JP3722543B2 - 光磁気記録媒体 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、情報信号が多値記録された光磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
光磁気記録媒体の分野においては、記録密度の高密度化が最も重要な技術的課題の1つになっている。従来より、光磁気記録媒体の高密度化手段としては、例えば第13回日本応用磁気学会学術講演概要集(1989年発行)の第63頁や、Japanese Journal of Applied Physics,Vol.28(1989)Supplement 28-3 pp.343-347に記載されているように、信号を多値記録する方式が提案されている。
公知例の多値記録方式は、互いに保磁力が異なる複数の磁性層を積層し、磁性層に印加する磁界強度を多段階に変調することによって、特定の磁性層の磁化を選択的に磁化反転させるというものである。これらの方式によれば、互いに保磁力が異なる3層の磁性層を設けることによって、信号の4値記録が可能になるとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、公知例に係る多値記録方式によると、磁性層が3層に積層された光磁気記録媒体を用いなくてはならないので、光磁気記録媒体の構成が複雑化し、光磁気記録媒体が高価になるという不都合がある。
【0004】
また、公知例に係る多値記録方式によると、信号の記録時に光磁気記録媒体にレーザビームを照射して各磁性層をキュリー温度の近傍まで昇温したときに、各磁性層の保磁力の差がほとんどなくなるため、各磁性層を選択的に磁化反転させることが事実上困難である。仮に、各磁性層の磁気特性を厳密に調整すると共に、記録時のレーザ強度及び外部磁界強度を厳密に制御することによって、各磁性層を選択的に磁化反転させることが実験室レベルで可能になったとしても、そのような光磁気記録媒体及び記録再生装置を量産することはコストの点から不可能である。また、記録時のレーザ強度及び外部磁界強度の変動に対するマージンが極めて小さくなるために、安定な記録再生状態を長期間維持することが不可能であり、到底実用性がない。なお、各磁性層をキュリー温度の近傍まで昇温せず、各磁性層の保磁力の差が充分に大きい状態で信号の記録を行うようにすれば、かかる不都合を生じないが、その反面、信号の記録消去に大磁界が必要になるため、磁気ヘッド等の磁界発生装置が大型化して記録再生装置が大型化し、かつ消費電力も増加するといった別の重大な不都合を生じるので、やはり実用化が事実上不可能である。
【0005】
以下、図36に基づいて、従来技術の不都合をより詳細に説明する。なお、ここでは、説明を容易にするために、図36(b)に符号A,Bで示される保磁力の温度特性を有する2層の磁性膜(磁性層)が基板上に積層された光磁気記録媒体を例にとって説明する。
【0006】
(1)記録用レーザビームの照射部は、各磁性層のキュリー温度以上あるいはその付近まで昇温されるため、図36(b)に示すように、各磁性層の保磁力が室温において大きく異なっても昇温部ではその差が著しく小さくなる。よって、各磁性層を選択的に磁化反転させることが事実上困難である。
【0007】
(2)記録用レーザビームの照射部は、図36(a)に示すように、その微小な領域内に、室温からキュリー温度以上にまで達する急俊な温度分布がある。したがって、それに伴う当該領域内の各磁性層における保磁力の分布も、図36(c)に示すように急俊となり、印加磁界をどの大きさに設定しても記録ドメインの大きさがわずかに変化するに過ぎず、2つの磁性層を印加磁界の大きさにより分離して記録することができない。
【0008】
(3)各磁性層A,Bから読みだされる信号の搬送波対雑音比は、記録時の外部磁界強度に対して、図36(d)に示すようになる。すなわち、磁性層Aから読みだされる信号の搬送波対雑音比と磁性層Bから読みだされる信号の搬送波対雑音比とは、記録時の外部磁界強度に関して、未記録領域と記録領域の遷移領域とがほとんど重複しており、それぞれの磁化の違いによる記録部への漏洩磁界の差によりわずかにずれるに過ぎない。したがって、これらの各磁性層A,Bを積層してなる光磁気記録媒体においては、読出し信号の搬送波対雑音比が図36(e)に示すように安定な記録状態が1つしかなく、外部磁界の切り換えによる記録信号の多値化は不可能である。
【0009】
(4)さらに、この光磁気記録媒体に例えば磁界変調方式によって信号を記録する場合、より大きな外部磁界を印加して保磁力がより大きな磁性膜に対する信号の記録を行う際、外部磁界が所定の値に達するまでの遷移過程で必ず保磁力がより小さな磁性膜に対する記録磁界の値を通過するため、より大きな外部磁界による記録部分の周辺により小さな外部磁界による記録部分が必ず形成される。このため、高S/Nの再生信号が得られないばかりか、信号の記録を高密度に行うと、より大きな外部磁界による記録部分であるのか、本来のより小さな外部磁界による記録部分であるかの判別が困難になり、記録密度を高めることもできないという問題もある。かかる不都合は、光変調方式によって信号を記録する場合にも同様に起る。
【0010】
本発明は、かかる従来技術の不備を解決するためになされたものであって、その目的は、安価にして記録情報量が大きい光磁気記録媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の諸課題を解決するため、磁性層を備え、当該磁性層に設定された記録トラックに沿って情報信号が磁化パターンの形で多値記録される光磁気記録媒体であって、前記磁化パターンが1つの前記記録トラック上に磁化ドメインの幅が異なる複数の記録マーク列を重ね書きすることによって構成されており、これら記録トラック上に重ね書きされた複数の記録マーク列を同時に再生することによって多値の情報信号を得るという構成にした。具体的には、前記磁性層に信号が4値記録されたもの、6値記録されたもの、8値記録されたものなどがある。
【0012】
前記磁性層としては、希土類と遷移金属を主成分とする非晶質垂直磁化膜が好適であり、さらには、希土類と遷移金属との非晶質合金が特に好適である。前記遷移金属としては、〔Co,Fe,Ni,Cr〕のグループから選択される少なくともいずれか1種類の遷移金属元素が好適であり、また前記希土類としては、〔Tb,Gd,Dy,Nd,Ho,Sm〕のグループから選択される少なくともいずれか1種類の希土類元素が好適である。
【0013】
光磁気記録媒体には、必要に応じて、磁性層の下層又は上層に、他の膜体を積層することができる。例えば、前記磁性層の再生用レーザ光入射側に、再生用レーザ光が照射されたとき、前記磁性層に当該再生用レーザ光のスポット径よりも小さな開孔部を熱−磁気的に形成して、いわゆる磁気超解像方式の記録磁区読みだしを実現するための開孔部形成層及び切断層を選択的に設けることができる。また、前記磁性層の再生用レーザ光入射側に、再生用レーザ光が照射されたとき、前記磁性層に当該再生用レーザ光のスポット径よりも小さな開孔部を熱−磁気的に形成して、いわゆる磁気超解像方式の記録磁区読みだしを実現するための開孔部形成層を選択的に設けることができる。その他、前記磁性層の再生用レーザ光入射側に、再生用レーザ光を多重干渉させて見掛け上の磁気光学効果を改善する無機誘電体層を設けたり、前記磁性層の外面に、反射層や保護層を設けることもできる。
【0014】
光磁気記録媒体のプリフォーマットに関しては、データ記録領域を複数のデータ記録単位に分割するという構成にすることができる。データ記録単位は、セクタ構造を有する媒体においては、当該セクタとすることができ、クロックの同期をとるための信号が一定間隔で記録された構造を有する媒体においては、当該クロックの同期をとるための1の信号から次の同種の信号に至るまでの領域とすることができる。さらには、データ記録領域を任意のバイト数ごとに分割して、データ記録単位とすることもできる。このようにデータ記録領域が複数のデータ記録単位に分割されている場合には、1つのデータ記録単位上に磁区の幅が異なる複数の記録マーク列を重ね書きして磁化パターンを構成し、これらデータ記録単位上に重ね書きされた複数の記録マーク列を同時に再生することによって多値の情報信号を得ることができる。
