、本発明者らが見いだしたエンテロコッカス・ファエシウム HL−5 FERM BP−4504は、耐熱性、耐塩性、耐アルカリ性に優れ、広範囲の環境下で生育可能であり、とりわけ、アルカリ処理農産廃棄物を粗飼料材料として用いる配合飼料の乳酸発酵時に有利に利用できる。
【0014】
本発明で得られた発酵配合飼料は、ミネラル吸収を阻害するフィチンがよく分解され、吸収、利用し易いリンの供給源となるばかりでなく、飼料中のカルシウム、鉄、銅、亜鉛、コバルトなどの必須ミネラルの吸収が良好になることから、単胃動物用飼料としても、又、反すう動物用飼料としても有利に利用できる。また、本発明の発酵配合飼料は、乳酸酸性で保存性も高く、嗜好性も高い。必要ならば、その保存性を更に高めるために、通風乾燥、加熱乾燥などによりその水分を40%未満、望ましくは30%未満に低減させて、保存し又は遠方に移送して家畜に投与し利用することも有利に実施できる。このようにして得られた本発明の発酵配合飼料は、フィチン含量を低減した消化性の良い、嗜好性の高い高品質の飼料である。
【0015】
この発酵配合飼料は、主として、豚、家禽などの単胃動物用飼料として用いられるが、必要に応じて、食品産業副産物又は農産廃棄物から選ばれる適宜の粗飼料材料を配合して反すう動物用飼料としても有利に用いられる。とりわけ、ミネラル吸収阻害を抑制した飼料として好適である。また、整腸作用、感染予防作用、糞の悪臭予防作用などを発揮する飼料としても有利に用いることができる。豚の場合、発酵配合飼料の種類、豚の成長段階によっても異なるが、例えば、体重約80kgとすると、通常、本発酵配合飼料を1日、1頭当たり約5乃至6kg摂取し、その体重増加量は約0.7kg以上、好適時には、約0.84kg以上にも達する。目的動物の種類、成長段階の違いなどによって、本発酵配合飼料に、更に他の栄養源を配合して利用することも有利に実施できる。
【0016】
以下、実験で本発明を詳細に説明する。
【0017】
【実験1】
〈各種穀類由来飼料材料による大豆由来飼料材料に含まれるフィチンの分解〉
各種穀類由来飼料材料を用いて、大豆由来飼料材料に含まれるフィチンの分解作用を比較した。脱脂大豆固形物当たり1重量部に対し、米糠、圧扁えんばく、圧扁こうりゃん、圧扁もろこし、圧扁とうもろこし、圧扁小麦、末粉、小麦粉又は小麦麩を固形物当たりそれぞれ2重量部ずつ配合し、これに0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)を加えて、水分約80%とし、35℃で16時間反応させ、100℃に10分間加熱して酵素反応を止めた。本品に含まれる全リン量及びフィチン態リン量を、『オフィシャル・メソッズ・オブ・アナリシス(Official Methods of Analysis)』、第15版、第964.06号及び第986.11号、AOAC社出版(1990年)に記載の方法に準じて測定した。対照として、反応始発時のものを同様に処理し、本品に含まれる全リン量及びフィチン態リン量を同様に測定した。非フィチン態リン量は、全リン量からフィチン態リン量を差し引いて求めた。各種穀類飼料材料のフィチン分解作用の強さは、16時間反応で増加した小麦麩の場合の非フィチン態リン量を100として相対値で評価した。結果は、表1に示す。
【0018】
【表1】
Figure 0003729576
【0019】
表1の結果から明らかなように、大豆由来飼料材料中に含まれるフィチンは、各種穀類飼料材料のうち、とりわけ、圧扁小麦、末粉、小麦粉、小麦麩など小麦破砕物により強力に分解されることが判明した。
【0020】
【実験2】
〈大豆由来飼料材料に含まれるフィチンを分解するための小麦破砕物配合比の影響〉
