JP3719010B2 - 放射線画像処理方法および放射線画像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、放射線画像処理方法および放射線画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、疾病の診断等のため、放射線画像を得ることができる放射線画像読取装置が知られている。この放射線画像読取装置では、例えば放射線エネルギーの一部を蓄積して、その後可視光等の励起光を照射すると蓄積されたエネルギーに応じて輝尽発光を示す輝尽性蛍光体をシート状とした輝尽性蛍光体シートが用いられる。この輝尽性蛍光体シートを用いる装置では、被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体シートに照射することで被写体の放射線画像情報を記録し、この情報が記録された輝尽性蛍光体シートにレーザ光等を照射して得られる輝尽発光を集光して光電素子で電気信号に変換することにより、この電気信号に基づいて放射線画像の画像データが生成される。さらに、Flat Panel Detector(FPD)と呼ばれる、2次元的に配列された複数の検出素子で照射された放射線の線量に応じた電気信号を生成し、この電気信号に基づいて画像データが生成される装置も使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、複数の検出素子が2次元的に配列されているFPDでは、照射された放射線の線量に対する電気信号の信号レベル(信号値)が全ての検出素子で均一ではなく、破損した素子や不良な素子など信号レベルが他の検出素子とは異なったレベル、すなわち異常なレベルとなってしまう検出素子(以下「欠陥画素」という)を含む場合がある。このような欠陥画素を含む場合には、撮像パネルから読み出された信号に基づく画像データにおいて画像欠陥が生じてしまうことから、撮影画像から病変等の読影をする際に、その妨げとなってしまう場合が生じてしまう。
【0004】
そこで、この発明では、画像データに画像欠陥が生じた場合であっても良好な放射線画像を得ることができる放射線画像処理方法および放射線画像処理装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る放射線画像処理方法は、2次元的に配列された複数の放射線検出素子から各放射線検出素子を1画素とする出力信号を得るものとし、前記出力信号に基づいて作成された第1の画像データから画像欠陥を検出すると共に、検出された画像欠陥の位置を示す欠陥情報を生成し、被写体を透過した放射線を前記複数の放射線検出素子に照射して作成した第2の画像データでの前記欠陥情報で示された画像欠陥の画像データを補正する放射線画像処理方法であって、第1の画像データから画像欠陥を検出するにあたって、第1の画像データとして縦方向あるいは横方向に隣接する複数ライン分の画像データを用いてライン状の画像欠陥を検出するものである。
【0006】
この発明に係る放射線画像処理装置は、2次元的に配列された複数の放射線検出素子から各放射線検出素子を1画素とする出力信号に基づいて作成された第1の画像データから画像欠陥を検出すると共に、検出された画像欠陥の位置を示す欠陥情報を生成する欠陥検出手段と、前記欠陥検出手段で生成された欠陥情報を記憶する欠陥情報記憶手段と、前記欠陥情報記憶手段に記憶した欠陥情報に基づき、被写体を透過した放射線を前記複数の放射線検出素子に照射して作成した第2の画像データの画像欠陥を補正する欠陥補正手段とを有する放射線画像処理装置であって、第1の画像データから画像欠陥を検出するにあたって、第1の画像データとして縦方向あるいは横方向に隣接する複数ライン分の画像データを用いてライン状の欠陥を検出するものである。
【0007】