【0017】
記光磁気記録媒体には、記録磁区のエッジ位置、磁化状態に対応するレベル位置、それに磁区の幅に対応するレベル位置の3パラメータによって、情報信号を3次元多値記録することできる。
【0018】
さらに、前記光磁気記録媒体には、記録トラックの形成手段として、案内溝をプリフォーマットすることもできるし、トラッキングピット(ウォブルピット)をプリフォーマットすることもできる。これらの案内溝やトラッキングピットは、前記磁性層に磁気信号の形で書き込むこともできるし、前記磁性層を担持する基板の表面に凹凸の形で記録することもできる。
【0041】
【作用】
従来より、2値信号を記録する光磁気記録媒体として、高温状態においては、安定な磁化状態となる2つの互いに異なる磁界領域をもち、かつ低温状態においては、外部磁界がゼロの状態で、高温時に印加された外部磁界の大きさに応じて2つの磁化状態が安定に存在する磁化特性を有する磁性層を備えたものが一般的に使用されている。
【0042】
一方、光磁気記録媒体に記録される2値信号は、適宜の方法によって、複数の信号列に分割することができる。例えば、(01001001000111100110100011110011)という2値記録信号は、先頭から2つずつ区切ることによって、(01)(00)(10)(01)(00)(01)(11)(10)(01)(10)(10)(00)(11)(11)(00)(11)という信号列に変換でき、さらに、各組の第1番目の信号と第2番目の信号とを別個に取りだすことによって、(0010001101101101)という第1の信号列と、(1001011010001101)という第2の信号列とに分割できる。
【0043】
前記光磁気記録媒体に対する前記第1の信号列の記録は、従来より一般的に行われている光磁気記録媒体に対する2値信号の記録と同じであるので、公知に属する方法で行うことができる。また、光磁気記録媒体に書き込まれた第1の信号列上への前記第2の信号列の重ね書きは、第1の書き込み信号列の磁化を反転可能な条件にレーザ強度及び/又は外部磁界強度を設定すれば可能である。さらに、第1の書き込み信号列上に第2の信号列を重ね書きする際に、第1の書き込み信号列の幅(磁化ドメインの幅)よりも第2の信号列の幅を小さくし、第1の書き込み信号列の一部を第2の信号列に書き換えることも、レーザ光の強度やレーザスポットの大きさを調整することによって可能である。加えて、第1の書き込み信号列の先頭と第2の書き込み信号列の先頭とを同期させることも、従来技術を用いて容易にできる。したがって、同一のトラック上に複数回記録用レーザビームを操作することにより、分割された複数の信号列を、同一のトラック上に、夫々異なる幅で記録することができる。
【0044】
かように、同一のトラック上に、異なる幅で、第1の信号列及び第2の信号列をトラック方向に同期して重ね書きすると、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“1”の領域とは、第1の書き込み信号列の幅と同じかそれよりも大径の再生用レーザスポットを照射したとき、夫々再生用レーザスポットが照射された領域の合計の磁化状態が異なるので、4値の記録信号を検出できる。また、記録信号を3つの信号列に分割し、同一のトラック上にこれら3つの信号列を重ね書きすれば、同様の原理によって、6値又は8値の信号記録を行える。
【0045】
よって、従来より2値信号を記録するものとして一般的に使用されている光磁気記録媒体を用いて、信号の多値記録を実現でき、安価にして記録情報量が大きい光磁気記録媒体を提供できる。
【0046】
【実施例】
本発明の実施に適用される光磁気記録媒体の第1例を、図1〜図4に基づいて説明する。図1は実施例に係る光磁気記録媒体の要部断面図、図2は実施例に係る光磁気記録媒体のトラックフォーマットの説明図、図3は実施例に係る光磁気記録媒体のサーボ領域及び記録領域の説明図、図4は磁性層の磁気特性を示すグラフ図である。
【0047】
図1から明らかなように、本例の光磁気記録媒体は、片面に所望のプリフォーマットパターン2が形成された透明基板1と、プリフォーマットパターン2上に形成された第1誘電体層3と、第1誘電体層3上に形成された磁性層4と、磁性層4上に形成された第2誘電体層5と、第2誘電体層5上に形成された反射層6と、反射層6上に形成された保護層7とからなる。
【0048】
透明基板1としては、例えばポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテン、エポキシなどの透明樹脂材料を所望の形状に成形したものや、所望の形状に形成されたガラス板の片面に所望のプリフォーマットパターン2が転写された透明樹脂層を密着したものなど、公知に属する任意の透明基板を用いることができる。
【0049】
プリフォーマットパターン2は、記録トラック及び当該記録トラックを分割してなるデータ記録単位を画定するものであって、図1に示すように、透明基板1の表面に凹凸の形で記録することもできるし、磁性層4に光磁気信号として記録することもできる。図2は、サンプルサーボ方式の光磁気記録媒体に形成されるプリフォーマットパターンの一例を示すものであって、記録トラック11が多数のデータ記録単位12に分割され、各データ記録単位12が、ID領域13と、サーボ領域14と、データ領域15とに分割されている。ID領域13には、各データ記録単位12の境界を示すマークや当該データ記録単位のアドレス、それに誤り検出符号などが形成される。サーボ領域14には、図3に示すように、記録又は再生用のレーザビームを記録トラック11に沿って走査するためのトラッキングピット16と、記録領域14に記録される多値記録信号に含まれる各信号のスライスレベルを設定するためのテスト信号(レベル検出用ピット)17及び/又は多値記録信号のエッジを検出するタイミングの基準となるタイミング信号を生成するためのテスト信号(タイミング検出用ピット)18と、信号の記録再生に必要な基準クロックを引き込むために必要な埋め込みクロックピット18aとが形成される。また、データ領域15には、多値記録信号が、光磁気記録信号として記録される。なお、サーボ領域14にトラッキングピット16を備える構成に代えて、記録又は再生用のレーザビームを記録トラック11に沿って案内する案内溝を、透明基板1に形成することもできる。また、前記のレベル検出用ピット17及びタイミング検出用ピット18は、光磁気信号として記録することもできるし、基板上の凹凸として形成し、その幅、長さ、深さ等によって、テスト信号の各レベルを設定することができる。
【0050】
第1及び第2の誘電体層3,5は、膜内で再生用光ビームを多重干渉させ、見掛け上のカー回転角を増加するために設けられるものであって、前記透明基板1よりも屈折率が大きい無機誘電体にて形成される。誘電体層材料としては、シリコン、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、タンタルの酸化物又は窒化物が特に好適である。第1誘電体層3は、600Å〜1200Åの膜厚に形成される。また、第2の誘電体層5は、これと同等か、これよりも薄く形成される。
【0051】
磁性層4としては、下記の一般式で表される非晶質垂直磁化膜を用いることができる。その膜厚は、20〜500Åが好適である。
【0052】
一般式;(Tb100-AA)XFe100-X-Y-ZCoYZ
但し、15原子%≦X≦35原子%
5原子%≦Y≦15原子%
0原子%≦Z≦10原子%
0原子%≦A≦20原子%
Tbは希土類元素であるテルビウム、Feは遷移金属である鉄、Coは遷移金属であるコバルト、
Mは〔Nb,Cr,Pt,Ti,Al〕のグループから選択された少なくとも1種類の元素
QはGd,Nd,Dyから選択された少くとも1種類の元素。
【0053】
