JP3714197B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技に関与する図柄を可変表示しうる表示装置を備えたパチンコ機等の遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、遊技機の一種として、複数種類の図柄(数字図柄)等を、予め定められた配列で変動表示するための可変表示装置を備えたパチンコ機が知られている。
【0003】
この種のパチンコ機では、表示装置での変動表示停止時の表示図柄(停止図柄)に応じて、リーチ状態を経た後に遊技者に有利な状態となる「特別遊技状態」、リーチ状態を経た後に特別遊技状態とはならない「外れリーチ状態」、又は、リーチ状態を経ず、かつ、特別遊技状態ともならない「外れ状態」が発生させられる。停止図柄には、特別遊技状態を発生させるための特別遊技図柄、外れリーチを発生させるための外れリーチ図柄、及び、外れ状態を発生させるための外れ図柄がある。
【0004】
前記のようなパチンコ機では、遊技者の操作に応じて変化する遊技状況が、所定の条件を満たすこと(例えば、遊技球が作動口に入賞すること等)に基づいて、表示装置において、図柄の変動表示が開始される。また、上記特別遊技図柄(大当たり図柄)、外れリーチ図柄、及び、外れ図柄の中から、遊技状況に応じた停止図柄が選択される。そして、その選択された停止図柄で前記変動表示が停止させられる。この場合、停止図柄が予め定められた特定の図柄(例えば「7」「7」「7」等の大当たり図柄)であることを必要条件に、上述した特別遊技状態が発生させられる。より詳しくは、大入賞口が所定時間開放され、その開放時において、当該大入賞口に遊技球を入賞させることにより、遊技者に対し多くの景品球が払い出される。
【0005】
ところで、近年、液晶ディスプレイ等を用いて、カラフルな識別図柄を表示制御を行うことで、遊技者にとっての興趣の向上が図られるようになってきている。より詳しくは、上記数字図柄のみならず、あたかもその奥側に背景(景色)が存在するかの如く背景図柄が表示されるものも知られるようになってきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、変動表示制御される数字図柄(大当たり図柄等を構成しうる)に比べて、背景図柄は、停止表示されるだけであるか、せいぜい数字図柄等の変動に対応して、景色が移りゆくかの如く一定速度でゆっくりと一斉にスクロール表示されるだけにすぎなかった。そのため、背景図柄の存在は、単にきれいであるという印象を遊技者に与えるにすぎず、興趣の飛躍的な向上を図るという点で未だ十分なものとはいえなかった。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、遊技に関与する図柄を可変表示しうる表示装置を備えたパチンコ機等の遊技機において、興趣の飛躍的な向上を図ることのできる遊技機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために有効な手段を以下に示す。なお、必要に応じてその作用等についても説明する。
【0009】
手段1.遊技に関与する図柄を可変表示しうる表示装置を備えた遊技機であって、前記表示装置を、複数のレイヤに表示制御される別個の図柄を重ね合わせることにより、完成された図柄を表示しうるようにし、かつ、前記図柄のうち背景図柄を複数に分断表示するべく、前記レイヤのうち背景図柄に関するレイヤを、当該複数に分断された背景図柄に対応する複数のレイヤによって構成するとともに、少なくとも1つの背景図柄が、他の背景図柄とは異なる速度で変動表示制御されるようにしたことをその要旨としている。
【0010】
上記手段1によれば、遊技機の表示装置には、遊技に関与する図柄が可変表示されうる。該表示装置においては、複数のレイヤに表示制御される別個の図柄が重ね合わされることにより、完成された図柄が表示されうる。また、レイヤのうち背景図柄に関するレイヤが、複数に分断された背景図柄に対応する複数のレイヤによって構成されることにより、図柄のうち背景図柄が複数に分断表示される。さらに、少なくとも1つの背景図柄が、他の背景図柄とは異なる速度で変動表示制御される。従って、背景図柄が、今までにはない挙動を呈することとなり、遊技者は新たな驚きを覚える。
【0011】
手段2.上記手段1において、前記レイヤにより表示制御される図柄の少なくとも1つは、遊技者にとって利益となる特別遊技状態を発生させるか否かを決定づけるべく変動表示されうる特別図柄であることを特徴とする遊技機。
【0012】
