JP3714929B2 - 衝撃吸収ブラケット - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、衝撃吸収ブラケットに係り、特に、自動車のアシストグリップやインストルメンタルパネル、ワイパピボット、バンパ等、自動車の衝突事故発生時等に乗員や歩行者との接触が危惧される自動車用部品を自動車の車体に取り付ける際に好適に使用され得る衝撃吸収ブラケットの改良された構造に関するものである。
【0002】
【背景技術】
一般に、所定の部材を、ねじ止めやボルト止め等によって支持体に取り付ける際には、支持体に雌ねじ穴を穿設し、この雌ねじ穴に対する所定の部材のねじ止めやボルト止めを行なう場合と、雌ねじ穴を有するブラケットを支持体に取り付けることによって、支持体に雌ねじ穴を間接的に形成し、かかるブラケットを介して、所定の部材を支持体に取り付ける場合とがある。
【0003】
そして、支持体に雌ねじ穴を間接的に形成する場合に用いられるブラケットには、様々な種類のものがあり、その中の一種として、支持体への取付状態下で、外部からの衝撃の入力により変形せしめられることによって、その衝撃を吸収せしめ得るように構成された、所謂衝撃吸収ブラケットが、知られている。これは、例えば、自動車のアシストグリップやインストルメンタルパネル、ワイパピボット、バンパ等、自動車の衝突事故発生時等に乗員や歩行者との接触が危惧される自動車用部品を車体にねじ止めやボルト止めする際に多く用いられている。
【0004】
すなわち、この自動車用部品を車体に取り付ける際に多く使用される衝撃吸収ブラケットは、一般に、全体として片側有底の筒形状を呈し、底部に雌ねじ穴が形成される一方、開口部に外向きフランジ部が一体的に周設された金属筒体からなり、外向きフランジ部において、車体にねじ止めや溶接等されて、位置固定に取り付けられることにより、底部に設けられた雌ねじ穴にて、車体に対して雌ねじ穴を形成するように、構成されている。そして、アシストグリップやインストルメンタルパネル、ワイパピボット、バンパ等が、適当な雄ねじ部材にて、かかる雌ねじ穴に対してねじ止めやボルト止めされることにより、それらの自動車用部品を車体に取り付け得るようになっているのであり、また、自動車の衝突事故の発生時等に、それらアシストグリップやインストルメンタルパネル、ワイパピボット、バンパ等に乗員や歩行者等が接触して、衝撃が入力せしめられた際に、筒壁部が座屈乃至は圧縮変形せしめられることにより、その衝撃を吸収せしめ得るようになっているのである。
【0005】
ところで、そのような金属筒体からなる従来の衝撃吸収ブラケットにおいては、通常、筒壁の高さや厚さを変更する等して、変形ストロークや荷重−変位特性を任意に調節することによって、衝撃吸収性能が、チューニングされるようになっている。
【0006】
ところが、かかる従来の衝撃吸収ブラケットを、例えば、車体を構成するアウタプレートとインナプレートの間等の限られた狭小なスペース内に取り付ける場合には、衝撃吸収ブラケットの筒壁の高さや厚さの変更の自由度が不可避的に制限されてしまうこととなるため、衝撃吸収性能を適切にチューニングすることが出来ずに、所望の衝撃吸収性能を確保することが極めて困難となることが、往々にしてあったのである。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、限られた取付スペース内に取り付けられる場合にあっても、衝撃吸収性能を容易に且つ適切にチューニングすることが出来、以て、所望の衝撃吸収性能を常に安定的に発揮し得るように改良された衝撃吸収ブラケットの構造を提供することにある。
【0008】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、所定の支持体に取り付けられる取付部と、雌ねじ穴を備えた雌ねじ穴形成部とを有し、該取付部において該支持体に取り付けられることにより、該支持体に対して、雄ねじ部を有する部材を固定するための雌ねじ穴を、該雌ねじ穴形成部の雌ねじ穴にて形成せしめると共に、該支持体への取付状態下で、外部からの衝撃の入力により変形せしめられることによって、該衝撃を吸収せしめ得るように構成された衝撃吸収ブラケットにおいて、前記取付部が、前記支持体への取付状態下で前記衝撃の入力方向に延びる貫通孔を有する一方、前記雌ねじ穴形成部が、該貫通孔に挿入可能な筒状乃至は柱状形態を呈すると共に、該雌ねじ穴形成部が、該取付部の該支持体への取付状態下において、一部の部位を該衝撃入力方向とは反対方向に向かって延出せしめるように、該取付部の貫通孔内に挿入されて、該雌ねじ穴形成部に前記衝撃が入力せしめられた際に、該雌ねじ穴形成部の該衝撃入力方向とは反対方向への延出部位が、該衝撃の入力により、該取付部の貫通孔内を該衝撃入力方向に移動せしめられるように構成され、更に、かかる延出部位の外周面に対して、突出部が一体的に設けられて、前記衝撃入力による雌ねじ穴形成部の延出部位の移動に伴って、該突出部が、前記取付部の貫通孔の開口周縁部に接触せしめられて変形乃至は破壊せしめられることにより、該衝撃が吸収せしめられるように構成したことを特徴とする衝撃吸収ブラケットを、その要旨とするものである。
【0009】
すなわち、この本発明に従う衝撃吸収ブラケットにあっては、取付部の支持体への取付状態下での衝撃の入力時において、雌ねじ穴形成部の延出部位が、取付部の貫通孔内を衝撃入力方向(衝撃が入力せしめられる方向に一致した方向とその方向に近い方向とを含む。以下、同一の意味において使用する。)に移動せしめられる際に、その移動に伴って、雌ねじ穴形成部の延出部位の外周面に一体的に設けられた突出部が、取付部の貫通孔の開口周縁部に接触せしめられることにより、かかる突出部に対して剪断力が作用せしめられて、かかる突出部が変形乃至は破壊せしめられ、それによって、衝撃が吸収され得るようになっているところから、全体の高さや大きさを何等変更することなく、例えば、突出部の大きさ、或いはそれが複数形成される場合には、その数や配置間隔等を種々変更せしめることによって、荷重−変位特性等を、簡単に調節することが出来るのである。
【0010】
それ故、かかる衝撃吸収ブラケットにおいては、全体の高さや肉厚等を変更することによってのみ、衝撃吸収性能がチューニングされる従来品とは異なって、取付スペースの大きさによって何等制限されることなく、衝撃吸収性能が、容易に且つ適切にチューニングされ得るのである。
【0011】
従って、このような本発明に従う衝撃吸収ブラケットにあっては、限られた取付スペース内に取り付けられる場合にあっても、所望の衝撃吸収性能が有利に確保され得るのであり、その結果として、取付スペースの大きさに拘わらず、所望の衝撃吸収性能が、常に安定的に発揮され得ることとなるのである。
【0012】
また、本発明に係る衝撃吸収ブラケットにおいては、雌ねじ穴形成部が、取付部の貫通孔内に挿入されているため、単に、雌ねじ穴形成部の貫通孔内への挿入位置を変更するだけで、雌ねじ穴形成部における延出部位の貫通孔からの延出長さが、極めて容易に変更され得るのであり、それ故に、例えば、様々な大きさの取付スペース内に、問題なく、確実に取り付けられ得るように、取付スペースの大きさに応じて、雌ねじ穴形成部における延出部位の延出長さが互いに異なる複数種類のものを製造する際に、取付部と雌ねじ穴形成部とをそれぞれ作製する設備を何等変更することなく、同一の設備を使用することが出来るのである。
【0013】
従って、この本発明に従う衝撃吸収ブラケットにあっては、互いに大きさの異なる取付スペース内で衝撃吸収性能をそれぞれ十分に発揮し得る構造が、製造時における設備コストや製造コストの高騰を何等招くことなく、極めて有利に実現され得るといった利点も得られるのである。
【0014】
なお、かくの如き本発明に従う衝撃吸収ブラケットの好ましい態様の一つによれば、前記突出部が、前記雌ねじ穴形成部の延出部位の外周面に対して、その周方向に延び、且つその軸方向に隣り合って位置するように立設された薄肉板状のリブの複数にて構成されて、前記衝撃入力による該雌ねじ穴形成部の延出部位の移動に伴って、該複数のリブが、該延出部位の移動方向の前方に位置するものから順に、前記取付部の貫通孔の開口周縁部に接触せしめられて、変形乃至は破壊せしめられるように構成される。
【0015】
このような構成を有する衝撃吸収ブラケットにおいては、予め決められた取付スペース内で、単に、リブの厚さや数、配置間隔等を変更するだけで、衝撃吸収性能が、容易にチューニングされ得るのであり、それによって、取付スペースの大きさに関係なく、所望の衝撃吸収性能が、より確実に確保され得るのである。
