JP3726883B2 - 蓄熱及び熱酸化劣化防止性に優れた土木用遮水シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は蓄熱及び熱酸化劣化防止性に優れた土木工事に用いられるポリオレフィン系樹脂製の遮水シートに関する。さらに詳しく述べるならば、本発明は特定の配合組成によるポリオレフィン系樹脂シートの表面側の特定部分に、特定高さの突起体を特定の分布密度で、形成させることによって得られ、現場施工性とヒートシール作業性、特に斜面歩行性、及び雨天作業性、さらには蓄熱及び酸化劣化防止性にも優れたノンスリップ性のポリオレフィン系樹脂製遮水シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物処理場、雨水調製池、ゴルフ場のウォーターハザード、河川護岸防水、工場排水貯留池、農業用貯水池、養魚用人工池などの造成工事に際し、その遮水面を形成するために、従来、合成ゴム(EPDM)製シート、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)製シート、ポリウレタン(TPU)樹脂製シート、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂製シートなどを使用する施工が行われている。しかし近年、特に廃棄物処理場の遮水施工においては、産業廃棄物から滲み出た(重金属系)有害物質の地下水系への漏洩による近隣の農作物汚染、生態系への影響など、環境汚染連鎖の誘発原因となる懸念が警告されているため、廃棄物処理場造成に用いる遮水シートの遮水機能には高い信頼性が強く求められている。
【0003】
ところで、これらの遮水シートの中で合成ゴム(EPDM加硫ゴム)を主体とするシートは柔軟であるため敷設性には優れているが、シート相互のヒートシール(熱融着)性に劣り、シートの幅繋ぎには接着剤塗工によるシール作業が必要とされている。しかし、この接着剤塗工は手作業で行われるため、接着剤の塗膜形成が均一に得られず、しかも固化までに長時間の養生を要するため、シール部の破壊強度が部分的に不十分となったり、また、養生中にシートが浮き上がり、部分的に接着に隙間を生じるなどの不安があり、このため廃棄物処理場に使用するシートとしては信頼性に欠けるものであった。
【0004】
また、ポリ塩化ビニル樹脂(軟質PVC)を主体とするシートにおいては、敷設性とヒートシール性との作業性には優れているが、軟質PVCに多量に配合されている可塑剤成分が系外に移行抽出されることによって可塑剤量が経時的に減少し、シートの機械的強度と、伸度の低下を引き起こすという問題がある。さらに最近では軟質PVCの汎用可塑剤として使用されてきたフタル酸エステル系化合物に対してそれがホルモン攪乱物質であるという疑いが持たれ、その使用存続の可否について、未だ議論が続けられている。従って産業廃棄物処分場に使用する遮水シートとして、可塑剤が移行し、地下水系の漏洩汚染が懸念されるポリ塩化ビニル製のシートは、その用途に適しているということはできない。
【0005】
また、ポリウレタン(TPU)樹脂を主体とするシートでは、敷設性、ヒートシール性、及び無毒性には優れているが、TPUが化学物質を吸着するばかりでなく、有機溶剤に侵され易いため、廃棄物処理場の底部に蓄積する有害物質が地中へ拡散移行するという現象を完全に防止することができなかった。
【0006】
このため、廃棄物処理場に使用する遮水シートとしては、安全の信頼性の高さから、高密度ポリエチレン樹脂製の遮水シートが使用されている。ポリエチレン樹脂は、ポリオレフィン衛星協議会の自主規制基準、厚生省告示第434号の食品衛生試験規格、及び米国F.D.A.(φ121,2570)に適合可能な安全性の高い合成樹脂である。しかし、高密度ポリエチレン樹脂を主体とするシートでは、機械的強度と無毒安全性、及び耐薬品性に優れているが、その反面、風合いが剛直で施工現場での取り扱い性が悪く、施工時に造成地盤の凹凸形状にフレキシブルに追従させて敷設することができず、従って、シート相互のシール部の位置重ね合わせ幅に大きなズレを生じるなど、立体部分のヒートシール作業が困難であるという問題がある。また、高密度ポリエチレン樹脂は環境応力劣化(耐ストレスクラッキング性)に劣るため、地盤沈下による負荷の増大などによって突然シートに亀裂を発生する問題があった。
【0007】
そこで最近では低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)を主体とする比較的軟質のシート、さらにはメタロセン系触媒の存在下で重合された低密度ポリエチレン樹脂(エチレン−α−オレフィン共重合体)を主体とする軟質のシートを遮水シートに応用することが提案されている(特開平9−157456号公報、特開平9−174775号公報、特開平9−216974号公報、特開平11−49905号公報、特開2000−53785号公報、特開2000−313776号公報など)。これらの低密度ポリエチレン樹脂シートは敷設性、ヒートシール性、無毒安定性、耐薬品性、耐ストレスクラッキング性(耐環境応力劣化)などに優れているが、これらのポリエチレン系樹脂シートでは表面の摩擦係数が低く、施工時に作業者が滑り易いという問題がある。特にすり鉢状に造成される廃棄物処理場の斜面、急斜面での施工作業、さらには雨天での施工作業において、この滑りやすいという問題は、作業の効率と安全性の観点から改善すべき課題であり、このためノンスリップ性のシートの出現が望まれていた。
【0008】
また、これらの低密度ポリエチレン系樹脂シートには、それに耐候性を付与する目的でカーボンブラックによる黒色の着色が行われているが、この黒色に着色されたシートは太陽光熱を吸収し易く、夏場の敷設時には、シートの表面温度が50〜70℃に達し、このような高温に長時間晒されることになるため、シートを形成する樹脂の初期的な酸化劣化を促し、これが耐ストレスクラッキング性の低下要因として、長期使用の安全係数に影響を及ぼしているものである。
【0009】
従って、従来、廃棄物処理場に使用する遮水シートに好適に使用可能であって、敷設性、ヒートシール性及びノンスリップ性に優れ、しかも蓄熱防止性、熱酸化劣化防止性、及び耐候性などの耐久性に優れたポリエチレン系樹脂製の遮水シートは存在していなかったのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来のポリエチレン系樹脂製遮水シートの欠点、すなわち、ノンスリップ性に優れ、従って現場施工性、特に斜面歩行性と雨天作業性、及びこれらの足場条件の悪い環境でのヒートシール作業性が改善され、さらに、蓄熱及び熱酸化劣化防止性が改善されて十分に耐久性を有するポリエチレン系樹脂製遮水シートを提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の蓄熱及び熱酸化劣化防止性に優れた土木用遮水シートは、メタロセン系触媒の存在下に、エチレンと、3〜12個の炭素原子を含むα−オレフィンとを共重合して得られたエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を主成分として含み、かつ0.3〜12g/10分(JI K 6760による測定値)のメルトフローレート(MFR)を有するポリオレフィン系樹脂からなる長尺シートであって
前記ポリオレフィン系樹脂が、酸化チタン及びアルミニウム粉末から選ばれた少なくとも1種を含む顔料を含み、かつ、そのCIE1976表色系による明度指数L* 値(JIS Z 8729による)が20〜70であり
