JP3726055B2 - 携帯電話機のアンテナ回路装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、開閉可能な折り畳み式携帯電話機に設けられたダイバーシチ機能により受信レベルの高いアンテナで電波を受信する携帯電話機のアンテナ回路装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、携帯電話機では、複数のアンテナを備えてダイバーシチ方式を採用している。具体的には、携帯電話機では、ホイップアンテナと内蔵アンテナの2つのアンテナを備え、ホイップアンテナは送受信共用アンテナとして、内蔵アンテナは受信専用アンテナとしてダイバーシチ受信方式を採用している。
【0003】
携帯電話機は、ダイバーシチ機能により、電波の受信レベルの高いアンテナを選択して電波を受信する。携帯電話機が受信レベルの高い選択アンテナで電波を受信する際、携帯電話機が受ける電波の一部は、受信レベルの低い非選択アンテナでも受信される。非選択アンテナで受信された電波は、携帯電話機内の回路端で反射し、再び非選択アンテナより放射される。非選択アンテナより放射された電波の一部は、選択アンテナで受信される。
【0004】
このとき、選択アンテナが基地局から直接受信した電波と、非選択アンテナから放射されて選択アンテナが受信した電波とでは位相差が生じているため、選択アンテナの電波の受信レベルは、選択アンテナが本来受信可能なレベルよりも低くなってしまうおそれがある。
【0005】
図5は、アンテナが受信する電波の位相関係を示す波形図である。図5(A)は、選択アンテナが基地局から直接受信した電波100と、非選択アンテナから放射されて選択アンテナが受信した電波101との位相差が無い場合の波形図である。この場合、選択アンテナが最終的に受信する電波102は、2つの電波100,101が合成されることにより、図5(A)に示すように受信レベルが高くなる。
【0006】
一方、図5(B)は、選択アンテナが基地局から直接受信した電波110と、非選択アンテナから放射されて選択アンテナが受信した電波111との位相差がある場合、すなわち2つの電波110,111の位相が180度ずれた場合の波形図である。この場合は、選択アンテナが最終的に受信する電波112は、2つの電波110,111が合成されることにより、図5(B)に示すように受信レベルが低下する。
【0007】
このように、2つの電波110,111の位相差が生じることによる選択アンテナの受信レベルの低下を防止するため、携帯電話機のアンテナ装置に位相調整回路を付加し、位相調整回路によって非選択アンテナのインピーダンスを調整し、非選択アンテナから放射される電波111の位相を最適化する技術が実用化されている。
【0008】
図6は、従来の携帯電話機のアンテナ回路装置の構成を示すブロック図である。なお、携帯電話機のアンテナ回路は、アンテナ1,2、アンテナスイッチ3、位相調整回路5,6及び制御部7から構成される。
【0009】
図6において、アンテナ1は、携帯電話機の筐体から引き出しまたは収納可能な送受信共用アンテナとしてのホイップアンテナである。アンテナ2は、携帯電話機に内蔵された受信専用アンテナとしての内蔵アンテナである。
【0010】
アンテナスイッチ3は、電波の受信時にダイバーシチ機能により受信レベルの検出が行われ、制御部7によって受信レベルの高いアンテナ1または2が選択され、制御部7からの制御信号に基づいて選択されたアンテナ1または2と無線部4との接続を切り替える切替スイッチである。無線部4は、基地局との間でアンテナ1または2を介して無線信号を送受信する。
【0011】
位相調整回路5,6は、それぞれ、アンテナ1,2とアンテナスイッチ3との間に設けられ、選択されていない受信レベルの低いアンテナ1または2のインピーダンスを調整し、アンテナ1または2から放射される電波の位相を調整して最適化する回路である。制御部7は、受信レベルの高いアンテナ1または2を選択し、その選択したアンテナ1または2と無線部4との接続の切り替えを制御する制御信号をアンテナスイッチ3に送出する。
【0012】
