JP3727681B2 - ビーム拡大用レンズ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は光学要素、例えばビームの拡大用、特にレーザのビームの拡大用のレンズに関し、特に、単一の光学要素であって幾つかのセグメントから成り、該セグメントの各個が、頂縁部において比較的小なる半径をもつプリズムに類似しており1次元円錐と表現されることができる1次の面を有するもの、に関する。
【0002】
【従来の技術】
機械による映像産業は、普通には、物体の精密な位置合わせ用および3次元形状の決定用のレーザビーム投射システムを用いる。レーザ線のパターンが対象物に投射されその結果得られるビーム偏向が表面形態を決定するのに用いられる。レーザビームはレーザの前面へ円筒状レンズを設置することにより容易に1つのラインへ拡大されることができるが、代表的な正規分布形のレーザビームをレンズのシリーズへ拡大することは、投射ラインに沿って強度の正規分布を生じさせる。このことは、普通に用いられるシリコン検出器についての限界形成の問題を生じさせる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
Powellに付与された米国特許第4826299号は、単一の光学要素であって、均一な強度のレーザのラインを投射する単一の光学要素を記述しており、これは、四折格子と組合わされて、そのようなラインのグリッドを投射するのに用いられることができる。
【0004】
このパウエルによる光学要素は有用ではあるが、試験対象の物体についてより多くの情報を得るためには、レーザビームを少くとも2つの交差する方向に投射することが好適である。このような用途のためには、また精密な位置合せの目的のためには、レーザの交差が望ましい。交差形のビームの分布を実現するのに普通に用いられる方法は、レーザビームをマスク上に映像形成するのにレンズを用い、光の多くの部分を除去することを包含する。しかし、これらのシステムは、複雑なものであり、また、投射されるラインの長さに沿う不均一性の影響を受ける。
【0005】
本発明の1つの目的は、ビーム、特にレーザのビームの拡大用の新しいレンズを提供することにある。
本発明の他の1つの目的は、レーザビームを均一な交差状、他の星状、または複数腕状に拡大することができる新しいレンズを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
簡潔に述べると、本発明による光学要素は、円筒状のセグメントの複数個(4個であることが好適ではあるが必須ではない)であって該円筒状のセグメントはその円筒の軸が単一の平面内において実質的に均一な星状または部分的に星状の配置を形成するよう相互に結合されている。各セグメントは少くとも2つの表面、すなわち1次と2次の表面を有する。1次の表面は比較的に尖鋭な頂縁部を有し(x,y,z)直交座標系において、下記の関係式で規定される曲線に一致するよう形状づけられ:
z=cy2 /〔1+{1−(1+Q)c2 2 1/2
ここに、zとyはxから独立しており、cは頂点における曲率であり、Qは−1より小なる円錐定数である。
【0007】
「比較的に尖鋭」という規定は、小なる曲率半径であることをあらわし、下記において説明される。これは米国特許第4826299号におけるものと同じである。
頂縁部の交差は1つの頂点を規定する。光学要素がビーム投射器、これは拡大器として知られているものであるが、として用いられていると、ビームは、頂点に指向されて結果としての光学的ラインの適正な分布(拡大)を実現すべきである。
【0008】
本発明による光学要素はレーザビームの拡大用として最も効果的であるが、他の、狭い幅の平行ビームと連携して用いられることもできる。
【0009】
【実施例】
図1は、従来形のレーザビームラインの拡大装置であって、単一の2次元光学要素としての、2つの表面すなわち1次の面10と2次の面12をもつ円筒状レンズを用いるもの、を示す。1次面は頂縁部14を有し、レーザビーム16の中心部分を縁部におけるよりもより迅速に発散させるように形状づけられ、それにより、結果として得られるより均一な強度のラインを発生させる。この効果をもたらす表面形状は、頂縁部14における小なる曲率半径と比較的大なる円錐定数を有する。このことは、レーザビームの中心(強度も最も大なる)が小なる曲率半径に遭遇し、それによりビームの外方縁部よりも大なる発散を経験する結果をもたらすが、該ビームの外方縁部は、代表的なガウス分布のレーザビームにおいては、当然のこととして強度が小である。
