JP3716257B2 - 半導体cmp加工用パッドの溝加工方法及びこれを実施するイオンブロー装置 - Google Patents

半導体cmp加工用パッドの溝加工方法及びこれを実施するイオンブロー装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体CMP加工用パッドの細密溝を能率よく加工する溝加工方法及びこれを実施するイオンブロー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体のCMP加工に用いる樹脂板として硬質発泡ウレタン板材が多用され、これを所定形状に切断した発泡ウレタンパッドに多数の同心円状または碁盤目状の細密な溝を形成するには、機械加工法、金型による形成法、モールデイング法等が提案され、それぞれについて改良が加えられてきた。
しかしながら、発泡ウレタンパッドをCMP加工に使用するに際しては外形寸法の大きいものに細密な溝寸法と多くの溝数を加工したものが必要であり、溝の寸法精度と溝形状の均整度も高いものが求められている。
【0003】
ここで多数の同心円状又は碁盤目状の細密な溝について説明する。
図21(a)は、パッドの部分であって同心円状に形成した細溝の上面図、(b)は溝の断面図である。円板の直径は250mm乃至1000mmの範囲であり溝のピッチ,溝形状の具体例は(b)に図示する通りである。
図22(a)は、碁盤目状に形成した細溝の上面図、(b)は溝の断面図である。円板の直径は250mm乃至1000mmの範囲であり溝のピッチ,溝形状の具体例は(b)に図示しする通りである。
【0004】
従来、同心円状の溝の加工は、旋盤の機能を有する加工機にあってはパッドを取り付ける回転面板があり、溝のピッチ方向に送って位置決めし、溝の深さ方向に切り込むことが可能な刃物台に旋削工具を取着し加工する。このような機械を用いる場合は、薄い発泡ウレタンパッドを均一な力で回転面板上に固定することは困難であり、溝の深さ方向の微少量切り込みをバイト刃先に与えることが難しい。
【0005】
また、碁盤目状の溝の加工をする場合バイトを直線送りして平行な多条溝の加工をマシニングセンタ又はプレーナ等に割出し回転テーブルを設けて回転工具または切削工具を用いて加工することも可能であった。
また、工具の研摩を高品質に仕上げても切粉が刃先に絡むことにより工具の折損に至る場合が生ずる。そのため切粉が帯電しないよう切削液を多くしたり特殊な帯電防止助剤を添加したりして切削効率の向上を計ってきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術において述べた従来の汎用加工機である旋盤やマシニングセンタ等を使用して発泡ウレタンパッドを加工する場合、被削材が高分子材であり金属を加工する場合と異なる特別な条件が加わる。薄い発泡ウレタンパッド上の殆ど全表面に同心円状又は碁盤目状溝を刻設するために、外縁で被削材を固定するのみでは被削材の中央部分を加工する時に変形を生じ、寸法精度の高い溝を加工することができないという問題を有する。
【0007】
また、発泡ウレタンパッド上に溝を加工する場合に、材質が発泡性ウレタンであり発泡程度による硬度の差が多様で、溝が同心円状や直線からなる碁盤目状であったりするので切削する際に加工工具を選択できる自由度の幅が狭く、切削工具の切り換えが容易でないという問題を有する。
また、汎用の加工機の殆どは金属を被削材としているので加工機全体が重厚に構成され、テーブルの送り・刃物台の送り・刃物の切り込みを構成する機械要素が発泡ウレタンパッドを加工するには過剰な剛性を有する。そのため直線溝をテーブル移動で加工するとき、その分、加工動作の切り換えに多くの作業時間を必要とし無駄時間が多いという問題を有する。
また、汎用機の直進テーブル・回転テーブルでは位置決めに対する応答速度が悪く、その慣性のために高速化できないので作業能率が悪いという問題を有する。
同心円状若しくは碁盤目状の溝を加工する場合、被削物の切粉は帯電しやすく細く長く薄いので刃先に絡みやすい。刃先に絡んだ場合は、溝の加工精度や形状精度に及ぼす影響が大きく全く加工が不可能になる場合が生ずる。
【0008】
また、被削材の材質が高分子物質であるため切削による摩擦で高電圧のマイナス帯電をし、粉状の切粉が工具や被削材表面および加工された溝の中や溝壁に付着しがちで、溝の切削性を低下させ溝の仕上がり精度の低下、溝形状の均整度を低下させるという問題を有する。
また、被削材が発泡ウレタンパッドであるため従来の刃先のままの旋削用バイト,溝フライスカッタ,穴あけ用ドリルでは溝の仕上がり形状が良好でないという問題を有する。
【0009】
本発明は、従来の汎用加工機械を用いて発泡ウレタンパッドを加工する場合に生ずる前述の問題に鑑みなされたものであり、多孔性発泡ポリウレタンパッドの細溝加工に適合した加工機械を用いることにより、加工時に静電気を帯びて放出され、工具や溝に付着する切粉に極性反対のイオンブローをすることにより電気的に中和した切粉を回収させるようにしてパッドを効率よく加工する切削加工方法と、帯電する切粉に有効に逆極性のイオンを吹き当て中和させた切粉を吸引して回収するイオンブロー装置とを提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、テーブル上に吸着させた半導体CMP加工用パッドに細溝を切削加工するに際し、切削工具として旋削多刃工具を用いて、切削により前記パッド及び切粉に帯電した静電気を中和させるイオンを切削工具の旋削方向後方から圧力空気とともに工具刃先の方向に噴出させて前記パッド及び工具に付着する切粉を分離させると共に、該分離した切粉を切粉吸い込みノズルの働きによりパッド上から除去するものである。
