JP3720943B2 - ペースト組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は新規なペースト組成物ならびにこれを主成分とする接着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体チップや基板、リードフレームなど電気、電子部品の固着処理用の耐熱性導電性接着剤としては、ポリイミド樹脂に銀、ニッケル、カーボンのような導電性粉末を分散したペースト状の接着剤が知られている。例えば、特開昭60-170626 号公報には特定のポリイミド前駆体溶液に導電性充填材を混練りして得られる導電性ペーストが開示されている。また、特開昭59-182849 号報には有機溶剤に可溶性のポリイミドに球状多孔性ポリイミド粒子を分散させたペーストが開示されている。
しかしながら、これらのポリイミドおよびポリイミド前駆体をバインダーとしてなるペーストは、塗膜の形成のために高温を要し、皮膜形成時の被着体に対するダメージが大きいばかりでなく、また形成されたポリイミド皮膜は本来、吸湿性が高く、接着強度の耐湿信頼性の点で充分ではない。これらの吸湿水分が電子部品作製の半田リフロー工程において発散することにより剥離等を生じるといった点で問題がある。
【0003】
また、耐熱性樹脂バインダーとしてポリカルボジイミドを用いることが知られており、例えば、特開平5-1271号報にはポリカルボジイミド樹脂と黒鉛粉末等の粉末フィラーを主成分とする耐熱性接着剤、特開平4-202589 号報にはポリカルボジイミド樹脂と黒鉛粉末等の粉末フィラー及びピッチを主成分とする耐熱性接着剤が開示されているが、ポリカルボジイミド樹脂は易炭素化樹脂(真空中で焼成すると炭素化する樹脂)として焼成炭化する目的に使用され、含フッ素ポリカルボジイミドについては何も記載されていない。
また従来汎用のポリカルボジイミドは耐熱性も高く、ポリイミドに比べて比較的加工性も良好であることが知られているが、ポリカルボジイミドは常温雰囲気下では低吸湿性であるが、プレッシャークッカー試験(PCT)のような高温高圧下の加湿条件下に放置すると、容易に加水分解を生じ、分子量の低下とともに、機械強度が著しく低下し、半導体素子周辺に用いる電子材料用途としては実用に耐えないものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を克服したもので、高温高圧下の加湿条件下でも耐湿性および耐熱性に優れ、さらに接着強度に優れたペースト組成物およびこのペーストから成形した接着シートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、繰り返し単位中に6個のフッ素原子を含む耐熱性に優れたポリカルボジイミド樹脂と粉末状充填材からなるペースト組成物、およびこのペーストから成形された接着シートに関するものである。このペースト組成物に使用されるポリカルボジイミド樹脂は、好ましくは下記一般式(1)〜(4)から選ばれる含フッ素ポリカルボジイミド樹脂である。
【0006】
【化2】
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリカルボジイミド樹脂は、相当するジイソシアネートから公知の方法で合成することができる。たとえばL.M.Alberinoら(J.appl.Polym.Sci., 21,PP1999 (1977) )、特開平2−292316号公報、特開平4−275359号公報に開示されているように、有機ジイソシアネートをカルボジイミド化触媒の存在下に有機溶媒中で反応させることにより得ることができる。用いることの出来るジイソシアネートとしては、1分子中に少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは6個のフッ素原子を有するジイソシアネートが使用される。
具体例としては、2,2−ビス(4−イソシアネートフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フェニルイソシアネート)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−イソシアネート−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4’−ジイソシアネートが、上記一般式(2)〜(5)の含フッ素ポリカルボジイミド樹脂を得る原料として重合反応性、耐熱性、耐湿性、成膜性、可撓性などの点で最も好ましい。その他に六フッ化プロパン−1,3−ジイソシアネート、ビス(4−フェニルイソシアネート)ジフルオロエチレン、八フッ化ブタン−1,4−ジイソシアネート、十六フッ化オクタン−1,8−ジイソシアネート、1−トリフッ化メチルベンゼン−3,4−ジイソシアネート、1−トリフッ化メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、2−トリフッ化メチルベンゼン−1,4−ジイソシアネート等が使用される。