【0010】
1次の面10の形状はx,y,z直交座標系においては2次元表現:
z=cy2 /〔1+{1−(1+Q)c2 2 1/2
により表現され、ここにyおよびzはxに対し独立しており、cは頂縁部における曲率、Qは円錐定数である。
2次の面は単にレーザラインの発散を増大させるのみであり、均一性には影響を与えない。2次の面は平面状(平坦)であるかまたは凹面円筒状であることが可能である。
【0011】
レンズから1mの距離において20°の発散を有するそのような拡大されたビームの強度分布が図2に示される。図2は、形状のプロットを、図3は従来形の光学要素により拡大されたビームの斜視図的なプロットである。拡大されたビームの輪郭は、比較的良好な均一性を有する。プロットの面積、スループット、および最大強度もまた、図2および図3に示されている。
【0012】
試験によれば、前記の従来形の円筒状レンズに各個がもとづく複数のセグメントを組合わせることにより、均一の発散する十字状またはその他の星状の光学的形状が投射されることができることが確認されている。各セグメントは均一の強度のラインを発生させ、したがって、例えば、図4に示される配置におけるこれらの円筒状要素の4個を組合わせることにより、1つのレーザビームを均一の強度の発散する十字状に拡大することができるレンズを製作することができる。材料と屈折率が与えられると、十字状についての発散の量と均一性は、四分割体の曲率半径と円錐定数によって決まる。
【0013】
図4においては、4個の円筒状の光学的セグメント17が接着され、それにより頂縁部18は頂縁部の交点における頂点20をもったユニフォームな十字形を形成する。
【0014】
図4に示される本発明によるレンズの具体例についての説明が図5および図6を参照しつつ行われる。図5においては、関係式により規定される1次元表面形状および頂縁部における曲率がcであるものが説明される。図6においては、レーザビームの十字形投射装置が説明される。
【0015】
図5に示されるレンズは、4個のセグメントから成る。各セグメントは特定の関係式により規定される1次元円錐である形状を有する。各セグメントは頂縁部ラインを有し、該頂縁部ラインは図ではほとんど不連続状にみえるが、実際には、極度に小なる曲率半径(関係式においてはcとして規定される)と−1より小なる円錐定数(関係式においてはQとして規定される)を有する等式で特定化される円錐形である。
【0016】
図5における個別のセグメントは、実際、1つの方向にのみレンズ倍率を有し他の方向においては単に窓である点において、円筒形である。個別のセグメントは図においては本当に円筒であるようにはみえないが、それは単に、1次元表面形状は、頂縁部ラインにおける曲率半径が厳格であることにより、不連続性を有するようにみえるようなものであるからという理由からである。もし曲率半径がより大であり円錐の厳格さがより小であれば、形状は、実際、より円筒形にみえるはずである。次いで、各光学的に円筒形のセグメントは正確な物理的形状に切断され研摩され、それにより星形または部分的に星形の配置に接着されることが可能になる。
【0017】
本発明を有効化するために実行された試験において、代表的なヘリウム−ネオンレーザであって、最大強度の1/e2 において自然ビーム発散0.8mmを有するものが、図4の要素の中心と位置合せされ(最初に1次の面を接合させる)、それにより、各四分割体は、光の4分の1を受理した。円筒状四分割体の4個を、軸が他に対して直角になるように装着することにより、光の半分は1つの水平ラインへと拡大され、残りの半分は1つの垂直ラインへと拡大される。
【0018】
屈折率1.52(ガラス形のBK7)、曲率半径0.63mm、および円錐係数−7を有するそのような要素の強度分布が図7および図8に示されるが、図7は、形状のプロットをあらわし、その場合に、実線は図面の平面内にある軸に対応し、破線は、他の軸に対応し、図8は、拡大された十字形のビームの斜視図的なプロットをあらわす。プロットの面積、スループット、および最大強度は、図4に示される。十字形は、20°の発散を有する。
【0019】
他の試験においては、光学要素は4個のセグメントであって、各個が屈折率1.52(BK7)、曲率半径2.7mm、および円錐定数−125を有するもの、から成るものであった。レーザおよび光学的配置は最初の試験におけると同様であった。結果として得られた十字形は5°の発散を有していた。
