JP3724757B2 - 鍛造用金型装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はアンダカットを有する部品を鍛造するための鍛造用金型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来アンダカットを有する部品を鍛造するのに使用する鍛造用金型装置としては、例えば特開昭56−59556号(特公昭58−52729号)公報や、特開昭56−89348号(特公昭59−297号)公報などに記載されたものが公知である。
【0003】
前者の公報に記載された鍛造用金型装置は、ダイスと複数に分割されたカムピースと、成形時カムピースを拡開するテーパ状のパンチなどから構成され、カムピースの摺動面には、パンチの摺動面に突設されたガイドピンが嵌合するガイド溝が形成されている。
【0004】
また後者公報に記載された鍛造用金型装置は、ダイスと、筒状部の先端が複数に分割された一体構造のコレットと、このコレットの先端部を拡開するテーパ状のパンチより構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし前者公報の鍛造用金型装置では、複数分割されたカムピースの摺動面にそれぞれガイド溝が、またパンチ側の摺動面に各ガイド溝に嵌合するガイドピンが設けられた構造のため、構造が複雑で、かつガイド溝を精度よく製作するのに多くの工数を必要とするため、金型が高価になると共に、成形時ガイド部分に大きな荷重が作用するため、ガイド部が変形したり、早期に摩耗するなどして金型寿命が短いなどの不具合があった。
【0006】
また後者公報の鍛造用金型装置では、先端部が複数分割された一体構造のコレットを使用しているため、先端のコレット片の1個でも摩耗または欠損した場合でも、コレット全体を交換しなければならないため、不経済であるなどの不具合がある。
この発明はかかる従来の不具合を改善するためになされたもので、構造が簡単で、かつ耐久性に優れた鍛造用金型装置を安価に提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
第1の発明は、内部の中空室が開口部より大径となったアンダカットを有するワークを鍛造する鍛造用金型装置において、
上下動自在なスライドに取付けられ、かつ先端部にテーパを有するパンチと、
上記パンチの周囲に設けたコレットと、
上記パンチの下方に上下動自在に吊り下げられている係止部材と、
下型の上部に設けられたしごきダイスとを具備し、
上記コレットは、上記パンチの周囲に上下動自在に設けられた筒状部と、上面が上記筒状部に当接し、下面が上記係止部材に当接し、内周面に上記パンチのテーパに摺接するテーパ面が形成され、かつ円周方向に複数分割されたコレット部と、このコレット部の上部外周面に形成された少なくとも1条の凹溝に嵌合された、径方向に拡縮自在な結合手段とを有し、
上記しごきダイスは、上記スライドの下降に伴い上記パンチのテーパおよび筒状部により拡開された上記コレット部との間でワークをしごき成形することを特徴とする鍛造用金型装置である。
【0008】
上記構成により、コレットが筒状部とコレット部とに分割されているため、コレット部の一部が摩耗したり、破損しても、コレット部の一部のみを交換するだけでコレットが再使用できるため、従来のコレット全体を交換していたものに比べて経済的であると共に、金型寿命も向上する。
【0009】
またパンチとコレット部の摺動面にガイド溝やガイドピンを設ける必要がないため、構造が簡単で、かつガイド溝を製作する工数が不要となるため、金型が安価に提供できると共に、ガイド溝やガイドピンがないため、大きな荷重によってこれらが変形したり、摩耗することもないため、これによっても金型寿命の向上が図れるようになる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、上記しごきダイス内に出没自在に設けられ、かつ成形が完了し上記スライドが上昇するときワークをコレット部より分離するストリッパ、
上記ストリッパを上記しごきダイスの中心方向へ付勢する付勢手段とを具備した
鍛造用金型装置である。
【0011】
上記構成により、成形の完了したワークを下方へ落下させて回収することができるため、従来のノックアウトにより突き上げて下型内より取出す場合に比べて、上型の上昇直後に成形品を取出すことができるため、サイクルタイムの短縮とこれに伴う生産性の向上が図れると共に、ワークを突き上げてノックアウトするものに比べて、ノックアウト時成形品に傷や焼付きが生じることがないため、成形品の品質が向上するなどの効果がある。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施の形態を図面を参照して詳述する。
図1は鍛造用金型装置の断面図、図2は同要部の拡大断面図である。
【0013】
これら図に示す鍛造用金型装置は、例えば等速ボールジョイントのボールジョイントハウジングなどのワーク1を成形するためのもので、ワーク1は一端側に大径部1aを、そして他端側に小径部1bを有しており、大径部1aの内部は、開口部1cより内径が大きい球状の中空室1dとなったアンダカット構造となっている。
【0014】
