JP3722357B2 - 電気泳動型表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気泳動型表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報機器の発達に伴い、紙メディアの便利さと携帯パソコンの電子メディア機能を兼ね備えた書換え可能な電子の紙、いわゆる「ペーパーライクディスプレイ」のニーズが増している。ペーパーライクディスプレイに用いられる表示装置は、低消費電力で且つ薄型、紙のようなフレキシビリティがあり曲げにも対応できるものであり、このような1枚もしくは複数枚の表示装置が一つのペーパーライクディスプレイで用いられる。
【0003】
そこでこれらニーズに合わせた表示装置の研究、開発が盛んに行われている。その中で液晶表示装置は、液晶分子の配列を電気的に制御し液晶の光学的特性を変化させることができ、上記のニーズに対応できる表示装置として活発な開発が行われている。しかしながら、これらの液晶表示装置では、画面を見る角度や反射光による画面上の文字の見づらさや、光源のちらつき・低輝度等から生じる視覚への負担が未だ十分に解決されていない。また、液晶分子の配向を制御することと、液晶セルギャップを精密制御することが必要なことから、フレキシビリティと両立することは困難である。
【0004】
フレキシブルな反射型表示装置を実現できる可能性のある技術の一つとして、絶縁性液体中で着色帯電粒子を移動させることによって表示を行う電気泳動型表示装置が知られている(例えば、米国特許第3668106号明細書)。図4に最も代表的な電気泳動型表示装置の断面図を示す。
【0005】
同図の装置は、着色帯電粒子(泳動粒子)46と絶縁性液体(着色分散媒)47からなる泳動分散液と、この泳動分散液を挟んで対向する一組の電極42、43を備えている。41は電極42と共に支持体を構成する基板、48は天板である。電極42、43を介して泳動分散液に電圧を印加することにより、泳動粒子46を反対極性にバイアスされた電極上に泳動、定着させることによって表示を行う。表示はこの泳動粒子46の色と染色された着色分散媒47の色によってなされる。つまり、泳動粒子46が観測者に近い第1の電極42に付着した場合(a)は、泳動粒子46の色が表示され、逆に観測者から遠い第2の電極43に付着した場合(b)は、着色分散媒47の色が表示される。
【0006】
この装置は原理的に薄型化が可能で、基板および構成部材に可撓性のある材料を使用することにより、若干フレキシビリティを有する表示装置とすることができる。
【0007】
また表示画像保持性能(以下「表示のメモリ性」と称す)は、電圧印加の直後に回路をオープン状態にして電極に電荷を保持し、この電極保持電荷のクーロン力で着色帯電微粒子を吸着保持することによって与えられる。
【0008】
絶縁層の材質を選ぶなどして時間経過に伴う電極保持電荷の減少を抑制すると、比較的長時間泳動粒子が電極上に保持されるため、なんら外部から電力を供給することなく表示のメモリ性を長時間継続することができる。
【0009】
電気泳動型表示装置は本来、液晶表示装置など他の方式に比べて低電流で動作するが、このメモリ性のおかげで、表示の書換えが頻繁にいらない場合には、さらに平均消費電力を低減することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電気泳動型表示装置には以下に述べるような問題がある。
すなわち、電気泳動型表示装置は上下2枚の基板で構成されるため、この2枚を両方とも可撓性を有する材質に変更しても、表示装置を曲げる変形を与えると、曲げ変形の内周と外周での差を吸収できないためごわごわとした感じになり、ペーパーライクなフレキシビリティが実現できない問題点がある。
【0013】
また、表示装置にフレキシビリティを与えると、装置の変形に伴い、内部の絶縁性液体が流動して、電極保持電荷との静電的相互作用により吸着している泳動粒子を押し流すため、表示が崩れ、表示のメモリ性が失われる問題点がある。本発明は、上記問題点を解決するためになされたものである。