前記長尺シートの表面の左右側縁の少なくとも一方の、幅5〜50cmの非凹凸面側縁部には、表面粗さRz(JIS B 0601による)が5〜200μmの梨地粗面が形成されているか、或は表面粗さRz(JIS B 0601による)が5μm未満の平滑面が形成されており、かつ、
前記長尺シートの前記梨地粗面又は平滑面形成側縁部以外の部分には、表面側に、0.5〜3.0mmの高さをもって突出する多数の、互に離間し独立した突起体が、3〜100個/100cm2の平均分布密度をもって形成されている、
ことを特徴とするものである。
本発明の土木用遮水シートにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂が、前記エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂からなる主成分と、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を含む副成分とを含む樹脂ブレンドであって、この樹脂ブレンドの合計重量に対する共重合した酢酸ビニルの含有率が3〜20重量%であり、前記樹脂ブレンド体のメルトフローレート(MFR)が、0.3〜12g/10分(JIS K 6760による)であることが好ましい。
本発明の土木用遮水シートにおいて、前記突起体が円盤形状、多角形状、星形状、楕円形状、又は前記長尺シートの長手方向に交差する方向に伸びた直線状体、折線状体又は曲線状体をなしていることが好ましい。
本発明の土木用遮水シートにおいて、前記顔料が、さらにカーボンブラックを含むことが好ましい。
本発明の土木用遮水シートにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂が、さらに、ビタミンE化合物及びヒンダードアミン系化合物から選ばれた少なくとも1種を含み、前記ビタミンE化合物及び/又はヒンダードアミン系化合物の重量が、前記ポリオレフィン系樹脂の合計重量100重量部に対して、0.01〜0.50重量部であることが好ましい。
本発明の土木用遮水シートにおいて、前記長尺シートの1側縁部のみに、前記梨地粗面又は平滑面が形成されていてもよい。
本発明の土木用遮水シートにおいて、前記長尺シートの左右両側縁部に、前記梨地粗面、又は、平滑面が形成されていてもよい。
本発明の土木用遮水シートにおいて、前記酸化チタンが、0.05〜0.5μmの平均粒子径を有するルチル型酸化チタンであることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の土木用遮水シートに好ましく使用できるポリオレフィン系樹脂は、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂である。このエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂は、エチレンモノマーと炭素数3〜12のα−オレフィンモノマーとを、メタセロン重合触媒の存在下で、気相法、スラリー液相法、または高圧法などの重合方法によって共重合することにより得られる直鎖状低密度ポリエチレン樹脂である。本発明においてエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂用重合触媒としては、メタロセン系触媒(またはシングルサイト触媒)などが用いられ、それによって、得られる遮水シートのヒートシール性、及び耐環境応力劣化性の優れたものが得られる。α−オレフィンモノマーとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1などが用いられるが、特に炭素数6〜10のα−オレフィンモノマーが好ましい。また、これらのα−オレフィンモノマーを2種以上同時に用いてエチレンモノマーと共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を使用することもできる。
【0013】
これらのエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂は単独使用のみならず、2種以上のエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂をブレンドして併用することもでき、これらエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂単独、または、それとエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂とのブレンドのメルトフローレート(MFR)は、0.3〜12g/10min(JIS K−6760)、好ましくは1.0〜5.0g/10min のである。MFRが、0.3g/10min 未満であると、得られる土木用遮水シートの成形加工が極めて困難になり、また、MFRが12g/10min を越えて大きいと、得られるシート強度及び耐熱性が不十分になり、さらに耐環境応力劣化性が不十分になり、シートに亀裂破壊を生じやすくなるなどの欠点を生ずる。また、本発明に使用するエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂の密度(JIS K−6760)は、0.880〜0.930g/cm3 、好ましくは0.910〜0.925g/cm3 であることが好ましい。密度が、0.880g/cm3 未満であると、得られる土木用遮水シートのシート強度と耐熱性が不十分になることがあり、また同時に粘着性を帯びてロール状に巻き上げた時にシート同士がブロッキングを生じ易くなるという問題を生ずることがある。また、密度が0.930g/cm3 を越えて大きいと得られるシートの風合いが硬くなり、施工現場での敷設性と敷設地盤面への追従性が不十分になることがある。
【0014】
本発明に使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂の重合に使用されるメタロセン系触媒としては、特開平2−41303号公報、特開平2−274703号公報、特開平3−12406号公報、特開平3−197516号公報、特開平4−69394号公報などに記載されているメタロセン錯塩化合物を挙げることができ、これらはシクロペンタジエニル誘導体、またはインデニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物を含むものであることが好ましい。
【0015】
このシクロペンタジエニル誘導体、またはインデニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物の遷移金属としては、原子周期律表第IVB族から選ばれた、例えばジルコニウム、チタニウム、ハフニウムであることが好ましい。シクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属(メタロセン錯塩)化合物の具体例としては、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(1−メチル−3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1−メチル−1エチリデン(シクロペンタジエニル−1−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライドなどが例示できる。
【0016】
