JP3718299B2 - 温度応動弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばシャワー装置等において最適な使用温度よりも高い湯の吐水を防ぐための温度応動弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば浴室に備えるシャワー装置は、湯水混合栓にホースによって接続したシャワーヘッドから適切な温度の湯を散水するものが一般に使用されている。このようなシャワー装置では、湯水混合栓の水側及び湯側の弁開度をそれぞれ様々な機構によって調整することにより、散水の温度が設定される。
【0003】
一方、給水圧や給湯圧の急激な変動やその他の何らかの原因によって、実際に散水される温度が設定した値よりも高くなったり低くなったりすることがある。この場合、特に異常に高温の散水になると危険を伴うので、シャワーヘッドに向かう湯の温度が或る温度を超えるとその供給を遮断するようにした温度応動弁を備えることが有効である。
【0004】
このような温度応動弁としては、たとえば特公平3−9354号公報や米国特許第5,295,554号に記載されたものがある。
【0005】
前者のものは流路中に組み込んだ弁体に、混合水温度に応じて収縮可能な感温体を連接した構成であり、混合水温度が上昇してこの感温体が膨張するような変形をしたときに弁体を弁座側に移動させて閉弁させるようにしたものである。
【0006】
このような感温体を用いるものでは、その構造が比較的簡単であるという利点がある。しかしながら、この感温体の膨張変形によって弁体を直接閉弁方向に動かすので、閉弁動作が可能なストロークが得られしかも弁体を押すための力も十分にするためには、一般的に高価な感温体を採用することが必要となり、コスト面での障害は無視できない。
【0007】
また、後者のものは、ダイヤフラム式の主弁に対してその開弁方向に付勢力を与えるパイロット弁に形状記憶合金製の板バネを組み込んだものであり、パイロット弁を通過する少量の湯の温度が高温になるとダイヤフラムを閉弁させる機構としたものである。このような形状記憶合金性の板バネを備えるダイヤフラム式のパイロット弁を備えるものでは、混合水の温度上昇時での閉弁の駆動力を十分に得ることができるので、感温体の変形だけに基づく弁体の移動による閉弁に比べるとより一層可能な作動が確保される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
たとえば温度応動弁を湯水混合水栓のシャワー用として使用する場合には、使用条件や様々な設備に適合した供給水圧及び供給流量の範囲で確実に作動させることが必要である。すなわち、水圧が低くても高くてもまた流量が変動したとしても、使用温度の限界を越える混合水の温度となったときにはいつでも速やかに流路を遮断する機能を持つものでなければならない。
【0009】
一方、先に説明したダイヤフラムを連動させるパイロット弁を設けるものでは、パイロット弁機能を持たせるのに必須の構成であるダイヤフラムの絞り部分の前後での圧力差を利用して閉弁させるというのがその動作の基本である。このため、たとえば使用または供給流量が少なくて圧力差が発生し難いというような条件の下では、温度応動弁の作動不良に陥る可能性がある。
【0010】
これに対し、流量が少ないという条件でも温度応動弁を作動させるためには、ダイヤフラムの動作時間を短くするためにそのストロークを小さくすれば一応の作動の確保は可能である。
【0011】
しかしながら、このようにダイヤフラムのストロークが小さいと、その分だけ圧力損失が増えることになり、供給水圧が低い場合には十分なシャワー流量を確保することができなくなる。したがって、通水量を確保するためには流路面積を大きくすることで対応する以外になく、その結果装置の嵩も大きくなってしまう。このため、たとえば温度応動弁を湯水混合栓にホースによって接続したシャワーヘッドへの流路に組み込む場合では、混合水を出た直後の湯の温度を感知して流路の遮断をすることが最も好ましく、湯水混合栓の背部に連結されてホースの基端を接続したエルボ等の継手に組み込むことが最良であるが、このような組み込みが実現できなくなる。
【0012】
また、このパイロット弁式の温度応動弁の他にも、たとえば特公平3−64751号公報に記載されているような形状記憶合金製のコイルスプリングの変形及び復元を利用するものも既に提案されている。しかしながら、形状記憶素子として組み込むコイルスプリングによる通水抵抗が大きくて圧力損失に影響することは同様であり、その全体の嵩が大きくなるだけでなく、高温の湯の通過に対して弁体の閉弁時間の遅延による熱湯の吐出が避けられない等の問題がある。
【0013】
このように、従来の温度応動弁では、形状記憶素子として組み込むスプリングによる通水抵抗が大きいことや全体の嵩が大きくなるだけでなく、高温の湯の通過に対して弁体の閉弁時間の遅延による熱湯の吐出が避けられない等の問題がある。
【0014】
本発明において解決すべき課題は、通水抵抗を小さくして十分な流量を確保できると同時に全体の小型化によって流路中への組み込みの自由度を向上させ、しかも湯の高温側へ温度変動に対して瞬時に閉弁態勢に設定できる温度応動弁を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の温度応動弁は、流路中に設けた主弁体と、この主弁体の閉弁動作を起動するためのパイロット弁と、或る温度以上になるとこのパイロット弁を駆動する温度応動手段とを備え、この温度応動手段によって駆動されてパイロット弁が移動したとき、主弁体の一次側及び二次側への給水圧の差によってこの主弁体を弁座側に移動着座可能としてなる温度応動弁において、パイロット弁を主弁体周りに外挿したスプール弁としてなることを特徴とする。
【0016】
この温度応動弁によれば、通過流体が高温になったときの温度応動手段への伝熱によってこの温度応動手段がパイロット弁を駆動して移動させることで、主弁体を閉弁方向に押す一次側の圧力を二次側よりも大きくし、これによって主弁体を弁座に着座させることができ、高温の流体の供給が遮断される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明においては、パイロット弁を主弁体周りに外挿したスプール弁とすることができ、この場合、主弁体の開弁時においては主弁体が一次側の流路に臨む部位を遮断するスプール弁のスプール弁体の配置とし、或る温度以上で温度応動手段によって駆動されるとき、スプール弁体は主弁体が一次側の流路に連通可能な位置に移動可能な構成とすることができる。また、主弁体の開弁時においてはスプール弁体を主弁体の弁座側に位置させると共に主弁体が一次側に臨ませた配置とし、或る温度以上で温度応動手段によって駆動されるとき、スプール弁体は開弁位置にある主弁体側に移動可能とし且つこの主弁体が一次側に臨む流路面積を縮小可能な構成としてもよい。載の温度応動弁。
【0018】
また、温度応動手段によって主弁体側への副流路を開閉可能なパイロット弁を主弁体よりも上流側に備え、主弁体の開弁時においてはパイロット弁により副流路を閉じ、或る温度以上で温度応動手段によって駆動されるとき、パイロット弁体が移動して副流路を開放可能な構成とすることもできる。
【0019】
温度応動手段を形状記憶素子としてパイロット弁に連接し、この形状記憶素子の高温側への温度変化に応じた変形によってパイロット弁の動作を介して主弁体をその閉弁方向へ駆動可能な構成としてもよい。
【0020】
更に、主弁体は、上流側からの流体圧を受圧可能であって流体の通過方向に移動可能に配置され且つその開弁方向に付勢手段によって付勢され、パイロット弁のパイロット弁体は主弁体との間での軸線方向の位置関係によって流路の開度を設定可能とすることもできる。
【0021】
温度応動手段を形状記憶素子性の温度応動スプリングとしてパイロット弁のパイロット弁体を駆動方向に付勢可能とし、更にこの温度応動スプリングの付勢方向と逆向きにパイロット弁体を付勢するバイアススプリングを備えるようにしてもよい。そして、主弁体にはこれを開弁方向に付勢するスプリングを連接したものとしてもよい。
【0022】
