JP3716122B2 - 建築計画用定規および建築物の計画方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の計画段階において、建築物の概略形態や敷地内での配置を設定するための建築計画用定規と、これを利用した建築物の計画方法に関し、より詳細には、建築物の隣地境界側部分の形態や配置を設定する際に、いわゆる採光有効面積の規定にしたがって、居室への採光に有効な開口部を確保するための建築計画用定規および建築物の計画方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の形態については、その建築物が建築される個々の敷地ごとに、建築基準法等による数値的な制限規定が何項目にもわたって適用されることとなる。そのため、個々の敷地に建築物を建築しようとする際には、まず初期の計画段階において、建築物の階数や面積、当該敷地内における建築物の配置、突出部の高さなど、建築物の全体的な概略形態を仮定しながらこれを前記制限規定に沿ってチェックし、そのチェックに基づく修正を繰り返しながら合法的な概略形態を設定する作業が行われる。
【0003】
このような計画作業は、計画担当者が各種制限規定に関する知識や経験に基づいて、その都度一定の時間と手間をかけて行っているのが通常であり、敷地条件は個々に千差万別であることから、計画作業の標準化や効率化を図ることが容易ではないという実情がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記制限規定のひとつに、いわゆる採光有効面積の規定がある。この規定は、住宅や病院等の建築物における居室部分ついて良好な居住性を確保するために定められたもので、該建築物の居室には、居室の床面積に応じた採光有効面積を有する窓その他の開口部を設けなければならないことが定められている。
【0005】
平成10年現在の建築基準法では、住宅、学校、病院診療所、寄宿舎、下宿その他のこれらに類する建築物で政令で定めるものの居室には採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあっては1/7以上、その他の建築物にあっては1/5から1/10までの間において政令で定める割合以上としなければならない(同法第28条第1項)とされている。
【0006】
そして、同条に規定された窓その他の開口部(以下、開口部という)で採光に有効な部分の面積は、隣地境界線又は同一敷地内の他の建築物若しくは当該建築物の他の部分に面する開口部の部分で、その開口部の直上にある建築物の各部分からその部分の面する隣地境界線又は同一敷地内の他の建築物若しくは当該建築物の他の部分の対向部までの水平距離を、その部分から開口部までの垂直距離で除した割合が、所定の割合(2/10〜4/10)以上である部分について算定する(同法施行令第29条第1項)ことと定められている。なお、本明細書中においては、説明の簡明のために、以下、「開口部が対向する同一敷地内の他の建築物若しくは当該建築物の他の部分」については、これらを包含して「隣地境界線」と総称するものとする。
【0007】
すなわちこの規定は、例えば建築しようとする建築物が住居系の用途地域内の住宅である場合、建築物の居室には該居室の床面積の1/7以上の開口面積を有する開口部が必要で、この開口部の直上に位置する建築物の各部分は、その部分から隣地境界線までの水平距離を、その部分から開口部下端までの垂直距離で除した割合が4/10以下になるように設けなければならないというものである。換言すると、図5に示すように、建築物1において、居室Kに対して採光に有効な開口部Wを設けようとするとき、この開口部Wの上方に設けられる棟、軒、パラペット、庇などの突出部1aは、該開口部Wの下端を通る水平線と隣地境界線BL上の垂直面との交点P(以下、これを採光斜線起点という)から、建築物1の上方に向けて2.5/1(=10/4)の勾配で立ち上げた斜線SL(以下、これを採光斜線という)よりも下方に位置しなければならないということになる。なお、符号GLは地盤面を示す。