また、インデニル誘導体を含有する有機遷移金属(メタロセン錯塩)化合物の具体例としてはエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、1,2−エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(インデニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(インデニル)ハフニウムジクロライドなどが例示できる。
【0017】
特にシクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属(メタロセン錯塩)化合物触媒を用いて重合されたポリオレフィン系樹脂はシンジオタクシティが高く、また特にインデニル誘導体を含有する有機遷移金属(メタロセン錯塩)化合物触媒を用いて重合されたポリオレフィン系樹脂はアイソタクシティを高く得られるため、これらの有機遷移金属(メタロセン錯塩)化合物触媒を使い分けることによってエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂の立体規則性をコントロールして得ることができる。
【0018】
また本発明に使用するエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂の重合にはメタロセン系触媒の助触媒としてアルキルアルミノキサンを併用することができ、このようにすると、重合の活性効率が向上する。上記助触媒用アルキルアルミノキサンとしてはメチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンなどが例示でき、例えば、アルキルアルミノキサンはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウムと水との縮合によって得られる−(Al(CH3)−O−)n−縮合物が使用できる。アルキルアルミノキサンの使用量は、メタロセン系触媒に対して金属原子数比(アルミニウム原子/メタロセン系触媒の遷移金属原子)が100/1〜1000/1であることが好ましく、また重合系内に使用されるメタロセン系触媒量としては重合容積1リットルに対して1×10-8〜1×10-3グラム原子の量で使用されることが好ましい。また、必要に応じて重合活性を高める目的で、従来公知のプロトン酸、ルイス酸、ルイス酸化合物を重合系中に併用しても良い。プロトン酸、ルイス酸、ルイス酸性化合物に特に限定はないが、ホウ素系化合物が好ましく使用できる。
【0019】
また、本発明の土木用遮水シートは、そのポリオレフィン系樹脂中にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を含むことによってシートの柔軟性とヒートシール性をさらに改善することができる。即ち本発明の土木用遮水シート形成用ポリオレフィン系樹脂は、前記メタロセン系触媒の存在下で共重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を主成分として含み、必要によりさらに副生成分とにエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を含む樹脂ブレンドであってもよく、この樹脂ブレンドに含有される共重合した酢酸ビニルの重量は樹脂ブレンドの合計重量に対して3〜20重量%、特に5〜12重量%であることが好ましい。樹脂ブレンドに用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、エチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーとのラジカル重合によって得られ、この共重合体中の酢酸ビニル成分の含有量が5〜60重量%であることが好ましく、特に10〜25重量%であることが好ましい。また、前記樹脂ブレンドのメルトフローレート(MFR)は0.3〜12g/10min(JIS K−6760)、特に1.0〜5.0g/10min であることが好ましい。この樹脂ブレンドに含有される共重合した酢酸ビニル成分の含有量は3重量%未満だとシートの柔軟性、及びヒートシール性の改善効果に乏しく、また、酢酸ビニル成分の含有率が20重量%を越えて大きくなると得られるシートの機械的強度と耐薬品性を低下させることがあり好ましくない。また、この樹脂ブレンドのMFRが0.3g/10min 未満であると、得られる土木用遮水シートの成形加工が極めて困難となり、また、MFRが12g/10min を越えて大きいと、シート強度と耐熱性に劣るだけでなく、シート表面に粘着性を帯びて巻き取り時にブロッキングを生じるという問題がある。
【0020】
本発明の土木用遮水シートは、酸化チタン及びアルミニウム粉末から選ばれた少なくとも1種を含み、必要により、さらにカーボンブラックを含む顔料で着色され、そのCIE1976表色系の明度指数L* 値(JIS Z−8729)が20〜70であり、好ましくは30〜60である。明度指数L* 値が20未満であると、太陽光によるシートの温度上昇と蓄熱が大きくなり、シートの酸化劣化を促進させることがある。また、明度指数L* 値が70を越えて大きくなると、シートの温度上昇と蓄熱を避けることが可能となるが、太陽光による樹脂の光劣化を防止することが困難となる。具体的に本発明の土木用遮水シートの着色には、酸化チタンによる明度指数L* 値20〜70の着色、アルミニウム粉末による明度指数L* 値20〜70の着色、カーボンブラックと酸化チタンとの組み合わせによる明度指数L* 値20〜70の着色、カーボンブラックとアルミニウム粉末との組み合わせによる明度指数L* 値20〜70の着色、酸化チタンとアルミニウム粉末との組み合わせによる明度指数L* 値20〜70の着色、カーボンブラックと酸化チタン、及びアルミニウム粉末との組み合わせによる明度指数L* 値20〜70の着色、及び上記組み合わせ着色系にさらに他の顔料を追加して、得られる明度指数L* 値20〜70の着色などが挙げられる。CIE1976表色系(JIS Z−8729)に規定される明度指数L* 値とは、1976年に国際照明委員会(CIE)が勧告の「L* a* b* 表色系及び色差公式」に規定されるL* =116(Y/Y0)1/3 −16,a* =500[(X/X0)1/3 −(Y/Y0)1/3],b* =200[(Y/Y0)1/3 −(Z/Z0)1/3]を表すものである。(式中X0 ,Y0 ,Z0 は照明に用いた標準光の三刺激値X,Y,Zは繊維布帛の三刺激値である)CIE1976表色系はAdams−Nickerson色空間(Vx ,Vy ,Vz 表色系)に近似させ簡略化した均等色空間である。
【0021】
カーボンブラックとしては、クレオソート油、エチレンボドム油、天然ガス、アセチレンガスなどを原料として公知のファーネス法、コンタクト法によって製造されたアセチレンブラック、オイルブラック、ガスブラックなどが挙げられ、特に黒色顔料としては粒子径が10〜35nmのハイカラー・チャンネルブラック、ハイカラー・ファーネスブラック、ミディアルムカラー・ファーネスブラック、ロングフロー・ファーネスブラック、レギュラーカラー・ファーネスブラックなどのアセチレンブラックであることが好ましい。
【0022】
