JP3718820B2 - バーナ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は燃焼の安定化が図れるバーナに関する。
【0002】
【従来の技術】
事業用ボイラなどのように空気過剰率が低く、理論空気量よりもわずかに多い燃焼用空気で燃焼を行う燃焼装置のバーナなどにおいては、窒素酸化物NOx発生を抑えるために、バーナ後流の燃焼室内で燃料と空気とが混合しながら燃焼がすすむ拡散火炎を形成するのが有効な手段である。
【0003】
気体燃料の拡散燃焼においては保炎性を確保するために、バーナに2種類のブラフボディ型保炎器を設ける場合が多い。図4はかかる従来のバーナの一例の構造を説明する図であり、図4(a)はかかるバーナの断面図であり、図4(b)はかかるバーナのバーナスロート部分の正面図である。同図を参照して、バーナ40のバーナスロート49には、ウインドボックス44より、燃焼用空気が1次空気、2次空気、3次空気に分かれて供給される。矢示45は1次空気、矢示46は2次空気、矢示47は3次空気の流れをそれぞれ示すものである。なお、48は3次空気の流れを方向づけるエアレジスタである。バーナ40は複数の気体燃料噴出ノズル(ガススパッド)43を備え、それぞれの先端部には個々に保炎器(フレームホールダ)50を設け、ガススパッド43ごとに保炎させるとともに、バーナ中心部に、一般にフレームホールダ50に比べて大きな共通の保炎器(インペラ)51を設けてバーナ40全体としての保炎を強化させる方法がとられている。ガススパッド43には矢示41で示したように燃料ガスリング42を介してガス燃料が供給される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術は窒素酸化物NOx低減のための排ガス混合を実施しない場合、あるいは排ガス混合割合が小さい場合つまりウインドボックス44のO2濃度が19%程度以上の場合には優れた保炎性能を発揮する。しかしながら、排ガス混合割合の増加によってウインドボックス44のO2濃度が19%程度を下回る場合には、保炎形態の変化により不安定燃焼に至ることがある。かかる不安定燃焼に至る理由を以下に順を追って説明する。
【0005】
(1)まず、ウインドボックス44のO2濃度低下が引き金になってフレームホールダ50での保炎性が低下し、フレームホールダ50の近傍での酸素消費量が減少する。
【0006】
(2)次に、フレームホールダ50の近傍での酸素消費量減少分は、インペラ51後流の燃焼に寄与するため、インペラ51後流での保炎性が強化される。
【0007】
(3)インペラ51の後流での保炎強化に助けられ、フレームホールダ50での保炎性が向上し、フレームホールダ50近傍での酸素消費量が増加する。
【0008】
(4)フレームホールダ50近傍での酸素消費量増加により、インペラ51の後流のO2分圧が低下し、インペラ51の後流での保炎性が低下する。
【0009】
(5)インペラ51の後流での保炎性低下によりフレームホールダ50での保炎性も低下し、上記(1)の状態に戻り、また上記(1)から(5)を繰り返す。
【0010】
上記現象は、フレームホールダ50、インペラ51の2種類の保炎機構がお互いに干渉しあった結果、不安定燃焼に至ったものである。
【0011】
本発明の課題は、燃焼空気のO2濃度が低い場合であっても複数の保炎器が干渉することによる不安定燃焼を防止することにある。
【0012】
上記課題の解決は気体燃料燃焼火炎を強固な保炎機能を備えた唯一の保炎器により形成せしめることにより達成される。その要旨は、燃焼用の1次空気を供給する先端に開口を有する1次空気スリーブと、前記1次空気スリーブの先端部の周囲に燃焼用の2次空気を供給する2次空気流路と、前記1次空気スリーブの先端から前記2次空気流路内に拡径して設けられた環状の保炎器と、該保炎器の周囲の前記2次空気流路内に配置され前記保炎器よりも後流側に位置された先端部を有しフレームホルダ等の個別の保炎器を備えていない複数の気体燃料の噴出ノズルとを備え、前記噴出ノズルの先端部に前記気体燃料を噴出する主噴口と側噴口とが設けられ、前記側噴口は噴射する前記気体燃料が前記保炎器で保炎されて燃焼し保炎域を形成するように設けられ、前記主噴口は噴射する前記気体燃料が前記保炎器の後流側に形成される前記保炎域の周囲で燃焼するように設けられてなることを特徴とする。
【0013】
また、上記環状の保炎器は、1次空気スリーブの先端に設けられた鍔部とこの鍔部の外周に同心に設けられた筒部とを有してなり、側噴口は、環状の保炎器の筒部先端の後流近傍に向けて気体燃料を噴射するように形成することができる。
【0014】
さらに、1次空気及び/又は2次空気の流量を調節する手段を有する構成にできる。
【0015】
