JP3719558B2 - ペースト組成物およびこれを用いたパターン形成方法 - Google Patents

ペースト組成物およびこれを用いたパターン形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はペースト組成物およびこれを用いたパターン形成方法に関し、さらに詳しくは、プラズマディスプレイ等に適用される多層回路基板の製造において、特にサンドブラスト処理を行うに際して、ブラストレートが高く、クラックや剥がれのない、良好なパターンを形成することができる、ペースト組成物およびこれを用いたパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、IC、LSI等のエレクトロニクス素子を高密度に実装して使用する多層セラミック基板などの厚膜多層回路の製造においては、アルミナ等で形成したセラミック基板上に、金、銀、パラジウムあるいはこれらの合金からなる導電性物質と感光性樹脂組成物とからなる感光性導電ペースト組成物を塗布し、露光、現像後、焼成して所望の回路パターンを形成し、続いて、この上にさらに、アルミナ、ガラス等の絶縁性物質と感光性樹脂組成物を主成分とする感光性絶縁ペースト組成物を塗布し、上記と同様にして露光、現像後、焼成して所望の絶縁層パターンを形成し、以下同様の工程を順次繰り返して多層回路を形成している。
【0003】
このような多層回路形成に用いられる感光性ペースト組成物としては、例えば特開昭61−158861号公報に記載のように、特定の粒径を有するセラミック粒子、特定の粒径を有する塩基性無機粉末、光硬化可能な単量体、有機バインダー、光重合開始剤、および有機媒体からなる感光性セラミック被覆組成物等が挙げられる。さらに、近年、環境などへの配慮から、水またはアルカリ水溶液で現像可能であることが望まれ、例えば特開平2−25847号公報に示されるように、有機バインダー中にカルボキシル基を導入したものや、変性セルロース樹脂を導入したものが提案されている。
【0004】
ところで、プラズマディスプレイ等に適用される金属パターンと絶縁パターンが混在する多層回路基板の製造において、金属配線パターン、セラミックや蛍光体等の絶縁パターンを形成するに際し、被処理体上にマスク材としてホトリソグラフィー法等によりパターニングされた感光性樹脂層を設け、しかる後、研磨剤を吹き付けて非マスク部を選択的に切削するサンドブラスト処理方法が提案されている。
【0005】
しかしながら、従来、多層回路基板製造に用いられていた感光性ペースト組成物をサンドブラスト処理に適用した場合、ブラストレートが低く、ブラスト処理に長時間を有し、クラックや剥がれ等が発生することがあり、実用的なものは得られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、プラズマディスプレイ等に適用される多層回路基板の製造において、特にサンドブラスト処理を行うに際して、ブラストレートが高く、クラックや剥がれのない、良好なパターンを形成することができる、ペースト組成物およびこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ガラス粉末、および高分子バインダーを含有してなるペースト組成物中に、特定のジアルキルエステル化合物を所定量含有させることにより、特にサンドブラスト処理を行うに際して、ブラストレートが高く、クラックや剥がれのない、良好なパターンを形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、(A)ガラス粉末69.5〜95重量部、(B)高分子バインダー0.5〜5重量部、および(C)下記一般式(I)
【0009】
【化2】
Figure 0003719558
【0010】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素原子数3〜4のアルキル基を表す)
で表されるジアルキルエステルの中から選ばれる少なくとも1種を4.5〜30重量部、
を含有してなるペースト組成物に関する。
【0011】
また本発明は、基板上に上記ペースト組成物を塗布、乾燥してペースト層を形成後、該ペースト層上に耐サンドブラスト性を有するパターン被膜を形成し、次いでサンドブラスト処理を施すことによりペースト層を選択的に除去してパターンを形成した後に焼成する、あるいは耐サンドブラスト性を有するパターン被膜を剥離した後に焼成する、ことを特徴とするパターン形成方法に関する。
【0012】