この発明においては、2次元的に配列された複数の放射線検出素子から各放射線検出素子を1画素とする出力信号を得るものとし、出力信号に基づいて作成された第1の画像データから画像欠陥を検出すると共に、検出された画像欠陥の位置を示す欠陥情報を生成し、被写体を透過した放射線を複数の放射線検出素子に照射して作成した第2の画像データでの欠陥情報で示された画像欠陥の画像データを補正するとき、第1の画像データから画像欠陥を検出するにあたって、第1の画像データとして縦方向あるいは横方向に隣接する複数ライン分の画像データを用いてライン状の欠陥を検出するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の一形態について図を用いて詳細に説明する。被写体の放射線画像を得るために放射線発生器から出力された放射線は、被写体を通じて画像処理装置の撮像パネル11に照射される。撮像パネル11の領域は、図1に示すように複数のブロックAR-(0,0)〜AR-(m,n)に区分されている。1つのブロック、例えばブロックAR-(0,0)では、図2に示すように、照射された放射線の線量に応じて電気信号を出力する検出素子DT(0,0)〜DT(j,k)が2次元配置されていると共に、走査線114-0〜114-kと信号線116-0〜116-jが例えば直交するように配設される。
【0009】
走査線114-0〜114-kは走査駆動部14と接続されており、走査駆動部14では後述する制御部40から供給された制御信号CTAに基づき読出信号RSを生成して走査線114-0〜114-kのうちの1つ走査線114-p(pは0〜kのいずれかの値)に出力する。この読出信号RSによって、走査線114-pに接続された検出素子DT(0,p)〜DT(j,p)から、照射された放射線の線量に応じた電気信号SV-0〜SV-jが出力されて、信号線116-0〜116-jを介して画像データ生成部16-(0,0)に供給される。
【0010】
他のブロックAR-(0,1)〜AR-(0,n),AR-(1,0)〜AR-(1,n),・・・,AR-(m,n)もブロックAR-(0,0)と同様に、走査駆動回路14からの読出信号RSによって各ブロック内の(j×k)個の検出素子から、照射された放射線の線量に応じた電気信号SVが出力されて、各ブロックに対応する画像データ生成部16-(0,1)〜16-(0,n),16-(1,0)〜16-(1,n),・・・,16-(m,n)に供給される。
【0011】
なお、ブロックAR-(0,0)で用いた走査線114-0〜114-kを他の各ブロックでもブロックAR-(0,0)と同様に用いるものとすれば、各ブロックの例えば同じ列番号の検出素子から同じタイミングで電気信号SVを簡単に出力させることができる。
【0012】
ここで、検出素子DTは、照射された放射線の線量に応じた電気信号を出力するものであれば良い。例えば放射線が照射されたときに電子−正孔対が生成されて抵抗値が変化する光導電層を用いて検出素子が形成されている場合、この光導電層で生成された放射線量に応じた量の電荷が電荷蓄積コンデンサに蓄えられて、この電荷蓄積コンデンサに蓄えられた電荷が電気信号として画像データ生成部16に供給される。なお、光導電層としては暗抵抗値が高いものが望ましく、アモルファスセレン、酸化鉛、硫化カドミウム、ヨウ化第2水銀、または光導電性を示す有機材料(X線吸収コンパウンドが添加された光伝導性ポリマを含む)などが用いられ、特にアモルファスセレンが望ましい。
【0013】
また、検出素子DTが、例えば放射線が照射されることにより蛍光を生ずるシンチレータ等を用いて形成されている場合、フォトダイオードにおいて、このシンチレータで生じた蛍光強度に基づく電気信号を生成して画像データ生成部16に供給するものとしてもよい。なお、シンチレータとしては、Gd2O2S:Tb、MX:Tl(M=Rb、Cs:X=Cl、Br、I)、BaFX:Eu(X=Cl、Br、I)、LaOBr:A(A=Tb、Tm)、YTaO4、〔Y,Sr〕TaO4:Nb、CaWO4などが用いられ、特にGd2O2S:Tb、CsI:Tl、BaFCl:Euが望ましい。
【0014】