【0020】
本発明による光学要素のセグメントの1次の面の例として理論的に許容可能であるものが、米国特許第4826299号の第16図に示されており、この米国特許は参考として本明細書に組み入れられる。
十字形の場合についての四分割体の位置合せは、臨界的なものであるが、それは2つの対抗する円筒の軸の間の角度的な位置合せ誤差が、明瞭な十字形でなく、二重映像生成の効果をもたらす可能性があるからである。
【0021】
図9は、レーザビーム拡大装置として用いられる、本発明による光学要素またはレンズの単一の円筒状セグメントの代替の実施例を示す。図9は、1次の面を、図4の1次の面と同じ曲率の凹形の面として示す。このもののような四分割体は、相互に90°において接着されて発散する十字形を発生させるようにすることができる。レーザビームが頂縁部(実際のレンズにおける頂点)へ指向され、頂縁部(ビームの中心)においては最大の度合いで、ビームの外側領域においてはより小なる度合いで拡大されること観察することができる。
【0022】
図9のセグメントを用いた本発明の一実施例が図10に示される。
この形態は、図11に示されるように、入来するビームに正面を向けるようにされるか、背面を向けるよう方向づけられるか、のいずれかであることが可能であるが、図11は、レーザビーム拡大装置として用いられる本発明による光学要素を示す。レーザビーム22は、レンズの頂点24へ指向される。レンズは、レンズの面が入射レーザビームに垂直であるように位置づけられることが好適である。
1次の面がビームに直面する場合には、2次の面を平面状でなく凹状であるように設計することにより、発散を増大させることが可能である。
【0023】
図4の実施例においては、セグメントの1次の面と2次の面は、頂縁部において相互に最も離隔している。図9および図10の実施例においては、これらの面は頂縁部において相互に最も接近している。前記の2つの形式のセグメントが組合わされている要素を製造することを考慮することも可能である。
【0024】
光学要素が十字形状の形態、すなわち、単一の平面内に均一に分布する4個のセグメントから成るもの、を有することは必要ではない。図12において概略的に実線で表示されるセグメントの数は、相異なっている、例えば、図12に示されるように2,3,5または6である、ことが可能である。図12における2セグメントのV形配置が部分的に星状の配置を構成すること、が注意されるべきである。拡大されたビームの強度の均一性は、4個のセグメントの場合と全く同様に良好であるとはいえないが、許容可能といえるものである。
【0025】
セグメントの数は、製造上の問題によってのみ制限される。明らかなことであるが、セグメントの数が多いほど、各拡大されたアームの強度はより小となるが、それはビームがより多くの部分に分割されるからである。また、セグメントの軸が同一の角度、すなわち十字形の場合は90°、3つの腕をもつ星形の場合は120°、5つのセグメント(腕)の場合は72°、で配置されることは絶対的には必要ではない。拡大されたビーム腕が相互を不鮮明にしないことが重要である。この問題を回避するには、対抗するセグメントの円筒の軸は正確に位置合せされているか、または角度的に充分にオフセットしていることが必要である。
【0026】
図13および図14は、2つのセグメントから成るV形の、または部分的に星状のレンズを示す。頂縁部と位置合せされたセグメントの円筒の軸は、図14に点線で示される。
【0027】
理論的には、特に要求される表面の精度を実現する製造方法が利用可能であれば、本発明における要素はモノリシックのブロックとして製造されることができる。実際には、個別のセグメントを製造して例えば光学的セメントを用いて結合することが、より適切である。
【図面の簡単な説明】
【図1】米国特許第4826299号に示される従来形のレーザビームのラインの拡大装置を示す図である。
【図2】図1のレーザビームのラインの拡大装置により投射されたラインの長さに沿う強度の分布を示す図であって、プロフイルプロットとして示されるものである。
【図3】同じく強度の分布を示す図であって、拡張されたビームの斜視的なプロットとして示されるものである。
【図4】本発明によるレンズの具体例の斜視図である。
【図5】本発明によるレンズの具体例を示す図であって、関係式により規定される1次元表面形状および頂縁部における曲率がcであるものを説明する図である。
【図6】本発明によるレンズの具体例の作動状況を示す図であって、レーザビームの十字形投射装置を説明する図である。
