JP3723322B2 - リセット信号発生回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電源投入時にリセット信号を発生するリセット信号発生回路に関する。さらに詳しくは、システムの動作時にリセット回路での消費電流を低減させ得るリセット信号発生回路で、かつ、電源電圧の立上り特性に拘らず、しかも再起動時において必ずリセット信号を発生し得るリセット信号発生回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電源の投入時にシステムをリセットするリセット信号発生回路としては図4(a)〜(b)に示されるような回路が用いられている。
【0003】
図4(a)に示される回路は、トランジスタQ5のオン抵抗Rと、コンデンサC5の容量Cで定まる時間だけ電源電圧Vccより低いローレベルの信号を出力端子ROUT に出力する、CR時定数回路を用いたリセット信号発生回路である。すなわち、たとえばPMOSFETからなるトランジスタQ5とコンデンサC5とが電源電圧Vcc端子とアースGNDとの間に直列に接続され、トランジスタQ5がオンになった後コンデンサC5に充電する時間の間、印加される電源電圧Vccより低いローレベルの信号がその接続点に接続された出力端子ROUT から取り出される。なお、トランジスタQ5のゲートはアースGNDに接続されている。
【0004】
この回路では、抵抗成分として、受動素子である抵抗ではなく、能動素子のトランジスタQ5のオン抵抗を使用していることにより、電源電圧が印加されてもトランジスタQ5のゲート・ソース間の電圧がそのトランジスタのスレッショルド電圧(トランジスタをオンにするゲート・ソース間の最低限の電圧を意味する。以下同じ)になるまではトランジスタQ5はオンにならない。その結果、たとえ電源電圧Vccの立上りの傾斜がCR時定数によるチャージの傾斜より小さくても、電源電圧Vccが前述のトランジスタのスレッショルド電圧に至るまではコンデンサC5への電荷のチャージは行われず、電源電圧Vccより低い電圧の時間を確実に確保することができる。
【0005】
図4(b)に示される回路は、電源電圧Vcc端子とアースGND間に直列に接続された分圧抵抗R5、R6の接続点から取り出される分圧VR6と一定電圧VC とをコンパレータCOMにより比較し、分圧VR6が一定電圧VC よりも高くなるような電源電圧Vccのレベルになるまで、出力端子ROUT にリセット信号とし得るローレベルの信号をコンパレータCOMから出力するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図4(a)に示される回路では、トランジスタQ5のゲートはアースGNDに接続されて固定されているため、電源電圧Vccがオフにされて0になっても、トランジスタQ5のスレッショルド電圧Vth分だけの電位が残る。そのため、コンデンサC5が完全には放電されず、出力端子ROUT の電位を0に下げることができない。その結果、電源を一端オフにして再起動するとき、出力端子ROUT にリセット信号を得られない場合がある。
【0007】
また、図4(b)に示される回路では、電源電圧Vccが急峻に立上ると、出力端子ROUT にリセット信号を発生させる時間が短く、リセット動作が不充分になる場合がある。さらにこの回路では、電源電圧Vcc端子とアースGND間に接続されている抵抗R5、R6を介して定常的に電流が流れるため、消費電流が多くなり、携帯機器用のICには使いずらいという問題がある。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、電源の再起動時の際にもリセット信号が確実に得られると共に、電源電圧の立上り特性が急峻の場合でも確実にリセット信号が得られ、かつ、リセット信号発生回路に定常的な消費電流が発生しないリセット信号発生回路を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によるリセット信号発生回路は、電源電圧端子とアースとの間にMOSFETからなる第1のトランジスタおよび第1のコンデンサが直列接続されたCR時定数回路と、前記第1のトランジスタの動作開始点を設定する制御回路と、前記第1のトランジスタのゲートと前記電源電圧端子との間に放電用の第2のコンデンサが接続されることにより、電源がオフにされたときに前記第1のコンデンサに蓄積された電荷を前記第1のトランジスタを介してディスチャージさせるための放電回路とからなり、前記制御回路が、前記電源電圧端子とアースとの間に直列に接続されたMOSFETからなる第2のトランジスタおよび所定の電圧を発生する少なくとも1個の半導体素子からなり、前記第2のトランジスタと前記半導体素子との接続点が前記第1のトランジスタのゲートに接続されることにより該接続点の電圧により前記第1のトランジスタの動作開始点を設定し、前記第2のトランジスタのゲートが前記第1のトランジスタと前記第1のコンデンサとの接続点に接続されることにより電源電圧が所定の電圧に達した後に前記第2のトランジスタをオフにするように構成されている。