【0016】
なお、かかる衝撃吸収ブラケットにあっては、例えば、複数のリブのうち、軸方向に隣り合うもの同士の一部若しくは全部を、互いに異なる厚さとすれば、よりバラエティーに富んだ衝撃吸収性能が得られることとなる。
【0017】
また、本発明に従う衝撃吸収ブラケットにおいて、突出部が、雌ねじ穴形成部の延出部位の外周面に対して、その周方向に延び、且つその軸方向に隣り合って位置するように立設された薄肉板状のリブの複数にて構成される場合には、例えば、複数のリブのそれぞれが、雌ねじ穴形成部の延出部位に対して、その周方向の全周に連続して延びるように立設された、円環板形状を呈する円環状リブにて構成されるか、若しくは雌ねじ穴形成部の延出部位に対して、その周方向において断続的に延びるように立設された、円環板の一部分を与える円弧板形状を呈する円弧状リブにて構成される。
【0018】
このように、突出部が、複数の円環状リブにて構成される場合には、衝撃入力による雌ねじ穴形成部の延出部位の移動時に、かかる延出部位の外周面の全周に連続して延びる円環状リブが、取付部の貫通孔の開口周縁部の全周に接触して、変形乃至は破壊せしめられるため、雌ねじ穴形成部の延出部位が、貫通孔内を、それらの軸方向に略真っ直ぐに移動せしめられることとなる。
【0019】
それ故に、突出部が複数の円環状リブにて構成されてなる衝撃吸収ブラケットにあっては、例えば、雌ねじ穴形成部の延出部位の外周面の周方向の一部分のみにリブが形成されているために、延出部位の貫通孔内での移動時に、延出部位の、リブが設けられていない外周面と貫通孔の内周面との間で局所的に大きな摩擦抵抗が生ずる場合とは異なって、そのような延出部位の外周面と貫通孔の内周面との間で生ずる摩擦抵抗の影響を略無視した状態で、衝撃吸収性能のチューニングを、より容易に行なうことが出来るといった利点が得られるのである。
【0020】
一方、突出部が、複数の円弧状リブにて構成される場合には、特に、それら各リブが、貫通孔の開口周縁部との接触により破壊される際に、雌ねじ穴形成部の延出部位の外周面から確実に折り取られて、除去され得るため、例えば、延出部位の外周面から折り取られたときに、延出部位に外挿された状態で残存することとなる円環状リブとは異なって、貫通孔の開口周縁部と車体のインナープレート等との間に、延出部位から折り取られたリブが介在せしめられて、雌ねじ穴形成部の延出部位の移動ストロークが小さくなってしまうような不具合が生ずることが、効果的に回避され得るのである。
【0021】
さらに、突出部が、上述の如き複数の円弧状リブにて構成される場合には、好ましくは、それら複数の円弧状リブのうち、前記雌ねじ穴形成部の延出部位の周方向に隣り合うもの同士の一部若しくは全部が、前記雌ねじ穴形成部の延出部位における軸方向の異なる位置に立設せしめられることとなる。
【0022】
このような構成を有する衝撃吸収ブラケットにあっては、例えば、上述の如き雌ねじ穴形成部の延出部位における移動ストロークの減少を有利に阻止しつつ、軸方向に隣り合うリブ同士の間隔を密にすることが出来、それによって、衝撃入力による雌ねじ穴形成部の延出部位の移動時において、その延出部位の移動方向の前方に位置するリブの変形乃至は破壊から、その次のリブの変形乃至は破壊までのタイムラグを可及的に小さく出来るのであり、以て、荷重−変位特性における荷重の変化をよりスムーズに為し得て、より安定した衝撃吸収性能が効果的に実現せしめられ得ることとなるのである。
【0023】
また、本発明に従う衝撃吸収ブラケットのに別の有利な態様の一つによれば、前記突出部が、前記雌ねじ穴形成部の出部位の外周面に対して、その軸方向に連続して若しくは不連続に延びるように立設された、少なくとも一つの薄肉板状のリブにて構成されて、前記衝撃入力による該雌ねじ穴形成部の延出部位の移動に伴って、該リブが、該延出部位の移動方向の前方に位置する部分から順に、前記取付部の貫通孔の開口周縁部に接触せしめられて、徐々に変形乃至は破壊せしめられるように構成される。
【0024】
このような構成を有する衝撃吸収ブラケットにおいても、予め決められた取付スペース内で、単に、リブの厚さ、或いはかかるリブが複数設けられる場合には、その数や配置間隔等を変更するだけで、衝撃吸収性能が、容易にチューニングされ得るのであり、それによって、取付スペースの大きさに関係なく、所望の衝撃吸収性能が、より確実に確保され得るのである。
【0025】
また、かかる衝撃吸収ブラケットにあっては、例えば、少なくとも一つのリブを部分的に異なる厚さとすれば、よりバラエティーに富んだ衝撃吸収性能が得られることとなる。
【0026】
なお、そのように、本発明に従う衝撃吸収ブラケットにおいて、衝撃吸収手段が、雌ねじ穴形成部の延出部位の外周面に対して、その軸方向に連続して若しくは不連続に延びるように立設された、少なくとも一つの薄肉板状のリブにて構成される場合には、望ましくは、前記リブが、前記雌ねじ穴形成部の延出部位の外周面に対して、その軸方向に螺旋を描きながら延びるように立設された螺旋状リブか、若しくはその軸方向にジグザグに又は蛇行しながら屈曲して延びるように立設された屈曲リブにて構成される。
【0027】
このように、突出部が、少なくとも一つの螺旋状リブにて構成される場合には、衝撃入力による雌ねじ穴形成部の延出部位の移動時において、リブが変形乃至は破壊され始めたら、かかる延出部位の移動が終了するまでの間、リブの変形乃至は破壊が継続せしめられ得るのであり、それによって、荷重−変位特性における荷重の変化を更に一層スムーズに為し得て、より安定した衝撃吸収性能が、効果的に発揮せしめられ得ることとなるのである。
【0028】
一方、突出部が、少なくとも一つの屈曲リブにて構成される場合には、屈曲リブの、雌ねじ穴形成部の延出部位から除去された部分が、かかる延出部位の移動に伴って、取付部における貫通孔の開口周縁部にて押圧されることにより、屈曲部分が更に屈曲せしめられるように収縮せしめられ、それによって、あたかもバネ体の如き弾性変形作用を発揮し、以て、この弾性変形作用に基づいた、特徴的な荷重−変位特性が得られるといったことが、大いに期待され得るのである。
【0029】
また、本発明に従う衝撃吸収ブラケットの有利な他の態様の一つによれば、前記突出部が、前記雌ねじ穴形成部の延出部位の外周面に対して、点在するように独立して突設された突起の複数にて構成されて、前記衝撃入力による該雌ねじ穴形成部の延出部位の移動に伴って、該複数の突起が、該延出部位の移動方向の前方に位置するものから順に、前記取付部の貫通孔の開口周縁部に接触せしめられて、変形乃至は破壊せしめられるように構成される。
【0030】
かくの如き構成を有する衝撃吸収ブラケットにあっては、限られた取付スペース内で、単に、突起の大きさや数、或いは配置間隔等を変更するだけで、衝撃吸収性能が、容易にチューニングされ得るのであり、それによって、取付スペースの大きさに関係なく、所望の衝撃吸収性能が、より確実に確保され得るのである。
【0031】
また、かかる衝撃吸収ブラケットにあっては、例えば、複数の突起の一部若しくは全部を互いに異なる大きさとすれば、よりバラエティーに富んだ衝撃吸収性能が得られることとなる。
【0032】
そして、本発明にあっては、前述せる如き技術的課題を解決するために、所定の支持体に取り付けられる取付部と、雌ねじ穴を備えた雌ねじ穴形成部とを有し、該取付部において該支持体に取り付けられることにより、該支持体に対して、雄ねじ部を有する部材を固定するための雌ねじ穴を、該雌ねじ穴形成部の雌ねじ穴にて形成せしめると共に、該支持体への取付状態下で、外部からの衝撃の入力により変形せしめられることによって、該衝撃を吸収せしめ得るように構成された衝撃吸収ブラケットにおいて、前記取付部が、前記支持体への取付状態下で前記衝撃の入力方向に延びる貫通孔を有する一方、前記雌ねじ穴形成部が、該貫通孔に挿入可能な筒状乃至は柱状形態を呈すると共に、該雌ねじ穴形成部が、該取付部の該支持体への取付状態下において、一部の部位を該衝撃入力方向とは反対方向に向かって延出せしめるように、該取付部の貫通孔内に挿入されて、該雌ねじ穴形成部に前記衝撃が入力せしめられた際に、該雌ねじ穴形成部の該衝撃入力方向とは反対方向への延出部位が、該衝撃の入力により、該取付部の貫通孔内を該衝撃入力方向に移動せしめられるように構成され、更に、前記衝撃の入力方向に延びるように立設せしめられ、該衝撃入力による該延出部位の移動に伴って、前記取付部の貫通孔の開口周縁部に接触せしめられて変形せしめられることにより、該衝撃を吸収する側壁を備えた筒状部を有する樹脂成形体が、該雌ねじ穴形成部の延出部位に対して一体的に設けられると共に、該筒状部の側壁に、該衝撃入力による移動時に生ずる応力集中により容易に裂開せしめられる易裂開部位が形成されていることを特徴とする衝撃吸収ブラケットをも、また、その要旨とするものである。