【図7】図4の要素の強度の分布を示す図であって、プロフイルプロットとして示されるものである。
【図8】同じく強度の分布を示す図であって、拡張された十字形ビームの斜視的なプロットとして示されるものである。
【図9】ビーム拡大装置として用いられる本発明によるレンズのセグメントの他の具体例を示す図である。
【図10】図5に示されるセグメントを用いる本発明によるレンズを示す図である。
【図11】本発明による光学要素を用いるレーザビームの拡大装置を示す図である。
【図12】本発明による要素の他の形状を概略的に示す図である。
【図13】2つのセグメントを有する本発明による光学要素を示す斜視図である。
【図14】同じく光学要素の平面図である。
【符号の説明】
10…1次の面
12…2次の面
14…頂点
16…レーザビーム
18…頂縁部
20…頂点
22…レーザビーム
24…頂点

Claims (16)

  1. 光学要素であって、該光学要素は相互に結合された複数の円筒状セグメントを具備しそれにより該円筒状セグメントの円筒軸は単一の平面内において交差し、各セグメントは少くとも1次の表面および2次の表面を有し、1次の表面は、比較尖鋭な頂縁部を有しxyz直交座標系において下記の関係式により規定される曲線に一致するよう形成されており:
    z=cy2 /〔1+{1−(1+Q)c2 2 1/2
    ここにyおよびzはxから独立しており、cは頂点における曲率、Qは−1より小なる円錐定数である、
    ことを特徴とする光学要素。
  2. 各セグメントの2次の表面は、平坦円筒状および凹面円筒状から成る形状群から選択される、請求項1記載の光学要素。
  3. 各セグメントの1次及び2次の表面は頂縁部において相互に最も離間している、請求項2の記載の光学要素。
  4. 各セグメントの1次および2次の表面は頂縁部において相互に最も接近している、請求項2記載の光学要素。
  5. 幾つかのセグメントの1次および2次の表面は頂縁部において相互に最も接近しており、他のセグメントの1次および2次の表面は頂縁部において最も離隔している、請求項2記載の光学要素。
  6. レーザビームを均一な強度の星状の形状に拡大するビーム投射装置であって、該ビーム投射装置は、
    レーザビーム源、および、
    複数の円筒状セグメントを有する光学要素であって、該円筒状セグメントは相互に結合され円筒セグメントの円筒軸が交差して単一の面内において星状のまたは部分的に星状の配置を形成し、各セグメントが少くとも1次の表面および2次の表面を有し、第1の表面が比較的尖鋭な頂縁部を有し(xyz)直交座標系において下記の関係式で規定される曲線に一致するよう形成されており:
    z=cy2 /〔1+{1−(1+Q)c2 2 1/2
    該星状の配置は頂縁部の交差点において1つの頂点を規定し、
    該光学要素は、頂点がレーザビームのなかにあるようにレーザビーム源に対して位置している、
    ことを特徴とするビーム投射装置。
  7. 各セグメントの2次の表面は、平坦円筒状および凹面円筒状から成る形状群から選択される、請求項6記載のビーム投射装置。
  8. 各セグメントの1次および2次表面は、頂縁部において相互に最も離隔している、請求項7記載のビーム投射装置。
  9. 各セグメントの1次および2次の表面は、頂縁部において相互に最も接近している、請求項7記載のビーム投射装置。
  10. 幾つかのセグメントの1次および2次の表面は頂縁部において相互に最も接近しており、他のセグメントの1次および2次の表面は頂縁部において最も離隔している、請求項7記載のビーム投射装置。
  11. 1次の表面はレーザビームの源へ向って方向づけられている、請求項8記載のビーム投射装置。
  12. 1次の表面は、レーザビームの源へ向って方向づけられている、請求項9記載のビーム投射装置。
  13. 1次の表面はレーザビームの源へ向って方向づけられている、請求項10記載のビーム投射装置。
  14. 2次の表面はレーザビームの源へ向って方向づけられている、請求項8記載のビーム投射装置。
  15. 2次の表面はレーザビームの源へ向って方向づけられている、請求項9記載のビーム投射装置。
  16. 2次の表面はレーザビームの源へ向って方向づけられている、請求項10記載のビーム投射装置。
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