この組成を有する希土類−遷移金属系の非晶質合金は、図4に示すように、外部磁界に対する相対信号出力の変化における記録状態と非記録状態の遷移領域がほぼゼロ磁界付近になり、ゼロ磁界以下の磁界領域及びゼロ磁界以上の磁界領域に記録信号の“0”と“1”を割り当てることによって、2値の信号記録が可能になる。
【0054】
反射層6は、反射率を高めることで媒体の実効カー回転角を高めると共に、熱伝導率を調整することで媒体の記録感度を調整するために設けられるものであって、再生用光ビームに対して高い反射率を有する物質から形成される。具体的には、〔Al,Ag,Au,Cu,Be〕のグループから選択された1種以上の金属元素と、〔Cr,Ti,Ta,Sn,Si,Rb,Pe,Nb,Mo,Li,Mg,W,Zr〕のグループから選択された1種以上の金属元素からなる合金が特に好適であり、この種の合金を用いた場合、300Å〜1000Åの膜厚に形成される。
【0055】
保護層7は、膜体3〜6を機械的衝撃や化学的な悪影響から保護するためのものであって、膜体全体を覆って被着される。保護層材料としては、樹脂材料を挙げることができる。特に、成膜が容易であることから、紫外線硬化型樹脂が好適である。
【0056】
次に、本発明の実施に適用される光磁気記録媒体の第2例を、図5に基づいて説明する。本例の光磁気記録媒体は、信号の2値記録が可能な前記の光磁気記録媒体に、所謂磁気超解像を実現するための膜体を付加したことを特徴とする。
【0057】
この図から明らかなように、本例の光磁気記録媒体は、透明基板1上に、第1誘電体層101と、開口部形成層102と、切断層103と、磁性層104と、第2誘電体層106と、反射層112と、保護層7とから原則的に形成される。
【0058】
開口部形成層102と切断層103と磁性層104は、室温において互いに磁気的に交換結合する磁性膜をもって構成され、再生用レーザビームの入射方向に対して、この順に積層される。これらの磁性膜102,103,104は、開口部形成層102のキュリー温度をTc1 、その保磁力をHc1 、切断層103のキュリー温度をTc2 、その保磁力をHc2 、磁性層104のキュリー温度をTc3 、その保磁力をHc3 とし、室温をT0 、切断層103及び磁性層104が開口部形成層102に及ぼす交換磁界をHw 、再生時に印加する外部磁界(以下、再生磁界という)をHr とすると下記の▲1▼〜▲4▼の条件を満たすように、キュリー温度及び保磁力が調整される。
▲1▼T0 <Tc2 <Tc1 ,Tc3
▲2▼Hc1 +Hw <Hr
(但し、再生時に切断層103のキュリー温度Tc2 またはその近傍まで昇温する領域において)
▲3▼Hc3 >Hr
(但し、再生時に切断層103のキュリー温度Tc2 またはその近傍まで昇温する領域において)
▲4▼Hc1 <Hw
(但し、室温において)。
【0059】
以下、このように構成された光磁気記録媒体からの信号の再生原理を、図6に基づいて説明する。光磁気記録媒体には、図6(a)に示すように、記録トラックに沿って、再生用光ビーム130のスポット径Dよりも小径の記録マーク120aが、再生用光ビーム130のスポット径Dよりも小さなピッチで記録されている。
【0060】
光学ヘッド及び磁気ヘッドに対して光磁気記録媒体を相対的に駆動しつつ、光磁気記録媒体に再生用光ビーム130を照射すると、そのエネルギによって開口部形成層102、切断層103、磁性層104が昇温されるが、矢印Aの方向に光磁気記録媒体を駆動しつつ記録トラックに沿って再生用光ビーム130を照射すると、再生用光ビーム130の照射時間の差から、図6(b)に示すように、スポット131の後縁部分が最も高温になる。そこで、再生用光ビーム130の強度を、当該高温領域131aの温度が切断層103のキュリー温度Tc2 以上又はその近傍になるように調整すると、切断層103及び磁性層104が開口部形成層102に及ぼす交換磁界Hw がゼロ若しくは非常に小さな値となり、開口部形成層102と磁性層104との間の磁気的結合が断ち切られる。
【0061】
この状態で、Hc1 +Hw よりも大きな再生磁界Hr を各磁性膜に印加すると、図6(a)に示すように開口部形成層102の高温領域131aに対応する部分の磁化が再生磁界方向に揃えられ、その領域における開口部形成層102の記録マーク102aは消失する。一方、高温領域131a以外の部分では、交換磁界Hw は大きな値を維持しており、開口部形成層102と磁性層104とは磁気的に結合されているので、開口部形成層102に記録された記録マーク102aはそのまま保たれている。したがって、記録トラックに沿って再生用光ビーム130を操作したとき、高温領域131a中の記録マーク120aが信号の読出しに関してマスクされ、スポット131のうちの高温領域131aを除く三日月形の部分のみがアパーチャとなって、記録マーク120aからの信号が読み出される。よって、磁区間ピッチがスポット径Dの1/2程度に調整された光磁気記録媒体からの信号の読み出しが可能になり、再生分解能が向上する。
【0062】
なお、磁性層104の保磁力Hc3 は、再生磁界Hr よりも大きく設定されているので、再生磁界Hr の印加によって磁性層104の記録マーク120aが消去されることはない。また、光磁気記録媒体の駆動に伴って再生用光ビーム130の照射部から外れた部分は、順次室温まで冷却され、切断層103の温度がTc2 以下まで冷却された段階で、再度各磁性膜間に交換磁界Hw が復活する。よって、その交換結合力によって磁性層104の反転磁区が開口部形成層102に転写されるので、信号の再生動作を繰り返しても、当初の記録状態が消失することはない。
【0063】
図7に、磁気超解像方式による多値記録信号再生方法の他の例を示す。本例の再生方式は、図6の方法とは異なり、光学ヘッドの上流側において開口部形成層102に初期化磁界を印加し、高温部131aにアパーチャを形成することを特徴とする。
【0064】
なお、磁気超解像方式の光磁気記録媒体は、必ずしも図6、図7に示した膜構造を有するものに限定されるものではなく、必要に応じて1ないし複数の膜体を省略することもできるし、必要に応じて1ないし複数の膜体を加えることもできる。例えば、切断層103については、これを省略することもできる。
【0065】
以下、本発明に係る光磁気記録媒体の多値記録方法について説明する。
【0066】
〈多値記録再生方法の第1例〉
本例の多値記録方法は、図1又は図5に表示した光磁気記録媒体に、磁界変調方式により信号を4値記録することを特徴とする。
【0067】
まず、光磁気記録媒体をターンテーブル等の媒体駆動部に装着し、透明基板側に光学ヘッドを、保護層側に磁気ヘッドを配置する。媒体駆動部を起動して光磁気記録媒体と光学ヘッド及び磁気ヘッドとを相対的に所定の線速度で駆動し、光学ヘッド及び磁気ヘッドを所定のトラックに位置付ける。しかる後に、光学ヘッドより当該所定の記録トラックに沿って一定強度のレーザビームを照射しつつ、磁気ヘッドより所望の記録信号にてパルス状に信号変調された磁界を印加して信号の記録を行う。
【0068】
この場合、図8に示すように、2値信号である記録信号(01001001000111100110100011110011)を、先頭から2つずつの信号の組に区切り、(01)(00)(10)(01)(00)(01)(11)(10)(01)(10)(10)(00)(11)(11)(00)(11)という信号列に変換する。さらに、各組の第1番目の信号と第2番目の信号とを別個に取りだすことによって、(0010001101101101)という第1の信号列と、(1001011010001101)という第2の信号列とに分割する。
【0069】
そして、レーザビームが、所望の記録トラックの先頭位置に至ったとき、光学ヘッドより照射されるレーザビームの強度を記録レベルP1 に切り替えると共に、磁気ヘッドより第1の信号列にて(+),(−)方向に信号変調された磁界H1 を印加する。これによって、図8(a)に示すように、光磁気記録媒体に幅広の第1の書き込み信号列201を形成する。
【0070】