また、主弁体が閉弁している期間、流体の下流へのリークを許す流路構成とすることもでき、この場合、入口から出口までの流路の周壁に流体リーク用の逃がし孔を開け、主弁体及びパイロット弁体との間を水密状に連接し、パイロット弁体の周壁には入口側と出口側とを水密状に分断して摺動するガイドを設けると共にこのガイドには入口側と出口側とを連通させる連絡孔を設け、主弁体がその閉弁位置にあるとき、ガイドが逃がし孔よりも入口側に位置し連絡孔を逃がし孔に連通可能な構成とすることできる。
【0023】
更に、入口から出口までの流路の中途であってパイロット弁体のストロークの範囲に含まれる位置に、出口より下流の流路に連通する第2の出口を設け、温度応動手段の高温側への変形によるパイロット弁体の移動によって第2の出口を閉塞すると同時に、入口から出口までの間を小流量の流体が通過可能な流路構成としてもよく、この場合、第2の出口と前記パイロット弁体との間の着座面をテーパ嵌合面とすることができる。そして、パイロット弁体を環状体とすると共に、主弁体はパイロット弁体を貫通し且つ前記出口から立ち上げた筒状の弁座に着座可能なコーンを備え、温度応動スプリングを弁座の外側に配置し、パイロット弁体及び弁座に温度応動スプリングを巡って出口までの流路を連通させる水抜き孔を開け構成とすることもできる。
【0024】
このような構成において、パイロット弁体に形状記憶素子としての温度応動スプリングを連接することによって高温の湯の通過の際にはパイロット弁体が主弁体から下流側へ向かう流路を絞るので、この主弁体の下流側が減圧状態となり、主弁体は上流側からの流体圧を受けて瞬時に閉弁する。したがって、温度応動スプリングはパイロット弁体を主弁体側に向けて移動させるだけの駆動力さえ持つものであればよく、スプリングの小型化が図られる。
【0025】
また、通過流体が高温になって主弁体がその閉弁方向に動き始めるとき、主弁体が流体の入口側の流路内壁から少し離れると、通過流体の流動圧がこの主弁体を閉弁させる方向に作用し、通過流体の流れを利用して高温流体の流れが速やかに遮断される。
【0026】
形状記憶素子として形状記憶合金製の温度応動スプリングを利用する場合では、通過流体の流動圧の助けを借りて主弁体をその閉弁位置に駆動するので、温度応動スプリングの発生荷重は小さくて済み、その外径も小さくすることができる。このため、温度応動スプリングを収納するためのスペースも小さくなるほか、流路抵抗も小さくすることができるので流量も十分に確保される。
【0027】
また、主弁体によって流路が閉じられたときに流体を下流側にリークさせるものでは、閉弁後に上流側に残存する高温流体を微小の流量で下流に排出し、吐出端から吐出されても流量は極めて小さいので高温流体による被害を受けることがない。
【0028】
更に、第2の出口を設けて高温時の温度応動スプリングの変形によってパイロット弁体がこの第2の出口を閉じ且つ小流量の流体が出口へ向かうような流路構成としたものでは、高温遮断の後でも温度応動スプリングは入口からの流体に曝すようにすることで流体の温度を感知することができる。そして、高温時においては主弁体が出口側への流路を遮断すると同時にパイロット弁体が第2の出口を塞ぐが、流路遮断の後に低温流体が供給されると温度応動スプリングの復元によってパイロット弁体は第2の出口を開いていく。したがって、入口から出口の間に位置している主弁体については上流側及び下流側の間での圧力差がなくなり、主弁体をその開弁方向に付勢している付勢手段によって主弁体が開弁方向に移動する。このため、高温遮断後に低温流体を供給しさえすれば、主弁体は開弁状態に自動復帰して流体の供給が再開される。
【0029】
【実施例】
図1は本発明の温度応動弁を備えた浴室用のシャワー設備を示す要部の側面図である。
【0030】
図において、浴室の壁に固定した湯水混合栓1にホース2を介してシャワーヘッド3が接続されている。湯水混合栓1は従来のものと同様に、建屋側に配管した給水管及び給湯管(図示せず)に接続して壁に固定され、その吐水管1aとシャワーヘッド3側への流路を切り換えて使えるようにしたものであり、ハンドル操作によって水と湯との混合比や流量を調整可能としたものである。
【0031】
湯水混合栓1の間には従来のものと同様にエルボ1bを連結し、このエルボ1bの中に温度応動弁4を差し込んで一体に組み込む。なお、このような組み込みに代えて、エルボ1bとホース2との間に温度応動弁4を配置するようにしてもよく、いずれにしても湯水混合栓1の混合水の流出部の近傍に温度応動弁4を位置させればよい。
【0032】
図2は温度応動弁4をエルボ1bに組み込んだ部分の要部の縦断面図、図3は温度応動弁4の部材の分解斜視図である。
【0033】
温度応動弁4はエルボ1bの下端から差し込まれるハウジング41とその上端に取り付けたキャップ42とを外郭部材として備えると共に、このハウジング41の内部に主弁体43及びパイロット弁としてスプール弁体44を配置したものである。
【0034】
ハウジング41は、図3に示すように周壁を開放させた籠状に形成され、図4の(a)に示すように下端には挿通孔41dを有する十字状に仕切られた流出口41aを設けるとともにその周りには弁座41bを形成し、更にこの弁座41bの外側には環状溝41cを備えたものである。
【0035】
キャップ42はハウジング41の上端に固定したときに流入路として形成される流入口42aを図4の(b)に示すように開けるとともに、その底面にはスプール弁体44が着座するパッキン42bを設け、更に中央部にはその下端を平坦面とした突起42cを形成したものである。
【0036】
スプール弁体44は等径の中空円筒状とし、その下端をハウジング41の環状溝41cの中に摺動可能に挿入して配置されるものであり、その上限及び下限の位置のいずれにおいてもこの環状溝41cの中に位置させることによって、ハウジング41に対して常に同軸上で昇降動作させるようにする。また、スプール弁体44の下端には流路口44aを設けると共に、軸線方向のほぼ中間位置の外周面には外に突き出したリブ44bを備える。
【0037】
主弁体43はスプール弁体44に対して摺動可能に同軸配置されたものであり、その中心部にはその上端がキャップ42の突起によって閉塞される小孔43aを貫通させるとともに、この小孔43aに連ねて管状体43gを一体に設け、更に下端にはこの小孔43a周りに環状溝43bを設ける。そして、主弁体43の外周面にはパッキン溝43c,43dを上下に区画して形成し、これらのパッキン溝43c,43dの中にはU字状のパッキン43e,43fをそれぞれ組み込む。これらのパッキン43e,43fは図2に示すように、下段配置のパッキン43eがU字状断面及び上段配置のパッキン43fが逆U字状となる姿勢とし、互いの断面が開口した側を対向させた位置関係とする。
【0038】
更に、混合水の温度上昇時の閉弁動作及び温度低下後の開弁復帰のための部材として、主弁体43を開弁方向に付勢するための圧縮のスプリング45を備えると共に、リム44bを挟んで上下に温度応動スプリング46とバイアススプリング47とを設ける。
【0039】
スプリング45は一般に使用されている鋼製であって、その下端をハウジング41の底面部に着座させると共に上端側を環状溝43bに差し込んで主弁体43に連接されたものである。また、バイアススプリング47も通常に使用されている鋼製のものである。
【0040】
温度応動スプリング46は、それ自身の温度によって発生荷重が変化する形状記憶特性を持つ形状記憶合金を素材としたもので、或る一定温度以下ではその発生荷重が低くて弾性反力は小さく抑えられ、この一定温度を超えると発生荷重が大きくなって伸長する。本発明において、この温度応動スプリング46は、シャワーを使うときの上限温度よりも少し低い温度で特性が遷移するように設定したものである。
【0041】
これらの各スプリング45〜47の組合せにおいては、通常時すなわちシャワーに適した混合水の温度範囲では、図2に示すように、温度応動スプリング46は収縮していてスプール弁体44の上端はキャップ42のパッキン42bに着座すると共に、主弁体43はスプリング45によって上に付勢されその下端は弁座41bから離れている。したがって、エルボ1bからの混合水は流入口42aからハウジング41内を経由して流出口41bからホース2側へと供給される。
