JP3727495B2 - ストッパ機構を備えた防振装置の製造方法 - Google Patents
ストッパ機構を備えた防振装置の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【技術分野】
本発明は、例えば自動車用のエンジンマウント等のように防振連結すべき部材間に介装される防振装置等に係り、特に、防振連結される部材間の相対的な変位量を制限するストッパ機構を備えた防振装置とその関連技術に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体の一種として、実公平5−3789号公報や実開平6−73488号公報,特開平7−301280号公報等に記載されているように、それぞれ防振連結されるべき部材に取り付けられる第一の取付金具と第二の取付金具を、振動入力方向に離隔配置すると共に、本体ゴム弾性体によって弾性連結せしめてなる構造の防振装置が知られており、自動車用エンジンマウント等として用いられている。また、このようなマウント装置では、一般に、本体ゴム弾性体の変形量を制限し、被連結部材の相対的変位量を制限するために、ストッパ機構が設けられる。かかるストッパ機構は、例えば、前記公報にも記載されているように、第二の取付金具に対して外方に突出する当接突部を形成する一方、第一の取付金具から第二の取付金具側に向かって延び出し、当接突部に対して離隔して対向位置せしめられるストッパ部を設けることによって構成され、当接突部へのストッパ部の当接により、第一の取付金具と第二の取付金具の相対的変位量を制限するようになっている。
【0003】
ところで、このようなストッパ部は、第一の取付金具と第二の取付金具の対向方向だけでなく、必要に応じて、それに直交する方向や、中心軸回りの周方向などにおいても、第一の取付金具と第二の取付金具の相対変位量を制限するように構成される。そのために、第二の取付金具の当接部に向かって延び出すストッパ部を第一の取付金具に一体形成すると、本体ゴム弾性体の成形が難しくなる場合があることから、一般に、プレス成形等でストッパ部を形成した別体のストッパ金具を、本体ゴム弾性体の成形後に、該本体ゴム弾性体に固着された第一の取付金具に組み付けることによって、構成されている。
【0004】
そこにおいて、ストッパ金具の第一の取付金具への組付けは、ストッパ金具に設けられたストッパ部と、第二の取付金具に設けられた当接突部との正確な相対的位置決めがなされるように行われることが重要である。即ち、ストッパ部と当接突部の対向方向やそれらの対向方向に直交する方向、若しくは周方向における隙間が小さいと所期の防振効果が阻害される不具合が生じる一方、かかる隙間が大きいと目的とする変位量制限効果が発揮されないおそれがある。そこで、従来では、一般に、第一の取付金具の中央部分から軸方向外方に向かって突設された取付ボルトを、ストッパ金具の中央部分に設けられた貫通孔に挿通すると共に、第一の取付金具のストッパ金具との重ね合わせ面上に突設された突起を、ストッパ金具に設けた位置決め穴に嵌め合わせて、ストッパ金具を第一の取付金具に対して、軸直角方向および周方向で相対位置決めするようになっている。
【0005】
ところが、かかる突起がプレス成形等で形成される一方、位置決め穴がプレス打ち抜き等で形成されることから、それらの寸法精度の確保が難しいという問題があった。また、突起の形成位置と位置決め穴の形成位置の各寸法誤差が相乗的に作用して、大きな誤差が発生し易い。そのために、このような突起や位置決め穴による位置決め構造では、十分な相対的位置決め精度を安定して確保することが極めて困難であった。そこで、実際の作業行程においては、突起と位置決め穴の間に、僅かなガタツキを予め設定しておいて、組付時に手作業で精度良く位置決めする必要があったのであり、作業性が極めて悪いことに加えて、取付時の作業ミス等によって相対位置のばらつきや設定不良の発生が避けられず、目的とするストッパ効果を安定して得ることが難しかったのである。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景としてなされたものであって、その解決課題とするところは、ストッパ部材と第一の取付部材を高精度に相対位置決めして、ストッパクリアランスの精度を向上させることが出来、しかも、ストッパ部材と第一の取付部材を良好な作業性をもって容易に組み付けることが出来る、ストッパ機構を備えた防振装置の新規な製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することのできる発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0008】
本発明の第一の態様は、防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と、防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を離間して対向配置せしめて本体ゴム弾性体で連結する一方、該第二の取付部材から外方に向かって突出する当接突部を設けると共に、該第一の取付部材における該第二の取付部材に対する対向面とは反対側の取付面にストッパ部材を重ね合わせて、該第一の取付部材の外方に向かって突設された該ストッパ部材のストッパ部を、前記第二の取付部材の当接突部に対向位置せしめることにより、第一の取付部材と第二の取付部材の相対的変位量を制限するストッパ機構を構成した防振装置であって、前記ストッパ部材のストッパ部が、前記当接突部に対して、前記第一の取付部材と前記第二の取付部材の対向方向に対して直角な方向で、且つ互いに直交する二つの軸直角方向において、それぞれ相互に対向位置せしめられている防振装置の製造方法において、前記第一の取付部材を防振連結される一方の部材に取り付けるための取付ボルトを、該第一の取付部材の取付面上に突