JP3722856B2 - 多重極電極の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば、質量分析装置や電子顕微鏡のように、電子やイオンの軌道を調整するのに使用される多重極電極の製造方法に関し、さらに詳しくは、管状の基板の内面に、複数の電極が形成されてなる多重極電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多重極電極を用いた装置、例えば、四重極電極を備えた質量分析装置では、真空室内に、図8に示されるように4本の電極棒401〜404を、等間隔で対称に平行配置してなる四重極電極が設けられ、対向する各電極棒401,403:402,404間には、直流電圧Uと高周波交流電圧Vcosωtとを重畳してなる走査電圧がそれぞれ印加される。これによって、四重極電極の内部に、双曲線状の電界が形成され、しかも、U/Vの比を一定に保ちながらVを変化させることにより、イオン源(図示せず)から四重極電極の軸方向(図8の紙面に垂直方向)に沿って電界内に導入されたイオンを質量分離するものである。
【0003】
一般に質量分析装置では、精度の高い分析を可能にするために、四重極電極で形成される電界にも高い精度が要求されるが、4本の電極棒401〜404を並列配置してなる四重極電極では、各電極棒401〜404の加工やそれら電極棒401〜404を配置するときの位置や間隔などにも高い精度が要求され、製造コストが高くなる一方、電極棒の配置ずれが起こり易いといった難点がある。
【0004】
このような4本の電極棒を使用することなく、四重極電極を提供するものとして、特開昭63−152846号公報あるいは米国特許第3328146号に開示されている四重極電極がある。これらは、対向する内面が双曲線状にくぼんだ管状の絶縁体の内面に、電極を形成してなるものである。
【0005】
例えば、特開昭63−152846号公報では、図9に示されるように、対向する4つの内面が双曲線状に内方へくぼんだ管状の石英基板41の前記4つの内面に導電性ストリップ42を形成し、図8の四重極電極と同様の機能を有するものである。この管状の石英基板41は、所要形状のマンドレル上で真空成形されることによって得られ、導電性ストリップ42は、例えば、銀ペーストを石英基板41の内面に塗布して焼成することにより形成される。
【0006】
また、米国特許第3328146号では、同様に、ガラス管をマンドレル上で真空成形して得られた4つの内面が双曲線状に内方へくぼんだ管状のガラス基板の内面に、メッキ、蒸着あるいはスパッタリングによって電極を形成するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、管状基板の内面のような極く狭い空間内に、均一で導電性に優れた電極を形成するのは容易ではない。
【0008】
例えば、上述の特開昭63−152846号公報に開示された銀ペーストを塗布して焼成するものでは、十分な導電性を得るには、例えば、数十μmといったかなりの厚みが必要であり、このため、均一な電極を形成するのが一層困難となり、また、焼成を行うために、管状基板の材質として、耐熱性の高い石英やセラミックスしか使用できず、コストが高くなるという難点がある。
【0009】
一方、米国特許第3328146号では、管状のガラス基板の内面に、メッキ、蒸着あるいはスパッタリングなどの一般的手法を適用して電極を形成することしか開示されておらず、例えば、質量分析装置に要求される最近の高い精度を実現できるような均一で導電性に優れた電極を形成するのは困難である。
【0010】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、管状基板の内面に、均一で導電性に優れた多重極電極を形成することができる多重極電極の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0012】
すなわち、本発明は、先端にターゲットを取り付けてあるパイプ状のプローブを多重極電極用管状基板の内空間に挿入するとともに、このプローブを陰極としてこれに電力を印加することによってそのターゲットを前記多重極電極用管状基板の内面にスパッタリングする方法において、前記ターゲットの形状を、四重極電極においては四角柱、あるいは前記多重極電極用管状基板に対応した双曲線部を有する形状とし、前記多重極電極用管状基板に多重極電極を形成する部分を除いてマスキングし、かつ前記ターゲットを中空孔を有するものとするとともに、このプローブを多重極電極用管状基板の内面に対して相対的に移動させながら前記ターゲットの中空穴内には前記プローブを介して放電ガスを供給することによって、このターゲットの中空孔付近で中空陰極放電を行わせて前記多重極電極用管状基板の多重極電極形成部分に前記スパッタリングを行うようにしている。