また、酸化チタンとしては、チタン鉱石を硫酸と反応させて硫酸チタニルとし、これを加水分解して得た含水酸化チタンを焼成して得られるルチル型酸化チタン、及びアナタース型酸化チタン、またはチタン鉱石を還元剤と共に塩素を反応させ、得られた四塩化チタンを酸素と反応させて得られるルチル型酸化チタンが挙げられる。本発明に使用する酸化チタンとしては、アナタース型酸化チタンよりも耐候性に優れるルチル型酸化チタンを使用することが好ましく、粒子径としては0.05〜0.5μm、好ましくは平均粒子系が0.2〜0.35μmの酸化チタンが隠蔽性に優れ適している。
【0023】
さらにアルミニウム粉末としては、湿式ボールミル法、振動ボールミル法、アトライター法によってアトマイズド金属粉を粉砕して得られる平滑磨砕面を有する粒度5〜60μmの鱗片にステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸などの脂肪酸によって潤滑処理されたもの、あるいはシランカップリング剤処理、有機チタネートカップリング剤処理によって接着処理されたもの、またあるいはアクリル樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂被覆されたものなどが好ましく使用できる。これらカーボンブラック、二酸化チタン、及びアルミニウム粉末は粉末状でポリオレフィン系樹脂を着色しても良いし、またはカラードペレットなどのマスターバッチ形態で着色してもよい。アルミニウム粉末は、アルミニウムペーストであってもよい。
【0024】
また、本発明の土木用遮水シートは、上記カーボンブラック、酸化チタン、アルミニウム粉末以外の着色顔料として、公知の有機系顔料及び/又は無機系顔料を併用することができる。例えば、有機系顔料としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、染付けレーキ顔料、アントラキノン系顔料類、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料など、その他ニトロソ顔料、アリザリンレーキ顔料、金属錯塩アゾメチン顔料、アニリン系顔料などが例示できる。また無機系顔料としては、酸化亜鉛(亜鉛華)、三酸化アンチモン、酸化鉄、酸化鉛、酸化クロム、酸化ジルコニウム、スピネル型構造酸化物、ルチル型構造酸化物などの金属酸化物、硫化亜鉛と硫酸バリウムの複合物(リトポン)、硫化カルシウム、硫化亜鉛などの金属硫化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛などの金属硫酸化物、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸鉛と水酸化鉛の複合物(鉛白)などの金属炭酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム(アルミナホワイト)水酸化アルミニウムと硫酸カルシウムの複合物(サチン白)、水酸化アルミニウムと硫酸バリウムの複合物(グロスホワイト)などの金属水酸化物、クロム酸鉛(黄鉛)、クロム酸バリウムなどのクロム酸金属塩などが例示できる。得られるシートの明度指数L* 値が20〜70の範囲であれば、これらの顔料の配合量に特に制限はなく使用できる。
【0025】
本発明の土木用遮水シートの耐候性と熱酸化劣化防止性を向上させるために前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対してビタミンE化合物を0.01〜0.50重量部、望ましくは0.03〜0.20重量部配合し、同時に前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対してヒンダードアミン系化合物を0.01〜0.50重量部、望ましくは0.03〜0.20重量部配合されていることが好ましい。ビタミンE化合物、及びヒンダードアミン系化合物配合量が0.01重量部未満では得られるシートの耐候性と熱酸化劣化防止性が不十分となることがあり、また、0.50重量部を越えて配合量を大きくしても耐候性と熱酸化劣化防止性をさらに向上させることはできないことがあり、かえってブリードアウトやブルーミングなどのトラブルを引き起こすことがある。これらの化合物を含有させることによって廃棄物処理場に敷設される遮水シートの地上露出部分の耐候性と熱酸化劣化防止性を十分高いものとすることができる。
【0026】
ビタミンE化合物としては具体的に、3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オール、及びその誘導体が挙げられる。また、ヒンダードアミン系化合物としては具体的に、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)[(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル]ブチルマロネート、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの縮合物、N,N’,N”,N''' −テトラキス[4,6−ビス〔ブチル(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]−ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキソ−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,10−ジアザ−20(2,3−エポキシプロピル)ジスピロ[5.1.11.2]−ヘネイコサン−21−オンの重縮合物、プロパンジオン酸[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペラジニル)エステル、1,3ベンゼンジカルボキシアミド−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジニル)、ポリ[〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物などが挙げられる。これらのヒンダードアミン系化合物は2種以上を併用しても良く、また、さらにベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系及び、アニリド系の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、アミン系、及びフォスファイト系の酸化防止剤、その他シート成型時の加工性と外観を向上させる目的でリン酸エステル系、脂肪族アミド系、モンタン酸系の滑剤などを、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.02〜0.5重量部配合し併用することができる。
【0027】
本発明の土木用遮水シートは従来公知の成型加工方法によって加工することができる。ポリオレフィン系樹脂コンパウンドは、公知の方法、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、二軸混練機などを用いて、素練り混練をかけコンパウンド化する方法、及び溶融混練後、単軸押出ペレタイザー、二軸押出ペレタイザーなどで造粒ペレット化する方法によって得ることができる。本発明の土木用遮水シートはT−ダイ押出法、インフレーション(ブロー成型)法、カレンダー法などの加工技術によって上記コンパウンド、またはペレットを溶融してシート状に成型することで得られる。土木用遮水シートとしては、4〜8mの広幅シート(0.5〜3.0mm厚)に利便性を有するため、特にT−ダイ押出法やインフレーション(ブロー成型)法などがその製造に適している。T−ダイ押出法やインフレーション(ブロー成型)法では上記コンパウンド、またはペレットは160〜260℃の条件で溶融させて加工する必要があり加工中の熱劣化を伴うが、本発明の土木用遮水シートにおいては前記ビタミンE化合物を含有することで加工時の熱劣化を最小限とすることができ、これによって加工トラブルの低減を図ることが可能とできる。本発明の土木用遮水シートの厚さは1.0〜2.0mmであることが好ましいが、このシートの成型は上記加工方法の何れかによって1度に成型してもよく、あるいは2枚以上のシートを熱溶融させて積層させる方法によって得られたものであってもよい。