大豆由来飼料材料に含まれるフィチンをよく分解させるため、大豆由来飼料材料とフィチン分解作用を有する小麦破砕物との配合比を調べた。実験1の方法に準じて、脱脂大豆固形物当たり1重量部に対し、小麦麩を固形物当たり0、0.2、0.5、1.0、1.5、2.0又は4.0倍量を配合し、0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)を加えて、水分約80%とし、35℃で16時間反応させ、次いで実験1と同様に、加熱して酵素反応を止め、これに含まれる全リン量及びフィチン態リン量を測定した。小麦麩に含まれるフィチン分解作用は、実験1と同様に、16時間反応で増加した非フィチン態リン量を算出し、小麦麩4.0倍量の場合を100として相対値を求めた。結果は表2に示す。
【0021】
【表2】
Figure 0003729576
【0022】
表2の結果から明らかなように、大豆由来飼料材料に含まれるフィチンをよく分解するためには、大豆由来飼料材料に対して、フィチン分解作用を有する小麦破砕物を、固形物当り等量以上、望ましくは、1.5倍量以上配合させるのが好適である。
【0023】
【実験3】
〈大豆由来飼料材料と小麦破砕物とを含む配合飼料に与える乳酸発酵の影響〉
おから15.1重量部、豆腐廃液32.0重量部、小麦麩14.9重量部、末粉25.4重量部、菌床粕5.8重量部及び醤油粕5.8重量部をよく混合して水分約54%の配合物とし、これに、乳酸菌として、エンテロコッカス・ファエシウム HL−5 FERM BP−4504の種培養物を1%加えて更に混合し、20kgずつポリ袋に充填、密封して嫌気的条件とし、25℃で5日間乳酸発酵させ、pH約4の発酵配合飼料を得た。対照として、乳酸菌接種直後の配合飼料を100℃、30分間加熱し、これを冷凍貯蔵し、未発酵の配合飼料とした。両配合飼料を用いて、実験1の方法に準じて、固形物当たり全リン量及びフィチン態リン量を測定し、非フィチン態リン量を算出した。結果は表3に示す。
【0024】
【表3】
Figure 0003729576
【0025】
表3の結果から明らかなように、フィチンを含有する大豆由来飼料材料とフィチン分解作用を有する小麦破砕物との配合物を乳酸発酵させることにより、フィチン態リンを分解し非フィチン態リン量を高めた高品質の飼料の得られることが判明した。なお、本発酵配合飼料は、嫌気条件を保ってさえおれば、その高品質を長期に維持できる。
【0026】
【実験4】
〈発酵配合飼料給餌による肥育試験並びに糞に与える影響〉
実験3の方法で製造した発酵配合飼料を用いて、豚の肥育試験を行った。対照として、実験3で調製した未発酵配合飼料及び市販のカネニ印肉豚用配合飼料(商品名『エスエルスリー』、岡山県玉野市、中国飼料合資会社製造)を用いた。肥育用豚は、5ケ月令の平均体重約75kgの交雑種(LW・D)豚18頭を6頭ずつ3群に分け、1日1頭につき、飼料摂取量が固形物当たり2.44kgになるように、それぞれ、本発明の発酵配合飼料5.30kg、対照の未発酵飼料5.30kg、及び対照の配合飼料2.77kgを給餌し摂取させて肥育試験を3週間行った。なお、水は自由摂取とした。また、試験開始2週目の糞に含まれるアンモニア濃度、総腐敗物質を測定し、飼料の違いを比較した。アンモニア濃度は、『第十一改正 日本薬局方解説書』、第B−7乃至B−11頁(1986年)に記載されている「アンモニウム試験法」に準じて測定し、総腐敗物質濃度は、イチロウ・ヨシハラ(Ichiro Yoshihara)、『アグリカルチュラル・バイオロジカル・ケミストリー(Agricultural Biological Chemistry)』、第45巻 、第8号、第1873乃至1875頁(1981年)に記載されている方法に準じて、フェノール、p−クレゾール、4−エチルフェノール、インドール及びスカトールの濃度を測定し、合計した。結果は表4に示す。
【0027】
【表4】
Figure 0003729576
【0028】
表4の結果から明らかなように、平均体重増加量については、本発明の発酵配合飼料は、対照の未発酵の配合飼料よりも明らかに優れているばかりか、市販の配合飼料の場合と比較しても何ら見劣りせず、むしろ、嗜好性、消化性が良好で、結果として、肥育効果に優れている。