【0013】
【作用】
上記構成によれば、ターゲットが中空形状であることからターゲット外周面で放電せずに、ターゲットの中空内からわき出すような中空陰極放電を生じ、この中空陰極放電は、通常のグロー放電より電流密度が高く、極く狭い空間内でも放電が安定し、スパッタリングによって管状基板の内面に頑強で導電性に優れた均一な薄膜電極が形成される。
【0014】
【実施例】
以下、図面によって本発明の実施例について、詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例の製造方法によって製造された多重極電極の斜視図であり、この実施例では、質量分析装置に使用される四重極電極1に適用して説明する。
【0016】
この四重極電極1は、図2に示されるガラス製の管状基板2の内面に、4つの電極3が形成されて構成される。この管状基板2は、四重極電極の基本形状を与えるものであり、内方に双曲線状にくぼんで対向する4つの双曲線部4が、軸方向に平行に延びて形成されており、各双曲線部4の境界部分である4つの隅部5は、外方に円弧状に湾曲して形成されている。この管状基板2としては、ガラス製に限らず、石英、セラミックスあるいはプラスチックス製であってもよい。
【0017】
管状基板2の内面の4つの双曲線部4のそれぞれには、金薄膜からなる電極3が形成されており、4つの隅部5には、電極3は形成されておらず、ガラス製の管状基板2が露出して各双曲線部4の4つの電極3を電気的に絶縁している。
【0018】
ガラス製の管状基板2は、四重極電極の基本形状を付与するための所要の形状を有するマンドレル上で真空成形することによって得られる。すなわち、適当な直径、厚さを有する円筒状のガラス管の一端を閉じて切断し、図3に示されるように、前記所要の形状に高い精度で加工されたマンドレル6をガラス管に挿入する。
【0019】
次に、ガラス管の他端を真空ポンプに接続し、ガラス管を十分に加熱すると、大気圧によってガラス管がマンドレル6に密に整合し、冷却した後、マンドレル6をガラス管から取り出し、ガラス管を所要の長さで切断することにより、図2のガラス製の管状基板2が得られるものであり、この管状基板2の内面は、μmオーダの精度を有する。このようにして得られた管状基板2の内面への電極3の形成について説明する。
【0020】
この実施例の四重極電極1の製造方法では、先端にターゲットを取り付けてあるパイプ状のプローブを、真空成形によって得られた上述の管状基板2の内空間に挿入するとともに、このプローブを陰極としてこれに電力を印加することによってそのターゲットを管状基板2の内面にスパッタリングすることによって、電極3を形成するものである。
【0021】
しかも、そのスパッタリングに際して、管状基板2に電極3を形成する部分、すなわち、上述の双曲線部4を除いてマスキングし、かつ前記ターゲットを中空孔を有するものとするとともに、このプローブを管状基板2の内面に対して相対的に移動させながら前記ターゲットの中空孔内には前記プローブを介して放電ガスを供給することによって、このターゲットの中空孔付近で中空陰極放電を行わせて双曲線部4にスパッタリングを行うものである。
【0022】
以上のスパッタリングによる電極3の形成について、さらに詳細に説明する。
【0023】
図4は、本発明の一実施例の製造方法を実施するためのスパッタリング装置の要部断面図であり、図5は、図4の切断面線A−Aから見た断面図である。
【0024】
スパッタリング装置の真空容器7内には、該真空容器7の壁面に支えられるパイプ状のプローブ(陰極)8が、一端を真空容器7内に、他端を貫通穴を介して真空容器1外に突出されるように設けられている。このプローブ8は、真空容器7の壁面に対し絶縁体15を介して支えられることにより、真空容器7とは電気的に絶縁される。さらに、絶縁体15とプローブ8との間は二重のOリング16によるシール機構で支持され、真空室7内の真空が保持できるようにしている。
【0025】
このプローブ8の真空容器7内の先端には、金のターゲット9がネジ止めされ、プローブ8と電気的に接続されている。このターゲット9としては、金以外の白金などの他の貴金属あるいはその合金、さらには、Al、Ni、Cr、W、Mo、Ta、Ti等の化学的に安定な金属あるいはその合金を用いてもよい。
【0026】