出して固設する一方、前記ストッパ部材にボルト挿通孔を設けると共に、該取付ボルトの基部にセレーション部を設けて、該セレーション部を該ストッパ部材のボルト挿通孔に圧入することにより、かかるストッパ部材を該第一の取付部材に対して固定的に組み付けるに際して、該第一の取付部材と前記第二の取付部材を前記本体ゴム弾性体で相互に連結した防振装置本体における該第二の取付部材に対して、ガイド治具を固定的にセットし、該ガイド治具には、該第二の取付部材の前記当接突部を前記取付ボルトまわりの周方向で挟んだ両側で該第二の取付部材側から該第一の取付部材側に向かって突出する一対の案内面を設けて、かかる一対の案内面によって、前記ストッパ部材を該防振連結本体に対して前記取付ボルトまわりの周方向で相対位置決めしつつ、該ストッパ部材を該取付ボルトの前記セレーション部に圧入することを特徴とする防振装置の製造方法を特徴とする。
【0009】
このような防振装置の製造方法に従えば、第一の取付部材に設けられた取付ボルト基部におけるセレーション部を、ストッパ部材のボルト挿通孔に圧入することによって、それら二部材間の相対的な位置決めが正確に為され得ることから、プレス成形等によって得られる位置決め用の構造等を必要とすることなく第一の取付部材とストッパ部材の相対的な位置決めが可能となるのであり、従って、プレス成形品の寸法精度のばらつきによって第一の取付部材とストッパ部材の相対的な位置決め精度が大きな影響を得けること等が回避され得る。そして、圧入作業時に用いられる治具等により、第一の取付部材とストッパ部材ひいては当接突部とストッパ部が相対的に位置決めされることとなるが、そのような治具の寸法精度は、プレス成形品に比べて高精度に確保することが容易であることから、第一の取付部材に対して、ストッパ部材を高精度に位置決めして組み付けることが可能となり、以て、目的とするストッパクリアランスが高精度に形成され得て、目的とする防振性能と、ストッパ機能が、何れも有効に且つ安定して発揮され得るのである。
【0010】
特に、取付用ボルトを巧く利用し、該取付用ボルトにセレーション部を設けることによって、ストッパ部材を第一の取付部材に対して位置決め固定するようにしたことから、位置決め用の特別な部材が不要となり、ストッパ部材や第一の取付部材の構造を簡略化することが出来る。なお、セレーション部は、少なくともストッパ部材に設けられたボルト挿通孔が嵌合し得る長さで形成されていれば良く、ストッパ部材に対する固着力と、被防振連結部材への取付性が、それぞれ有効に得られるものであれば、特に軸方向長さは限定されるものでない。また、このセレーション部は、第一の取付部材への取付ボルトの固定にも、有利に利用可能である。更に、ストッパ部の具体的形状は、当接突部の形状や防振装置に要求される特性等に応じて適宜に決定されるもので限定されるものでないが、例えば、当接突部にかぶせられて当接突部の外周面を覆うカバー形状のストッパ部等が、有利に採用され得る。また、当接突部とストッパ部からなるストッパ機構は、防振装置の周上で少なくとも一つ設けられていれば良いが、好ましくは、軸直角方向で対向位置する部分に一対のストッパ機構が構成されることとなり、それによって、より多くの軸直角方向で有効なストッパ機構が実現され得る。更にまた、当接突部とストッパ部の対向面間には、緩衝ゴムを設けることが望ましい。この緩衝ゴムは、例えば、当接突部の表面を略全体に亘って覆うようにして、本体ゴム弾性体と一体形成することによって、有利に形成される。
【0011】
また、第一の取付部材の材質や構造等は、特に限定されるものではないが、装着時に及ぼされる静的荷重や、入力振動の大きさ等を考慮し、例えば、所定の剛性を有する金属等の剛性材から形成されると共に、少なくとも取付ボルトが突設された中央部分において、ストッパ部材が重ね合わされる取付面を有する構造等が有利に採用され得る。このような構造の第一の取付部材においては、ストッパ部材を安定して重ね合わせることが可能となる。一方、第二の取付部材の材質や構造等も、特に限定されるものではないが、好適には、第一の取付部材と同様に所定の剛性を有する金属等の材質で形成されると共に、平板形状を有する金具が有利に採用され得る。このような構造の第二の取付部材においては、その外周縁部を屈曲させて延び出させること等によって当接突部を有利に一体形成することが可能となる。なお、第二の取付部材の被防振連結部材への取付構造は、特に限定されるものではないが、取付用のボルトを固設したり、ボルト穴を設ける等の構造が有利に採用され得る。
【0012】
また、第一の取付部材とストッパ部材の組み付け時に採用される位置決め治具としては、寸法精度や強度、耐久性等を考慮して、金属ブロック等で形成されたものが好適に採用される。具体的には、例えば、第二の取付部材が固定的にセットされる台座治具に対して、第二の取付部材における当接突部を挟んだ周方向両側において、第二の取付部材側から第一の取付部材側に向かって延びる案内面を備えたものであって、これらの案内面に沿って、ストッパ部材を所定位置に導くもの等が好適に採用され得る。
しかも、本発明に従って製造された防振装置においては、一つの当接部とストッパ部によって、複数の軸直角方向で有効なストッパ機能を得ることが可能であり、また、それらの何れの方向においても、ストッパクリアランスが高精度に安定して形成され得るのである。なお、このようなストッパ機構は、例えば、第二の取付部材に突設された当接突部に対して、第一の取付部材側からかぶせられて、該当接突部の軸直角方向先端面と周方向両側面をとりまいて覆うようにして組み付けられるカバー形状のストッパ部を採用することによって、有利に実現され得る。また、本態様に従う構造のストッパ機構を、本体ゴム弾性体の周上において、軸直角方向で対向位置する部分に一対形成することによって、より多くの軸直角方向で有効なストッパ機能を得ることが可能となる。さらに、上述の如きカバー形状のストッパ部は、大きな剛性を有利に得ることが可能であり、ストッパ耐荷重の向上も図られ得る。