【0029】
また、糞に含まれるアンモニア濃度及び総腐敗物質濃度については、本発明の発酵配合飼料は、いずれの点においても、未発酵の配合飼料及び市販の配合飼料の場合とは違って、明らかに低濃度であり、家畜の健康状態を良好にすることが判明し、加えて、畜舎の環境改善、悪臭防止に貢献できることも判明した。また、本発明の発酵配合飼料で飼育した豚を解体して調べたところ、肉質はきわめて良好であった。
【0030】
以下、本発明を実施例で説明する。
【0031】
【実施例1】
おから21.2重量部、豆腐廃液15.5重量部、小麦麩10.5重量部、末粉21.0重量部、菌床粕27.3重量部及び醤油粕4.5重量部を混合して水分約53%の配合物とし、これにエンテロコッカス・ファエシウム HL−5 FERM BP−4504の種で培養物を接種し、これをプラスチックシートでカバーでして室温下で3日間乳酸発酵させ発酵配合飼料を作った。
【0032】
本品は、フィチン含量を低減した消化性、嗜好性良好な高品質の飼料であり、豚、家禽などの単胃動物用飼料として好適である。また、この発酵配合飼料に農産廃棄物などの粗飼料材料や他の栄養源などを配合して、反すう動物用飼料を製造することも有利に実施できる。
【0033】
【実施例2】
おから24.8重量部、豆腐廃液13.6重量部、小麦麩13.6重量部、末粉20.4重量部、アルカリ処理広葉樹おがくず23.7重量部及び醤油粕3.9重量部を混合して水分約52%の配合物とし、これに、エンテロコッカス・カッセリフラブス IFO 3531の種培養物をそれぞれ接種し、実施例1と同様に乳酸発酵させ、発酵配合飼料を作った。本品は、フィチン含量を低減した消化性、嗜好性良好な高品質の飼料であり、豚、家禽などの単胃動物用飼料として好適である。また、この発酵配合飼料に農産廃棄物などの粗飼料材料や他の栄養源などを配合して反すう動物用飼料を製造することも有利に実施できる。
【0034】
【実施例3】
末粉5重量部に水5重量部を加え、加熱して末粉に含まれる澱粉質を糊化し、これに小麦麩5.2重量部を混合し、60℃に16時間保って小麦麩に含まれるアミラーゼで糖化を進め、これに、脱脂大豆6重量部、小麦麩10.1重量部、末粉20重量部、ビートパルプ6.8重量部、ビール粕5.8重量部及び水36.1重量部を混合して水分約52%の配合物とし、更に、これにエンテロコッカス・フェカリス IFO 3971及びラクトバシラス・ブレビス IFO 3345の種培養物をそれぞれ接種し、フレキシブルバッグに充填、密封して室温下で3日間乳酸発酵させて発酵配合飼料を作った。
【0035】
本品は、フィチン含量を低減した消化性、嗜好性良好な高品質の飼料であり、豚、家禽などの単胃動物用飼料として好適である。また、この発酵配合飼料に、農産廃棄物などの粗飼料材料や他の栄養源などを配合して反すう動物用飼料を製造することも有利に実施できる。
【0036】
【実施例4】
おから17重量部、豆腐廃液36重量部、小麦麩11重量部、末粉25重量部、甘藷澱粉粕6重量部及び蜜柑粕5重量部を混合して水分約53%の配合物とし、そのままの好気的条件下で24時間放置して発熱発酵させ、これにエンテロコッカス・ファエシウム HL−5 FERM BP−4504の種培養物を接種し、フレキシルバッグに充填、密封して室温下で5日間発酵させて発酵配合飼料を作った。
【0037】
本品は、フィチン含量を低減した消化性、嗜好性良好な高品質の飼料であり、豚、家禽などの単胃動物用飼料として好適である。また、この発酵配合飼料に農産廃棄物などの粗飼料材料や他の栄養源などを配合して、反すう動物用飼料を製造することも有利に実施できる。
【0038】
【実施例5】
実施例2の方法で作った発酵配合飼料を熱風乾燥して、水分約20%の乾燥発酵配合飼料を作った。本品は、フィチン含量を低減した消化性、嗜好性良好な高品質の飼料で、その保存性もよく、遠方への移送にも適している。
【0039】
【発明の効果】