位相調整回路5の内部構成を図7に示す。なお、位相調整回路5と位相調整回路6の構成は同様であるため、図7において位相調整回路6の構成の図示を省略している。図7に示すように、位相調整回路5は、アンテナ1とアンテナスイッチ3との間に2つのコイル41及びコイル42が直列に接続され、コイル41,42の接続点と接地点との間にコンデンサ43が接続されて構成されている。
【0013】
位相調整回路5は、電波の受信時にアンテナ1が選択され、アンテナ1が無線部4と接続される場合には、アンテナ1と無線部4の整合回路として動作し、逆に、電波の受信時にアンテナ1が選択されず、アンテナ1が無線部4と接続されない場合には、上記したアンテナ1のインピーダンスを調整して放射する電波の位相を最適化する位相調整回路として動作する。
【0014】
すなわち、図7に示す矢印Aからアンテナスイッチ3を見たとき、アンテナスイッチ3側のインピーダンスが例えば50Ωとなるように設計される。また、アンテナ1による電波の受信時に矢印Bから位相調整回路5を見たとき、位相調整回路5側のインピーダンスが50Ωとなるように、位相調整回路5の回路定数が決定される。このように、アンテナ1による電波の受信時に、位相調整回路5がアンテナ1から無線部4に至る経路に設けられていない状態と等しくなる。これが、位相調整回路5による整合回路としての動作である。
【0015】
一方、アンテナ1が選択されず、アンテナスイッチ3によってアンテナ1側が開放(OPEN)されているとき、非選択アンテナであるアンテナ1で受信された電波は、回路端で反射して位相調整回路5を通ってアンテナ1から放射される。このとき、電波が位相調整回路5を通過する際に、選択アンテナであるアンテナ2が基地局から直接受信する電波との位相差がなくなるように、電波の位相が調整されてアンテナ1から放射される。これが、位相調整回路5の位相調整動作である。
【0016】
なお、アンテナ2側に接続されている位相調整回路6についても位相調整回路5と同様に動作する。
【0017】
このように、位相調整回路5,6は、アンテナ1または2が受信用アンテナとして選択されたときには、アンテナ1または2と無線部4の整合回路として動作し、アンテナ1または2が受信用アンテナとして選択されなかったときには、アンテナ1または2の位相調整回路として動作することにより、選択アンテナ1,2の受信レベルの低下を防止することが可能となる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図8に示すような折り畳み式携帯電話機では、ホイップアンテナ21と内蔵アンテナ22が携帯電話機の両端に配置されているため、携帯電話機の開閉状態に応じて、2つのアンテナ21,22の距離が変化する。すなわち、携帯電話機が開いた状態では、図8(A)に示すように、2つのアンテナ21,22の距離R1は長くなり、携帯電話機が閉じた状態では、図8(B)に示すように、2つのアンテナ21,22の距離R2は短くなる。
【0019】
ここで、選択アンテナが基地局より直接受信した電波と、非選択アンテナから放射され選択アンテナが受信した電波との位相差は、2つのアンテナ間の距離に応じて変化する。従って、折り畳み式の携帯電話機においては、開閉状態に応じて選択アンテナが受信する2つの電波の位相差が変化してしまうため、図6に示した位相調整回路5,6によって常に位相の最適化を行うのは不可能であり、その結果、常に最良の受信感度を得ることができないという課題があった。
【0020】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、折り畳み式携帯電話機において開閉状態にかかわらず受信する電波の位相の最適化を行うことができ、常に最良の受信感度を得ることができる携帯電話機のアンテナ回路装置を得ることを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するため、本発明の携帯電話機のアンテナ回路装置では、選択アンテナ(1または2)が基地局から直接受信した電波と、受信レベルの低い非選択アンテナ(2または1)で受信され非選択アンテナから放射されて選択アンテナが受信した電波との位相差が無くなるように、非選択アンテナのインピーダンスを折り畳み式携帯電話機の開閉状態に応じて変化させ、インピーダンス調整手段が、折り畳み式携帯電話機が開状態のときに、選択アンテナが基地局から直接受