さらに、本発明方法に従えば、ストッパ部材の第一の取付部材に対する組付け位置、ひいてはストッパ部材の当接突部に対する組付け位置が、それら各部材の製作寸法誤差等による悪影響を回避しつつ、ガイド治具によって高精度に決定されることから、当接突部とストッパ部材の間のストッパクリアランスを、高精度に安定して設定することが出来、所期のストッパ機能を有利に得ることが可能となる。なお、ガイド治具としては、その寸法精度等を考慮して金属加工品等が有利に採用され得、例えば、金属ブロック等で形成されて第二の取付金具が固定的にセットされる台座治具に対して、当接突部を挟んだ周方向両側で、第二の取付金具側から第一の取付金具側に向かって突出する一対の案内面を設けて、これらの案内面により、第一の取付金具に重ね合わされるストッパ金具を所定位置に導くようにしたもの等が好適に採用され得る。
【0013】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に従う防振装置の製造方法において、前記第一の取付部材と前記ストッパ部材の重ね合わせ面が、何れも平坦面とされて、前記第一の取付部材と前記ストッパ部材の重ね合わせ面が、何れも平坦面とされて、前記取付ボルトまわりで相対位置が自由に設定可能とされていることを、特徴とする。
【0014】
このような本態様に係る防振装置においては、第一の取付部材とストッパ部材に対してそれらを相対的に位置決めする位置決め突起及び位置決め穴等を形成する必要がないことから、両部材の重ね合わせ面を何れも平坦面とすることが可能となり、製造の更なる容易化が達成され得る。
【0016】
しかも、本発明に従って製造された防振装置においては、一つの当接部とストッパ部によって、複数の軸直角方向で有効なストッパ機能を得ることが可能であり、また、それらの何れの方向においても、ストッパクリアランスが高精度に安定して形成され得るのである。なお、このようなストッパ機構は、例えば、第二の取付部材に突設された当接突部に対して、第一の取付部材側からかぶせられて、該当接突部の軸直角方向先端面と周方向両側面をとりまいて覆うようにして組み付けられるカバー形状のストッパ部を採用することによって、有利に実現され得る。また、本態様に従う構造のストッパ機構を、本体ゴム弾性体の周上において、軸直角方向で対向位置する部分に一対形成することによって、より多くの軸直角方向で有効なストッパ機能を得ることが可能となる。さらに、上述の如きカバー形状のストッパ部は、大きな剛性を有利に得ることが可能であり、ストッパ耐荷重の向上も図られ得る。
【0017】
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に従う防振装置の製造方法において、前記ストッパ部材における前記ボルト挿通孔の外周側に、前記防振連結される一方の部材に対する位置決め用突起を設けたことを特徴とする。
【0018】
このような本態様に係る防振装置においては、ストッパ部材によって、第一の取付部材、ひいては防振装置の全体を被防振連結部材に対して位置決めすることが可能となり、防振装置の被防振連結部材に対する位置決め構造の簡略化も図られ得る。
【0020】
このような本発明方法に従えば、ストッパ部材の第一の取付部材に対する組付け位置、ひいてはストッパ部材の当接突部に対する組付け位置が、それら各部材の製作寸法誤差等による悪影響を回避しつつ、ガイド治具によって高精度に決定されることから、当接突部とストッパ部材の間のストッパクリアランスを、高精度に安定して設定することが出来、所期のストッパ機能を有利に得ることが可能となる。なお、ガイド治具としては、その寸法精度等を考慮して金属加工品等が有利に採用され得、例えば、金属ブロック等で形成されて第二の取付金具が固定的にセットされる台座治具に対して、当接突部を挟んだ周方向両側で、第二の取付金具側から第一の取付金具側に向かって突出する一対の案内面を設けて、これらの案内面により、第一の取付金具に重ね合わされるストッパ金具を所定位置に導くようにしたもの等が好適に採用され得る。
【0021】
また、本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかに記載の態様に従う防振装置の製造方法であって、前記取付ボルトのセレーション部を前記ストッパ部材のボルト挿通孔に圧入することにより、該ストッパ部材を前記第一の取付部材に対して仮固定することとして、その後、該取付ボルトを、該第一の取付部材が取り付けられる防振連結すべき一方の部材に対してボルト固定することによって、該取付ボルトのボルト締付力を利用して、第一の取付部材にストッパ部材が本固定されるようにしたことを特徴とする。
【0022】
このような本発明方法に従えば、セレーション部へのストッパ部材の圧入時には、ストッパ部材を仮固定するだけの固定強度が確保されれば良く、第一の取付部材とストッパ部材との圧入荷重を小さく設定できることから、ストッパ部材の圧入固定作業が容易となる。しかも、ストッパ部材の第一の取付部材に対する位置決め固定力は、第一の取付部材の被防振連結部材に対するボルト固定力を利用して、十分に確保され得るのである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ,詳細に説明することとする。
【0024】