上記から明らかなように、本発明の発酵配合飼料は、フィチンを含有する大豆由来飼料材料に対してフィチン分解作用を有する小麦破砕物を固形物当たり等量以上、望ましくは1.5倍量以上配合し、これを湿潤状態で乳酸発酵し、得られるもので、ミネラル吸収を阻害するフィチンを分解し、その含量が低減していることにより必須ミネラルの吸収が阻害されず、消化性が高く、嗜好性の高い高品質の飼料で、単胃動物用飼料としても、又、反すう動物用飼料としても好適である。
【0040】
本発明は、単に廃棄物処理に困っている大豆加工業者や高価な飼料に悩む畜産業者を救うにとどまらず、その影響は、穀類加工産業、飼料産業、畜産加工産業など広範に及ぶ。更に、これを大きく地球規模からながめたとき、ヒトの食糧と全く競合せず、毎年大量に排出される食品産業廃棄物から新たに、人の食糧となる畜肉製品、乳製品などを大量に提供することとなり、正に、環境破壊、人工爆発、食糧危機などの難題をかかえている地球の未来を救う新技術の確立と言っても過言ではなく、その影響の大きさは計り知れない。

Claims (12)

  1. 大豆由来飼料材料に対して、フィチン分解作用を有する小麦破砕物を固形物当たり等量以上配合し、これを湿潤状態で乳酸発酵させ得られるフィチン含量を低減させた発酵配合飼料。
  2. 大豆由来飼料材料が、脱脂大豆、大豆煮汁、おから、豆腐廃液、廃棄豆乳、廃棄豆腐及び大豆乳清から選ばれ、フィチン分解作用を有する小麦破砕物が、圧扁小麦、小麦粉、末粉及び小麦麩から選ばれる請求項1載の発酵配合飼料。
  3. 大豆由来飼料材料に対して、フィチン分解作用を有する小麦破砕物を固形物当たり等量以上配合し、これを湿潤状態で乳酸発酵させることを特徴とするフィチン含量を低減させた発酵配合飼料の製造方法。
  4. さらに他の食品産業副産物、農業廃棄物、糖質、ミネラル及びビタミンから選ばれる1種又は2種以上を配合することを特徴とする請求項記載の発酵配合飼料の製造方法。
  5. 乳酸発酵させる工程が、嫌気的に保って乳酸発酵させるか、又は、予め好気的に保って発熱発酵させ、次いで嫌気的に保って乳酸発酵させることを特徴とする請求項3又は4記載の発酵配合飼料の製造方法。
  6. 乳酸発酵が、エンテロコッカス属、ラクトバシラス属、ペディオコッカス属及びストレプトコッカス属から選ばれる1種又は2種以上の乳酸菌を接種して乳酸発酵させることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の発酵配合飼料の製造方法。
  7. エンテロコッカス属に属する乳酸菌が、エンテロコッカス・ファエシウムHL−5 FERM BP−4504である請求項記載の発酵配合飼料の製造方法。
  8. 発酵配合飼料が、単胃動物用及び/又は反すう動物用飼料である請求項3乃至7のいずれかに記載の発酵配合飼料の製造方法。
  9. 大豆由来飼料材料に対して、フィチン分解作用を有する小麦破砕物を固形物当たり等量以上配合し、これを湿潤状態で乳酸発酵させることを特徴とする発酵配合飼料中のフィチン含量の低減方法。
  10. 乳酸発酵させる工程が、嫌気的に保って乳酸発酵させるか、又は、予め好気的に保って発熱発酵させ、次いで嫌気的に保って乳酸発酵させることを特徴とする、請求項記載のフィチン含量の低減方法。
  11. 大豆由来飼料材料に対して、フィチン分解作用を有する小麦破砕物を固形物当たり等量以上配合し、これを湿潤状態で乳酸発酵させ得られるフィチン含量を低減させた発酵配合飼料を家畜に与えて飼育することを特徴とする家畜の飼育方法。
  12. 大豆由来飼料材料が、脱脂大豆、大豆煮汁、おから、豆腐廃液、廃棄豆乳、廃棄豆腐及び大豆乳清から選ばれ、フィチン分解作用を有する小麦破砕物が、圧扁小麦、小麦粉、末粉及び小麦麩から選ばれることを特徴とする請求項11記載の家畜の飼育方法。
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