【0008】
かかる規定に従うためには、建築しようとする建築物1における、主要な居室Kへの採光のための開口部Wについて、その開口部Wの直上に設けられる主要な突出部1aから開口部Wの下端までの垂直距離hと、該突出部1aから隣地境界線BLまでの水平距離dとをそれぞれチェックすることが必要であり、万一いずれかの突出部1aが採光斜線SLよりも上方に突出するようであれば、その突出部1aの高さを低くするか、その位置を隣地境界線BLから後退させるか、開口部Wを上方に移動させるか、などの修正を行わなければならない。しかも、このようなチェック作業は、特に建築物1の上部や外壁の形態が複雑になるほど面倒になる。
【0009】
そこで、本発明は、建築物の計画段階において、主要な居室の配置と、該居室への採光のための開口部の大きさおよび高さがあらかじめ設定されていることを前提として、該開口部を法令に定められた採光に有効な開口部とするためのチェック作業を行うのに便利な建築計画用定規と、これを利用した建築物の計画方法を提供することにより、例えばプレファブ住宅のように形態がある程度標準化された建築物については、前記した採光有効面積の規定に反しない建築物の形態や配置を誰でも簡単かつ迅速に設定できるようにすることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の建築計画用定規は、標準化された形態を有し、主要な居室の配置と該居室への採光のための開口部の大きさおよび高さがあらかじめ設定されてなる建築物について、該開口部の上方に設けられる棟、軒、庇、パラペット、バルコニー等の主要な突出部から該開口部の下端までの垂直距離を採光斜線の勾配値で除すことによりそれぞれ得られる各突出部の隣地境界線からの後退距離が、定規の縁部に沿って、共通の原点から一方向に所定の縮尺でそれぞれ標示されてなることを特徴としている。
【0011】
また、請求項2に記載の建築計画用定規は、標準化された形態を有し、主要な居室の配置と該居室への採光のための開口部の大きさおよび高さがあらかじめ設定されてなる建築物について、該開口部の上方に設けられる棟、軒、庇、パラペット、バルコニー等の主要な突出部から該開口部の下端までの垂直距離を採光斜線の勾配値で除した後、さらに壁厚を考慮して補正することによりそれぞれ得られる、各突出部の壁芯位置での隣地境界線からの後退距離が、定規の縁部に沿って、共通の原点から一方向に所定の縮尺でそれぞれ標示されてなることを特徴としている。
【0012】
本発明において標準化された形態を有する建築物とは、例えば、パネル構法やユニット構法等により建築される、プレファブ式住宅や中・低層アパートなどに代表される建築物である。このような建築物は、一般に、基本構造、柱配置、階高、基本となる間取り、各種建材などが共通のモジュールに則して標準化されており、建築物の各構成部分ごとに数種類ないし十数種類のバリエーションが用意された設計パターンを適宜組み合わせて建築物全体を構成するようになっている。そのため、ある程度の設計自由度は確保されているが、建築物の外形に現れる屋根やバルコニー等の形態、主要な居室や開口部の配置などについては一定範囲のパターンに限定されるものである。そこで、想定される各パターンの形態について、主要な突出部や開口部の形態をあらかじめ数値化して定規上に標示しておくことにより、その定規を用いて簡単かつ迅速に計画作業を行なうことが可能になる。すなわち、本発明は、このように標準化された形態を有する建築物を計画するために用いられる建築計画用定規である。
【0013】
また、本発明において主要な突出部とは、建築物の外方または上方に突出して形成された、採光斜線に干渉するおそれのある部分である。したがって、棟、軒、庇、パラペット、バルコニー以外にも、これらに類する形態の部分については、その機能や用途にかかわらずすべて包含される。
【0014】