【0011】
この請求項1の発明によれば、半導体CMP加工用パッドの溝加工時の環境条件(温湿度)を一定に保って、被削材及び切粉に帯電する静電気を中和できる程度の逆極性に帯電した空気を被削材に当てて中和し切粉の付着を防止する切削加工方法である。噴出時の空気流で切粉を排出するため、別に設けた排出用ノズルに吸引させ排除することもできる。逆極性のイオンは多過ぎても少な過ぎても良くないので適正な管理が必要である。
【0012】
また、請求項2の発明は、同心円の細溝を同時に切削加工する場合において、前記旋削用多刃工具の工具ホルダの導通穴を通った前記イオンを旋削方向後方から工具刃先の方向に複数の噴出口から放出させ、切粉の発生個所に均等に中和用イオンを噴出させ強制的に切粉と衝突させて帯電を中和させることにより切刃と切刃の間に切粉が付着するのを防ぐものである。
【0013】
請求項2の発明によれば、旋削用多刃工具で多条の細溝の加工を支障なく遂行するためには、削り出される切粉処理が重要な課題である。特に、切粉の物性からくる帯電による付着性はパッドの精度品質,形状品質の維持を危うくするものである。
特に細溝用多刃工具で同心円状の溝を加工するときは刃先に絡みやすいのでこれを排除する必要がある。そこで削り出された直後の帯電した切粉に電荷中和用のイオンを吹き当て付着性が生じないようにし、浮遊する切粉をエアブロー等の周知の排出手段で刃先から排除することが容易となる。
【0017】
また、前述の請求項1および請求項2に記載の発明においては、何れも、削り出された切粉にイオンブローして付着性を消失させるイオンブローと、電荷が中和され浮遊する切粉を切削直後にノズルで吸引して連続的に回収することを組み合わせたパッドの切削加工方法であり、作業能率の向上と継続的な品質維持が可能となる。
【0018】
請求項の発明は、半導体CMPパッドを切削工具を用い細溝を加工する場合のイオンブロー装置であって、イオン発生源を有し発生したイオンを圧力空気と共に供給可能なイオンブロー流路と、前記切削工具として多刃工具を保持しその切削方向後方から刃先方向に前記イオンブロー流路のイオンを噴出させる噴出口が並設された工具ホルダと、切粉と逆極性の前記イオンを吹き当て静電気が中和された切粉を排出する吸引ノズルとを含んでなり、切粉の電荷を中和させ付着性を失った切粉を吸引回収するものである。
【0019】
請求項の発明によれば、多刃工具の刃先間近にイオンブローが均等に吹き当てられるように工具ホルダ内にイオンブローの流路を設け、生成した直後の切粉の電荷を中和するので刃先に付着することもなく、加工した溝の精度品質,形状品質が劣化することもなく製品を高品質に維持し加工能率も向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】
〔本発明の溝加工方法を適用可能な加工機械〕
本発明の溝加工方法を適用し、且つイオンブロー装置が設けられた半導体CMP加工用パッドの細溝加工機械は次の構成からなる。
(イ)円テーブル(C軸)
(ロ)ガントリ形コラム(X軸)
(ハ)クロスレール上に設けた2系統のサドル(Y1,Y2軸)
(ニ)左右のサドルそれぞれに設けた刃物台(Z1,Z2軸)
(ホ)モータ駆動と制御軸とを統括制御する数値制御装置
該細溝加工機械に、
(ヘ)固定工具(旋削工具・パッド切断工具)
(ト)回転工具ユニット(溝フライスカッタ,ドリル)
(チ)帯電防止用イオンブロー装置
等の装置を付加して使用することにより半導体CMP加工用パッドの加工精度,加工能率が一層向上する。
【0021】
前記構成からなる細溝加工機械の各部の構成を予め説明する。
図1(a),(b),(c)は細溝加工機械の全体構成を示している。
図1(a),(b),(c)において、C軸制御される水平な円テーブル1,ベッド3にはクロスレールで連結された左右のコラム4A,4Bが水平な第1ガイド5A,5Bで案内され、同期駆動されるねじ軸6A,6BでX軸制御されるガントリ形コラム11、クロスレール7上に設けられる二つのサドル8A,8Bを共通に移動可能に案内する水平な第2ガイド9A,9BとそれぞれをY軸制御する第2ガイドと平行なねじ軸10,14が示されている。サドル8A,8Bのそれぞれに設けられた刃物台18,19をZ軸方向にねじ軸12A,12Bで駆動するモータ13A,13Bが設けられている。
【0022】
(イ)円テーブル(C軸)
図2は円テーブル1,ハウジング2の断面、円テーブル1の駆動部及び円テーブル1の上面に半導体CMP加工に使用する発泡ウレタンパッド15を吸引するための負圧発生用のサクションブロワ25の配置図、図3は円テーブル1をC軸制御して位置を角度割出した後、溝加工前に円テーブル1の割出し位置を位置決めする固定部材の断面図、図4はサクション効果を一様にするために円テーブル1に刻設された空気の流路を示す平面図、図5は円テーブル1の吸着面板16で、発泡ウレタンパッド15を裏面からの吸引力を均一にし、かつ上面の溝加工時の応力に対する変形がないように表面の微細溝と貫通穴を設けた吸着面板16の上面図である。
【0023】
図2において、発泡ウレタンパッド15を吸引して固定する空気穴と溝が刻設された吸着面板16で上面を覆い、中に空間1bが形成される円テーブル1は、軸芯の穿設孔17aを通って空気導通可能な中空中心軸17の上部端面がラッパ形に大きく開き、そのフランジ面17aで支えられ一体に固定されている。