【0014】
発明の第の目的は、曲げに対応するフレキシビリティを有する電気泳動型表示装置を提供することである。
本発明の第の目的は、変形させても表示のメモリ性が失われない電気泳動型表示装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上述の課題を解決するために検討を重ねた結果、以下に示す様な発明を為すに至った。すなわち、
本発明の電気泳動型表示装置は、絶縁性液体に分散した泳動粒子を電界の向きに応じて移動させ表示を行う電気泳動型表示装置であって、可撓性を有する支持体と、該支持体と複数の隔壁を挟んで対向する、面方向応力に対し伸び縮み可能な天板と、前記支持体、前記複数の隔壁および前記天板により形成される区画内に、絶縁性液体に泳動粒子が分散した泳動分散液を具備し、前記天板のヤング率が前記支持体のヤング率の0.001乃至10%の範囲にあって、前記支持体を曲げたときの該支持体と前記天板の内外周差が該天板の伸縮により補われることを特徴とする。
【0018】
このように、表示装置の天板が支持体と共に撓む、すなわち面方向応力に対し伸縮可能な材料を使用することにより、曲げに対応するしなやかな電気泳動型表示装置を得られることがわかった。
また、表示装置を変形した際の応力が天板の変形により吸収されるため、表示装置内の泳動分散液の流動を抑制することができ、表示のメモリ性が失われない電気泳動型表示装置を得られることがわかった。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
構 成
図1は本発明の電気泳動型表示装置の一例を示す断面図である。本図を用いて本発明の表示装置の基本的な構成を説明する。
図1において可撓性基板11上には、膜状の第1電極12が設けられ、その上方には複数のライン状の第2電極13が互いに平行に一定間隔で設けられている。図1において第1電極12は左右方向に延びている。第1電極12と第2電極13の層間および第2電極の周囲には絶縁層14が設けられ、電極間の絶縁を保つとともに、電極が泳動分散液に直接触れないようになっている。第2電極13はそれぞれ図1の紙面表裏方向に延びている。第2電極13の幅(図中左右方向の幅)は第1電極の幅(不図示)よりも幅狭である。ここでは、可撓性基板11、第1電極12、第2電極13、絶縁層14を含めて可撓性支持体20と総称することにする。
【0020】
可撓性支持体20の絶縁層14上には、複数の可撓性隔壁15が互いに平行に、さらに第2電極13とも平行かつ同間隔で設けられている。互いに直交する広幅の第1電極12と狭幅の1つの第2電極13との組み合わせにより画素が形成される。また、隔壁は、電極12と13の各体を含む画素を囲む矩形(あるいは正方形)の枠状である。可撓性隔壁15上部は全体が、可撓性基板11と平行な天板18で被われている。この天板18は、基板11と共に変形できる。変形とは、撓むこと、あるいは伸縮することなどを含めた意味である。
【0021】
可撓性支持体20、可撓性隔壁15および可撓・伸縮性天板(以下単に「伸縮性天板」という)18で囲まれた空間は、表示区画であり、泳動粒子16および絶縁性分散媒17からなる泳動分散液が入っている。
【0022】
伸縮性天板18上には図2に示す様に、保護フィルム19が被覆されることもある。これは、天板として例えば高分子材料などの膜を用いるが、低分子物質がその膜を透過することが考えられる。泳動分散液の成分の蒸発を防止したり、伸縮性天板18のガスバリア性能を向上させたり、機械的強度を向上させる目的でこの保護フィルム19を用いてもよい。
【0023】
材 料
次に、本発明の電気泳動型表示装置に使用する材料を説明する。
1.可撓性基板