【0028】
また、本発明の遮水シートは成型時にシートの表面あるいは中間層に不織布を複合したものであってもよい。不織布の複合によってシートの寸法安定を向上させることが可能となり好ましい。不織布としては、そのウエブ原料にセルロース繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ガラス繊維、炭素繊維、フェノール繊維などを使用したものが挙げられ、このうちポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維などの1種以上を原料としてスパンボンド法あるいはメルトブローン法によって製造されたウエブをケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、サーマルボンド法などのいずれかの方法により接着処理して製造された25〜400g/m2 目付の不織布が好ましく使用できる。またこれらの不織布は後加工により、エンボスプレス加工、ボンディング加工、コーティング加工などがなされたものであってもよい。
【0029】
本発明の遮水シートの、表面の長手方向の左右側縁の少なくとも一方の5〜50cm幅、好ましくは10〜25cmの部分には表面粗さRz(JIS B−0601)が5〜200μm、好ましくは30〜100μmの梨地粗面が形成されているか、或は表面粗さRzが5μm以下の平滑面が形成されており、この遮水シートの前記梨地粗面又は平滑面形成側縁部以外の部分の表面側に、0.5〜3.0mm、好ましくは1.0〜2.0mmの高さをもって突出する多数の、互に離間して独立した突起体が3〜100個/100cm2の平均分布密度で形成されている。分布密度は5〜30個/100cm2であることが好ましい。
【0030】
本発明の遮水シートの1例は、図1に示す構成を有している。図1において、長手方向に伸びる遮水シートの非凹凸面側縁部1,2は5〜50cmの幅を有するもので、前記梨地粗面又は平滑面をなしており、この非凹凸面側縁部1,2の間の凹凸面部の表面側には、後記するような多数の突起体(図示されていない)が形成される。前記梨地粗面又は平滑面形成側縁部は、長尺シートの左右側縁の一方のみに形成されていてもよく、左右両側縁に形成されていてもよい。本明細書において、以下、長尺シートの梨地粗面又は平滑面形成側縁部を非凹凸面側縁部と記し、非凹凸側縁部以外の部分を凹凸面部と記すことにする。
【0031】
即ち本発明の遮水シートの表面凹凸面部には、施工作業者が着用する靴の靴底に刻まれた溝部に噛み合う突起体が分布していることによって、作業時のスリップ防止効果、及び斜面における作業安定性の向上効果をもたらし、さらにシートの重ね合わせヒートシール部を形成する非凹凸面側縁部だけには、Rzが200μm以下の平滑な表面が形成されていることによって安定したヒートシール作業性と気密防水性とが得られる。突起体の高さが0.5mm未満、あるいはその突起体分布密度が3個/100cm2 未満であると、スリップ防止効果、及び斜面での作業安定性向上の効果が不十分になり、また、突起体の高さが3.0mmを越えて大きくなると、シート上の歩行性が不良になり、また、シートの巻き取りを困難とするなどの不都合を生ずる。また、突起体の分布密度が100個/100cm2 を越えて多くなると、靴底に刻まれた溝とシートの突起体との噛み合い効果が希薄化するため、却ってスリップ防止効果が得られ難くなる。遮水シート表面凹凸面部の多数の突起体(凸部)以外の凹部の表面は非凹凸面側縁部と同様に梨地粗面に形成されていてもよく、或は平滑面に形成されていてもよい。また、遮水シートの非凹凸面側縁部に形成される梨地粗面の表面粗さRzが200μmを越えて大きいとヒートシールの作業性と気密防水性を損なうことがあり好ましくなく、また、非凹凸面側縁部の幅が5cm未満だとヒートシール部の強度が十分でなく、また非凹凸面側縁部の幅が50cmを越えて大きくなるとヒートシール作業時の足場が不安定となるため好ましくない。
【0032】
本発明の遮水シートの表面凹凸面部に形成される突起体の形状寸法には制限がなく、形状、寸法が同一の突起体が分布していてもよく、形状、及び/又は寸法の互に異る突起体が分布していてもよく、その分布も均一であってもよく、また不均一であってもよい。多数の突起体は互に離間して、独立して分布しており、その平面形状は円形、楕円形、多角形(三角形、菱形、四角形、長方形、五角形、六角形など)の数学的定義を有する形状であってもよく、不定形状、例えば、その平面形状が歪んだ円形、歪んだ楕円形、多角形(歪んだ三角形、歪んだ菱形、歪んだ四角形、歪んだ長方形、歪んだ五角形、歪んだ六角形)、星形状天然物模様(樹皮、岩石など)などの数学的定義が困難な形状が挙げられる。突起体の形状は、遮水シートの長手方向に交差する方向に伸びる直線状体、折線状体又は曲線状体であってもよい。これらの突起体の表面積はそれぞれ3〜80mm2 であることが好ましく、20〜50mm2 であることがさらに好ましく、特に突起体の形状が直線状体、折線状体又は曲線状体の場合に於ては、これらの突起体の表面積は80mm2 を越えるものであってもよい。またその表面最大径は、1.0〜5.0mmであることが好ましく、より好ましくは2.0〜4.0mmである。突起体の表面積又は最大径が上記範囲外になると、スリップ防止効果、及び斜面での作業安定性向上の効果に乏しくなることがある。また互に隣り合う突起体の間の最短距離は5〜50mmであることが好ましく、10〜25mmであることがさらに好ましい。このような突起体間隔は、遮水シートのスリップ防止効果上有効なものである。また互いに隣り合う突起体の間隔は一定であってもよいが間隔が必ずしも一定である必要はない。また、突起体が帯状の直線状体であるとき、その幅が1.0〜5.0mmであることが好ましく、より好ましくは2.0〜4.0mmであり、それはストライプ状であってもよく、或は格子状ものであってもよく、曲線・折線状突起体の幅は1.0〜5.0mmであることが好ましく、より好ましくは2.0〜4.0mmであって、波状、サインカーブ状、鋸菌状、パルス波形状、蜘蛛の巣状、アルファベット文字状などのものを包含する。これらの帯状の突起体の間隔は一定であることが好ましいが、間隔が必ずしも一定である必要はない。また、遮水シート表面凹凸面部において、突起体以外の凹部表面は、梨地粗面又は平滑面をなすように形成されていてもよい。
【0033】
図2に示された遮水シートの凹凸面部3には、円盤状の多数の突起体4が互に離間独立して、均一に整列分布している。
また図3に示された遮水シートの凹凸面部3には、多数の直線帯状突起体5が、シートの長手方向に交差する方向(図3においては直交する方向)に、一定間隔をおいて均一に分布している。
