JP3720313B2 - ナノスケール山谷構造基板を用いた金ナノ粒子一次元鎖列の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナノテクノロジーに関するものであり、詳細には金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列を製造する方法、それに用いるナノメートルスケールの山谷構造を有する炭素基板、その方法で製造された金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列、及び当該ナノ粒子一次元鎖列をさらに処理した金属ナノワイヤーに関する。
本発明の金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列は、エレクトロニクス分野、特にナノ電子デバイス分野において有用である。
【0002】
【従来の技術】
金属ナノ粒子は、粒径が5nm以下になると顕著な量子サイズ効果を示すようになり、バルクでは見られない特異な物理的・化学的性質が発現する。例えば、構成原子数が400個(粒径約2nm程度)以下のナノ粒子では、室温でクーロン閉塞現象が起こるようになる。
さらに、組織化されたナノ粒子構造は、ナノ粒子単独では見られない新規な電子・光物性を示すことから、近年盛んに研究されている。中でも、粒径が2nm以下の金属ナノ粒子は室温でクーロン閉塞現象を示すことから、これらの超格子を形成させて組織化することにより、ナノ電子デバイスへ応用することが可能となり、これらについての研究が活発に行われている。
金属ナノ粒子の二次元の超格子の構築については非常に多くの研究がなされている。しかし、金属ナノ粒子を配列させることが非常に困難なために、一次元の鎖を構築することはより挑戦的な課題とされている。マイクロエレクトロニクスのデバイスのいっそうの小型化のためには、室温での単一の電子によるトンネル効果を利用することができる一次元の鎖を製造することが必要であり、そのためにはナノ粒子を一次元の整列させることができる技術の開発が必要である。もし、ナノ粒子による一次元の鎖を製造することができたら、ナノ粒子間の電子のトンネル効果による挙動を詳細に解明することができるのみならず、集積回路の解像度を現在の光学的な技術による解像度から飛躍的に改善することができる。
【0003】
テンプレート方法は、金属ナノ粒子の比較的長い一次元の鎖を形成させる方法としては効果的な方法である。例えば、金のナノ粒子の一次元鎖は、陽極酸化アルミナ膜(非特許文献1参照)、アモルファス炭素薄膜のステップ(非特許文献2参照)あるいは生体高分子(非特許文献3参照)を用いる方法が報告されている。しかしながら、これらのテンプレート法では、広範囲にわたる平面一次元鎖を形成させるのは困難であり、一次元鎖の列を作製することはさらに困難であった。
【0004】
一方、本発明者は金属と親和性の高い官能基および配位子を分子設計し、これを保護剤として金属ナノ粒子を合成する手法に着目し、これまでに、有機溶剤を用いた金属ナノ粒子の保護剤およびこれを用いた粒径2nm以下のアルカンチオール保護金属ナノ粒子について報告をしてきている(非特許文献4参照)。また、超真空における、ナノスケールでの山谷構造を有する基板の製造技術も発展してきている(例えば、非特許文献5参照)。
【0005】
【非特許文献1】
ホーニアック ジーら、ケミストリー ヨーロッパ ジャーナル、1997年、3巻、1951頁より(Hornyak, G., et al., Chem. Eur. J., 1999, 3, 1951)
【非特許文献2】
オク ティーら、ケミカルコミュニケーション、1999年、2355頁より(Oku,T., et al., Chem. Commun., 1999, 2355)
【非特許文献3】
バーベン シーら、アドバンスト マテリアル、2001年、13巻、109頁より(Berven,C., et al., Adv. Mater., 2001, 13, 109)
【非特許文献4】
寺西利治ら、アドバンスド マテリアル、2001年、13巻、1699頁より(T.Teranishi, et al., Adv. Mater., 2001, 13, 1699)
【非特許文献5】
スガワラ、エーら、ジャーナル アプライド フィジックス、1997年、82巻、5662頁より(Sugawara,A., et al., J. Appl. Phys., 1997, 82, 5662)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、広範囲にわたるナノ粒子一次元鎖列を製造する方法、及びそのための基板を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、金属ナノ粒子の一次元鎖列を広範囲にわたって、かつ簡便に製造する方法について検討してきた結果、超真空における、ナノスケールでの山谷構造を有する基板の製造技術を応用することにより、簡便にかつ確実に、広範囲な平面にわたって金属ナノ粒子の一次元鎖列を製造することができることを見出した。
