JP3724794B2 - ガス処理装置およびガス処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス処理装置およびガス処理方法に関するものであり、詳しくは、被処理ガスが腐食性であっても装置の構成部品、例えば真空ポンプおよび減圧タンクを腐食する恐れのないガス処理装置およびガス処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネル、地下駐車場、発電所、ボイラー、焼却炉、ビルディング等から排出されるNOガス、NO2ガス、硝酸ガス等(以下NOxという)、SO2ガス、また工場等から排出されるPFC(パーフルオロコンパウンド)ガスは、酸性雨の原因となることが知られており、そのため該ガスを処理する装置は従来から幾つか提案されている。
【0003】
例えば特開平4−317720号公報には、NOxを吸着剤を用いて濃縮し、この濃縮NOx含有ガスを燃焼域に導いて分解する方法が開示されている。
図8は、特開平4−317720号公報に開示されたガス処理装置を説明するための図である。図7において、31は吸着塔、32は大気放出のためのブロア、33は真空ポンプ、34、35、36はバルブ、37はガス分解装置である。NOxをガス入口Fから吸着塔31に引き込み、NOxを吸着塔内に設置された吸着剤で吸着し、浄化したガスをブロア32によりガス出口Gから排出する。吸着剤に吸着されたNOxは真空ポンプ33により脱着され、高濃度濃縮ガスとなる。脱着時、通常吸着剤は加熱され、バルブ34、35はクローズに、バルブ36はオープンになっている。高濃度濃縮ガスは、後段のガス分解装置37により燃焼され、無害化され、清浄ガス出口Hから排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記の従来のガス処理装置にあっては、NOxが例えばNO2や硝酸ガス等である場合、吸着剤の脱着再生のために300℃以上の加熱が必要である。またNO2や硝酸ガスは腐食性ガスであり、この高温、腐食性のガスが真空ポンプを腐食し、損傷させるという問題があった。
したがって本発明の目的は、被処理ガスが腐食性であっても装置の構成部品、例えば真空ポンプ、減圧タンク等を腐食する恐れのないガス処理装置およびガス処理方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、被処理ガスに含まれる被処理成分を吸着する吸着剤を備えた吸着塔と、
前記吸着塔に被処理ガスを導入するガス入口部と、
前記吸着塔により処理された処理済みガスを放出する処理済みガス出口部と、
前記吸着剤を加熱するヒータと、
前記吸着塔に接続した温度調節可能な減圧タンクと、
前記減圧タンクに接続した真空ポンプと、
前記真空ポンプの排気口に接続した被処理成分分解装置と、
前記分解装置に接続した分解後の清浄ガスを放出する出口部とを備え、
前記吸着剤の被処理成分の吸着能力が低下したときに前記被処理ガスの吸着塔への導入を停止するとともに前記ヒータおよび真空ポンプを稼動させ吸着剤を減圧下加熱し、前記被処理成分をガスとして脱着させ、脱着された被処理成分を前記減圧タンク内に拡散させ、前記減圧タンク内の被処理成分を所定の温度に維持し、その後被処理成分を前記真空ポンプにより吸引しその排気口から前記被処理成分分解装置に導入し、これを分解するようにしたことを特徴とするガス処理装置である。
請求項2の発明は、前記被処理成分の脱着時には、前記吸着剤が前記吸着塔の内壁に接触しない状態で露出可能にしたことを特徴とする請求項1に記載のガス処理装置である。
請求項3の発明は、前記吸着塔が、分割可能に構成され、かつその少なくとも一部は前記減圧タンク内に収容され、被処理成分の脱着時には、吸着剤が前記減圧タンク内で露出可能にしたことを特徴とする請求項1に記載のガス処理装置である。
請求項4の発明は、被処理ガスの実質上全部が前記吸着剤と接触するように、前記吸着剤が吸着塔の内部に設置されている請求項3に記載のガス処理装置である。
請求項5の発明は、前記吸着塔を減圧タンク内部で分割してスライドさせることにより、前記吸着剤の露出が行われる請求項3または4に記載のガス処理装置である。