信した電波と受信レベルの低い非選択アンテナで受信され非選択アンテナから放射されて選択アンテナが受信した電波との位相差が無くなるように、非選択アンテナのインピーダンスを調整する開状態用の位相調整部と、折り畳み式携帯電話機が閉状態のときに、選択アンテナが基地局から直接受信した電波と非選択アンテナで受信され非選択アンテナから放射されて選択アンテナが受信した電波との位相差が無くなるように、非選択アンテナのインピーダンスを調整する閉状態用の位相調整部と、選択アンテナを無線部に接続するとともに、開閉検出手段が検出する開閉状態に応じて、非選択アンテナを開状態用の位相調整部または閉状態用の位相調整部に接続する切替スイッチとを含むことを特徴とする。
【0022】
携帯電話機のアンテナ回路装置は、切替スイッチの接続状態を制御する制御部を備え、開状態用の位相調整部が、2つのアンテナのそれぞれに対応して設けられ、閉状態用の位相調整部が、2つのアンテナのそれぞれに対応して設けられ、切替スイッチが、2つのアンテナそれぞれに対応して設けられたスイッチ部を含み、一方のスイッチ部は、2つのアンテナのうちの一方のアンテナを、無線部、開状態用の位相調整部および閉状態用の位相調整部のうちのいずれかに接続し、他方のスイッチ部は、2つのアンテナのうちの他方のアンテナを、無線部、開状態用の位相調整部および閉状態用の位相調整部のうちのいずれかに接続し、制御部が、選択アンテナと無線部とを接続するように選択アンテナに対応するスイッチ部を制御し、折り畳み式携帯電話機の開閉状態に応じて非選択アンテナと開状態用の位相調整部または閉状態用の位相調整部とを接続するように非選択アンテナに対応するスイッチ部を制御するように構成されていてもよい。
【0026】
開閉検出手段は、例えば、プッシュ式スイッチ、ホールICまたはリードスイッチである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の携帯電話機のアンテナ回路装置を示すブロック図である。本実施の形態1の携帯電話機のアンテナ回路は、アンテナ1,2、制御部7、アンテナスイッチ8、位相調整回路9A,9B,10A,10B及び開閉検出部11から構成される。
【0028】
図1において、アンテナ1は、携帯電話機の筐体から引き出しまたは収納可能な送受信共用アンテナとしてのホイップアンテナである。アンテナ2は、携帯電話機に内蔵された受信専用アンテナとしての内蔵アンテナである。無線部4は、基地局との間でアンテナ1または2を介して無線信号を送受信する。制御部7は、受信レベルの高いアンテナ1または2を選択し、その選択したアンテナ1または2と無線部4との接続の切り替えを制御する制御信号をアンテナスイッチ3に送出する。かかる構成は、図6に示したものと同様である。
【0029】
アンテナスイッチ8は、制御部7からの制御信号に基づいて、選択されたアンテナ(例えば1)と無線部4とを接続し、また、開閉検出部11からの検出信号に基づいて、選択されていない他のアンテナ(例えば2)と位相調整回路(例えば10A)とを接続する切替スイッチである。
【0030】
位相調整回路9A,9B,10A,10Bは、それぞれ、選択されていない受信レベルの低いアンテナ1,2のインピーダンスを調整し、アンテナ1,2から放射される電波の位相を調整して最適化する回路である。位相調整回路9A,9Bは、それぞれアンテナスイッチ8でアンテナ1側に接続され、また、位相調整回路10A,10Bは、それぞれアンテナスイッチ8でアンテナ2側に接続される。
【0031】
位相調整回路9Aは、折り畳み式携帯電話機が開いた状態、すなわち図8(A)のようにアンテナ1,2間の距離がR1の状態において、非選択アンテナであるアンテナ1のインピーダンスが位相調整として最適値になるように回路定数が調整されている。位相調整回路9Bは、折り畳み式携帯電話機が閉じた状態、すなわち図8(B)のようにアンテナ1,2間の距離がR2の状態において、非選択アンテナであるアンテナ1のインピーダンスが位相調整として最適値になるように回路定数が調整されている。
【0032】
位相調整回路10Aは、折り畳み式携帯電話機が開いた状態において、非選択アンテナであるアンテナ2のインピーダンスが位相調整として最適値になるように回路定数が調整されている。位相調整回路10Bは、折り畳み式携帯電話機が閉じた状態において、非選択アンテナであるアンテナ2のインピーダンスが位相調整として最適になるように回路定数が調整されている。