即ち、本発明は、ナノメートルスケールの山谷構造を有する基板をテンプレートとして使用して、金属ナノ粒子を含有する溶液により金属ナノ粒子を基板上に担持させることからなる当該基板の谷部分に金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列を製造する方法、当該製造方法に用いる基板、及び当該方法により製造された金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列に関する。
また、本発明は、前記した方法で製造された金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列を、更に凝着・成長させ、ワイヤー状に変化させることを特徴とする金属ナノワイヤーの製造方法に関する。
【0008】
本発明の金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列を製造する方法について、金属ナノ粒子として金を用いた例により説明する。
本発明者らは、NaCl(110)単結晶を用い作製したナノスケールで山谷構造を有する炭素基板(谷深さ数nm、谷周期〜20nm)をテンプレートとして用いることにより、金ナノ粒子平面一次元鎖列を製造することに成功した。
より詳細には、光学グレードのNaCl(110)の単結晶を用い、これを脱イオン水で洗浄した後に超高真空チャンバー内に入れた。厚さ20nmのこのNaCl単結晶を超高真空チャンバー内で250℃で熱蒸散により結晶表面に蒸着させた。NaCl(110)は不安定な平面であるので、NaClのホモエピタキシャルな成長過程においては低エネルギーの(100)及び(010)平面の小面が単結晶表面に形成されてくる。形成された小面は、正常な平面に対して45°傾斜していることを反射高エネルギー電子線回折法(Reflection high-energy electron diffraction(RHEED))によりその場で確認した。
【0009】
このNaCl表面に直接30nmの厚さの炭素層を蒸着させて、そのレプリカを作成した。この炭素層を水中においてNaCl基板から遊離させ、400メッシュの銅格子上に乗せた。
図1に以上の行程を模式的に示す。図1の左側は、45°の山谷構造が作られたNaCl基板を示している。傾斜した小面はNaCl(100)及び(010)である。このNaCl基板の表面に炭素を蒸着させて、そのレプリカを作成する。図1の中側はこのようにして形成された炭素層(図1では白抜きで示されている。)とNaCl基板(図1では黒抜きで示されている。)を示している。次に炭素層が形成されたNaCl基板を水中においてNaCl基板を遊離させると、NaClの表面構造をコピ−した山谷構造を有する炭素基板を得ることができる。図1の右側は、このようにして得られた山谷構造を有する炭素基板を示している。
【0010】
図2に得られた炭素基板の表面のAFM像を図面に代わる写真で示す。図2における目盛りはnm単位のスケールを示している。図2の中央部分における白線で示した箇所の断面を測定した結果を図3に示す。この結果によれば、炭素基板の谷の深さは、深いところでは約2nm程度であり、浅いところでは約1nm程度であることがわかる。また、山と谷の距離は約10.2nmであり、山谷の周期は約20nm弱であることがわかる。得られた炭素基板は広い範囲にわたって山谷構造を有しており、多数の谷が平行して存在していることがAFM像によって確認することができる。
このような山谷構造の谷の部分に金属ナノ粒子を整然と配列することができれば、金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列を広い範囲にわたって平面上に製造することができる。このように金属ナノ粒子が山谷構造の谷部分に整然と配列している様子を模式的に示したものが図4である。図4は、銅格子上に置かれた炭素基板の山谷構造の谷部分にドデカンチオール(DT)で保護された金ナノ粒子が整然と配列している様子を模式的に示したものである。
【0011】