可撓性基板11には、透明で可撓性を有する多くの樹脂材料が使用できる。例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、アクリルが挙げられる。厚みは50〜200μm程度である。
【0024】
2.絶縁層
絶縁層14の材料としては、可撓性基板と同様の樹脂材料が使用できる。またポリイミドなども使用できる。厚みは0.5〜2.0μm程度である。
【0025】
3.可撓性隔壁
可撓性隔壁15の材料としては、可撓性基板と同様の樹脂材料が挙げられる。隔壁の高さは10〜50μm程度、幅は5〜15μm程度、アスペクト比(高さ/幅)は2〜3程度である。可撓性隔壁は、可撓性支持体と一体で成型するか、あるいは可撓性支持体上に後から感光性材料を利用して設けてもよい。可撓性隔壁は、天板18と接着されない方が好ましい。その場合、表示装置の撓みの際、隔壁と天板がずれる。ずらす為には両者が親和しにくい材料を選ぶことが好ましい。
【0026】
4.伸縮性天板
伸縮性天板18には、可撓性基板のたわみに応じて伸縮できる、すなわち天板が基板と共に撓む材料の使用が好ましい。ヤング率でいえば基板の100%以下、好ましくは0.001〜10%の範囲である。厚みとしては10〜500μm程度である。そのような材料としては、イソプレン、ブタジエンおよびシリコーンなどのゴム系樹脂や、スチレンやアクリロニトリルとイソプレンやブタジエンとの共重合体等が挙げられる。他にも、ポリ塩化ビニリデンやコポリマーナイロンやエチレン−プロピレンコポリマーでもよい。特にブロック共重合体の場合、機械的強度と伸縮性の両面に優れた、撓んでも亀裂などが生じにくい材料が得られる。
これらの伸縮材料は、適切な溶剤に溶解して、スプレー等で隔壁および泳動分散液上に塗布し、表面から乾燥することで、天板とすることができる。
また、前述のゴム系樹脂や共重合体に重合性モノマーおよび熱や光で反応する適当な重合開始剤を配合した液体を、スプレー等で塗布し、加熱もしくは光照射を行って重合硬化させ、天板とすることもできる。
【0027】
5.保護フィルム
保護フィルム19は、伸縮性天板のガスバリア性能や機械的強度が十分であれば必ずしも必要ではないが、保護フィルムを使用することで伸縮性天板材料の選択範囲が広がる。保護フィルムには、伸縮性も必要だが、数μmの薄膜でよいため、可撓性基板と同様の樹脂材料も使用できる。具体的には、1〜10μm程度、好ましくは1〜3μm程度である。
【0028】
6.泳動分散液
6−1.分散媒
絶縁性分散媒17としては、パラフィン系炭化水素(ノルマルパラフィン、イソパラフィン)、ハロゲン化炭化水素、シリコーンオイルなどが使用できる。中でもイソパラフィンは、誘電体粒子の分散性が良好、価格が低廉、人体に対する有害性が低い、などの特徴があり、適当である。上市されているイソパラフィンとして代表的なものは、シェルゾール70、71、72(以上、シェルジャパン株式会社製)、アイソパーG、H、L、M(以上、エクソン化学株式会社製)、IPソルベント1620、2028、2835(以上、出光石油化学株式会社製)などが挙げられる。
【0029】
6−2.泳動粒子
泳動粒子16としては、各種無機および有機誘電体が広く利用できる。
無機物質としては、ガラス、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、窒化シリコンなどが挙げられる。
有機物質としては、各種顔料や樹脂を用いることができる。樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、イノプレンおよびブタジエンなどのゴム系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ロジン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、塩素化パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン樹脂、テフロンおよびこれらの誘導体、並びにこれらの共重合体およびこれらの混合体が挙げられる。