上記アンダカットを有するワーク1を鍛造する金型装置は、鍛造用プレス(図示せず)のボルスタ2上に下型ダイセット3により固定された下型4と、鍛造プレスのスライド5下面に上型ダイセット6により取付けられた上型7とよりなる。
上記下型4は、中心部に上下方向に貫通する縦孔4aを有しており、縦孔4aの下端側は、成形の完了したワーク1を取出すための横孔4bに連通されている。
【0015】
そして上記縦孔4aの上側開口部に、ワーク1の大径部1a外周を成形するしごきダイス8が設けられている。
上記しごきダイス8は中心部に上下に貫通する貫通孔8aを有していて、この貫通孔8aの上側開口部に、耐摩耗性材料よりなるしごき部8bが形成されている。
上記しごきダイス8のしごき部8bは、貫通孔8aの内径よりやや小径に形成されていると共に、しごき部8bの下側には、1個ないし複数個のストリッパ9が放射方向に水平となるよう設置されている。
【0016】
これらストリッパ9はワーク1の成形後、後述するパンチ12が上昇する際、パンチ12よりワーク1を剥ぎ落すためのもので、圧縮ばねなどの付勢手段10よりしごきダイス8の中心方向に付勢されていると共に、下面に突設された抜け止めピン9aがしごきダイス8側に穿設されたガイド溝8cに嵌合されていて、各ストリッパ9が抜け出さないようになっている。
【0017】
また各ストリッパ9の先端側には、円弧状の傾斜面9bが形成されていて、しごきダイス8のしごき部8bによりしごき成形されたワーク1の大径部1aが通過しやすくなっていると共に、大径部1aの通過後は付勢手段10によりダイス8の中心方向へ突出されて、先端の下部がしごき部8bの内周より僅かに中心方向へ突出するようになっている。
【0018】
一方スライド5側に取付けられた上型7は、中心部にパンチ12と、その周囲にコレット13が設けられている。パンチ12は上端部に形成されたフランジ12aが2枚のプレート7a,7bを介して上型7側に固定され、下端部には端部側が漸次小径となるテーパ12bが形成されていると共に、中心部に上下に貫通してコレット吊り下げピン14が上下摺動自在に収容されている。
【0019】
上記コレット吊り下げピン14の上端には、ストッパ14aが螺装されていて、パンチ12内よりコレット吊り下げピン14が脱落しないようになっていると共に、コレット吊り下げピン14の下端にはストッパ14bが突設されていて、このストッパ14bにコレット吊り下げピン14に嵌挿された係止部材15が係止されている。
そしてこの係止部材15に上記コレット13のコレット部13aが上方より係止されている。
【0020】
上記コレット13は筒状部13bとコレット部13aに分割され、さらにコレット部13aは円周方向に複数分割されている。コレット13の筒状部13bは、上端部に大径部13cが形成されていて、この大径部13cの上面に複数のノックアウトピン16の下端及びプレート7aの下面が当接可能になっている。
これらノックアウトピン16の上端側は、上記プレート7a,7bを貫通してノックアウト室7c内へ突設され、ノックアウト室7c内に設けられたスライドノックアウト17の下降に伴い押し下げられるようになっている。
【0021】
また複数分割されたコレット部13aは、ワーク1の球状の中空室1dの内面を成形すべく球状に形成され、上部の外周面に形成された少なくとも1条(実施の形態では2条)の凹溝13e内に径方向に拡縮自在な結束手段19が嵌合されていて、この結束手段19により分割されたコレット部13aがバラバラにならないように結束されている。
【0022】
上記コレット部13aの内周面には、パンチ12のテーパ12bに摺接するテーパ面13dが形成されており、結束されたコレット部13aの下面は上記係止部材15に上方より当接されて、コレット吊り下げピン14を介してパンチ12の下方に吊り下げられていると共に、コレット部13aの上端面は筒状部13bの下面に当接されるようになっている。
【0023】
次に上記構成された鍛造用金型装置によりボールジョイントハウジングのような成形品を鍛造する場合の作用を説明する。
まず鍛造プレスのスライド5が上死点で停止している状態で、下型4のしごきダイス8に小径部1bが下側となるようにワーク1をセットする。
【0024】
次にこの状態でスライド5を下降させると、コレット吊り下げピン14を介してパンチ12の下方に吊り下げられたコレット13のコレット部13aが上方よりワーク1の中空室1d内へ挿入される。
このとき分割されたコレット部13aは、結束手段19により収縮された状態にあるため、ワーク1の開口部1c内より中空室1d内へ何等支障なく挿入することができる。
この状態でさらにスライド5が下降されると、パンチ12のテーパ12bがコレット部13aのテーパ面13dに当接して、各コレット部13aを結束手段19に抗して径方向へ拡張するため、コレット部13aによりワーク1の中空室1d内面が密接される。
【0025】
その後さらにスライドが下降されると、コレット13の筒状部13bでコレット部13aが押し下げられ、かつワーク1の大径部1aがしごきダイス8のしごき部8bを通過する際、しごき部8bによりワーク1の開口部1c周辺がしごかれる。これによって中空室1dの内径より開口部1cの内径が小さいアンダカット部分の成形が可能になる。
またしごきダイス8のしごき部8bを通過したワーク1の大径部1aは、ストリッパ9に達すると、ストリッパ9の傾斜面9bを押圧して、各ストリッパ9を後退させ、大径部1aがストリッパ9を通過すると、各ストリッパ9は付勢手段10により元の位置へ復帰される。