【0033】
なお、位相調整回路9A,9B,10A,10Bは、図7に示したように、コイル及びコンデンサで構成される。
【0034】
開閉検出部11は、折り畳み式携帯電話機が開いた状態か閉じた状態かを検出し、開閉状態に応じたアンテナスイッチ8による接続の切り替えを制御する検出信号をアンテナスイッチ8に送出する。なお、開閉検出部11は、物理的なプッシュ式のスイッチや、磁界の変化を利用して検出するホールIC、リードスイッチなどで実現される。
【0035】
次に、動作について説明する。
図2は、実施の形態1の携帯電話機のアンテナ回路装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0036】
本実施の形態の折り畳み式携帯電話機では、受信を開始する前の受信準備状態(ステップS1)において、制御部7は、ダイバーシチ機能により2つのアンテナ1,2の受信レベルを検出して比較し(ステップS2)、どちらのアンテナで受信を行うかを選択して決定する。
【0037】
なお、アンテナ1の方がアンテナ2よりも受信レベルが高く、制御部7によってアンテナ1が受信用アンテナとして選択されたものとして説明する。
【0038】
制御部7は、受信レベルの高いアンテナ1を受信用アンテナとして決定すると、そのアンテナ1を無線部4に接続させる制御信号をアンテナスイッチ8に出力する。アンテナスイッチ8は、制御部7から出力された制御信号に基づいて、図1に示すようにアンテナ1を無線部4に接続する(ステップS3)。
【0039】
一方において、アンテナ2のインピーダンスを調整することにより、アンテナ2から放射される電波の位相を最適化するために、アンテナスイッチ8は、非選択アンテナであるアンテナ2を位相調整回路10Aまたは10Bに接続する必要がある。
【0040】
ここで、上記したように、位相調整回路10Aは、折り畳み式携帯電話機が開いた状態において、アンテナ2のインピーダンスが位相調整として最適値になるように回路定数が調整されており、また、位相調整回路10Bは、折り畳み式携帯電話機が閉じた状態において、アンテナ2のインピーダンスが位相調整として最適値になるように回路定数が調整されている。従って、アンテナスイッチ8は、折り畳み式携帯電話機が開いているときはアンテナ2を位相調整回路10Aに接続し、折り畳み式携帯電話機が閉じているときはアンテナ2を位相調整回路10Bに接続するように、スイッチを切り替えなければならない。
【0041】
開閉検出部11は、折り畳み式携帯電話機の開閉状態を常に検出している(ステップS4)。開閉検出部11は、折り畳み式携帯電話機の開状態を検出したときは、その開状態を通知する検出信号をアンテナスイッチ8に出力する。アンテナスイッチ8は、開閉検出部11から出力された開状態を通知する検出信号に基づいて受信レベルの低いアンテナ2を位相調整回路10Aに接続する(ステップS5)。
【0042】
逆に、開閉検出部11は、折り畳み式携帯電話機の閉状態を検出したときは、その閉状態を通知する検出信号をアンテナスイッチ8に出力する。アンテナスイッチ8は、開閉検出部11から出力された閉状態を通知する検出信号に基づいて受信レベルの低いアンテナ2を位相調整回路10Bに接続する(ステップS6)。
【0043】
なお、図1においては、アンテナ2は位相調整回路10Aと接続されており、折り畳み式携帯電話は開状態である。
【0044】
その後、折り畳み式携帯電話機は、受信を開始する(ステップS7)。このとき、受信レベルの低いアンテナ2が接続される位相調整回路10Aまたは10Bを携帯電話機の開閉状態に応じてアンテナスイッチ8によって切り替えているので、アンテナ2から放射される電波の位相が開閉状態にかかわらず常に位相調整回路10Aまたは10Bにより最適化され、アンテナ2から放射される電波によってアンテナ1が受信する電波の受信レベルが低下することはない。
【0045】
なお、上記説明の場合とは逆に、アンテナ2の方がアンテナ1よりも受信レベルが高く、制御部7によってアンテナ2が受信用アンテナとして選択された場合についても、同様に、受信レベルの高いアンテナ2が無線部4と接続され、受信レベルの低いアンテナ1が携帯電話機の開閉状態に応じて位相調整回路9Aまたは9Bと接続される。