【0030】
6−3.泳動粒子着色剤
樹脂製泳動粒子を使用する場合、着色が必要ならば、カーボンブラックや各種顔料、各種染料などによって着色する。
着色剤を混合した泳動粒子用材料は、直径0.1μm〜数十μm程度の粒子に加工して利用する。粒子の形状は球形が望ましい。
【0031】
6−4.帯電制御剤
泳動粒子16の表面に特有の電荷を与え、絶縁性分散媒中での泳動特性と分散安定性を向上させるために、帯電制御剤(電荷制御剤)を適量混合するのが望ましい。
帯電制御剤としては、正帯電制御剤としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(アメリカンシアナミド)、金属石鹸などが挙げられる。負帯電制御剤としては、大豆レシチン、アルケニルコハク酸ポリイミド(例えば、オロナイトジャパン製、OLOA−1200およびOLOA−4375H)、石油スルホネート類の塩基性カルシウムペトロネートおよび塩基性バリウムペトロネート(ウイトコケミカル製)などが挙げられる。
上記電荷制御剤は絶縁性液体の中に溶解して使用する。ここに泳動粒子を分散し、撹拌すると、電荷制御剤は泳動粒子表面に吸着し、液中で特有の帯電を発生するようになる。電荷制御剤は、泳動分散液組成物の約0.01乃至約10重量パーセント添加するが、その最適量は電荷制御剤の種類によって異なる。
【0032】
視認方向
本発明の電気泳動型表示装置の表示面は、可撓性基板11側にすることも、伸縮性天板18側にすることもできる。基板11側を表示面にする場合には、基板11を透明にし、天板18には反射性材料粉末を混合したり、天板18の裏に反射層を設けたりすればよい。天板18側を表示面にする場合には、天板18および保護フィルム19を透明にし、基板11には反射性材料粉末を混合したり、基板11の裏に反射層を設けたりすればよい。また反射層の代わりに発光層を設けてもよい。
反射性材料粉末としては酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウムなどの白色顔料粉末、あるいは金属粉末を使用すればよい。
【0033】
製造方法
図3(a)〜(g)は本発明の電気泳動型表示装置の製造方法の一例を示す断面図である。同図を使用して製造工程を説明する。
(a)可撓性基板11上に第1電極12を成膜する。
(b)第1電極上に絶縁層14を成膜し、その上に複数のライン状の第2電極13を互いに平行に一定間隔に設ける。
(c)第2電極を覆うように絶縁層14を成膜する。
(d)この絶縁層上に、複数の可撓性隔壁15を互いに平行に、そして第2電極とも平行かつ同ピッチとなるよう設ける。
(e)可撓性隔壁15と絶縁層14に囲まれた区画に、絶縁性分散媒、泳動粒子および帯電制御剤からなる泳動用分散液を注入する。注入量は、可撓性隔壁の高さをやや越える程度が好ましい。区画の開口が大きく注入しやすいため、いかなる区画へも均一な泳動粒子濃度の泳動分散液を注入することが可能である。
(f)上部より伸縮性天板の材料を含む溶液を、スプレー装置を使用して霧状に散布して塗布する。スプレー装置としては、例えば、ノードソン社製マイクロスプレーや、キヤノン社製バブルジェットプリンタヘッド等の液滴吐出量および吐出先の位置精度が極めてシビアに制御できる液滴吐出技術(いわゆるインクジェット技術)を利用できる。
塗布した天板材料を固化して伸縮性天板18を形成する。硬化工程は、使用する材料に応じて加熱や光照射によって行う。
(g)最後に、伸縮性天板上に保護フィルム19を塗布する。
【0034】
フレキシビリティとメモリ性
出来上がった電気泳動型表示装置はフィルム状の外観を有している。この表示装置を曲げてみると、しなやかさを有している。これは片面(基板)が可撓性材料であり、もう一方の面(天板)が伸縮性材料であるため、曲げたときに基板と天板の内外周差を、天板が伸縮することにより補うまたは吸収するためであると考えられる。