【0010】
前記電源がオフにされたときに、前記放電回路により前記第1のトランジスタに負の過電圧が印加されるのを防止する保護回路が前記回路にさらに設けられていることが好ましい。
【0011】
前記制御回路が、前述の構成にされることにより、第1のトランジスタの動作を電源電圧が投入されてから少なくともトランジスタのスレッショルド電圧の2倍以上になるまで遅らせることができるため、電源電圧の立上りが遅くても確実にリセット信号が得られるので好ましい。さらに、第2のトランジスタのゲートを第1のトランジスタと第1のコンデンサとの接続点に接続しておくことにより、電源電圧が定常状態に達したときに第2のトランジスタのゲート・ソース間がスレッショルド電圧となって、第2のトランジスタをオフさせることができるため、定常時の消費電流をなくすることができる。
【0012】
ここに所定の電圧を発生する半導体素子とは、半導体素子により定まる一定の電圧を発生する素子で、ダイオード、ダイオード接続されたバイポーラトランジスタ、またはゲートとドレインが短絡されたMOSFETなどの素子を意味する。
【0014】
具体的には、前記保護回路が、前記第1のトランジスタのゲートとアースとの間にダイオード接続を有する半導体素子が逆方向に接続され、またはゲートとソースとが接続されたMOSFETが接続された回路からなることにより、第1のトランジスタのゲートに負の大きな電圧が印加された場合にもダイオード接続を有する半導体素子またはゲートとソースとが短絡されたMOSFETを介して逃すことができるため、過電圧に対しても第1のトランジスタを保護することができて好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
つぎに、図面を参照しながら本発明のリセット信号発生回路について説明をする。
【0016】
本発明によるリセット信号発生回路は、図1にその一実施形態の回路図が示されるように、第1のトランジスタQ1および第1のコンデンサC1が直列に接続されたCR時定数回路1と、第1のトランジスタQ1の動作開始点を設定する制御回路2と、電源がオフのときに第1のコンデンサC1に蓄積された電荷をディスチャージする放電回路3とからなっている。
【0017】
CR時定数回路1は、たとえばPMOSFETからなる第1のトランジスタQ1と第1のコンデンサC1とが電源電圧Vcc端子とアースGNDとの間に直列に接続されることにより構成され、能動素子である第1のトランジスタQ1のオン抵抗(オン状態での直列抵抗)を利用している。そして、その接続点にリセット信号とする出力を取り出す出力端子ROUT が接続されている。
【0018】
制御回路2は、第1のトランジスタQ1の動作開始点を設定するもので、たとえば第1のトランジスタQ1と同様のPMOSFETからなる第2および第3のトランジスタQ2、Q3が、電源電圧Vcc端子とアースGNDとの間に直列に接続されている。そして、第2のトランジスタQ2と第3のトランジスタQ3との接続点が前述のCR時定数回路1の第1のトランジスタQ1のゲートに接続され、第3のトランジスタQ3がオンになるスレッショルド電圧が第1のトランジスタQ1のゲートに印加され、電源電圧Vccがこの第3のトランジスタQ3のスレッショルド電圧と第1のトランジスタQ1のスレッショルド電圧との和より高くなった時点で第1のトランジスタQ1がオンになる。第2のトランジスタQ2のゲートは第1のトランジスタQ1と第1のコンデンサC1との接続点、すなわち、出力端子ROUT の接続点に接続されている。
【0019】
また、第3のトランジスタQ3はゲートとドレインとが短絡された接続となっている。なお、第3のトランジスタQ3はMOSFETである必要はなく、通常のダイオードを順方向に接続したものや、バイポーラトランジスタをダイオード接続したものなど、所定の電圧を発生する素子であればよい。しかし、他の部分の回路構成にMOSFETが用いられるため、MOSFETを用いれば同じプロセスで同時に形成することができて好ましい。この半導体素子Q3は、その順方向の立上り電圧、すなわちスレッショルド電圧を第1のトランジスタQ1のゲートに印加することにより、第1のトランジスタQ1の動作開始点を設定しているもので、この半導体素子の数を増やすことにより第1のトランジスタQ1をオンさせる電圧を高く設定することができ、リセット信号を出力する電圧区間を広くすることができる。
【0020】