【0046】
ちなみに、位相調整回路9A,9B,10A,10Bは、アンテナ1,2と無線部4との間に設けられているわけではないので、アンテナ1,2と無線部4の整合回路として動作することはない。
【0047】
以上のように、本実施の形態1によれば、受信レベルの低い非選択アンテナの接続される位相調整回路が折り畳み式携帯電話機の開閉状態に応じて切り替わるように構成されているので、折り畳み式携帯電話機が開いているか閉じているかにかかわらず、常に非選択アンテナから放射される電波の位相を最適化することができ、選択アンテナの受信レベルの低下を防止することが可能となる。
【0048】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2の携帯電話機のアンテナ回路装置を示すブロック図である。本実施の形態2の携帯電話機のアンテナ回路装置は、アンテナ1,2、アンテナスイッチ3、制御部7、開閉検出部11及び位相調整回路12,13から構成されている。すなわち図6に示した従来の携帯電話機のアンテナ回路装置における位相調整回路5,6を位相調整回路12,13に置き換えるとともに、開閉検出部11を追加した構成である。
【0049】
なお、位相調整回路12,13以外の構成については、図1及び図6で説明したものと同様であるため、重複する説明を省略する。
【0050】
位相調整回路12,13は、それぞれ、アンテナ1,2とアンテナスイッチ3との間に設けられ、選択されていない受信レベルの低いアンテナ1または2のインピーダンスを調整し、アンテナ1または2から放射される電波の位相を最適化する回路である。
【0051】
位相調整回路12の内部構成を図4に示す。なお、位相調整回路12と位相調整回路13の構成は同様であるため、図4において位相調整回路13の構成の図示を省略している。
【0052】
図4に示すように、位相調整回路12は、図7に示した従来の位相調整回路5の構成に、バイアスカット用のコンデンサ34、検出信号の電圧調整用の抵抗35及び印加電圧に応じて容量が変化するバラクタダイオード(可変容量ダイオード、バリキャップ)36から成る回路を新たに追加した構成である。
【0053】
すなわち、アンテナ1とアンテナスイッチ3との間に2つのコイル31及びコイル32が直列に接続され、コイル31,32の接続点と接地点との間にコンデンサ33が接続されている。さらに、新たな構成として、コイル31,32の接続点と接地点との間にコンデンサ34及びバラクタダイオード36が直列に接続されるとともに、開閉検出部11が抵抗35を介してコンデンサ34とバラクタダイオード36の接続点に接続されている。
【0054】
位相調整回路12は、次のように動作する。まず、アンテナ1の受信レベルが高く、制御部7によってアンテナ1が受信用アンテナとして選択され、アンテナ1が無線部4と接続される場合は、位相調整回路12は、アンテナ1と無線部4の整合回路として動作する。すなわち、アンテナ1の電波の受信時に、位相調整回路12がアンテナ1から無線部4に至る経路に設けられていない状態と等しくなる。
【0055】
次に、アンテナ1の受信レベルが低く、アンテナ1が受信用アンテナとして選択されず、アンテナ1が無線部4と接続されない場合は、位相調整回路12は、アンテナ1のインピーダンスを調整して電波の位相を最適化する位相調整回路として動作する。
【0056】
すなわち、アンテナ1が選択されず、アンテナスイッチ3によってアンテナ1側が開放(OPEN)されているとき、非選択アンテナであるアンテナ1で受信された電波は、回路端で反射して位相調整回路12を通ってアンテナ1から放射される。このとき、電波が位相調整回路12を通過する際に、選択アンテナであるアンテナ2が基地局から直接受信する電波との位相差がなくなるように、電波の位相が調整されてアンテナ1から放射される。
【0057】
