JP3715722B2 - 自動焦点調節装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオカメラや電子スチルカメラなどに用いられる自動焦点調節装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビデオカメラなどの映像機器に用いられる自動焦点調節方式として、CCDなどの撮像素子から得られる映像信号中の高周波成分を抽出し、この高周波成分が最大となるように撮影レンズを駆動して焦点調節を行う、いわゆる山登り方式が知られている。
【0003】
このような自動焦点調節方式では、焦点調節用の特殊な光学部材が不要であり、遠方でも近くでも距離によらず正確にピントを合わせることができる等の長所がある。図9は従来の自動焦点調節装置の構成を示すブロック図である。
【0004】
被写体からの光は、固定された第1レンズ群101a、変倍を行う第2レンズ群102a、絞り103a、固定された第3レンズ群104a、および変倍による焦点面の移動を補正するコンペンセーション機能と焦点調節機能とを兼ね備えた第4レンズ群(以下、フォーカスレンズという)105aを通って、撮像素子106aの上に結像する。
【0005】
フォーカスレンズ105aは、フォーカスモータ115aによって光軸方向に移動して焦点合わせを行い、変倍レンズ102aは、ズームモータ117aによって光軸方向に移動して変倍動作を行い、焦点距離を可変する。撮像素子106aの撮像面上に結像した被写体像は、電気信号に光電変換され、映像信号として出力される。
【0006】
この映像信号は、相関二重サンプリング回路(CDS)107aでサンプルホールドされ、自動利得制御回路(AGC)108aで所定のレベルに増幅され、A/D変換器109aでディジタル映像データに変換され、この後、カメラ信号処理回路に入力して標準テレビジョン信号に変換されると共に、バンドパスフィルタ(BPF)110aに入力する。
【0007】
BPF110aは映像信号中の高周波数成分を抽出する。抽出された高周波成分は絶対値化回路(ABS回路)111aで全て正極性の信号に変換される。さらに、ゲート信号発生器119aの出力で示された画面内の焦点検出領域に設定された部分に相当する信号のみを、検波回路112aでピークホールドや積分などに整流化することで、垂直同期信号の整数倍に同期した間隔でAF評価値を生成する。
【0008】
このAF評価値はマイクロコンピュータ(マイコン)901に取り込まれ、マイコン901内で合焦度に応じたフォーカシング速度およびAF評価値が増加するようにモータ駆動方向を決定し、フォーカスモータ115aの速度および方向をフォーカスモータドライバ114aに指示することで、フォーカスモータ115aを介してフォーカスレンズ105aを光軸方向に動かし、焦点調節を行う。
【0009】
図10はマイコン901によって実行される自動焦点調節動作の処理手順を示すフローチャートである。マイコン901は、垂直同期信号の整数倍に同期した間隔でAF評価値を取り込み、以下に示す各動作を完了すると次の動作に移行するAF制御ループを形成する。
【0010】
まず、電源投入時などにより起動し(ステップS1001)、AF評価値のレベルなどで速度制御と方向制御を行うことで、常にAF評価値が大きくなるようにフォーカスレンズ105aを駆動し、山登り制御を行う(ステップS1002)。山登り制御を完了すると、山の頂上を一度オーバーシュートしてから戻すことで山の頂点を判定し(ステップS1002)、最もレベルの高い点で停止し、再起動待機に入る(ステップS1004)。
【0011】
再起動待機では、AF評価値のレベルが停止したときのレベルより下がったことが検出されると、再起動が行われ(ステップS1005)、ステップS1002の処理に戻る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の自動焦点調節装置では、被写体により合焦や非合焦のレベルが異なるにもかかわらず、自動焦点調節動作は単なるAF評価値信号の増減だけに頼っている。このため、被写体によっては非合焦のまま誤って停止したり、合焦点を大きくオーバーシュートしたり、モータ速度が遅くて合焦までに時間がかかってしまうなど、マイコンの誤判断による不具合が発生することがあった。特に、低コントラスト被写体と低照度被写体は、いずれも出力が小さいので、識別が困難であり、それぞれの特性に合わせた制御を行うことが難しかった。