さらに、本発明において採光斜線とは、前記のとおり、主要な居室への採光のために設けられる開口部の下端を通る水平線と、該開口部が対向する隣地境界線上の垂直面との交点(採光斜線起点)から、建築物の上方に向けて、建築基準法令に規定された所定勾配(2.5/1〜5/1)で立ち上げた斜線をいう。
【0015】
また、請求項3に記載の建築物の計画方法は、標準化された形態を有し、主要な居室の配置と該居室への採光のための開口部の大きさおよび高さがあらかじめ設定されてなる建築物について、該開口部の上方に設けられる主要な突出部から該開口部の下端までの垂直距離を採光斜線の勾配値で除すことによりそれぞれ得られる各突出部の隣地境界線からの後退距離、または該後退距離に壁厚を考慮した補正を加えて得られる各突出部の壁芯位置での隣地境界線からの後退距離が、定規の縁部に沿って、共通の原点から一方向に所定の縮尺でそれぞれ標示されてなる建築計画用定規を、該建築計画用定規と同縮尺の敷地平面図上に重ね、前記縁部を隣地境界線に直交させるとともに前記原点を隣地境界線上に一致させ、該縁部に標示された各突出部の隣地境界線からの後退距離または各突出部の壁芯位置での隣地境界線からの後退距離にしたがって各突出部の位置を敷地平面図上に作図することにより、前記建築物の隣地境界線側の形態および配置を設定することを特徴としている。
【0016】
すなわち、本発明の建築計画用定規は、開口部の上方に設けられる主要な突出部から該開口部の下端までの垂直距離を採光斜線の勾配値で除すことによりそれぞれ得られる各突出部の隣地境界線からの後退距離(請求項1)、あるいは該後退距離に壁厚を考慮した補正を加えて得られる各突出部の壁芯位置での隣地境界線からの後退距離(請求項2)をあらかじめ割り出しておき、かかる後退距離を、定規の縁部に沿って、隣地境界線を示す原点から一方向に所定の縮尺でそれぞれ標示してなるものである。
【0017】
この建築計画用定規を同縮尺の敷地平面図上に重ね、建築計画用定規の縁部を開口部が対向する隣地境界線に直交させて、該縁部に標示された原点位置を隣地境界線上に一致させると、該縁部に標示された各突出部の隣地境界線からの後退距離または各突出部の壁芯位置での隣地境界線からの後退距離をたよりにして、主要な各突出部の隣地境界線側の位置を敷地平面図上に迅速にプロットすることができる。こうしてプロットされた各突出部の位置を通って隣地境界線に平行する直線を敷地平面図上に作図することにより、該直線を基準にして、居室への採光に有効な開口部を合法的に確保しつつ、建築物の概略形態や敷地内における配置を誰でも簡単に設定することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は、本発明の建築計画用定規(以下、単に定規という)を用いて計画しようとする建築物10の一例を示す立面図である。例示した建築物10は、3階建てのプレファブ住宅であって、陸屋根形式の3階屋根を有し、敷地条件に合わせて3階部分の一部を2階部分よりも所定寸法だけセットバックさせることができるよう、その基本構造が標準化されている。そして、この建築物の1階に配置される主要な居室(図示せず)に対しては、採光のための開口部として、所定の開口面積を有する窓W1が、所定の高さに設けられるようになっている。
【0020】
この1階の窓W1に対する採光斜線SLに干渉するおそれのある、窓W1上方の主要な突出部としては、例えば3階屋根(屋上)のパラペット頂部11、3階部分および2階部分の外方に一定の出寸法で突出してそれぞれ設けたバルコニーの手摺壁頂部12および13、3階部分をセットバックさせた場合の2階屋根のパラペット頂部14などが挙げられる。
【0021】
そして、これら各突出部11〜14から窓W1の下端までの垂直距離は、3階屋根のパラペット頂部11についてはh1、3階バルコニーの手摺壁頂部についてはh2、2階バルコニーの手摺壁頂部についてはh3、2階屋根のパラペット頂部についてはh4、にそれぞれ設定されている。
【0022】
