JP3715882B2 - 光ファイバ複合電力ケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、送電用ケーブルと通信用光ファイバユニットとを複合化した光ファイバ複合電力ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
係る光ファイバ複合電力ケーブルは、一度の作業によって送電用ケーブルと通信用の光ファイバケーブルの布設が同時に行えるだけでなく、送電用ケーブルの導体温度を常時監視し、地絡時の温度上昇から事故点の標定を迅速かつ正確に行えるといった特長を有している。
【0003】
このように送電用ケーブルと通信用光ファイバケーブルを一体化、すなわち複合化した光ファイバ複合電力ケーブルとしては、例えば、光ファイバ電力線複合海底ケーブルのように、多芯の送電用ケーブルの介在部に光ファイバユニットを挿入して複合化したものもあるが、単芯の送電用ケーブルの場合は、その周囲に光ファイバユニットを螺旋状に巻き付け、その周囲を座床,鉄線,外装等からなる被覆層で覆ったものが一般的である。
【0004】
ところで、このように単芯の送電用ケーブルの周囲に光ファイバユニットを螺旋状に巻き付けて複合化した場合には、ケーブル表面がその光ファイバユニットに沿って盛り上がるようになるため、運搬時や布設時等における荷重や衝撃等の外圧が直接、光ファイバユニットに加わり、これによって光ファイバユニットが潰れて破損してしまうおそれがある。
【0005】
そのため、このような構成をした光ファイバ複合電力ケーブルにあっては、図5に示すように、送電用ケーブル1の周囲に巻き付けられる光ファイバユニット2に沿わせてその両側にそれぞれ金属線等からなる保護線条体3,3を設けることで光ファイバユニット2に直接加わる荷重や衝撃等の外圧を軽減してこれを効果的に保護するようにしている(実開昭61−13413号等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、この保護線条体3,3は単に光ファイバユニット2に沿わせて巻き付けられていることから、垂直上方からの外圧に対しては光ファイバユニット2を効果的に保護することができるが、横方向、あるいは斜め上方からの外圧に対しては光ファイバユニット2を効果的に保護することができないおそれがある。
【0007】
すなわち、この保護線条体3,3は相互に独立した状態で巻き付けられていることから、横方向あるいは斜め上方から外圧が加わると、外圧が加わった側の一方の保護線条体3が送電用ケーブル1の表面に沿ってずれ動いて光ファイバユニット2から大きく離れてしまい、光ファイバユニット2を外圧から保護する機能が喪失してしまったり、あるいは、一方の保護線条体3が他方の保護線条体3側に接近してその間の光ファイバユニット2を押し潰してしまう等といった問題が生ずる。
【0008】
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その目的は、ケーブルに加わる外圧に対して確実に光ファイバユニットを保護することができる新規な光ファイバ複合電力ケーブルを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、請求項1に示すように、ケーブルコアの外周に光ファイバユニットを螺旋状に巻き付け、それらの周囲を保護層で覆ってなる光ファイバ複合電力ケーブルにおいて、上記螺旋状に巻き付けられた光ファイバユニットに沿って、その両側に、一対の、断面四角形状で、上記保護層側角部にR加工が施された保護線条体を設け、その保護線条体同士が上記光ファイバユニットを挟んで連結テープ又は連結板によって相互に連結されているものである。
【0010】
保護線条体同士を連結テープ又は連結板によって相互に連結することによって、常に保護線条体の間隔が一定に保たれるため、横方向や斜め上方から外圧が加わっても保護線条体がずれ動いて光ファイバユニットから大きく離れてしまうことがなくなり、確実に光ファイバユニットを保護することができる。
【0012】
また、上記保護線条体は断面四角形状に形成されているため、保護線条体の動きを効果的に抑えることができると共に、これら保護線条体同士を連結板によって相互に一体化しているので、保護線条体同士の接近による光ファイバユニットの潰れも確実に防止することができる。
【0013】
そして、このような断面四角形状の保護線条体を用いると、その角部によって保護層が傷付けられてしまうおそれがあることから、この保護層側角部をR加工、すなわちその角部を切削して丸加工を施すことで保護層の損傷も効果的に回避することができる。