中空中心軸17は、円テーブル1の外径と端面の振れを極めて少なくするために上部の軸受33と下部の軸受34の形式・寸法・精度級が選択されハウジング2に構成されており、該ハウジングはベッド3に固定されている。中空中心軸17は軸下端部に伝導部材が軸着されており、座3aに固定されたC軸制御用のモータ21で駆動される。伝導部材はプーリ22,23およびベルト24が図示されているが歯車伝導によっても良い。中空中心軸17が回転中も吸引力を維持しつづける必要があり、ベッド3に設けたサクションブロワ25と中空中心軸17の下端穴との間は、座3bに取着した支え26で支持されるカップリング27,ホース28等で結合されている。
【0024】
図3において、円テーブル1はC軸制御により所定の位置に角度割出しを行って、溝加工をする前に円テーブル1が所定位置に固定される。そのため、中空中心軸17に固定されて回転する円板30上の突出子31を固定したセンサ32で位置を検出する〔図2参照〕。碁盤目状の細溝加工の場合にはセンサ32の配置により45度ごとの位置を検知可能とし90度の旋回位置で固定して加工する。位置固定部材38として、円テーブル1の下面に位置決め用のテーパ穴付のブッシュ35を割出し位置に設け、ベース3上に先端にテーパ軸36を有するピストン部材37を用いて位置決めする。該ピストン部材は空圧式若しくは油圧式または電磁式のいずれでも良い。位置固定部材はテーパ軸36の使用に限定されない。カービックカップリングを使用して45度以下の割出しをすることも可能である。
【0025】
図4(a)は円テーブルの上面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。図4において、円テーブル1は急速な起動か停止ができるように材質は軽金属の例えばアルミニューム合金系のなかから選定することが容易である。経年使用による歪みが生じず、かつ熱変形しにくい材質が選ばれる。円テーブル1には中空中心軸17と導通する空気の導通穴1aが複数設けられている。中空中心軸17の軸心穴17bから外径方向へ離れるほど吸引力が低下するので、外縁の領域にも等しく吸引力が及ぶよう中心側の導通溝1bは外側の導通溝1cより広く加工されている。溝幅は加工により自在に形成することができる。
図4(a)に示す円テーブル1の実施例では、空気の導通溝1dは異なる半径の同心円上に設け、これを放射状の導通溝1b,1cで結んでいる。吸着面板16は壁の上面1eで支えられる。
【0026】
図5に吸着面板16を示している。(a)は上面図、(b)は断面図である。(c)は吸着面板16の部分拡大図、(d)は(c)のX部の拡大図、(e)は(d)のAA断面拡大図である。図5において、吸着面板16の上面には均等に加工された吸引穴16aに吸引されて固定される発泡ウレタンパッド15は金属とことなり軟質であり吸着面板16への固定には特別な配慮が必要となる。現に加工している位置と発泡ウレタンパッド15を固定する位置とが離れていると被削材の発泡ウレタンパッドが切削時に刃物の送り方向に位置ずれを発生し精度良く溝の加工ができない。
【0027】
そこで発泡ウレタンパッド15をその背面から均等な吸着力で吸引固定できる吸着面板16を使用する必要がある。吸着面板16には、穴間ピッチをほぼ等しくとって均一に吸引穴16aが設けられている。吸引力により発泡ウレタンパッド15が変形しない穴径が被削材のパッド厚さを考慮に入れ選定される。パッドの板厚が1.4mmの場合は穴径は2mmぐらいである。吸着面板16の上面には隣接する吸引穴16aをつなぐ導通溝16bが刻設され吸引力を平均化している。また吸着面板16の上面に所定の位置に所定個所に同心円の切断工具使用時の逃げ溝16cが設けられている。
なお、穴あけ加工ユニット65を取着し穴加工をする場合には、図示していないが吸着面板16の所定位置にドリル径より若干大きい逃がし穴が設けられている。
【0028】
(ロ)ガントリ形コラム(X軸)
図6(a)は中央の円テーブル1を挟んでベッド上に設けた一対の第1ガイド5A,5Bに案内され軸制御されるガントリ形コラム11の正面図、(b)はガントリ形コラムの側面図である。図7(a)はガントリ形コラムをX軸方向を案内する一対の第1ガイド5A,5Bと軸制御される一対のねじ軸6A,6Bの配置を示す平面図、(b)は一対のねじ軸6A,6Bを一本のベルト43で回転制御する伝導系の側面図である。
【0029】
図6(a)において、右コラム4A,左コラム4Bとクロスレール7とで構成されるガントリ形コラム11は、ベッド3の中央部分に設けた円テーブル1の外側にベッド3上に平行に一方の第1ガイド5Aで案内される右コラム4Aと、他方が第1ガイド5Bで案内される左コラム4Bとの間に橋設されるクロスレール7とで構成されている。
図6(b)の側面図において、ガントリ形コラム11は、一対の第1ガイド5A,5Bに案内され円テーブル1上をX軸方向に移動可能である。なお、ガントリ形コラム11は溶接または鋳物で一体形成することも可能である。
【0030】
図7(a)はガントリ型コラムのX軸ガイドの上面図、(b)はX軸駆動系を示す本機の背面図である。図7(a)(b)において、ベッド3上の第1ガイド5A,5Bに平行に設けられたねじ軸6Aとボールナット39A及びねじ軸6Bとボールナット39Bとにより、ガンドリ形コラム11は、モータ40に軸着されたプーリ41から一対のねじ軸6A,6Bにキー着されたプーリ42A,42Bが一本のベルト43を介してガイドローラ45A,45B,46で張力調整され同期回転されている。ガントリ形コラム11のX軸方向駆動は、それぞれのねじ軸に直結した別個のモータを同期制御運転することによっても可能である。
【0031】
(ハ)クロスレール上に設けた2系統のサドル(Y1,Y2軸)
図6(a)に、クロスレール7の正面であってZ軸・X軸に直交するY軸方向に一対の第2ガイドを共用して案内されそれぞれの位置がモータで制御される2系統のサドルの正面図が示されている。
