JP3729363B2 - 家屋 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は高断熱・高気密構造で、かつ新鮮空気と汚染空気を熱交換型換気扇(熱交換器)によって強制的に空気の交換を行う外断熱構造の家屋において、換気と冷暖房のバランスを向上させることにより居住性、経済性を大幅に向上させた家屋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気循環により換気と冷暖房を同時に行い、かつ各空間ごとの温度の調節を行う家屋を構成するには、熱交換器を介して取り入れた空気に温度調節を施した後、パイプを介して各空間に分配し、再びパイプによって所定箇所から排気する方法があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した方法では、配管の便宜上、給気、排気を共に天井面によって行わねばならず、室内空間に対する温度の調節はある程度可能となるが、同一空間内における温度分布に斑が生じるという欠点があった。また、温度分布を均一にするためには給気と排気をそれぞれ天井側と床側に分離しなければならず、配管が複雑で工期が長引き、かつコスト高になるという欠点があった。さらに、パイプ内の空気とその周囲の空気との間の温度差によりパイプ外周に結露が生じ易く、またパイプが長くなるにつれて調節された温度がパイプの末端では変化してしまうことから、パイプ外周面全体に断熱材を施す必要があった。なお、冷暖房に必要とされる空気の供給量は、排気に必要とされる空気の供給量に比べて多く必要とされることから、換気を主体とすれば冷暖房による室温コントロールがうまくいかず、各室の冷暖房をコントロールしようとすると換気量のバランスが取れないものであり、効率が悪いと同時に、パイプ内の風切り音等により快適性を損なうものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記のような欠点を除去するため、家屋を小屋裏空間、室内空間、床下空間からなり、かつ、小屋裏空間と床下空間を内壁、外壁間の壁内空間にて連通化して形成し、各空間を囲んでいる屋根、外壁、土間に断熱層を形成すると共に、内壁の少なくとも窓下に壁内空間と室内空間を結ぶ給気口を配し、かつ室内空間の天井の少なくとも1ケ所に家屋内に配された熱交換器と連結した排気口を設け、排気は排気口から室内空間の空気を熱交換器を介して外部へ放出することにより行い、かつ給気は外部から取り入れ熱交換器を介して排気との熱交換を経た空気に、温度調整器による温度調整、あるいは小屋裏空間内の空気もしくは室内空間からの空気と適宜混合等による温度調整を施して床下空間に放出することにより行い、また床下空間は布基礎にて2つ以上の空間に分離され、各空間ごとに給気の供給量を調節可能とすることによって、各室内空間内における温度の均一化と共に各室内空間ごとの温度調節を可能とし、設備が簡素なため施工が容易でかつローコストで施工でき、換気と冷暖房のバランスに優れた家屋を提案するものである。
【0005】
【実施例】
以下に、図面を用いて本発明に係る家屋について詳細に説明する。図1は本発明に係る家屋Aの代表的な一実施例を示す説明図であり、1は小屋裏空間、2は室内空間、3は床下空間で、それぞれ内壁10、天井11、床12によって区切られた家屋Aの内部空間である。
【0006】
室内空間2は内壁10、天井11、床12によって囲まれた空間で、例えば開口部9の下部に給気口13を、天井11には排気口14を有するものであり、給気口13からは新鮮な空気の給気を、排気口14からは汚れた空気の排気を行うものである。
【0007】
4は断熱層で少なくとも家屋Aの内部と外部の熱の出入を遮断するものであり、副次的に防音性、気密性、防火性、調湿性、等を有するものである。さらに説明すると、断熱層4は屋根断熱層4aと外壁断熱層4b、および床断熱層4cとからなり、それぞれボード状、マット状、シート状のもの、あるいは屋根材、外壁材と一体になっているもの、等がある。
【0008】
断熱層4を構成する部材の例としては、ポリスチレンボード、ポリウレタンボード、ポリイソシアヌレートフォームボード、フェノールフォームボード、シージングボード、シージングインシュレーションボード、ALC板、石膏ボード、セメント板、パーラート板、パーライトセメント板、木片セメント板、木毛セメント板、グラスウールマット等、もしくはこれらの複合板等であり、これらの表面に金属製屋根材、瓦等を配することによって屋根を、また金属系パネル、タイル、窯業系パネル、ALC板、等を配することにより外壁を形成するものである。また、表面材と断熱芯材および必要に応じて裏面材とを一体に形成した金属製複合パネル、窯業系パネル、ALC外装パネル、木片セメントパネル、木毛セメントパネル、等を用いることもでき、これらを主柱、間柱等の躯体上に配することによって屋根断熱層4a、外壁断熱層4b、床断熱層4cを形成するものである。