【0033】
すなわち、この本発明に従う衝撃吸収ブラケットにあっては、雌ねじ穴形成部の延出部位に、衝撃入力方向に延びる側壁を備えた筒状部を有する樹脂成形体が一体的に設けられると共に、かかる側壁に対して、衝撃入力によって生ずる応力集中により容易に裂開せしめられる易裂開部位が形成されており、そして、取付部の支持体への取付状態下での衝撃の入力時に、雌ねじ穴形成部の延出部位が、取付部の貫通孔内を衝撃入力方向に移動せしめられるのに伴って、かかる筒状部の側壁が取付部の貫通孔の開口周縁部に接触せしめられることにより、筒状部の側壁に対して剪断力が作用せしめられて、筒状部の側壁が変形せしめられると共に、その側壁に設けられた易裂開部位において裂開せしめられ、以て、衝撃が吸収され得るようになっているところから、全体の高さや大きさを何等変更することなく、例えば、筒状部の側壁における易裂開部位の数や位置、或いは易裂開部位での側壁の裂開され易さ等を種々変更せしめることによって、荷重−変位特性等を簡単に調節することが出来るのである。
【0034】
それ故、かかる衝撃吸収ブラケットにおいては、全体の高さや肉厚等を変更することによってのみ、衝撃吸収性能がチューニングされる従来品とは異なって、取付スペースの大きさによって何等制限されることなく、衝撃吸収性能が、容易に且つ適切にチューニングされ得るのである。
【0035】
従って、このような本発明に従う衝撃吸収ブラケットにあっても、所望の衝撃吸収性能を効果的に確保しつつ、限られた取付スペース内に有利に取り付けられ得るのであり、その結果として、取付スペースの大きさに拘わらず、所望の衝撃吸収性能が、常に安定的に発揮され得ることとなるのである。
【0036】
なお、本発明に従う衝撃吸収ブラケットの別の好ましい態様の一つによれば、前記取付部の貫通孔の内周面が、前記衝撃入力方向に沿って次第に大径化するテーパ筒形状とされる一方、該取付部の前記支持体への取付状態下において、前記雌ねじ穴形成部の該貫通孔に挿入せしめられる部位の外周面が、該貫通孔の内周面に対応したテーパ筒形状とされて、かかる雌ねじ穴形成部の該貫通孔への挿入部位が、該貫通孔に対して挿入された状態で、テーパ嵌合せしめられるように構成されることとなる。
【0037】
このような構成を有する衝撃吸収ブラケットにあっては、衝撃の入力によって、取付部の貫通孔への雌ねじ穴形成部の挿入部位と貫通孔との間のテーパ嵌合が解消されるため、それら貫通孔のテーパ筒形状を呈する内周面や、かかる内周面に対応した、雌ねじ穴形成部の挿入部位のテーパ筒形状を呈する外周面のテーパ角度に応じた分だけ、雌ねじ穴形成部の延出部位が、その軸心に対して傾斜した状態で、取付部の貫通孔内を移動せしめられることが許容され得ることとなるのである。
【0038】
それ故、かかる衝撃吸収ブラケットにおいては、例えば、衝撃の入力方向が、雌ねじ穴形成部の軸方向に対して多少傾斜した方向であっても、そのような衝撃によって、雌ねじ穴形成部の延出部位が、取付部の貫通孔内をスムーズに移動せしめられ得るのであり、その結果として、より広範囲の方向から入力せしめられる衝撃に対して、安定した衝撃吸収性能が、更に一層効果的に発揮され得るのである。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る衝撃吸収ブラケットの構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0040】
先ず、図1乃至図4には、本発明に従う構造を有する衝撃吸収ブラケットの一実施形態として、自動車の車体にアシストグリップを取り付けるのに使用される衝撃吸収ブラケットが、その正面形態、上面形態、下面形態、及び縦断面形態において、それぞれ概略的に示されている。それら図1乃至図4から明らかなように、本実施形態の衝撃吸収ブラケット10は、取付部12と雌ねじ穴形成部14とを有して、構成されている。
【0041】
より具体的には、この衝撃吸収ブラケット10を構成する取付部12は、高さの低い、合成樹脂製の円筒体にて構成されており、その内孔が、該取付部12を軸方向(高さ方向)に貫通する貫通孔16として、形成されている。また、この貫通孔16は、その内周面が、上方に向かって次第に小径化するテーパ筒形状を呈するテーパ状内周面17とされている。なお、かかるテーパ状内周面17は、そのテーパ角度が特に限定されるものではないものの、好適には、5〜20°の範囲内の値とされる。
【0042】
さらに、そのような円筒体からなる取付部12にあっては、上端部の外周面に、全体として、六角形の平板形態を呈する外向きフランジ部18が、一体的に設けられていると共に、かかる外向きフランジ部18の形成部位を除く外周面の全体には、軸方向に螺旋状に延びる突条からなる雄ねじ20が、一体的に設けられている。
【0043】
一方、雌ねじ穴形成部14は、取付部12よりも十分に高さの高い合成樹脂製の円柱体にて構成されており、その下端部が、取付部12の貫通孔16内に挿入可能な挿入部位22とされている一方、かかる挿入部位22を除いた部位の全体が、該挿入部位22の貫通孔16内への挿入状態下で、上方に向かって延出せしめられ得るように構成された延出部位24とされている。
【0044】
そして、かかる雌ねじ穴形成部14の挿入部位22には、下方に向かって開口する、所定深さの円形穴からなる肉抜け部26が設けられており、また、この挿入部位22の外周面が、前記取付部12の貫通孔16におけるテーパ状内周面17に対応したテーパ筒形状を呈するテーパ状外周面28とされている。
【0045】
一方、雌ねじ穴形成部14の延出部位24にあっては、その外周面が、取付部12の貫通孔16内に挿通可能な径を有する円筒面にて構成されている。そして、そのような延出部位24の中心部には、内周面の全面に雌ねじが刻設されてなる雌ねじ穴30が、延出部位24の軸方向に真っ直ぐに延び、且つその上端面と、挿入部位22の肉抜け部26の底面とにおいて、上下方向にそれぞれ開口せしめられるようにして、形成されている。
【0046】
また、ここでは、特に、雌ねじ穴形成部14における延出部位24の、円筒面からなる外周面に対して、その周方向の全周に、一定の厚さで連続して延びる、薄肉の円環板からなる、突出部としての円環状リブ32の複数(ここでは、6個)が、延出部位24の全長に亘って、軸方向に等間隔をおいて対向位置せしめられるように、一体的に立設されている。
【0047】
そして、この複数の円環状リブ32は、互いに同一の厚さと同一の外径とを有しており、それぞれの肉厚が、例えば、各円環状リブ32に剪断力が作用せしめられた際に、その基部側部分において、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面から容易に折り取られ得るような、比較的に変形乃至は破壊され易い薄い厚さとされていると共に、それぞれの外径が、取付部12の貫通孔16の内径よりも十分に大きくされている。また、それら複数の円環状リブ32のうちで、最も下方に位置せしめられたものは、その下面において、取付部12の上面における貫通孔16の開口周縁部に接触せしめられている。
【0048】
而して、かくの如き構造とされた雌ねじ穴形成部14が、挿入部位22において、そのテーパ状外周面28を、取付部12の貫通孔16のテーパ状内周面17に対してテーパ嵌合せしめつつ、かかる貫通孔16内に挿入され、且つ延出部位24において、取付部12の上面から軸方向に真っ直ぐに延出せしめられた状態で、取付部12に組み付けられており、以て、衝撃吸収ブラケット10が、それら取付部12と雌ねじ穴形成部14の組付品として、構成されているのである。
【0049】
また、ここでは、そのような衝撃吸収ブラケット10が、予め成形された雌ねじ穴部形成部14を、取付部12の成形用金型内の所定位置に配置して、かかる取付部12を成形すると同時に、取付部12と雌ねじ穴形成部14とを一体化するようにしたインサート成形手法を利用して成形されていることによって、雌ねじ穴形成部14が、挿入部位22において、取付部12の貫通孔16内に挿入せしめられた状態下で、取付部12に対して、一体的に接合されている。これによって、本実施形態の衝撃吸収ブラケット10にあっては、後述する如き車体への取付状態下で、衝撃が入力せしめられた際に、雌ねじ穴形成部14が、衝撃入力の初期段階において大きな荷重を受けることにより、始めて、取付部12の貫通孔16内から抜脱するように移動せしめられるようになっており、以て、公知の荷重−変位曲線において初期荷重値が大きくなる優れた衝撃吸収特性が得られるように、構成されているのである。
