JP3717825B2 - スピードスプレーヤの送風装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピードスプレーヤの送風装置、特に、軸流式の送風装置を形成する固定翼の改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】
回転羽根及び固定翼からなるスピードスプレーヤの送風装置は、比較的大型であり、特に、高速運転時には大きな騒音を発生し、該騒音の影響が、作業者、近隣はもとより、広範囲に及ぶため、騒音低減が望まれている。従来、騒音の低減を目的として、回転羽根及び靜翼の吸入側端縁に凹凸の切欠を設けたスピードスプレーヤが提案されている(特開２０００−２１０００１号参照)。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、作業者、近隣はもとより、広範囲に影響を及ぼす前記スピードスプレーヤの送風装置から発生する騒音、特に、負圧側の流れをスムーズにするために設けられている固定翼から発生する騒音の低減を目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項１に示す本発明のスピードスプレーヤの送風装置は、回転羽根の吐風側に配置されたそれぞれの固定翼の前記回転羽根側の回転半径方向に沿ってスリットを形成したことを特徴とする。
【０００５】
この請求項１によれば、特に、送風装置を形成する前記固定翼から発生する騒音を低減することができる。すなわち、前記回転羽根によって供給された空気の一部が、それぞれの前記固定翼の正圧面から、該固定翼の前記回転羽根側の半径方向に沿って形成した前記スリットを介して負圧面に供給され、該負圧面にそれぞれ発生する気流剥離、乱流現象、さらには、固定翼の後端部における負圧面側への空気の巻き込み現象を抑制し、さらに、空気の通過音及び切断音を低減させ、その結果として、騒音の発生が効果的に低減される。
【０００６】
請求項２に示す実施の一形態は、前記スリットの縁部に、正圧面に供給された空気の一部を負圧面へ案内する切り起こし部を形成したことを特徴とする。この請求項２に示す実施の一形態によれば、前記正圧面から負圧面への空気の一部供給が効率よく行われて、前記騒音の低減効果が一層向上する。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。図１は、スピードスプレーヤの固定翼部の斜視図、図２は、本発明の固定翼部の空気の流れを示す説明図、図３は、スピードスプレーヤの後部側面図、図４は、騒音測定曲線図、図５は、従来例の固定翼部の空気の流れを示す説明図である。
【０００８】
スピードスプレーヤＳは、図３に示すように、走行車両１０の略中央部に薬液タンク１１を搭載し、機体後尾に吸入口１２を有する軸流送風機１３の吐風口１４に沿って山形に複数の噴霧ノズル１５を臨ませてなり、前記軸流送風機１３の内部に、回転羽根１及び固定翼２が設けられている。図中、１６及び１７は、それぞれ整流筒である。
【０００９】
前記構成のスピードスプレーヤＳにおいて、前記軸流送風機１３の運転を開始すると、前記軸流送風機１３を構成する前記回転羽根１によって供給された空気が、その後方に配置された前記固定翼２に供給され、該固定翼２を通過する際に、不可避的に騒音を発生する。
【００１０】
前記騒音は、いわゆる空気の通過音及び切断音のほか、図５に示す従来例のように、固定翼２０の負圧面２０ｂに発生する気流剥離、乱流現象Ｘ、さらには、前記固定翼２０の後端部２０ｃにおける前記負圧面２０ｂ側への空気の巻き込み現象Ｙ等によって生じる。なお、同図において、２０ａは、前記固定翼２０の正圧面、矢印１８は、前記回転羽根１の回転方向を示す。
【００１１】
本発明は、軸流送風機１３の運転時に、特に、固定翼から発生する騒音の低減を図るものである。本発明実施の形態の固定翼２は、図１に示すごとく、円筒状フレーム３内に、その中央部から放射状に設けられており、図３に示すごとく、前記回転羽根１の吐風（風下）側に配置されている。
【００１２】
本実施の形態では、前記回転羽根１の吐風側に配置されたそれぞれの前記固定翼２の前記回転羽根１側の半径方向Ｚに沿ってスリット４が形成される。該スリット４の幅は、スピードスプレーヤＳの機種、具体的には、前記軸流送風機１３の径等によって異なるが、略１０〜１５ｍｍであり、前記固定翼２の前記半径方向Ｚのほぼ全体にわたって形成される。
【００１３】
なお、図面実施の一形態では、前記スリット４の前縁部に、正圧面２ａに供給された空気の一部を、効率よく負圧面２ｂへ案内する切り起こし部１９が形成されている。なお、前記スリット４は、単なる打ち抜き状態のものであってもよい。
【００１４】
図２には、本実施の形態における前記固定翼２部の空気の流れが示されている。すなわち、前記回転羽根１によって、前記固定翼２の正圧面２ａに供給された空気の一部が、それぞれの前記固定翼２の前記正圧面２ａから前記スリット４を介して前記負圧面２ｂに供給され、前記従来例での気流剥離、乱流現象Ｘ、さらには、前記固定翼２０の前記後端部２０ｃにおける前記負圧面２０ｂ側への前記空気の巻き込み現象Ｙを抑制し、さらに、空気の通過音及び切断音を低減させる。
【００１５】
図４には、従来のスリット無しの固定翼２０の場合と、同形状の固定翼に、前記スリット４を形成した本実施の形態の前記固定翼２の、前記回転羽根１の回転数に応じた騒音測定結果が示されている。なお、前記回転羽根１、測定位置及びその他の測定条件は、両者全く同一である。
【００１６】
同図において、実線が、従来のスリット無しの固定翼２０の騒音レベルを表し、点線が、前記スリット４を形成した本発明一実施の形態の前記固定翼２の騒音レベルを表している。
【００１７】
前記騒音測定結果によれば、前記回転羽根１の回転数を変化させたいずれの場合においても、本発明に係る前記スリット４を形成した前記固定翼２部の騒音低減効果が確認され、エンジン全開時における騒音値差は、１．７ｄBであった。
【００１８】
【発明の効果】
本発明によれば、それぞれの固定翼の回転羽根側の半径方向に沿ってスリットを形成するという簡単な構成により、スピードスプレーヤの運転時に発生する騒音、特に、固定翼部から発生する騒音の低減を効果的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の一形態に係るスピードスプレーヤの固定翼部の斜視図である。
【図２】本発明の固定翼部の空気の流れを示す説明図である。
【図３】スピードスプレーヤの後部側面図である。
【図４】騒音測定曲線図である。
【図５】従来の固定翼部の空気の流れを示す説明図である。
【符号の説明】
１ 回転羽根
２ 固定翼
２a (固定翼の)正圧面
２ｂ（固定翼の）負圧面
４ スリット
１９ 切り起こし部
Ｚ （固定翼の）半径方向

Claims (2)

1. 回転羽根（１）の吐風側に配置されたそれぞれの固定翼（２）の前記回転羽根（１）側の半径方向（Ｚ）に沿ってスリット（４）を形成したことを特徴とするスピードスプレーヤの送風装置。
2. 前記スリット（４）の縁部に、正圧面（２ａ）に供給された空気の一部を負圧面（２ｂ）へ案内する切り起こし部（１９）を形成したことを特徴とする請求項１に記載のスピードスプレーヤの送風装置。

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