【0009】
5は壁内空間で、外壁断熱層4bと内壁10間に設けたもので、小屋裏空間1と床下空間3とを連通化し、空気が流れる空間であり、冬期においては空気吹出部8から吹き出した空気が上昇する経路となる。なお、図では開口部9により床下空間3と小屋裏空間1が分断されているように図示されているが、開口部9以外の部分の壁内空間5で連通化しているものである。
【0010】
6は温度調整器で、例えば空調器からなるものであり、通過する空気に石油、ガス、電気、地熱、太陽熱、等により加熱を施したり、電気、水、空気、地熱、放射冷却の利用、等により冷却したりして空気の温度の調節を行うものである。
【0011】
熱交換器7は、例えば図2に示すような構成を有するものである。すなわち、熱交換器7は、給気パイプ19と排気パイプ20間で熱交換を行うことにより、給気側と排気側の空気の熱交換を行う熱交換ユニット15と、給気パイプ19、排気パイプ20の任意箇所に取り付けられたファン16と、小屋裏空間1内に設けた吸気口17を接続パイプ17aを介して給気パイプ19に接続し、開閉可能とした切換器18とから構成されるものである。
【0012】
熱交換ユニット15は、排気パイプ20から外部に放出される空気と給気パイプ19から家屋A内に取り入れられる空気との間で熱交換を行う部分である。
【0013】
吸気口17は、小屋裏空間1内の任意箇所、もしくは床下空間3内の任意箇所のうち少なくとも一方に設けるものである。吸気口17を小屋裏空間1内に設けることは、暖気を吸収するのに有効であり、小屋裏空間1内においても特に頂部に配することにより、より温度の高い空気を吸収できる。吸気口17を床下空間3内に設けることは、冷気を吸収するのに有効であり、床下空間3内においても特に底部近傍に配することにより、より温度の低い空気を吸収できる。吸気口17は、接続パイプ17aを介して給気パイプ19の任意箇所に配された切換器18に接続され、接続パイプ17aの途中には、必要に応じてファン17bを配することができる。
【0014】
切換器18は、吸気口17にて吸収された暖気もしくは冷気を給気パイプ19内の空気と混合するか否か、およびその混合量を調整する機能を有するものであり、例えば図示しないが吸気口17や給気パイプ19、室内空間2等にセンサーを設けたり、手動で操作したりすることによって暖気、冷気の混合量を調節し、温度調整の効率を高めるものである。
【0015】
空気吹出部8は、例えば図3に示すような構成を有するものである。すなわち、布基礎21によって複数に分割された床下空間3に少なくとも1つずつ吹出口25を設け、給気パイプ19にて導かれる温度調整された新鮮な空気を床下空間3ごとに吹出量を調節しつつ供給し、家屋A内の各室内空間2等の温度を調節し、居住性の向上を図るものである。吹出口25には制御装置26によって制御される調整弁24が取り付けらるもので、床下空間3の各空間ごとに吹出量を調節することにより室内空間2内の温度を調節することができる。なお、制御装置26は、図示するように室内空間2ごとに設けてもよいが、1箇所で集中制御することもでき、手動、自動を任意に選択できる。
【0016】
床下空間3を分断する布基礎21の表面には、床断熱層4cと連続した基礎断熱層23を設けることにより、床下空間3同士の間で熱の移動が生ぜず、温度の調節をより緻密に行うことができるようになるものである。また、図3においては給気パイプ19が土台22、布基礎21内を通過してから吹出口25に至っているが、床12と、土台22および基礎断熱層23との間等から吹出口25に導くこともできる。
【0017】
なお、図示しないが図3中の壁内空間5に対しても吹出口25を設けたり、床下空間3の任意箇所に貯水層や加湿装置等を設け、床下空間3から適度な湿気を家屋A内全体に与え、室内空間2の居住性の向上や、躯体を構成する木材の過度の乾燥の防止を図ることもできる。
【0018】
ここで、本発明の空気の循環について簡単に説明する。まず、給気パイプ19によって外部から取り入れられた新鮮な空気は、熱交換ユニット15によって排気パイプ20から外部に排出される空気と熱交換を行い、次に吸気口17から取り入れた空気を切換器18において適宜混合し、温度調整器6を経て空気吹出部8に至り、各床下空間3ごとに吹出量を調整して放出される。床下空間3は、例えば床下全体を各室内空間2の形状、大きさに合わせて3〜5区画位に分割し、各室内空間2ごとに熱輻射量による冷暖房効果の大小を調節可能としたものである。
【0019】