次いで、レーザビームを、第1の書き込み信号列201が形成された記録トラックの先頭位置に再度位置付け、光学ヘッドより照射されるレーザビームの強度を、前記第1の書き込み信号列201を書き換え可能なレベルP2 (P1>P2)に切り替えると共に、磁気ヘッドより第2の信号列にて(+),(−)方向に信号変調された磁界H2 を印加する。これによって、図8(a)に示すように、第1の書き込み信号列201の中心部に、第1の書き込み信号列201の幅よりも狭い第2の書き込み信号列202を形成する。第1の書き込み信号列201の幅よりも第2の書き込み信号列202の幅を小さくし、第1の書き込み信号列201の一部を第2の書き込み信号列202に書き換えることは、磁性層4上に照射される記録レーザ光の強度や記録用レーザスポットの大きさを調整することによって行うことができる。
【0071】
記録信号の再生は、第1の書き込み信号列201の幅よりもスポット径Dが大きな再生用レーザビーム210を、記録トラックに沿って照射することにより行える。すなわち、記録トラックに沿って第1の書き込み信号列201の幅よりもスポット径Dが大きな再生用レーザビーム210を照射すると、図8(b)に示すように、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“0”の領域とでは、各々磁化のパターンにより再生用レーザスポット210が照射された領域の合計の磁化状態が異なるので、前記各領域における合計の磁化状態に、夫々“0”、“1”、“2”、“3”を割り当てることによって、4値の記録信号を検出できる。
【0072】
かように、本例の記録再生方式によると、従来より2値信号を記録するものとして一般的に使用されている光磁気記録媒体を用いて、信号の4値記録を実現でき、安価にして記録情報量が大きい光磁気記録媒体を提供できる。
【0073】
なお、磁界変調方式に代えて、公知の光変調方式によっても同様の4値記録を実行できることは勿論である。
【0074】
〈多値記録再生方法の第2例〉
本例の多値記録方法は、図1又は図5に表示した光磁気記録媒体に、光磁界同時変調方式により信号を4値記録することを特徴とする。
【0075】
第1実施例の場合と同様に、光磁気記録媒体をターンテーブル等の媒体駆動部に装着し、透明基板側に光学ヘッドを、保護層側に磁気ヘッドを配置する。媒体駆動部を起動して光磁気記録媒体と光学ヘッド及び磁気ヘッドとを相対的に所定の線速度で駆動し、光学ヘッド及び磁気ヘッドを所定のトラックに位置付ける。しかる後に、図9に示すように、光学ヘッドより当該所定の記録トラックに沿ってパルス状に強度変調されたレーザビームを照射しつつ、磁気ヘッドより所望の記録信号にて(+),(−)方向に信号変調された磁界を印加して信号の記録を行う。
【0076】
記録信号は、第1実施例と同様の方法で、第1の信号列と第2の信号列とに分割する。そして、レーザビームが、所望の記録トラックの先頭位置に至ったとき、光学ヘッドより照射されるレーザビームをパルス状に切り替えると共に、その強度を記録レベルP1 に切り替える。また、磁気ヘッドより第1の信号列にて(+),(−)方向に信号変調された磁界H1 を印加する。これによって、図9(a)に示すように、光磁気記録媒体に幅広の第1の書き込み信号列201を形成する。パルス状の記録用レーザビームは、磁気ヘッドより印加される外部磁界が目標値に到達したタイミングに併せて照射される。
【0077】
次いで、レーザビームを、第1の書き込み信号列201が形成された記録トラックの先頭位置に再度位置付け、光学ヘッドより照射されるレーザビームをパルス状に切り替えると共に、その強度を、前記第1の書き込み信号列201を書き換え可能なレベルP2 (P1>P2)に切り替える。また、磁気ヘッドより第2の信号列にて(+),(−)方向に信号変調された磁界H2 を印加する。これによって、図9(a)に示すように、第1の書き込み信号列201の中心部に、第1の書き込み信号列201の幅よりも狭い第2の書き込み信号列202を形成する。この場合にも、パルス状の記録用レーザビームは、磁気ヘッドより印加される外部磁界が目標値に到達したタイミングに併せて照射される。なお、本例の記録再生方式においては、第1回目の記録時と第2回目の記録時とで記録用レーザビームの発光タイミングを時間tだけずらしている。このようにすると、図10に示すように、第1回目と第2回目の記録用レーザビームの発光タイミングを揃えた場合よりも、各領域より検出される再生信号の波形が、よりシャープになる。時間tは、再生信号の波形が、最もシャープになる値に調節される。
【0078】
記録信号の再生は、前記第1実施例の場合と同様に、第1の書き込み信号列201の幅よりもスポット径Dが大きな再生用レーザビーム210を、記録トラックに沿って照射することにより行われる。これによって、図9(b)に示すように、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“1”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“0”の領域とから、4値の記録信号を検出できる。
【0079】
本実施例によると、前記第1実施例と同様の効果を奏するほか、磁気ヘッドによって印加される外部磁界が目標値に到達したタイミングに併せてパルス状の記録用レーザビームを照射するようにしたので、各磁化ドメインのエッジがシャープになり、ジッタに対するマージンを大きくできる。また、第1回目の記録時と第2回目の記録時とで記録用レーザビームの発光タイミングをずらしたので、第1回目と第2回目の記録用レーザビームの発光タイミングを揃えた場合よりも各領域よりシャープな再生信号を得ることができる。よって、これらの効果より、ピットエッジ記録が可能になる。
【0080】
〈多値記録再生方法の第3例〉
本例の多値記録方法は、図1又は図5に表示した光磁気記録媒体に、光磁界同時変調方式により信号を8値記録することを特徴とする。
【0081】
第1実施例の場合と同様に、光磁気記録媒体をターンテーブル等の媒体駆動部に装着し、透明基板側に光学ヘッドを、保護層側に磁気ヘッドを配置する。媒体駆動部を起動して光磁気記録媒体と光学ヘッド及び磁気ヘッドとを相対的に所定の線速度で駆動し、光学ヘッド及び磁気ヘッドを所定のトラックに位置付ける。しかる後に、図11に示すように、光学ヘッドより当該所定の記録トラックに沿ってパルス状に強度変調されたレーザビームを照射しつつ、磁気ヘッドより所望の記録信号にて(+),(−)方向に信号変調された磁界を印加して信号の記録を行う。
【0082】
この場合、図11に示すように、2値信号である記録信号(011001100010001010111101010101100000110111001110)を、先頭から3つずつの信号の組に区切り、(011)(001) (100)(010)(001)(010)(111)(101)(010) (101)(100)(000)(110)(111)(001)(110)という信号列に変換する。さらに、各組の第1番目の信号と第2番目の信号と第3番目の信号を別個に取りだすことによって、(0010001101101101)という第1の信号列と、(1001011010001101)という第2の信号列と、(1100101101000110)という第3の信号列とに分割する。
【0083】
そして、レーザビームが、所望の記録トラックの先頭位置に至ったとき、光学ヘッドより照射されるレーザビームをパルス状に切り替えると共に、その強度を記録レベルP1 に切り替える。また、磁気ヘッドより第1の信号列にて(+),(−)方向に信号変調された磁界H1 を印加する。これによって、図11(a)に示すように、光磁気記録媒体に幅広の第1の書き込み信号列201を形成する。パルス状の記録用レーザビームは、磁気ヘッドより印加される外部磁界が目標値に到達したタイミングに併せて照射される。
【0084】