【0014】
また、この保護線条体は、その機能上、請求項2に示すように、その外径が少なくとも上記光ファイバユニットの外径と同等もしくはそれよりも大きくすることが望ましく、また請求項3に示すように、硬質アルミ,ステンレススチール,高密度プラスチック等の外圧に強い材料から形成することが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施する好適一形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は本発明に係る光ファイバ複合電力ケーブルの実施の一形態を示したものであり、図中1は送電用ケーブルとして利用される断面真円状のケーブルコア、2はそのケーブルコア1の周囲に螺旋状に巻き付けられる光ファイバユニット、4,4は、この光ファイバユニット2の両側に沿って延びる一対の保護線条体、5は、このケーブルコア1及び光ファイバユニット2の周囲を一体的に覆う保護層である。
【0017】
そして、本発明の光ファイバ複合電力ケーブルにあっては、図1及び図2に示すように光ファイバユニット2の両側に、光ファイバユニット2に沿って延びる一対の断面四角形状の保護線条体4,4が設けられていると共に、その保護線条体4,4の底部同士が薄板帯状の連結板6によって相互に連結され、これらが一体化した構造となっており、これら一体化された保護線条体4,4間に挟み込まれるように光ファイバユニット2が位置するようになっている。言い換えれば、硬質アルミ,ステンレススチール,高密度プラスチック等の高強度材料からなる保護線条体4,4と連結板6とで形成される溝内に光ファイバユニット2を収納したものであり、横方向からの外圧に対して光ファイバユニット2を保護するような状態となっている。
【0018】
さらに、図示するようにこれら保護線条体4,4の外径、すなわちケーブルコア1の径方向高さは光ファイバユニット2の外径よりも大きく形成されており、垂直上方あるいは斜め上方からの外圧に対しても光ファイバユニット2を効果的に保護するような状態となっている。
【0019】
従って、このような保護線条体4,4を採用した本発明の光ファイバ複合電力ケーブルにあっては、光ファイバユニット2の垂直上方から外圧が加わった場合は従来と同様にその外圧が保護線条体4,4を介してケーブルコア1側に伝達して直接光ファイバユニット2に加わることがなくなるため、垂直上方からの外圧による光ファイバユニット2の潰れや損傷を確実に回避することができる。
【0020】
また、これら各保護線条体4,4同士を連結板6によって連結し、これらを一体化したことにより、保護線条体4,4の間隔が常に一定に維持される。よって、横方向あるいは斜め上方からの外圧によって保護線条体4,4同士が接近して光ファイバユニット2を押し潰してしまったり、その保護線条体4,4のみがずれ動いて光ファイバユニット2から大きく離れてその保護機能を喪失する等といった不都合も確実に回避することができる。また、本実施の形態では、保護線条体4,4本来の可撓性を維持することができるため、ケーブル全体の可撓性を損なうおそれもない。
【0021】
しかも、この保護線条体4,4を断面四角形状に形成すると共にその底部同士を連結板6によって連結することによって、保護線条体4,4及び連結板6と、ケーブルコア1との接触面積は、図5に示した従来の断面円形の保護線条体3,3とケーブルコア1との接触面積と比較して飛躍的に増大するため、多少の外圧が加わってもこれが簡単にずれ動くこともない。
【0022】
また、図2に示すように、各保護線条体4,4の保護層5側の角部に対してR加工、すなわち、その角部を予め機械切削などによって切り落とし、丸加工を施しているので、その上に被覆形成される保護層5の角部による損傷を効果的に回避することができる。
【0023】
尚、本発明の光ファイバ複合電力ケーブルを構成するケーブルコア1、光ファイバユニット2、保護層5としては特に限定されるものではないが、このケーブルコア1としては、例えば導体上に内部半導電層,絶縁層,外部絶縁層,鉛被覆,シース等を順次被覆したものが一般的であり、また、光ファイバユニット2としては、例えばポリエチレンシース等の保護管内に複数本の光ファイバケーブルを纏めて収容したものが、また、保護層5としては、例えば座床上に金属鎧装,防食層を順次被覆してなるものが一般的であるが、他にアルミニウム被覆層単体、プラスチック防食層単体で構成される場合も考えられる。
【0024】