なお、耐サンドブラスト性を有するパターン被膜は、感光性樹脂組成物からなるものが好適に用いられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明に用いられる(A)成分であるガラス粉末としては、具体的には、PbO−SiO2系、PbO−B23−SiO2系、ZnO−SiO2系、ZnO−B23−SiO2系、BiO−SiO2系、BiO−B23−SiO2系のホウ珪酸鉛ガラス、ホウ珪酸亜鉛ガラス、ホウ珪酸ビスマスガラス等が一例として挙げられる。なお本発明では、上記(A)成分の他に、任意添加成分として、酸化コバルト、酸化鉄、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化マンガン、酸化ネオジウム、酸化バナジウム、酸化セリウムチペークイエロー、酸化カドミウム、アルミナ、シリカ、マクネシア、スピネルなどNa、K、Mg、Ca、Ba、Ti、Zr、Al等の各酸化物、ZnO:Zn、Zn3(PO42:Mn、Y2SiO5:Ce、CaWO4:Pb、BaMgAl1423:Eu、ZnS:(Ag,Cd)、Y23:Eu、Y2SiO5:Eu、Y3Al512:Eu、YBO3:Eu、(Y,Gd)BO3:Eu、GdBO3:Eu、ScBO3:Eu、LuBO3:Eu、Zn2SiO4:Mn、BaAl1219:Mn、SrAl1319:Mn、CaAl1219:Mn、YBO3:Tb、BaMgAl1423:Mn、LuBO3:Tb、GdBO3:Tb、ScBO3:Tb、Sr6Si33Cl4:Eu、ZnS:(Cu,Al)、ZnS:Ag、Y22S:Eu、ZnS:Zn、(Y,Cd)BO3:Eu、BaMgAl1223:Eu等の蛍光体粉末、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、銀、金等の金属粉末等の無機粉末を配合してもよい。
【0015】
この(A)ガラス粉末は、(A)〜(C)成分の総和100重量部中に69.5〜95重量部の範囲で含有することができる。69.5重量部未満では後述する(B)高分子バインダー、(C)ジアルキルエステルの相対含有量が増大し、長期保存時に無機粉末の沈降が起こることがあり、好ましくなく、一方、95重量部を超えると、ペースト層の形成時に被膜にクラックが発生したり、サンドブラスト処理時に剥がれが発生することがあり、好ましくない。
【0016】
本発明の(B)成分である高分子バインダーとしては、セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ブチラール化ポリビニルアルコール樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのカルボキシル基を有するモノマーと、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、2−ヒドロキシメチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、グリセロール(モノ)アクリレート、グリセロール(モノ)メタクリレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート等のモノマーとが共重合したアクリル重合体等が挙げられる。
【0017】
この高分子バインダーは、重量平均分子量1,000〜700,000程度のものが好ましく、より好ましくは5,000〜500,000程度である。重量平均分子量が低すぎると基板への密着性が低下し、また無機粉末の保持性が低下するので好ましくなく、一方、高すぎると焼成時に燃え残りが発生しやすく好ましくない。
【0018】
高分子バインダーは、(A)〜(C)成分の総量100重量部中に0.5〜5重量部の範囲で含有することができる。0.5重量部未満ではサンドブラスト処理時にペースト組成物にクラックや剥がれが発生することがあり、一方、5重量部を超えるとサンドブラスト処理時にブラストレートが低下することがあり、また乾燥、焼成時にペースト層が収縮するいわゆるシュリンクなどの問題が発生しやすく、好ましくない。
【0019】
本発明の(C)成分であるジアルキルエステルとしては、下記一般式(I)
【0020】
【化3】
Figure 0003719558
【0021】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素原子数3〜4のアルキル基を表す)
で表されるジアルキルエステルの中から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0022】
上記一般式(I)において、R1、R2のいずれかが炭素原子数4を超えるものは、ブラストレートが低下する傾向にあり、好ましくない。
【0023】