真空容器7の内部には、前記プローブ8と軸線が共通するとともに、真空成形によって得られた管状基板2を収納する収納穴10aを有した金属製のホルダ(陽極)10が設けられる。ホルダ10には、ヒータ11が内蔵され、ホルダ10の収納穴10aに内接して保持されるガラス製の管状基板2を加熱できるようにしてある。そして、ホルダ10は、ホルダ台20に支持され、このホルダ台20が、真空容器7の外部に設けた所定の搬送機構17に接続されていて、これを駆動することによってホルダ10およびホルダ10に収納された管状基板2のターゲット9に対する相対位置が変わるようになっている。
【0027】
この実施例では、管状基板2に形成される4つの電極3の絶縁を保つために、電極3を形成しない部分、すなわち、管状基板2の4つの隅部5には、例えば、ステンレス製のマスキング棒12が接着剤あるいは適宜の保持手段によって挿入保持されている。なお、4つの隅部5のマスキングは、マスキング棒12に限らず、マスキング用テープの貼着あるいはマスキング用材料の塗布などであってもよい。
【0028】
プローブ8先端のターゲット9は、図5に示されるように、4つの双曲線部4を有する管状基板2に金薄膜からなる均一な電極3を形成するために、この実施例では、中空の四角柱状とされており、その4つの角部が、4つの双曲線部4にそれぞれ対向するように取り付けられている。
【0029】
プローブ8およびターゲット9は、真空容器7外部から放電ガスとしてのArガスを供給するための中空孔13が設けられている。また、プローブ8の中空孔13先端付近には、放電の回り込み防止用の絶縁筒14が設けられる。
【0030】
プローブ8とホルダ10との間には、プローブ8側がホルダ10側に対して負になるようにDC電源18および放電安定抵抗19が接続される。ホルダ10側は、接地電位にするのが普通であるが、接地電位としないときはホルダ台20との接続面に絶縁板21を介在させておく。これらホルダ台20と絶縁板21には、ガス孔22がそれぞれ形成されている。DC電源18としては、通常定電流電源を用いる。
【0031】
以上の構成の装置において、プローブ8およびターゲット9の中空孔13を介して真空室7内にArガスを導入し、図示しない真空ポンプおよび圧力調整弁にて放電維持可能な圧力に調整する。すると、プローブ8およびターゲット9の中空孔13内部には配管抵抗によるコンダクタンス作用が生じ、これら中空孔13内部以外の真空室7内よりも低真空状態に保持される。この状態で、プローブ8とホルダ10との間に、DC電源18および放電安定抵抗19からなる電源回路により適当な値の電力を投入する。すると、通常のグロー放電に比べて電流密度が高い中空陰極放電がターゲット9の中空孔内部とターゲット9開口部付近に発生する。
【0032】
すなわち、中空孔13を有する特殊な陰極形状であることと、狭い電極間隔においても放電維持が可能なほどの比較的低真空の空間内圧力であることとの条件が満足されると、中空孔13から放射状に吹き出すような形状のプラズマ23が発生して、ターゲット9の先端部付近を激しくスパッタリングするようになる。これにより、ターゲット9から激しくスパッタリングされた原子は、管状基板2に向けて飛び出し、やがて管状基板2に衝突してこれに付着する。なお、中空陰極放電が、プローブ8の中空孔13内部にまで至って、プローブ8自身がスパッタリングされるのを防止するために、プローブ8の中空孔13先端部には上述のように放電防止用の絶縁筒14を設けてている。
【0033】
そして、搬送機構17を用いて、管状基板2をプローブ8の軸線に沿って移動することにより、管状基板2のマスキングされていない4つの双曲線部4に、その軸方向に均等な膜厚の電極3を形成することができ、最終的に、図1の四重極電極1を得ることができる。
【0034】
このように本発明方法によれば、狭い空間でも放電が安定する中空陰極放電によるスパッタリングによって管状基板2の内面に金薄膜からなる4つの電極3を形成するので、頑強で導電性に優れた均一な電極3が得られることになる。
【0035】
特に、四重極電極1の一般的用途である質量分析装置などでは、コンタミネーションが問題となり、金や白金電極が理想とされているけれども、金や白金は、ガラスや石英にはなじみにくく、したがって、ガラスや石英上に頑強で良質な金や白金の薄膜を形成するのは困難であるとされているが、本発明方法によれば、中空陰極放電によって、ガラスや石英の表面が高エネルギープラズマにさらされて活性化されるため、ガラスや石英の管状基板であっても、非常に密着性に優れた良質な電極薄膜が得られる。
【0036】
当然のことであるが、Al、Ni、Cr等の石英やガラスに対して、比較的成膜しやすい材料を用いた場合には、さらに優れた密着性が得られ、密着強度が石英の破壊強度を上回るほどであった。
【0037】