請求項6の発明は、通気可能なフィルタにより前記吸着剤が覆われ、前記フィルタが支持部材によって前記減圧タンクの内部に固定されている請求項5に記載のガス処理装置である。
請求項7の発明は、(1)吸着剤が充填された吸着塔に被処理ガスを導入し、前記被処理ガスに含まれる被処理成分を吸着させる工程;
(2)前記(1)の工程により処理された処理済みガスを大気中に放出する工程;
(3)前記(1)の工程を経た後、前記吸着剤の被処理成分の吸着能力が低下したときに、前記被処理ガスの吸着塔への導入を停止するとともに前記吸着剤を減圧下加熱し、前記被処理成分をガスとして脱着させる工程;
(4)前記(3)の工程により脱着された被処理成分を温度調節された減圧タンク内に拡散させ、前記減圧タンク内の被処理成分を所定の温度に維持する工程;および
(5)前記(4)の工程を経た被処理成分を真空ポンプにより吸引し、前記真空ポンプの排気口から被処理成分分解装置に導入し、分解する工程
を有することを特徴とするガス処理方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の一実施形態を説明するための図である。図1において、1は吸着塔、2、3、4、5、8はバルブ、6は減圧タンク、7は真空ポンプ、9は分解装置、10は温調器、11は濃度センサ、12は希釈ガス供給装置である。
吸着塔1には被処理ガスに含まれる被処理成分を吸着する吸着剤が設置されている。被処理ガスは、ガス入口部Aから吸着塔1内に導入され、被処理成分が吸着除去される。処理された処理済みガスは処理済みガス出口部Bから排出される。この工程において、バルブ2およびバルブ3はオープンとなっており、バルブ4およびバルブ5はクローズされている。
【0007】
前記吸着工程が繰り返され、吸着塔1内に設置された吸着剤の被処理成分の吸着能力が低下した場合、真空加熱法により吸着剤を再生する。すなわち、被処理ガスの吸着塔1への導入を停止するとともに吸着剤をヒータにより減圧下加熱し、被処理成分をガスとして脱着させ、吸着剤を再生する。具体的にはまず、吸着塔1および減圧タンク6内を真空ポンプ7で減圧する。このときバルブ5およびバルブ8はオープン、バルブ2、バルブ3およびバルブ4はクローズとなっている。真空ポンプ7の排気口は、分解装置9と接続されているが、この工程で分解装置9は停止している。吸着塔1と減圧タンク6が所定の圧力に減圧されると、バルブ8をクローズして吸着塔1内部のヒータを加熱する。吸着剤は加熱されることで被処理成分をガスとして放出し、このガスは吸着塔1と減圧タンク6に拡散していく。吸着塔1および減圧タンク6があらかじめ減圧されていることで、これらの内部に充満していたガスの分子数が減少しており、吸着剤から放出された被処理成分を希釈するガス分子数が少ないことから、放出された被処理成分は、高濃度に吸着塔1および減圧タンク6に蓄えられる効果がある。
【0008】
減圧タンク6に拡散した被処理成分が例えば常温で液化する性質を持つガスである場合、温調器10を作動させて減圧タンク6を加温し、該ガスが液化しないような温度に減圧タンク6を維持する。なお、被処理成分がNOxであり、かつ吸着塔1内部の吸着剤が水分を吸着した場合、真空加熱法により吸着剤から同時にNOxおよび水が脱着することがあるが、この場合も減圧タンク6を加温しておくことで、NOxおよび水を液化させずに両者を蓄えておくことが可能になる。これによって減圧タンク6内壁の結露を防ぎ、かつNOxと水の反応による液体状の硝酸を生成することを防ぎ、減圧タンク6内部の腐食を防ぐ効果を得ることが可能である。
【0009】
また、減圧タンク6に拡散したガス成分が大量にあり、吸着塔1で加熱された温度と同じガス温度で減圧タンク6に拡散して行く場合、温調器10を冷却器として作動させて、このガス温度の温度を低下させる。これによって次の工程で再び使用する真空ポンプ7を保護する効果を得ることが可能となる。
例えば、被処理成分がNOxである場合、耐熱性、耐腐食性をもつ真空ポンプ7の、一般的な使用温度例は200℃以下である。この理由から、減圧タンク6内部のNOxガス温度を温調器10で200℃以下に冷却し維持することで、耐熱性、耐腐食性の真空ポンプを使用することが可能で、次に説明する工程を実行することが可能である。
【0010】