先ず、図1乃至図4には、本発明に従う構造とされた、エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、主たる振動入力方向(図1中上下方向)に所定距離を隔てて対向配置された第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が、それらの間に介装された本体ゴム弾性体としてのゴム弾性体16によって、互いに弾性的に且つ一体的に連結されてなる構造を有している。そして、第一の取付金具12が自動車のパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具14が自動車のボデーに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持するようになっている。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として図中の上下方向をいうものとする。
【0025】
より詳細には、第一の取付金具12は、開口側外周縁部に外フランジ部20を備えた、略浅底有底円筒形状の底金具18と該底金具18の外フランジ部20にかしめ固定される略円環状のかしめ金具22とによって構成されており、その底金具18には、底壁部中央から上方に向かって突出する取付ボルト24が固設されている。また一方、第二の取付金具14は、略平板形状を呈しており、その略中央部にボルト取付穴26が設けられている一方、その外周縁部には、それぞれ略直角に屈曲されて第一の取付金具12側に向かって突出する平板形状の一対の当接突部28,30が一体形成されている。また、各当接突部28,30には、その略全面を覆う緩衝ゴム32,34がそれぞれ被着されている。なお、第二の取付金具14には、中心から偏倚した位置において、下方に突出する位置決め突起36が、一体形成されている。また、第二の取付金具14には、下方に開口して当接突部28,30の対向方向に直線的に延びる凹溝状の補強部35が形成されており、当接突部28,30に作用する外的荷重に対する第二の取付金具14の強度の向上が図られている。
【0026】
さらに、これらの第一の取付金具12と第二の取付金具14との間に介装されて、両金具を連結するゴム弾性体16は、全体として、略有底円筒形状をもって形成されている。そして、該ゴム弾性体16の開口側端面に対して、第一の取付金具12を構成するかしめ金具22が重ね合わされて固着されていると共に、その底壁部下面が第二の取付金具14の中央部分に重ね合わされて固着されている。特に、本実施形態では、ゴム弾性体16が、それらかしめ金具22と第二の取付金具14を有する一体加硫形成品として形成されている。なお、ゴム弾性体16には、軸方向中間部分に対して、環状の規制金具38が埋設状態下に配されて加硫接着されており、ゴム弾性体16における座屈変形等の径方向への不規則な変形が制限されるようになっている。
【0027】
また、ゴム弾性体16の開口部分には、薄肉のゴム弾性膜からなるダイヤフラム40が配設されており、このダイヤフラム40の外周縁部が底金具18の外フランジ部20とかしめ金具22の間で流体密に挟持されることによって、ゴム弾性体16の開口部が流体密に覆蓋されて、外部空間に対して密閉された流体室が形成されている。なお、底金具18の外フランジ部20とかしめ金具22の間で挟持されるダイヤフラム40の外周縁部には、円環板状の取付金具39が加硫接着されている。また、ダイヤフラム40と底金具18との間には、該ダイヤフラム40の膨出変形を許容する空間42が形成されている。
【0028】
そして、かかる流体室内には、水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油等の、所定の非圧縮性流体が充填されて封入されている。なお、非圧縮性流体の流体室への充填は、例えば、ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対するダイヤフラム40の組み付けを、かかる非圧縮性流体中で行なうこと等によって有利に為され得る。
【0029】
さらに、この非圧縮性流体が封入された流体室内には、全体として、略円盤状形態を呈する仕切り部材44が配設されており、この仕切部材44の外周縁部が、前記ダイヤフラム40と共に、底金具18の外フランジ部20とかしめ金具22の間で流体密に挟持されることにより、流体室が、仕切部材44によって流体密に二分されている。そして、仕切部材44を挟んで一方の側(図中、下側)には、壁部の一部がゴム弾性体16で構成されて振動入力時に内圧変動が生ぜしめられる受圧室46が形成されていると共に、仕切部材44を挟んで他方の側(図中、上側)には、壁部の一部がダイヤフラム40で構成されて容積変化が容易に許容されることにより内圧変動が回避される平衡室48が形成されている。
【0030】
また、仕切り部材44は、プレス成形等によって得られたそれぞれ略カップ形状を有する二枚の仕切金具50,52が、互いに軸方向に重ね合わされた構造とされている。そして、それら二枚の仕切金具50,52の重ね合わせ面間には、底壁部の外周縁部に位置して周方向に所定長さで延びる環状空間が形成されていると共に、底壁部の中央部分に位置して、薄肉円板状の収容空間54が形成されている。そして、環状空間の周方向両端部が、各仕切金具50,52にそれぞれ形成された連通孔を通じて受圧室46と平衡室48の各一方に連通されていることにより、それら受圧室46と平衡室48とを相互に連通する、所定長さのオリフィス通路56が形成されている。更に、収容空間54の内部には、薄肉円板形状の可動板58が、受圧室46と平衡室48との対向方向に所定距離だけ変位可能に収容、配置されていると共に、かかる収容空間54内が、両仕切金具50,52に形成された複数の貫通孔を通じて受圧室46と平衡室48にそれぞれ連通されている。これにより、それら両室46,48の内圧が貫通孔を通じて収容空間54に両側から及ぼされた際に、収容空間54内で可動板58が、受圧室46と平衡室48の圧力差を吸収する方向に変位せしめられるようになっているのである。
【0031】
