JP3717141B2 - 圧電アクチュエータ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、精密位置決め、リレースイッチなどに用いられる圧電アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電板への電圧印加により生じる圧電板伸縮運動を駆動源として利用する圧電アクチュエータは、磁気ヘッドのずれを補正する精密な位置決め、カメラのシャッター駆動、編機、織機の選針駆動あるいはリレースイッチなどに広く供されている。圧電アクチュエータには、主にバイモルフ型又はユニモルフ型のものがある。
【0003】
バイモルフ型圧電アクチュエータの一般的構造について図1を用いて説明する。2枚の圧電板1は、補強及び電極取出しのためのシム2を挟んで、接着層3により接着された構造となっている。上記2枚の圧電板は、その対抗する面に各々電極が形成されており、各圧電板は一定方向に分極されている。そして、シムとそれに対向する圧電板電極との間に一定方向の電界を印加することにより、圧電板の伸縮運動が生じ、アクチュエータはシムを中心にして厚み方向に曲がる。
【0004】
上述した型の圧電アクチュエータに対して要求される性能として、変位量や発生力が大きいこと、共振周波数が高いことが主に挙げられる。
バイモルフ型圧電アクチュエータの一端を挟持したときの先端の発生力および共振周波数は、一般的に次式で与えられる。
【0005】
Fb =0.25・dF ・YD ・(w・t2 /l3 )
fr =0.162・(YE /ρ)1/2 ・(t/l2 )
(Fb :発生力、dF :負荷ゼロ時の自由変位、YD :開回路でのヤング率、w:アクチュエータの幅、t:アクチュエータの厚み、l:アクチュエータの有効長さ、fr :共振周波数、YE :閉回路でのヤング率、ρ:密度)
【0006】
上記式からも明らかなように、寸法及び形状を一定にして素子を設計する場合、より大きいヤング率およびより低い密度の材料が好ましいことになる。
このため、圧電アクチュエータに用いられる圧電板には、圧電定数が大きいことからチタン酸ジルコン酸鉛系のセラミック材料が一般的に用いられるが、用途によっては、高分子又はセラミックスと高分子との複合体が用いられることもある。
一方、シムの材料としては、導電性を有する金属、すなわち、Ni−Cr合金や真鍮、銅、燐青銅などが一般に用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シムの材料として上記のような金属を用いると、金属が高密度であるので、所望の変位量と発生力が得られるようにアクチュエータを設計する場合には、共振周波数が低くなってしまい、使用できる周波数に限界があった。また、所望の変位量と共振周波数が得られるように設計した場合には、十分な発生力を得ることができない、という問題があった。
【0008】
上記問題点に対し、比較的ヤング率が大きくて比重の小さいカーボン繊維強化樹脂をシムに用いると、金属と比較して抵抗率が高いために圧電板とシムとの接合抵抗が高くなり、応答速度に悪影響を与えるという欠点はあるものの、比較的大きい変位量と発生力が得られることが知られている(特開昭56−83983号公報)。
【0009】
一般の繊維強化樹脂をシムとして用いる場合の問題点は、リードの引き出しにおいて通常の半田が使えず、さらに、金属と比較して一般的に圧電板との接着力が弱いため、長時間駆動の場合信頼性に欠けるということである。
【0010】
半田付けに対する対策としては、繊維強化樹脂表面の半田を付ける部分に、金属箔を導電性接着剤で予め接着しておく、という手段が試みられているものの、半田付け時に金属箔自身が剥離することがあり、信頼性に欠ける。
また、圧電板との接着に対する対策としては、繊維強化樹脂の表面を金スパッタリングなどで被覆することも考えられるが、コストが高くなるなどの欠点がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属製シムと同等の変位量が得られるように設計しても、発生力が大きくかつ共振周波数が高く、さらに、長時間駆動させても高信頼性が保てるという特性を有する、繊維強化樹脂製シムを用いた圧電アクチュエータを提供することを目的とする。
本発明者らは、シム,圧電板,シムと圧電板とを接合する接着層からなる圧電アクチュエータにおいて、無電解メッキを形成した繊維強化樹脂をシムとして用いることにより、かかる目的を達成した。
【0012】
本発明で用いる圧電板としては、圧電定数の比較的大きいチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックス板を材料として用い、その対向した面それぞれに銀やニッケルなどの電極を、焼き付け法やメッキ法などにより形成しその後分極処理したものが好適に使用される。
【0013】
本発明で用いる繊維強化樹脂とは、繊維を樹脂中に分散させて強化した複合材料をいう。繊維強化樹脂の強化繊維材としては、炭素(カーボン)繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、ガラス繊維などが適用できるが、カーボン繊維で強化した樹脂が種々の特性の面から好ましい。そして樹脂材には、エポキシ、ポリイミド、ビスマレイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどが適用できる。
【0014】
本発明でいう無電解メッキには、通常の銀メッキ、金メッキ、あるいはニッケルメッキが適用できる。半田付け及びコスト面を考慮すると無電解ニッケルメッキが好適に使用される。