(C)成分としては、具体的には、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、イソフタル酸ジプロピル、イソフタル酸ジイソプロピル、イソフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジイソプロピル、フタル酸ブチルプロピル等のフタル酸ジアルキルエステルが挙げられる。中でも、フタル酸プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチルは、ペースト層形成時にクラックが発生しにくく、サンドブラスト処理を行うに際してブラストレートが高く、剥がれのない良好なパターンを形成することができ、好ましく用いることができる。より好ましくはフタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、イソフタル酸ジブチルであり、中でも特にフタル酸ジブチルが好ましい。
【0024】
このジアルキルエステルの配合割合は、(A)〜(C)成分の総量100重量部中に4.5〜30重量部であり、好ましくは7〜30重量部の範囲である。4.5重量部未満では乾燥時にクラックが発生することがあり、一方、20重量部を超えると、長期保存時に無機粉末の沈降が起こりやすくなるため好ましくない。
【0025】
本発明では粘度調整などの目的のために、前記(A)〜(C)成分の総量100重量部に対し、200重量部を超えない範囲で、必要に応じてケトン類、酢酸エステル類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルエステル類、石油系溶剤などを適宜加えることができる。具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ベンジルアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレンブリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、メチルブチレート、エチルブチレート、プロピルブチレート等が挙げられる。
【0026】
本発明のペースト組成物を溶解するための溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、2−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチルー3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチル−3−プロボキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート、イソプロピル−3−メトキシプロピオネート、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、ベンゼル、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等を挙げることができる。
【0027】
該溶剤は、前記(A)〜(C)成分の総和100重量部に対して500重量部以下、好ましくは300重量部以下の範囲で配合させることができる。
【0028】
本発明のペースト組成物には、さらに必要に応じて、染料、重合禁止剤、絶縁抵抗値調整のためのカーボンや金属粒子などの導電性物質、カチオン系、アニオン系または両性界面活性剤等も適宜、添加することができる。
【0029】
次に、本発明ペースト成物を用いたパターン形成方法について、図1を参照して説明する。図1は本発明のパターン形成方法の一実施の態様を示す。
【0030】
まず、基板1上に、本発明のペースト組成物を溶剤などにより粘度を調整した上で、スクリーン印刷、バーコータ等を用いて、乾燥膜厚が20〜300μm程度となるように塗布する。300μmを超える膜厚を得る場合には複数回塗布を繰り返す。粘度は200〜3000Pの範囲で用いられることが好ましく、特に好ましくは500〜2000Pである。
【0031】
次いで乾燥処理を行う。乾燥は温度50〜150℃、0.1〜3時間程度加熱することにより行うことができ、これによりペースト層2が形成される(図1(a))。本発明では(C)成分が特定量含まれていることにより、無機粉末の充填密度が高められ、乾燥による過度の空隙が発生することがない。
【0032】
次に、図1(b)に示すように、乾燥後のペースト層2の上に耐サンドブラスト性を有するパターン被膜3を形成する。
【0033】
耐サンドブラスト性を有するパターン被膜3の形成にあたっては、スクリーン印刷、バーコータ、ロールコータ、リバースコータ、カーテンフローコータなどにより所要のパターンを印刷する方法、耐サンドブラスト性を有する感光性樹脂組成物をペースト層2の上に塗布、あるいはドライフィルム状としたものを貼り付けた後、ホトリソグラフィーによって所要のパターンを得る方法などが挙げられる。
【0034】
耐サンドブラスト性を有する感光性樹脂組成物を用いた場合、塗布または貼り付け後、所望のパターンを備えたネガマスクを介して、上記感光性樹脂組成物を選択的に露光する。
【0035】