撮像パネル11の1つの検出素子は1画素とされて、画像データ生成部16-(0,0)では、制御部40から供給された制御信号CTBに基づき、供給された電気信号SV-0〜SV-jを順次選択してディジタルの画素データSD-(0,0)に変換する。また画像データ生成部16-(0,1)〜16-(0,n),16-(1,0)〜16-(1,n),・・・,16-(m,n)でも同様にして、画像データSD-(0,1)〜SD-(0,n),SD-(1,0)〜SD-(1,n),・・・,SD-(m,n)を生成する。画像データ生成部16−(0,0)〜16−(m,n)で生成された1画面分(1画像分)の画像データSD-(0,0)〜SD-(m,n)は、制御部40からの制御信号CTCに基づいて画像メモリ部20に書き込まれる。
【0015】
この画像メモリ部20には欠陥検出部24と欠陥補正部28が接続されており、欠陥検出部24では、制御部40からの制御信号CTDに基づき画像メモリ部20に書き込まれている画像データSDを用いて、電気信号SVの信号レベルが他の検出素子とは異なるレベルとなる検出素子からの画像データの検出、すなわち画像欠陥の検出を行う。ここで、欠陥検出部24で画像欠陥が検出されたときには、画像欠陥の位置を示す情報FDが生成されて欠陥情報メモリ部26に記憶される。
【0016】
また、欠陥補正部28では、制御部40からの制御信号CTEに基づき、放射線を被写体に照射して作成されて画像データSDが画像メモリ部20に書き込まれたときには、欠陥情報メモリ部26に記憶されている画像欠陥の位置を示す情報FDを用いて、画像メモリ部20の画像欠陥の画像データを補正する。
【0017】
その後、画像メモリ部20に書き込まれている画像データSDに対して、画像欠陥の補正が完了したときには、制御部40からの制御信号CTCに基づき、補正が完了した画像データが画像メモリ部20から読み出されて出力される。
【0018】
制御部40では、放射線照射前に撮像パネル11の電荷蓄積コンデンサから蓄えられている電荷を排出させるための初期化動作や撮像パネル11に照射された放射線に基づき電荷蓄積コンデンサに蓄えられた電荷を読み出して画像データを画像メモリ部20に書き込む処理、および画像欠陥の検出や補正を行うための制御信号CTA〜CTEが生成する。
【0019】
次に、欠陥検出部24での画像欠陥の検出方法および欠陥補正部28での画像欠陥の補正方法について説明する。
【0020】
画像欠陥の検出では、撮像パネル11の電荷蓄積コンデンサから蓄えられている電荷を排出させるための初期化動作を実施し、放射線未照射状態で生成されて画像メモリ部20に書き込まれた画像データ(以下「放射線未照射画像データSDA」という)、初期化動作を実施し放射線を一様に照射してから生成されて画像メモリ部20に書き込まれた画像データ(以下「放射線一様照射画像データSDB」という)、あるいは初期化動作を実施し被写体を透過させて放射線を照射してから生成されて画像メモリ部20に書き込まれた画像データ(以下「放射線被写体照射画像データSDC」という)を用いて画像欠陥の検出が行われる。
【0021】
図3は第1の画像欠陥の検出方法を説明するための図である。図3Aは、画像メモリ部20に書き込まれている1画面分の画像データを示しており、この画像メモリ部20から例えば横方向に画像データを順次読み出し、図3Bに示すようにしきい値TAH,TALと比較されて画像欠陥の検出が行われる。
【0022】
しきい値TAH,TALは例えば図4に示すように画像データのヒストグラムに基づいて設定される。正常な画像データの分布が図4の斜線部で示すような分布となる場合、低レベル側しきい値TALは正常な画像データの分布よりも低レベル側に設定されると共に、高レベル側しきい値TAHは正常な画像データの分布よりも高レベル側に設定される。ここで、画像データのレベルが高レベル側しきい値TAHよりも大きくなる画素P(a,ba)や低レベル側しきい値TALよりも小さくなる画素P(a,bb)は、画像欠陥を生ずる欠陥画素と判別されて、画素P(a,ba),P(a,bb)の位置情報が画像欠陥の位置を示す情報として欠陥情報メモリ部26に記憶される。
【0023】