そしてスライド5が下死点に達した図1の位置でワーク1の鍛造を完了する。
【0026】
その後スライド5が上昇を開始すると、ワーク1の上端面がストリッパ9の先端に係止されて上昇が停止されると共に、スライド5はさらに上昇を続けるため、スライド5とともに上昇するパンチ12がコレット部13aより抜き出されて、結束手段19により各コレット部13aが収縮され、コレット部13aの外径が中空室1dの開口部1cの内径より縮小される。
その後スライドノックアウト17が下降されて、スライドノックアウト17によりノックアウトピン16が突き下げられるため、ノックアウトピン16の下端に当接されたコレット13の筒状部13bがコレット部13aを押し下げて、しごきダイス8内のワーク1を下方へ突き落す。
その後さらに上昇を続けるスライド5とともにパンチ12及びコレット13が上昇され、スライドが上死点に停止したところで工程を終了する。
【0027】
また下型4の縦孔4a内に突き落されたワーク1は、アンローダやシュートなどを使用して横孔4bより下型4外へ取り出されると共に、以下上記動作を繰返すことにより、アンダカットを有する部品の鍛造を行うもので、アンダカット部分を成形するコレット13は筒状部13bとコレット部13aに分割されているので、コレット部13aの一部が摩耗したり、破損しても、摩耗や破損したコレット部13aのみを新しいものと交換するだけで、コレット13が再使用できるため経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態になる鍛造用金型装置の断面図である。
【図2】この発明の一実施の形態になる鍛造用金型装置の要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1…ワーク
1d…中空室
5…スライド
8…しごきダイス
9…ストリッパ
10…付勢手段
12…パンチ
12b…テーパ
13…コレット
13a…コレット部
13b…筒状部
Claims (2)
- 内部の中空室1dが開口部1cより大径となったアンダカットを有するワーク1を鍛造する鍛造用金型装置において、
上下動自在なスライド5に取付けられ、かつ先端部にテーパ12bを有するパンチ12と、
上記パンチ12の周囲に設けたコレット13と、
上記パンチ12の下方に上下動自在に吊り下げられている係止部材15と、
下型4の上部に設けられたしごきダイス8とを具備し、
上記コレット13は、上記パンチ12の周囲に上下動自在に設けられた筒状部13bと、上面が上記筒状部13bに当接し、下面が上記係止部材15に当接し、内周面に上記パンチ12のテーパ12bに摺接するテーパ面13dが形成され、かつ円周方向に複数分割されたコレット部13aと、このコレット部13aの上部外周面に形成された少なくとも1条の凹溝に嵌合された、径方向に拡縮自在な結合手段19とを有し、
上記しごきダイス8は、上記スライド5の下降に伴い上記パンチ12のテーパ12bおよび筒状部13bにより拡開された上記コレット部13aとの間でワーク1をしごき成形することを特徴とする鍛造用金型装置。 - 上記しごきダイス8内に出没自在に設けられ、かつ成形が完了し上記スライド5が上昇するときワーク1をコレット部13aより分離するストリッパ9と、
上記ストリッパ9を上記しごきダイス8の中心方向へ付勢する付勢手段10とを具備した
ことを特徴とする請求項1に記載の鍛造用金型装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17218896A JP3724757B2 (ja) | 1996-07-02 | 1996-07-02 | 鍛造用金型装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17218896A JP3724757B2 (ja) | 1996-07-02 | 1996-07-02 | 鍛造用金型装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1015637A JPH1015637A (ja) | 1998-01-20 |
JP3724757B2 true JP3724757B2 (ja) | 2005-12-07 |
Family
ID=15937216
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17218896A Expired - Fee Related JP3724757B2 (ja) | 1996-07-02 | 1996-07-02 | 鍛造用金型装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3724757B2 (ja) |
-
1996
- 1996-07-02 JP JP17218896A patent/JP3724757B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH1015637A (ja) | 1998-01-20 |
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