ここで、開閉検出部11は、折り畳み式携帯電話機の開閉状態を常に検出している。開閉検出部11は、折り畳み式携帯電話機の開状態を検出しているときは、検出信号の電圧をロウレベル(Low)にする。このとき、コンデンサ34とバラクタダイオード36の接続点の電位はロウレベルとなり、バラクタダイオード36に印加される電圧は小さく(ほとんど0Vに)なる。その結果、印加電圧に応じて変化するバラクタダイオード36の容量も小さくなる。直列接続されたコンデンサ34とバラクタダイオード36の合成容量は、コンデンサ34のみの容量とみなされる。従って、並列接続されたコンデンサ33とコンデンサ34の容量を足し合わせた容量が位相調整回路12の合成容量となる。
【0058】
逆に、開閉検出部11は、折り畳み式携帯電話機の閉状態を検出しているときは、検出信号の電圧をハイレベル(High)にする。このとき、コンデンサ34とバラクタダイオード36の接続点の電位はハイレベルとなり、バラクタダイオード36に印加される電圧は大きくになる。その結果、印加電圧に応じて変化するバラクタダイオード36の容量も大きくなる。従って、位相調整回路12の合成容量は、直列接続されたコンデンサ34とバラクタダイオード36の合成容量と、コンデンサ33の容量とを足し合わせた容量となる。
【0059】
このように、折り畳み式携帯電話機の開閉状態に応じて開閉検出部11の検出信号の電圧レベルを変化させることにより、位相調整回路12の合成容量を変化させているため、位相調整回路12は携帯電話機の開閉状態に合わせて回路定数が最適値に変更され、最適な位相調整を行うことができる。
【0060】
以上のように、本実施の形態2によれば、受信レベルの低い非選択アンテナの接続される位相調整回路の回路定数が折り畳み式携帯電話機の開閉状態に応じて変更するように構成されているので、実施の形態1の場合と同様に、折り畳み式携帯電話機が開いているか閉じているかにかかわらず、常に非選択アンテナから放射される電波の位相を最適化することができ、選択アンテナの受信レベルの低下を防止することが可能となる。
【0061】
また、図4に示すように、位相調整回路12(及び13)は、図7に示した従来の位相調整回路5(及び6)の構成に、コンデンサ34、抵抗35及びバラクタダイオード36から成る回路を新たに追加して構成されているので、従来回路から大幅な変更なしに最小限の部品の追加で実現することができ、コストや実装面積などの点で有利である。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、携帯電話機のアンテナ回路装置を、選択アンテナが基地局から直接受信した電波と、受信レベルの低い非選択アンテナで受信され非選択アンテナから放射されて選択アンテナが受信した電波との位相差が無くなるように、非選択アンテナのインピーダンスを折り畳み式携帯電話機の開閉状態に応じて変化させ、インピーダンス調整手段が、折り畳み式携帯電話機が開状態のときに、選択アンテナが基地局から直接受信した電波と、受信レベルの低い非選択アンテナで受信され非選択アンテナから放射されて選択アンテナが受信した電波との位相差が無くなるように、非選択アンテナのインピーダンスを調整する開状態用の位相調整部と、折り畳み式携帯電話機が閉状態のときに、選択アンテナが基地局から直接受信した電波と、非選択アンテナで受信され非選択アンテナから放射されて選択アンテナが受信した電波との位相差が無くなるように、非選択アンテナのインピーダンスを調整する閉状態用の位相調整部と、選択アンテナを無線部に接続するとともに、開閉検出手段が検出する開閉状態に応じて、非選択アンテナを開状態用の位相調整部または閉状態用の位相調整部に接続する切替スイッチとを含むように構成されているので、折り畳み式携帯電話機が開いているか閉じているかにかかわらず、常に非選択アンテナから放射される電波の位相を最適化することができ、選択アンテナの受信レベルの低下を防止することができる。また、開閉状態に応じて確実にインピーダンスの異なる位相調整部を切り替えることができ、選択アンテナの受信レベルの低下を防止する効果を確実に達成することができる。
【0067】
さらに、開閉検出手段を、プッシュ式スイッチ、ホールICまたはリードスイッチで構成した場合には、確実に折り畳み式携帯電話機の開閉状態を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の携帯電話機のアンテナ回路装置を示すブロック図である。