ドデカンチオールによって保護された金ナノ粒子(DT−Au)の粒径を調節する方法は、液相による方法とは異なるものであり、本発明者らの文献(非特許文献4参照)に記載されている。3.4±0.3nmと5.4±0.7nmの金ナノ粒子を、1.5nmのDT−Auナノ粒子を固体の状態で加熱処理することによって製造した。図4に示されるような金ナノ粒子の一次元鎖を形成する方法としては、DT−Auのトルエン溶液を銅格子上の炭素層に直接垂らし、トルエンを自然に蒸発させる方法(液滴法)、又は銅格子上の炭素層をDT−Auのトルエン溶液に浸漬し、山谷方向と平行に基板を引き上げた後、トルエンを自然に蒸発させる方法(浸漬法)のいずれかによって行うことができる。
【0012】
本発明者らは、まず5.4nmのDT−金ナノ粒子を液滴法により炭素基板上に展開してみた。しかし、この場合には、必ずしも完全な一次元鎖列を得ることができなかった。いくつかの鎖は一次元鎖列を形成していたが、鎖の大部分は、金ナノ粒子が不規則な間隔で並んでおり、きれいに配列していなかった。これは、DT(ドデカンチオール)の大きさを含むDT−Auのサイズ(9.0nm)が大きすぎ、迅速に炭素基板の谷部と山部を選択することができず、結果として完全な一次元鎖列の平面配列が得られなかった。
【0013】
次に粒径のより小さな3.4nmの金ナノ粒子を用いて実験をした。この場合には、DT−Auナノ粒子は、迅速に炭素基板の谷部と山部を選択でき、一次元鎖列の平面配列を形成した。図5にドデカンチオール(DT)で保護された粒径3.4nmの金ナノ粒子の断面構造を示す。
しかしながら、液滴法により製造された金ナノ粒子の一次元鎖列は、部分的にいくつかの鎖が束になって形成されていた。このような凝集構造の形成を抑制するために、炭素層をDT−Au粒子(3.4nm)コロイド溶液(トルエン溶液)に直接浸漬する方法(浸漬法)を行った。その結果得られた金ナノ粒子の一次元鎖列の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図6に図面に代わる写真で示す。図6は浸漬法によって得られた金ナノ粒子の一次元鎖列のTEM写真である。図6のTEM写真に見られるように鎖列の凝集構造は減少し、金ナノ粒子が一次元に配列した金属ナノ粒子の一次元鎖列を形成させることに成功した。
このような金ナノ粒子の一次元鎖列の平面配列は炭素基板の数平方ミリメートルの範囲にわたって形成されていた。この一次元鎖列は、それぞれ谷部の1周期か半分の周期で、10nmから20nmの間隔で配列していた。また、このサンプルをAFMにより観察したところ、ナノ粒子のひとつの鎖列は二つの山構造の間に存在しており、金ナノ粒子は主に谷部分に優先的に担持され、部分的に山部分に担持されていることが示された。
【0014】
このような現象について、次のような形成メカニズムが考えられる。基板を金ナノ粒子−トルエン溶液に浸漬した後に、基板をトルエン溶液から引き上げる際に、金ナノ粒子は基板の上部において接着により主に谷部に配列し、そして毛細管現象によって誘導される。そして、トルエンの蒸発に伴って、基板上で隣接する粒子同士が互いに付着し合い、金ナノ粒子の一次元鎖が伸長していく。この結果、大部分の金ナノ粒子が谷構造に沿って一次元鎖列を形成することになると考えられる。
【0015】
本発明は、整然と、ほぼ規則的に配列したナノスケールの山谷構造を有する基板を用いることにより、金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列を製造することができることを開示するものである。
本発明における山谷構造とは、一定の方向にほぼ規則的に配向した凹凸状の列構造形状である。この周期は10〜50nm、20〜50nm程度であり、また、谷部の深さは20nm以下、好ましくは0.1〜10nm、1〜5nm程度であるが、基板上の山谷構造の周期や深さが本発明の技術的思想して重要ではなく、金属ナノ粒子を担持することができる整然と配列した凹凸状の列構造を有することが重要である。そして、本発明はこのような基板が金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列を製造するためのテンプレートとして使用できることを初めて開示するものである。
本発明の基板の材質は、前記で例示してきた炭素に限定されるものではなく、基板を作成する際のNaCl基板に蒸着し得るものであって、基板としての機械的強度を有し、かつ金属ナノ粒子を担持することができるものであればよい。このような基板の材質としては、金属であってもよいが、操作の容易性から炭素が好ましい。
【0016】
本発明の金属ナノ粒子における金属としては、例えば金、銀、銅、鉄、白金などが挙げられるが、電気特性や保護物質の導入のしやすさなどから金が好ましい。本発明の金属ナノ粒子の粒径としては、10nm以下、好ましくは5nm以下、例えば、1〜10nm、1〜5nm程度である。金属ナノ粒子の粒径が大きくなると、基板上での山谷構造の選択的な配列をより容易にするために、基板の山谷構造の周期や深さを、金属ナノ粒子の粒径に合わせて選定する必要がある。