図8(a)は、図6(a)のサドル8A,8Bの下面に設けられており、サドルを案内する第2ガイド9A,9Bと、サドル8Aを駆動するねじ軸14及びサドル8Bを駆動するねじ軸10の配置をサドル8A,8Bを取り外して示す正面図である。
図8(b)は、ねじ軸10を駆動するY1軸制御用モータ47とねじ軸14を駆動するY2軸制御用のモータ48に係る伝導部材の上面図である。
【0032】
図8(a)(b)において、クロスレール7の側面7aに第2ガイド9A,9Bが平行に設けられている。サドル8A,8Bのそれぞれの下面に設けた4個のリニア軸受49がサドルのY軸方向の移動を案内する。同じく側面7aには第2ガイド9A,9Bと平行にねじ軸10,14が設けられ、それぞれのモータ(Y1軸)47とモータ(Y2軸)48で回転駆動される。それぞれの回転はそれぞれのねじ軸10,14と螺合しそれぞれのサドル下面に固定されるナット50,51により個別にY1軸制御,Y2軸制御が行われる。第2ガイド9A,9Bを共通しているのでサドル8A,8Bが干渉しないよう制御される。
即ち、サドル上に設けられる刃物台18,19に設置する刃物の種類が異なるときは、サドル8Aとサドル8Bのいずれの一つのサドルが駆動される。
【0033】
前記2系統のサドル8A,8Bは、クロスレール7の同一側面に第2ガイド9A,9Bを共通にして設けられているが、これに限定されずサドルごとに別個に設けても良い。
また、2系統のサドルを同一側面でなく一方を前側面に他方を後側面に設けても良い。刃物台に取着する工具ユニットと関連する装置がある場合はこのような構成とすることも可能である。
【0034】
(ニ)左右のサドルそれぞれに設けた刃物台(Z1,Z2軸)
図6(a)に、クロスレール7の側面7aに右サドル8Aに右刃物台18を、左サドル8Bに左刃物台19が図示されている。
図9(a)は、刃物台を仮想線で表した支持部材の正面図、(b)は側面図である。
図10は、刃物台に溝フライス加工ユニットを、図11は刃物台にドリルユニットを設けた場合、図12は、刃物台に旋削ユニットを設けた場合の側面図である。回転工具ユニット57と固定工具69を左右の刃物台に設ける場合、左右の刃物台に刃先寸法の異なる同種の工具を設けたり、回転工具ユニット57で一方に溝フライスカッタ81を、他方にドリル87を設けることもできる。
図9(a)は、左サドル8Bと仮想線で示す左刃物台19との間に設けられ該刃物台のZ軸方向を案内する一対の第3ガイドを構成する一対のガイド52B、4個のリニア軸受53Bおよび刃物台の送り量すなわち切込量を制御するモータ13Bとねじ軸12Bの配置図である。
【0035】
図9(b)において、刃物台19は、刃物台19の下面にそれぞれ2個のリニア軸受53B,53Bおよびねじ軸(Z1軸)12Bと係合するボールナット55Bが固定されている。一対のガイドレール52Bは左サドル8Bに平行に固定されている。左刃物台19のZ方向の位置制御をするモータ13Bと刃物台の移動時に重量バランスをとる一対のバランサ56Bがサドル8Bの上端に設けられ、刃物台の滑らかで精度の良い位置制御を可能にしている。
【0036】
刃物の位置決めは、ガントリ形コラム11が第1ガイド5A、5BでX軸方向に、左サドル8Bが第2ガイド9A,9Bによる紙面に鉛直なY軸方向に、左刃物台19はバランサ56B,56Bと平衡しつつZ軸方向に移動を制御して、左刃物台19を加工原点に位置決め指令することにより行われる。
図10,図11に示す左刃物台19には、回転工具の回転数が制御可能な回転工具ユニット57および穴あけ加工ユニット65が装備されている。碁盤目状の溝加工の場合、溝フライスカッタ81を取着して、円テーブル1をC軸で角度を割出し、ガントリ形コラム11のX軸移動と左サドル8BのY軸移動と左刃物台のZ軸移動で加工原点に位置決めし、加工プログラムに従い切刃をZ軸移動で切込量を与え左サドル8BのY軸移動で工具に送りを与える。図10は溝フライスカッタ、図11はドリルを装着した穴あけ加工ユニット65を取着した例を示している。
【0037】
図12に示す左刃物台19には、旋削用単刃工具58のバイトまたは多刃工具74が装備され同心円の溝加工に使用される。ガントリ形コラム11のX軸移動と、左サドル8BのY軸移動と左刃物台19のZ軸移動で工具原点に位置決めし、加工プログラムに従い円テーブル1をC軸回転させ、刃先をZ軸移動で切込量を与える。発泡ウレタンパッドに円形溝を加工する場合、加工速度をほぼ一定にする場合には、C軸の回転速度を刃物のY軸方向の位置により変速することもできる。
【0038】
これまで左側刃物台19の構成について説明してきたが、右側刃物台18の構成も同様であり説明を省略する。
左右の刃物台18,19のいずれか一方に回転工具ユニット57を、他方に旋削用の固定工具69,74を装着することができる。回転工具ユニットとしては溝フライス用カッタ81を、穴加工用にはドリル82をそれぞれ専用工具として選定することができる。ユニットとして着脱可能であり交換が容易な構成が望ましい。被削材の発泡ウレタンパッド15は、発泡材であり材質・硬度・熱的性質・切粉の形状が多様であり切削が一般に金属に比して困難である。切削条件の工具周速,送り速度等を決定するのに多くの労力を要する。これを避けるため、溝の加工をカッタとバイトのいずれも採用できるよう加工機械側が構成されている。
なお、X軸,Y1,Y2の各軸、Z1,Z2の各軸の位置決めにリニアモータを使用することが可能である。リニアモータを採用することにより位置決め精度の向上と応答速度の一層の向上が図れる。
【0039】
(ホ)モータ駆動と制御軸とを統括制御する数値制御装置