吸着剤の再生の完了は、減圧タンク6に備えられた濃度センサ11により知ることができる。すなわち、濃度センサ11により、時間の関数として被処理成分の濃度変化を測定し、時間が経過しても被処理成分の濃度が増加しなくなった場合、吸着剤の再生が完了したと判断することができる。再生後は、被処理成分を真空ポンプ7により吸引しその排気口から被処理成分の分解装置9に導入し、分解する。
ここで濃度センサ11としては、例えばガスを光で測定する紫外−可視光吸光光度計もしくは、赤外線吸光光度計が望ましい。
【0011】
ここで、吸着剤としてゼオライトを採用し、被処理成分をNOxとした場合における、ゼオライトの吸着性能について説明する。
図2は、ゼオライトを450℃まで加熱した場合のゼオライト温度と加熱時間との関係を示す図であり、図3は、図2の加熱形態における吸着塔1および減圧タンク6内部の圧力変化と時間との関係を示す図であり、図4は、図2の加熱形態における吸着塔1および減圧タンク6内部の被処理成分の濃度変化と時間との関係を示す図である。なお、吸着塔1および減圧タンク6内部の圧力は、t=0secで1気圧(=760Torr)であり、その後真空ポンプ7を稼動して約10Torrまで減圧した。減圧後はバルブ8をクローズした。図2および図3から、ゼオライト温度の上昇につれて、NOxと水分が脱着され、圧力が上昇していることが判る。また図4から、ゼオライト温度の上昇とともにNOx濃度も増加し、t=3000secにおいて濃度約15%でほぼ一定となったことが判る。この時点でNOxはほぼ全量脱着されたが、水分は脱着し続けるため圧力は少しずつ上昇し続けている。
【0012】
分解工程は、バルブ8をオープンにするとともに真空ポンプ7および分解装置9を作動させる。真空ポンプ7は被処理成分を吸引し、その排気口から被処理成分を分解装置9に搬送する。分解装置9では、被処理成分を分解・清浄化することが可能であり、清浄されたガスは清浄ガス出口Cより排出される。
例えば、分解装置9は公知の熱プラズマ分解装置または触媒型分解装置であることができる。マイクロ波熱プラズマトーチで3,000〜10,000℃のプラズマフレームを生成する熱プラズマ分解装置である場合、被処理成分のガス濃度が高ければ高いほど、これを清浄ガスに転化する率が増加する傾向にある。本実施の形態によれば高濃度の被処理成分ガスを得ることができ、清浄ガスへの転化率も増加する効果が得られる。
さらに熱プラズマ分解装置は、プラズマフレームを安定に生成するために、一定流量のガスを供給する必要があるが、吸着塔1と減圧タンク6内部のガスが不足し、一定流量供給できなくなった場合は、分解装置9を停止し、同時にバルブ4をオープンにして、希釈ガス供給装置12を作動させ、空気、純チッ素、純酸素および希ガス類等の無害ガスを吸着塔1および減圧タンク6内部に導入し、被処理成分である有害ガスを環境基準以下の濃度まで希釈して清浄ガス出口Cより排出することが可能である。
【0013】
続いて、前記操作において、吸着塔1および減圧タンク6内部が希釈ガスで置換された後は、バルブ4、5、8をクローズし、真空ポンプ7および希釈ガス供給装置12を停止し、続いてバルブ2、3をオープンにして、ガス入口部Aから被処理ガスを吸着塔1内に導入し、被処理成分を吸着除去し、処理済みガスを処理済みガス出口部Bから排出する。その後は、前記の工程を再び行うことができる。
【0014】
吸着剤としては、活性炭やゼオライトを用いることが可能であり、被処理成分、例えば有害ガスは一般的に水分を含んでいるため、疎水性ゼオライトが好ましい。さらには有害ガスが自動車排気ガスである場合は、細孔径が5Å以上を有するフォージャサイト型もしくはMFI型構造を持つ疎水性ゼオライトを用いることが好ましい。
【0015】
図5は、本実施の形態の減圧タンク6を詳細に説明するための図である。図5において、13は窓、14、15は接続口、16は配水管、17は熱交換器であり、その他の符号は図1と同様である。