本発明の金属ナノ粒子は、好ましくは表面を非金属物質で保護されたものがよい。金属同士の凝集が起こりにくい場合には必ずしも表面を保護する必要はないが、非金属物質の保護剤は加熱処理などで容易に除去できることから、金属ナノ粒子の形態を保持するためには、表面を保護しておくことが好ましい。好ましい保護剤は、金属の種類によっても異なるが、例えば、金属として金を使用する場合には有機チオール化合物が好ましい。有機チオール化合物としては、例えば、炭素数1〜20、好ましくは5〜20のアルカンチオール、より詳細には、オクタンチオール、ドデカンチオールなどが挙げられる。また、保護剤の使用により一次元鎖列に配列した金属ナノ粒子の粒子間距離を制御することも可能となる。この場合には、金属ナノ粒子を覆う保護剤、例えばアルカンチオールの分子の大きさを調節することにより一定の粒子間距離を維持することも可能となる。
【0017】
本発明における金属ナノ粒子の溶液とは、必ずしも金属ナノ粒子が溶媒に溶解している状態に限定されるものではなく、懸濁状態やコロイド状態などの状態で溶媒中に含有されている状態であってもよい。
本発明の溶液における溶媒としては、各種の液体を使用することができるが有機溶媒、好ましくは炭化水素溶媒がよい。好ましい有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、ヘキサンなどが挙げられる。
【0018】
金属ナノ粒子を含有する溶液を本発明の基板上に適用する方法としては、前記した液滴法、浸漬法などが好ましいがこれに限定されるものではない。基板上にスプレーする方法、基板上に流し傾斜させる方法などの各種の方法を採用することができる。好ましい方法としては、基板を金属ナノ粒子の溶液に浸漬し、山谷方向と平行に基板を引き上げる方法が挙げられる。
基板上に残留している溶媒を除去する方法としては、室温での自然乾燥であっても、加熱乾燥であってもよい。
【0019】
本発明は、金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列を提供するものであり、本発明の金属ナノ粒子一次元鎖列は、平面上に広い範囲にわたって一次元鎖列が形成されていることを特徴とするものである。基板として非導電性の材料を使用した場合には、基板上に広い範囲にわたって形成された金属ナノ粒子の一次元鎖列の電気特性をそのままの状態で計測するも可能となる。
また、本発明の方法により生成した一次元鎖列を好ましくは100〜600℃、より好ましくは150から300℃で、加熱することにより、ナノ粒子同士が直接接触した、ナノワイヤーを形成できる可能性もある。このようなナノワイヤーは、例えば半導体、医療用具等のナノレベル電子装置におけるナノワイヤーとして好適なものとなる。
【0020】
本発明は、ナノ構造を持つ電子デバイスの創製分野において、金属ナノ粒子の一次元鎖平面配列を利用できることを示している。また、この技術は、金だけに限らず、その他の金属類、半導体、有機物質のナノ粒子等の多くの種類に応用が可能である。また、超LSIの生産するために行われている既存のナノ粒子配置技術と、本報告の方法を組み合わせることは、将来的に極めて有望であると考えられる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0022】
実施例1
超高真空チャンバー内で、NaCl(110)単結晶に250℃にてNaClを熱蒸発させ堆積することにより、表面エネルギーの安定な(100)および(010)面が選択的に成長し、ナノスケールの山谷構造が形成された。
これにさらに炭素を蒸着し、NaCl基板の山谷構造を複製することにより、谷の深さおよび周期がそれぞれ数nm、〜20nmの山谷構造を有する炭素基板が得られた。
二相反応により得られた粒径1.5nmのドデカンチオール保護金ナノ粒子(DT−Au)固形物を電気炉にて150℃(昇温速度2℃/min)で30分加熱して調製した粒径3.4nmのDT−Auを再沈精製後、5mMのDT−Auトルエン溶液とした。これに山谷構造を有する炭素基板を浸漬し、山谷方向と平行に基板を引き上げることにより、金ナノ粒子が一列に配列した金ナノ粒子一次元鎖列が形成した。鎖間隔が10nmあるいは20nmであり、金ナノ粒子は主に谷部分に、部分的に山部分に配列していることが分かった。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、山谷構造炭素基板のナノ粒子溶液への浸漬・引き上げという極めて容易な手法により金ナノ粒子一次元鎖列を形成させているため、1〜3nm程度の微細な金属ナノ粒子であれば種類を問わず容易に平面一次元鎖列を形成させることができるものと考えられる。さらにテンプレート作製時の結晶面を選択することにより、谷周期をチューニングすることや複雑なパターンのテンプレート基板を作成することができる。また、生成した一次元鎖列を加熱することにより、ナノ粒子同士が凝集・成長しナノワイヤー列が形成する可能性があり、将来の数nm幅のナノ配線へ応用できるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の基板の製造方法を模式的に示したものである。
