JP3722981B2 - 斜面に遮水層を形成する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、法面のような斜面上に非透水性の層である遮水層を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、廃棄物処分場における有害物質の土中への浸透を阻止するため、廃棄物が投棄される空間である埋設穴の傾斜壁面のような斜面に、自硬性を有しかつ固化状態において非透水性を示すスラリーの成形固化物からなる遮水層を形成すべく、斜面上に型枠を設置し、該型枠内に前記スラリーを打設することが行われている。
【0003】
しかし、これには、型枠の設置および脱型に多大の労力および時間を要するという欠点がある。
【0004】
また、前記型枠を用いた遮水層の形成においては、型枠内に打設されたスラリーが斜面に沿っての該斜面の下部と型枠との間にもぐり込み、型枠を上方へ押し上げようとするため、これを阻止すべく、アンカー手段を用いて斜面に型枠を固定する必要がある。
【0005】
しかし、アンカー部材は比較的大きいものからなりかつ深く打ち込まれる強力なものでなければならず、また、このためにアンカー打ち機械とこれを支持するための足場の設置とを必要とすることから、斜面への型枠の固定作業にも多大の労力と時間とを要する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、斜面への遮水層の形成に要する労力または時間を軽減することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
斜面上への遮水層の形成は次のようにして行う。すなわち、斜面上にメッシュからなる1または複数の管状の袋体を該袋体が前記斜面上を屈曲して伸びるように配置し、前記袋体の配置の間またはその後に前記スラリーを前記袋体内に注入し、これにより前記袋体を前記スラリーで満たしかつ前記袋体から滲み出るスラリーで前記袋体の部分相互間の空隙を満たすことにより形成する。複数の袋体を並べて配置することも可能である。この場合には、袋相互間の空隙を該袋体から滲み出るスラリーで満たす。
【0008】
前記管状の袋体に代えて、同様のメッシュからなる、互いに連通する複数のチャンバを有する袋体を用いることができる。この場合には、1または複数の前記袋体を斜面上に配置した後、前記スラリーを前記袋体内に注入して前記袋体の各チャンバを前記スラリーで満たしかつ前記袋体から滲み出るスラリーで前記チャンバ相互間の空隙を満たす。
【0009】
前記スラリーが注入された袋体および前記空隙を満たすスラリーは、さらに、他のスラリーで覆うことができる。これは、さらに前記スラリーと同種または異種のスラリーを前記斜面上に流すことにより行う。
【0010】
袋体として、同様のメッシュからなり、袋体の輪郭に沿って伸びる第1のチャンバと、互いに連通する複数の第2のチャンバとを有する袋体を用いることができる。この場合には、斜面への前記袋体の配置に先立ち、前記スラリーを前記袋体の第1のチャンバ内に注入し、次に、前記袋体の第2のチャンバ内に前記スラリーを注入する。これにより前記袋体の各チャンバを前記スラリーで満たしかつ前記袋体から滲み出るスラリーで前記チャンバ相互間の空隙を満たす。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、メッシュからなる袋体を斜面上に配置し、該袋体内にスラリーを注入することにより、前記斜面上に、前記袋体内と、前記袋体の外部すなわち蛇行して伸びる前記袋体の一部と一部との間、袋体相互間あるいは前記袋体のチャンバ相互間とにスラリーを保持することができる。前記袋体の内外のスラリーはメッシュを介して互いに連なっており、層状の一体をなし、経時的な固化により不透水性の遮水層となる。したがって、本発明によれば、型枠を用いることなしに斜面に層状のスラリーの固化物を形成することができ、その結果、型枠を必要とする場合における該型枠の設置およびその撤去に要する多大の労力および時間を削減することができ、さらに、前記型枠を斜面に固定するためのアンカー打ち作業に要する労力および時間をも削減することができる。