発泡ウレタンパッド15の細溝加工機械に係るC軸・X軸・Y軸・Z軸を位置制御するモータは数値制御装置で制御される。正確かつ滑らかな位置決めと微小単位の切れ込み,送りが指令され、軸相互間の同期化も加工プログラムに従い作業が自動化される。また数値制御装置に、発泡ウレタンパッド15に加工する溝の基本パターンを予め記憶しておき、その中から該当するパターンを指定して制御軸系の作業プログラムを作成し自動加工を行う。
【0040】
図13は本発明に係る発泡ウレタンパッド細溝加工機械に数値制御装置を採用した場合の制御系を示すブロック線図である。
加工する溝の形状即ち同心円状溝または碁盤目状等の種類により加工工具の種類と寸法が定まるのでこれに従い工具指令と加工プログラム入力部101から数値制御装置102に入力される。データは中央演算装置103を経由してデータ記憶部104に蓄えられる。作業指令が入力されるとインタフェース105を介し加工プログラムの工程順に従い記憶されたデータにより円テーブル(C軸)106、ガントリ形コラム(X軸)107、サドル(Y1軸)108・(Y2軸)110、刃物台(Z1軸)109・(Z2軸)111、フライスカッタ(回転)116、ドリル(回転)117の各制御のサーボモータM1乃至M8および切断工具(駆動)118が制御される。そして制御のサーボモータに取り付けたエンコーダより回転量がNC装置に102にフィードバックされる。前記制御のサーボモータの制御運転と同時にサクションブロワ25,円テーブルの位置固定部材38,イオンブロー装置114,切粉回収装置115も動作を開始する。
【0041】
本発明に係る細溝加工機械の制御を数値制御装置に替えてシーケンサ制御で統括制御することができる。
シーケンサ制御を採用した場合は、位置制御と送りや切り込みについて許容精度のレベルに制限が加わるが、装置構成が簡略化できコスト面でもメリットがあるので被削材の用途により選択することができる。
【0042】
図14はシーケンサ制御のブロック線図である。
図14において、シーケンサ制御装置は主としてシーケンサユニットとリレーを組み合わせて回路を構成し制御データを設定するデジタル回路を併せ含んでいる。操作パネル121から位置決めデータ,加工データをシーケンサ回路部122に入力し、予定する加工順序となるシーケンサプログラムも入力する。入力されたデータはシーケンサユニットとリレーとで構成されるシーケンサ動作判定部123の出力で指令された動作の完了ごとに次の動作データをシーケンサデータ出力部124から同心円状溝,碁盤目状溝等の加工指令が出される。制御されるモータはパルスモータであり位置決め,送り・切り込みの駆動用モータ125、回転工具駆動用モータ126、切断工具駆動用ピストンシリンダ部材127等がオープンループで制御される。細溝加工機械の関連機器128は操作パネル121で直接指令される。
【0043】
次にイオンブローして加工する場合に使用される工具の形状を次に説明する。
(ヘ)固定工具(旋削工具・パッド切断工具)
(1)旋削工具(単刃工具,多刃工具)
図17(a)(b)は旋削用の単刃工具、図18(a)(b)(c)は多刃工具である。
同心円状の多条溝の加工には、単刃工具(バイト)58または多刃工具74のいずれも用いることができる。
被削材が発泡ウレタンパッドであるためバイトの刃先形状は、刃幅が0.1mm乃至1.0mmの範囲、刃物角が30度乃至35度の範囲、すくい角は20度乃至10度の範囲で選定される。前逃げ角55度乃至45度の範囲で選定される。また、横逃げ角は0度乃至2度の範囲で選定される。また、刃先を単刃工具58と同一に形成し並置して構成した多刃工具74を刃物台に設定して使用すれば加工能率は極めて向上する〔図12〕。これらの角度は溝加工の径が小さいときの刃と溝の干渉及び刃が小さいための強度上の問題により決定される。
【0044】
(2)パッド切断工具
図16(a)は、サドル上の刃物台に設けた切断装置の側面図、(b)は切断装置の正面図、(c)は切断工具刃先から見た(a)の左側面図(底面図)である。
図16(a)において、切断装置77はベース78を基板とし、その上にユニットとして構成されている。該ユニットは切断工具ホルダ66と、これをZ軸方向に駆動する駆動源62例えば空圧のピストン・シリンダ部材とからなっている。切り込みは刃物台の送りで行われる。ベース78上にZ軸方向を一対の第4ガイド63A,63Bで案内される切断刃物台64が設けられている。該切断刃物台64の台上の一端にピン80をストッパとする切断刃物61が刃物ベース83に嵌装され一対の刃物押さえで固定され、切断工具ホルダ66に取着されている。前記切断刃物台64の他端に設けた支え67とベース78に設けられた駆動源62の出力端とが連結金具68で結合され駆動される。駆動源62は油・空圧のピストンシリンダ部材又は電磁ソレノイドのいずれであっても良い。
【0045】
(ト)回転工具ユニット(溝フライスカッタ,ドリル)
(1)溝フライスカッタ
図19(a)は、溝フライス加工ユニットに装着する発泡ウレタンパッドの細溝加工用の溝フライスカッタ81の正面図、(b)は切刃部分の拡大図である。図19(b)において、刃物角は20度乃至40度の範囲で選定する。刃先角が20度より小さくなると工具寿命が短く45度を超えると切れ味が低下する。すくい角は30度乃至40度の範囲で選定される。すくい角は30度に近いのが望ましいが、耐久性の点で制限され40度を超えると切れ味が低下する。刃幅は0.3mm乃至2.0mmの範囲で選定される。側面切刃角は0度乃至2度の範囲である。
フライスカッタを単独に用い1溝ずつ加工することもできるが加工能率を向上させた場合には、複数のフライスカッタを所定ピッチに積層してユニット工具に構成して用いれば良い。
【0046】
(2)ドリル