【図2】図2は、本発明の炭素基板のAFM像を示す図面に代わる写真である。
【図3】図3は、本発明の炭素基板の山谷構造の断面を測定した結果を示すものである。
【図4】図4は、本発明の基板の谷部分に金属ナノ粒子が一列に一次元的に整列して鎖列を形成する様子を模式的に示したものである。
【図5】図5は、本発明の方法に使用される金属ナノ粒子の例を示したものである。
【図6】図6は、本発明の方法により得られた金属ナノ粒子の一次元鎖列を透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影した結果を示す図面に代わる写真である。
Claims (21)
- ナノメートルスケールの山谷構造を有する基板をテンプレートとして使用して、金属ナノ粒子を含有する溶液により金属ナノ粒子を基板上に担持させることからなる当該基板の谷部分に金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列を製造する方法。
- 基板が、炭素基板である請求項1に記載の方法。
- 基板の山谷構造における谷深さが20nm以下であり、谷周期が10〜50nmである山谷構造を有するものである請求項1又は2に記載の方法。
- 金属ナノ粒子の粒径が、10nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 金属ナノ粒子の粒径が、10nm以下である請求項4に記載の方法。
- 金属ナノ粒子が、遷移金属のナノ粒子である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 金属ナノ粒子が、金のナノ粒子である請求項6に記載の方法。
- 金属ナノ粒子が、アルカンチオールにより保護されている金属ナノ粒子である請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- アルカンチオールが、ドデカンチオールである請求項8に記載の方法。
- 金属ナノ粒子を含有する溶液が、有機溶媒からなる溶液である請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 有機溶媒が、トルエンである請求項10に記載の方法。
- 金属ナノ粒子を含有する溶液が、有機溶媒のコロイド溶液である請求項10又は11に記載の方法。
- ナノメートルスケールの山谷構造を有する基板をテンプレートとして使用して、金属ナノ粒子を含有する溶液に基板を浸漬し、当該山谷構造の谷構造に沿って一次元鎖列を形成するように基板を引き上げることからなる請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
- ナノメートルスケールの山谷構造を有する基板が、NaCl(110)単結晶を用いて作製されたものである請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
- ナノメートルスケールの山谷構造を、ほぼ規則的にかつ広範囲にわたって有する、金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列を製造するためのテンプレート用の基板。
- 基板が、炭素基板である請求項15に記載の基板。
- 基板の山谷構造における谷深さが20nm以下であり、谷周期が10〜50nmである山谷構造を有するものである請求項15又は16に記載の基板。
- 基板が、NaCl(110)単結晶を用いて作製されたものである請求項15〜17のいずれかに記載の基板。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の方法で製造された金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列。
- ナノ粒子一次元鎖列が、平面上に広範囲にわたって形成されたものである請求項19に記載のナノ粒子一次元鎖列。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の方法で製造された金属ナノ粒子が一列に配列したナノ粒子一次元鎖列を、更に凝着・成長させ、ワイヤー状に変化させることを特徴とする金属ナノワイヤーの製造方法。
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