【0013】
そこで、本発明は、被写体や撮影条件によって誤判断することなく安定して合焦する自動焦点調節装置および方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動焦点調節装置は、撮像手段で撮像される画面内の焦点検出領域の高域成分を焦点信号として抽出する抽出手段と、前記抽出される焦点信号に基づき、フォーカスレンズを駆動して前記撮像手段で撮像される画像の焦点を調節する駆動手段とを備えた自動焦点調節装置において、前記撮像手段で撮像される被写体の2次元画像を複数の周波数成分に変換する2次元変換手段と、前記変換された各周波数成分の時間変動の大きさが所定値以上であるか否かを判別する判別手段と、前記撮像手段で撮像される被写体の画像が低コントラストであって、前記判別結果に基づく時間変動の大きさが所定値より小さい場合には、前記抽出手段による抽出範囲を拡大するとともに前記駆動手段によるフォーカスレンズの駆動を遅くする一方、前記撮像手段で撮像される被写体の画像が低コントラストであって、前記判別結果に基づく時間変動の大きさが所定値よりも大きい場合には、前記抽出手段による抽出範囲を拡大しつつ高域をカットするとともに前記駆動手段によるフォーカスレンズの駆動を遅くする可変手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る自動焦点調節装置では、請求項2に係る自動焦点調節装置において前記2次元変換手段は、前記2次元画像を一時的に記憶する記憶手段と、該記憶された2次元画像を直交変換する2次元直交変換手段と、該直交変換された結果得られる前記周波数成分を帯域毎にグループ分けするグルーピング手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項3に係る自動焦点調節装置では、請求項2に係る自動焦点調節装置において前記2次元直交変換手段は、2次元ディスクリートコサイン変換を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る自動焦点調節装置では、請求項2に係る自動焦点調節装置において前記2次元直交変換手段は、前記2次元画像を水平8画素×垂直8画素の画素ブロックに分割し、該分割された画素ブロック毎に2次元ディスクリートコサイン変換を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項5に係る自動焦点調節装置では、請求項1に係る自動焦点調節装置において前記可変手段は、前記抽出手段の周波数特性を変更することを特徴とする。
【0019】
請求項6に係る自動焦点調節装置では、請求項1に係る自動焦点調節装置において前記可変手段は、前記駆動手段の駆動速度を変更することを特徴とする。
【0020】
請求項7に係る自動焦点調節装置は、請求項1に係る自動焦点調節装置において前記抽出手段で抽出される焦点信号を平均化する平均化手段を備え、前記可変手段は前記平均化手段の特性を変更することを特徴とする。
【0021】
請求項8に係る自動焦点調節装置は、撮像手段で撮像される画面内の焦点検出領域の高域成分を焦点信号として抽出する抽出手段と、前記抽出される焦点信号に基づき、フォーカスレンズを駆動して前記撮像手段で撮像される画像の焦点を調節する駆動手段とを備えた自動焦点調節装置において、前記撮像手段で撮像される被写体画像をライン毎に複数の周波数成分に変換する変換手段と、前記変換された各周波数成分の時間変動の大きさが所定値以上であるか否かを判別する判別手段と、前記撮像手段で撮像される被写体の画像が低コントラストであって、前記判別結果に基づく時間変動の大きさが所定値より小さい場合には、前記抽出手段による抽出範囲を拡大するとともに前記駆動手段によるフォーカスレンズの駆動を遅くする一方、前記撮像手段で撮像される被写体の画像が低コントラストであって、前記判別結果に基づく時間変動の大きさが所定値よりも大きい場合には、前記抽出手段による抽出範囲を拡大しつつ高域をカットするとともに前記駆動手段によるフォーカスレンズの駆動を遅くする可変手段とを備えたことを特徴とする。