図5は画像欠陥の第2の検出方法を説明するための図である。図5Aは、画像メモリ部20に書き込まれている1画面分の画像データを示しており、欠陥画素が生ずるか否かの判別が行われる画素P(c,d)に対して、例えば図5Bの斜線で示す周辺の8画素の画像データの平均レベルMD(c,d)を求め、画素P(c,d)の画像データSD(c,d)が平均レベルMD(c,d)に対して所定範囲内(MD(c,d)−W〜MD(c,d)+W)であるか否かの判別が行われる。ここで、画像データSD(c,d)が所定範囲内(MD(c,d)−W〜MD(c,d)+W)で無いときには画素P(c,d)が画像欠陥を生ずる欠陥画素と判別されて、画像欠陥の位置すなわち、画素P(c,d)の位置を示す情報が欠陥情報メモリ部26に記憶される。なお、平均レベルを算出するために用いられる画素の画像データは、図5Bの斜線で示す部分の8画素に限られるものでなく、例えばハッチングで示す部分を含めた24画素の画像データ等を用いても良い。また、「W」はもともとの画像データがもつレベル変動(ノイズなどに依存する)を検出せずに、画像欠陥を検出する範囲で任意に決めることができる。
【0024】
ところで、上述の第1および第2の画像欠陥の検出方法では、1画素毎に画像欠陥であるか否かを判別するものであるが、欠陥画素と正常画素の画像データのレベル差が大きくない場合には、レベル差が正常画素の画像データのレベル変動であるか画像欠陥であるか判別することが困難である。そこで、画像欠陥がライン状であるときには、欠陥画素と正常画素の画像データのレベル差が大きくない場合であっても画像欠陥を検出できる方法を第3の画像欠陥の検出方法として説明する。
【0025】
図6は第3の画像欠陥の検出方法を説明するための図である。図6Aは、画像メモリ部20に書き込まれている1画面分の画像データを示しており、この1画面分の画像データから、縦方向あるいは横方向に隣接する複数ライン分の画像データを読み出して、読み出し方向と直交する方向での平均レベルが求められる。この求められた平均レベルが上述の第1の画像欠陥の検出方法と同様にしきい値と比較されて画像欠陥の検出が行われる。
【0026】
例えば、図6Aに示すように横方向のeラインから(e+f)ラインまでの(f+1)ライン分の画像データが画像メモリ部20から読み出されて、縦方向の画素列毎の平均レベルが算出されて、図6Bに示すように(f+1)ライン分の画像データを平均した1ラインの画像データが算出される。ここで、画像欠陥が縦方向のライン状である場合、欠陥画素と正常画素の画像データのレベル差が大きくない場合であっても、平均レベルを算出することによって正常画素の画像データのレベル信号の変動分を小さくすることができる。このため、図6Cに示すように1ライン分の画像データでは検出しにくい画素P(e+h,g)の画像欠陥も、(f+1)ライン分の画像データの平均レベルを算出することで、図6Bに示すように画素P(e〜e+f,g)に相当する画像データを正常画素の画像データとは異なるレベルとすることができるので、複数ライン分の画像データの平均レベルに応じて設定された低レベル側しきい値TBLおよび高レベル側しきい値TBHと求められた平均レベルを比較し、求められた平均レベルが設定された低レベル側しきい値TBLから高レベル側しきい値TBHまでの範囲内であるか否かを判別することによって容易にライン状の画像欠陥を検出することができる。また、求められた平均レベルがeラインや(e+f)ラインの周囲の画像データの平均レベルに対して所定範囲内であるか否かによってもライン状の画像欠陥を検出することができる。ここで、画像欠陥と判別されたときには、縦方向に(f+1)行分の画素すなわち画素P(e〜e+f,g)が欠陥画素と判別されて、画素P(e〜e+f,g)の位置を示す情報が欠陥情報メモリ部26に記憶される。
【0027】