そして、このようなエンジンマウント10においては、良く知られているように、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に略軸方向(図1中の略上下方向)に防振すべき振動が入力されて、受圧室46と平衡室48との間に圧力差が生ぜしめられると、それら受圧室46と平衡室48の間で、オリフィス通路56を通じて、或いは、収容空間54を通じて、流体の流動が生ぜしめられるようになっているのであり、以て、それらオリフィス通路56及び収容空間54を通じて流動せしめられる流体の流動作用乃至は共振作用によって、それぞれ所定の防振効果が発揮されるようになっている。なお、本実施態様においては、シェイクやバウンス等の低周波数域の振動に対して、オリフィス通路56を通じて流動せしめられる流体の流動作用乃至は共振作用によって高減衰効果が発揮されると共に、かかるオリフィス通路56が実質的に閉塞状態となる、こもり音等の中乃至高周波数域の振動入力時に、可動板58の変位に基づいて収容空間54を通じて実質的に流動せしめられる流体の流動作用乃至は共振作用によって低動ばね効果が発揮されるように、オリフィス通路56の流路断面積と長さや、収容空間54を流動せしめられる流体の実質的な流路断面積と長さが、それぞれチューニングされている。
【0032】
ところで、前記第一の取付金具12の底壁部の上面には、ストッパ金具60が重ね合わされて組み付けられている。このストッパ金具60は、略円板形状の中央取付部62と、中央取付部62の径方向一方向で対向位置する部分において、それぞれ、第二の取付金具14側に向かって傾斜しながら径方向外方に延び出す一対のストッパ部66,68が一体形成されている。また、これらのストッパ部66,68は、何れも、突出先端部分において第一の取付金具12側から第二の取付金具14側に向かって延びて主たる振動入力方向に略平行に広がる矩形平板形状を有する中央当接板部66a,68aを備えており、これらの中央当接板部66a,68aが、それぞれ、第二の取付金具14に設けられた当接突部28,30に対して、外面方向(図2中、左方向および右方向)に離間して対向位置せしめられている。また、ストッパ部66,68には、中央当接板部66a,68aの周方向両側から、それぞれ内方に略90度屈曲して広がる一対の側方当接板部66b,66bおよび68b,68bが一体形成されており、これらの側方当接板部66b,66bおよび68b,68bが、それぞれ、第二の取付金具14に設けられた当接突部28,30に対して、側面方向(図2中、上下方向)に離間して対向位置せしめられている。
【0033】
要するに、ストッパ部66,68における中央当接板部66a,68aと側方当接板部66b,66bおよび68b,68bは、当接突部28,30に対して、互いに直交する二つの軸直角方向で相互に離間して対向配置されているのであり、当接突部28,30に対して中央当接板部66a,68aが当接することにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14の軸直角方向での相対変位量が、図2中の左右方向で制限されると共に、当接突部28,30に対して側方当接板部66b,66bおよび68b,68bが当接することにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14の別の軸直角方向での相対変位量が、図2中の上下方向で制限されるようになっているのである。なお、当接突部28,30に対するストッパ部66,68の当接時の衝撃は、緩衝ゴム32,34によって緩和されるようになっている。
【0034】
また、ストッパ金具60には、ストッパ部66,68が形成されていない外周縁部において、第二の取付金具14側に向かって延びる周壁部69,69が周方向に連続して形成されており、これらの周壁部69,69によって、両ストッパ部66,68に形成された側方当接板部66b,66bと68b,68bが、周方向で相互に一体的に接続されている。これにより、ストッパ金具60の外周縁部には、中央当接板部66a,68aと側方当接板部66b,66b,68b,68bおよび周壁部69,69によって、周方向に連続して延びる筒状壁部が一体形成されているのであり、この筒状壁部によって、中央当接板部66a,68aや側方当接板部66b,66b,68b,68bの剛性、ひいてはストッパ金具60における耐荷重強度の向上が図られている。
【0035】
また、ストッパ金具60には、中央取付部62の略中心に位置して、ボルト挿通孔64が貫設されており、このボルト挿通孔64において第一の取付金具12に立設された取付ボルト24に外挿されることにより、ストッパ金具60の中央取付部62が第一の取付金具12の底金具18の上面に重ね合わされている。
【0036】
ここにおいて、ストッパ金具60が外挿される取付ボルト24には、その基部側の端部外周面に対して、所定長さで軸方向に伸びるセレーション部70が形成されており、このセレーション部70に対して、ストッパ金具60のボルト挿通孔64が圧入されることによって、ストッパ金具60が第一の取付金具12に対して固定的に組み付けられている。なお、取付ボルト24におけるセレーション部70は、切削や押出等の公知の手法で形成され得る。また、セレーション部70の最大外径寸法は、ストッパ金具60のボルト挿通孔64よりも僅かに大きく設定されており、ストッパ金具60が圧入されることによってセレーション部70の各突状の先端部がつぶされるようにして、ストッパ金具60のボルト挿通孔64の内周面が、セレーション部70に対して嵌着固定されるようになっいる。なお、本実施形態では、取付ボルト24のセレーション部70に対して、第一の取付金具12も圧入固定されており、必要に応じて溶接補強されている。
【0037】