図5によれば減圧タンク6に窓13が設置され、この窓13を介して減圧タンク6内部に光を入射することができ、窓13付近に設置された濃度センサ11(図示せず)により、前述のように時間の関数として被処理成分の濃度変化を測定し、時間が経過しても被処理成分の濃度が増加しなくなった場合、吸着剤の再生が完了したと判断することができる。また接続口14はバルブ5を介して吸着塔1と接続し、接続口15はバルブ8を介して真空ポンプ7と接続する。減圧タンク6の側部には温調器10が備えられ、この温調器で温調された水を減圧タンク6へ供給する配水管16が設けられている。減圧タンク6の内部は、熱交換器17が備えられており、温調された水が配水管16を通って熱交換器17に供給される。熱交換器17は減圧タンク6内部のガス温度を調整するために用いられる。
【0016】
実施の形態2.
図6は、本発明の別の実施形態を説明するための図である。図6において、18は吸着剤、19は円柱状のフィルタ、20は支持リング、21は支柱、22は減圧タンク、23はヒータ、24、25は吸着塔、26、27はオーリング、28、29はゲートバルブ、30は接続口である。
図6aは吸着塔および減圧タンクの断面図であり、吸着塔24、25の少なくとも1部が減圧タンク22内に収容されている。吸着剤18は通気可能な円柱状のフィルタ19で上下および側面部を覆われており、さらにフィルタ19は支持リング20および支柱21からなる支持部材によって減圧タンク22の内部に支持・固定されている。図6bは図6aのE−E’断面図であり、吸着剤18、フィルタ19、支柱21および減圧タンク22の位置関係を説明するものである。吸着剤18の内部にはヒータ23が埋め込まれている。
【0017】
図6aにおいて、吸着塔24、25は減圧タンク22の上下部でオーリング26および27を介して減圧タンク22に支持されている。ここでオーリング26、27は吸着塔24、25を支持するのみならず、減圧タンク22内部の気密を保つようにパッキングしている。吸着塔24、25の端部にはそれぞれ流体の移動を制止するゲートバルブ28、29が設けられている。このゲートバルブ28を通して被処理ガスが導入され、吸着剤18と接触し、被処理成分が吸着剤18に吸着され、清浄ガスがゲートバルブ29を通して排出される。このとき、吸着塔24、25は支持リング20と密着しているため、被処理成分が減圧タンク22内に入っていくことはない。また、吸着剤18は、被処理ガスの実質上全部が吸着剤18と接触するように、吸着塔24、25の内部に設置されている。
【0018】
吸着工程が繰り返され、吸着剤18の被処理成分の吸着能力が低下した場合、実施の形態1と同様に真空加熱法により吸着剤を再生する。図6cは吸着剤18の再生工程を説明するための図である。再生工程において、まず、ゲートバルブ28、29をクローズする。次に吸着塔24、25を減圧タンク22内部で分割してスライドさせ、吸着剤18の露出を行う。このとき、吸着塔24、25は減圧タンク22から外側に突出し、吸着剤18は減圧タンク22の内部で露出した状態になる。続いて、接続口30に接続された真空ポンプ(図示せず)を作動させて減圧タンク22および吸着塔24、25内部を減圧する。さらに吸着剤18をヒータ23で加熱することにより、吸着塔24、25および減圧タンク22内部に高濃度の被処理成分のガスを蓄えることが可能となる。
この高濃度の被処理成分ガスは、実施の形態1と同様に、接続口30をバルブ8、真空ポンプ7および分解装置9に接続することで、分解が達成される。
【0019】
本実施の形態において、吸着剤の再生工程では吸着剤18がフィルタ19を介して減圧タンク22内部に露出していることから、被処理成分の放出が良好に達成される。被処理成分の放出および拡散の物理現象は、ガスの濃度拡散で説明される。ガスの濃度拡散はガス濃度の高いところから低いほうへ向かって、ガス分子が移動する現象である。吸着剤を円筒型の吸着塔に充填した場合、通常吸着剤の側面は円筒型吸着塔が形成する壁部と接触している。この壁部は被処理成分の脱着時に吸着剤から放出されたガス分子を停滞させる。これにより局所的にガス濃度が上昇し、この方向へのガスの濃度拡散を阻害する。よってガスの濃度拡散をスムーズに行うためには該壁部が存在しないほうがよい。本実施の形態によれば、脱着時に吸着塔24、25を分割しスライドさせることで、吸着剤周辺の癖部が存在せず、脱着されたガスはスムーズに短時間に吸着塔24、25および減圧タンク22内部に放出される効果を得ることが可能となる。
【0020】
実施の形態3.