【図2】 実施の形態1の携帯電話機のアンテナ回路装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】 実施の形態2の携帯電話機のアンテナ回路装置を示すブロック図である。
【図4】 位相調整回路の内部構成を示す回路図である。
【図5】 アンテナが受信する電波の位相関係を示す波形図である。
【図6】 従来の携帯電話機のアンテナ回路装置の構成を示すブロック図である。
【図7】 位相調整回路の内部構成を示す回路図である。
【図8】 折り畳み式携帯電話機のアンテナ配置を示す構成図である。
【符号の説明】
1,2 アンテナ(選択アンテナ、非選択アンテナ)
3,8 アンテナスイッチ(切替スイッチ)
4 無線部
9A,10A 位相調整回路(開状態用の位相調整部)
9B,10B 位相調整回路(閉状態用の位相調整部)
11 開閉検出部(開閉検出手段)
12,13 位相調整回路(位相調整部)
31,32 コイル(位相変化手段)
33 コンデンサ(位相変化手段)
34 コンデンサ(容量変更手段)
35 抵抗(容量変更手段)
36 バラクタダイオード(可変容量素子、容量変更手段)
Claims (3)
- 折り畳み部分で折り畳み可能な2つの筐体部を有し、2つのアンテナのうちの一方は、一方の筐体部において他方の筐体部から遠い側の端部に設置され、2つのアンテナのうちの他方は、前記他方の筐体部において前記一方の筐体部から遠い側の端部に設置されている折り畳み式携帯電話機に設けられ、ダイバーシチ機能により2つのアンテナのうちの受信レベルの高いアンテナを選択して、選択された方のアンテナである選択アンテナで電波を受信する携帯電話機のアンテナ回路装置であって、
前記折り畳み式携帯電話機の開閉状態を検出する開閉検出手段と、
前記選択アンテナが基地局から直接受信した電波と、受信レベルの低い非選択アンテナで受信され前記非選択アンテナから放射されて前記選択アンテナが受信した電波との位相差が無くなるように、前記非選択アンテナのインピーダンスを、前記折り畳み式携帯電話機の開閉状態に応じて変化させるインピーダンス調整手段とを備え、
前記インピーダンス調整手段は、
折り畳み式携帯電話機が開状態のときに、選択アンテナが基地局から直接受信した電波と、受信レベルの低い非選択アンテナで受信され前記非選択アンテナから放射されて前記選択アンテナが受信した電波との位相差が無くなるように、前記非選択アンテナのインピーダンスを調整する開状態用の位相調整部と、
前記折り畳み式携帯電話機が閉状態のときに、前記選択アンテナが前記基地局から直接受信した電波と、前記非選択アンテナで受信され前記非選択アンテナから放射されて前記選択アンテナが受信した電波との位相差が無くなるように、前記非選択アンテナのインピーダンスを調整する閉状態用の位相調整部と、
前記選択アンテナを無線部に接続するとともに、前記開閉検出手段が検出する開閉状態に応じて、前記非選択アンテナを前記開状態用の位相調整部または前記閉状態用の位相調整部に接続する切替スイッチとを含む
ことを特徴とする携帯電話機のアンテナ回路装置。 - 切替スイッチの接続状態を制御する制御部を備え、
開状態用の位相調整部は、2つのアンテナのそれぞれに対応して設けられ、
閉状態用の位相調整部は、2つのアンテナのそれぞれに対応して設けられ、
切替スイッチは、2つのアンテナそれぞれに対応して設けられたスイッチ部を含み、一方のスイッチ部は、2つのアンテナのうちの一方のアンテナを、無線部、開状態用の位相調整部および閉状態用の位相調整部のうちのいずれかに接続し、他方のスイッチ部は、2つのアンテナのうちの他方のアンテナを、無線部、開状態用の位相調整部および閉状態用の位相調整部のうちのいずれかに接続し、
前記制御部は、選択アンテナと無線部とを接続するように選択アンテナに対応するスイッチ部を制御し、折り畳み式携帯電話機の開閉状態に応じて非選択アンテナと開状態用の位相調整部または閉状態用の位相調整部とを接続するように非選択アンテナに対応するスイッチ部を制御する
請求項1記載の携帯電話機のアンテナ回路装置。 - 開閉検出手段は、プッシュ式スイッチ、ホールICまたはリードスイッチで構成された
請求項1または請求項2記載の携帯電話機のアンテナ回路装置。
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