図4に示された本発明の遮水シートの一例の左半部の横手方向断面図において、左非凹凸面側縁部2に連続する中央凹凸面部3の表面側には多数の突起体4が互いに離間独立して形成されており、突起体4の間の凹部5の表面は所望の梨地粗面をなすように形成されており、左非凹凸面側縁部2の表面6はRz=5μm未満の平滑面をなすように形成されている。中央凹凸面部3の凹部5の表面は所望の平滑面をなすように形成されていてもよく、また、左(右)非凹凸面側縁部表面6はRz=200μm以下の梨地粗面をなすように形成されていてもよい。
【0034】
本発明の遮水シートの表面凹凸面部に突起体を形成するには、T−ダイ押出法、インフレーション(ブロー成型)法により樹脂シートを溶融押出す工程に連続して、押出された樹脂シートが、可塑性を示す状態にあるうちに、これに上記突起体に対応する凹部が刻印されたエンボスロールを圧着させる方法を用いることができる。また、このエンボスロールの左右両端部5〜50cm幅には表面粗さRz(JIS B−0601)が5〜200μmの梨地エンボス刻印が施されているか、もしくは表面粗さRzが5μm以下の鏡面加工が施されているものを用いる。
【0035】
本発明の土木用遮水シートは、隣り合う2枚の遮水シートの非凹凸面側縁部相互に、又は隣り合うシートの一方の非凹凸面側縁部の表面と、他方の凹凸面部の側縁部の裏面とをヒートシールにより接合することができる。このヒートシールには、ヒーターの電気制御によって、100〜800℃に無段階設定された熱風を、ヒートシール仕様に応じて選ばれたノズルを通じて被着体シートの間に吹き込み、被着体シートの表面を瞬時に溶融させ、その直後に被着体シートを互いに圧着して接着を行うホットエアーウエルディング法、あるいはポリオレフィン系樹脂の溶融温度以上にヒーター内蔵加熱された金型(熱コテ)を用いて被着体シートを圧着してシールするホットウエッジウエルディング法(シングルウエッジ法、ダブルウエッジ法)、さらにはライスター熱風融着機を用いて2枚のシートを仮接合し、後からこのシール部の周りに遮水シートと同質のポリオレフィン系樹脂を溶かして塗り固める押出しウエルディング法が挙げられる。これらのヒートシール工法は何れも自走式融着機を使用して連続的に行うことができる。また、特にホットウエッジ法においてはダブルウエッジ法(2点止め)の熱コテを用いることが好ましい。これはヒートシール部の強度に影響する、融着部の端部に圧出する溶融樹脂のはみだし溜まりがシングルウエッジ法での数に較べて有利な理由と、漏水に対する安全の信頼性のためである。これはダブルウエッジ法では2点融着の間に生じるエアーチャンネル(空洞部)の存在が漏水事故の非破壊検査に有効であることが挙げられる。これらヒートシール作業の条件は、シートの材質と厚みによって異なるが、熱コテ温度が200〜500℃、融着機の走行速度1.0〜5.0m/min であることが好ましい。
【0036】
【実施例】
本発明を下記実施例、及び比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例の範囲に限定されるものではない。下記実施例、及び比較例において本発明の土木用遮水シートの柔軟性、敷設性、斜面歩行性(ノンスリップ性)、雨天作業性(ノンスリップ性)、蓄熱防止性、熱酸化劣化防止性、耐候性、ヒートシール性などの評価方法は以下の通りである。
【0037】
(1)柔軟性
供試遮水シートから寸法:335mm(長さ方向)×50mm(幅方向)の長方形片を採取し、この試験片をまるめて内径100mmφ×50mmの円筒を作製し(シール部は180℃の熱コテで固定)、この円筒を、そのシール部が底側に位置するように寝かせて、この試料の50%圧縮時の応力(20℃、100m/min の圧縮速度で円筒の内径高さを50mmまで潰すのに必要な荷重)を測定した。その数値が少ない程シートの柔軟性が優れていると判断した。この試験機には圧縮用冶具を装着したストログラフV10型万能試験機((株)東洋精機製作所製)を使用した。
○:柔軟性良好(圧縮応力700g以下)
△:やや柔軟性に劣る(701〜999g)
×:柔軟性に劣る(1000g以上)
【0038】
(2)敷設性
平坦地盤にブロック塀用コンクリートブロック(19cm高×39cm幅×10cm厚)3個を19cmの高さに横一列117cm長に並べ、この上に供試シートを被せて覆い、1日後、シートが地面に触れている点とコンクリートブロック(厚み方向)との距離、即ち供試シートの浮き上がり部分の距離を測定した。(日中の平均気温24〜26℃)
○:地形追従性に優れ敷設性良好(40cm以内)
△:やや地形追従性に劣る(41〜80cm)
×:地形追従性に劣り敷設が困難である(81cm以上)
【0039】
(3)斜面歩行性(ノンスリップ性)
供試遮水シートから寸法:30cm(幅方向)×50cm(長さ方向)の試料を採取し、この試料を厚さ5mmのベニヤ板に平坦に貼り付け固定した。次にその一上端に1.0kgに質量調整したポリウレタンゴム製の靴底を有する安全靴(ミドリ安全(株)製:商標ハイ・ベルデ・コンフォートCF210、片足380g)を乗せてベニヤ板を1秒当たり1度の速度で水平から垂直方向に緩やかに傾斜させ、安全靴が滑落した時の傾斜角を測定した。この試験では新しい安全靴を使用し、靴底面にはタルク粉末(関東化学(株))をペンキ用刷毛で均等にまぶして安全靴底の日常着用状態を擬似的に再現した。
○:滑落角度41度以上(斜面歩行性良好と判断)
△:31〜40度(やや斜面歩行性に劣ると判断)
×:30度以下(斜面歩行性に劣ると判断)
【0040】
(4)雨天作業性(ノンスリップ性)
(3)の試験において、供試遮水シートの表面と、安全靴の底を水道水で均一に濡らした状態とした以外は(3)と同一の試験を行った。
○:滑落角度41度以上(斜面歩行性良好と判断)
△:31〜40度(やや斜面歩行性に劣ると判断)
×:30度以下(斜面歩行性に劣ると判断)
【0041】
(5)蓄熱防止性
500Wのフォトリフレクターランプ(東芝(株))が天井の内側凹凸面部に取り付けられた気密性を有する幅40cm×高さ40cm×奥行40cmの箱の内側底部中央に200mm(長さ方向)×200mm(幅方向)サイズに採取した供試遮水シートの試料片を貼り付け、ランプの中心とシート試料片の中心とが直線上に重なり、かつ、ランプの先端部とシート試料との距離が30cmとなるように設定した。この装置のランプを10分間点灯させ、消灯3分後のシート試料片の表面の温度を測定した。
○:表面温度50℃以下(蓄熱防止性良好と判断)
△:51〜55℃(やや蓄熱防止性に劣ると判断)
×:56℃以上(蓄熱防止性に劣ると判断)
【0042】
(6)熱酸化劣化防止性
80℃に設定したギアーオーブン中に、供試遮水シートを2000時間静置し、このシートより13mm×38mmの小片を試験片として切り出し、この小片の中央に19mm長の切れ目を入れた。次にこれをJIS Z1703に規定される環境応力亀裂試験(50℃アルキルアリルポリエチレングリコール浸漬)を供し、試験片が亀裂破壊するまでの時間を求めた。
○:100Hr以上(熱酸化劣化防止性良好と判断)
△:11〜99Hr(やや熱酸化劣化防止性に劣ると判断)
×:10Hr以下(熱酸化劣化防止性に劣ると判断)
【0043】
(7)耐候性
サンシャインカーボンウエザーメーターによる耐候促進試験(JIS L−0842)1000時間を施した供試遮水シートから13mm×38mmの小片を試験片として切り出し、この試験片の中央に19mm長の切れ目を入れた。次にJISZ1703に規定される環境応力亀裂試験(50℃アルキルアリルポリエチレングリコール浸漬)を行い、試験片が亀裂破壊するまでの時間を求めた。
○:100Hr以上(耐候性良好と判断)
△:11〜99Hr(やや耐候性に劣ると判断)
×:10Hr以下(耐候性に劣ると判断)
【0044】
(8)ヒートシール性