【0027】
請求項9に係る自動焦点調節方法は、撮像装置で撮像される画面内の焦点検出領域の高域成分を焦点信号として抽出する抽出ステップと、前記抽出される焦点信号に基づき、フォーカスレンズを駆動して前記撮像装置で撮像される画像の焦点を調節する駆動ステップとを備えた自動焦点調節方法において、前記撮像装置で撮像される被写体の2次元画像を複数の周波数成分に変換する2次元変換ステップと、前記変換された各周波数成分の時間変動の大きさが所定値以上であるか否かを判別する判別ステップと、前記撮像装置で撮像される被写体の画像が低コントラストであって、前記判別結果に基づく時間変動の大きさが所定値より小さい場合には、前記抽出ステップにおいて抽出範囲を拡大するとともに前記駆動ステップにおいてフォーカスレンズの駆動を遅くする一方、前記撮像装置で撮像される被写体の画像が低コントラストであって、前記判別結果に基づく時間変動の大きさが所定値よりも大きい場合には、前記抽出ステップにおいて抽出範囲を拡大しつつ高域をカットするとともに前記駆動ステップにおいてフォーカスレンズの駆動を遅くする可変ステップとを備えたことを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の自動焦点調節装置および方法の実施の形態について説明する。
【0029】
[第1の実施の形態]
図1は第1の実施の形態における自動焦点調節装置の構成を示すブロック図である。被写体からの光は、固定された第1レンズ群101、変倍を行う第2レンズ群102、絞り103、固定された第3レンズ群104、および変倍による焦点面の移動を補正するコンペンセーション機能と焦点調節機能とを兼ね備えた第4レンズ群105(以下、フォーカスレンズという)を通って、撮像素子106の上に結像する。
【0030】
フォーカスレンズ105は、フォーカスモータ115によって光軸方向に移動して焦点合わせを行い、変倍レンズ102は、ズームモータ117によって光軸方向に移動して変倍動作を行い、焦点距離を可変する。撮像素子106の撮像面上に結像した被写体像は、電気信号に光電変換され、映像信号として出力される。
【0031】
この映像信号は、CDS107でサンプルホールドされ、自動利得制御回路(AGC)108で所定のレベルに増幅され、A/D変換器109でディジタル映像データに変換される。この後、カメラ信号処理回路に入力して標準テレビジョン信号に変換されると共に、バンドパスフィルタ(BPF)110に入力する。
【0032】
BPF110は映像信号中の高周波数成分を抽出する。抽出された高周波成分は絶対値化回路(ABS回路)111で全て正極性の信号に変換される。さらに、ゲート信号発生器119の出力で示された画面内の焦点検出領域に設定された部分に相当する信号のみを、検波回路112でピークホールドや積分などに整流化することにより垂直同期信号の整数倍に同期した間隔でAF評価値を生成する。
【0033】
このAF評価値はマイコン113に取り込まれ、マイコン113内で合焦度に応じたフォーカシング速度およびAF評価値が増加するようにモータ駆動方向を決定し、フォーカスモータ115の速度および方向をフォーカスモータドライバ114に指示し、フォーカスモータ115を介してフォーカスレンズ105を光軸方向に動かし、焦点調節を行う。
【0034】
118は被写体周波数認識および変動検出回路であり、A/D変換器109で変換されたディジタル映像データを入力し、認識結果および変動検出結果をマイコン113に出力する。
【0035】
図2は被写体周波数認識および変動検出回路118の構成を示すブロック図である。被写体周波数認識および変動検出回路118は、フレームメモリ201、2次元DCTユニット202、グルーピング回路203、重み付け回路204、パターン抽出回路205、パターンメモリ206、比較回路207、周波数限定回路208、1フレーム遅延回路209、演算回路210および比較回路211から構成される。