【0042】
一方、混合水の温度がシャワーを使用するときの最適温度を越えて高温となったときには、温度応動スプリング46の発生荷重が増加してバイアススプリング47に打ち勝つ弾性反力を作用させるようになり、図5に示すようにスプール弁体44を下に移動させる。そして、このスプール弁体44がパッキン42bから離れて主弁体43の上端面側に混合水が供給されるので、この主弁体43が受ける給水圧がスプリング45に勝る関係としておくことによって、主弁体43も下に移動して弁座41bに着座して流路が閉じられる。
【0043】
以上の構成において、湯水混合栓1からの混合水がシャワーの使用に適切な温度域であれば、温度応動スプリング46は収縮した形状を維持し、図2に示すようにスプール弁体44はバイアススプリング47による付勢力によって、パッキン42bに着座した位置にある。そして、主弁体43はスプリング45の付勢力によって弁座41bから離れて上昇し位置にあり小孔43aは突起42cによって閉じられている。
【0044】
このような主弁体43及びスプール弁体44の配置であれば、主弁体43の上面周りはスプール弁体44によって流路から遮断されているので、混合水の供給圧は主弁体43の下面に加わるだけであり、流路中に曝されている下面に負荷される圧力のほうが大きい。したがって、適温の混合水が供給されている間は、主弁体43は図2の位置に常に保持され、流出口41aは開放されてシャワーヘッド3への供給が可能である。
【0045】
一方、給水圧や給湯圧の急激な変動やその他の原因によって湯水混合栓1からの混合水が高温になり、シャワーの使用上限温度よりも少し低い温度域になると、温度応動スプリング46の形状記憶特性によってこれが伸びる方向に変形し始める。この温度応動スプリング46の変形によって、スプール弁体44が下降し始めてパッキン42bから離れ、これによって主弁体43の上面にも混合水の供給圧が加わるようになる。そして、更にスプール弁体44が下降して図5に示すようにその下端が環状溝41cの底面に着座すると、流路孔44aの開口面積が開弁時に比べて絞られる。したがって、主弁体43の上面への供給圧の負荷は増える一方で下面への負荷は減少するので、この圧力バランスの崩れによって主弁体43は一気に移動して図5に示すように閉弁する。
【0046】
このように、混合水の温度がシャワーの最適温度を越えるようになると、温度応動スプリング46の変形を利用してスプール弁体44を移動させ、これによって主弁体43を閉弁方向に起動して流路を遮断し、高温の混合水のシャワーヘッド3への供給が停止される。
【0047】
このような主弁体43の閉弁後においても小孔43a及び流路口44aの一部が流出孔41aに連通しているので、少量の混合水がシャワーヘッド3側へ継続して送り出される。この継続して流れる混合水の流量はシャワーヘッド3から少しずつ垂れ流れる程度のものとしおけば、使用に際して高温の湯を浴びないようにすることが可能である。
【0048】
また、このように継続して混合水を送り出す理由の一つは、流路が遮断されてしまった後にシャワーヘッド3までの間の流路に残っている高温水を排除することが好ましいからである。こうすれば、湯水混合栓1から続けて供給される高温水は少量ずつ排出され、先に述べたように、その流量は極めて小さいことから、シャワーヘッド3からの散水は停止されて使っている人が高温水を浴びることはない。
【0049】
更に、小孔43aからの小流量の混合水の継続した流れを維持することによって、温度応動スプリング46の感知温度を下げることが可能となる。すなわち、高温遮断後には湯水混合栓1を操作して混合水の温度を下げて吐水を再開させるようにするが、高温水がハウジング41の中に残ったままでは温度応動スプリング46の発生荷重も大きいままとなる。したがって、小孔43aから高温水を徐々に抜いていきながら低温の混合水の供給を待つようにすれば、温度応動スプリング46の発生荷重も次第に減衰していき、これによって混合水の水圧及びスプリング45の復元力が勝るまでの時間が短縮され、吐水再開がより一層速やかに行われるようになる。
【0050】
ここで、小孔43aと流路口44aを抜ける混合水の流量が過大になると、たとえばスプール弁体44と主弁体43の摺動面にも給水のリークのためのクリアランスを大きく設定したような場合では、主弁体43の作動が不安定になる可能性がある。
【0051】
これに対し、2本のU字状のパッキン43e,43fを配置することでこのような作動不安定を解消することができる。すなわち、2連のパッキン43e,43fによってシールを補強したために、主弁体23とスプール弁体24との間のクリアランスを抜ける給水を遮断することができ、これによって主弁体23は安定した動作を維持することができる。
【0052】
また、U字状のパッキン43e,43fを図2に示すような配置とすることによって、高温遮断時の主弁体43とスプール弁体44との相対的な動作を速やかにすることができる。たとえば、パッキン43e,43fを図示の姿勢と上下反転させた場合、下側配置のパッキン43eは給水圧を受けてU字状の断面が拡大するように変形してしまい、スプール弁体44の内周面との間のシール圧を高くしてしまい、スプール弁体44と主弁体43との間の相互の移動の抵抗となる。また、低温復帰後においては、上側配置のパッキン43fが同様に拡大変形して抵抗を作用させることになる。これに対して、図示のようなU字状のパッキン43e,43fの配置とすることで、高温遮断時でも低温復帰時でも主弁体43とスプール弁体44との間の相互の動きを円滑にすることができ、速やかな高温遮断と復帰が可能となる。
【0053】
また、高温水が温度応動弁4によって遮断された後には、湯水混合栓1の温度調整機能を操作して低温の混合水を供給すると、温度応動弁4内の混合水温度も次第に低下していく。したがって、温度応動スプリング46は収縮してスプール弁体44は図2の元の位置に上昇をし始め、これによって主弁体43の上下面の間の圧力差も小さくなっていき、最終的は下面側への給水圧の負荷が上回るようになる。このため、主弁体43は給水圧によって上向きの負荷を受けると同時にスプリング45によっても付勢されているので、温度応動スプリング46の収縮開始から主弁体43の上昇開弁までの時間が短縮される。
【0054】
このように開弁までの自動復帰においては、スプリング45が主弁体43を開弁方向に押す力を加えることができるので、主弁体43の下面の面積を大きくして水圧を受けるようにしなくても済む。このため、主弁体43の半径を小さくすることができ、温度応動弁4全体を小型化が可能となる。
【0055】
また、主弁体43が開き始めると、流れによりこの主弁体43の下流の圧力が下がるが、主弁体43の小孔43aはこれに連ねて設けた管状体43gを介してより下流側に連通しているため、主弁体43の上面の圧力を低くでき、これによって吐水再開がよりスムーズになる。
【0056】
図6〜図8は別の実施例であって、これは先に説明したものと基本的には同様の構成を持つものである。
【0057】
図6において、流出口51a,弁座51b及び環状溝51cを形成したハウジング51の上端側にキャップ52が連結され、このキャップ52には流入口52a及びパッキン52bを設けている。ハウジング51の内部には小孔53a及びパッキン溝53bに組み込んだパッキン53cを備えた主弁体53を組み込むと共にこの主弁体53の周りにスプール弁体54を摺動可能に外挿している。
【0058】
主弁体53の上面には図8の(a)に示すように4個所に突起53dを設け、図6の開弁時にはこれらの突起53dをキャップ52の底面に突き当てることによって、主弁体53の上面とキャップ52との間に隙間ができるようにする。また、スプール弁体54の外周面には図8の(b)に示すように4箇所にリブ54aを突き出し、その先端がハウジング51の内周をガイドとして摺動可能に組み込むようにする。
【0059】
スプール弁体54の周りにはそのリブ54aを挟んで先の例と同様に温度応動スプリング55及びバイアススプリング56を設け、高温時にはこの温度応動スプリング55の伸長によってスプール弁体54を図において下に移動させる構成とする。
【0060】