次に、図3及び図4は本発明の変形例を示したものであり、これら各変形例においても上記実施の形態と同様な作用,効果を発揮することができる。
【0025】
すなわち、先ず、図3は断面円形の保護線条体3,3間に連結テープ7を架け渡すと共に、その両縁をそれぞれ保護線条体3,3を被覆するように数度巻き付けることによって両者を連結したものである。そして、このように連結テープ7によって保護線条体3,3間を連結した場合でも保護線条体3,3がずれ動いて光ファイバユニット2から大きく離れるのを防ぐことが可能となり、上記実施の形態と同様、光ファイバユニット2を確実に保護することができる。
【0026】
一方、図4は、同じく従来から用いられている断面円形の保護線条体3,3間に帯状の連結板6、例えば保護線条体3,3を構成する金属材料と同じ材料からなる硬質の金属製薄板を架け渡し、その連結板6の両縁を溶接等によってそれぞれ保護線条体3,3側に溶接して両者を剛に連結したものである。そして、このように連結板6によって両者を剛に連結することによって保護線条体3,3の間隔が離れることによる、その機能喪失を防止できるだけでなく、上記実施の形態と同様に保護線条体3,3の間隔を常に一定に維持することができるため、あらゆる方向の外圧に対しても光ファイバユニット2を確実に保護することができる。
【0027】
尚、上記実施の形態及び各変形例では、保護線条体3,3,4,4の下部側、すなわちケーブルコア1との接触部側を連結板6あるいは連結テープ7で連結するように構成したが、この連結位置は保護線条体3,3,4,4の上部側で連結しても良く、さらにこの光ファイバユニット2を完全に覆い隠すように保護線条体3,3,4,4の上下両側で連結しても良い。また、この連結テープ7及び連結板6は、必ずしも保護線条体3,3,4,4の長手方向に連続したものである必要はなく、複数に分割されて梯子状になっていたり、あるいは網状のものであっても良い。
【0028】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、光ファイバユニットに沿って、その両側に設けられる一対の保護線条体間の間隔が、連結テープ又は連結板によって常に一定に維持されるため、垂直上方からの外圧のみならず、横方向あるいは斜め上方からの外圧に対しても確実に光ファイバユニットを保護することができる。従って、運搬時や布設時等の荷重や衝撃によってケーブルに大きな外圧が加わっても光ファイバユニットが押し潰されるようなことがなくなる。また、光ファイバユニットに沿って、その両側に一対の保護線条体を設けているため、保護線条体本来の可撓性を維持することができ、ケーブル全体の可撓性を損なうおそれもない。よって、耐久性及び信頼性の高い光ファイバ複合電力ケーブルが得られる等といった優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る光ファイバ複合電力ケーブルの実施の一形態を示す断面図である。
【図2】 本実施の形態に係る保護線条体の拡大斜視図である。
【図3】 図2の保護線条体の一変形例を示す拡大斜視図である。
【図4】 図2の保護線条体の他の変形例を示す拡大斜視図である。
【図5】 従来の光ファイバ複合電力ケーブルの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ケーブルコア
2 光ファイバユニット
3,4 保護線条体
5 保護層
6 連結板
7 連結テープ
Claims (3)
- ケーブルコアの外周に光ファイバユニットを螺旋状に巻き付け、それらの周囲を保護層で覆ってなる光ファイバ複合電力ケーブルにおいて、
上記螺旋状に巻き付けられた光ファイバユニットに沿って、その両側に、一対の、断面四角形状で、上記保護層側角部にR加工が施された保護線条体を設け、その保護線条体同士が上記光ファイバユニットを挟んで連結テープ又は連結板によって相互に連結されていることを特徴とする光ファイバ複合電力ケーブル。 - 上記保護線条体の外径が上記光ファイバユニットの外径と同等もしくはそれよりも大きいことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ複合電力ケーブル。
- 上記保護線条体が硬質アルミ,ステンレススチール,高密度プラスチックのいずれかから形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバ複合電力ケーブル。
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