図20は、穴あけ加工ユニットに装着する発泡ウレタンパッドの細穴加工用ドリル図面で、(a)は正面図、(b)は2条からなる切刃の展開図である。図20において、ドリル直径D1が0.5mm乃至1.5mm,ドリル長Lが20mm乃至30mm,切刃数は2条である。そしてドリル82の先端の尖った円錐の円錐角θは55度乃至65度の範囲で形成しほぼ60度が望ましく被削材への刃先の進入を円滑にする。ドリル82の胴体部の直径D1まで進入したとき、ドリル82の外径部が被削材を圧接した状態にある胴体部の切刃のねじれ角αは1度乃至10度の範囲で形成しほぼ5度に選定することが望ましく、被削材の逃げの分を徐々に削除して所定内径まで穴加工を進行させることができる。
ドリル本体の切刃部分にはバックテーパがなくストレートドリルでありドリル抜去時の不具合がない。本発明のドリルは単独でも多軸ドリルユニットとしても使用できるので後者の場合は能率良く加工ができる。
【0047】
〔イオンブロー装置の実施例〕
本願発明に係る切削加工方法を実施するためのイオンブロー装置を次に説明する。イオンブロー装置は、帯電防止用のイオンブロー装置、工具ホルダ及び吸引ノズルとで構成されている。
【0048】
(チ)帯電防止用イオンブロー装置
発泡ウレタンパッドを切削加工すると摩擦によって帯電し切粉がパッドに付着しエアブローのみでは排除や吸引が難しい。
ウレタンの帯電列は負であるので別にコロナ放電で発生させた正イオンを衝突させることにより中和させて切粉排除の容易化を図っている。被削材が帯電する静電気の電圧のレベルは被削材の材質・硬度・加工条件・室内の温湿度等により影響をうけやすく、加工時の条件を一定にして保持することを前提にして中和に必要なイオンを被削材に噴射するようにする。また、多刃工具のように、バイトを並置して同時に多条の溝を加工する場合にも、切粉の発生個所に均等に中和用のイオンをノズル76から噴出させ、強制的に切粉と衝突させるようノズル形状の先端を形成する必要がある。
【0049】
図15(a)は、工具ホルダ71に固定された旋削用の多刃工具74の側面にノズル76を配したイオンブロー装置114の正面図、(b)は、工具ホルダ71内にイオンブロー噴出用の導通穴71aを設け多刃工具74の刃先方向に噴出口を設けた工具ホルダ71の側面図、(c)は、刃先方向からの視図で並列に穿孔した噴出口を示す(a)の下面図である。
図15(a)(b)において、右刃物台18に取着される工具ホルダ71にカートリッジ72がテーパブッシュ73で位置決めされる。多刃工具74は壁面71bおよび71cに当接して案内されて後、押さえ金75で固定される。
【0050】
工具の側面からはノズル76でイオンを噴出させる。旋削用の多刃工具74の場合は、工具ホルダ71に穿設した穴71aからカートリッジ72に穿設した穴72aを通って刃先74aの方向に噴出するよう流路を設けることもできる。
そしてイオンを噴出させるためにノズル76,穴72aに図示しない圧力空気発生装置または工場に配管された圧力源と接続した空気導管を導入しておくものである。本文で圧力空気発生装置には工場の配管をも含むものである。
【0051】
図15(c)は、旋削用の多刃工具74の切刃と切刃の間に切粉が付着するのを防ぐために、噴出口72aを複数設けるため穴72bをカートリッジ72の内部に刻設したものである。左刃物台19に取着する回転工具ユニット57を用いてフライスカッタ81やドリル82で加工する場合はノズル76でイオンブローができる。
【0052】
次に本発明のイオンブロー装置を使用した場合の作用を同心円状の細溝と碁盤目状の細溝を加工する場合を例に次に説明する。
【0053】
(a)同心円状の細溝
同心円状の細溝は図21に示すように、厚み1.4mmの発泡ウレタンパッドに例えば溝幅0.5mm,溝ピッチ2mmを切削する。右刃物台18に単刃のバイト58または多刃工具74を取着する。被削材の発泡ウレタンパッド15を円テーブル1の吸着面板16に載置する。予め吸着面板と同一円板のサイズに円板状に切断しておくことが望ましい。
切断は右刃物台に設けた切断装置77を用いて行うこともできる。吸着面板より直径が吸着面板により小さい被削材に細溝を加工する場合には吸着面板の穴を塞いでおくドーナッツ状の円板を予めパッド材で作って被覆しておけば良い。また、吸着面板16に吸着に必要な部分にのみ吸引穴16aを加工しておくことも可能であり、円テーブル1の導通溝16bを内部で部分的に遮断して吸引領域を分割することもできる。
【0054】
被削材の発泡ウレタンパッドを載置し吸引用ブロワ25を回転させて固定する。旋削速度が被削材の内・外周加工時に一定になるようC軸回転数値を予め入力する。
ガントリ形コラム11でX軸位置、右サドル8AでY1軸位置、右刃物台18でZ1位置をそれぞれ制御して初期位置に移動させる。同心円の直径位置が同心円の数によりY1軸上で位置決めされるよう入力され、バイトの切込量が刃物台のZ軸上にプログラムされる。これらの入力により準備は完了する。切削開始により円テーブル1は所定回転数で駆動されバイトの切れ込みが開始される。微小量の切り込みを所定回数行って一個の円形細溝の加工が完了する。
【0055】
次に右刃物台18と右サドル8Aを順次移動させて他の同心円溝の加工を続行する。発泡ウレタンパッドの面積が大きく溝数が多い場合は多刃旋削工具例えば10本乃至30本のバイトを並置しユニットに構成した工具を用いて(図11に示す多刃旋削工具74)効率の良い加工を行うことができる。発泡ウレタンパッドに細溝を加工する場合に発生する切粉の排除が問題となる。発泡ウレタンパッドはその成分により材質が異なり多種多様であり発生する切粉も粉状からリボン状まで多様である。とりわけ問題は被削材が高電圧の静電気を帯びていることである。