次いで、レーザビームを、第1の書き込み信号列201が形成された記録トラックの先頭位置に再度位置付け、光学ヘッドより照射されるレーザビームをパルス状に切り替えると共に、その強度を、前記第1の書き込み信号列201を書き換え可能なレベルP2 (P1>P2)に切り替える。また、このとき、記録用レーザビームの中心を、第1の書き込み信号列201上であって、当該第1の書き込み信号列201の中心から幅方向にオフセットする。さらに、これと同時に、磁気ヘッドより第2の信号列にて(+),(−)方向に信号変調された磁界H2 を印加する。これによって、図11(a)に示すように、第1の書き込み信号列201の中心から幅方向にオフセットした位置に、第1の書き込み信号列201の幅よりも狭い第2の書き込み信号列202を形成する。この場合にも、パルス状の記録用レーザビームは、磁気ヘッドより印加される外部磁界が目標値に到達したタイミングに併せて照射される。
【0085】
さらに、レーザビームを、第1及び第2の書き込み信号列201,202が形成された記録トラックの先頭位置にみたび位置付け、光学ヘッドより照射されるレーザビームをパルス状に切り替えると共に、その強度を、前記第1の書き込み信号列201を書き換え可能なレベルP3(P1>P2≠P3、但し、本実施例では、P2>P3)に切り替える。また、このとき、記録用レーザビームの中心を、第1の書き込み信号列201上であって、前記第2の書き込み信号列202と重ならない位置にオフセットする。さらに、これと同時に、磁気ヘッドより第3の信号列にて(+),(−)方向に信号変調された磁界H3 を印加する。これによって、図11(a)に示すように、第1の書き込み信号列201上の第2の書き込み信号列202と重ならない位置に、第1及び第2の書き込み信号列201,202の幅よりも狭い第3の書き込み信号列203を形成する。この場合にも、パルス状の記録用レーザビームは、磁気ヘッドより印加される外部磁界が目標値に到達したタイミングに併せて照射される。
【0086】
記録信号の再生は、前記第1実施例及び第2実施例の場合と同様に、第1の書き込み信号列201の幅よりもスポット径Dが大きな再生用レーザビーム210を、記録トラックに沿って照射することにより行われる。これによって、図11(b)に示すように、第1、第2、第3の信号列の信号が共に“1”の領域と、第1及び第2の信号列の信号が“1”で第3の信号列の信号が“0”の領域と、第1及び第3の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“1”で第2及び第3の信号列の信号が“0”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2及び第3の信号列の信号が“1”の領域と、第2の信号列の信号が“1”で第1及び第3の信号列の信号が“0”の領域と、第1及び第2の信号列の信号が“0”で第3の信号列の信号が“1”の領域と、第1、第2、第3の信号列の信号が共に“0”の領域とから、8値の記録信号を検出できる。
【0087】
かように、本例の記録再生方式によると、従来より2値信号を記録するものとして一般的に使用されている光磁気記録媒体を用いて、信号の8値記録を実現でき、さらに安価にして記録情報量が大きい光磁気記録媒体を提供できる。
【0088】
なお、本第3実施例においては、第2の信号列202と第3の信号列203とを互いに離隔して第1の信号列201上に重ね書きしたが、図12に示すように、第2の信号列202と第3の信号列203とを第1の信号列201の中心部で接触させても、前記と同様に信号の8値記録を実現できる。
【0089】
また、図13に示すように、第2の信号列202と第3の信号列203の外側辺を第1の信号列201の外側辺に合致させ、第2の信号列202と第3の信号列203を互いに離隔させても、前記と同様に信号の8値記録を実現できる。
【0090】
また、本第3実施例においては、光磁界同時変調方式によって第1、第2、第3の信号列201,202,203の記録を行ったが、かかる構成に代えて、公知の光変調方式又は磁界変調方式によっても同様の8値記録を実行できることは勿論である。
【0091】
さらに、本第3実施例においては、第1、第2、第3の信号列201,202,203の先頭を同一位置に設定したが、第2実施例の記録再生方式と同様に、第1回目、第2回目、第3回目の記録におけるレーザパルスの照射タイミングを夫々ずらして、シャープな再生信号波形が得られるようにすることもできる。
【0092】
〈多値記録再生方法の第4例〉
本例の多値記録再生方法は、図1又は図5に表示した光磁気記録媒体に、光磁界同時変調方式により信号を6値記録することを特徴とする。
【0093】
信号の記録再生は、前記第3実施例の場合と同様の手順で行われる。但し、図14(a)に示すように、第2の書き込み信号列202と第3の書き込み信号列203を、同一の幅に形成する点が異なる。このようにすると、第1及び第2の信号列の信号が“0”で第3の信号列の信号が“1”の領域と、第1及び第3の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“1”の領域とは、再生用レーザスポット210内における合計の磁化状態が同一になる。また、第1及び第2の信号列の信号が“1”で第3の信号列の信号が“0”の領域と、第1及び第3の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“0”の領域とは、再生用レーザスポット210内における合計の磁化状態が同一になる。
【0094】
したがって、このようにして信号の記録が行われた光磁気記録媒体からは、図14(b)に示すように、第1、第2、第3の信号列の信号が共に“1”の領域と、第1の信号列の信号が“0”で第2及び第3の信号列の信号が“1”の領域と、第1及び第2の信号列の信号が“1”で第3の信号列の信号が“0”の領域(第1及び第3の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“0”の領域と等価)と、第1及び第2の信号列の信号が“0”で第3の信号列の信号が“1”の領域(第1及び第3の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“1”の領域と等価)と、第1の信号列の信号が“1”で第2及び第3の信号列の信号が“0”の領域と、第1、第2、第3の信号列の信号が共に“0”の領域とから、6値の記録信号を検出できる。
【0095】
なお、本第4実施例においては、第2の信号列202と第3の信号列203とを互いに接して第1の信号列201上に重ね書きしたが、図15及び図16に示すように、第2の信号列202と第3の信号列203とを互いに離隔させても、これら第2及び第3の信号列202,203が同幅であれば、前記と同様に信号の6値記録を実現できる。
【0096】
また、本第4実施例においては、光磁界同時変調方式によって第1、第2、第3の信号列201,202,203の記録を行ったが、かかる構成に代えて、公知の光変調方式又は磁界変調方式によっても同様の6値記録を実行できることは勿論である。
【0097】
さらに、本第4実施例においては、第1、第2、第3の信号列201,202,203の先頭を同一位置に設定したが、第2実施例の記録再生方式と同様に、第1回目、第2回目、第3回目の記録におけるレーザパルスの照射タイミングを夫々ずらして、シャープな再生信号波形が得られるようにすることもできる。
【0098】
〈多値記録再生方法の第5例〉
本例の多値記録再生方法は、複数の書き込み信号列に記録された信号の組合せで信号が多値記録された光磁気記録媒体から、通常の光磁気再生装置を用いたのでは得ることができないより高次の多値信号を再生できるようにしたことを特徴とする。
【0099】
即ち、多値記録再生方法の第4例において説明したように、例えば幅広の第1の信号列201上にこれよりも幅が狭くかつ互いに同一幅の第2及び第3の信号列202,203を重ね書きした場合、通常の光磁気再生装置によると、第1及び第2の信号列の信号が“1”で第3の信号列の信号が“0”の領域と第1及び第3の信号列の信号が“1”で第2の信号列の信号が“0”の領域、及び第1及び第2の信号列の信号が“0”で第3の信号列の信号が“1”の領域と第1及び第3の信号列の信号が“0”で第2の信号列の信号が“1”の領域とを判別することができず、媒体の磁化状態が8種類あるにも拘らず、6値の再生信号しか検出できない。本例は、光磁気再生装置を工夫することによって、かかる不都合を解消し、媒体の磁化状態の数に応じた数の再生信号を検出できるようにしたことを特徴とするものである。