A)ライスター社製熱風融着機を使用して、熱風温度500℃、融着速度5m/min の条件で、供試遮水シートのシール幅100mmについての接合を行った。B)PAFF社製ホットウェッジウエルダー(シングルウェッジ)を使用して、熱コテ温度240℃、融着速度1.0m/min 、圧力2kg/cm2 の条件でシール幅100mmの接合を行った。
○:隙間がなく融着(遮水性良好と判断)
×:隙間がある(遮水性に劣ると判断)
【0045】
[実施例1]
メタロセン系触媒の存在下エチレンとヘキセン−1との共重合によって得られた、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂(1)(商標:ハーモレックスLL/NC524A:MFR3.5:密度0.905:PL登録品:日本ポリオレフィン(株))100重量部に対し、ビタミンE系化合物(商標:イルガノックスE201:3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾビラン−6−オール:分子量430.72:FDA認可品:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.15重量部と、ヒンダードアミン系化合物(商標:チヌビン622LD:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとコハク酸ジメチルとの重合物:分子量3100〜4000:FDA認可品:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を0.15重量部、着色顔料としてカラードペレット(商標:ハイコンクマスター1717ブラック:カーボンブラック含有率10重量%:大日精化工業(株))2重量部とカラードペレット(商標:ハイコンクマスター2060ホワイト:二酸化チタン(R)含有率60重量%:大日精化工業(株))2重量部とを配合したポリオレフィン系樹脂コンパウンドから、254cm幅、明度指数L* 値(JIS Z−8729)が38.5であるグレー色のシートを押出成型した。押出成型にはスクリュー径150mmφ、L/D=32のT−ダイ押出機(日立造船(株)製一軸押出機SHT150)を用い230℃の条件で行った。また、押出した溶融状態のシートを直ちに両端と凹凸面部とに異なる凹部刻印を形成したエンボスロール(水冷)を通過させてシートの片表面中央204cm幅の部分に、直径3mmφの円盤形の突起体ドット整列賦型(突起体高さ1.0mm、突起体分布密度25個/100cm2 、突起体間隔17mm)を形成し、また、その長手方向の非凹凸面側縁部25cm幅の部分には、表面粗さRz(JIS B0601)が50μmの梨地模様を形成させた。得られたシートの厚さは1.5mmであった。(突起体は含まない厚さ)
【0046】
[実施例2]
実施例1で用いたメタロセン系触媒の存在下エチレンとヘキセン−1との共重合によって得られたエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂(1)(商標:ハーモレックスLL/NC524A:MFR3.5:密度0.905:PL登録品:日本ポリオレフィン(株))100重量部のうちの30重量部を、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(商標:エバテートK2010:MFR3.0:VA含有量25重量%:住友化学工業(株))30重量部に置き換えた以外は実施例1と同一の配合とし、実施例1と同様の方法に従ってシートの片表面中央204cm幅に、直径3mmφの円盤形の突起体ドット整列賦型(突起体高さ1.0mm、突起体分布密度25個/100cm2 、突起体間隔17mm)が形成され、また、その長手方向の非凹凸面側縁部25cm幅には、表面粗さRz(JIS B0601)50μmの梨地模様が形成された1.5mm厚(突起体は含まない)、254cm幅のシートを得た。
【0047】
[実施例3]
実施例1で用いたカラードペレット(商標:ハイコンクマスター1717ブラック:カーボンブラック含有率10重量%:大日精化工業(株))2重量部を、アルミニウム粉末(商標:アルペースト0100MA、45μmふるい通過率98%、固形分66%)2重量部に置き換えた以外は実施例1と同一の配合とし、実施例1と同様の方法に従ってシートの片表面中央204cm幅に、直径3mmφの円盤形の突起体ドット整列賦型(突起体高さ1.0mm、突起体分布密度25個/100cm2 、突起体間隔17mm)が形成され、また、その長手方向の非凹凸面側縁部25cm幅には、表面粗さRz(JIS B0601)50μmの梨地模様が形成された1.5mm厚(突起体は含まない)、254cm幅、明度指数L* 値(JIS Z−8729)が63.3であるグレー色のシートを得た。
【0048】
[実施例4]
実施例1で使用したエンボスロールを別のエンボス刻印が形成されたエンボスロールに変更し、シートの片表面中央204cm幅に帯幅2mmの直線状突起体が幅方向に平行に整列した賦型(突起体高さ1.0mm、突起体分布密度5個/100cm2 、突起体間隔18mm)を形成し、また、その長手方向の非凹凸面側縁部25cm幅には、表面粗さRz(JIS B0601)が50μmの梨地模様を形成させた。エンボスロールを変更した以外は実施例1と同一として、1.5mm厚のシートを得た。(突起体は含まない)
【0049】
[実施例5]
実施例3で使用したエンボスロールを実施例4で使用したエンボスロールに変更した以外は実施例3と全て同一として遮水シートを作製した。
【0050】
[実施例6]
実施例1で使用したエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂(1)100重量部をメタロセン系触媒の存在下エチレンとオクテン−1との共重合によって得られた、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂(2)(商標:アフィニティー/EG8200:MFR5.0:密度0.870:ダウ・ケミカル日本(株))100重量部に変更した以外は実施例1と同一とした。
【0051】
[比較例1]
実施例1のポリオレフィン系樹脂コンパウンドから、ビタミンE系化合物(商標:イルガノックスE201:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.15重量部を省いた。また、実施例1に使用した着色剤カラードペレット(商標:ハイコンクマスター2060ホワイト:二酸化チタン(R)含有率60重量%:大日精化工業(株))2重量部を省き、カラードペレット(商標:ハイコンクマスター1717ブラック:カーボンブラック含有率10重量%:大日精化工業(株))を4重量部に増量した以外は実施例1と同一配合とし、254cm幅、明度指数L* 値(JIS Z−8729)が6.2である黒色のシートを押出成型した。また、押出した溶融状態のシートを直ちに、ロール全面に表面粗さRz(JIS B0601)50μmの梨地模様が刻印されたエンボスロール(水冷)を通過させて、シートの全面に表面粗さRz(JIS B0601)50μmの梨地模様を形成させた。得られたシートの厚さは1.5mmであった。
【0052】
[比較例2]