【0056】
そのため、工具,加工した溝内部,被削シートの上面等に飛散して付着し、エアブローだけでは容易に回収できない。そこで被削材及び切粉の静電気を中和させるため、逆極性の帯電イオンをパッド面と切粉及び刃部に吹き当て付着を防ぐイオンブローノズルを切刃の近傍に設けている。
中和させるために適量帯電した逆極性のイオンをブローするものである。切削個所からはエアブローノズルと切粉回収装置115の切粉吸い込みノズルを適宜配置して発泡ウレタンパッド上に切粉を散在させておかないようにすれば精度良い溝加工が可能となる。
単刃のバイトを使用しZ軸による工具の切り込み、Y1軸によるサドルの移動およびC軸の円テーブル回転を同期させることによりスパイラル溝の加工も可能である。
円テーブル上で溝の加工を完了した後切断工具61を使用して所定外径寸法の円盤状パッドを裁断することができる。
【0057】
(b)碁盤目状の細溝
碁盤目状の細溝は図22に示すように厚み1.4mmの発泡ウレタンパッドに例えば溝幅0.8mm,溝深さ0.5mmで溝ピッチ6.35mmを切削する。円テーブル1上に被削材の発泡ウレタンパッドを載置して準備する。左サドル8B上の左刃物台19には回転工具として溝フライスカッタ81を装備した回転工具ユニット57を取着する。円テーブル1をC軸制御で回転角を割出して初期位置でロックする。碁盤目状の細溝加工の場合は次に90度回転させて円テーブル1の位置をロックする。ガントリ形コラム11でX軸位置、左サドル8BでY2軸位置、左刃物台19でZ2位置をそれぞれ制御して、初期位置に移動させる。予め碁盤目の移動ピッチをX軸に入力する。刃物台を余分にY軸方向に移動させる必要がないからである。
【0058】
円テーブル1が固定され左刃物台19が初期位置設定が完了後加工を開始する。ガントリ形コラム11をX軸方向に碁盤目のピッチで順次移動して固定し平行な多条の細溝を加工する。続いて円テーブル1を90度旋回させて固定し直交する多条の平行な細溝を加工して碁盤目状細溝の加工を完了する。溝フライスカッタ81による細溝加工時には旋削時より切粉が粉末化して発生するので前述した静電気を中和するイオンブロー用のノズル73の必要性が更に高まり切削時の不可欠要件である。
【0059】
(c)同心円と放射状直線で形成される細溝
前記(オ)で同心円状の溝を加工した発泡ウレタンパッドに放射状の直線溝を付加する加工が可能である。この場合円テーブル1は放射状の直線溝を付与する位置に角度割出しして位置が固定できるよう望ましくはカービックカップリングを設けるのが良い。なお、この場合もイオンブロー装置を併用するのが良い。
【0060】
【発明の効果】
本発明の半導体CMP加工パッド用の細溝加工機械、専用の溝フライスカッタ、専用のドリルおよびイオンブローによる溝加工方法は、上述のとおりであり、多孔質でかつ軟質の発泡ウレタンパッドの加工に際しイオンブロー装置を使用することにより次に記載する効果を有する。
【0061】
請求項1に記載の発明は、パッドの加工に際し切粉を排除するために、切削する切刃の近傍に帯電する切粉と逆極性のイオンを帯びた空気を吹き付ける方法を併用して加工を行うことにより切粉を有効に切削周辺から排除することが可能となった。
【0062】
請求項2に記載の発明は、多刃工具により同心円状の細溝加工をする場合に工具刃先の方向に均等にイオンを噴出させることにより接近した切刃間隔でも切刃に切粉が付着することがないという効果を有する。
【0063】
請求項3に記載の発明は、所定のピッチに積層して構成したフライス工具を用い平行な細溝を加工する場合にノズルから逆極性の帯電イオンを吹き付けて切粉の静電気を中和させることができるので切粉付着を防ぐことができるという効果を有する。
【0064】
請求項4に記載の発明は、切削工具の刃先で削られ放出された切粉をブローノズルからのイオンで静電気を中和させる共に、工具周辺に浮遊する切粉を吸い込み用ノズルで効率良く吸引させることによりパッド表面に切粉が散在することを防ぐので溝形状の均整度の低下を生じないという効果を有する。
【0065】
請求項5に記載の発明は、切粉の発生個所に均等に中和用イオンを噴出し強制的に切粉と衝突させるようにしたノズルの先端を形成した工具ホルダに多刃工具を取着し、イオンで中和され付着性を消失した工具刃先やパッド表面に散在する分離した切粉を吸い込みノズルで回収するので工具刃先の破損防止と寸法精度の高い溝を加工することができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るイオンブロー装置を取着し、本発明に係る切削加工方法を適用する半導体CMP加工用パッドの細溝加工機械の全体構成を示す図で、(a)はベッドに設けられる円テーブル(C軸),ガントリ形コラムの正面図、(b)はガントリ形コラムを位置決めするX軸ねじ軸と円テーブルの上面図、(c)はサドル(Y軸)と刃物台(Z軸)を含む側面図である。
【図2】細溝加工機械の円テーブル関連の構成説明図で、円テーブルの断面,円テーブル駆動系,エアブローシステムを含む図である。
【図3】図2に示す円テーブルの位置決め部材の断面図である。
【図4】円テーブルを示す図で、(a)は円テーブルの空気流,案内溝の構成を示す上面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図5】円テーブルを被覆する吸着面板を示す図であって、(a)は均等にかつ貫通して穿孔された穴の配置を示す上面図、(b)は(a)の貫通穴を含む吸着面板の断面図、(c)は吸着面板の一部拡大図、(d)は(c)のX部の拡大図、(e)は(d)のB−B断面の拡大図である。
【図6】ガントリ形コラム(Y軸)の図で、(a)は正面図、(b)は左側面図である。