また、第一の取付金具12とストッパ金具60の重ね合わせ面は、何れも軸直角方向に広がる平坦面とされており、取付ボルト24回りの任意の位置で、第一の取付金具12とストッパ金具60が密着状態で重ね合わされるようになっている。そして、これら第一の取付金具12とストッパ金具60は、ストッパ金具60を取付ボルト24に圧入固定する際に相対的に位置決めされており、両金具12,60が周方向で相対的に位置決めされることによって、ストッパ部66,68と前記当接突部28,30とが所定のクリアランスをもって配設されている。なお、第一の取付金具12とストッパ金具60との位置決めは、かかる圧入作業の際に用いられるガイド治具等により有利に設定されることとなり、かかるセット治具の寸法精度は、従来のプレス形成等で成形される位置決め突起や位置決め穴に比して高精度に確保することが容易であることから、ストッパ部66,68と当接突起28,30とのそれぞれの間のクリアランスを、目的とする寸法範囲に容易に設定することができるのであり、それによって、目的とする防振性能とストッパ機能が何れも有効に且つ安定して発揮されるようになっている。
【0038】
さらに、本実施態様においては、取付ボルト24の基部にセレーション部70が設けられて、第一の取付金具12とストッパ金具60が相対的に位置決め固定されており、位置決め用の特別な部材が不要で、従来用いられていた位置決め用突起や位置決め用穴等を、第一の取付金具12やストッパ金具60に設ける必要がなく、ストッパ金具60と底金具18の重ね合わせ面が、いずれも略平坦面とされていることから、それら両金具の製造が容易とされて安価に製造することが出来る。なお、ストッパ金具60の中央取付部62においては、上方に突出する位置決め突起37が設けられており、前述の如きパワーユニットへの装着位置決めがなされ得るようになっている。
【0039】
そして、前述の如き圧入作業により,第一の取付金具12に対して仮固定されたストッパ金具60は、エンジンマウント10がパワーユニットに対して取付ボルト24でボルト固定されて組み付けられた際、取付ボルト24に及ぼされる締付力を利用して、第一の取付金具12とパワーユニットの間で挟持されることにより、第一の取付金具12に対して強固に位置決めされて本固定されることとなる。
【0040】
従って、上述の如き構造とされたエンジンマウント10にあっては、ストッパ部66,68と当接突部28,30の対向面間のクリアランスが、第一の取付金具12やストッパ金具60の製造時における寸法誤差等による悪影響を殆ど受けることなく、ストッパ金具60を第一の取付金具12に対して高精度に位置決めして重ね合わせるだけで、極めて高精度に且つ安定して設定され得るのであり、以て、目的とする防振性能とストッパ機能が、安定して有利に発揮され得るのである。
【0041】
次に、上述の如き構造とされたエンジンマウント10の製造方法について、特にストッパ金具60のマウント本体に対する組み付け作業を具体的に説明する。
【0042】
先ず、図5及び図6には、本実施態様においてガイド治具を構成する台座治具80と該台座治具80に載置されたエンジンマウント10の本体部分(マウント本体)が示されている。かかる図に示される如く、台座治具80は、金属等の剛性材からなる厚肉の矩形板形状を有しており、その上面には、マウント本体の第二の取付金具14に設けられた位置決め突起36に対応した部位に凹所84が設けられている。そして、この凹所84に対して、第二の取付金具14の位置決め突起36を嵌入することにより、マウント本体が台座治具80上に位置決め載置されるようになっている。
【0043】
一方、台座治具80の対向位置する一組の両側縁部(図中、左右両側縁部)には、それぞれ矩形柱形状をもって鉛直上方に突出する各一対のガイド柱86a,86aと86b,86bが、固定的に突設されている。そして、これら各一対のガイド柱86a,86aおよび86b,86bは、何れも、相互に離間して立設されており、各対向する対向面88a,88aおよび88b,88bが、互いに対称形状をもって所定幅で鉛直上方に広がる各一対のガイド面とされている。
【0044】
また、これら各一対のガイド柱86a,86aおよび86b,86bにおける各対向する対向面88a,88aおよび88b,88bは、台座治具80上に位置決めセットされた第二の取付金具14における一対の当接突部28,30の幅方向両側にそれぞれ所定距離だけ離間して位置せしめられている。
【0045】
そして、このように台座治具80に対して、先ず、マウント本体をセットした後、ストッパ金具60を、第一の取付金具12に立設された取付ボルト24に外挿してセットする。このようにしてセットされたストッパ金具60は、取付ボルト24のセレーション部70には外挿されずに、第一の取付金具12から上方に所定距離だけ離間して浮いた状態とされる。また、そのストッパ部66,68における側方当接板部66b,66b,68b,68bが、それぞれ、各一対のガイド柱86a,86aおよび86b,86bにおける各対向面88a,88aおよび88b,88bに対して、略密接して重ね合わされて位置決め保持されるようになっている。これにより、台座治具80上で、第二の取付金具14に対してストッパ金具60が相対的に位置決めされており、ストッパ部66,68と当接突部28,30の間に所定のクリアランスが形成されている。なお、ガイド柱86a ,86bの突出高さは、特に限定されるものではないが、ストッパ金具60を正確に保持し得るに十分なガイド面の面積が確保されるように設定される。特に、本実施形態においては、ガイド柱86a ,86bが、台座治具80に載置されたエンジンマウント本体の当接突部28,30の突出高さよりも若干大きい突出高さとされている。
【0046】
続いて、上述の如くしてマウント本体における第一の取付金具12に対してストッパ金具60を上方から重ね合わせて、ガイド柱86a,86aおよび86b,86bでストッパ金具60を第一の取付金具12に対して軸直角方向で相対的に位置決め保持せしめた状態で、ストッパ金具60に対して押え荷重を作用せしめて、ストッパ金具60を取付ボルト24のセレーション部70に圧入固定することにより、該ストッパ金具60を第一の取付金具12に重ね合わせて固着する。
【0047】