この例においても、通常時では主弁体53の底面が受ける給水圧を利用して図6の開弁状態に維持することができ、高温の混合水が供給されたときには温度応動スプリング55の伸長によってスプール弁体54を下に移動させることで、先の例と同様に主弁体53を弁座51bに着座させて流路を速やかに閉じることができる。
【0061】
図9〜図11は更に別の実施例であって、これはスプール弁に代わる構成を含むものである。
【0062】
図9において、流出口61a及び弁座61bを形成したハウジング61の上端側にキャップ62が連結され、このキャップ62には流入口62aを設けるとともにこの流入口62aに連通するチャンバ62bを副流路の一部として形成している。ハウジング61の下端側の内部には小孔63a及びパッキン溝63bに組み込んだパッキン63cを備えた主弁体63を組み込む。また、チャンバ62bの下端は副流路の終端に相当する開口62cによって主弁体63と同軸上で連通し、チャンバ62bの内部に設けたガイド62dにパイロット弁体64を摺動可能に外挿している。
【0063】
パイロット弁体64の外部にはこれを開口62cから離れさせる向きに付勢する温度応動スプリング65を配置すると共に、内部には逆向きに付勢するバイアススプリング66を組み込む。そして、主弁体63の下側にはこれを開弁方向に付勢するスプリング67を配置する。
【0064】
この例では、混合水の温度が適切に保たれている期間には、主弁体63の底面が受ける給水圧とスプリング67の付勢力を利用して図9の開弁状態に維持することができる。そして、高温の混合水が供給されたときには、温度応動スプリング65の伸長してパイロット弁体64が上昇して開口63cを開き、これによって主弁体63の上面に一次側の圧力が加わり、主弁体63の下面側に臨む流路内では一次側の圧力が絞られた後の流れであるため一次側の圧力より低い圧力が加わるので、主弁体63の上面の圧力は下面の圧力より大きくなり、図11に示すように主弁体63は下降して弁座61bに着座して高温遮断される。
【0065】
以上の各例では、従来のダイヤフラム式のように主弁体の一次側と二次側の差圧を利用したものであるが、ダイヤフラムに比べて、主弁体のストロークが大きくとれるので圧力損失がより少なくできる。このため、小圧力時でも十分な吐水量が得られること、ダイヤフラムを固定するための固定代が不要なためシャワー通水路のような小径部部分に組み込む場合径方向の小型化ができること、及びダイヤフラムに必要なゴム特性(硬度や耐熱性等)の選択が不要となること等の点で優れたものとなる。
【0066】
更に、図2及び図6に示した実施例においては、スプール弁が高温時に下降することによって、主弁体の上面に一次圧を供給するとともにスプール弁の下側の通水路は絞られて主弁体の下面側の圧力は下がる。したがって、主弁体の上下の間の差圧は、ダイヤフラムを利用する場合に比べると大きくなり、これによってより確実な閉止動作が可能となる。
【0067】
また、以上の構成に代わる様々な態様の温度応動弁とすることもでき、これらについても図12以降により説明する。
図12は別の実施例の温度応動弁4の詳細を示す縦断面図、図13は図12の温度応動弁4を上方から見た平面図、図14は図12にA−A線矢視による横断面図である。
【0068】
温度応動弁4は、本体5と混合水の流入端側に一体に固定したプラグ6とによって外郭を構成したものである。
【0069】
本体5は上端を開口した円筒状であり、下端の中央には同軸上に流出口5aを開けると共に、この流出口5aの開口縁には円筒状の弁座5bを立ち上げ、この弁座5bの内周には環状の段部5cを形成している。また、プラグ6は図3に示すように、その中心部分に小孔6aを開けると共に、その周りに合計4個の流入口6bを環状に配列したものであり、本体5の上端に水密状に嵌合固定されている。
【0070】
本体5の内部には、パイロット弁体7及び主弁体8をそれぞれ同軸上に組み込む。
【0071】
パイロット弁体7は、本体5の弁座5b周りでその軸線方向に移動自在とする程度の内径を持つ円筒状の弁環7aと、図14に示すようにこの弁環7aの周りから半径方向に突き出したガイド7bとを備えたものである。そして、これらのガイド7bの外周面が描く仮想円の径は本体5の内径より僅かに小さいものとし、パイロット弁7が本体5の中で同軸配置の関係を保って軸線方向に移動可能とする。
【0072】
主弁体8は、パイロット弁体7の弁環7a内で軸線方向に移動可能に挿入されたものであり、そのほぼ下半分を円筒状の弁環8aとすると共に、この弁環8aの上端から合計4本のアーム8bを突き出してその上端に受圧板8cを形成したものである。そして、弁環8a及び受圧板8cとの間であってアーム8bによって4個に区画された部分を流入開口8dとしている。
【0073】
主弁体8は、その受圧板8cの下面と本体5の段部5cとの間に同軸上に配置した圧縮のスプリング9によって図12において上向きに付勢されている。一方、パイロット弁体7は、そのガイド7bの上面とプラグ6の下面に形成した環状の段部6cとの間に圧縮のバイアススプリング10を介装することによって、図12において下向きに付勢されている。そして、このパイロット弁体7は、ガイド7bの下面と本体5の底部との間に形状記憶素子として組み込んだ温度応動スプリング11によって上向きに付勢力を持たせて弾性支持されている。
【0074】
湯水混合栓1からの混合水がシャワーの使用に適切な温度域であれば、温度応動スプリング11は収縮した形状を維持し、図12に示すようにパイロット弁体7はバイアススプリング10による付勢力によって、弁環7aが弁座5bの周りに被さる位置にある。そして、主弁体8はスプリング9の付勢力によって受圧板8cがプラグ6の上端の内壁に突き当たった位置に保持され、小孔6aはこの受圧板8cによって閉じられている。
【0075】
このように、パイロット弁体7及び主弁体8のそれぞれを図12の位置に保持することによって、湯水混合栓1からの混合水はプラグ6の流入口6bから本体5内に流入し、主弁体8の流入開口8dからパイロット弁7及び主弁体8のそれぞれの弁環7a、8aの内部を抜けて流出口5aからシャワーヘッド3に供給される。
【0076】
一方、給水圧や給湯圧の急激な変動やその他の原因によって湯水混合栓1からの混合水が高温になり、シャワーの使用上限温度よりも少し低い温度域になると、温度応動スプリング11の形状記憶特性によってこれが伸びる方向に変形し始める。この温度応動スプリング11の変形によって、パイロット弁体7が上昇を始め弁座5bの周りに被さっていた弁環7aが弁座5bから離れていく。このため、主弁体8の流入開口8dは弁環7aによって次第に閉じられていき、主弁体8の弁環8a内への混合水の流量が絞られる。
【0077】
このようなパイロット弁体7の弁環7aによる流入開口8dの流路面積の縮小による通過流量の絞りによって、主弁体8の内部の圧力が低下すると同時に、主弁体8より上流の流路内圧が上昇して受圧板8cへの負荷が大きくなる。
【0078】
一方、主弁体8は先に述べた受圧板8cへの小孔6aを介しての混合水の流動圧等とスプリング9との間でのバランスによって保持されていたが、パイロット弁体7の上昇による主弁体8内の減圧によって圧力バランスが崩れる。そして、このときの圧力差がスプリング9の最大発生荷重を越えると、主弁体7は図12の状態から下降を始める。
【0079】
主弁体8が図12の状態から少し下降すると、受圧板8cの上面がプラグ6の下面から離れるので、受圧板8cの上面とプラグ6の下面との間にも混合水が流れ込む。したがって、最初は小孔6aの開口面積に相当する混合水の圧力を受けていたのに対して、受圧板8cの全体が混合水の流動圧を受けるようになり、その結果図15に示すように主弁体8は混合水の流動圧によって一気に弁座5b側に移動して弁環8aの下端が弁座5bの上端に着座し、これと同時にパイロット弁体7との間の位置関係によって流入開口8dが弁環7aによって閉じられる。
【0080】
このように、混合水の温度がシャワーの最適温度を越えるようになると、温度応動スプリング11の変形を利用してパイロット弁体7を移動させ、これによって主弁体8の内部流路の減圧によってこの主弁体8を閉弁方向に起動し、その後は受圧板8cへの流動圧により閉弁方向への負荷を急増させることができる。したがって、パイロット弁体7及び主弁体8はその閉弁方向に瞬時に移動して流路を遮断し、高温の混合水のシャワーヘッド3への供給が停止される。