なお、実施の形態2で説明した吸着塔を分割・スライドさせる手段は、前記実施の形態1においても好適に適用することができる。すなわち、被処理成分の脱着時には、吸着剤が前記吸着塔の内壁に接触しない状態で露出可能にしておけば、被処理成分の放出が良好に達成され好ましい。
図7は、本実施の形態を説明するための図である。図7において、118は吸着剤、119は円柱状のフィルタ、120は支持リング、121は支柱、123はヒータ、122、124、125は吸着塔、126、127はオーリングである。
図7aは吸着塔および減圧タンクの断面図であり、吸着塔122内に吸着塔124、125が収容されている。吸着剤118は通気可能な円柱状のフィルタ119で上下および側面部を覆われており、さらにフィルタ119は支持リング120および支柱121からなる支持部材によって吸着塔122の内部に支持・固定されている。図7bは図7aのE−E’断面図であり、吸着剤118、フィルタ119、支柱121および吸着塔122の位置関係を説明するものである。吸着剤118の内部にはヒータ123が埋め込まれている。
【0021】
図7aにおいて、吸着塔124、125は吸着塔122の上下部でオーリング126および127を介して吸着塔122に支持されている。ここでオーリング126、127は吸着塔124、125を支持するのみならず、吸着塔122内部の気密を保つようにパッキングしている。また、吸着剤118は、被処理ガスの実質上全部が吸着剤118と接触するように、吸着塔124、125の内部に設置されている。
【0022】
吸着工程が繰り返され、吸着剤118の被処理成分の吸着能力が低下した場合真空加熱法により吸着剤を再生する。図7cは吸着剤118の再生工程を説明するための図である。再生工程において、吸着塔124、125を吸着塔122内部で分割してスライドさせ、吸着剤118の露出を行う。このとき、吸着塔124、125は吸着塔122から外側に突出し、吸着剤118は吸着塔122の内壁に接触せずに内部で露出した状態になる。続いて、真空ポンプ(図示せず)を作動させて吸着塔122、124、125内部を減圧する。さらに吸着剤118をヒータ123で加熱することにより、吸着塔122、124、125内部に高濃度の被処理成分のガスを蓄えることが可能となる。
【0023】
【発明の効果】
請求項1の発明は、被処理ガスに含まれる被処理成分を吸着する吸着剤を備えた吸着塔と、
前記吸着塔により処理された処理済みガスを放出する処理済みガス出口部と、
前記吸着剤を加熱するヒータと、
前記吸着塔と接続した温度調節可能な減圧タンクと、
前記減圧タンクに接続した真空ポンプと、
前記真空ポンプの排気口と接続した被処理成分分解装置とを備え、
前記吸着剤の被処理成分の吸着能力が低下したときに前記被処理ガスの吸着塔への導入を停止するとともに前記ヒータおよび真空ポンプを稼動させ吸着剤を減圧下加熱し、前記被処理成分をガスとして脱着させ、脱着された被処理成分を前記減圧タンク内に拡散させ、前記減圧タンク内の被処理成分を所定の温度に維持し、その後被処理成分を前記真空ポンプにより吸引しその排気口から前記被処理成分分解装置に導入し、これを分解するようにしたことを特徴とするガス処理装置であるので、被処理ガスが腐食性であっても装置の構成部品、例えば真空ポンプを腐食する恐れがない。また減圧タンクの腐食も防止することができる。
【0024】
請求項2の発明は、前記被処理成分の脱着時には、前記吸着剤が前記吸着塔の内壁に接触しない状態で露出可能にしたことを特徴とする請求項1に記載のガス処理装置であるので、脱着時は吸着剤の周囲に障害物がないので、スムーズかつ短時間の被処理成分の脱着が可能である。