【0050】
なお、衝撃吸収ブラケット10の製造手法は、上述せるインサート成形手法に、何等限定されるものではなく、その他、公知の二色成形手法や、取付部12と雌ねじ穴形成部14とを、それぞれ、公知の金型成形により別々に成形した後、雌ねじ穴形成部14を取付部12の貫通孔16内に圧入したり、或いは挿入し、接合したりして、組み付ける手法が、適宜に採用され得るのである。
【0051】
そして、このような衝撃吸収ブラケット10は、例えば、図5に示されるようにして、支持体たる車体に取り付けられることとなる。
【0052】
すなわち、衝撃吸収ブラケット10は、車体の一部たるルーフサイドレールを構成するアウタ及びインナパネル34,36のうち、内側に位置するインナパネル36と、かかるインナパネル36の車室側の面を覆う合成樹脂製の内装パネル38との間に、取付部12の貫通孔16から延出せしめられた雌ねじ穴形成部14の延出部位24が、内装パネル38に向かって延出し、且つその先端面において、内装パネル38のインナパネル36側の面に接触するように、内装パネル38に対して直角となる横向きに位置せしめられている。そして、その状態下で、取付部12が、外向きフランジ部18をインナパネル36の内装パネル38側の面に接触させつつ、インナパネル36の所定部位に設けられる係合孔40内に挿入されて、かかる係合孔40に設けられた雌ねじ状係合部42に、螺合せしめる如く係合されており、以て、衝撃吸収ブラケット10の全体が、車体に取り付けられるようになっているのである。
【0053】
かくして、ここでは、衝撃吸収ブラケット10における雌ねじ穴形成部14の雌ねじ穴30にて、ルーフサイドレールのインナパネル36に対して、雌ねじ穴30が、内装パネル38との間に形成され得るようになっている。そして、例えば、内装パネル38の車室側面に接触配置されたアシストグリップ44と内装パネル38とを貫通するビス46が、インナパネル36に形成された雌ねじ穴30に螺入せしめられることによって、アシストグリップ44が、内装パネル38及びインナパネル36に取り付けられるようになっているのである。
【0054】
なお、本実施形態では、例えば、衝突事故の発生時等に、乗員等がアシストグリップ44に接触せしめられた際に、アシストグリップ44や内装パネル38に対する衝撃が、図5に矢印アで示される如く、内装パネル38に対して直角な方向において、内装パネル38側からインナパネル36側に向かって生ぜしめられることとなる。これによって、ここでは、衝撃吸収ブラケット10のインナパネル36への取付状態下で、取付部12の貫通孔16が、衝撃の入力方向に延びると共に、雌ねじ穴形成部14が、衝撃の入力方向とは反対の方向に向かって、取付部12の貫通孔16から延出せしめられるように、構成されているのである。
【0055】
そして、かくの如くして車体(インナパネル36)に取付けられた衝撃吸収ブラケット10にあっては、例えば、アシストグリップ44に乗員等が接触せしめられて、図5に矢印アで示される方向において衝撃が入力せしめられた際に、前述せる如く、取付部12の貫通孔16内への雌ねじ穴形成部14の挿入部位22が、取付部12に対して一体的に接合されているため、ある程度の大きさの衝撃荷重が加えられるまでは、図5に示される如き状態が維持されるものの、所定の大きさ以上の衝撃荷重が加えられると、雌ねじ穴形成部14の挿入部位22と取付部12の貫通孔16との間のテーパ嵌合が解消されて、図6に示されるように、雌ねじ穴形成部14における取付部12の貫通孔16からの延出部位24が、衝撃の入力方向に沿って、つまり、内装パネル38側からインナパネル36側に向かって、取付部12の貫通孔16内を移動せしめられるようになっている。
【0056】
また、このとき、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面に設けられた複数の円環状リブ32が、それらのうちで、衝撃入力による延出部位24の移動方向の前方に位置するものから順に、取付部12の外向きフランジ部18における貫通孔16の開口周縁部に対して、その全周に亘って接触せしめられる(ここでは、延出部位24の移動方向の最も前方に位置する円環状リブ32が、雌ねじ穴形成部14の取付部12への取付状態下で、既に、取付部12における貫通孔16の開口周縁部に接触位置せしめられている)。そして、この外向きフランジ部18に接触せしめられる各円環状リブ32における、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面から延び出す基部側部分に対して、剪断力が作用せしめられて、それら各円環状リブ32が、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面から、次々に折り取られるようになっている。
【0057】
かくして、本実施形態の衝撃吸収ブラケット10においては、インナパネル36への取付状態下で、乗員等がアシストグリップ44に接触せしめられることにより衝撃が入力せしめられた際に、雌ねじ穴形成部14の延出部位24が、取付部12の貫通孔16内を移動せしめられるのに伴って、複数の円環状リブ32が、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面から次々と折り取られて、破壊されることにより、衝撃吸収ブラケット10に入力せしめられる衝撃が、吸収され得るようになっているのであり、以て、アシストグリップ44に接触せしめられる乗員の保護が、有効に図られ得るように構成されているのである。
【0058】
このように、本実施形態に係る衝撃吸収ブラケット10にあっては、外部から入力せしめられる衝撃の吸収が、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の、取付部12の貫通孔16内での移動に伴って、複数の円環状リブ32が次々と破壊されることによって実現され得るようになっているため、例えば、それら複数の円環状リブ32のそれぞれ厚さや、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面上における形成個数や配置間隔等を種々変更することによって、荷重−変位特性等が、簡単に調節され得るのである。
【0059】
従って、本実施形態の衝撃吸収ブラケット10においては、内装パネル38とインナーパネル36との間の取付スペースが狭小であっても、衝撃吸収性能が、容易に且つ適切にチューニングされ得るのであり、それによって、かかる取付スペースの大きさに拘わらず、所望の衝撃吸収性能が、常に安定的に発揮され得ることとなるのである。
【0060】
しかも、かかる衝撃吸収ブラケット10においては、取付部12を成形する金型内の所定位置に、予め成形された雌ねじ穴形成部14を配置した状態で、取付部12を成形するようにしたインサート成形手法が採用されて、製造されるようになっているところから、かかる取付部12の成形金型内での雌ねじ穴形成部14の配置位置を単に変更するだけで、雌ねじ穴形成部14における、貫通孔16から延出せしめられる延出部位の長さが、極めて容易に変更され得るのであり、それ故に、雌ねじ穴形成部14の延出部位の延出長さが互いに異なる複数種類のものを製造する際に、取付部12と雌ねじ穴形成部14とをそれぞれ作製する設備を何等変更することなく、同一の設備を使用することが出来るのである。
【0061】
それ故、かくの如き本実施形態に係る衝撃吸収ブラケット10にあっては、互いに大きさの異なる取付スペース内で、衝撃吸収性能をそれぞれ十分に発揮し得る構造が、製造時における設備コストや製造コストの高騰を何等招くことなく、極めて有利に実現され得るといった利点も、得られることとなるのである。
【0062】
また、本実施形態の衝撃吸収ブラケット10にあっては、衝撃の入力時において、雌ねじ穴形成部14の延出部位24が、取付部12の貫通孔16内を移動せしめられる際に、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面に対して、その全周に連続して延びるように立設された複数の円環状リブ32が、取付部12における貫通孔16の開口周縁部の全周に対して次々と接触せしめられて、破壊されるようになっているところから、雌ねじ穴形成部14の延出部位24が、取付部12の貫通孔16内を、それらの軸方向に略真っ直ぐに移動せしめられることとなる。そのため、延出部位24の貫通孔16内での移動時に、延出部位24の外周面と貫通孔16の内周面との間で、周方向において略均一な摩擦抵抗が生ぜしめられこととなり、それによって、それら延出部位24の外周面と貫通孔16の内周面との間で生ずる摩擦抵抗の影響を略無視した状態で、衝撃吸収性能が、より容易にチューニングされ得るといった利点も、得られるのである。