【0100】
図17に、本例の多値記録再生方法を実行するための光磁気再生装置を示す。図17(a)において、301は光磁気ディスク、302は光磁気ディスク301の回転スピンドル、303は磁気ヘッド、304はレーザ光源、305はコリメータレンズ、306はプリズム群、307は第1のビームスプリッタ、308はミラー、309は対物レンズ、310は第2のビームスプリッタ、311は1/2波長板、312は集光レンズ、313は第3のビームスプリッタ、314,315は4分割光検出器、316はハーフミラー、317はフォーカシング用ディテクタ、318はトラッキング用ディテクタを示している。
【0101】
本例装置の特徴とするところは、信号検出用のディテクタとして4分割光検出器314,315を用いたことにあり、その他の部分については従来より一般的に用いられている光磁気再生装置と同じである。4分割光検出器314の受光面は図17(b)に示すようにD1,D2,D3,D4をもって構成され、4分割光検出器315の受光面は図17(b)にかっこ書したようにD1’,D2’,D3’,D4’をもって構成されている。各4分割光検出器314,315は、図17(b)に示すように受光面D2,D3(D2’,D3’)と受光面D1,D4(D1’,D4’)とを再生用レーザビームスポット210の進行方向に向け、かつ受光面D1,D2(D1’,D2’)と受光面D3,D4(D3’,D4’)との界面を再生用レーザビームスポット210の中心及び信号列202,203の境界に合致させた状態で第3のビームスプリッタ313に対して光学的に共役の位置に設置される。これによって、互いに同一番号の受光面の出力信号の差をとることによって、信号の差動検出が可能になる。本構成の光磁気再生装置によると、記録磁区が再生用レーザビームスポット210の中心から右側又は左側にオフセットしている場合、反射光線断面内の偏光面回転分布が非対称となるので、各受光面D1,D2,D3,D4,D1’,D2’,D3’,D4’からの信号出力を演算することによって再生用レーザビームスポット210の右側にオフセットした記録磁区の信号と左側にオフセットした記録磁区の信号とを判別できる。
【0102】
以下、図18を用いて本例に係る多値信号再生方法をより詳細に説明する。 図18(a)に示すように、2つの書き込み信号列202,203が隣接して記録された記録トラックの中心に再生用レーザビームスポット210の中心を位置付け、2つの4分割光検出器314,315の対応する受光面どうしの差動出力(D1−D1’)、(D2−D2’)、(D3−D3’)、(D4−D4’)を求めると、それらの差動出力波形は図18(b)に示す波形となる。これらの各差動出力を全て加算した信号が、非分割型の光検出器を用いた通常の再生装置にて検出される光磁気信号に相当するものであって、その波形は図18(c)に示す波形となる。この図18(c)の信号をスライスレベルS1 をしきい値として2値化すると、図18(e)にS1 で示す2値化信号が得られる。
【0103】
また、(D1−D1’)−(D2−D2’)+(D3−D3’)−(D4−D4’)の演算を行うと、演算器の出力信号波形は図18(d)に示す波形となり、磁化状態Cはプラスからマイナスへのゼロクロス点として、磁化状態Dはマイナスからプラスへのゼロクロス点として検出できる。この図18(d)の信号をスライスレベルS3 ,S4 をしきい値として2値化すると、図18(e)にS3 ,S4 で示す2値化信号が得られる。なお、本実施例では、この後の処理を容易にするため、信号S1 を信号S3 ,S4 に対して記録クロックの半周期だけ検出時間を遅延させて検出している。
【0104】
次に、信号S3 と信号S4 の1つ先のデータとの論理積をとることによって信号S’を得ると共に、信号S3 と信号S4 の1つ前のデータとの論理積をとることによって信号S”を得る。さらに、信号S’と信号S1 の論理和をとることによって信号(S’+S1 )を得ると共に、信号S”と信号S1 の論理和をとることによって信号(S”+S1 )を得ることによって、図18(a)に示した記録信号を再生できる。
【0105】
かように本例の記録再生方法によると、互いに相隣接して記録された2つの信号列に記録された信号を夫々独立に再生することができるので、図18(a)に示した信号列から4値の信号を検出することができる。また、この信号再生方法を図14〜図16の信号列に適用した場合には、8値の信号再生が可能になる。
【0106】
〈多値記録再生方法の第6例〉
本例の多値記録再生方法は、図2及び図3に示したスライスレベル設定用テスト信号(レベル検出用ピット)17の記録方法に関する。
【0107】
レベル検出用ピット17は、データ領域15に所望の信号を記録するに際して、当該データ領域15を含むデータ記録単位12の先頭に設けられたサーボ領域14に、光磁気的手段によって記録される。すなわち、記録用レーザビームがレベル検出用ピット17の形成領域に至ったとき、レーザパワー及び/又は外部磁界強度を順次切り替えて、多値記録信号に含まれる各レベルの信号を、少なくとも1つずつ記録する。例えば、図8に示す方法で、図1に示す光磁気記録媒体に4値の信号を記録する場合、第1回目のトレース及び第2回目のトレースで共に“1”の信号を書き込んで、記録信号の“0”に対応する磁化状態を形成し、第1回目のトレースで“1”の信号を書き込み、第2回目のトレースで“0”の信号を書き込んで、記録信号の“1”に対応する磁化状態を形成し、第1回目のトレースで“0”の信号を書き込み、第2回目のトレースで“1”の信号を書き込んで、記録信号の“2”に対応する磁化状態を形成し、第1回目及び第2回目のトレースで共に“0”の信号を書き込んで、記録信号の“3”に対応する磁化状態を形成する。
【0108】
レベル検出用ピット17の形成領域からの再生信号波形は、図19のようになる。その信号長は、必要に応じて任意に設定できるが、多値の信号レベルを正確に判定するため、再生用レーザビームのスポット径よりも長くすることが特に好ましい。また、磁気超解像型の光磁気記録媒体を考慮するならば、テスト信号の各レベルの信号に、前後の信号レベルと光学的な干渉によるレベルシフトを生じさせない領域をもたせることがより好ましい。
【0109】
多値記録信号の再生に当っては、図20に示すように、テスト信号の再生時に、多値信号レベルの1〜nのレベルを各々サンプルホールドし、信号レベルkとk+1のサンプルホールドレベルVk とVk+1 から信号レベルkとk+1を弁別するためのスライスレベル(Vk +Vk+1 )/2を生成する。
【0110】
なお、前記レベル検出用ピット17は、前記データ記録単位の先頭部分に記録することもできるし、データ記録単位中に一定間隔ごとに設けることもできる。また、前記データ記録単位は、セクタ構造を有する媒体の場合にはセクタ全体でも良いし、クロックの同期をとるための信号に挾まれた領域でも良い。さらには、データの変復調のブロックであっても良いし、任意のバイト数ごとに挿入しても良い。
【0111】
〈多値記録再生方法の第7例〉
本例の多値記録再生方法は、図2及び図3に示したタイミング信号生成用テスト信号(タイミング検出用ピット)18の記録方法に関する。
【0112】
タイミング検出用ピット18も、前記レベル検出用ピット17とほぼ同様の方法で記録できる。すなわち、記録用レーザビームがタイミング検出用ピット18の形成領域に至ったとき、レーザパワー及び/又は外部磁界強度を順次切り替えて、多値記録信号に含まれる各レベルの信号を記録する。但し、タイミング検出用ピット18の形成においては、図21に示すように、多値の信号レベル間の全てのエッジを少なくとも1ヵ所ずつ持つように各レベルの信号が記録される。
【0113】
その信号長は、必要に応じて任意に設定できるが、各多値レベルの長さの光学的な位相シフトを防止するため、再生用レーザビームのスポット径の1/2よりも長くすることが特に好ましい。また、磁気超解像型の光磁気記録媒体を考慮するならば、テスト信号の各エッジの信号に、前後のエッジの信号と光学的な干渉によるレベルシフトを生じさせない長さ以上のエッジ間隔を設定することがより好ましい。