【0012】
1または複数の管状の袋体を屈曲して伸びるように配置し、あるいは、複数の管状の袋体を並列に配置するときは、屈曲部相互間の伸長部分または並列される各袋体を任意の長さ寸法に設定することができることから、頂部および底部の水平方向距離が異なる斜面についても容易に遮水層の形成を行うことができる。
【0013】
さらに、前記スラリーが注入された袋体は斜面の凹凸に追随して自由に変形するため、前記凹凸のある斜面上にも前記袋体の厚さにほぼ等しい厚さの平坦な遮水層を得ることができる。また、前記袋体から滲み出たスラリーは該袋体を前記斜面に強固に接着する作用をなすことから、前記斜面と一体をなす遮水層を得ることができる。
【0014】
袋体を区画する互いに連通する複数のチャンバは、前記袋体に注入される前記スラリーで満たされるとき、前記袋体の厚さをその全面にわたって平均化する作用をなし、また、前記袋体内のスラリーは各チャンバ間で一体に連なる。さらに、前記袋体の外部においては、各チャンバ間の部分すなわち前記袋体の内部において前記スラリーが充填されない部分が前記スラリーで満たされる。このスラリーは前記袋体内のスラリーと一体であるため、前記袋体全体が良好な非透水性すなわち止水性を有する。
【0015】
前記スラリー充填の袋体および前記空隙を埋めるスラリー上に同様のスラリーまたこれと異なるスラリーを流してこれらを前記スラリーで覆うことにより、より平坦な遮水層を得ることができる。
【0016】
前記第1および第2のチャンバを有する袋体を用いるときは、先に第1のチャンバに注入されたスラリーが重石となって前記袋体を所定位置に保持する作用をなす。また、例えば、廃棄物処分場に設けられる廃棄物の埋設穴の底部に貯まった水が斜面の一部を覆っているような場合、前記第1のチャンバ内に予め前記スラリーを注入しておくことにより、前記袋体を斜面に設置する際、該袋が水面に浮かび上がらないように所定の位置に保持し、かつ、所定場所での第2のチャンバ内へのスラリー注入を行うことができる。また、前記したいずれの方法によっても、傾斜角度が変化しない一定勾配の斜面および傾斜角度が変化する斜面のいずれにも遮水層を同様に施すことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1および図2を参照すると、本発明に従って、廃棄物処分場における廃棄物のための埋設穴の傾斜壁面のような地山からなる斜面10上に遮水層12の一部が形成されている。
【0018】
遮水層12は、斜面10上に1の管状の袋体14を斜面10に沿って屈曲して伸びるように配置し、袋体14を斜面10上に配置する間、袋体14内にスラリー16を注入することにより形成する。
【0019】
袋体14は、メッシュすなわち細かいまたは粗い隙間を有する編みか織りによる布からなる。このことから、袋体14内に注入されたスラリー16は袋体14内を満たし、さらに、袋体14を構成する前記メッシュの隙間から袋体14の外部に滲み出す。
【0020】
前記メッシュは、例えば、ポリエチレン樹脂製の繊維からなり、また、前記メッシュの隙間は、例えば、1−10mmの一辺を有する正方形からなる。さらに、袋体14は、例えば、10−50cmの内径を有する。袋体14の大きさを変えることにより、遮水層12の厚さを変えることができる。。
【0021】
また、スラリー16は、自硬性を有しかつ固化状態において非透水性を示す材料からなる。このような材料として、例えば水、土砂およびセメントの混合物であるソイルセメント、モルタル、コンクリート、アスファルト等がある。
【0022】
図3に示すように、袋体14からその外部に滲み出たスラリー18は、屈曲して伸びる袋体14の一部分(後記直線部34)と一部分との間の空隙、より詳細には袋体14のこれらの一部分と斜面10とが規定する下方の空隙20と、袋体14のこれらの一部分が規定する上方の空隙21とを満たす。
【0023】