【作用】
側噴口から噴射された燃料は環状で唯一の保炎器により保炎されて燃焼し保炎域を形成する。かかる保炎器がバーナ全体で唯一の保炎器であるため複数の保炎機構が干渉しあって不安定燃焼を起こすことはない。主噴口から噴射された燃料は保炎域の周囲に噴射されるから、該保炎域により点火され拡散火炎を形成する。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の一実施例にかかるバーナの構造を示す断面図である。図1(a)はかかるバーナの断面図であり、図1(b)はかかるバーナのバーナスロート部分の正面図である。同図において、バーナ1のバーナスロート部5には、ウインドボックス6により燃焼用空気が1次空気、2次空気に分かれて供給される。また、バーナ1には燃焼用の1次空気が流れる1次空気流路となる1次空気スリーブ2と、バーナスロート部5に設けられ1次空気流路から流れてきた燃焼用の1次空気を放出する1次空気放出口3と、1次空気放出口3の周囲に配置され、燃焼用の2次空気を放出する2次空気放出口4とを備えている。矢示7は1次空気の、矢示8は2次空気の流れをそれぞれ示すものである。
【0017】
1次空気放出口3の先端部には保炎器14が設けられている。該保炎器14は環状で、本実施例のバーナ1で唯一の保炎器であり、本実施例のバーナ1においては他にガススパッド9の先端部などに保炎器を設けたりなどはしていない。保炎器14は1次空気スリーブ2の軸方向の断面が図1(a)のように、くの字形に1次空気放出口3の先端部から張り出している。
【0018】
2次空気放出口4には例えば8本のガススパッド9が設けられ、その先端部は2次空気放出口4の先端部に配置される。ガススパッド9の先端部には側噴口11、主噴口12が設けられている。ガススパッド9には燃料ガスリング13を介し、矢示15に示すように燃料ガスが供給される。燃料ガスはその10%〜50%程度を側噴口11から噴射し、残りの90%〜50%程度を主噴口12から噴射する。16はこのように噴射される側噴口11からの燃料ガスを示し、17は主噴口12から噴射される燃料ガスを示す。
【0019】
19は1次空気の流量を調節する1次空気ダンパであり、10は2次空気の流れを方向づけるエアレジスタである。かかる1次空気ダンパ19、エアレジスタ10による1次空気、2次空気の空気配分のコントロールにより、1次空気、2次空気の流量を調節して安定燃焼条件を強化することができる。すなわち、1次空気ダンパ19の開度調節により、保炎器14の局部空燃比の適正化が可能であり、エアレジスタ10の開度調節により2次空気の旋回強度が変化し、管状再循環保炎域18の大きさの適正化が可能である。
【0020】
つづいて本願発明の他の実施例にかかるバーナについて説明する。図3は本願発明にかかる他の実施例にかかるバーナの構造を説明する図である。図3(a)はかかるバーナの断面図であり、図3(b)はかかるバーナのバーナスロート部分の正面図である。図1と同符号の部材等は図1を参照して説明した前記の部材等と同様の部材等である。本実施例にかかるバーナは、1台で燃料ガスと液体燃料のいずれも燃焼可能であり、切り替えにより、いずれの燃料を燃焼させるか選択できるバーナに本願発明を適用したものである。
【0021】
本実施例のバーナは1次空気スリーブ2内に液体燃料を燃焼させる液体燃料バーナ20が設けられている。該液体燃料バーナ20の先端部には液体燃料の噴射口22と該噴射口22から噴射された液体燃料の燃焼を安定させる先端部の形状が円形または矩形状の第2の保炎器であるインペラ21が設けられている。また、噴射口22とインペラ21を備えた液体燃料バーナ20の先端部を1次空気スリーブ2の軸方向に手動または自動で移動させる図示しない液体燃料バーナスライド装置を公知の手段により設けている。これにより液体燃料バーナ20の先端部を図3(a)のとおり1次空気スリーブ2内に収容することも保炎器14の先端部21´に位置させることも可能である。これにより燃料ガスを燃焼させるときには、保炎器14による保炎機構と干渉しないように液体燃料バーナ20の先端部を1次空気スリーブ2内に収容する。
【0022】
次に、本実施例にかかるバーナ1の動作について説明する。側噴口11から噴射された燃料ガスは保炎器14に保炎されて燃焼し図2に示すように保炎器14の後流には、ブラフボディ効果により環状の再循環保炎域18が形成される。主噴口12からは該保炎域18の周囲に燃料ガスが噴射され該ガスは保炎域18の火炎により点火されて燃焼し拡散火炎を形成する。保炎器14はバーナ1全体で唯一の保炎器であるから、複数の保炎機構が干渉しあって不安定燃焼を生じることがない。また、保炎器14は環状の保炎器であるため再循環保炎域18の一部に変動が生じても、保炎機構全体としては安定した燃焼を維持できる。