なお、この実施例では、ターゲット9の形状を中空の四角柱状としたけれども、ターゲット9の形状は、これに限るものではなく、管状基板2に対応した双曲線部を有する形状であってもよい。
【0038】
ターゲット9の形状を四角柱状とした本実施例では、管状基板2の4つの隅部5近傍における成膜効率がよく、管状基板2の断面上における膜厚分布は、±0.3μmとなり、プローブ8と同じパイプ状のターゲットを用いた場合の膜厚分布±0.5μmに比べて改善された。
【0039】
また、マスキング棒12の材質をターゲット9と同一の材質とし、負のバイアス電圧、例えば、ターゲット9に印加される電圧が−800Vの時に、−1500V〜−300Vの間の適当なバイアス電圧を印加することにより、前記膜厚分布が、±0.2μmに改善された。
【0040】
図6は、本発明の他の実施例の製造方法を実施するためのスパッタリング装置の要部断面図、図7は、図6のプローブ付近の拡大断面図であり、図4の実施例に対応する部分には、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0041】
この実施例の製造方法は、スパッタリングに際して、補助電極24によって中空陰極放電を調整するとともに、この補助電極24の先端とターゲット9の開口部との距離を一定に調整するものである。
【0042】
このため、このスパッタリング装置では、プローブ8の中空孔内には、絶縁筒25を介してプローブ8と絶縁された補助電極24が設けられており、この補助電極24と絶縁筒25とは、真空容器7外に設けた調整ツマミ26によりプローブ8に対する相対位置が変えられるように構成されている。すなわち、補助電極24および絶縁筒25の上端部にガラスまたは樹脂27にて固定された調整ツマミ26は、プローブ8の外周面にネジ部にて係合してあり、ネジ部を調整することにより、補助電極24および絶縁筒25の、このプローブ8に対しての相対位置を動かすことができるようになっている。調整ツマミ26とプローブ8との間は、シール用のOリング28を設けて真空が維持できるようにしている。
【0043】
また、プローブ8には、放電ガス導入口29が接続されており、絶縁筒25とプローブ8内周面とのすき間を通ってArガスが導入される。
【0044】
さらに、補助電極24には、ポテンショメータ30によって分圧された電圧が安定抵抗31を介して印加されるように接続される。
【0045】
以上の構成の装置において、真空容器7内にArガスを導入し、放電維持可能な圧力に調整した後、プローブ8とホルダ10との間に適当な強度の電力を供給すると、ターゲット9の中空孔内に、上述の実施例と同様に、中空陰極放電が生じる。このときポテンショメータ30の調整により中空陰極放電でプラズマ23が、ターゲット9開口部から外に押し出される程度を調整する。なお、補助電極24は、浮遊電位、すなわち積極的に外部と接続しないようにしてプラズマ23との平衡によって補助電極24の電位を決まるようにしてもプラズマ23の押し出し程度を調整できる。
【0046】
このようにして管状基板2への電極3の形成を繰り返して行うと、ターゲット9がスパッタリングされて消耗し、補助電極24の先端とターゲット9の開口部との距離が短くなって、中空陰極放電の形状、特にプラズマ23がターゲット9から押し出される程度が変わる。中空陰極放電形状の変化が進んで成膜条件の再現性がなくなって来ると、調整ツマミ26を回して補助電極24および絶縁筒25を引っ込める。すると、補助電極24の先端とターゲット9の開口部との距離が再び最初の長さと同じ程度にすることができ、最初の放電状態と同様の放電を得ることができる。
【0047】
このようにしてターゲット9の消耗の程度に合わせて補助電極24を引っ込めることで放電形状に影響を及ぼす補助電極24の先端とターゲット9開口部との相対関係が一定になるように調整できるので、再現性のよい成膜、すなわち、電極3の形成を行えることになる。さらに、ターゲット9の消耗に合わせて補助電極24を引き込んでゆくので、ターゲット9が短くなるまで有効に利用することができ、特に高価なターゲット9を使う場合には、無駄なくターゲット9を利用できることになり、材料コストの低減を図ることができる。
【0048】
なお、この実施例では、補助電極24に印加する電圧をDC電源30の分圧を利用したけれども、別電源を利用してもよい。
【0049】
また、この実施例では、ホルダ10を陽極とし、補助電極24で放電を調整するようにしたけれども、補助電極24とプローブ8との間で放電電力を印加するようにして補助電極24に、放電調整だけでなく、陽極電極としての機能を兼用させてもよい。
【0050】