空隙20,21が滲出スラリー18で満たされる結果、斜面10上に、袋体14内のスラリー16と、袋体14外のスラリー18とにより、全体にほぼ一定の厚さ寸法を有する層22が形成される。滲出スラリー18は、前記メッシュの隙間を通して、袋体14内のスラリー16と連なり、一体をなす。
【0024】
層22中におけるスラリー16,18の経時的な固化により、斜面10上に、平坦性に富む表面を有する遮水層が形成される。このとき、下方の空隙20を埋めるスラリー18の固化物が、斜面10を規定する地山と結合し、前記遮水層を斜面10に強固に固着する。
【0025】
図示の例では、袋体14をその開放一端部で吊り下げ、他方、袋体14の閉塞された他端部を斜面の底縁10aの一端部において斜面10に置いた後、袋体14の前記開放一端部からスラリー16を袋体14内に注入する。スラリー16は袋体14の前記閉塞他端部から前記開放一端部に向けて袋体14内を移動し、その結果、袋体14は、その閉塞端部からその開放一端部に向けて、徐々にスラリー16で満される。
【0026】
次に、スラリー16で満たされた袋体14の一部分を順次に底縁10aに沿って斜面10上に置く。底縁10aの他端部、すなわち斜面の底縁10aおよび頂縁縁10bに連なる両側縁10cの一方に達したら、スラリー16の供給を継続する間にまたは一時停止して、袋体14を他方の側縁10cに向けて屈曲させ、その後、スラリー16で満たされた袋体14の一部分を、先にスラリー16で満たされた部分上に重ねて斜面10上に置く。
【0027】
この作業を、スラリー16の充填部分が斜面の上縁10bに達しかつこれに沿って伸びる状態となるまで行う。これにより、斜面10のほぼ全部が、スラリー16が充填された袋体14で覆われる。また、これによれば、底縁10aと頂縁10bとの長さ寸法が異なる図示の例におけるような斜面10への袋体14の配置を、底縁10aと頂縁10bとの長さ寸法が同じである場合と同様に行うことができる。
【0028】
スラリー16の供給のため、袋体14の前記開放一端部に、スラリー16を受け入れるためのホッパ24の吐出管26が挿入され、前記開放一端部を含む袋体14の一部がその軸線方向に折り重ねられ、ホッパ24の吐出管26を取り巻いている。袋体14の折り重ねの部分28は、斜面10上への袋体14の配置作業の進行に従って、引き延ばされ、吐出管26から離れる。
【0029】
ホッパ24は例えばクレーン(図示せず)により斜面10の上方に吊持され、これにより、吐出管26が鉛直方向へ伸び、ホッパ24内に供給されたスラリー16はその自重により吐出管26を経て袋体14内に流下する。ホッパ24には、例えばスラリー16が収容されたコンクリートポンプ車のトレミー管30が接続され、トレミー管30を通してスラリー16がホッパ24に供給される(図1の矢印参照)。
【0030】
図示の例では、スラリー16で満たされた袋体14の屈曲部32相互間の直線部34が水平または横方向に伸びている。しかし、この例に限らず、前記直線部が斜面10に沿ってその上下方向(縦方向)、斜め方向等、任意の方向へ伸びるように袋体14を設置することができる。但し、前記縦方向または斜め方向へ伸びる場合には、袋体14から滲出したスラリー18が空隙20,21を流下しないように、比較的粘度の高いスラリーを使用し、あるいは、空隙20,21の要所に土嚢(図示せず)を配置する。いずれの場合も、袋体14の配置は、作業員36が、吐出管26から垂下する袋体14を抱え、これを所望の方向へ移動させることにより行うことができる。
【0031】
また、袋体14の直線部34が相互に接するように配置する図示の例に代えて、直線部34相互間にわずかな隙間が存するように配置することができる。この隙間も、また、滲出スラリー18で満たされる。
【0032】
また、図4に示すように、袋体14として、その直径がその軸線方向に関して漸減および漸増を繰り返す波形管38を用いることができる。これによれば、波形管38の直線部相互間に隙間40を容易に設けることができる。
【0033】