【0114】
多値記録信号の再生に当っては、テスト信号の再生時に、各エッジを独立に検出し、エッジ検出信号の基準タイミングを生成する。データ信号再生時には、各エッジを独立に検出し、図22に示すように、テスト信号のエッジ検出タイミングを基準にして、各エッジ検出信号を合成する。
【0115】
なお、本例の場合にも、前記テスト信号は、前記データ記録単位の先頭部分に記録することもできるし、データ記録単位中に一定間隔ごとに設けることもできる。また、前記データ記録単位は、セクタ構造を有する媒体の場合にはセクタ全体でも良いし、クロックの同期をとるための信号に挾まれた領域でも良い。さらには、データの変復調のブロックであっても良いし、任意のバイト数ごとに挿入しても良い。
【0116】
勿論、前記多値記録再生方法の第5例及び第6例を組み合わせて、サーボ領域14に、前記レベル検出用ピット17及びタイミング検出用ピット18の双方を記録することもできる。その場合にも、前記テスト信号は、前記データ記録単位の先頭部分に記録することもできるし、データ記録単位中に一定間隔ごとに設けることもできる。また、前記データ記録単位は、セクタ構造を有する媒体の場合にはセクタ全体でも良いし、クロックの同期をとるための信号に挾まれた領域でも良い。さらには、データの変復調のブロックであっても良いし、任意のバイト数ごとに挿入しても良い。
【0117】
〈多値記録再生方法の第8例〉
光磁気記録媒体にマークエッジ記録を行う一手段として、図23に示すように、一定の周期で記録磁区を形成し、情報信号に応じて記録磁区のエッジ位置を記録磁区周期よりも十分に小さな範囲で2段階以上に段階的に変調させた。この方式を本発明の多値記録用光磁気記録媒体と組み合わせることにより、時間方向(トラック方向)と振幅方向の2次元多値記録が実現できる。なお、記録磁区の形成周期は、任意のエッジの信号とその前後のエッジの信号との光学的な干渉によるエッジシフトを生じない長さ以上の磁区長及び磁区間隔とすることがより好ましい。
【0118】
記録方法としては、記録用レーザビームと外部磁界とを同時に変調して記録する方式において、記録用レーザビームの照射強度、照射時間、照射タイミング、それに印加する外部磁界の強度あるいは切り替えのタイミングなどを記録情報に応じて変調する方法がとられる。
【0119】
図24は、記録用レーザビームの照射パルス幅を、記録情報信号に応じて段階的に変調した例を示している。光磁界同時変調記録においては、光磁気記録媒体が記録可能な温度に昇温された範囲が媒体冷却時に外部磁界に応じた磁区となるので、エッジの位置は記録用レーザビームの照射開始タイミングに大きく依存する。したがって、図25のように、パルス幅一定で照射タイミングを記録情報信号に応じて段階的に変調することも可能である。さらには、熱的な履歴が残ることによるエッジシフトを防止するために、図26に示すように、光照射パルスの前エッジを当該記録情報信号によって、また後エッジを次の記録情報信号に応じて段階的に変調しても良い。
【0120】
図27は、記録用レーザビームの照射強度を、記録情報信号に応じて段階的に変調した例を示している。記録用レーザビームの照射強度を変調すると、記録磁区の大きさ、すなわち記録磁区の磁化状態及び長さが光強度に応じて変調されるので、光照射タイミングを変調する場合と同様に、エッジ位置を制御できる。また、光強度単独に限られず、光照射タイミング制御や光照射パルス幅制御と併用することも可能である。
【0121】
図28は、外部磁界の強度を変調することにより、エッジ位置を制御した例を示している。光磁気記録媒体に印加される外部磁界強度を変化させると、記録磁区の大きさが変化するので、記録用レーザビームの照射強度等を変調する場合と同様に、エッジ位置を制御できる。もちろん、これと光強度制御や光照射タイミング制御、それに光照射パルス幅制御と併用することも可能である。
【0122】
図29は、外部磁界の印加タイミングを変調することにより、エッジ位置を制御した例を示している。この場合、記録磁区のエッジ位置は、印加磁界の切り替え位置と対応するので、記録用レーザビームは、パルスのみならずDC光でも良い。
【0123】
〈多値記録再生方法の第9例〉
光磁界同時変調記録においては、光強度と光パルス幅により基本的な磁区形状が決まる。図30に示すように、記録用レーザビームの強度と記録パルス幅を同時に制御することにより、記録磁区長を一定に保ちつつ、記録磁区幅を変化させることができる。すなわち、これによって各記録レベルを微小に変化させることができるので、情報信号に対応してレベルの微小変調を行うことにより、記録の多値化が実現できる。前出の2次元多値記録と復号すれば、記録磁区のエッジ位置、磁化状態に対応したレベル位置、及び磁区の幅に対応したレベル位置の3パラメータによる3次元多値記録が実現できる。
【0124】
以下に、本発明の他の多値記録再生方法を列挙する。
【0125】
▲1▼透明基板上に積層される各膜の屈折率や膜厚、それに磁性層のカー回転角などを調整することによって、各記録状態に対応する相対信号出力の間隔を等しくする。例えば3値記録媒体の場合、図31に示すように、状態“0”、“1”、“2”に対応する記録信号の各レベル間隔を等しくする。このようにすると、記録信号の各レベル間隔の遷移に対する再生信号のS/Nが均等になり、総合的に信号効率が高められる。本法は、最小記録磁区の大きさが、再生用光のスポット径に対して比較的大きい場合、例えばスポット径の1/2以上である場合に特に有効である。
【0126】
▲2▼最小記録磁区の大きさが、再生用光のスポット径よりも小さい場合、特にスポット径の1/2以下の大きさで記録を行う場合、微小磁区の波形間干渉で発生する信号レベルと各記録状態の大きな磁区から発生する信号レベルとが異なるようにする。
【0127】
最小記録磁区の大きさが、再生用光のスポット径に対して比較的小さい場合、例えばスポット径の1/2以下である場合には、これが連続すると、再生信号の波形間干渉により信号出力は両状態の中間値をとる。例えば、本発明の多値記録媒体に状態“0”と状態“2”の同じ大きさの微小記録磁区を繰り返し記録した場合、図32に示すように、状態“1”に対する再生用光のスポット径に対して比較的大きい磁区の再生信号と同じレベルとなり、両者の区別ができなくなる。
【0128】
そこで、微小磁区の波形間干渉で発生する信号レベルと各記録状態の大きな磁区から発生する信号レベルとが異なるようにすると、状態“0”、状態“1”、状態“2”、それに状態“0”と状態“1”との間の波形間干渉レベル、状態 “0”と状態“2”との間の波形間干渉レベル、状態“1”と状態“2”との間の波形間干渉レベルにそれぞれ信号を割り当てることによって、より高次の多値記録が可能になる。
【0129】
各信号レベルは、相互に一致しないようにし、好ましくは等間隔にする。その方法としては、媒体で行う方法と記録方式で行う方法がある。媒体で行う方法としては、図33に示すように、微小磁区の波形間干渉で発生する信号レベルとは異なる信号レベルに各記録状態の大きな磁区から発生する信号レベルが位置するように、各膜の多重干渉条件を設定する方法がある。また、記録方式で行う方法としては、図34に示すように、各記録状態の大きな磁区から発生する信号レベルとは異なる位置に、微小磁区の波形間干渉で発生する信号レベルが位置するように、記録磁区の面積比率を制御する方法がある。具体的には、媒体が記録再生装置に挿入された際に、装置が微小記録磁区の面積比率を変化させて記録を試行し、各記録状態の大きな磁区から発生する信号レベルと相互に一致せず、好ましくは等間隔にする面積比を選定するという方法をとることができる。また、これら媒体で行う方法と記録方式で行う方法とを併用することもできる。この併用方式によると、より各信号レベルの調整が容易となり、信号レベル間隔を等間隔にすることができる。また、記録磁区の面積比率を制御することにより、信号レベルを任意の位置に調整することもできる。さらには、干渉による発生するレベルをテスト信号として記録することも可能である。