露光は、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、エキシマレーザー発生装置などを用いて、活性光線を照射する。露光量は、超高圧水銀灯やケミカルランプを用いた場合50〜800mJ/cm2程度が好ましい。
【0036】
露光後、スプレーガン、浸漬法等によって現像を行う。現像により、感光性樹脂組成物がネガ型にあっては紫外線未露光部が除去され、露光部の樹脂層のみが残留し、マスクパターンに忠実な耐サンドブラスト性を有するパターン被膜3を得ることができる。この現像に用いる現像液としては、水またはアルカリ水溶液が好ましく用いられる。具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム等アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩;ベンジルアミン、ブチルアミン等の第1級アミン;ジメチルアミン、ジベンジルアミン、ジエタノールアミン等の第2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン;モルホリン、ピペラジン、ピリジン等の環状アミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のポリアミン;テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルベンジルアンモニウムヒドロキシド、コリン等のアンモニウムヒドロキシド類;トリメチルスルホニウムヒドロキシド、ジエチルメチルスルホニウムヒドロキシド、ジメチルベンジルスルホニウムヒドロキシド等のスルホニウムヒドロキシド類;その他コリン、ケイ酸塩含有緩衝液等の、1〜10重量%水溶液が用いられる。
【0037】
上記耐サンドブラスト性を有するパターン被膜3は、サンドブラスト処理に対する保護膜の役目を果たし得るものであれば特に限定されるものでないが、特には、例えば特開昭55−103554号公報に記載されているような不飽和ポリエステルと不飽和モノマーおよび光重合開始剤からなる感光性樹脂組成物や、特開平2−69754号公報に記載されているようなポリビニルアルコールとジアゾ樹脂からなる感光性樹脂組成物、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、水溶性セルロース樹脂、光重合開始剤、および(メタ)アクリレートモノマーを含有してなる感光性樹脂組成物を挙げることができるが、中でもウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、水溶性セルロース樹脂、光重合開始剤、および(メタ)アクリレートモノマーを含有してなる感光性樹脂組成物は、ペースト層2との密着性や柔軟性に優れるため好ましく用いることができる。また耐サンドブラスト性を有するパターン被膜3の形成に用いる感光性樹脂組成物はドライフィルム状であってもよい。上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、水溶性セルロース樹脂、光重合開始剤、および(メタ)アクリレートモノマーを含有する感光性樹脂組成物としては、具体的には東京応化工業(株)製「ORDYL BF−603」等を挙げることができる。
【0038】
耐サンドブラスト性を有するパターン被膜3を形成した後、サンドブラスト処理を行い、図1(c)に示すように耐サンドブラスト性を有するパターン被膜3をマスクとしてペースト層2を選択的に切削除去してペースト層パターン2’を形成する。
【0039】
サンドブラスト処理に用いるブラスト材としてはガラズビーズ、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、酸化ジルコニウム等の粒径2〜500μm程度の微粒子が用いられ、ブラスト圧0.5〜5kg/cm2の範囲で吹き付けることによりサンドブラスト処理が行われる。耐サンドブラスト性を有するパターン被膜3は、通常の感光性樹脂組成物に比べ弾性、柔軟性が高く、サンドブラスト処理による耐摩耗性が高いため、目的の深さの彫食刻が終了する前に摩耗してしまうということはない。サンドブラスト処理の際の食刻スピード(ブラストレート)は、150μm/s程度以上であることが好ましく、このブラストレートが100μm/s未満では処理が長時間となる。
【0040】
また、本発明のペースト組成物は、(C)成分を所定量含有していることにより、ペースト層形成時にクラックが発生しにくく、サンドブラスト処理においてはブラストレートを低下させることなく、剥がれのない良好なパターンを形成することができる。
【0041】