放電回路3は、電源電圧がオフにされた際に、CR時定数回路1の第1のコンデンサC1にチャージされた電荷をディスチャージするもので、電源電圧Vcc端子と第1のトランジスタQ1のゲートとの間に接続される第2のコンデンサC2からなっている。すなわち、第2のコンデンサC2の電荷保存法則を利用したもので、電源電圧Vccが0になると第2のコンデンサC2の電荷を保存しようとしてA点(図1参照)の電位を負側に振る。そのため第1のトランジスタQ1は逆方向にオンとなり、第1のコンデンサC1にチャージされた電荷が第1のトランジスタQ1を介して流れ、ディスチャージされる。
【0021】
第1のコンデンサC1の電荷をディスチャージする際に、第1のトランジスタQ1のゲートに印加される負の電圧が大きくなり過ぎると第1のトランジスタQ1を破壊する恐れがある。この第1のトランジスタQ1のゲートに負の電圧が大きくかかり過ぎないようにして第1のトランジスタQ1を保護するため、第1のトランジスタQ1のゲートとアースとの間にダイオードD1が逆方向に接続されて第1のトランジスタQ1の保護回路4を構成している。すなわち、A点側の電位がダイオードD1のスレッショルド電圧より低くなるとダイオードD1を介してディスチャージされ、A点の電位をダイオードD1のスレッショルド電圧の負の値に維持する。すなわち、定常状態の電源電圧をVcc、第3のトランジスタQ3のスレッショルド電圧をVthとすると、第2のコンデンサC2にはVcc−Vthの電圧がチャージされており、Vccが0になるとその瞬間にA点はVth−Vccの電圧になろうとして大きな負の電圧になろうとするが、保護回路4のダイオードD1により−Vthd (ダイオードD1のスレッショルド電圧)程度に維持される。
【0022】
この保護回路4はダイオードD1以外にもダイオード接続されたバイポーラ素子、ゲートとソースとが接続されたMOSFETなどの半導体素子を使用することができる。また1個ではなく、複数個を直列接続することにより、トランジスタQ1のゲートに印加され得る電圧を調整することができる。
【0023】
さらに、前述の例では第1および第2のトランジスタとして、PMOSFETを用いたが、NMOSFETを用いることもできる。
【0024】
つぎに、この回路での動作について、電源電圧Vccの立上りと出力端子ROUT との関係を示した図2を参照しながら説明をする。
【0025】
まず、最初の電源がオフのとき、出力端子ROUT はローレベル「L」の状態であり、電源が投入されて電源電圧Vccが第2のトランジスタQ2のスレッショルド電圧Vth(どのトランジスタのスレッショルド電圧も殆ど同じで、以下、どのトランジスタのスレッショルド電圧もすべてVthで表す)まで上昇すると、第2のトランジスタQ2がオンになり、図1のA点の電位をVcc−Vthにする。この値が第3のトランジスタQ3のスレッショルド電圧Vthになる迄電源電圧Vccが上昇すると、第3のトランジスタQ3がオンになる。その結果、さらに電源電圧Vccが上昇しても第3のトランジスタQ3によりA点の電位をVthに維持しようとする。さらに、電源電圧Vccが上昇して、A点の電位より第1のトランジスタQ1のスレッショルド電圧Vthだけ高くなると、すなわち電源電圧Vccがスレッショルド電圧Vthの2倍以上になると、第1のトランジスタQ1がオンになり、第1のコンデンサC1をチャージし始める。
【0026】
この回路を1チップ内に有するICにおいて、PMOSFETのスレッショルド電圧Vthは一様に作られるため、第1のコンデンサのチャージ開始電圧ではICは動作可能になっており、このとき出力端子ROUT はローレベル「L」になっているため、この出力信号をリセット信号として用いることができる。さらに、電源電圧Vccが上昇すると、第1のトランジスタQ1のオン抵抗Rと第1のコンデンサC1の容量Cとで定まる時定数τ(=1/(R・C))の時間後に出力端子ROUT はハイレベル「H」になり、第2のトランジスタQ2はゲート・ソース間の電圧がスレッショルド電圧Vthギリギリでオフとなる。このとき、A点の電位はVthで安定し、リセット状態は解除される。また、この過程で、第2のコンデンサC2はVcc−Vthにチャージされている。
【0027】
このリセットが解除された定常状態においては、第1のトランジスタQ1はオンになっているが、第1のコンデンサC1により電流は殆ど流れない。一方、第2および第3のトランジスタQ2、Q3はオフ状態にあり、この制御回路2にも電流は流れない。したがって、無駄な消費電流が発生せず、低電力消費のリセット信号発生回路となる。
【0028】