それには、先ず、図7及び図8に示されているように、ストッパ金具60に対して、押さえ治具82を載置する。この押さえ治具82は、金属等の剛性材からなる厚肉矩形板状のブロック形状を有しており、その中央部分には、取付ボルト24が挿通される中央穴83が設けられていると共に、該中央穴83の径方向外方において周方向で等間隔に離間した複数個(本実施形態では4個)の貫通孔87が中央穴83と平行な軸方向に貫設されている。また、押さえ治具82の軸方向下面には、ストッパ金具60に設けられた位置決め突起37に対向する部位に開口する凹所90が設けられている。なお、凹所90は、中央穴83を挟んだ両側に対称的に形成されており、押さえ金具82のセットに際して方向性を考慮しなくて良いようになっている。また、押さえ治具82の四隅部にはそれぞれ、台座治具80に向かって延び出す所定高さの規制ブロック85が固設されており、これらの規制ブロック85の突出先端面が、台座治具80に当接することにより、規制ブロック85と台座治具80の相対的な接近側端位置(最小接近距離)が決定されるようになっている。
【0048】
さらに、押さえ治具82の中央上面には、小径の厚肉円環板形状を有するスペーサとしてのねじ治具92が載置されてセットされる。このねじ治具92は、金属等の剛性材で形成されており、中央部分には内周面に雌ねじが刻設されたねじ穴94が設けられていると共に、該ねじ穴94の径方向外方において、周方向で等間隔に離間した複数個(本実施形態では4個)の貫通孔96が、ねじ穴94と平行な軸方向に貫設されている。なお、4個の貫設孔96は押さえ治具82に設けられた4個の貫通孔87にそれぞれ対向位置し得るようにされている。そして、このねじ治具92は、ねじ穴94において取付ボルト24に螺着固定されて取り付けられている。なお、ねじ治具92は、取付ボルト24に強くねじ込む必要はなく、例えば、押さえ治具82の軸方向上端面に軽く接触する状態で螺着される。
【0049】
その後、図9に示されているように、ねじ治具92の軸方向上方から、さらに押し治具98を重ね合わせる。この押し治具98は、円板形状の座部100に対して、複数本(本実施形態では4本)の突出ピン102が圧入や螺着等で固着されて、それらの突出ピン102が軸方向下方に突設された構造を有している。なお、4本の突出ピン102は、座部100の中心軸回りの円周上で等間隔に離間して配設されている。また、これら4つの突出ピン102の位置は、前記ねじ治具92に設けられた貫通孔96の位置に対応せしめられており、各突出ピン102が、ねじ治具92の貫通孔96から押さえ治具82の貫通孔87を挿通されており、それら各突出ピン102の突出先端面(下端面)が、ストッパ金具60の中央取付部62に対して直接に当接されるようになっている。そして、各突出ピン102がストッパ金具60に当接された状態で、座部100がねじ治具92から所定距離だけ上方に離間して位置せしめられている。ここにおいて、該離間距離は、取付ボルト24の基部に設けられたセレーション部70に対するストッパ金具60のボルト挿通孔64の圧入距離と同一か僅かに大きく設定することが望ましい。
【0050】
そして、押し治具98の座部100を、プレス機械の加圧部材104によって所定圧力をもって押圧することにより、ストッパ金具60のボルト挿通孔64を、第一の取付金具12の取付ボルト24に設けられたセレーション部70に対して圧入する。かかるボルト挿通孔64のセレーション部70に対する圧入は、規制ブロック85が台座治具80に当接せしめられた状態下、ねじ治具92に螺着された取付ボルト24を介して支持された第一の取付金具12に対して、押し治具98でストッパ金具60に相対的なプレス荷重を及ぼすことによって、有利に為され得る。また、押し金具98を構成する座部100のねじ治具92への当接によって、ボルト挿通孔64のセレーション部70に対する圧入端が規定されることによって、目的とする図1に示されたエンジンマウント10を得ることが出来るのである。
【0051】
上述の如き本態様に従うエンジンマウントの製造方法によれば、第一の取付金具12とストッパ金具60の相対位置決めを、台座治具80におけるガイド面88a ,88bと凹所84の相対位置に基づいて決定することができるのであり、台座治具80の寸法精度を上げることにより、かかる台座治具80を用いて製造される全てのエンジンマウント10において、ストッパ機構のストッパクリアランスを高精度に且つ安定して設定することが出来るのである。
【0052】
従って、一度台座治具の寸法精度を確保してしまえば、ストッパ金具60や第一の取付金具12の寸法精度の影響を殆ど受けることなく、ストッパクリアランスを容易に且つ高精度に維持することが出来るのであり、優れた製作性とストッパ機能が両立的に達成され得ることとなる。
【0053】
さらに、上述の如き製造方法によって製造されたエンジンマウント10においては、ストッパ金具60が第一の取付金具12に対して圧入固定されていることから、従来の如きパワーユニットに対する組み付け時の手作業によるストッパ金具の位置決め工程が省略され得て、組付時の作業効率が飛躍的に向上されるのである。
【0054】
以上、本発明の一実施態様について詳述してきたが、これは、あくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0055】
例えば、前記実施形態では、ストッパ部66,68が第一の取付金具12側に設けられる一方、当接突部28,30が第二の取付金具14に設けられていたが、ストッパ部と当接突部をそれぞれ逆の取付金具側に設けれても、何等、問題はない。
【0056】
また、ストッパ部と当接突部の形状は、例示の実施形態に限定されるものでなく、第一の取付金具12と第二の取付金具14の相対変位量を、要求される方向で有効に規制し得る形状のものであれば、何れも採用可能である。
【0057】