【0063】
さらに、かかる衝撃吸収ブラケット10においては、雌ねじ穴形成部14の挿入部位22が、テーパ状外周面28において、取付部12の貫通孔16のテーパ状内周面17に対してテーパ嵌合せしめられた状態で、貫通孔16内に挿入されているため、例えば、雌ねじ穴形成部14の軸方向に対して所定の角度をもって傾斜する方向において衝撃が入力せしめられた際にも、雌ねじ穴形成部14の挿入部位22と取付部12の貫通孔16との間のテーパ嵌合が解消され、そして、雌ねじ穴形成部14の延出部位24が、貫通孔16のテーパ状内周面17に沿って傾斜せしめられた状態で、貫通孔16内を比較的にスムーズに移動せしめられ得るのであり、それによって、より広範囲の方向からの衝撃入力に対して、安定した衝撃吸収性能が、効果的に発揮され得ることとなるのである。
【0064】
次に、図7乃至図16には、前記第一の実施形態とは、突出部の形態が異なる5種類の実施形態が、それぞれ示されている。なお、それら図7乃至図16、更には後述する図17乃至図23においては、前記第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位について、図1乃至図6と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明は省略した。
【0065】
すなわち、図7及び図8に示される衝撃吸収ブラケット10にあっては、雌ねじ穴形成部14における延出部位24の外周面に、その周方向において、一定の厚さで断続的に延びる複数の円弧状リブ48が、突出部として、一体的に立設されている。また、それら複数の円弧状リブ48は、それぞれ、前記第一の実施形態に係る衝撃吸収ブラケット10において、突出部として形成された円環状リブ32を周方向の四箇所で分断せしめてなる如き円弧形状を有しており、延出部位24の全長に亘って、互いに軸方向に等間隔をおき、且つ周方向にも所定の距離を隔てた状態で、位置せしめられている。
【0066】
換言すれば、ここでは、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面において、その周方向に対向する部位のそれぞれに、第一円弧状リブ48aの複数が、軸方向に等間隔をおいて一列に並べられた状態で、一体的に立設されている一方、それら複数の第一円弧状リブ48aが形成される部位の対向方向に直交する方向において対向する部位にも、それぞれ、第二円弧状リブ48bの複数が、軸方向に等間隔をおいて一列に並べられた状態で、一体的に立設されている。そして、それら複数の第一円弧状リブ48aと複数の第二円弧状リブ48bのうち、周方向に隣り合うもの同士が、軸方向の同じ位置で、周方向に所定の距離を隔てて、位置せしめられているのである。
【0067】
このような複数の第一及び第二円弧状リブ48a,48bが、雌ねじ穴形成部14における延出部位24の外周面に一体的に立設されてなる本実施形態の衝撃吸収ブラケット10にあっても、衝撃入力により、雌ねじ穴形成部14の延出部位24が、取付部12の貫通孔16内を移動せしめられるのに伴って、複数の第一及び第二円弧状リブ48a,48bが、延出部位24の移動方向の前方に位置するものから順に、取付部12における貫通孔16の開口周縁部に接触せしめられて、折り取られるように破壊されるようになっており、それによって、入力せしめられる衝撃が吸収され得るように構成されているのである。
【0068】
それ故、本実施形態においても、前記第一の実施形態と同様な作用・効果が、有効に享受され得ることとなるのである。
【0069】
そして、かかる本実施形態の衝撃吸収ブラケット10にあっては、特に、複数の第一及び第二円弧状リブ48a,48bが、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面に、互いに周方向に所定距離を隔てて隣り合って位置するようにして、一体的に立設されているところから、前記円環状リブ32とは異なって、それら各円弧状リブ48a,48bが、取付部12における貫通孔16の開口周縁部との接触により、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面から確実に折り取られて、除去され得ることとなるのである。
【0070】
従って、本実施形態に係る衝撃吸収ブラケット10においては、衝撃入力により、雌ねじ穴形成部14の延出部位24が、取付部12における貫通孔16内を移動せしめられた際に、取付部12における貫通孔16の開口周縁部と、衝撃が入力せしめられるインナパネル36との間に、延出部位24から折り取られた円弧状リブ48a,48bが介在せしめられて、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の移動ストロークが小さくなってしまうようなことが、効果的に回避され得るのであり、それによって、より優れた衝撃吸収性能が確保され得ることとなるのである。
【0071】
また、図9及び図10に示される衝撃吸収ブラケット10にあっても、雌ねじ穴形成部14における延出部位24の外周面に、その周方向において、一定の厚さで断続的に延びる、突出部としての複数の円弧状リブ50が、前記第二の実施形態における突出部としての円弧状リブ48と同様な形状をもって、一体的に立設されている。即ち、それら複数の円弧状リブ50も、複数の第一円弧状リブ50aと、それらに対して、延出部位24の外周面の周方向に所定の間隔をおいて隣り合って位置せしめられた複数の第二円弧状リブ50bとにて、構成されているのであるが、ここでは、特に、それら複数の第一円弧状リブ50aと複数の第二円弧状リブ50bのうち、周方向に隣り合うもの同士が、軸方向に所定寸法だけずらされて、軸方向において異なる位置に配置されている。より具体的には、二つの第一円弧状リブ50a,50aの軸方向の中間位置に、一つの第二円弧状リブ50bが、それら二つの第一円弧状リブ50a,50bと周方向に隣り合って配置されるようになっているのである。
【0072】
このような複数の第一及び第二円弧状リブ50a,50bが、雌ねじ穴形成部14における延出部位24の外周面に一体的に立設されてなる本実施形態の衝撃吸収ブラケット10にあっても、前記第一の実施形態及び前記第二の実施形態と同様な効果が奏され得ることは、勿論である。
【0073】
そして、それに加えて、本実施形態に係る衝撃吸収ブラケット10にあっては、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面に形成された複数の円弧状リブ50a,50bのうち、周方向と軸方向にそれぞれ隣り合うもの同士における軸方向の間隔を密にすることが出来るのであり、それによって、衝撃入力による雌ねじ穴形成部14の延出部位24の移動時において、その延出部位24の移動方向に隣り合う円弧状リブ50a,50b同士のうち、かかる移動方向の前方に位置するものが破壊されてから、その後方に位置するものが破壊されるまでのタイムラグが有利に小さく為し得るのである。
【0074】
従って、かかる本実施形態の衝撃吸収ブラケット10においては、荷重−変位特性における荷重の変化が、よりスムーズに為され得、以て、より安定した衝撃吸収性能が、効果的に発揮され得ることとなるのである。
【0075】
さらに、図11及び図12に示される衝撃吸収ブラケット10においては、雌ねじ穴形成部14における延出部位24の外周面に、その軸方向に螺旋を描きながら、一定の厚さで連続して延びる螺旋状リブ52が、突出部として、一体的に立設されている。
【0076】
このような螺旋状リブ52が、雌ねじ穴形成部14における延出部位24の外周面に一体的に立設されてなる本実施形態の衝撃吸収ブラケット10にあっても、衝撃入力により、雌ねじ穴形成部14の延出部位24が、取付部12の貫通孔16内を移動せしめられるのに伴って、螺旋状リブ52が、延出部位24の移動方向の前方に位置する部分から順に、取付部12における貫通孔16の開口周縁部に接触せしめられて、折り取られるように破壊されることによって、入力せしめられる衝撃が吸収され得るようになっているのであり、それ故に、前記第一の実施形態と同様な効果が、有効に奏され得るのである。