【0036】
ディジタル映像データは、フレームメモリ201で1フレーム単位で記憶され、そのうち水平と垂直のそれぞれ8×8画素ずつを2次元DCTユニット202で順次2次元ディスクリートコサイン変換(以下、2次元DCTという)して周波数領域データに変換する。
【0037】
グルーピング回路203では、この周波数領域データをほぼ同じ帯域が1つのグループになるようにa〜hまでにグループ分けし、グループの中の最大データをグループの代表値A〜Hとする。
【0038】
重み付け回路204は、各グループの代表値A〜Hが最適になるように定数Ka〜Khを乗算することで重み付けする。この重み付け定数は、低域〜高域まで一様に存在する一定のレベル信号を入力したときに、全てのグループの代表値がほぼ同じレベルになるように決定される。
【0039】
パターン抽出回路205は、重み付けされたKa・A〜Kh・Hのレベルの変わり方や大小関係のパターンを抽出し、比較回路207は抽出したパターンを予めパターンメモリ206に記憶されたパターンデータと比較することで、8×8画素の画像がどのような被写体であるのか、合焦か非合焦かなどを認識し、マイコン113に被写体認識結果を出力する。
【0040】
これと同時に、重み付け回路204の出力は周波数限定回路208に入力する。周波数限定回路208は特定の成分のみを抽出し(ここでは、直流成分を除く全ての高域成分、Kb・B〜Kh・Hを抽出する)、1フレーム遅延回路209で遅延された1フレーム前の信号Kb・B’〜Kh・H’と現在の信号Kb・B〜Kh・Hとを演算回路210に入力する。
【0041】
演算回路210は、各成分の差の絶対値の総和(Kb・|B−B’|+ ……+Kh・|H−H’|)を求めて出力する。演算の結果、比較回路211で閾値THと比較され、閾値TH以上のときは変動大としてマイコン113に変動検出結果が出力される。
【0042】
図3は1フレームの画素の分割を示す図である。303は画面の1フレームである。301は1画素であり、302は8×8画素ずつに分割されたブロックである。304はゲート信号発生器119の出力で示される画面内の焦点検出領域である。
【0043】
図4は2次元DCTユニット202で2次元DCTが行われた周波数領域データを示す図である。同図(a)では、左右が水平成分で、上下が垂直成分で、右や下に行くほど周波数が高くなる。値11はほぼ直流成分を表す。同図(b)はグルーピングの様子を示す。a1、b1〜b3、c1〜c5、d1〜d7、e1〜e9、f1〜f11、g1〜g13、h1〜h15はそれぞれほぼ同じ周波数帯のデータであるので、同じグループとして分類し、それら各グループ内のデータのうち最も大きい値のデータを代表データとし、A、B、C、D、E、F、G、Hとする。
【0044】
重み付け回路204は周波数領域データA〜Hにそれぞれ各周波数に最適なKa〜Khの係数を乗算することで重み付けする。図5はパターンメモリに予め記憶されたパターンデータを示す図である。同図(a)は通常の被写体(被写体1)の合焦状態を表し、低域成分から高域成分までまんべんなく存在する。
【0045】
同図(b)は通常の被写体(被写体1)で非合焦の状態を表す。同図(b)は同図(a)の周波数特性にレンズ光学系のローパス特性を掛け合わせたような特性を示し、低域成分は同図(a)の合焦状態と同じであるが、高域成分はなくなっている。
【0046】
同図(c)は低コントラスト被写体(被写体2)の合焦状態を表し、これも低域成分から高域成分までまんべんなく存在するが、全体的にレベルが低い。
【0047】
同図(d)は低コントラスト被写体(被写体2)の非合焦状態を表し、同図(c)の高域成分がなくなった周波数分布をしている。
【0048】
同図(e)は細かい被写体(被写体3)の合焦状態を表し、低域成分が少なく、高域成分が多くなっている。
【0049】
同図(f)は細かい被写体(被写体3)の非合焦状態を表し、同図(e)の高域成分がなくなった周波数分布をしている。
【0050】