【図7】ガントリ形コラム(X軸)の駆動系を示す図で、(a)は一対のねじ軸とモータの配置を示す上面図、(b)は(a)の背面図である。
【図8】サドル(Y1軸,Y2軸)の駆動系を示す図で、(a)はガイドとねじ軸の配置を示す正面図、(b)はそれぞれのねじ軸を駆動するモータを含む上面図である。
【図9】刃物台(Z1軸,Z2軸)の駆動系及びねじ軸を駆動するモータと刃物台のバランサーとの配置を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面である。
【図10】刃物台に溝フライス加工ユニットを取着した場合の側面図である。
【図11】刃物台にドリルユニットを取着した場合の側面図である。
【図12】刃物台に旋削工具を取着した場合の側面図である。
【図13】数値制御装置のブロック線図である。
【図14】シーケンサ装置のブロック線図である。
【図15】本発明のイオンブロー装置として刃物台に設けて使用する多刃工具を取着した工具ホルダで、(a)はノズルと多刃工具の正面図、(b)は(a)の刃物台の右側面図、(c)は(a)の下面図である。
【図16】パッド加工用工具として使用される各種の工具を示し、(a)は、サドル上の刃物台に設けた切断装置の側面図、(b)は切断装置の正面図、(c)は切断工具刃先から見た(a)の左側面図(底面図)である。
【図17】パッド加工用工具として使用される各種の工具を示し、(a)(b)は旋削用の単刃工具である。
【図18】パッド加工用工具として使用される各種の工具を示し、(a)(b)(c)は多刃工具である。
【図19】パッド加工用工具として使用される各種の工具を示し、(a)は、溝フライス加工ユニットに装着する発泡ウレタンパッドの細溝加工用の溝フライスカッタの正面図、(b)は切刃部分の拡大図である。
【図20】穴あけ加工ユニットに装着する発泡ウレタンパッドの細穴加工用ドリルで、(a)は正面図、(b)は2条からなる切刃の展開図である。
【図21】半導体CMP加工用パッド上に形成される溝の形態図で、(a)はパッドの部分であって同心円状に形成した細溝の上面図、(b)は溝の断面図である。
【図22】半導体CMP加工用パッド上に形成される溝の形態図で、(a)は、碁盤目状に形成した細溝の上面図、(b)は溝の断面図である。
【符号の説明】
1 円テーブル 2 ハウジング
3 ベッド 4A 右コラム
4B 左コラム 5A,5B 第1ガイド
6A,6B,10,12A,12B,14 ねじ軸
7 クロスレール
8A 右サドル 8B 左サドル
9A,9B 第2ガイド
11 ガントリ形コラム
13A,13B モータ
15 発泡ウレタンパッド
16 吸着面板
17 中空中心軸 18 右刃物台
19 左刃物台 21 モータ(C軸)
25 サクションブロワ
30 円板 32 センサ
36 テーパ軸 37 ピストン部材
38 位置固定部材
39A,39B,55B ボールナット
40 モータ(X軸)
47 モータ(Y1軸)
48 モータ(Y2軸)
50,51 ナット
52A,52B 第3ガイド
53A,53B リニア軸受
56A,56B バランサー
57 回転工具ユニット
58 単刃工具(バイト)
59 溝フライス加工ユニット
60 入力部 61 切断工具
62 駆動系 63 第4ガイド
65 穴あけ加工ユニット
66 切断工具ホルダ
69 固定工具 71 工具ホルダ
72 カートリッジ 74 多刃工具
76 ノズル 77 切断装置
78 ベース 81 溝フライスカッタ
82 ドリル 83 刃物ベース

Claims (4)

  1. テーブル上に吸着させた半導体CMP加工用パッドに細溝を切削加工するに際し、切削工具として旋削多刃工具を用いて、切削により前記パッド及び切粉に帯電した静電気を中和させるイオンを切削工具の旋削方向後方から圧力空気とともに工具刃先の方向に噴出させて前記パッド及び工具に付着する切粉を分離させると共に、該分離した切粉を切粉吸い込みノズルの働きによりパッド上から除去することを特徴とする半導体CMP加工用パッドの溝加工方法。
  2. 心円の細溝を同時に切削加工する場合において、前記旋削用多刃工具の工具ホルダの導通穴を通った前記イオンを旋削方向後方から工具刃先の方向に複数の噴出口から放出させ、切粉の発生個所に均等に中和用イオンを噴出させ強制的に切粉と衝突させて帯電を中和させることにより切刃と切刃の間に切粉が付着するのを防ぐようにした請求項1に記載の半導体CMP加工用パッドの溝加工方法。
  3. 半導体CMPパッドを切削工具を用い細溝を加工する場合のイオンブロー装置であって、イオン発生源を有し発生したイオンを圧力空気と共に供給可能なイオンブロー流路と、前記切削工具として多刃工具を保持しその切削方向後方から刃先方向に前記イオンブロー流路のイオンを噴出させる噴出口が並設された工具ホルダと、切粉と逆極性の前記イオンを吹き当て静電気が中和された切粉を排出する吸引ノズルとを含んでなり、切粉の電荷を中和させ付着性を失った切粉を吸引回収することを特徴とするイオンブロー装置。
  4. テーブル上に吸着させたパッドに細溝を切削加工することにより半導体CMP加工用パッドを製造するに際し、
    切削により前記パッド及び切粉に帯電した静電気を中和させるイオンを切削工具の刃先近傍から圧力空気とともに噴出させ、且つ、該切削工具として旋削用多刃工具を用い、イオンを該圧力空気とともに該旋削用多刃工具の旋削方向後方から工具刃先の方向に放出させると共に、発生する切粉を吸引して排除する切粉吸い込みノズルを設けたことを特徴とする半導体CMP加工用パッドの製造方法。
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