図2は、前記建築物10を計画するために用意された本発明の定規2を示す。この定規2は、前記建築物10における各突出部11〜14から窓W1の下端までの垂直距離h1〜h4と、その垂直距離h1〜h4にそれぞれ対応する各突出部11〜14の壁芯位置での隣地境界線BLからの後退距離d1〜d4とを、1枚の板上に、例えば1/100の縮尺で標示したもので、その1辺の縁部21が作図基準線として定められ、この縁部21上に隣地境界線BLからの後退距離のゼロ位置を示す原点20が設定されている。この定規2の表面には、作図基準線となる縁部21に平行に、地盤面GLを示す直線22が描かれるとともに、原点20から縁部21に直交して、隣地境界線BL上の垂直面を示す一点鎖線23が描かれている。
【0023】
地盤面GLを示す直線22の上方には、前記した主要な突出部11〜14の断面形状をそれぞれ簡略化してあらわした姿図31〜34が描かれている。これらの姿図31〜34は、直線22を基準にして各突出部11〜14の地盤面GLからの高さを1/100の縮尺であらわしたもので、各姿図31〜34の頂部から水平方向に引き出された補助線41〜44の脇に各突出部11〜14の名称と地盤面GLからの高さがそれぞれ標示されている。また、各姿図31〜34の横方向の位置は、各突出部11〜14の頂部が採光斜線SLぎりぎりに位置するよう、後述のようにして割り出される後退距離d1〜d4に基づいてそれぞれ設定されている。
【0024】
各突出部11〜14の姿図31〜34には、それぞれの位置に対応する窓W1の断面形状を示す断面線51〜54が描かれ、さらに各断面線51〜54の下端位置を通って描かれた水平線24によって、窓W1の下端の高さが示されている。この水平線24と、隣地境界線BL上の垂直面を示す一点鎖線23の交点25は、窓W1に対する採光斜線起点Pを示している。そして、この交点25から斜め上方に向かって、窓W1に対する採光斜線SLを示す所定勾配(この例では2.5/1)の一点鎖線26が描かれている。
【0025】
各突出部11〜14の姿図31〜34には、さらに、各突出部11〜14の壁芯に相当する位置から直線22に向けてそれぞれ垂下線61〜64が引かれ、これらの垂下線61〜64が縁部21まで延長されて、それら延長された垂下線61〜64の脇に、各突出部11〜14の壁芯位置での隣地境界線BLからの後退距離d1〜d4がそれぞれ標示されている。
【0026】
すなわち、これらの後退距離d1〜d4は、各突出部11〜14から窓W1の下端までの垂直距離h1〜h4をそれぞれ採光斜線SLの勾配値(2.5)で除した後、各突出部11〜14の壁厚を考慮して補正することにより得られた値である。こうして得られた隣地境界線BLからの後退距離d1〜d4を、定規2の縁部21に沿って、原点20から一方向に1/100の縮尺でそれぞれ標示することにより、本発明の定規2が構成されている。
【0027】
なお、ここでいう「壁厚を考慮して補正」とは、具体的には、各突出部11〜14から窓W1の下端までの垂直距離h1〜h4を採光斜線SLの勾配値で除して得られた値に、各突出部11〜14の最も外側の位置と該突出部11〜14を構成する壁芯位置との水平方向の差分寸法を加算することであるが、建築物10の構造によっては、これ以外の計算方法によって補正を行う場合もある。
【0028】
続いて、この定規2を使用して建築物10の隣地境界線BL側の形態や配置を設定する方法について説明する。
【0029】
まず、図3に示すような敷地平面図7を用意する。この敷地平面図7は、定規2と同じ1/100の縮尺で描かれたものである。この敷地平面図7に例示した敷地は、四辺形状で、北東側、北西側および南西側の3辺の隣地境界線BL1,BL2,BL3を有し、南東側が例えば幅員5mの前面道路Rに接道している。そこで、この建築物の1階における主要な居室、例えばリビングルームやダイニングルーム、和室などは、南西側の隣地境界線BL3または前面道路R側に配置され、さらに各居室には前記の窓W1が設けられるものとして、南西側の隣地境界線BL3と窓W1との関係をチェックすることとする。
【0030】