同図(g)および(h)は予めパターンメモリ206に記憶された同図(c)および(d)の低コントラスト被写体と比べて周波数分布は似ているが、各成分の時間変動が大きい。ここで、白丸「○」は同一被写体を撮影し続けたときの数フィールド前のデータを表し、現在のデータを表す黒丸「●」との間にレベル差があることがわかる。このように、周波数領域データの時間変動が大きい、言い換えるとノイズ成分が多い被写体は、実は低コントラスト被写体ではなく低照度被写体であることを意味している。
【0051】
図6は被写体周波数認識結果および変動検出結果に基づき、マイコン113によって実行される焦点調節処理手順を示すフローチャートである。電源投入時やAFオン時に初期化して起動する(ステップS601)。焦点検出領域(AFゲート)内の全ての8×8画素のブロックの認識結果および変動検出結果を全てマイコン113内のメモリに取り込む(ステップS602)。取り込まれた認識結果から合焦や非合焦にかかわらず、全て低コントラスト被写体であるか否かを判別する(ステップS603)。
【0052】
低コントラスト被写体でないと判別された場合、通常被写体に設定するため、BPF110の特性を中高域に設定し(ステップS612)、モータ速度を速めに設定し(ステップS613)、合焦点でのオーバーシュート閾値を通常に設定する(ステップS614)。
【0053】
ステップS603ですべてが低コントラスト被写体であると判別された場合、まず、合焦点でのオーバーシュート閾値を大きめに設定する(ステップS606)。変動検出結果が大きいか否かを判別し(ステップS618)、変動検出結果が小さい場合、低コントラスト被写体であると推定できるので、BPF110の特性を全域に設定し(ステップS604)、モータ速度を標準より遅めに設定する(ステップS605)。
【0054】
一方、ステップS618で変動検出結果が大きいと判別された場合、低コントラスト被写体ではなく、低照度被写体であると推定できるので、最適な低照度被写体に設定するため、ノイズ成分を除去するためAF評価値の平均化処理(アベレージング)を行い(ステップS619)、フィルタを全域より高域をややカットした帯域に設定し(ステップS620)、アベレージングしたAF評価値でも十分に山登り制御を行えるようにモータ速度を低速に設定する(ステップS621)。
【0055】
取り込まれた認識結果から全てが非合焦でかつ再起動待機中であるか否かを判別し(ステップS615)、非合焦でかつ再起動待機中の場合、誤って非合焦のまま停止していると推論できるので、強制的に再起動をかける(ステップS616)。
【0056】
通常の山登り自動焦点調節動作を行い(ステップS617)、再びステップS602に戻ってループを繰り返す。通常、このループは垂直同期信号の整数倍に同期して行われる。
【0057】
ここで、AF評価値のアベレージングについて説明する。所定のnフィールドまたはnフレームのAF評価値をVn、それよりmフィールド前またはmフレーム前のAF評価値をVn−m、nフィールドのアベレージング評価値をVanとすると、数式1を用いてAF評価値のアベレージングを行うことができる。
【0058】
【数1】
Van=(Vn+Vn−1+Vn−2)/3
信号変動量が大きい場合、さらに多くの過去の情報を用いた数式2により、さらに大幅なノイズの除去を行うことができる。
【0059】
【数2】
Van=(Vn+Vn−1+Vn−2+Vn−3)/4
また、数式3を用いてフィールド毎またはフレーム毎に計算してもよい。
【0060】
【数3】
Van=K・Vn+(1−K)・Van−1 ただし、0<K<1
尚、本実施の形態では、被写体周波数認識を焦点検出領域内だけで行ったが、フレーム全域で行ってもよい。また、8×8の画素ブロックより大きい画素ブロック単位で認識を行ってもよいし、小さい画素ブロック単位で認識を行ってもよい。さらに、グルーピング回路203でグループの最大値を代表値にしたが、グループ内の全ての値を加算したものを代表値にしてもかまわない。
【0061】
また、予め記憶しておく被写体のパターンデータをさらに増やし、マイコン113内でもそれに合わせて条件分岐を増やすことで、さらに高性能な自動焦点調節を実現するようにしてもよい。
【0062】