また表示のメモリ性についても、電気泳動型表示装置を曲げたときの応力は、天板の伸縮性材料が変形して吸収するため、絶縁性分散媒の流動が抑制でき、よって内部の泳動粒子が押し流されることが少ないため、表示が保持される。
【0035】
【実施例】
以下本発明の実施例を説明する。
第1実施例
1.泳動粒子の作製
スチレン50部にアゾビスイソブチロニトリル1部を混合して溶解し、さらにカーボンブラック20部を混合して、モノマー溶液とした。一方、脱イオン水450部にアエロジール#200(日本アエロジール製)1.5部を溶解し、この中に先のモノマー溶液を投入し、ホモジナイザーを使って5000rpmで撹拌しエマルジョンを形成した。その後全体を80℃に昇温し、約1時間撹拌し、重合を行った。次に系全体を別容器に移し変え、200rpmのプロペラ撹拌を行いながら80℃にて6時間重合反応を継続した。その後、冷却し、ろ過、水洗を繰り返し、最後に乾燥して平均粒径1.5μmの黒色の泳動粒子を得た。
【0036】
2.泳動分散液の作製
アイソパーG(エクソン化学製)100部に、上記の泳動粒子5部、およびナフテン酸コバルト0.1部を分散し、約1時間攪拌して、泳動分散液とした。
大塚電子製ゼータ電位測定装置で、泳動粒子の表面ゼータ電位を測定したところ、平均+100mVであった。
【0037】
3.電気泳動型表示装置の作製
ITO電極(第1電極)を成膜した厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(テイジン社製、エレクリアHA―B200)基板上に、アクリル樹脂を塗布して厚さ2μmの絶縁層(JSR社製、オプトマー)を形成した。次にその上に幅10μm、ピッチ100μmのライン状アルミニウム製電極(第2電極)を設けた。アルミニウム電極上にはもう一度アクリル樹脂(オプトマー)を塗布して、厚さ2μmの絶縁層を形成した。
【0038】
この絶縁層上にアクリル系樹脂からなる紫外線硬化性樹脂(JSR社製、THB)を厚さ30μmに塗布し、フォトマスクを使用して隔壁のパターンに露光し、現像して不要部分を溶解し、乾燥して、隔壁を作製した。そして、これら隔壁と絶縁層で囲まれたスペースに、上記2.の泳動分散液を注入した。
【0039】
次に、泳動分散液上部より、環化イソプレンゴムを主成分とするOBR(東京応化製)70部と酸化アルミニウム微粒子30部の混合液を、ノードソン製マイクロスプレー装置にて均一塗布し、乾燥させて、厚さ約100μmの反射層を兼ねた天板被膜を形成した。なお、OBRは液体であり、70部の中に溶剤成分が含まれたものである。
出来上がった電気泳動型表示装置内の泳動分散液は、面内で均一な泳動粒子濃度であった。
【0040】
続いて電気泳動表示動作の確認を行った。
第1電極を接地し、第2電極の電位を+100Vに設定したところ、泳動粒子は第2電極上を離れて広がり、ポリカーボネートフィルム基板側から観察したところ、黒表示を示した。
次に第2電極の電位を−100Vに設定したところ、泳動粒子は幅の狭い第2電極上に集まり、ポリカーボネートフィルム基板側から観察したところ、天板のOBRに混合した酸化アルミニウムの反射光を観察することになり、白表示を示した。
【0041】
また、第2電極の電位を1ヘルツにて、+100V、−100Vと交互に変調したところ、電位の変調に同期して、黒、白と交互に表示が変化した。
続いて、電圧無印加状態にし、電気泳動型表示装置を曲げてみたところ、フレキシビリティを有していた。また、曲げによる表示の乱れは生じず、表示は保持された。
【0042】
第2実施例
隔壁を形成する紫外線硬化性樹脂としてノボラック樹脂からなるPMER(東京応化製)を用いた以外は、第1実施例と同じ材料、操作により泳動分散液の注入までを行った。
次に、泳動分散液上部より、スチレンイソプレンブロックポリマー60部、マレイン酸エステル40部およびベンゾイルエーテル1部からなる混合液をマイクロスプレー(ノードソン製)にて均一塗布したのち、全体を均一に紫外線露光してその後ホットプレートで数分(オーブンであれば30〜1時間程)120℃で溶媒除去することで、厚さ100μmの透明な天板被膜を形成した。