【0077】
そして、かかる衝撃吸収ブラケット10にあっては、特に、衝撃入力による雌ねじ穴形成部14の延出部位24の移動時に、その移動の開始から終了までの間、螺旋状リブ52の破壊が、途切れなく、継続せしめられることとなるのであり、それによって、荷重−変位特性における荷重の変化が、更に一層スムーズに為され得て、より安定した衝撃吸収性能が、効果的に発揮せしめられ得ることとなるのである。
【0078】
また、図13及び図14に示される衝撃吸収ブラケット10においては、雌ねじ穴形成部14における延出部位24の外周面に、その軸方向にジグザグに屈曲して、一定の厚さで連続して延びる屈曲リブ54が、突出部として、一体的に立設されている。
【0079】
このような屈曲リブ54を有する衝撃吸収ブラケット10にあっても、衝撃入力による雌ねじ穴形成部14の延出部位24の移動に伴って、屈曲リブ54が、延出部位24の移動方向の前方に位置する部分から順に、取付部12における貫通孔16の開口周縁部に接触せしめられて、折り取られるように破壊されることによって、入力せしめられる衝撃が吸収され得るようになっているのであり、それ故に、前記第一の実施形態と同様な効果が、有効に奏され得るのである。
【0080】
そして、かかる衝撃吸収ブラケット10にあっては、屈曲リブ54の、雌ねじ穴形成部14の延出部位24から除去された部分が、延出部位24の移動に伴って、取付部12における貫通孔16の開口周縁部にて押圧されて、収縮せしめられ、それによって、あたかもバネ体の如き弾性変形作用を発揮し、以て、この弾性変形作用に基づいた、特徴的な荷重−変位特性が得られるといったことが、期待され得るのである。
【0081】
さらに、図15及び図16に示される衝撃吸収ブラケット10においては、雌ねじ穴形成部14における延出部位24の外周面に、互いに独立して点在する複数の突起56が、突出部として、一体的に突設されている。また、それら複数の突起56は、それぞれ、同一の高さと径とを有する円柱形状を呈しており、延出部位24の外周面における、前記第三の実施形態の突出部としての前記第一円弧状リブ50aの複数と前記第二円弧状リブ50bの複数とが一体的に立設される部位のそれぞれに、それら各第一円弧状リブ50aと第二円弧状リブ50bの配置位置において、周方向に複数個並べられるように位置せしめられている。要するに、ここでは、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面に、前記複数の第一及び第二円弧状リブ50a,50bに代えて、それらの立設位置に、円柱形状を呈する突起56の複数が、一体的に突設されているのである。
【0082】
それ故、本実施形態の衝撃吸収ブラケット10にあっても、衝撃入力により、雌ねじ穴形成部14の延出部位24が、取付部12の貫通孔16内を移動せしめられるのに伴って、複数の突起56が、延出部位24の移動方向の前方に位置するものから順に、取付部12における貫通孔16の開口周縁部に接触せしめられて、折り取られるように破壊されるようになっており、それによって、入力せしめられる衝撃が吸収され得るように構成されているのである。
【0083】
従って、このような本実施形態においても、前記第一及び第三の実施形態と同様な作用・効果が、有効に享受され得ることとなるのである。
【0084】
なお、前記第一乃至第四の実施形態では、突出部として構成されたリブ32,48〜54が、何れも、一定の厚さとされていたが、例えば、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面における配設位置に応じて、それぞれ異なる厚さと為すことも、可能である。そうすることによって、よりバラエティに富んだ衝撃吸収性能が得られることとなるのである。
【0085】
また、前記第一乃至第四の実施形態においては、それぞれ、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面に一体形成される突出部が、それぞれ、同一形状の一種類のリブ32,48〜54の何れかにて構成されていたが、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面に、それらの各リブ32,48〜54のうちの二種類以上を組み合わせて、突出部として形成することも、勿論可能である。
【0086】
さらに、そのように、突出部を薄肉板状のリブにて構成する場合にあっても、かかるリブが、衝撃入力による雌ねじ穴形成部14の延出部位24の移動に伴って、取付部12における貫通孔16の開口周縁部に接触して変形乃至は破壊されるように構成されるものであれば、その具体的形状や、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面に対する形成個数及び形成位置等が、前記第一乃至第四の実施形態に例示されるものに、何等限定されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0087】
更にまた、前記第五の実施形態では、突出部としての複数の突起56が、同一の高さと径とを有する円柱形状をもって構成されていたが、それら複数の突起56の形状や、雌ねじ穴形成部14の延出部位24の外周面に対する形成位置は、例示されるものに、特に限定されるものではなく、また、その高さや大きさ、或いは全体形状が互いに異なるものであっても、何等差し支えないのである。そうすることによって、よりバラエティに富んだ衝撃吸収性能が得られるといった利点が、得られることとなるのである。
【0088】
次に、図17乃至図23には、雌ねじ穴形成部の延出部位に対して、衝撃吸収ブラケットに入力される衝撃を吸収するための樹脂成形体が一体的に設けられてなる、前記第一乃至第五の実施形態とは構造の異なる別の二種類の実施形態が、それぞれ、示されている。
【0089】
すなわち、図17乃至図19に示される衝撃吸収ブラケット60においては、雌ねじ穴形成部14の延出部位24に、全体として、四角筒形状を呈する、樹脂成形体としての衝撃吸収構造体62が、一体的に設けられている。
【0090】
より具体的には、この衝撃吸収構造体62は、比較的に座屈変形し易いオレフィン系樹脂、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の合成樹脂材料を用いた射出成形にて一体成形されている。また、かかる衝撃吸収構造体10にあっては、上底が下底よりも所定寸法だけ短い略台形状を呈する薄肉平板からなる四つの側壁64を有し、それらが衝撃吸収構造体10の軸心に向かって漸次接近するように傾斜しつつ、上方に向かって延びるように立設されて、成っており、以て、全体として、四つの角部66を有し、且つ先端に向かうに従って、軸直方向に広がる断面の面積が小さくなる四角筒形状を呈する筒状体にて構成されているのである。
【0091】
さらに、そのような筒状体からなる衝撃吸収構造体10においては、その上端部に、天板部68が、各側壁64の上端縁部から軸直角方向に延び出すようにして、一体的に形成されており、また、かかる天板部68の中心部には、円形の挿通孔70が、設けられている。
【0092】
そして、ここでは、取付部12に組み付けられた雌ねじ穴形成部14の延出部位24が、上述の如き構造とされた、筒状体からなる衝撃吸収構造体62内に、天板部68の形成側とは反対側から同軸的に挿入され、更に、その上端部において、天板部68の挿通孔70内に挿通された状態で、かかる上端部に設けられた周溝72内に、天板部68の挿通孔70の周縁部位が嵌入されていることによって、雌ねじ穴形成部14の延出部位24に対して、衝撃吸収構造体62が、一体的に組み付けられており、以て、衝撃吸収ブラケット60が、それら取付部12と雌ねじ穴形成部14と衝撃吸収構造体62の組付品として、構成されているのである。なお、かかる衝撃吸収ブラケット60では、衝撃吸収構造体62の四つの側壁64のそれぞれが、その下端縁において、取付部12における貫通孔16の開口周縁部に接触位置せしめられている。
【0093】
かくして、本実施形態の衝撃吸収ブラケット60にあっては、衝撃吸収構造体62の四つの側壁64が、雌ねじ穴形成部14の軸方向、換言すれば、衝撃の入力方向に延出せしめられた状態で、天板部68を介して、雌ねじ穴形成部14の延出部位24に対して一体的に設けられているのである。
【0094】