【0008】
また、対応するジアミン化合物をハロゲン化ホルメートとカルボジイミド化触媒と塩基性化合物と有機ケイ素化合物の存在下にワンポットで製造することもできる。対応するジアミン化合物としては、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、六フッ化プロパン−1,3−ジアミン、ビス(4−アミノフェニル)ジフルオロエチレン、八フッ化ブタン−1,4−ジアミン、十六フッ化オクタン−1,8−ジアミン、1−トリフッ化メチルベンゼン−3,4−ジアミン、1−トリフッ化メチルベンゼン−2,4−ジアミン、2−トリフッ化メチルベンゼン−1,4−ジアミン等が挙げられる。
【0009】
反応溶媒はジアミン化合物を溶解または懸濁させるものならなんでもよく、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系化合物、酢酸エチルなどのエステル系化合物、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの炭化水素系化合物、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素化合物などが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。また、場合によっては反応途中でその一部ないし全部を置換することにより反応温度を変化させることもできる。
【0010】
ジアミン化合物からワンポットでポリカルボジイミドを製造する方法としては例えば、反応の第一段階として、対応するジアミンにメチルクロロホルメート、エチルクロロホルメート、フェニルクロロホルメート、p-ニトロフェニルクロロホルメート等のハロゲン化ホルメートを作用させることによりビスウレタンを合成する。特に、ポリカルボジイミドを得るための十分に活性化したビスウレタンを得るためには、フェニルクロロホルメートまたはp-ニトロフェニルクロロホルメートがより適している。反応温度は−40〜110℃、好ましくは−20〜90℃、最適には0〜80℃がよい。−40℃以下では反応が進行しにくく、110℃以上の高温では縮合などの副反応が起こる可能性がある。
【0011】
ビスウレタンを生成する際に生じる塩化水素をトラップする塩基性化合物としては、有機塩基、無機塩基を用いることができるが、溶媒に溶解しやすいという点で有機塩基がより適している。さらに有機塩基の中でも反応を阻害しないという点から、例えばトリエチルアミン、ピリジンなどの三級アミンが適している。一級アミンや二級アミンは活性水素を持ち、反応中間体として生成すると考えられるイソシアネートと反応する可能性があるため好ましくない。塩基性化合物の使用量は用いるジアミンのモル数の0.1〜10倍モル、好ましくは1〜8倍モル、最適には2〜6倍モルがよい。0.1倍モル以下では反応が進行しにくく、10倍モル以上では好ましくない副反応を起こすことがある。
次にビスウレタンからポリカルボジイミドを得る際の反応触媒としては、有機ケイ素化合物が用いられる。特にトリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリメトキシクロロシラン、テトラクロロシランなどのクロロシラン類が好適であるが、扱いやすさや経済性の面から、トリメチルクロロシランが最も好適である。
【0012】
有機ケイ素化合物の使用量は、生成するビスウレタンのモル量の0.1〜10倍モル、好ましくは0.5〜7倍モル、最適には1〜4倍モルがよい。使用量が少なすぎると未反応の原料が残存することがある。使用量が多すぎると反応終了後に除去するのが困難であったり、好ましくない副反応を起こすことがある。
重合触媒としては1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドあるいはこれらの2−又は3−ホスホレン異性体などのホスホレンオキシドを使用することができる。これらの使用量は一般にビスウレタンの0.05〜50 mol%、好ましくは0.1〜40 mol%、最適には0.5〜30 mol%である。前記使用量が少なすぎると反応途中で失活し、重合が停止する場合がある。多すぎると反応の制御が困難になる場合がある。
また、これら重合触媒は、反応の最初から存在しても良いし、ビスウレタンと有機ケイ素化合物、塩基性化合物の反応を先に進行させた後に加えても良い。ワンポットでの製法では、ハロゲン化ホルメート、カルボジイミド化触媒、塩基性化合物及び有機ケイ素化合物の存在下にジアミンをカルボジイミド化するもので、反応の順序等は適宜選択することが可能である。
【0013】
重合反応を進める際の反応温度は、一般に0〜200℃、好ましくは20〜150℃、さらに好ましくは40〜120℃であり、用いるジアミンと有機ケイ素化合物の組み合わせにより適宜変更することができる。反応温度が低すぎると反応が全く進行しない場合がある。逆に反応温度を上げすぎたり長く加熱し過ぎたりすると、好ましくない副反応が起こったり、生成物が分解する場合があるので、IRなどで反応をトレースしながら低温から徐々に温度を上昇させて進めるのがよい。