出来上がった電気泳動型表示装置内の泳動分散液は、面内で均一な泳動粒子濃度であった。
この電気泳動型表示装置も、第1実施例と同様に動作することを確認した。
【0043】
第3実施例
アルミニウム電極上に設ける絶縁層として、アルミナ粒子とアクリル樹脂(オプトマー)を重量比100対30で混合したものを塗布し、厚さ2μmの絶縁層兼反射層を形成した以外は、第2実施例と同じ材料、操作により泳動分散液の注入までを行った。
【0044】
次に、泳動分散液上部より、末端水素化ポリブタジエン65部、フマル酸エステル35部およびベンジルケタール1部を含む混合液をマイクロスプレー装置(ノードソン製)にて均一塗布したのち、全体を均一に紫外線露光して、厚さ約100μmの透明な天板被膜を形成した。
出来上がった電気泳動型表示装置内の泳動分散液は、面内で均一な泳動粒子濃度であった。
【0045】
続いて電気泳動表示動作の確認を行った。
第1電極を接地し、第2電極の電位を+100Vに設定したところ、泳動粒子は第2電極上を離れて広がり、天板側から観察したところ、黒表示を示した。
次に第2電極の電位を−100Vに設定したところ、泳動粒子は幅の狭い第2電極上に集まり、天板側から観察したところ、絶縁層に混合したアルミナの反射光を観察することになり、白表示を示した。
【0046】
また、第2電極の電位を1ヘルツにて、+100V、−100Vと交互に変調したところ、電位の変調に同期して、黒、白と交互に表示が変化した。
続いて、電圧無印加状態にし、電気泳動型表示装置を曲げてみたところ、フレキシビリティを有していた。また、曲げによる表示の乱れは生じず、表示は保持された。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、発明の電気泳動型表示装置は、曲げ変形に対応するしなやかさを有し、また変形させても表示のメモリ性を失わないため、ペーパーライクディスプレイ用として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電気泳動型表示装置の一実施態様を示す概略断面図である。
【図2】 本発明の電気泳動型表示装置の別の実施態様を示す概略断面図である。
【図3】 本発明の電気泳動型表示装置の製造工程の説明図である。
【図4】 従来の電気泳動型表示装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
11:可撓性基板、12:第1電極、13:第2電極、14:絶縁層、15:可撓性隔壁、16:泳動粒子、17:絶縁性分散媒、18:伸縮性天板、19:保護フィルム、20:可撓性支持体、41:基板、42:第1電極、43:第2電極、45:隔壁、46:泳動粒子、47:着色分散媒、48:天板。

Claims (2)

  1. 絶縁性液体に分散した泳動粒子を電界の向きに応じて移動させ表示を行う電気泳動型表示装置であって、
    可撓性を有する支持体と、該支持体と複数の隔壁を挟んで対向する、面方向応力に対し伸び縮み可能な天板と、前記支持体、前記複数の隔壁および前記天板により形成される区画内に、絶縁性液体に泳動粒子が分散した泳動分散液を具備し、前記天板のヤング率が前記支持体のヤング率の0.001乃至10%の範囲にあって、前記支持体を曲げたときの該支持体と前記天板の内外周差が該天板の伸縮により補われることを特徴とする電気泳動型表示装置。
  2. 前記天板が、イソプレン、ブタジエンおよびシリコーンを含むゴム系樹脂、スチレンもしくはアクリロニトリルとイソプレンもしくはブタジエンとの共重合体、またはポリ塩化ビニリデンもしくはコポリマーナイロンもしくはエチレン−プロピレンコポリマーである請求項1に記載の電気泳動型表示装置。
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