次いで得られたペースト層パターン2’を乾燥した後、焼成炉中で徐々に温度を上げながら焼成し、パターン4を形成する(図1(d))。これにより(B)成分および(C)成分が熱分解除去される。このときの焼成温度は使用する塩基性無機粉末の種類によっても異なるが、およその目安としては、400〜1700℃、好ましくは450〜1200℃程度で行うのが適当である。
【0042】
なお、焼成前に、耐ブラスト性を有するパターン被膜3をペースト層2から剥離液を用いて剥離しておき、その後に上記焼成を行ってもよい(図1(d’))。剥離液としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩;ベンジルアミン、ブチルアミン等の第1級アミン;ジメチルアミン、ジベンジルアミン、ジエタノールアミン等の第2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン;モルホリン、ピペラジン、ピリジン等の環状アミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のポリアミン;テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリミチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類;トリメチルスルホニウムヒドロキシド、ジエチルメチルスルホニウムヒドロキシド、ジメチルベンジルスルホニウムヒドロキシド等のスルホニウムヒドロキシド類;その他コリン、ケイ酸塩含有緩衝液等の、1〜10重量部水溶液などが用いられる。
【0043】
焼成後、ペーストパターン4の上にさらに導電性パターン、絶縁パターン等を同様にして形成し、多層配線パターンを得ることができる。
【0044】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものでない。
【0045】
(実施例1〜9、比較例1〜7)
(1)ペースト組成物の調製
(A)成分のガラス粉末としてPbO−B23−SiO2系ガラスフリット(平均粒径3μm)100重量部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル10重量部を用意し、さらに表1の配合量にて(B)成分の高分子バインダーとしてカルボキシメチルセルロース(重量平均分子量約200000)、(C)成分としてそれぞれ表1に示すフタル酸ジアルキルエステルを用い、これらを3本ロールミルでよくかくはん混練し、ペースト組成物を調製した。
(2)塗布処理
得られたペースト組成物をガラス基板上に、ドクターブレードを用いて乾燥後の膜厚が200μm、および500μmとなるように塗布し、温度150℃の乾燥器中で2時間乾燥処理してペースト層とした。
【0046】
このペースト層を目視し、クラックの発生有無について下記評価基準により評価した。結果を表2に示す。
<クラックの有無>
◎: 乾燥膜厚200μm、および500μmのペースト層の双方ともクラックの発生はみられなかった。
○: 乾燥膜厚200μmのペースト層にはクラックの発生はみられなかったが、500μmのペースト層には一部クラックの発生がみられた。
×: 乾燥膜厚200μm、および500μmのペースト層の双方とも全面にクラックの発生がみられた。
(3)サンドブラスト処理
上記ペースト層上に耐サンドブラスト性を有する被膜として感光性ドライフィルム(「ORDYL BF−603」;東京応化工業(株))を貼り付け、この上に、80μmのライン/80μmのスペースを有するマスクを密着させ、このマスクを介して、超高圧水銀灯を用い、300mJ/cm2のエネルギー線量で露光し、0.2%炭酸ナトリウム水溶液を用いて1.5kg/cm2のスプレー圧で現像した。
【0047】
次いで研磨材としてガラスビーズ#800を使用し、ブラスト圧2kg/cm2でサンドブラスト処理した。このときのブラストレート、および下記評価基準によりペースト層の非食刻部の剥がれの有無について調べた。結果を表2に示す。
<剥がれの有無>
○: 乾燥膜厚200μm、および500μmのペースト層の双方とも剥がれがみられなかった。
×: 乾燥膜厚200μm、および500μmのペースト層の双方とも剥がれがみられた。
(4)焼成処理
その後、該基板を6%トリエタノールアミン水溶液に浸漬し、耐サンドブラスト性を有するパターン被膜を剥離した後、乾燥させ、次いでガラス基板を電気炉中に入れ、温度580℃で5時間焼成処理を行い、絶縁パターンを得た。
<長期保存性(沈降の有無)>
調製した上記各ペースト組成物を容器中に密栓して1週間放置した後、容器上部と底部かからペースト組成物を試料として取り出し、それぞれの固形分の量の差を測定し、沈降の進行度を調べた。結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003719558
【0049】
【表2】
Figure 0003719558