袋体14の設置後、空隙20,21を満たす滲出スラリー18が固化するまでの間、斜面10上における直線部34の滑り落ちを一時的に防止するため、複数のアンカー部材42を斜面10に打ち込み、直線部34を所定の高さ位置に維持することができる。アンカー部材42は、例えば、その頭部を槌で叩く等することにより、特別な装置を用いることなく簡単にかつ短時間で打ち込むことができる。
【0034】
袋体14は、これを比較的長い単一のものとする図示の例に代えて、比較的短い複数の管状の袋体(図示せず)を用いることができる。この場合には、各袋体を前記単一の袋体14におけると同様にして、斜面10上に配置しかつこれにスラリー16を充填した後、これに引き続き、他の袋体を斜面10上に配置しかつこれにスラリー16を充填する。
【0035】
また、前記した例に代えて、複数の管状の袋体を斜面10上に該斜面に沿って互いに独立にかつ平行に配置し、図示の例におけると同様の方法で、各袋体を斜面10上に配置する間に、前記袋体内に順次にまたは一時にスラリー16を充填することができる。この例においても、前記袋体から滲み出るスラリー18が袋体相互間の空隙を満たし、前記袋体内のスラリー16と一体となって、層22と同様の層を形成する。
【0036】
さらに、前記したいずれの例にあっても、スラリー16は、袋体14を斜面10上に設置した後、例えばグラウチングポンプ(図示せず)を用いて、袋体14に注入することができる。
【0037】
スラリー16が注入された前記袋体は斜面10と接する部分において該斜面の凹凸に合わせて変形するため、前記袋体が規定する層22の厚さ寸法は斜面10の全体にわたってほぼ一定となる。また、遮水層は平坦性に富む表面を有するため、例えば前記廃棄処分場に形成された前記遮水層をさらに遮水シート44で覆うために前記遮水層上に遮水シート44を敷くときの該遮水シートの引掛かり、破れ等を防止することができる。
【0038】
再び図1および図2を参照すると、必要に応じて、斜面10上に配置されかつスラリー16が注入された袋体14の上方位置から斜面10上に、例えば他のコンクリートポンプ車のトレミー管46を、作業員47の操作により、スラリー16と同種(例えば前記ソイルセメント)またはこれと異種(例えば前記モルタル)のスラリー48を流す。これにより、スラリー充填の袋体14と該袋体から漏れ出たスラリー18とからなる層22をさらにスラリー48の薄い層で覆い、層22の表面をより平坦にすることができ、また、空隙20,21の前記スラリーによる充填度をより高めることができる。
【0039】
斜面10に沿ってのスラリー48の流下作業は、スラリー16が充填された袋体14を斜面10の全部または一部に設置した後、あるいは、袋体14の配置および該袋体内へのスラリー16の注入作業と並行して、行うことができる。
【0040】
次に、図5に示すように、管状の袋体14に代えて、前記メッシュからなるマット状の複数の袋体50を用いることにより、斜面10上に遮水層を形成することができる。
【0041】
袋体50は任意の平面形状を有するものとすることができるが、図示の例では、ほぼ台形の平面形状を有する斜面10を覆うことができるように、矩形の平面形状を有する複数の袋体50と、三角形の平面形状を有する複数の袋体50とが準備され、これらは、斜面10上に互いに隣接して配置されている。図示の例では、各袋体50はその隅角部を貫通する複数のアンカー部材42により斜面10上の所定位置に止められている。
【0042】
各袋体50は、その内部に、互いに連通する複数のチャンバ52と、1の入口54(但し、三角形の平面形状を有する袋体については図示を省略した。)とを有する。チャンバ52は、それぞれ、袋体50を糸56で部分的に縫合することにより区画され、互いに連通している。
【0043】
図示の例では、斜面10に沿って上下に互いに隣接する各対の袋体50が互いに連通している。より詳細には、一方の袋体50の入口54が他方の袋体50の内部に差し込まれている。
【0044】