さらに、被写体周波数認識回路118内ではフレームメモリ201で1フレーム分の画像を記憶した後、被写体周波数認識を行ったが、自動焦点調節動作には高速性が要求されるので、インターレースのカメラの場合、フィールドメモリで1フィールド分だけを記憶し、フィールド画像に対して被写体周波数認識を行うようにしてもよい。
【0063】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態における自動焦点調節装置について説明する。本実施の形態における自動焦点調節装置では、前記第1の実施の形態と比べて被写体周波数認識回路の構成が異なるだけなので、その他の構成要素については説明を省略する。
【0064】
図7は第2の実施の形態における被写体周波数認識回路の構成を示すブロック図である。被写体周波数認識および変動検出回路218は、ラインメモリ701、DCTユニット702、重み付け回路703、パターン抽出回路704、パターンメモリ706、比較回路705、周波数限定回路708、1フレーム遅延回路709、演算回路710および比較回路711から構成される。
【0065】
全体のブロックは前記第1の実施の形態と同じであるが、第2の実施の形態では被写体周波数認識および変動検出を8×8画素の正方ブロック毎でなく水平ライン毎に認識する。図8は水平ライン方向データを示す図である。
【0066】
本実施の形態における被写体周波数認識および変動検出回路218では、被写体周波数認識および変動検出に1次元の水平ライン方向データ802を用いることにより比較的低価格な回路で構成することが可能になる。ディジタル映像データはラインメモリ701でライン単位に記憶され、そのうち焦点検出領域の画素はDCTユニット702で順次DCTにより周波数領域データ(a0〜an)に変換される。
【0067】
重み付け回路703で各変換データが最適になるように、定数K0〜Knを乗算することで重み付けする。この重み付け定数は、低域から高域まで一様に存在する一定レベルの信号を入力したときに、全ての周波数領域データの値がほぼ同じレベルになるように決定される。
【0068】
パターン抽出回路704では、重み付けされたK0・a0〜Kn・anのレベルの変わり方や大小関係のパターンを抽出し、比較回路705で予めパターンメモリ706に記憶しておいたパターンと比較することで、ライン画像がどのような被写体であるのか、合焦か非合焦かなどを認識し、その認識結果をマイコン113に出力する。
【0069】
また、これと同時に、重み付け回路703の出力は周波数限定回路708に入力し、周波数限定回路708は特定の成分のみを抽出し(ここでは、直流成分を除く全ての高域成分、K1・a1〜Kn・anを抽出する)、1フレーム遅延回路709で遅延された1フレーム前の信号K1・a1’〜Kn・an’と現在の信号K1・a1〜Kn・anが演算回路710に入力する。演算回路710では、各成分の差の絶対値の総和(K1・|a1−a1’|+ …… +Kn・|an−an’|)を求めて出力する。
【0070】
この演算結果は、比較回路711で閾値THと比較され、閾値TH以上のときは変動大としてマイコン113に変動検出結果が出力される。マイコン113では、前記第1の実施の形態と同じようなアルゴリズムで、自動焦点調節の制御を行う。
【0071】
尚、前記第1の実施の形態および第2の実施の形態では、周波数領域の変換に直交変換の1つであるDCTを用いたが、他の直交変換手段でも構わないし、ティスクリートフーリエ変換(DFT)や高速フーリエ変換(FFT)を用いても構わない。
【0072】
また、本発明は複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明はシステムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適用できることはいうまでもない。この場合、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記憶媒体をシステムあるいは装置に読み出すことによってそのシステムあるいは装置が本発明の効果を享受することが可能となる。