【0023】
また、1次空気ダンパ19、エアレジスタ10により前述のように1次空気、2次空気の流量を適度に調節して保炎器14の局部空燃比を適正化し、また、再循環保炎域18の大きさの適正化を図る。
【0024】
また、図3を参照して説明した前記のバーナ1については、燃料ガスを燃焼させるときは保炎器14による保炎機構と干渉しないように液体燃料バーナ20の先端部を1次空気スリーブ2内に収容する。液体燃料を燃焼させるときは、液体燃料バーナ20の先端部を保炎器14の先端部21´に位置させる。これにより液体燃料はインペラ21に保炎されて燃焼し、保炎器14による干渉を受けることなく安定燃焼する。
【0025】
以上説明した本実施例にかかるバーナ1によれば、保炎器14はバーナ1全体で唯一の保炎器であるから、複数の保炎機構が干渉しあって不安定燃焼を生じることがない。
【0026】
また、保炎器14は環状の保炎器であるため再循環保炎域18の一部に変動が生じても、保炎機構全体としては安定した燃焼を維持できる。
【0027】
図3を参照して説明した前記のバーナ1については、液体燃料バーナ20の先端部を1次空気スリーブ2内に収容することができるから、燃料ガスの燃焼を行うときも、液体燃料の燃焼を行うときも保炎器14、インペラ21のいずれかのみにより保炎されて燃焼され、切り替えにより、燃料ガスと液体燃料のうち、いずれの燃料を燃焼させるか選択できるバーナにおいても不安定燃焼を生じることがない。
【0028】
さらに、1次空気ダンパ19、エアレジスタ10により保炎器14の局部空燃比を適正化し、また、再循環保炎域18の大きさの適正化を図ることができる。
【0029】
このように本実施例によれば、保炎器はバーナ全体で唯一の保炎器であるから、複数の保炎機構が干渉しあって不安定燃焼を生じることがない。
【0030】
また、保炎器は環状の保炎器であるため保炎域の一部に変動が生じても、保炎機構全体としては安定した燃焼を維持できる。さらに、燃料噴射口を備えた前記のバーナにおいては、燃料噴射口を1次空気放出口内に収容することができるから、燃料ガスの燃焼を行うときも、液体燃料の燃焼を行うときも環状の保炎器、第2の保炎器のいずれかのみにより保炎されて燃焼され、燃料ガスと液体燃料のうち、いずれの燃料を燃焼させるか選択できるバーナにおいても不安定燃焼を生じることがない。
【0031】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、燃焼空気のO 2 濃度が低い場合であっても不安定燃焼を起こさないバーナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施例にかかるバーナの構造を説明する図であり、図1(a)はかかるバーナの断面図であり、図1(b)はかかるバーナのバーナスロート部分の正面図である。
【図2】 本発明の1実施例にかかるバーナにより形成される再循環保炎域について説明する図である。
【図3】 本発明の他の実施例にかかるバーナの構造を説明する図であり、図3(a)はかかるバーナの断面図であり、図3(b)はかかるバーナのバーナスロート部分の正面図である。
【図4】 従来のバーナの構造を説明する図であり、図4(a)はかかるバーナの断面図であり、図4(b)はかかるバーナのバーナスロート部分の正面図である。
【符号の説明】
1 バーナ
9 ガススパッド
11 側噴口
12 主噴口
14 保炎器
Claims (2)
- 燃焼用の1次空気を供給する先端に開口を有する1次空気スリーブと、前記1次空気スリーブの先端部の周囲に燃焼用の2次空気を供給する2次空気流路と、前記1次空気スリーブの先端から前記2次空気流路内に拡径して設けられた環状の保炎器と、該保炎器の周囲の前記2次空気流路内に配置され前記保炎器よりも後流側に位置された先端部を有しフレームホルダ等の個別の保炎器を備えていない複数の気体燃料の噴出ノズルとを備え、前記噴出ノズルの先端部に前記気体燃料を噴出する主噴口と側噴口とが設けられ、前記側噴口は噴射する前記気体燃料が前記保炎器で保炎されて燃焼し保炎域を形成するように設けられ、前記主噴口は噴射する前記気体燃料が前記保炎器の後流側に形成される前記保炎域の周囲で燃焼するように設けられてなることを特徴とするバーナ。
- 前記環状の保炎器は、前記1次空気スリーブの先端に設けられた鍔部と該鍔部の外周に同心に設けられた筒部とを有してなり、
前記側噴口は、前記環状の保炎器の筒部先端の後流近傍に向けて前記気体燃料を噴射するように形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のバーナ。
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