図4に示すように、南西側の隣地境界線BL3上に本発明の定規2を重ね、この定規2の縁部21を隣地境界線BL3に直交させるとともに、定規2の原点20を隣地境界線BL3上の任意の位置に一致させる。そして、仮に建築物10を総3階建てで計画しようとするならば、3階屋根のパラペット頂部11に対応する隣地境界線BLからの後退距離d1が標示された垂下線61と縁部21との交点81に印をつけ、この印を通って隣地境界線BL3に平行する直線91を敷地平面図7上に引く。すると、この直線91が、3階屋根のパラペット頂部11の位置、すなわち総3階建ての場合の外壁の南西側の限界位置を示すこととなる。
【0031】
また、仮に建築物10の南西側の3階部分をセットバックさせるならば、同様にして、2階屋根のパラペット頂部14に対応する隣地境界線BLからの後退距離d4が標示された垂下線64と縁部21との交点82に印をつけ、この印を通って隣地境界線BL3に平行する直線92を引く。この直線92によって、2階屋根のパラペット頂部14の位置、すなわち2階部分までの高さの外壁の南西側の限界位置が示されることとなる。
【0032】
こうして、建築物10の外壁の南西側の限界位置が敷地平面図7上に作図されるので、あとはこれに従って、適当な位置に設計上の基準となる壁芯を設定し、北東側、北西側および南東側の壁芯の位置を順次割り出してゆけばよい。この際、必要に応じて、北側斜線制限の規定や、道路斜線制限の規定についてもチェックするものとする。
【0033】
また、建築物10の居室を他の隣地境界線BL1,BL2側にも設けようとする場合には、その対向する隣地境界線BL1,BL2に対しても同様の作業をおこなう。ただし、その先後順は任意である。
【0034】
このように、本発明の定規2を使用することにより、プレファブ住宅のように形態がある程度標準化された建築物10については、採光有効面積の規定に反しない建築物10の形態や配置を、誰でも簡単かつ迅速に設定することができるようになる。
【0035】
なお、ここでは、計画作業の実情に合わせて、定規2に標示する各突出部11〜14の隣地境界線BLからの後退距離d1〜d4を、各突出部11〜14の壁芯位置を基準にして標示し、敷地平面図7上にも各突出部11〜14の壁芯位置を作図するようにしている。しかし、これに限らず、各突出部11〜14の最も外側の位置を基準にして割り出した隣地境界線BLからの後退距離を定規に標示して、計画作業をおこなうことも可能である。
【0036】
また、前記実施の形態においては、採光斜線SLの勾配値が2.5/1の場合を例示したが、地域・地区等の区分によって採光斜線SLの勾配値は異なるので、計画の際には、必要に応じて他の勾配値に基づいて作成された別の定規を用意し、その定規を用いて作業する。
【0037】
また、前記した定規2は、各突出部11〜14の姿図31〜34や隣地境界線BLからの後退距離d1〜d4を示す垂下線61〜64が1/100の縮尺で標示され、同じ1/100の縮尺で描かれた敷地平面図7とともに使用されるものであったが、定規の縮尺は、計画に使用する敷地平面図と同一でありさえすれば1/50や1/200など他の縮尺であっても差し支えない。
【0038】
また、前記した定規2には、地盤面GLを示す直線22、隣地境界線BL上の垂直面を示す一点鎖線23、各突出部11〜14の外観を示す姿図31〜34などが描かれているが、これらは計画作業中に、建築物10の各部の形態や位置関係などを視覚的に捉えやすくするためのものである。したがって、これらの標示を省略し、細長い定規の縁部に各突出部11〜14の隣地境界線BLからの後退距離d1〜d4のみを所定の縮尺で標示して、その各標示線の脇に各突出部11〜14の名称を記載したものによっても、本発明を実施することは可能である。
【0039】