【0073】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る自動焦点調節装置によれば、撮影条件を特定して自動焦点動作を行うことができる。特に、低照度被写体や低コントラスト被写体など従来から苦手であった被写体を大幅に減少することが可能である。したがって、被写体や撮影条件によって誤判断することなく安定して合焦を行うことができる。
【0074】
請求項2に係る自動焦点調節装置によれば、前記2次元変換手段は、前記2次元画像を一時的に記憶する記憶手段と、該記憶された2次元画像を直交変換する2次元直交変換手段と、該直交変換された結果得られる前記周波数成分を帯域毎にグループ分けするグルーピング手段とを備えたので、グループ分けされた帯域毎の結果を用いることにより処理を簡単にできる。
【0075】
請求項3に係る自動焦点調節装置によれば、前記2次元直交変換手段は、2次元ディスクリートコサイン変換を行うので、マイクロコンピュータを用いて容易に変換することができる。
【0076】
請求項4に係る自動焦点調節装置によれば、前記2次元直交変換手段は、前記2次元画像を水平8画素×垂直8画素の画素ブロックに分割し、該分割された画素ブロック毎に2次元ディスクリートコサイン変換を行うので、適当な大きさの画素ブロックにすることにより変換時間を短くできる。
【0077】
請求項5に係る自動焦点調節装置によれば、前記可変手段は、前記抽出手段の周波数特性を変更するので、被写体や撮影条件にかかわらず安定して合焦することができる。
【0078】
請求項6に係る自動焦点調節装置によれば、前記可変手段は、前記駆動手段の駆動速度を変更するので、被写体や撮影条件にかかわらず安定して合焦することができる。
【0079】
請求項7に係る自動焦点調節装置によれば、前記抽出手段で抽出される焦点信号を平均化する平均化手段を備え、前記可変手段は前記平均化手段の特性を変更するので、被写体や撮影条件にかかわらず安定して合焦することができる。
【0080】
請求項8に係る自動焦点調節装置によれば、水平ライン毎に判別することで低価格な回路構成を実現できる。
【0086】
請求項9に係る自動焦点調節方法によれば、低照度被写体や低コントラスト被写体など従来から苦手被写体を大幅に減少することが可能であり、被写体な撮影条件によって誤判断することなく安定して合焦することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における自動焦点調節装置の構成を示すブロック図である。
【図2】被写体周波数認識および変動検出回路118の構成を示すブロック図である。
【図3】1フレームの画素の分割を示す図である。
【図4】2次元DCTユニット202で2次元DCTが行われた周波数領域データを示す図である。
【図5】パターンメモリに予め記憶されたパターンデータを示す図である。
【図6】被写体周波数認識結果および変動検出結果に基づき、マイコン113によって実行される焦点調節処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態における被写体周波数認識回路の構成を示すブロック図である。
【図8】水平ライン方向データを示す図である。
【図9】従来の自動焦点調節装置の構成を示すブロック図である。
【図10】マイコン901によって実行される自動焦点調節動作の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
110 バンドパスフィルタ(BPF)
113 マイクロコンピュータ
115 フォーカスモータ
118 被写体周波数認識および変動検出回路
119 ゲート信号発生器
201 フレームメモリ
202 2次元DCTユニット
203 グルーピング回路
204、703 重み付け回路
205、704 パターン抽出回路
207、705 比較回路
701 ラインメモリ
702 DCTユニット
Claims (9)
- 撮像手段で撮像される画面内の焦点検出領域の高域成分を焦点信号として抽出する抽出手段と、前記抽出される焦点信号に基づき、フォーカスレンズを駆動して前記撮像手段で撮像される画像の焦点を調節する駆動手段とを備えた自動焦点調節装置において、
前記撮像手段で撮像される被写体の2次元画像を複数の周波数成分に変換する2次元変換手段と、