画像メモリ部20から読み出される画像データのヒストグラムが広い幅をもち、例えば図7Aに示すように1ラインの画像データSDCの信号レベルが広い範囲にある場合、画像メモリ部20から読み出された画像データとしきい値TCLおよびしきい値TCHを比較しただけでは画素P(q,r)の画像欠陥を検出することができない。そこで、被写体に応じた画像データから一様な勾配や低周波成分を除去するトレンド除去を行い、上述の第1〜第3の画像欠陥の検出方法を用いることにより、正しく画像欠陥の検出を行うことができる。
【0028】
このトレンド除去の一例としては、1ライン分の画像データからムージングを行って高周波成分を除くものとし、元の画像データからスムージングによって得られた画像データを減算あるいは除算することよって、図7Bに示すように低周波成分を除いた高周波成分だけの画像データHSDCが生成される。
【0029】
また、トレンド除去を行った場合には、図4と比較して図8の斜線で示すように正常な画像データのヒストグラムの幅が狭いものとされる。このため、低レベル側しきい値TDLから高レベル側しきい値TDHまでの幅も、トレンド除去を行う前よりも狭く設定することができるので、画像欠陥の検出を精度良く行うことができる。また、画像データHSDCを用いて上述の第2および第3の画像欠陥の検出方法を行うことにより、画像欠陥を検出することができることは勿論である。
【0030】
このようにして、欠陥検出部24で画像欠陥が検出されたときには、画像欠陥の位置を示す情報FDが欠陥情報メモリ部26に記憶される。ここで、欠陥情報メモリ部26には画像欠陥の位置を示す情報FDとして例えば画像欠陥を生ずる画素のアドレスが記憶される。また欠陥情報メモリ部26に、マップ形式で画像欠陥の位置を示す情報FDを記憶するものとしてもよい。すなわち、欠陥情報メモリ部26に1画面分の画素と対応するメモリ領域を設けるものとし、画像欠陥が検出されたときには、この画像欠陥と生ずる画素の位置と対応するメモリ領域内の位置に所定のデータ値を書き込むものとしてもよい。例えば、正常画素の信号レベルを「1」、欠陥画素の信号レベルを「0」などとすることができる。
【0031】
欠陥補正部28では、欠陥情報メモリ部26に記憶されている画像欠陥の情報FDを読み出して欠陥の位置を判別し、この判別された画像欠陥の画像データの補正を行う。ここで、画像欠陥の位置を示す情報として画像欠陥を生ずる画素のアドレスが記憶されているときには、記憶されたアドレスを順次読み出すことで画像欠陥の位置が判別される。またマップ形式で画像欠陥の位置を示す情報が欠陥情報メモリ部26に記憶されているときには、メモリ領域内のデータ値が所定のデータ値であるか否かを順次検出することにより画像欠陥であるか否かを判別することができる。
【0032】
この欠陥補正部28で画像欠陥の位置が判別されると、画像欠陥を生ずる画素の周囲の正常画素の画像データを画像メモリ部20から読み出し、この読み出した画像データを用いて補正を行う。補正方法の一例として、正常画素の画像データの平均レベルを欠陥画素の画像データとする、というものがある。図9Aに示すように、画像欠陥を生ずる画素P(s,t)の周囲が正常画素であるときには、画素P(s,t)の上下方向と左右方向に隣接する4画素、あるいは斜線で示す斜め方向に隣接する画素を含めた8画素、またはハッチングで示す部分を含めた24画素の画像データの平均レベルが算出されて、この平均レベルが補正後の画素P(s,t)の画像データとされる。
【0033】
また、画像欠陥を補正する場合には、画素P(s,t)からの距離によって画像データの重み付けを行うものとし、重み付けがなされた画像データの平均レベルを補正後の画像データとすることもできる。例えば図9Bに示すように、画素P(s,t)の中心から上下左右の画素の中心までの距離を「1」としたとき斜めの画素の中心までの距離が「√2」であることから、斜めの画素の画像データを(1/√2)倍して重み付けを行い、重み付けがなされた画像データの平均レベルが補正後の画像データとされる。
【0034】