つぎに電源がオフにされたときは、A点の電位は第2のコンデンサC2により、Vth−Vccまで降下しようとする(この際も、第2および第3のトランジスタQ2、Q3はオフ状態になっている)。しかし、保護回路4によりダイオードD1が接続されているため、A点の電位がダイオードD1のスレッショルド電圧Vthd の負の値よりさらに低くなるとダイオードD1がオンし、A点の電位は−Vthd でクランプされる。すなわち、ダイオードD1は第1のトランジスタQ1に過電圧が印加されるのを防止している。その結果、第1のトランジスタQ1のゲートは−Vthとなり、第1のトランジスタQ1は逆方向にオンとなり、第1のコンデンサC1にチャージされた電荷は第1のトランジスタQ1を介してディスチャージされ、出力端子ROUT はアース電位近くまで下がる。これにより、オフにして直ちに再起動するときも、出力端子ROUT はローレベルを出力し、確実にリセット動作を行う。
【0029】
図3(a)はその再起動時の出力端子ROUT の出力信号を示す図である。再起動時においては、A点の電位は−Vthd となっており、トランジスタQ2がオンになるまでトランジスタQ1はオンになっている。そのため、図3(a)に示されるように、電源電圧Vccがスレッショルド電圧Vthになるまでは電源電圧Vccの上昇に沿って上昇する。電源電圧VccがVthになるとトランジスタQ2がオンになり、A点がVthになるため、トランジスタQ1はオフになり、出力端子ROUT はVthの電圧が維持される。その後、電源電圧Vccが2Vth以上になってトランジスタQ1がオンになると、出力端子ROUT の出力信号も増大し、図3(a)に示されるカーブを描く。しかし、出力端子ROUT 側にバッファをつけて整形すると、図3(b)に示されるような出力信号が得られ、リセット動作を行う。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、リセット信号発生の幅はCR時定数回路で決定され、この時定数回路を動作可能にするための制御回路は、所定の電圧を発生する半導体素子のスレッショルド電圧の値で決定される。そのため、電源の立上り特性に影響されることなく、急峻な立上りや緩い立上りでも充分にリセット信号を発生させることができる。
【0031】
さらに、電源電圧の安定時には、制御回路がオフとなり、他は時定数回路のため消費電流が発生しない。その結果、携帯機器などの低消費電力が要求される機器に対しても利用することができる。
【0032】
さらに、放電回路が設けられているため、電源をオフにしたとき、CR時定数回路の第1のコンデンサにチャージした電荷を直ちにディスチャージすることができ、再起動時の際にも確実にリセット信号を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリセット信号発生回路の一実施形態の回路図である。
【図2】図1のリセット信号発生回路で、電源電圧の立上り時のリセット信号の発生との関係を説明する図である。
【図3】図1のリセット信号発生回路で、再起動時のリセット信号の発生を説明する図である。
【図4】従来のリセット信号発生回路の例を示す図である。
【符号の説明】
1 CR時定数回路
2 制御回路
3 放電回路
4 保護回路
Claims (3)
- 電源電圧端子とアースとの間にMOSFETからなる第1のトランジスタおよび第1のコンデンサが直列接続されたCR時定数回路と、前記第1のトランジスタの動作開始点を設定する制御回路と、前記第1のトランジスタのゲートと前記電源電圧端子との間に放電用の第2のコンデンサが接続されることにより、電源がオフにされたときに前記第1のコンデンサに蓄積された電荷を前記第1のトランジスタを介してディスチャージさせるための放電回路とからなり、前記制御回路が、前記電源電圧端子とアースとの間に直列に接続されたMOSFETからなる第2のトランジスタおよび所定の電圧を発生する少なくとも1個の半導体素子からなり、前記第2のトランジスタと前記半導体素子との接続点が前記第1のトランジスタのゲートに接続されることにより該接続点の電圧により前記第1のトランジスタの動作開始点を設定し、前記第2のトランジスタのゲートが前記第1のトランジスタと前記第1のコンデンサとの接続点に接続されることにより電源電圧が所定の電圧に達した後に前記第2のトランジスタをオフにするように構成されてなるリセット信号発生回路。
- 前記電源がオフにされたときに前記放電回路により前記第1のトランジスタに負の過電圧が印加されるのを防止する保護回路が設けられてなる請求項1記載のリセット信号発生回路。
- 前記保護回路が、前記第1のトランジスタのゲートとアースとの間にダイオード接続を有する半導体素子が逆方向に接続され、またはゲートとソースとが接続されたMOSFETが接続された回路からなる請求項2記載のリセット信号発生回路。
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