【0081】
なお、流路が遮断されてしまった後、シャワーヘッド3までの間の流路に残っている高温水を排除することが好ましい。このため、たとえばパイロット弁体7と主弁体8との間の内外径の寸法公差を大きくしておき、これらのパイロット弁体7と主弁体8の周面の間から混合水がリークできる程度の関係を持たせる。これにより、主弁体8とパイロット弁体7とによって流路が遮断されても、湯水混合栓1から続けて供給される高温水は少量ずつ排出される。この場合、流量が極めて小さいことから、シャワーヘッド3からは滴状となって流れ落ちるだけであり、散水は停止されて使っている人が高温水を浴びることはない。
【0082】
また、高温水が温度応動弁4によって遮断された後には、図15に示すパイロット弁体7及び主弁体8とによる閉弁時でも湯水混合栓1からの供給水が少しずつリークするようにしておけば、湯水混合栓1の温度調整機能を操作して低温の混合水を供給すると、温度応動弁4内の混合水温度も次第に低下していく。したがって、温度応動スプリング11の発生荷重が小さくなっていき、パイロット弁体7は流入口6bからの給水の圧力とバイアススプリング10の復元力によって図15において下側に移動させられる。そして、このパイロット弁体7の移動によって、主弁体8の流入開口8dの開口面積が次第に大きくなっていくと、主弁体8内の圧力が上昇して図2の開弁位置に復帰して、シャワーヘッド3からの吐水が再開される。
【0083】
図16から図18は温度応動弁の更に別の例であり、図16は開弁時の縦断面図、図17は要部の詳細図、図18は閉弁時の縦断面図である。
【0084】
図16において、温度応動弁4の本体15は先の例とは異なってその下端を開放した筒状体であって、下端にプラグ16を取り付けると共に内部にはパイロット弁体17及び主弁体18をそれぞれ同軸上に配置している。
【0085】
本体15の上端には、先の例におけるプラグ6と同様に、その中央部に小孔15aを開けると共にその周りに弧状の流入口15bを開けたものである。また、プラグ16は、その中心周りにたとえば4個の弧状の流出口16aを開けると共に、その周りに環状に立ち上げた弁座16bを形成している。
【0086】
なお、プラグ16には、図16の拡大図に示すように、その外周縁の複数箇所に係合突起16cを設けておき、本体15の下端内周にはこれらの係合突起16cが弾性的に嵌まり込む係合凹部15cを形成する。そして、係合突起16cを本体15の中に差し込んでこれらを係合凹部15cに嵌め込ませることによって、プラグ16を本体15一体に連結する。
【0087】
このような組立て構造とすることにより、本体15とプラグ16とをたとえばビス等を用いずに組み立てることができ、このビスを通すためのリブ状の連結座等を本体15やプラグ16に設ける必要がないので、温度応動弁4の全体の嵩を小さくなる。また、本体15とプラグ16との間を水密状に連結しないでも、高温の湯の通過の際にパイロット弁体17と主弁体18とにより流路が遮断されたときには、高温の残留湯を排出することができ、このような係合突起16cと係合凹部15cとによる緩い接合を利用して湯のリークを促すことができる。なお、本体15の内周に係合凹部15cを設けるのに代えて、周壁を貫通させた係合孔としてもよい。
【0088】
パイロット弁体17は先の例と同様に、弁環17a及びその外周に設けた4枚のガイド17bを形成したものであり、図16に示すように弁環17aを弁座16b周りに外挿すると共にガイド17bによって本体15内を同軸上で移動可能である。
【0089】
主弁体18は、その上端及び下端にそれぞれ上ガイド18a及び下ガイド18bを形成し、上ガイド18aを小孔15aに通すと共に下ガイド18bをプラグ16の中心に開けた通し孔16dに貫通させて組み込まれるものである。そして、上下のガイド18a、18bの間には下端側を緩やかに先細りする外郭のコーン18cとし、このコーン18cの下端側の周面をプラグ16の弁座16bの上端に着座可能とする。
【0090】
図17は主弁体18の本体15及びプラグ16に対するガイド構造の別の例及び通水量の確保と流路遮断時の残留湯の排出を促進させるための例である。
【0091】
図17の(a)において、本体15の小孔15aの内周縁には内部側に突き出た筒状の案内部15eを形成し、図16に示すように流路が開いている状態のときにはコーン18cの上端が本体15の上端内壁に突き当たり、上ガイド18aは本体15の上端から突き出さずに、本体15の上面とほぼ同じ面となるように位置している。一方、同図の(b)に示すように、プラグ16の通し孔16dの周りにも内部側に突き出した案内部16eを形成して、この中に下ガイド18bを差し込んでいる。
【0092】
このような案内部15e、16eを設け、主弁体18が流路を開いているときに、上ガイド18a及び下ガイド18bがそれぞれ図17の(a)及び(b)の位置となるようにしておき、閉弁時のストロークが案内部16dの軸線長さよりも少し小さい程度としておけば、閉弁したときも下ガイド18bがプラグ16の下端面から突き出ることがない。したがって、温度応動弁4はその開弁時及び閉弁時の期間を通じて上下のガイド18a、18bが外に突き出ず、全体の嵩を小さくすることができる。
【0093】
また、図17の(a)に示すように、コーン18cの下端側の周面に半径方向に一定の間隔をおいて切欠18dを設けたり、同図の(c)に示すようにパイロット弁体17の上端に複数の切欠17cを設けることによって、図中の一点鎖線で示すようにこれらの切欠18d、17cをそれぞれ混合水の流路とすることができる。このように切欠18d、17cを設けることで、通常の通水時での混合水の流量を確保することができるほか、高温となったときの混合水の遮断に際しても、残留高温水の排出に利用できる。
【0094】
図16に戻って、主弁体18のコーン18cとプラグ16との間には主弁体18を開弁方向に付勢するスプリング19を組み込み、本体15の上端内壁とパイロット弁体17のガイド17bとの間にはこのパイロット弁体17を図において下側に付勢するバイアススプリング20を設ける。そして、先の例と同様に、パイロット弁体17の下流側には形状記憶素子としての温度応動スプリング21を組み込む。
【0095】
混合水の温度が適切であれば、温度応動弁4のパイロット弁体17及び主弁体18はそれぞれ図16に示す位置に保持され、混合水がシャワーヘッド3に供給される。そして、混合水の温度が設定値よりも高温になると、先の例と同様に温度応動スプリング21が伸びる方向に変形してパイロット弁体17を上昇させる。これにより、パイロット弁体17の弁環17aの上端とコーン18cとの間の距離が短くなってこれらの間の流路が絞られる。したがって、コーン18cよりも下流の内部流路の圧力が減圧され、上ガイド18aの上端面が受ける混合水による水圧がスプリング19の付勢力に対して打ち勝つようになると、主弁体18が下に移動してそのコーン18cの上端の全面に水圧を受け、図18に示すようにコーン18cが弁座16bに着座して流路が遮断される。
【0096】
温度応動弁4によってる流路が遮断された後には、湯水混合栓1を操作して混合水の温度を低温側に設定する。これにより、先の例と同様に温度応動弁4内での混合水のリークを利用して、低温の混合水を供給することができ、温度応動スプリング21はその発生荷重が小さくなる。したがって、パイロット弁体17は混合水から受ける圧力とバイアススプリング20の復元力により、図18の位置から図16の初期位置に戻る。このとき、主弁体18はリークする混合水の圧力を下流側に向けて受けて図18の閉弁状態の位置に留まっているので、この主弁体18を図16の開弁位置に戻すため湯水混合栓1を操作して混合水の供給を一時的に停止させる。これにより、主弁体18はスプリング19の復元力によって図16の開弁位置に移動し、この後湯水混合栓1を操作して混合水を供給すれば、シャワーヘッド3からの吐出が再開される。
【0097】