反応混合物中のジアミン濃度は1〜50%、好ましくは5〜40%、最適には10〜30%である。上記濃度が低すぎると反応に時間を要し、実用的でない。濃度が高すぎると好ましくない副反応を招く恐れがある。
【0014】
反応の末期、中期、初期のいずれか、もしくは全般にわたり、モノイソシアネート、ウレタン化合物、もしくはモノアミンを加えて末端封鎖処理をすることができる。この処理によりポリカルボジイミド溶液の保存安定性を向上させることができる。モノイソシアネートとしては、フェニルイソシアネート、p−ニトロフェニルイソシアネート、p−およびm−トリルイソシアネート、p−ホルミルフェニルイソシアネートなどを用いることができる。またウレタン化合物としては、フェニルウレタン、2−フェノキシフェニル−2−(4−フェノキシフェニルウレタン)ヘキサフルオロプロパン、p−およびm−トリルウレタン等を用いることができる。モノアミンとしては、1−ナフチルアミン、p−およびm−トリルアミン、フェノキシフェニルアミン等を用いることができる。このようにして得られたポリカルボジイミド溶液は、溶液の保存安定性が優れている点で好ましい。
【0015】
反応終了後は常法によりポリカルボジイミドを単離・精製できる。すなわち、反応により生じた塩酸塩及び過剰の反応試薬を除去し、溶液としてポリカルボジイミドを取り出す方法、あるいは反応混合物を低級炭化水素・アルコールなどの貧溶媒に投入し、ポリマーを沈澱として析出させる方法などがある。沈澱として析出させた後は、所定の操作により洗浄・乾燥し、ポリカルボジイミドを固体として取り出すことができる。
ポリカルボジイミドの分子量は、繰返し単位nが2〜400 、好ましくは10〜200 、数平均分子量にして2,000 〜100,000 、好ましくは4,000 〜20,000である。分子量が高すぎると、保存安定性に乏しくなるので、実用上好ましくない。分子量が低すぎると、皮膜にしたときの信頼性に欠けるので好ましくない。
また、本発明に使用するポリカルボジイミドの重合に際しては、他のジイソシアネートおよび他のジアミンを用いて共重合することもできる。共重合比としては含フッ素ポリカルボジイミドの性質を損なわない範囲とすべきで、50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。具体的には、フッ素原子を含まない芳香族系、脂肪族系、脂環族、脂肪族−芳香族系のジイソシアネートやジアミンを用いることができる。また、ジメチルシリコンジアミン、ジフェニルシリコンジアミン等のシリコンジアミンやフェニルリンジアミン、メトキシリンジアミン等のリン含有ジアミンを用いることもできる。
【0016】
本発明のペースト組成物は、このようにして得られた含フッ素ポリカルボジイミド溶液に導電性又は非導電性の粉末状充填材を配合し、有機溶媒で粘度を調整することにより得ることができる。不純物の混入を避ける必要のある場合には、含フッ素ポリカルボジイミドを単離・精製した後に有機溶媒に溶解し、導電性又は非導電性の粉末状充填材を配合してペースト組成物としてもよい。
かかる有機溶媒としては、ポリカルボジイミドを溶解するものであればよく、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系化合物、酢酸エチルなどのエステル系化合物、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの炭化水素系化合物、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素化合物などが挙げられる。塗工性、安全性および経済性の観点からトルエンやキシレンなどの炭化水素系溶剤を用いるのが好ましい。
【0017】
本発明に使用することのできる粉末状の充填材としては、球状、粒状、鱗片状、フレーク状等の粉末状の導電性および非導電性のものから選択することができ、これらの充填材の径は0.01〜100μm、好ましくは0.1〜40μmのものがよい。導電性充填材としては銀、金、銅、ニッケル、パラジウム、ロジウム、マンガン、鉄、コバルト、白金、アルミニウム、クロム、鉛、錫、亜鉛、半田などの金属ないし合金、または酸化ルテニウム、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化インジウム、酸化パラジウム、酸化タリウム、酸化イリジウム、酸化ロジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カドミウム等の酸化物粉末などのうちの1種または2種以上を使用することができる。また、カーボン、グラファイトおよびカーボンブラックなどを併用することもできる。