各床下空間3に拡散された空気は壁内空間5を上昇し小屋裏空間1に至るが、一部は給気口13から室内空間2に供給され、排気口14に至り、室内空間2の換気を行うものである。室内空間2内に取り込まれなかった空気は内壁10、天井11、床12等から、輻射熱によって室内空間2を冷暖房するものである。一般に、暖気によって任意空間の暖房を行う場合に必要とされる暖気の流入出量は、同空間の換気を行う場合の空気の流入出量よりも多く必要とされ、暖気による暖房効果のみでは暖房と換気のバランスが悪く非効率的なものであったが、暖房作用は輻射熱にて得ることにより、室内空間2への給排気は換気に必要とされる量だけで済むものであり、暖房と同時の換気が効率よく行われ、また空気がパイプ内を巡る際の風切り音等による居住性の低下も生じないものである。
【0020】
排気口14から排気パイプ20に取り込まれた空気は熱交換ユニット15にて、外部からの新鮮な空気と熱交換を行った後、外部に排出されるものである。
【0021】
以上説明したのは本発明に係る家屋の一実施例にすぎず、以下に示すように形成することができる。すなわち、図4(a)は、家屋Aの内外の任意箇所に設置される熱源27をパイプ27aにて温度調整器6と接続した例であり、熱源27にはボイラー等を用いることができ、パイプ27a内の水、不凍液、空気等の熱媒体を介して給気パイプ19へ熱を伝達するものである。なお、熱源27は電気、石油、ガス、太陽熱、地熱、廃熱、等を利用するものである。図4(b)は排気パイプ20の任意箇所、例えばファン16と熱交換ユニット15との間に切換器18を設け、接続パイプ29にて給気パイプ19と接続し、排気パイプ20から給気パイプ19へ必要量の空気を移動させて温度調整の効率を向上させた例である。
【0022】
図5(a)は吸気口17を複数個、例えば小屋裏空間1内や床下空間3内の他に、別途の冷気もしくは暖気の蓄熱層等内に設け、切換器17cによって吸気口17を選択し、季節や家屋A内の設定温度に応じて切換可能として温度調整効果を向上させるものである。また、図5(b)は吸気口17から吸気された空気を温度調整器6によって任意温度に温度調整し、床下空間3に直接放出するもので、温度の調節を容易にした例である。
【0023】
【発明の効果】
上述したように、本発明に係る家屋によれば、▲1▼布基礎ごとに区切られた床下空間ごとに暖気の吹出量を調節することにより、各室内空間ごとに温度を調節できる。▲2▼床、内壁、天井からの輻射熱により、1つの室内空間における温度は均一化され、快適な居住性を得られる。▲3▼冷暖房と換気を同時に効率よく行うことができる。▲4▼配管等の施工が簡素で、かつ廉価である。▲5▼家屋内に溜まった空気を給気と混合することにより、冷暖房効果がより向上する。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る家屋の代表的な一例を示す説明図である。
【図2】熱交換器の代表例を示す説明図である。
【図3】空気吹出部の代表例を示す説明図である。
【図4】熱交換器のその他の例を示す説明図である。
【図5】熱交換器のその他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
A 家屋
1 小屋裏空間
2 室内空間
3 床下空間
4 断熱層
4a 屋根断熱層
4b 外壁断熱層
4c 床断熱層
5 壁内空間
6 温度調整器
7 熱交換器
8 空気吹出部
9 開口部
10 内壁
11 天井
12 床
13 給気口
14 排気口
15 熱交換ユニット
16 ファン
17 吸気口
17a 接続パイプ
17b ファン
17c 切換器
18 切換器
19 給気パイプ
20 排気パイプ
21 布基礎
22 土台
23 基礎断熱層
24 調整弁
25 吹出口
26 制御装置
27 熱源
27a パイプ
28 切換器
29 接続パイプ
Claims (1)
- 小屋裏空間、室内空間、床下空間からなり、かつ、小屋裏空間と床下空間を内壁、外壁間の壁内空間にて連通化した家屋において、前記空間を囲んでいる屋根、外壁、土間に断熱層を形成すると共に、前記内壁の少なくとも窓下に壁内空間と室内空間を結ぶ給気口を配し、かつ前記室内空間の天井の少なくとも1ケ所に家屋内に配された熱交換器と連結した排気口を設け、排気は該排気口から室内空間の空気を熱交換器を介して外部へ放出することにより行い、かつ給気は外部から取り入れ熱交換器を介して排気との熱交換を経た空気に、温度調整器による温度調整、あるいは小屋裏空間内の空気もしくは室内空間からの空気と適宜混合等による温度調整を施して床下空間に放出することにより行い、また床下空間は布基礎にて2つ以上の空間に分離され、各空間ごとに給気の供給量を調節可能としたことを特徴とする家屋。
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