(実施例10)
(1)ペースト組成物の調製
ガラス粉末としてPbO−B23−SiO2系ガラスフリット(平均粒径3μm)78重量部、高分子バインダーとしてカルボキシメチルセルロース(重量平均分子量約200,000)1.3重量部、フタル酸ジブチル10.7重量部、そしてプロピレングリコールモノメチルエーテル10重量部を3本ロールミルにてよくかくはん混練し、ペースト組成物を調製した。
(2)塗布処理
得られたペースト組成物をガラス基板上に、ドクターブレードを用いて乾燥後の膜厚が200μmとなるように塗布し、温度150℃の乾燥器中で2時間乾燥処理してペースト層とした。このときペースト層表面にクラックはみられなかった。
(3)サンドブラスト処理
上記ペースト層上に耐サンドブラスト性を有する被膜として感光性ドライフィルム(「ORDYL BF−603」;東京応化工業(株)製)を貼り付け、この上に、80μmのライン/80μmのスペースを有するマスクを密着させ、このマスクを介して、超高圧水銀灯を用い、300mJ/cm2のエネルギー線量で露光し、0.2%炭酸ナトリウム水溶液を用いて1.5kg/cm2のスプレー圧で現像した。
【0050】
次いで、研磨材としてガラスビーズ#800を使用し、ブラスト圧2kg/cm2 でサンドブラスト処理した。ブラストレートは240μm/sであった。また非切削部に剥がれはみられなかった。
(4)焼成処理
その後、該基板上を耐サンドブラスト性を有するパパーン被膜を剥離することなくガラス基板を電気炉中に入れ、温度580℃で5時間焼成処理を行った。焼成後、基板を取り出し観察したところ、クラックや剥がれはみられず、また耐サンドブラスト性を有する被膜の焼成不良による変色もみられず、優れた絶縁パターンが得られた。
【0051】
【発明の効果】
本発明のペースト組成物を用いることにより、プラズマディスプレイ等に適用される多層回路基板の製造において、特にサンドブラスト処理を行うに際し、ブラストレートが高く、クラックや剥がれのない、良好なパターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパターン形成方法の工程の概念説明図である。
【符号の説明】
1 基板
2 ペースト層
3 耐ブラスト性を有するパターン被膜
4 パターン

Claims (9)

  1. (A)ガラス粉末69.5〜95重量部、(B)高分子バインダー0.5〜5重量部、および(C)下記一般式(I)
    Figure 0003719558
    (式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素原子数3〜4のアルキル基を表す)で表されるジアルキルエステルの中から選ばれる少なくとも1種を4.5〜30重量部、を含有してなるペースト組成物。
  2. (C)成分がフタル酸ジブチル、フタル酸ジイソチル、およびイソフタル酸ジブチルの中から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載のペースト組成物。
  3. (C)成分がフタル酸ジブチルである、請求項2記載のペースト組成物。
  4. (C)成分の配合量が7〜20重量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペースト組成物。
  5. 基板上に請求項1〜4に記載のペースト組成物を塗布、乾燥してペースト層を形成後、該ペースト層上に耐サンドブラスト性を有するパターン被膜を形成し、次いでサンドブラスト処理を施すことによりペースト層を選択的に除去してパターンを形成した後、焼成することを特徴とする、パターン形成方法。
  6. 基板上に請求項1〜4に記載のペースト組成物を塗布、乾燥してペースト層を形成後、該ペースト層上に耐サンドブラスト性を有するパターン被膜を形成し、次いでサンドブラスト処理を施すことによりペースト層を選択的に除去してパターンを形成した後、耐サンドブラスト性を有するパターン被膜を剥離し、しかる後、焼成することを特徴とする、パターン形成方法。
  7. 温度400〜1700℃で焼成する、請求項5または6記載のパターン形成方法。
  8. 耐サンドブラスト性を有するパターン被膜が感光性樹脂組成物からなる、請求項5〜7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  9. 耐サンドブラスト性を有するパターン被膜が、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、水溶性セルロース樹脂、光重合開始剤、および(メタ)アクリレートモノマーを含有する感光性樹脂組成物からなる、請求項8記載のパターン形成方法。
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