【0025】
請求項3の発明は、前記吸着塔が、分割可能に構成され、かつその少なくとも一部は前記減圧タンク内に収容され、被処理成分の脱着時には、吸着剤が前記減圧タンク内で露出可能にしたことを特徴とする請求項1に記載のガス処理装置であるので、被処理ガスが腐食性であっても装置の構成部品、例えば真空ポンプを腐食する恐れがない。また減圧タンクの腐食も防止することができる。さらに、脱着時は吸着剤の周囲に障害物がないので、スムーズかつ短時間の被処理成分の脱着が可能である。
【0026】
請求項4の発明は、被処理ガスの実質上全部が前記吸着剤と接触するように、前記吸着剤が吸着塔の内部に設置されている請求項3に記載のガス処理装置であるので、被処理ガスが腐食性であっても装置の構成部品、例えば真空ポンプを腐食する恐れがない。また減圧タンクの腐食も防止することができる。さらに、吸着効率も高まる。
【0027】
請求項5の発明は、前記吸着塔を減圧タンク内部で分割してスライドさせることにより、前記吸着剤の露出が行われる請求項3または4に記載のガス処理装置であるので、被処理ガスが腐食性であっても装置の構成部品、例えば真空ポンプを腐食する恐れがない。また減圧タンクの腐食も防止することができる。さらに、脱着時は吸着剤の周囲に障害物がないので、スムーズかつ短時間の被処理成分の脱着が可能である。
【0028】
請求項6の発明は、通気可能なフィルタにより前記吸着剤が覆われ、前記フィルタが支持部材によって前記減圧タンクの内部に固定されている請求項5に記載のガス処理装置であるので、被処理ガスが腐食性であっても装置の構成部品、例えば真空ポンプを腐食する恐れがない。また減圧タンクの腐食も防止することができる。さらに、脱着時は吸着剤の周囲に障害物がないので、スムーズかつ短時間の被処理成分の脱着が可能である。
【0029】
請求項7の発明は、(1)吸着剤が充填された吸着塔に被処理ガスを導入し、前記被処理ガスに含まれる被処理成分を吸着させる工程;
(2)前記(1)の工程により処理された処理済みガスを大気中に放出する工程;
(3)前記(1)の工程を経た後、前記吸着剤の被処理成分の吸着能力が低下したときに、前記被処理ガスの吸着塔への導入を停止するとともに前記吸着剤を減圧下加熱し、前記被処理成分をガスとして脱着させる工程;
(4)前記(3)の工程により脱着された被処理成分を温度調節された減圧タンク内に拡散させ、前記減圧タンク内の被処理成分を所定の温度に維持する工程;および
(5)前記(4)の工程を経た被処理成分を真空ポンプにより吸引し、前記真空ポンプの排気口から被処理成分分解装置に導入し、分解する工程
を有することを特徴とするガス処理方法であるので、被処理ガスが腐食性であっても装置の構成部品、例えば真空ポンプを腐食する恐れがない。また減圧タンクの腐食も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を説明するための図である。
【図2】 ゼオライトを450℃まで加熱した場合のゼオライト温度と加熱時間との関係を示す図である。
【図3】 図2の加熱形態における吸着塔および減圧タンク内部の圧力変化と時間との関係を示す図である。
【図4】 図2の加熱形態における吸着塔および減圧タンク内部の被処理成分の濃度変化と時間との関係を示す図である。
【図5】 実施の形態1の減圧タンクを詳細に説明するための図である。
【図6】 本発明の別の実施形態を説明するための図である。