非導電性の充填材としては、シリカ、ガラス、アエロジル、酸化チタン、アルミナ、窒化ケイ素の如きセラミック等の無機化合物の粉末や、ポリイミド、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカルボジイミド等の粉末状の有機重合体粒子であってもよい。これらは単独もしくは2種類以上混合して用いることもできる。上記充填材の配合量は、樹脂分に対して、0.1〜200重量%、好ましくは、0.5〜100重量%の範囲で選択することができる。特に、用いる充填材の種類やペーストの粘度により、配合量を調整するのがよい。粉末状の充填材が200重量%以上になると皮膜の強度が弱くなり、好ましくない。また、0.1重量%以下ではペーストとしての溶液のチクソトロピック性が乏しくなるので好ましくない。
【0018】
本発明のペースト組成物は、含フッ素ポリカルボジイミドの溶液と粉末状充填材とを混合することにより得ることができる。混合方法としては三本ロール、ボールミル、ディスパーなどの分散機を単独もしくは併用して用いることができる。就中、高粘度ペーストが分散でき、しかも回収効率のよい三本ロールがより好ましい。
本発明のペースト組成物を用いて常法によりフィルムに成形し、接着シートとすることができる。シート厚は1〜2000μmが一般的であるが、これに限定されず接着目的に応して適宜決定することができる。シートの形状や大きさについても、リードフレームや半導体チップなどの被着体に応じて適宜に決定することができる。具体的にはスクリーン印刷などによりパターン状に印刷することも可能である。
【0019】
接着シートの形成に際しては、離型性を有するガラス板、ステンレス板等の支持体あるいは接着目的の支持体に、ペースト組成物を塗工して有機溶媒を除去後、支持体から離型あるいは支持体と一体の接着シートとすることができる。ペースト組成物の塗工温度は20〜150℃、好ましくは50〜150、最も好ましくは70〜100℃である。塗工温度が20℃より低いと溶媒がフィルム中に残存することがある。また150℃を越える高温では接着シートの熱硬化が進むことがある。
また、支持体と一体の接着シートは、支持体から離型して得られた接着シートを別の支持体にプレスなどによりラミネートすることにより作製してもよい。
接着目的の支持体としては金属箔、絶縁性フィルムなどを用いることができる。金属箔としてはアルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、インジウム、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、鉄等がいずれでも好適に用いられ、単独で用いてもよく複数の金属の合金であってもよい。また、絶縁性フィルムとしてはポリイミド、ボリエステル、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱性や耐薬品性を有するフィルムであれば種々のフィルムが用いられる。
また上記金属箔と絶縁性フィルムはそれぞれ単独で用いてもよく、両者の2層構成、即ち金属箔/絶縁性フィルムといった2層基材を用いてもよい。2層基材としては、例えば銅/ポリイミド2層基材などが挙げられる。
【0020】
【発明の効果】
本発明のペースト組成物は、高温高圧下の加湿条件下でも耐湿性、耐熱性に優れ、低吸湿性であること、可撓性に富み取り扱いやすいこと、半導体素子に対して接着性がよいこと、保存安定性がよいことなどの点で優れている。また、充填材の効果により、伝熱性が向上し、低弾性であり、寸法安定性に優れたものである。
また、このペースト組成物から得られる接着シートは、加熱処理により熱硬化して強固な接着力を発現すると共に、低吸湿性の硬化物となる。加熱処理は、例えばヒーター、超音波、高周波、紫外線などの適宜な方法で行うことができる。従って本発明の接着シートは、種々の材料の接着処理に好ましく用いることができ、特に低吸湿性で信頼性の高い固着処理が要求される半導体チップやリードフレームなどで代表される電気・電子部品の固着処理及び表面保護に好ましい。
【0021】
【実施例】
次に本発明を実施例、比較例によりさらに具体的に説明する。
実施例1
滴下漏斗を取り付けた1Lの三口フラスコに2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 40.0 g(77.2 mmol )、塩化メチレン530 g、トリエチルアミン 34.4 g(339 mmol)を仕込んだ。滴下漏斗にフェニルクロロホルメート24.2g(154 mmol)を入れ、反応容器を氷浴で0℃に冷却した。15分かけてフェニルクロロホルメートを滴下し、室温に戻しながら12時間撹拌した。同じフラスコに塩化カルシウム管のついた冷却管をとりつけた。カルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)0.104 g(0.540 mmol)をフラスコに入れ、内部をアルゴンで置換した。室温でトリメチルクロロシラン18.4 g(170 mmol)を入れ、そのまま10分間撹拌した。塩化メチレンを等量のトルエンに置換しながら、反応温度を室温から2時間かけて徐々に80℃まで上昇させ、80℃で4時間撹拌した。IRでカルボジイミド化が完了していることを確認した後、m−トリルイソシアネート20.5 g(154 mmol)を入れ、80℃でさらに1.5 時間撹拌した。