前記変換された各周波数成分の時間変動の大きさが所定値以上であるか否かを判別する判別手段と、
前記撮像手段で撮像される被写体の画像が低コントラストであって、前記判別結果に基づく時間変動の大きさが所定値より小さい場合には、前記抽出手段による抽出範囲を拡大するとともに前記駆動手段によるフォーカスレンズの駆動を遅くする一方、前記撮像手段で撮像される被写体の画像が低コントラストであって、前記判別結果に基づく時間変動の大きさが所定値よりも大きい場合には、前記抽出手段による抽出範囲を拡大しつつ高域をカットするとともに前記駆動手段によるフォーカスレンズの駆動を遅くする可変手段とを備えたことを特徴とする自動焦点調節装置。 - 前記2次元変換手段は、前記2次元画像を一時的に記憶する記憶手段と、
前記記憶された2次元画像を直交変換する2次元直交変換手段と、
前記直交変換された結果得られる前記周波数成分を帯域毎にグループ分けするグルーピング手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の自動焦点調節装置。 - 前記2次元直交変換手段は、2次元ディスクリートコサイン変換を行うことを特徴とする請求項2記載の自動焦点調節装置。
- 前記2次元直交変換手段は、前記2次元画像を水平8画素×垂直8画素の画素ブロックに分割し、前記分割された画素ブロック毎に2次元ディスクリートコサイン変換を行うことを特徴とする請求項2記載の自動焦点調節装置。
- 前記可変手段は、前記抽出手段の周波数特性を変更することを特徴とする請求項1記載の自動焦点調節装置。
- 前記可変手段は、前記駆動手段の駆動速度を変更することを特徴とする請求項1記載の自動焦点調節装置。
- 前記抽出手段で抽出される焦点信号を平均化する平均化手段を備え、
前記可変手段は前記平均化手段の特性を変更することを特徴とする請求項1記載の自動焦点調節装置。 - 撮像手段で撮像される画面内の焦点検出領域の高域成分を焦点信号として抽出する抽出手段と、前記抽出される焦点信号に基づき、フォーカスレンズを駆動して前記撮像手段で撮像される画像の焦点を調節する駆動手段とを備えた自動焦点調節装置において、
前記撮像手段で撮像される被写体画像をライン毎に複数の周波数成分に変換する変換手段と、
前記変換された各周波数成分の時間変動の大きさが所定値以上であるか否かを判別する判別手段と、
前記撮像手段で撮像される被写体の画像が低コントラストであって、前記判別結果に基づく時間変動の大きさが所定値より小さい場合には、前記抽出手段による抽出範囲を拡大するとともに前記駆動手段によるフォーカスレンズの駆動を遅くする一方、前記撮像手段で撮像される被写体の画像が低コントラストであって、前記判別結果に基づく時間変動の大きさが所定値よりも大きい場合には、前記抽出手段による抽出範囲を拡大しつつ高域をカットするとともに前記駆動手段によるフォーカスレンズの駆動を遅くする可変手段とを備えたことを特徴とする自動焦点調節装置。 - 撮像装置で撮像される画面内の焦点検出領域の高域成分を焦点信号として抽出する抽出ステップと、前記抽出される焦点信号に基づき、フォーカスレンズを駆動して前記撮像装置で撮像される画像の焦点を調節する駆動ステップとを備えた自動焦点調節方法において、
前記撮像装置で撮像される被写体の2次元画像を複数の周波数成分に変換する2次元変換ステップと、
前記変換された各周波数成分の時間変動の大きさが所定値以上であるか否かを判別する判別ステップと、
前記撮像装置で撮像される被写体の画像が低コントラストであって、前記判別結果に基づく時間変動の大きさが所定値より小さい場合には、前記抽出ステップにおいて抽出範囲を拡大するとともに前記駆動ステップにおいてフォーカスレンズの駆動を遅くする一方、前記撮像装置で撮像される被写体の画像が低コントラストであって、前記判別結果に基づく時間変動の大きさが所定値よりも大きい場合には、前記抽出ステップにおいて抽出範囲を拡大しつつ高域をカットするとともに前記駆動ステップにおいてフォーカスレンズの駆動を遅くする可変ステップとを備えたことを特徴とする自動焦点調節方法。
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