ここで、温度応動スプリング21の感温性を向上させるため、たとえば図17の(d)に示すように、プラグ16の底面部であって弁座16bの外側に水抜き孔16fを設けたり、弁座16bを貫通する水抜き孔16gを開けることが有効である。これらの水抜き孔16f、16gは、温度応動スプリング21を収納した部分を温度応動弁4の下流側に連通させているので、高温時に温度応動弁4が閉弁した後に給水されるときに、温度応動弁21周りに溜まっている高温の湯をこれらの水抜き孔16f、16gから排出して速やかに低温雰囲気に戻すことができる。したがって、温度応動スプリング21の発生荷重の低下までの時間が短縮され、通水復帰までの時間も短くなる。なお、図示の例では水抜き孔16f、16gを2か所に設けているが、これらのいずれか一方であっても通水復帰までの時間を短縮させる等の効果は同じである。
【0098】
図19から図21は更に別の例であって、これは図12から図15に示した温度応動弁4において、高温時の流路遮断時の高温残留水を本体5の周壁から下流側に逃がす構造としたものである。なお、図12から図15において示したものと同じ部材については共通の符号で指示し、その詳細な説明は省略する。
【0099】
主弁体8の弁環8a及び上端の受圧板8cのそれぞれの外周には、パイロット弁体7の弁環7aの内周面に密着するパッキン8e、8fを設け、弁座5bの上端には図20に示すように弁環8aの下端が着座するパッキン5dを備える。また、パイロット弁7はその弁環7aの外周面に環状のガイド7cを一体に備え、このガイド7cの外周面には環状流路7dを形成すると共にこの環状流路7dを挟む上下にパッキン7e、7fを取り付けている。そして、ガイド7cには弁環7aの軸線と平行な開口軸線を持つ複数の連絡孔7gを開け、これらの連絡孔7gによってガイド7cの上下を連通させている。
【0100】
一方、本体5の周壁には高温時に温度応動弁4が閉弁したときにその上流側からの高温の残留湯を排出するための逃がし孔5eを一定のピッチで設ける。これらの逃がし孔5eは、図19に示すように主弁体8がそのストロークの上端に位置して開弁状態にあるときであって、パイロット弁体7がバイアススプリング10と温度応動スプリング11によってバランスしているとき、ガイド7cの環状流路7dに対峙して連通する位置に設けられたものである。なお、図21に本体5、パイロット弁体7及び主弁体8の概略分解斜視図を示す。
【0101】
パイロット弁体7及び主弁体8の動作は、図12から図15に示したものと全く同様であり、湯水混合栓1からの混合水温度が適切なものであれば、図19に示す開弁状態に維持される。このとき、ガイド7cの環状流路7dは逃がし孔5eに連通しているが、ガイド7c自身はパッキン7e、7fによってシールされているので、本体15内に流入した混合水が抜け出ることはなく、全てパイロット弁体7と主弁体8の内部流路を通過して流出口5aから排出される。
【0102】
混合水温度が高温になれば、温度応動スプリング11によって先の例と同様にパイロット弁体7が図19において上昇し、これに続く主弁体8内の減圧によって瞬時にこの主弁体8の弁環8aの下端が図20に示すようにパッキン5dに着座し、これと同時にパイロット弁体7の弁環7aによって流入開口8dが閉じられて流路が遮断される。
【0103】
図20に示すように、主弁体8の閉弁と同時にパイロット弁体7は温度応動スプリング11によって上に移動する。このとき、温度応動スプリング11及びバイアススプリング10等のバネ定数の適切な組合せや弁環7aの軸線長さの選定により、図示のように弁環7aの上下の内周面がそれぞれパッキン8f、5dに被さると同時に、ガイド7cの下端を本体5の逃がし孔5eよりも上に位置させることが可能である。
【0104】
したがって、主弁体8とパイロット弁体7とによって流出口5a側への流路が閉じられてしまった後でも、流入口6bからの混合水は主弁体8と弁環7aの外の流路から連絡孔7gを経由して逃がし孔5eから緩やかに排出される。なお、この逃がし5eからの高温の湯の排出に際しては、エルボ1b内から直接外部に向けて噴霧させるような流路構成を持たせておき、シャワーヘッド3側への湯の供給を遮断するようにしてもよい。
【0105】
このように、ガイド7cに連絡孔7gを設けて閉弁時にはこの連絡孔7gから積極的に高温の残留温水を排出できるので、湯水混合栓1側の流路内の混合水の温度降下を促進させることができる。したがって、たとえばエルボ2bから高温水を排出するようにした場合では、閉弁後に適温の混合水の温度がシャワーヘッド3に供給開始されるまでの時間も短縮され、使い勝手が向上する。
【0106】
以上の各例において、図16から図18に示した温度応動弁4では高温時の流路遮断後には上流側の湯水混合水栓1を操作して吐水を再開させることが必要であるが、これに代えて流路遮断後の混合水の温度の低下を利用して自動的に吐水再開に復帰させる構成とすることもでき、その例を図22以降に示す。
【0107】
図22の例は図16に示したものと基本的な構成についてはほぼ同じで、温度応動弁4は円筒状の本体25の下端にプラグ26によって外郭を形成し、その内部にパイロット弁体27及び主弁体28をそれぞれ組み込んだものである。
【0108】
図23は本体25及びプラグ26の詳細であって、同図の(a)及び(b)は本体の平面図及び縦断面図、同図の(c)はプラグ26を一体に連結したときの底面図である。
【0109】
本体25の上端には先の例と同様に主弁体28の上ガイド28aを通す小孔25aを開けると共に、その周りに3個の流入口25bを開け、本体25の周壁には複数のポート25cを第2の出口として設ける。本体25の外周はこれらのポート25cよりも上側が図1に示したエルボ1bの流路内壁にきっちりと水密状に嵌まり込む外径とし、ポート25cよりも下側にはエルボ1bの流路内壁との間に隙間ができるように複数の流路溝25dを本体25の下端まで形成する。また、ポート25cは、図23の(b)から明らかなように、その内周面を上側が先細りする形状のテーパ面25e部分に開口させたものであり、本体25の外周面に形成した複数の流路溝25dにそれぞれの位置を合わせることによって、本体25の内部をポート25cから流路溝25dを経由してエルボ1b内の下流側の流路に連通させることができる。
【0110】
プラグ26は先の例と同様に、主弁体28の下ガイド28bを通す小孔26aを開けると共にその周りに流出口26bを設け、更に本体25の内部に臨む面に環状に立ち上げた弁座26cを形成したものである。そして弁座26cの基端部分には本体25内からの湯のリークのための小径の水抜き孔26dを設ける。
【0111】
主弁体28はその下ガイド28bの周りに外挿したスプリング29によって上流側に付勢され、パイロット弁体27はバイアススプリング30及び温度応動スプリング31によって保持されている。これらのスプリング29〜31による各弁体27,28に対する付勢力の関係及び温度応動スプリング31の温度変化に対する発生荷重の特性は、図16の例と全く同様である。
【0112】
パイロット弁体27は図22に示すように、弁座26cの上端面に着座可能な環状体であって、その外周面を本体25に開けたポート25c部分のテーパ面25eと整合する形状のテーパ面27aとしたものである。このテーパ面27aの下端部の外周は本体25の内周面を摺動できる程度の外径とし、内径は主弁体28のコーン28cの外径よりも少し大きいものとする。そして、弁座26cの外側に対応する位置には小径の水抜き孔27bを軸線方向に開け、弁座26cの基端に開けた水抜き孔26d側へ向けて本体25の内部流路を連通可能とする。
【0113】
図22の構成においても、湯水混合栓1からの混合水の温度が適切であれば、パイロット弁体27及び主弁体28は同図の位置に維持され、流入口25bからの混合水はそのまま流出口26bから下流へ抜けるものと、ポート25cから流路溝25dを通って下流へ向かうものとに別れる。また、混合水のうちの少量がパイロット弁体27の水抜き孔27bから弁座26cの外側に入り込み、温度応動スプリング31部分を通過しながら水抜き孔26dから下流に流れ去る。
【0114】
このように、温度応動スプリング31は混合水の温度が高くない期間を通じて混合水に曝されるので、常に混合水温度を感知することができる。そして、混合水の温度が高くなったときには、図16の例と同様に、温度応動スプリング31はその高温側への温度変動によって発生荷重が大きくなり、伸びる方向に変形してパイロット弁体27を上昇させる。