【0130】
▲3▼透明基板の表面に例えば凹凸の形で形成されるプリピット(位相ピット)を、当該媒体に対応した多値記録にする。プリピットの多値化は、プリピットの長さ、幅、深さ、あるいはトラック幅方向の偏り量、又はこれらの組合せを多段階に変更することによって実現できる。
【0131】
なお、図23〜図34における各記録磁区の磁化状態の描写は模式的に簡略化されたものであって、図35(a)〜(c)の各記録状態が、図35(d)に示されるマークで代表的に描写されている。したがって、前記第7例以下の各記録再生方法は、図35(a)〜(c)に示される各種のパターンで書き込み信号列が記録された光磁気記録媒体に適用することができる。また、図35においては、1つの幅が広い記録磁区上に1つの幅が狭い他の記録磁区を重ね書きするか、あるいは幅が狭い2つの記録磁区を隣接して形成した場合のみについて表示されているが、例えば1つの幅が広い記録磁区上に2以上の幅が狭い他の記録磁区が重ね書きされた光磁気記録媒体を用いて前記第7例以下の各記録再生方法を実行することもできる。
【0142】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、従来より2値信号を記録するものとして一般的に使用されている記録媒体を用いて信号の多値記録を実現できるので、大容量の情報記録を安価に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る光磁気記録媒体の要部断面図である。
【図2】第1実施例に係る光磁気記録媒体のトラックフォーマット説明図である。
【図3】第1実施例に係る光磁気記録媒体のサーボ領域及び記録領域の説明図である。
【図4】第1実施例に係る光磁気記録媒体の磁気特性を示すグラフ図である。
【図5】第2実施例に係る光磁気記録媒体の膜構造を示す説明図である。
【図6】第2実施例に係る光磁気記録媒体を用いた磁気超解像再生方式の第1例を示す説明図である。
【図7】第2実施例に係る光磁気記録媒体を用いた磁気超解像再生方式の第2例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る多値記録再生方法の第1例を示す説明図である。
【図9】本発明に係る多値記録再生方法の第2例を示す説明図である。
【図10】記録用レーザビームの発光タイミングと再生信号波形との関係を示すグラフ図である。
【図11】本発明に係る多値記録再生方法の第3例を示す説明図である。
【図12】第3例に係る多値記録再生方法の変形例を示す説明図である。
【図13】第3例に係る多値記録再生方法のさらに他の変形例を示す説明図である。
【図14】本発明に係る多値記録再生方法の第4例を示す説明図である。
【図15】第4例に係る多値記録再生方法の変形例を示す説明図である。
【図16】第4例に係る多値記録再生方法のさらに他の変形例を示す説明図である。
【図17】第5例に係る多値記録再生方法に適用される記録再生装置の構成図である。
【図18】本発明に係る多値記録再生方法の第5例を示す説明図である。
【図19】レベル検出用ピットから読み出される再生信号波形を示すグラフ図である。
【図20】多値記録再生方法の第6例を実行するエッジ検出回路のブロック図である。
【図21】タイミング検出信号の生成方法を示すグラフ図である。
【図22】多値記録再生方法の第7例を実行するタイミング検出回路のブロック図である。
【図23】多値記録再生方式の第8例を示す説明図である。
【図24】第8例に係る多値記録再生方式の変形例を示す説明図である。
【図25】第8例に係る多値記録再生方式のさらに他の変形例を示す説明図である。
【図26】第8例に係る多値記録再生方式のさらに他の変形例を示す説明図である。
【図27】第8例に係る多値記録再生方式のさらに他の変形例を示す説明図である。
【図28】第8例に係る多値記録再生方式のさらに他の変形例を示す説明図である。
【図29】第8例に係る多値記録再生方式のさらに他の変形例を示す説明図である。
【図30】多値記録再生方式の第9例を示す説明図である。
【図31】本発明に係る多値記録再生方式の他の例を示す説明図である。
【図32】本発明に係る多値記録再生方式のさらに他の例を示す説明図である。
【図33】本発明に係る多値記録再生方式のさらに他の例を示す説明図である。
【図34】本発明に係る多値記録再生方式のさらに他の例を示す説明図である。
【図35】図23〜図34における磁区の表記方法を説明する図である。
【図36】 従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 プリフォーマットパターン
3 第1誘電体層
4 磁性層
5 第2誘電体層
6 反射層
7 保護層
11 記録トラック
12 データ記録単位
13 ID領域
14 サーボ領域
15 データ領域
16 トラッキングピット
17 レベル検出用ピット
18 タイミング検出用ピット
201 第1の書き込み信号列
202 第2の書き込み信号列
203 第3の書き込み信号列
210 再生用レーザビームスポット
301,302,302 記録磁区
304 開口部(低温領域)

Claims (9)

  1. 磁性層を備え、当該磁性層に設定された記録トラックに沿って情報信号が磁化パターンの形で多値記録される光磁気記録媒体であって、前記磁化パターンが1つの前記記録トラック上に磁化ドメインの幅が異なる複数の記録マーク列を重ね書きすることによって構成されており、これら記録トラック上に重ね書きされた複数の記録マーク列を同時に再生することによって多値の情報信号を得ることを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 請求項1に記載の光磁気記録媒体において、前記記録トラックを複数のデータ記録単位に分割したことを特徴とする光磁気記録媒体。
  3. 請求項1に記載の光磁気記録媒体において、前記記録トラックを複数のデータ記録単位に分割し、1つの前記データ記録単位上に磁区の幅が異なる複数の記録マーク列を重ね書きして前記磁化パターンを構成し、これらデータ記録単位上に重ね書きされた複数の記録マーク列を同時に再生することによって多値の情報信号を得ることを特徴とする光磁気記録媒体。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の光磁気記録媒体において、前記データ記録単位が、クロックの同期をとるための信号が一定間隔で記録された構造を有する媒体における、セクタであることを特徴とする光磁気記録媒体。
  5. 請求項2又は請求項3に記載の光磁気記録媒体において、前記データ記録単位が、クロックの同期をとるための信号が一定間隔で記録された構造を有する媒体における、当該クロックの同期をとるための1の信号から次の同種の信号に至るまでの領域であることを特徴とする光磁気記録媒体。
  6. 請求項2又は請求項3に記載の光磁気記録媒体において、前記データ記録単位が、任意のバイト数ごとに分割された領域であることを特徴とする光磁気記録媒体。
  7. 請求項1又は請求項3に記載の光磁気記録媒体において、前記情報信号が、記録磁区のエッジ位置、磁化のパターンを含む磁化状態に対応するレベル位置、それに軸の幅に対応するレベル位置の3パラメータによって3次元多値記録されていることを特徴とする光磁気記録媒体。
  8. 請求項乃至請求項のいずれか1項に記載の光磁気記録媒体において、前記記録トラックが、前記磁性層又は当該磁性層を担持する基板に形成された案内溝によって構成されていることを特徴とする光磁気記録媒体。
  9. 請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の光磁気記録媒体において、前記記録トラックが、前記磁性層又は当該磁性層を担持する基板に形成されたトラッキングピットによって構成されていることを特徴とする光磁気記録媒体。
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