反応溶液を3160 gのメタノールに撹拌しながら投入し、沈殿物を集めて減圧下で乾燥した。得られた白色粉末状のポリマーは有機溶媒に可溶で収量36.0 g(収率90%)、Mn=8,400、Mw=26,000 、固有粘度ηinh は0.1 であった。
このようにして得たポリカルボジイミド100 重量部にトルエン300 重量部を添加して溶解させ、さらに充填材としてアエロジルR812 S(日本アエロジル社製)25重量部を添加し、20時間ボールミルにて混合して、本発明のペースト組成物を得た。このペーストの粘度は、E型粘度計により25℃で回転数 0.5 rpmにて測定した結果、10000 mPa・S であった。
このようにして得たペースト組成物を、15μmの42アロイ箔上に乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、200 ℃で20分間乾燥して本発明の接着シートを得た。この接着シートを幅5mm の短冊状に切断し、プレスにより、次の条件(温度:350 ℃、圧力:40kg/cm2、時間:2秒)にてシリコンウエハーに熱圧着した。次に、この試料の接着シートとシリコンウエハーとの接着力を、島津オートグラフAGS-100Dを用いて180 度剥離試験により測定した。
また、同様にこのペースト組成物をガラス板上に塗布し、200 ℃で20分間乾燥後、剥離してシートを得、PCT(条件:121 ℃×2気圧×100 %湿度)の100 時間試験の前後の可撓性の有無を評価した。これらの結果を表1に示した。
【0022】
実施例2
充填材を325 メッシュフリーパスの鱗片状銀粉とし、添加量をポリカルボジイミド樹脂100 重量部に対し500 重量部とし、三本ロールで混練した他は実施例1と同様にして本発明のペースト組成物を得た。このペーストの粘度は、25℃、0.5rpmで670 mPa・s であった。これを実施例1と同様にして接着シートとし、接着力および可撓性の有無を表1に示した。
【0023】
実施例3
充填材をポリカルボジイミド粉末(日清紡績社製、カルボジライト9010)とし、添加量をポリカルボジイミド樹脂100 重量部に対し100 重量部とした他は実施例1と同様にして本発明のペースト組成物を得た。このペーストの粘度は、25℃、0.5rpmで870 mPa・s であった。これを実施例1と同様にして接着シートとし、接着力および可撓性の有無を表1に示した。
【0024】
実施例4
ポリカルボジイミドのモノマーとして2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパンを用いた他は実施例1と同様にして、本発明のペースト組成物を得た。このペーストの粘度は、25℃、0.5rpmで9900mPa・s であった。これを実施例1と同様にして接着シートとし、接着力および可撓性の有無を表1に示した。
【0025】
実施例5
ポリカルボジイミドのモノマーとして2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)プロパンを用いた他は実施例2と同様にして、本発明のペースト組成物を得た。このペーストの粘度は、25℃、0.5rpmで790 mPa・s であった。これを実施例1と同様にして接着シートとし、接着力および可撓性の有無を表1に示した。
【0026】
実施例6
ポリカルボジイミドのモノマーとして2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4’−ジアミンを用いた他は実施例3と同様にして本発明のペースト組成物を得た。このペーストの粘度は、25℃、0.5rpmで850 mPa・s であった。これを実施例1と同様にして接着シートとし、接着力および可撓性の有無を表1に示した。
【0027】
比較例1
ポリカルボジイミドのモノマーとしてビス(4−アミノフェニル)メタンを用いた他は実施例1と同様にして、ペーストを得た。このペーストの粘度は、25℃、0.5rpmで12000 mPa・s であった。これを実施例1と同様にして接着シートとし、接着力および可撓性の有無を表1に示した。
【0028】
比較例2
ポリカルボジイミドのモノマーとしてジアミノトルエンを用いた他は実施例2と同様にして、ペーストを得た。このペーストの粘度は、25℃、0.5rpmで620 mPa・s であった。これを実施例1と同様にして接着シートとし、接着力および可撓性の有無を表1に示した。
【0029】
【表1】
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