【0115】
このパイロット弁体27の上昇により、ポート25cは次第にパイロット弁体27のテーパ面27aによって次第に閉じられていって、図24に示すようにテーパ面27aが本体25のテーパ面25eに着座してポート25cは完全に閉じられ、パイロット弁体27の中に主弁体28のコーン28cが入り込んで通水面積も大幅に縮小される。したがって、主弁体28の上流及び下流側の間の圧力差が上昇して、主弁体28は図24に示すように弁座26cの上面に瞬時に着座して流路を遮断する。
【0116】
ここで、ポート25cはパイロット弁体27と本体25のそれぞれのテーパ面27a,25bとの間の着座によって流路が閉じられるので、このポート25cからの混合水の漏れを無くすことができる。すなわち、パイロット弁体27と本体25との間は、テーパ嵌合によって接合されてテーパ面25eに含まれて位置しているポート25cをパイロット弁体27のテーパ面27aが閉じられる。このため、たとえばスプールのような弁機構であれば、弁体の周囲にパッキンを取り付けて流路内壁との間のシールを確保するような構造が必要となるが、テーパ面25e,27aによるテーパ嵌合であれば、このようなパッキンを備えなくても、ポート25cを確実に閉じることができる。
【0117】
このように、高温時の流路遮断の際には、ポート25cからの混合水の流出はなく、図24に示すように、パイロット弁体27とコーン28cとの間の環状断面の流路を経由する少量の混合水が継続して水抜き孔26dから下流に流れ去る。すなわち、主弁体28がその閉弁位置にあるときでも、温度応動スプリング31は混合水に曝されたままであり、この少量の混合水が継続してシャワーヘッド3へ向かうことになる。そして、流路遮断後の混合水の量は、主として水抜き孔26dによる絞りによって規制され、この規制流量がシャワーヘッド3からは少しずつ垂れ流れる程度であって、しかも湯水混合栓1を低温側に設定したときに温度応動スプリング31への伝熱によって速やかに復元できる程度のものとすれば、流路遮断から復帰までを混合水の温度低下を利用して短時間で実行させることが可能となる。
【0118】
温度応動弁4が図24に示すように遮断されたときには、使用者は湯水混合栓1の温度設定が高いことを知ることになり、シャワーを再び使用するためにこの湯水混合栓1によって混合水の温度を下げるように操作する。この低温側への操作の開始時期では、本体25内には高温の混合水が残っているが、低温水の供給によってこの高温の混合水が次第にシャワーヘッド3側へ押し出されるようにして供給される。この場合、混合水の温度が十分に低温にならない限り、温度応動スプリング31は図24の状態を維持してポート25cをパイロット弁体27によって閉じたままであり、少量の高温の混合水がシャワーヘッド3側に抜けていくだけである。
【0119】
このように、流路遮断の後には、混合水の温度が適正値まで低下しない期間では、高温の混合水が水抜き孔26dからシャワーヘッド3に供給されるのみなので、この水抜き孔26dからの混合水の流量が小さくてシャワーヘッド3から垂れ落ちる程度ものとしておけば、使用者が高温の湯を浴びることがない。また、水抜き孔26dを抜ける混合水の流量が本体25内の高温残留温水を速やかに排除できる程度の大きさとなるような条件も満足するように設定すれば、温度応動スプリング31の収縮変形までの時間が短縮され、吐水開始までの時間も短くなる。
【0120】
湯水混合栓1による低温側への設定のし直しによって、本体25内での混合水の温度が低下していくと、温度応動スプリング31は図25に示すように収縮してパイロット弁体27が下降し、ポート25cが開いて混合水が本体25内を抜けるようになる。したがって、主弁体28の上流側及び下流側の間の圧力差も減衰していき、主弁体28はスプリング29の復元力によって上側に移動し、最終的に図22の初期状態に自動的に復帰する。
【0121】
このように、高温時にシャワーヘッド3からの散水が停止されたときには、湯水混合栓1を操作して混合水の温度を下げるだけの操作で、主弁体28を開くことができ、図16から図18に示した例のように一時的に止水操作をすることが不要となり、使い勝手が向上する。
【0122】
なお、以上の説明ではパイロット弁体27及び弁座26cのそれぞれに水抜き孔27b,26dを設けているが、パイロット弁体27の内周とコーン28cとの間のクリアランス及びコーン28cと弁座26cとの間のクリアランスを適切にすることで、混合水を少量ずつリークさせる構造とすることも可能である。
【0123】
図26の(a)は図22の例と同様にポートを設けたものであって、パイロット弁体とポートとの間のシール構造の別の構成例を示す縦断面図である。なお、図26に示したものと同じ部材については共通の符号で指示している。
【0124】
パイロット弁体32はその下端に設けたフランジ部分にパッキン32aを設けると共に、上端部の外周側にもパッキン32bを備えたものであり、図22の例と同様に水抜き孔32cを軸線方向に開けて温度得応動スプリング31側への流路を連通させている。一方、本体25はその周壁に開けた複数のポート25cの下側に内側に突き出る段部25fとしてパッキン32aの着座面とすると共に、ポート25cの上側も内側に突き出してパッキン32bの着座面25gとしている。
【0125】
このようなパイロット弁体32の場合でも、高温水によって温度応動スプリング31が伸びたときには、同図の(b)に示すようにパッキン32a,32bがそれぞれ段部25f及び着座面25gにそれぞれ密着する。したがって、ポート25cはパッキン32a,32bによって完全にシールされることになり、流路遮断の期間では湯水混合栓1からの混合水が温度応動スプリング31を巡って流れ、温度感知が良好に行われる。
【0126】
図27の(a)はポートのシール構造の別の例を示す温度応動弁の縦断面図である。
【0127】
この例は、パイロット弁体33には本体25の内周面に密着するU字状断面のパッキン33aを設けると共に水抜き孔33bを開け、本体25にはポート25cの上側にパイロット弁体33の上面が着座するパッキン25hを設けたものである。この例でも、高温時にはパイロット弁体33が上昇して同図の(b)に示すようにその上面がパッキン25hに着座し、パッキン33aと共にポート25cがシールされる。
【0128】
なお、実施例ではシャワー設備に本発明の温度応動弁を備えたものとしたが、これに代えて、キッチンや洗面化粧台等に設備する湯水混合栓からその吐水端までの流路に組み込むようにしてもよいことは無論である。
【0129】
【発明の効果】
本発明はその構成によって以下の効果を奏する。
【0130】
(1) 流体の通過方向にストローク動作するスプール弁機構を形状記憶素子によって駆動するので、たとえば流路断面を横切るような弁機構に比べると流路抵抗が小さくなり、混合水の通水量が十分に確保されるほか、全体の嵩も小型化される。また、スプール弁機構は水圧の変動を受けにくいので、温度応動手段として形状記憶合金製のスプリングを用いる場合でもこれに対する変動負荷は小さくなり、スプリングの素材となる線材の外径を小さくして小型化できると共にコスト面でも改善される。
【0131】
(2) スプール弁機構を主弁体とパイロット弁体とした場合では、形状記憶素子として備える温度応動スプールは流路の遮断のためではなく主弁体側にパイロット弁体を移動させるだけの駆動力で済むので、この温度応動スプリングの線径を小さくでき、流路抵抗を削減できる。そして、主弁体をその開弁方向に付勢するスプリングを流体の出口側に設けた環状の弁座の内部に位置させることによって、温度応動スプリング等と同軸配置することができ、全体の嵩を更に小型化することができる。
【0132】
(3) 流路が閉じられたときに流体を下流側にリークさせるものでは、閉弁後に上流側に残存する高温流体を微小の流量で下流に排出するので、高温流体による被害を受けることがない。
【0133】
(4) 高温時にはパイロット弁体によって閉じられる第2の出口を備えたものでは、高温遮断の後には低温の流体を供給する操作をするだけで、主弁体を開弁状態に自動復帰させることができるので、高温遮断後の流体の供給開始の操作も簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の温度応動弁を備えたシャワー設備の例を示す側面図である。