斜面10上に全部または一部の袋体50を設置した後、各対をなす袋体50のうちの一の袋体の入口54から袋体50の内部に、例えばグラウチングポンプ58を用いて、前記したと同様のスラリーを注入する。
【0045】
これにより、前記スラリーが各袋体50内の各チャンバ52に流入してこれを満たし、また、前記スラリーはチャンバ52相互間で連なる。袋体50の内部を複数のチャンバ52で区画したことから、このようなチャンバを有しない袋体と異なり、前記スラリーが充填されるとき、袋体50は扁平状態に膨らむ。
【0046】
袋体50に充填された前記スラリーは、さらに、前記メッシュの隙間を通して各袋体50の外部に滲み出す。外部に滲出したスラリーは、前記スラリーの充填により膨らんだチャンバ52相互間の空隙、すなわち、チャンバ52を区画する糸56より下方の空隙(斜面10と袋体50との間の空隙)および糸56より上方の空隙の双方を満たす。さらに、滲出した前記スラリーは、袋体50相互間の隙間をも満たす。
【0047】
その結果、袋体50内を満たすスラリーと、該スラリーと前記メッシュの隙間を通して連なる前記滲出スラリーとからなる層が形成される。袋体50内外の前記スラリーの固化により、斜面10上に前記層の固化物からなる遮水層が形成される。
【0048】
前記袋体は、斜面10の平面形状と同じ平面形状を有する単一のものであってもよい。また、図1に示す例と同様、前記スラリーが注入された全部の袋体50上にさらにスラリーを流し、袋体50上および袋体50相互間を前記スラリーの薄膜で覆うことができる。
【0049】
また、前記遮水層は、図6に示すような、前記メッシュからなる1または複数のマット状の袋体58を用いて形成することができる。
【0050】
この袋体58は、全体に矩形の平面形状を有し、袋体58の輪郭(前記矩形の三辺)に沿って伸びるU形の第1のチャンバ60と、第1のチャンバ60間にあって互いに連通する複数の第2のチャンバ62とを有する。これらのチャンバ60,62は、袋体58の一部を縫合する糸64,66により互いに区画されている。
【0051】
袋体58には、第1のチャンバ60に連なる2つの入口68と、チャンバ62に連なる1つの入口70とが設けられており、各入口から前記スラリーを各チャンバ60,62に注入することができる。
【0052】
この袋体58を使用しての前記遮水層の形成は、例えば前記廃棄処分場の廃棄穴に水72(図7参照)が貯まり、このために斜面10の全部または一部が水中に没している場合における前記斜面に対して特に有効である。
【0053】
図7および図8を参照すると、例えばグラウチングポンプ(図示せず)を用いて、袋体58の第1のチャンバ60内に前記スラリーを注入し、第1のチャンバ60を前記スラリーで満たす。
【0054】
次に、好ましくは第1のチャンバ60内のスラリーが固化する以前に、袋体58を斜面10上に配置する。図示の例では、袋体58の大部分が水中に没する。
【0055】
袋体58は、例えばその入口68,70が設けられた上端部76でこれをクレーン74で吊り下げ、クレーン74を操作することにより、その入口68,70が水面72の上方空間、図示の例では、斜面10の頂部上に位置するように、斜面10上に配置することができる。また、図示の例では、袋体58が斜面10の長さより大きい長さ寸法を有し、また、袋体58の第1のチャンバ60内の固化以前のスラリーが柔軟であるため、袋体の下端部78が斜面10からその下縁10aを越えて前記廃棄穴の底面80までこれらの面に沿って角度をなして伸びている。
【0056】
袋体58は、第1のチャンバ60内に充填されたスラリーを重石として、斜面10上の所定位置に維持される。
【0057】
このようにして、第1のチャンバ60にスラリーが充填された複数の袋体58を互いに隣接するように斜面10の全部または一部に配置した後、例えばモルタルポンプ82を用いて、各袋体58にスラリー16を注入して各第2のチャンバ62を16スラリーで満たす。斜面10の大きさが比較的小さい場合には、単一の袋体58を使用し、該袋体で前記斜面の全部を覆うこともできる。
【0058】