上述の各実施例では、電源としてDC電源18を用いたけれども、これに限られるものではなく、RF電源その他の電源で放電を発生させうるものであればよい。
【0051】
また、放電ガスとしては、Arガスを用いたけれども、Arガスに限られるものではなく、例えば、酸素とArのような混合ガスを用いて反応性スパッタリングとしてもよい。
【0052】
上述の各実施例では、四重極電極に適用して説明したけれども、本発明は、六重極、八重極、十二重極といった他の多重極電極にも適用できるものである。
【0053】
本発明の実施の態様としては、上記実施例のほか以下の態様がある。
【0054】
(1)先端にターゲットを取り付けてあるパイプ状のプローブを管状基板の内空間に挿入するとともに、このプローブを陰極としてこれに電力を印加することによってそのターゲットを前記管状基板の内面にスパッタリングする際に、前記プローブの内部に絶縁筒を介して補助電極を挿通支持するとともに、該補助電極の先端と前記ターゲットとの相対位置を可変とし、前記管状基板に多重極電極を形成する部分を除いてマスキングし、かつ前記ターゲットを中空孔を有するものとするとともに、プローブを管状基板の内面に対して相対的に移動させながら前記ターゲットの中空孔内には前記プローブを介して放電ガスを供給することによって、このターゲット内部で中空陰極放電を行わせるとともに、前記補助電極によって中空陰極放電を調整して前記管状基板の多重極電極形成部分に前記スパッタリングを行うものである。
【0055】
同じターゲットを用いて繰り返し成膜、すなわち、電極の形成を行った場合には、ターゲットがスパッタリングされて侵食され、放電状態が変化することになって再現性のないものとなるが、このような構成によれば、中空陰極放電を調整する補助電極とターゲットとの相対位置を可変できるので、ターゲットの侵食に応じて相対位置を調整することにより、最初の放電状態と同様の放電状態を得ることができ、再現性のよい電極の形成が可能となる。
【0056】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、中空孔を有するターゲットを先端に取り付けてあるパイプ状のプローブを管状基板の内空間に挿入するとともに、このプローブを陰極としてこれに電力を印加することによってそのターゲットを前記管状基板の内面にスパッタリングする際に、多重極電極を形成する部分を除いてマスキングし、プローブを管状基板の内面に対して相対的に移動させながら前記ターゲットの中空孔内には放電ガスを供給することによって、このターゲットの中空孔付近で安定した中空陰極放電を行わせて複数の電極を形成するので、頑強で導電性に優れた均一な多重極電極を得ることが可能となる。
【0057】
また、管状基板の材質としては、耐熱性の高い石英やセラミックスに限定されることなく、ガラスやプラスチックスを使用することができ、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る四重極電極の斜視図である。
【図2】図1の管状基板の斜視図である。
【図3】真空成形に使用されるマンドレルの斜視図である。
【図4】本発明方法を実施するためのスパッタリング装置の断面図である。
【図5】図4の切断面線A−Aから見た断面図である。
【図6】本発明の他の実施例に係るスパッタリング装置の断面図である。
【図7】図6の要部の拡大断面図である。
【図8】四重極電極の電極棒の配置を示す図である。
【図9】従来例の四重極電極の斜視図である。
【符号の説明】
1 四重極電極
2 管状基板
3 電極
4 双曲線部
5 隅部
8 プローブ
9 ターゲット
12 マスキング棒
17 搬送機構
Claims (1)
- 先端にターゲットを取り付けてあるパイプ状のプローブを多重極電極用管状基板の内空間に挿入するとともに、このプローブを陰極としてこれに電力を印加することによってそのターゲットを前記多重極電極用管状基板の内面にスパッタリングする方法において、
前記ターゲットの形状を、四重極電極においては四角柱、あるいは前記多重極電極用管状基板に対応した双曲線部を有する形状とし、前記多重極電極用管状基板に多重極電極を形成する部分を除いてマスキングし、かつ前記ターゲットを中空孔を有するものとするとともに、このプローブを多重極電極用管状基板の内面に対して相対的に移動させながら前記ターゲットの中空穴内には前記プローブを介して放電ガスを供給することによって、このターゲットの中空孔付近で中空陰極放電を行わせて前記多重極電極用管状基板の多重極電極形成部分に前記スパッタリングを行うことを特徴とする多重極電極の製造方法。
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