また、建築基準法等の改正により、採光斜線の勾配値や適用条件等が変更された場合には、当然、その値に基づいて割り出される各突出部の隣地境界線からの後退距離も変更されることとなる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、開口部の上方に設けられる主要な突出部から該開口部の下端までの垂直距離を採光斜線の勾配値で除すことによりそれぞれ得られる各突出部の隣地境界線からの後退距離、あるいは該後退距離に壁厚を考慮した補正を加えて得られる各突出部の壁芯位置での隣地境界線からの後退距離が、あらかじめ割り出され、定規の縁部に沿って、共通の原点から一方向に所定の縮尺でそれぞれ標示されているので、この建築計画用定規を同縮尺の敷地平面図上に重ね、縁部を隣地境界線に直交させて、縁部に標示された原点位置を隣地境界線上に一致させることにより、該縁部に標示された各突出部の隣地境界線からの後退距離、または各突出部の壁芯位置での隣地境界線からの後退距離をたよりにして、予定される建築物の概略形態や敷地内における配置を、居室への採光に有効な開口部を合法的に確保しつつ、誰でも簡単に設定することができる。その結果、計画作業の省力化が図られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建築計画用定規を使用して計画される建築物の一例を示す立面図である。
【図2】本発明の建築計画用定規の実施の形態を示す平面図である。
【図3】前記建築計画用定規を使用して建築物を計画する際の、敷地の一例を示す敷地平面図である。
【図4】前記建築計画用定規の使用方法を示す説明図である。
【図5】採光有効面積の規定を図解して示す説明図である。
【符号の説明】
10 建築物
11〜14 突出部
2 建築計画用定規
20 原点
21 縁部
7 敷地平面図
BL 隣地境界線
d1〜d4 各突出部の壁芯位置での隣地境界線からの後退距離
h1〜h4 各突出部から開口部の下端までの垂直距離
SL 採光斜線
W,W1 開口部(窓)
Claims (3)
- 標準化された形態を有し、主要な居室の配置と該居室への採光のための開口部の大きさおよび高さがあらかじめ設定されてなる建築物について、該開口部の上方に設けられる棟、軒、庇、パラペット、バルコニー等の主要な突出部から該開口部の下端までの垂直距離を採光斜線の勾配値で除すことによりそれぞれ得られる各突出部の隣地境界線からの後退距離が、定規の縁部に沿って、共通の原点から一方向に所定の縮尺でそれぞれ標示されてなることを特徴とする建築計画用定規。
- 標準化された形態を有し、主要な居室の配置と該居室への採光のための開口部の大きさおよび高さがあらかじめ設定されてなる建築物について、該開口部の上方に設けられる棟、軒、庇、パラペット、バルコニー等の主要な突出部から該開口部の下端までの垂直距離を採光斜線の勾配値で除した後、さらに壁厚を考慮して補正することによりそれぞれ得られる、各突出部の壁芯位置での隣地境界線からの後退距離が、定規の縁部に沿って、共通の原点から一方向に所定の縮尺でそれぞれ標示されてなることを特徴とする建築計画用定規。
- 標準化された形態を有し、主要な居室の配置と該居室への採光のための開口部の大きさおよび高さがあらかじめ設定されてなる建築物について、該開口部の上方に設けられる主要な突出部から該開口部の下端までの垂直距離を採光斜線の勾配値で除すことによりそれぞれ得られる各突出部の隣地境界線からの後退距離、または該後退距離に壁厚を考慮した補正を加えて得られる各突出部の壁芯位置での隣地境界線からの後退距離が、定規の縁部に沿って、共通の原点から一方向に所定の縮尺でそれぞれ標示されてなる建築計画用定規を、該建築計画用定規と同縮尺の敷地平面図上に重ね、前記縁部を隣地境界線に直交させるとともに前記原点を隣地境界線上に一致させ、該縁部に標示された各突出部の隣地境界線からの後退距離または各突出部の壁芯位置での隣地境界線からの後退距離にしたがって各突出部の位置を敷地平面図上に作図することにより、前記建築物の隣地境界線側の形態および配置を設定することを特徴とする建築物の計画方法。
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