【図7】 本発明の別の実施形態を説明するための図である。
【図8】 従来技術に開示されたガス処理装置を説明するための図である。
【符号の説明】
1 吸着塔、2,3,4,5,8 バルブ、6 減圧タンク、7 真空ポンプ、9 分解装置、10 温調器、11 濃度センサ、12 希釈ガス供給装置、13 窓、14,15 接続口、16 配水管、17 熱交換器、18,118吸着剤、19,119 フィルタ、20,120 支持リング、21,121支柱、22,122 減圧タンク、23,123 ヒータ、24,25,122,124,125 吸着塔、26,27,126,127 オーリング、28,29 ゲートバルブ、30 接続口、A ガス入口部、B ガス出口部。
Claims (7)
- 被処理ガスに含まれる被処理成分を吸着する吸着剤を備えた吸着塔と、
前記吸着塔に被処理ガスを導入するガス入口部と、
前記吸着塔により処理された処理済みガスを放出する処理済みガス出口部と、
前記吸着剤を加熱するヒータと、
前記吸着塔に接続した温度調節可能な減圧タンクと、
前記減圧タンクに接続した真空ポンプと、
前記真空ポンプの排気口に接続した被処理成分分解装置と、
前記分解装置に接続した分解後の清浄ガスを放出する出口部とを備え、
前記吸着剤の被処理成分の吸着能力が低下したときに前記被処理ガスの吸着塔への導入を停止するとともに前記ヒータおよび真空ポンプを稼動させ吸着剤を減圧下加熱し、前記被処理成分をガスとして脱着させ、脱着された被処理成分を前記減圧タンク内に拡散させ、前記減圧タンク内の被処理成分を所定の温度に維持し、その後被処理成分を前記真空ポンプにより吸引しその排気口から前記被処理成分分解装置に導入し、これを分解するようにしたことを特徴とするガス処理装置。 - 前記被処理成分の脱着時には、前記吸着剤が前記吸着塔の内壁に接触しない状態で露出可能にしたことを特徴とする請求項1に記載のガス処理装置。
- 前記吸着塔が、分割可能に構成され、かつその少なくとも一部は前記減圧タンク内に収容され、被処理成分の脱着時には、吸着剤が前記減圧タンク内で露出可能にしたことを特徴とする請求項1に記載のガス処理装置。
- 被処理ガスの実質上全部が前記吸着剤と接触するように、前記吸着剤が吸着塔の内部に設置されている請求項3に記載のガス処理装置。
- 前記吸着塔を減圧タンク内部で分割してスライドさせることにより、前記吸着剤の露出が行われる請求項3または4に記載のガス処理装置。
- 通気可能なフィルタにより前記吸着剤が覆われ、前記フィルタが支持部材によって前記減圧タンクの内部に固定されている請求項5に記載のガス処理装置。
- (1)吸着剤が充填された吸着塔に被処理ガスを導入し、前記被処理ガスに含まれる被処理成分を吸着させる工程;
(2)前記(1)の工程により処理された処理済みガスを大気中に放出する工程;
(3)前記(1)の工程を経た後、前記吸着剤の被処理成分の吸着能力が低下したときに、前記被処理ガスの吸着塔への導入を停止するとともに前記吸着剤を減圧下加熱し、前記被処理成分をガスとして脱着させる工程;
(4)前記(3)の工程により脱着された被処理成分を温度調節された減圧タンク内に拡散させ、前記減圧タンク内の被処理成分を所定の温度に維持する工程;および
(5)前記(4)の工程を経た被処理成分を真空ポンプにより吸引し、前記真空ポンプの排気口から被処理成分分解装置に導入し、分解する工程
を有することを特徴とするガス処理方法。
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