なお、欠陥補正部28は、周囲の画像データの平均レベルを補正後の画像データとして用いるものに限られるものではなく、例えば『「Restoring Spline Interpolation of CT Images」IEEE TRANSACTION ON MEDICAL IMAGING VOL.MI-2,NO3 SEPTEMBER 1983 、「Cubic Convolution for Digtal Image Processing IEEE TRANSACTION ON ACOUSTICS AND SIGNAL PROCESSING VOL.ASSP-29」』に記載されているニアレスト・ネイバー補間、ベルースプライン補間、リニア補間、キュービック・コンボリュージョン補間等によって得られた画像データを補正後の画像データとして用いるものとしてもよい。
【0035】
このようにして得られた補正後の画像データは、画像メモリ部20に供給されて画像欠陥の位置と対応する画像メモリ部20の位置に書き込まれるか、または補正した画像データを用い、新たに1つの画像データを作成し画像メモリ部20に書き込むようにする。
【0036】
次に放射線画像処理装置の動作について説明する。撮像パネル11を用いて放射線画像の撮影する場合、画像メモリ部20に放射線未照射画像データSDAや放射線一様照射画像データSDBあるいは放射線被写体照射画像データSDCを画像メモリ部20に書き込み、この画像メモリ部20に書き込まれている画像データを用いて、欠陥検出部24で画像欠陥の検出を行う。
【0037】
この画像欠陥の検出では、放射線未照射画像データSDAや放射線一様照射画像データSDBあるいは放射線被写体照射画像データSDCのいずれか1種類の画像データを用いて画像欠陥の検出を行っても良く、また複数種類の画像データを用いて画像欠陥の検出を行っても良い。さらに、画像データとして放射線未照射画像データSDA、放射線一様照射画像データSDBのいずれか1つあるいは両方の画像データを用いることが望ましい。また、上述の第1〜第3の画像欠陥の検出方法のいずれか1つの方法あるいは複数の検出方法を用いて画像欠陥の検出を行っても良いことは勿論である。この欠陥検出部24で画像欠陥が検出されたときには、この画像欠陥の位置を示す情報FDが欠陥情報メモリ部26に記憶される。
【0038】
欠陥情報メモリ部26に画像欠陥の位置を示す情報FDが記憶されているときに、画像メモリ部20に放射線被写体照射画像データSDCが書き込まれると、欠陥情報メモリ部26に記憶された画像欠陥の位置を示す情報FDに基づき画像メモリ部20に書き込まれている放射線被写体照射画像データSDCを用いて平均レベル等を算出することにより補正後の画像データが生成される。この生成された画像データが画像欠陥の位置と対応する画像メモリ部20の位置に書き込まれるか、または補正した画像データを用い、新たに1画面分の画像データを作成し画像メモリ部20に書き込み画像欠陥の補正が行われる。この補正処理された1画面分の画像データが画像メモリ部20から読み出されて出力されることにより、画像欠陥が補正された良好な放射線画像を速やかに得ることができる。
【0039】
また、所定期間経過毎に、あるいは放射線画像の撮影が所定回数行われる毎に欠陥検出部24で画像欠陥の検出を行うものとすれば、欠陥画素が増加した場合であって良好な放射線画像を速やかに得ることができる。
【0040】
なお、画像欠陥の検出および画像欠陥の補正は、画像データ生成部16から画像メモリ部20に書き込まれた画像データを用いて行われる場合に限られるものではなく、既に撮影された画像データを画像メモリ部20に書き込むものとすれば、上述したように画像欠陥の検出および画像欠陥の補正を行うことで、既に撮影された画像データからも良好な放射線画像を得ることができる。
【0041】
さらに、上述の実施の形態では、欠陥検出部24で自動的に画像欠陥の検出を行い、検出された画像欠陥の位置を示す情報FDを欠陥情報メモリ部26に記憶するものとしたが、図示しない画像表示装置の画面上に撮影画像を表示させて、ユーザが表示された撮影画像から画像欠陥を検出したときには、この検出された画像欠陥の位置を情報FDとして欠陥情報メモリ部26に書き込むことができるようにしてもよい。この場合、欠陥検出部24で検出することができない画像欠陥が生じていても画像欠陥の補正を行うことができるので、更に良好な放射線画像を得ることができる。