第1のチャンバ60を満たすスラリーおよび第2のチャンバ62を満たすスラリー16は、斜面10上への袋体58の配置後、前記メッシュの隙間から袋体58の外部に滲み出し、図5に示す例におけると同様、滲出スラリーが第1および第2のチャンバ60,62相互間、および、第2のチャンバ62相互間における下方の空隙および上方の空隙を満たし、また、袋体58相互間の間隙を満たす。
【0059】
その結果、第1のチャンバ60、第2のチャンバ62、これらのチャンバ相互間、および、袋体58相互間を満たすスラリーからなる層が形成され、該層は、経時的に固化して斜面10上の遮水層を成す。
【0060】
袋体58は、水中に全く没していない通常の斜面上に遮水層を形成する場合にも使用することができる。この場合、第1のチャンバ60内に予め注入されるスラリーは、重石として、袋体58が斜面10上を滑り落ちあるいは風で吹き飛ばされないようにする。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に従って斜面上に形成された遮水層の一部を示す概略的な断面図である。
図2は、図1に示す遮水層の一部の正面図である。
図3は、図1に示す遮水層の一部の部分拡大断面図である。
図4は、図1に示す管状の袋体の他の例であって斜面上に配置された波形管からなる袋体の部分的な正面図である。 図5は、斜面上に配置された他の例の袋体の正面図である。
図6は、他の例の袋体の概略的な正面図である。
図7は、第1のチャンバにスラリーが満たされた、図6に示す袋体を吊り下げている状態を示す正面図である。
図8は、一部が水中に没した斜面上に配置された袋体の概略的な断面図である。
【符号の説明】
10 斜面
12 遮水層
14 管状の袋体
16 スラリー
18 滲出スラリー
20,21 空隙
50,58 袋体
52 チャンバ
60,62 第1のチャンバおよび第2のチャンバ
Claims (5)
- 斜面上にメッシュからなる1または複数の管状の袋体を該袋体が前記斜面に沿って屈曲して伸びるように配置すること、前記袋体の配置の間またはその後に自硬性を有しかつ固化状態において非透水性を示すスラリーを前記袋体内に注入し、これにより前記袋体を前記スラリーで満たしかつ前記袋体から滲み出るスラリーで前記袋体の部分相互間の空隙を満たすことを含む、斜面上に遮水層を形成する方法。
- 斜面上にメッシュからなる複数の管状の袋体を前記斜面に沿って並列に配置すること、前記袋体の配置の間またはその後に自硬性を有しかつ固化状態において非透水性を示すスラリーを前記袋体内に注入し、これにより前記袋体を前記スラリーで満たしかつ前記袋体から滲み出るスラリーで前記袋体相互間の空隙を満たすことを含む、斜面上に遮水層を形成する方法。
- 斜面上に、メッシュからなる、互いに連通する複数のチャンバで区画された1または複数の袋体を配置すること、次に、自硬性を有しかつ固化状態において非透水性を示すスラリーを前記袋体内に注入し、これにより前記袋体の各チャンバを前記スラリーで満たしかつ前記袋体から滲み出るスラリーで前記チャンバ相互間の空隙を満たすことを含む、斜面上に遮水層を形成する方法。
- さらに、前記スラリーが注入された袋体および前記空隙を満たすスラリーを覆うべく、前記スラリーまたはこれと異なるスラリーを前記斜面上に流す、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 斜面上に、メッシュからなる袋体であって該袋体の輪郭に沿って伸びる第1のチャンバと、互いに連通する複数の第2のチャンバとを有する1または複数の袋体を配置すること、前記袋体の配置に先立ち、自硬性を有しかつ固化状態において非透水性を示すスラリーを前記袋体の第1のチャンバ内に注入すること、その後、前記袋体の第2のチャンバ内に前記スラリーを注入し、これにより前記袋体の各第2のチャンバを前記スラリーで満たしかつ前記袋体から滲み出るスラリーで前記チャンバ相互間の空隙を満たすことを含む、斜面上に遮水層を形成する方法。
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