なお、樹脂表面に無電解メッキを形成するに際しては、樹脂表面を機械的に粗化した後に、一般的な条件により行うことができる。
【0015】
そして、本発明で用いるシムと圧電板とを接合するための接着剤としては、シム表面に形成された無電解メッキと圧電板とが点接触するので、エポキシ系やアクリル系など、通常使用される非導電性接着剤が適用できる。これらの中では、紫外線硬化型などのアクリル系接着剤が、熱硬化を要せず好適に用いられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に実施例に基づいて本発明を説明する。
実施例
長さ45mm、幅2mm、厚み0.35mmに加工されたチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックス板に、市販ニッケルメッキ液を用いて、2μmの無電解ニッケルメッキ層を形成し、その後、分極処理を施し、圧電定数d31=−280×10-12 m/Vの圧電セラミック板を得た。
一方、シムとして、厚み0.2mmのカーボン繊維強化樹脂板(ヤング率=11.5kgf/mm2 )の表面を#100のサンドペーパーで粗した後、市販ニッケルメッキ液を用いて、2μmの無電解ニッケルメッキ層を形成した。
上記で得た圧電セラミック板2枚を、まん中にシムを挟むように、さらに圧電セラミック板の分極方向が同一方向になるように、紫外線硬化型アクリル系接着剤を用いて加圧接着し、バイモルフ型圧電アクチュエータを作製した。得られた圧電アクチュエータの断面は、おおよそ図2に示したような形となる。
【0017】
比較例1
シムとして実施例と同様のカーボン繊維強化樹脂板を、無電解メッキを行わずそのまま使用し、接着剤として導電性アクリル系接着剤を用いて、実施例と同様にバイモルフ型圧電アクチュエータを作製した。得られた圧電アクチュエータの断面は、おおよそ図3に示したような形となる。さらに、シムの露出している部分に長さ3mm、幅2mm、厚み0.05mmの銅箔を、上記導電性接着剤を用いて加圧接着した。
【0018】
比較例2
シムとして厚み0.2mmの燐青銅板を使用して実施例と同様にバイモルフ型圧電アクチュエータを作製した。
【0019】
〔圧電アクチュエータの各特性の測定〕
実施例及び比較例で得られたバイモルフ型圧電アクチュエータの各10点ずつについて、シムの露出した側の一端を固定し、半田付け後、以下の特性を測定した。
〔変位量の測定〕
100V、50Hzの交流電圧を印加し、その時の試料先端の位置の変化を光ファイバー式変位計からオシロスコープに入力し、波形をピークtoピークで読み取ることにより行った。
さらに、100V、50Hzの交流電流を500時間印加した後に変位量を測定し、変位量の低下率を求めた。
〔発生力の測定〕
電圧を印加しない時の変位を0とし、100Vの直流電圧を印加して素子を歪ませる。次に、上から圧力計により徐々に荷重を加え、変位が0に復帰する荷重の値を発生力とした。
〔共振周波数の測定〕
周波数を変化させながら50Vの交流電圧を印加し、変位量が最大となる周波数を共振周波数とした。
【0020】
得られた結果を表1に示す。また、実施例及び比較例で用いたシムの表面抵抗を測定した結果も表1に併せて示す。
【0021】
【表1】
【0022】
表1から、実施例のバイモルフ型圧電アクチュエータは、比較例1と比較してシム材の表面抵抗が低く、接着時に圧電セラミック板とシムとの接触抵抗のばらつきが小さくなるので、共振周波数が高く、各素子間のばらつきも小さいことがわかる。また、長期駆動後の変位量の低下も少なかった。
【0023】
さらに、シムの半田付けに関しては、本発明の試料では容易に可能であったが、比較例1の試料ではシムに銅箔を導電性接着剤で接着したものの、半田付け時の熱で接着剤が分解して銅箔が剥離したものがあった。
また、実施例のバイモルフ型圧電アクチュエータは、金属板をシムとして用いた比較例2と比較して、共振周波数が高いことがわかる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、本発明の圧電アクチュエータは、金属製シムと同等の変位量が得られるように設計しても、発生力が大きく共振周波数が高い圧電アクチュエータを得ることができ、さらには、長時間の駆動においても劣化の少ない圧電アクチュエータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バイモルフ型圧電アクチュエータの一般的構造を示す斜視図。
【図2】 実施例のバイモルフ型圧電アクチュエータの構造を示す断面図。
【図3】 比較例1のバイモルフ型圧電アクチュエータの構造を示す断面図。
【符号の説明】
1:圧電板、2:シム、3:接着層、4:無電解ニッケルメッキ層
Claims (2)
- シム,圧電板,シムと圧電板とを接合する接着層からなる圧電アクチュエータにおいて、無電解メッキを形成した繊維強化樹脂をシムとして用いることを特徴とする圧電アクチュエータ。
- 無電解メッキが無電解ニッケルメッキであることを特徴とする請求項1の圧電アクチュエータ。
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1998
- 1998-09-14 JP JP27939798A patent/JP3717141B2/ja not_active Expired - Fee Related
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