このため、衝撃吸収ブラケット60においては、衝撃入力により、雌ねじ穴形成部14の延出部位24が、取付部12の貫通孔16内を移動せしめられた際に、衝撃吸収構造体62の四つの側壁64が、座屈変形せしめられると共に、それら四つの側壁64が座屈変形せしめられるのに伴って、或いはそのような四つの側壁64の座屈変形の前に、四つの側壁64にて形成される四つの各角部66において応力が集中せしめられて、それら各角部66が、それぞれ裂かれるようになっているのである。そして、これによって、かかる衝撃吸収ブラケット60では、各角部66が裂かれる段階と、各側壁64が座屈変形せしめられる段階の二つの段階において、入力される衝撃が吸収せしめられ得るように構成されているのである。なお、このことから明らかなように、ここでは、各角部66にて、易裂開部位が構成されているのである。
【0095】
このように、本実施形態に係る衝撃吸収ブラケット60にあっては、衝撃吸収構造体62の各側壁64の変形に加えて、各角部66が裂かれることによっても衝撃吸収が図られ得るようになっているところから、例えば、各側壁64における角部66形成部位の厚さを変更して、各角部66での裂け易さを調節したり、或いはそのような角部66の数を増減せしめて、衝撃吸収構造体62全体での裂け易さを調節したりすることによって、荷重−変位特性等が、簡単に変更され得るのである。
【0096】
従って、かくの如き本実施形態の衝撃吸収ブラケット60にあっても、その全体の大きさを何等変更せしめることなく、それ故に、内装パネル38とインナーパネル36との間の取付スペースが狭小であっても、衝撃吸収性能が、容易に且つ適切にチューニングされ得るのであり、それによって、かかる取付スペースの大きさに拘わらず、所望の衝撃吸収性能が、常に安定的に発揮され得ることとなるのである。
【0097】
また、図20乃至図23に示される衝撃吸収ブラケット60においては、雌ねじ穴形成部14の延出部位24に、全体として、テーパ筒形状を呈する、樹脂成形体としての衝撃吸収構造体74が、前記第六の実施形態における樹脂成形体62と同様な材料にて、一体的に設けられている。この衝撃吸収構造体74は、円筒状の側壁76と、その上端縁に一体的に設けられた天板部68とを有しており、また、かかる天板部68の中心部には、挿通孔70が設けられている。
【0098】
そして、ここでは、特に、そのような衝撃吸収構造体74におけるテーパ筒状の側壁76の内周面に、軸方向に連続して延びるV溝78が、周方向に等間隔をおいて、複数形成されており、それによって、かかる側壁76が、各V溝78の形成部位において薄肉化されているのである。
【0099】
このため、かかる衝撃吸収ブラケット60においては、衝撃入力による雌ねじ穴形成部14の延出部位24の移動に伴って、衝撃吸収構造体74の側壁76が座屈変形せしめられると共に、側壁76が座屈変形せしめられるのに伴って、或いは側壁76の座屈変形の前に、側壁76の薄肉化された各V溝78の形成部位において応力集中が惹起されて、それら各V溝78の形成部位が、それぞれ裂かれ、以て、入力される衝撃が吸収せしめられ得るようになっているのである。このことから明らかなように、ここでは、各V溝78にて、易裂開部位が形成されているのである。
【0100】
このように、本実施形態に係る衝撃吸収ブラケット60にあっても、衝撃吸収構造体74の各側壁64の変形に加えて、各V溝78の形成部位が裂かれることによっても衝撃吸収が図られ得るようになっているところから、例えば、それら各V溝78の深さを変更して、各V溝78の形成部位での裂け易さを調節したり、或いはそのようなV溝78の数を増減せしめて、衝撃吸収構造体74全体での裂け易さを調節したりすることによって、荷重−変位特性等が、簡単に変更され得るのである。
【0101】
従って、かくの如き本実施形態の衝撃吸収ブラケット60にあっても、前記第六の実施形態と同様に、取付スペースの大きさに拘わらず、所望の衝撃吸収性能が、常に安定的に発揮され得るといった優れた効果が、有効に享受され得ることとなるのである。
【0102】
なお、前記第六及び第七の実施形態では、樹脂成形体としての衝撃吸収構造体62,74が、全体として、四角筒形状やテーパ筒形状を有して構成されていたが、樹脂成形体は、衝撃入力による雌ねじ穴形成部14の延出部位24の移動に伴って変形せしめられる側壁を備えた筒状部を有しておれば、その全体形状が、決して限定されるものではない。そして、特に、かかる筒状部が角筒形状を呈するものである場合には、その角部が裂開部位として構成されるため、所望とする衝撃吸収性能に応じて、全体形状が、適宜に決定されることとなるのである。なお、樹脂成形体の一部のみが、かかる筒状部とされていても良い。
【0103】
また、前記第七の実施形態では、側壁76の内周面にV溝78が複数設けられて、各V溝78の形成部位が薄肉化されることにより、それら各V溝78の形成部位が、裂開部位として構成されていたが、このV溝78に代えて、例えば、U字状や円弧状、多角形状を呈する溝、或いは切込みを、側壁78の内周面や外周面に設けたり、或いは側壁78に、その高さ方向に延びる穴部を設けたりして、側壁を部分的に薄肉化し、この薄肉化された部分を、裂開部位として構成することも、勿論可能である。なお、それら溝や切込み、穴部は、側壁76に対して、その高さ方向において部分的に設けるようにしても、良いのである。
【0104】
さらに、前記第六及び第七の実施形態では、側壁64,76が、雌ねじ穴形成部14の延出部位24に対して、天板部68を介して、一体的に設けられていたが、そのような天板部68を省略して、延出部位24に対して、直接に設けても、何等差し支えないのである。
【0105】
更にまた、側壁64,76を、天板部68を介して延出部位24に設ける場合にあっても、その形成形態が、前記第六及び第七の実施形態に例示されるものにも、特に限定されるものでないことは、勿論である。
【0106】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0107】
例えば、前記七つの実施形態では、取付部12と雌ねじ穴形成部14とが、それぞれ合成樹脂材料にて構成されていたが、それらのうち、何れか一方、若しくは両方を金属材料にて構成しても良い。但し、雌ねじ穴形成部14の延出部位24に対して樹脂成形体としての衝撃吸収構造体62,74を一体的に設ける場合には、かかる衝撃吸収構造体62,74が合成樹脂材料にて構成されていなければならないことは、言うまでもないところである。
【0108】
また、前記七つの実施形態では、雌ねじ穴形成部14が、全体として、円柱形状を有して構成されていたが、この雌ねじ穴形成部14の形状も、決してこれに限定されるものではなく、挿入される取付部12の貫通孔16の形状に応じて、円筒形状や角柱乃至は角筒形状等が、適宜に選択され得るのである。
【0109】
加えて、前記七つの実施形態では、自動車の車体にアシストグリップを取り付けるのに使用される衝撃吸収ブラケットに対して、本発明を適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、インストルメンタルパネルやワイパピボット、バンパ等、自動車の衝突事故発生時等に乗員や歩行者との接触が危惧される自動車用部品を自動車の車体に取り付ける衝撃吸収ブラケットや、自動車の車体以外の支持体に対して、所定の部品を、衝撃吸収が図られ得る状態で取り付ける、各種の衝撃吸収ブラケットの何れに対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0110】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0111】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に従う衝撃吸収ブラケットにあっては、限られた取付スペース内に取り付けられる場合にあっても、所望の衝撃吸収性能が有利に確保され得るのであり、その結果として、取付スペースの大きさに拘わらず、所望の衝撃吸収性能が、常に安定的に発揮され得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う構造を有する衝撃吸収ブラケットの一例を示す、正面説明図である。
【図2】図1における上面説明図である。
【図3】図1における下面説明図である。
【図4】図2におけるA−A断面説明図である。
【図5】図1に示された衝撃吸収ブラケットの使用状態の一例を示す説明図であって、車体への取付状態を示している。
【図6】図1に示された衝撃吸収ブラケットの使用状態の別の例を示す説明図であって、衝撃が入力せしめられた際の状態を示している。