実施例6のポリオレフィン系樹脂コンパウンドから、ビタミンE系化合物(商標:イルガノックスE201:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.15重量部を省いた。また、実施例6に使用した着色剤カラードペレット(商標:ハイコンクマスター2060ホワイト:二酸化チタン(R)含有率60重量%:大日精化工業(株))2重量部を省き、カラードペレット(商標:ハイコンクマスター1717ブラック:カーボンブラック含有率10重量%:大日精化工業(株))を4重量部に増量した以外は実施例6と同一配合とし、254cm幅、明度指数L* 値(JIS Z−8729)が6.2である黒色のシートを押出成型した。また、押出した溶融状態のシートを直ちにロール全面に凹部刻印を形成したエンボスロール(水冷)を通過させて、シートの全面に、直径3mmφの円盤形の突起体ドット整列賦型(突起体高さ1.0mm、突起体分布密度225個/100cm2 、突起体間隔3.9mm)を形成した。得られたシートの厚さは1.5mmであった。(突起体は含まない厚さ)
【0053】
実施例1〜6並びに比較例1及び2の遮水シートの試験結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
[実施例の効果の説明]
実施例1〜6ではシートの凹凸面部領域に、高さ1.0mmの突起体を特定の密度間隔で幅広く設けたことによって、それぞれのシート上の歩行性が改善され、特に斜面施工時の登板性とスリップ防止性の改善に大きな効果を発揮した。この改善効果は雨天作業においても十分な効果が認められるものであった。また、重ね合わせのヒートシール性に関しては、接合部のシート両端部の凹凸粗さRzを50μm(200μm以下)とすることによってヒートシール作業に何ら支障がなく、作業が容易であると同時に、シール部の気密性(遮水性)は完全であった。これに対し、比較例1のシートでは、特定の突起体を有さず、シート全面の粗さ(Rz)が50μm程度でしかないため、特に斜面施工時の登板性改善効果とスリップ防止性改善効果が得られない安全性の低いものであった。このシートでは雨天時の斜面施工が危険で困難なものであった。また、比較例2のシートでは、突起体を有するため、ある程度の登板性改善効果とスリップ防止性改善効果が得られるが、突起体間の間隔が狭くなり過ぎ、安全靴底とのフィット性が低下し、その本来の効果が得られないシートであった。さらに比較例2のシートでは、シート全面に突起体が形成されていたため、シート部を重ね合わせた時に、シール部断面の隙間が大きくなり、通常のヒートシールでは、気密性(遮水性)の完全なシール作業が困難であり、それと同時に、シール部の信頼性に劣るものであった。また、実施例1〜6のシートでは、配合中にビタミンE化合物を含有させること、さらにはヒンダードアミン系化合物を含有させることによって施工期間中と施工後の、熱酸化劣化防止効果及び、耐候性などの耐久性を飛躍的に改善することが可能となった。また、さらに実施例1〜6のシートでは、その色相として、特に明度指数L* 値(JIS Z−8729)を20〜70の間に設定することで、シートへの蓄熱防止効果をもたらし、その結果、施工期間中と施工後の、熱酸化劣化防止効果を飛躍的に改善することが可能となった。
【0056】
【発明の効果】
以上の実施例及び、比較例から明らかな様に、本発明によると、敷設性とヒートシール性に優れた遮水シートを提供するのみならず、さらに斜面登板、雨天作業など足場条件の悪い現場での作業も容易であるノンスリップ性のポリエチレン系樹脂製遮水シートを提供することが可能となった。また、本発明の遮水シートは、さらに蓄熱防止性及び熱酸化劣化防止性を飛躍的に改善して得ることができるため、耐久性に優れ、かつ、信頼性が高いシートとして土木用遮水シートに適して有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の土木用遮水シートの一例の構成を示す平面説明図。
【図2】本発明の土木用遮水シート凹凸面部の一例の平面説明図。
【図3】本発明の土木用遮水シート凹凸面部の他の例の平面説明図。
【図4】本発明の土木用遮水シートの一例の横手方向断面説明図。
【符号の説明】
1…左非凹凸面側縁部
2…右非凹凸面側縁部
3…中央凹凸面部
4…突起体
5…凹部
6…左(右)非凹凸面側縁部表面
Claims (8)
- メタロセン系触媒の存在下に、エチレンと、3〜12個の炭素原子を含むα−オレフィンとを共重合して得られたエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を主成分として含み、かつ0.3〜12g/10分(JIS K 6760による測定値)のメルトフローレート(MFR)を有するポリオレフィン系樹脂からなる長尺シートであって
前記ポリオレフィン系樹脂が、さらに酸化チタン及びアルミニウム粉末から選ばれた少なくとも1種を含む顔料を含み、かつ、そのCIE1976表色系による明度指数L* 値(JIS Z 8729による)が20〜70であり
前記長尺シートの表面の左右側縁の少なくとも一方の、幅5〜50cmの非凹凸面側縁部には、表面粗さRz(JIS B 0601による)が5〜200μmの梨地粗面が形成されているか、或は表面粗さRz(JIS B 0601による)が5μm未満の平滑面が形成されており、かつ
前記長尺シートの前記梨地粗面又は平滑面形成側縁部以外の部分には、表面側に、0.5〜3.0mmの高さをもって突出する多数の、互に離間し独立した突起体が、3〜100個/100cm2の平均分布密度をもって形成されている、
ことを特徴とする蓄熱及び熱酸化劣化防止性に優れた土木用遮水シート。 - 前記ポリオレフィン系樹脂が、前記エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂からなる主成分と、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を含む副成分とを含む樹脂ブレンドであって、この樹脂ブレンドの合計重量に対する共重合した酢酸ビニルの含有率が3〜20重量%であり、前記樹脂ブレンド体のメルトフローレート(MFR)が、0.3〜12g/10分(JIS K 6760による)である、請求項1に記載の土木用遮水シート。
- 前記突起体が円盤形状、多角形状、星形状、楕円形状、又は前記長尺シートの長手方向に交差する方向に伸びた直線状体、折線状体又は曲線状体をなしている、請求項1又は2に記載の土木用遮水シート。
- 前記顔料が、さらにカーボンブラックを含む、請求項1に記載の土木用遮水シート。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、さらに、ビタミンE化合物及びヒンダードアミン系化合物から選ばれた少なくとも1種を含み、前記ビタミンE化合物及び/又はヒンダードアミン系化合物の重量が、前記ポリオレフィン系樹脂の合計重量100重量部に対して、0.01〜0.50重量部である、請求項1〜4のいずれいか1項に記載の土木用遮水シート。
- 前記長尺シートの1側縁部のみに前記梨地粗面又は平滑面が形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の土木用遮水シート。
- 前記長尺シートの左右両側縁部に、前記梨地粗面又は平滑面が形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の土木用遮水シート。
- 前記酸化チタンが、0.05〜0.5μmの平均粒子径を有するルチル型酸化チタンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の土木用遮水シート。
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