【図2】 温度応動弁の要部を示す縦断面図である。
【図3】 温度応動弁の部材を分解して示す斜視図である。
【図4】 同図の(a)はハウジングの平面断面図、同図の(b)はキャップの平面図である。
【図5】 高温水の流入によって温度応動弁が閉弁したときの要部の縦断面図断面図である。
【図6】 温度応動弁の他の例を示す要部の縦断面図である。
【図7】 図6の温度応動弁が閉弁したときの要部の縦断面図である。
【図8】 同図の(a)及び(b)はそれぞれ図6及び図7の例における主弁体の平面図及びスプール弁体の平面図である。
【図9】 パイロット弁を別の方式の弁体とした温度応動弁の例を示す縦断面図である。
【図10】 同図の(a)は図9の例におけるキャップの平面図、同図の(b)はハウジングの底面図である。
【図11】 図9の温度温度応動弁が閉弁したときの縦断面図である。
【図12】 温度応動弁の他の例の要部を示す縦断面図である。
【図13】 図12において本体の上端に設けるプラグの平面図である。
【図14】 図11のA−A線矢視位置での要部の横断面図である。
【図15】 図12の例の温度応動弁が高温水の流入によって閉弁したときの要部の縦断面図断面図である。
【図16】 温度応動弁の他の例を示す要部の縦断面図である。
【図17】 図16の温度応動弁の要部の詳細であって、同図の(a)は主弁体の上端と本体との接合構造及び流路用の切欠を示す図、同図の(b)は主弁体の下端とプラグとの接合構造及び同図の(c)はパイロット弁体の弁環の上端に流路用の切欠を設ける例を示す図である。
【図18】 図16の温度応動弁の閉弁状態を示す要部の縦断面図断面図である。
【図19】 本体の周壁から残留高温水を排出する構成の温度応動弁の要部を示す縦断面図である。
【図20】 図19の例の温度応動弁の閉弁状態を示す要部の縦断面図である。
【図21】 図19及び図20の温度応動弁における本体、主弁体及びパイロット弁体を示す分解斜視図である。
【図22】 温度応動弁の本体にポートを設ける例を示す要部の縦断面図である。
【図23】 温度応動弁の要部であって、同図の(a)は本体の平面図、同図の(b)は本体の縦断面図、同図の(c)はプラグを装着した本体の底面図である。
【図24】 図22の温度応動弁の流路遮断のときの縦断面図である。
【図25】 流路遮断から開放へ復帰する過程を示す縦断面図である。
【図26】 同図の(a)はポートのシール構造の別の例を示す要部の縦断面図、同図の(b)はパイロット弁体によるポートの遮断を示す要部の縦断面図である。
【図27】 ポートの遮断の別の構造例であって、同図の(a)は温度応動弁の要部の縦断面図、同図の(b)はパイロット弁体によるポートの遮断を示す要部の縦断面図である。
【符号の説明】
1 :湯水混合栓
2 :ホース
3 :シャワーヘッド
4 :温度応動弁
5 :本体
5a:流出口
5c:弁座
6 :プラグ
6b:流入口
7 :パイロット弁体
7a:弁環
7b,7c:ガイド
7g:連絡孔
8 :主弁体
8a:弁環
8c:受圧板
8d:流入開口
9 :スプリング
10 :バイアススプリング
11 :温度応動スプリング
15 :本体
15b:流入口
16 :プラグ
16a:流出口
17 :パイロット弁体
17a:弁環
18 :主弁体
19 :スプリング
20 :バイアススプリング
21 :温度応動スプリング
25 :本体
25b:流入口
25c:ポート(第2の出口)
25d:流路溝
25e:テーパ面
26b:流出口
26c:弁座
26d:水抜き孔
27 :パイロット弁体
27a:テーパ面
27b:水抜き孔
28 :主弁体
29 :スプリング
30 :バイアススプリング
31 :温度応動スプリング
32 :パイロット弁体
33 :パイロット弁体
41 :ハウジング
41a:流出口
41b:弁座
42 :キャップ
42a:流入口
42b:パッキン
42c:突起
43 :主弁体
43a:小孔
44 :スプール弁体
44a:流路口
45 :スプリング
46 :温度応動スプリング
47 :バイアススプリング
51 :ハウジング
51a:流出口
51b:弁座
52 :キャップ
52a:流入口
53 :主弁体
53a:小孔
54 :スプール弁体
55 :温度応動スプリング
56 :バイアススプリング
61 :ハウジング
61a:流出口
61b:弁座
62 :キャップ
62a:流入口
63 :主弁体
63a:小孔
64 :スプール弁体
65 :スプリング
66 :温度応動スプリング
67 :バイアススプリング
Claims (12)
- 流路中に設けた主弁体と、この主弁体の閉弁動作を起動するためのパイロット弁と、或る温度以上になるとこのパイロット弁を駆動する温度応動手段とを備え、この温度応動手段によって駆動されてパイロット弁が移動したとき、主弁体の一次側及び二次側への給水圧の差によってこの主弁体を弁座側に移動着座可能としてなる温度応動弁において、パイロット弁を主弁体周りに外挿したスプール弁としてなる温度応動弁。
- 主弁体の開弁時においては主弁体が一次側の流路に臨む部位を遮断するスプール弁のスプール弁体の配置とし、或る温度以上で温度応動手段によって駆動されるとき、スプール弁体は主弁体が一次側の流路に連通可能な位置に移動可能としてなる請求項1記載の温度応動弁。
- 主弁体の開弁時においてはスプール弁体を主弁体の弁座側に位置させると共に主弁体が一次側に臨ませた配置とし、或る温度以上で温度応動手段によって駆動されるとき、スプール弁体は開弁位置にある主弁体側に移動可能とし且つこの主弁体が一次側に臨む流路面積を縮小可能としてなる請求項1記載の温度応動弁。
- 温度応動手段を形状記憶素子としてパイロット弁に連接し、この形状記憶素子の高温側への温度変化に応じた変形によってパイロット弁の動作を介して主弁体をその閉弁方向へ駆動可能としてなる請求項1から3のいずれか1項に記載の温度応動弁。
- 主弁体は、上流側からの流体圧を受圧可能であって流体の通過方向に移動可能に配置され且つその開弁方向に付勢手段によって付勢され、パイロット弁のパイロット弁体は主弁体との間での軸線方向の位置関係によって流路の開度を設定可能としてなる請求項1から4のいずれか1項に記載の温度応動弁。
- 温度応動手段を形状記憶素子性の温度応動スプリングとしてパイロット弁のパイロット弁体を駆動方向に付勢可能とし、更にこの温度応動スプリングの付勢方向と逆向きにパイロット弁体を付勢するバイアススプリングを備えてなる請求項4または5記載の温度応動弁。
- 主弁体にはこれを開弁方向に付勢するスプリングを連接してなる請求項6記載の温度応動弁。
- 主弁体が閉弁している期間、流体の下流へのリークを許す流路構成としてなる請求項1から7のいずれか1項に記載の温度応動弁。
- 入口から出口までの流路の周壁に流体リーク用の逃がし孔を開け、主弁体及びパイロット弁体との間を水密状に連接し、パイロット弁体の周壁には入口側と出口側とを水密状に分断して摺動するガイドを設けると共にこのガイドには入口側と出口側とを連通させる連絡孔を設け、主弁体がその閉弁位置にあるとき、ガイドが逃がし孔よりも入口側に位置し連絡孔を逃がし孔に連通可能としてなる請求項8記載の温度応動弁。
- 入口から出口までの流路の中途であってパイロット弁体のストロークの範囲に含まれる位置に、出口より下流の流路に連通する第2の出口を設け、温度応動手段の高温側への変形によるパイロット弁体の移動によって第2の出口を閉塞すると同時に、入口から出口までの間を小流量の流体が通過可能な流路構成としてなる請求項3記載の温度応動弁。
- 第2の出口と前記パイロット弁体との間の着座面をテーパ嵌合面としてなる請求項10記載の温度応動弁。
- パイロット弁体を環状体とすると共に、主弁体はパイロット弁体を貫通し且つ前記出口から立ち上げた筒状の弁座に着座可能なコーンを備え、温度応動スプリングを弁座の外側に配置し、パイロット弁体及び弁座に温度応動スプリングを巡って出口までの流路を連通させる水抜き孔を開けてなる請求項10または11記載の温度応動弁。
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