【図7】本発明に従う衝撃吸収ブラケットの別の例を示すものであって、図1に示された衝撃吸収ブラケットとは構造の異なる別の突出部を有する衝撃吸収ブラケットの図1に対応する図である。
【図8】図7における上面説明図である。
【図9】本発明に従う衝撃吸収ブラケットの更に別の例を示すものであって、図1に示された衝撃吸収ブラケットとは構造の異なる更に別の突出部を有する衝撃吸収ブラケットの図1に対応する図である。
【図10】図9における上面説明図である。
【図11】本発明に従う衝撃吸収ブラケットの他の例を示すものであって、図1に示された衝撃吸収ブラケットとは構造の異なる他の突出部を有する衝撃吸収ブラケットの図1に対応する図である。
【図12】図11における上面説明図である。
【図13】本発明に従う衝撃吸収ブラケットの更に他の例を示すものであって、図1に示された衝撃吸収ブラケットとは構造の異なる更に他の突出部を有する衝撃吸収ブラケットの図1に対応する図である。
【図14】図13における上面説明図である。
【図15】本発明に従う衝撃吸収ブラケットの別の例を示すものであって、図1に示された衝撃吸収ブラケットとは構造の異なる別の突出部を有する衝撃吸収ブラケットの図1に対応する図である。
【図16】図15における上面説明図である。
【図17】本発明に従う衝撃吸収ブラケットの更に別の例を示すものであって、突出部の代わりに樹脂成形体を有する衝撃吸収ブラケットの図1に対応する図である。
【図18】図17における上面説明図である。
【図19】図18におけるB−B断面説明図である。
【図20】本発明に従う衝撃吸収ブラケットの他の例を示すものであって、図17に示された衝撃吸収ブラケットとは構造の異なる別の樹脂成形体を有する衝撃吸収ブラケットの図1に対応する図である。
【図21】図20における上面説明図である。
【図22】図20のC−C断面における要部拡大説明図である。
【図23】図21におけるD−D断面説明図である。
【符号の説明】
10,60 衝撃吸収ブラケット 12 取付部
14 雌ねじ穴形成部 16 貫通孔
22 挿通部位 24 延出部位
30 雌ねじ穴 32 円環状リブ
36 インナパネル 38 内装パネル
44 アシストグリップ 46 ビス
48,50 円弧状リブ 52 螺旋状リブ
54 屈曲リブ 56 突起
62,74 衝撃吸収構造体 64,76 側壁
66 角部 78 V溝

Claims (11)

  1. 所定の支持体に取り付けられる取付部と、雌ねじ穴を備えた雌ねじ穴形成部とを有し、該取付部において該支持体に取り付けられることにより、該支持体に対して、雄ねじ部を有する部材を固定するための雌ねじ穴を、該雌ねじ穴形成部の雌ねじ穴にて形成せしめると共に、該支持体への取付状態下で、外部からの衝撃の入力により変形せしめられることによって、該衝撃を吸収せしめ得るように構成された衝撃吸収ブラケットにして、
    前記取付部が、前記支持体への取付状態下で前記衝撃の入力方向に延びる貫通孔を有する一方、前記雌ねじ穴形成部が、該貫通孔に挿通可能な筒状乃至は柱状形態を呈すると共に、該雌ねじ穴形成部が、該取付部の該支持体への取付状態下において、一部の部位を該衝撃入力方向とは反対方向に向かって延出せしめるように、該取付部の貫通孔内に挿入されて、該雌ねじ穴形成部に前記衝撃が入力せしめられた際に、該雌ねじ穴形成部の該衝撃入力方向とは反対方向への延出部位が、該衝撃の入力により、該取付部の貫通孔内を該衝撃入力方向に移動せしめられるように構成され、更に、かかる延出部位の外周面に対して、突出部が一体的に設けられて、前記衝撃入力による雌ねじ穴形成部の延出部位の移動に伴って、該突出部が、前記取付部の貫通孔の開口周縁部に接触せしめられて変形乃至は破壊せしめられることにより、該衝撃が吸収せしめられるように構成したことを特徴とする衝撃吸収ブラケット。
  2. 前記突出部が、前記雌ねじ穴形成部の延出部位の外周面に対して、その周方向に延び、且つその軸方向に隣り合って位置するように立設された薄肉板状のリブの複数にて構成されて、前記衝撃入力による該雌ねじ穴形成部の延出部位の移動に伴って、該複数のリブが、該延出部位の移動方向の前方に位置するものから順に、前記取付部の貫通孔の開口周縁部に接触せしめられて、変形乃至は破壊せしめられるようになっている請求項1に記載の衝撃吸収ブラケット。
  3. 前記複数のリブのそれぞれが、前記雌ねじ穴形成部の延出部位に対して、その周方向の全周に連続して延びるように立設された、円環板形状を呈する円環状リブにて構成されている請求項2に記載の衝撃吸収ブラケット。
  4. 前記複数のリブのそれぞれが、前記雌ねじ穴形成部の延出部位に対して、その周方向において断続的に延びるように立設された、円環板の一部分を与える円弧板形状を呈する円弧状リブにて構成されている請求項2に記載の衝撃吸収ブラケット。
  5. 前記複数の円弧状リブのうち、前記雌ねじ穴形成部の延出部位の周方向に隣り合うもの同士の一部若しくは全部が、前記雌ねじ穴形成部の延出部位における軸方向の異なる位置に立設せしめられている請求項4に記載の衝撃吸収ブラケット。
  6. 前記突出部が、前記雌ねじ穴形成部の延出部位の外周面に対して、その軸方向に連続して若しくは不連続に延びるように立設された、少なくとも一つの薄肉板状のリブにて構成されて、前記衝撃入力による該雌ねじ穴形成部の延出部位の移動に伴って、該リブが、該延出部位の移動方向の前方に位置する部分から順に、前記取付部の貫通孔の開口周縁部に接触せしめられて、徐々に変形乃至は破壊せしめられるようになっている請求項1に記載の衝撃吸収ブラケット。
  7. 前記リブが、前記雌ねじ穴形成部の延出部位の外周面に対して、その軸方向に螺旋を描きながら延びるように立設された螺旋状リブにて構成されている請求項6に記載の衝撃吸収ブラケット。
  8. 前記リブが、前記雌ねじ穴形成部の延出部位の外周面に対して、その軸方向にジグザグに又は蛇行しながら屈曲して延びるように立設された屈曲リブにて構成されている請求項6に記載の衝撃吸収ブラケット。
  9. 前記突出部が、前記雌ねじ穴形成部の延出部位の外周面に対して、点在するように独立して突設された突起の複数にて構成されて、前記衝撃入力による該雌ねじ穴形成部の延出部位の移動に伴って、該複数の突起が、該延出部位の移動方向の前方に位置するものから順に、前記取付部の貫通孔の開口周縁部に接触せしめられて、変形乃至は破壊せしめられるようになっている請求項1に記載の衝撃吸収ブラケット。
  10. 所定の支持体に取り付けられる取付部と、雌ねじ穴を備えた雌ねじ穴形成部とを有し、該取付部において該支持体に取り付けられることにより、該支持体に対して、雄ねじ部を有する部材を固定するための雌ねじ穴を、該雌ねじ穴形成部の雌ねじ穴にて形成せしめると共に、該支持体への取付状態下で、外部からの衝撃の入力により変形せしめられることによって、該衝撃を吸収せしめ得るように構成された衝撃吸収ブラケットにして、
    前記取付部が、前記支持体への取付状態下で前記衝撃の入力方向に延びる貫通孔を有する一方、前記雌ねじ穴形成部が、該貫通孔に挿入可能な筒状乃至は柱状形態を呈すると共に、該雌ねじ穴形成部が、該取付部の該支持体への取付状態下において、一部の部位を該衝撃入力方向とは反対方向に向かって延出せしめるように、該取付部の貫通孔内に挿入されて、該雌ねじ穴形成部に前記衝撃が入力せしめられた際に、該雌ねじ穴形成部の該衝撃入力方向とは反対方向への延出部位が、該衝撃の入力により、該取付部の貫通孔内を該衝撃入力方向に移動せしめられるように構成され、更に、前記衝撃の入力方向に延びるように立設せしめられ、該衝撃入力による該延出部位の移動に伴って、前記取付部の貫通孔の開口周縁部に接触せしめられて変形せしめられることにより、該衝撃を吸収する側壁を備えた筒状部を有する樹脂成形体が、該雌ねじ穴形成部の延出部位に対して一体的に設けられると共に、該筒状部の側壁に、該衝撃入力による移動時に生ずる応力集中により容易に裂開せしめられる易裂開部位が形成されていることを特徴とする衝撃吸収ブラケット。
  11. 前記取付部の貫通孔の内周面が、前記衝撃入力方向に沿って次第に大径化するテーパ筒形状とされる一方、該取付部の前記支持体への取付状態下において、前記雌ねじ穴形成部の該貫通孔に挿入せしめられる部位の外周面が、該貫通孔の内周面に対応したテーパ筒形状とされて、かかる雌ねじ穴形成部の該貫通孔への挿入部位が、該貫通孔に対して挿入された状態で、テーパ嵌合せしめられるようになっている請求項1乃至請求項10の何れかに記載の衝撃吸収ブラケット。
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