さらに、本発明の防振装置の製造方法において用いられるガイド治具の構造は、前記実施形態のガイド治具に限定されるものではなく、ストッパ金具の第一の取付への圧入時に、ストッパ部と当接突部の相対的な位置決めを高精度に行い得る構造のものであれば、何れも採用可能である。
【0058】
また、前記実施形態においては、流体封入式の防振装置に対して本発明を適用したものの具体例を示したが、内部に流体室を設けることなく専らゴム弾性体の弾性特性に基づいて防振効果を得るようにした構造の防振装置にも本発明が同様に適用され得るものであることは言うまでもない。
【0059】
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車用のボデーマウントやでフマウント等、或いは自動車以外の各種装置における各種の防振装置に対して、何れも有効に適用され得ることは、勿論である。
【0060】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0061】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従えば、第一の取付部材に突設された取付ボルトの基部にセレーション部が設けられ、このセレーション部にストッパ部材が圧入固定されていることから、ストッパ部材を、第一の取付部材に対する組み付けと同時に位置決めすることが出来るのであり、それ故、各部材の寸法精度のバラツキ等による悪影響を回避して、ストッパ部材を第一の取付部材に対して高精度に組み付けることが可能となる。
【0062】
それ故、ストッパ部材と当接突部の間のストッパクリアランスが優れた精度で形成されて、目的とするストッパ機能が安定して発揮され得る、ストッパ機構を備えた防振装置が、有利に提供され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの平面図である。
【図3】図1に示されたエンジンマウントの正面図である。
【図4】図1に示されたエンジンマウントの左側面図である。
【図5】図1に示されたエンジンマウントのマウント本体にストッパ金具を組み付ける工程を説明する平面図であって、ガイド治具の台座治具にマウント本体とストッパ金具がセットされた状態を示す説明図である。
【図6】図5におけるVI−VI断面図である。
【図7】図5に対応する平面図であって、ストッパ金具上に、更に押さえ治具が載置された状態を示す。
【図8】図7におけるVIII −VIII 断面図である。
【図9】図8に対応する断面図であって、押さえ治具上に、更にねじ治具及び押し治具が載置された状態を示す。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
24 取付ボルト
28,30 当接突部
60 ストッパ金具
66,68 ストッパ部
70 セレーション部
Claims (4)
- 防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と、防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を離間して対向配置せしめて本体ゴム弾性体で連結する一方、該第二の取付部材から外方に向かって突出する当接突部を設けると共に、該第一の取付部材における該第二の取付部材に対する対向面とは反対側の取付面にストッパ部材を重ね合わせて、該第一の取付部材の外方に向かって突設された該ストッパ部材のストッパ部を、前記第二の取付部材の当接突部に対向位置せしめることにより、第一の取付部材と第二の取付部材の相対的変位量を制限するストッパ機構を構成した防振装置であって、前記ストッパ部材のストッパ部が、前記当接突部に対して、前記第一の取付部材と前記第二の取付部材の対向方向に対して直角な方向で、且つ互いに直交する二つの軸直角方向において、それぞれ相互に対向位置せしめられている防振装置の製造方法において、
前記第一の取付部材を防振連結される一方の部材に取り付けるための取付ボルトを、該第一の取付部材の取付面上に突出して固設する一方、前記ストッパ部材にボルト挿通孔を設けると共に、該取付ボルトの基部にセレーション部を設けて、該セレーション部を該ストッパ部材のボルト挿通孔に圧入することにより、かかるストッパ部材を該第一の取付部材に対して固定的に組み付けるに際して、
該第一の取付部材と前記第二の取付部材を前記本体ゴム弾性体で相互に連結した防振装置本体における該第二の取付部材に対して、ガイド治具を固定的にセットし、該ガイド治具には、該第二の取付部材の前記当接突部を前記取付ボルトまわりの周方向で挟んだ両側で該第二の取付部材側から該第一の取付部材側に向かって突出する一対の案内面を設けて、かかる一対の案内面によって、前記ストッパ部材を該防振連結本体に対して前記取付ボルトまわりの周方向で相対位置決めしつつ、該ストッパ部材を該取付ボルトの前記セレーション部に圧入することを特徴とする防振装置の製造方法。 - 前記第一の取付部材と前記ストッパ部材の重ね合わせ面が、何れも平坦面とされて、前記取付ボルトまわりで該第一の取付部材と該ストッパ部材との相対位置が自由に設定可能とされている請求項1に記載の防振装置の製造方法。
- 前記ストッパ部材における前記ボルト挿通孔の外周側に、前記防振連結される一方の部材に対する位置決め用突起が設けられている請求項1又は2に記載の防振装置の製造方法。
- 前記取付ボルトのセレーション部を前記ストッパ部材のボルト挿通孔に圧入することにより、該ストッパ部材を前記第一の取付部材に対して仮固定することとして、その後、該取付ボルトを、該第一の取付部材が取り付けられる防振連結すべき一方の部材に対してボルト固定することによって、該取付ボルトのボルト締付力を利用して、第一の取付部材にストッパ部材が本固定されるようにした請求項1乃至3の何れかに記載の防振装置の製造方法。
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