【0042】
なお、上述の実施の形態では、撮像パネル11の領域を複数のブロックに区分して、それぞれブロックから並列して電気信号SVを出力するものとしたが、撮像パネル11は領域が複数のブロックに区分されたものに限られるものでないことは勿論である。
【0043】
【発明の効果】
この発明によれば、第1の画像データから画像欠陥を検出するにあたって、第1の画像データとして縦方向あるいは横方向に隣接する複数ライン分の画像データを用いてライン状の欠陥の検出が行われるので、1画素単位では画像欠陥か否かを判別し難い場合でも画像欠陥の検出が可能となり、この検出結果を利用して画像データの補正を行うことで良好な放射線画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る放射線画像処理装置の構成を示す図である。
【図2】ブロックAR-(0,0)を示す図である。
【図3】第1の欠陥画素検出方法を説明するための図である。
【図4】しきい値の設定方法を説明するための図である。
【図5】第2の欠陥画素検出方法を説明するための図である。
【図6】ブロックAR-(0,0)を示す図である。
【図7】照射野出力部の構成を示す図である。
【図8】照射野認識装置の動作を説明するための図である。
【図9】輪郭候補点の他の接続方法を説明するための図である。
【符号の説明】
11 撮像パネル
14 走査駆動部
16 画像データ生成部
20 画像メモリ部
24 欠陥検出部
26 欠陥情報メモリ部
28 欠陥補正部
40 制御部
Claims (4)
- 照射された放射線の線量に応じて電気信号を出力する複数の放射線検出素子が2次元に配置されていると共に、走査線と信号線が直行するように配置されており、前記2次元に配置された複数の放射線検出素子から各放射線検出素子を1画素とする出力信号を得るものとし、前記出力信号に基づいて作成された第1の画像データから画像欠陥を検出すると共に、検出された画像欠陥の位置を示す欠陥情報を生成し、被写体を透過した放射線を前記複数の放射線検出素子に照射して作成した第2の画像データでの前記欠陥情報で示された画像欠陥の画像データを補正する放射線画像処理方法であって、
前記第1の画像データから画像欠陥を検出するにあたって、第1の画像データとして縦方向あるいは横方向に隣接する複数ライン分の画像データを用いて、ライン状の画像欠陥を検出する事を特徴とする放射線画像処理方法。 - 前記第1の画像データとして更に画素毎の画像データを用いる事を特徴とする請求項1に記載の放射線画像処理方法。
- 前記第1の画像データは、トレンド除去した後の画像データであることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線画像処理方法。
- 照射された放射線の線量に応じて電気信号を出力する複数の放射線検出素子が2次元に配置されていると共に、走査線と信号線が直行するように配置されており、前記2次元に配置された複数の放射線検出素子から各放射線検出素子を1画素とする出力信号に基づいて作成された第1の画像データから画像欠陥を検出すると共に、検出された画像欠陥の位置を示す欠陥情報を生成する欠陥検出手段と、前記欠陥検出手段で生成された欠陥情報を記憶する欠陥情報記憶手段と、前記欠陥情報記憶手段に記憶した欠陥情報に基づき、被写体を透過した放射線を前記複数の放射線検出素子に照射して作成した第2の画像データの画像欠陥を補正する欠陥補正手段とを有する放射線画像処理装置であって、前記第1の画像データから画像欠陥を検出するにあたって、第1の画像データとして少なくとも縦方向あるいは横方向に隣接する複数ライン分の画像データを用いて、ライン状の画像欠陥を検出することを特徴とする放射線画像処理装置。
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