手段3.遊技に関与する図柄を可変表示しうる表示装置を備えた遊技機であって、前記表示装置は、背景図柄を部位によって異なった速度で変動しているかの如く表示させる背景変動表示手段と、遊技者にとって利益となる特別遊技状態を発生させるか否かを決定づけるべく変動表示されうる特別図柄変動表示手段とを備えていることを特徴とする遊技機。上記手段によれば、背景図柄が部位によって異なった速度で変動しているかの如く表示されるため、背景図柄が、今までにはない挙動を呈することとなり、遊技者は新たな驚きを覚える。
【0013】
手段4.上記手段3において、前記背景変動表示手段は、背景図柄を複数に分断し、分断された少なくとも1つを他とは異なった速度で変動しているかの如く表示させるものであることを特徴とする遊技機。
【0014】
手段5.上記手段2〜4のいずれかにおいて、前記特別図柄は、前記背景図柄よりも優先的に表示されるものであることを特徴とする遊技機。
【0015】
手段6.上記手段2〜5のいずれかにおいて、前記背景図柄の変動方向は、前記特別図柄の変動方向とは逆方向であることを特徴とする遊技機。上記手段によれば、背景図柄に基づき表示される背景を特別図柄が高速で移動するかの如く表示されるため、変動にスピード感が付与され、特に背景図柄と特別図柄とが関連づけられている場合には、変動表示が意味あるものとなり、その関連性が一層強められる。
【0016】
手段7.上記手段2〜6のいずれかにおいて、前記特別図柄は、キャラクタ図柄を含んでおり、該キャラクタ図柄は変動方向に向かって移動動作を行っているかの如く表示されるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0017】
手段8.上記手段2〜7のいずれかにおいて、前記特別図柄の非変動時においても、前記背景図柄の少なくとも一部は変動表示されることを特徴とする遊技機。
【0018】
手段9.上記手段2〜8のいずれかにおいて、前記特別図柄の変動速度が変更された場合、それに対応して前記背景図柄の一部の変動速度が変更されるようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、特別図柄と背景図柄との関連性及び一体感がより一層強められ、さらなる興趣の向上が図られる。
【0019】
手段10.上記手段1〜9のいずれかにおいて、手前側に見える背景図柄が奥側に見える背景図柄よりも高速で変動表示されるようにしたことを特徴とする遊技機。上記手段によれば、変動表示される背景図柄に関しさらに遠近感が付与されるとともに、より一層リアリティが増す。
【0020】
手段11.上記手段1〜10のいずれかにおいて、前記背景図柄は、渾然一体をなし、全体として1つの背景が表現されているかの如く表示されることを特徴とする遊技機。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を具体化した一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1に示すように、パチンコ機1の遊技盤2には、作動口3及び大入賞口4が設けられている。作動口3は、遊技球5の通路を備えており、その通路入口には羽根6が開閉可能に支持されている。大入賞口4の奥の右側にはVゾーンが、左側には入賞通路が設けられている(図示略。また、左右逆でもよい)。そして、大入賞口4に入賞した遊技球5は、Vゾーン又は入賞通路のいずれか一方を通って図示しない入賞球処理装置の方へと導かれる。また、大入賞口4の前には、シャッタ11が設けられている。このシャッタ11は、大入賞口4の側部に設けられた大入賞口用ソレノイド12により作動させられ、大入賞口4を開閉する。詳しくは、当該ソレノイド12が励磁状態となることにより、シャッタ11が略水平に傾き、これにより大入賞口4が開かれる。また、ソレノイド12が非励磁状態となることにより、シャッタ11が略垂直状態となり、これにより大入賞口4は閉鎖される。
【0023】
遊技盤2の中央部分には、特別図柄表示装置(以下、単に「表示装置」という)13が組込まれている。表示装置13は、液晶ディスプレイ(LCD)よりなる表示部13aを備えており、ここに複数の特別図柄列が表示される。図2に示すように、本実施の形態では、これらの図柄列として上図柄列14、中図柄列15及び下図柄列16の3つの図柄列が表示されるが、それ以外の数の図柄列が表示されてもよい。なお、前記表示部13aには、背景画面等が適宜表示されるようになっている。
【0024】
各特別図柄列14〜16は、基本的には、図2,3に示すように、複数種類で複数個の図柄17A〜17Hと、1種類で複数個の図柄17Kとによって構成されている。各図柄17A〜17Hは、各種「犬」の絵図柄DG1〜DG8と、「1」〜「8」の数字図柄N1〜N8との組合せによって構成されている。「1」〜「8」の数字は、上図柄列14については降順に、中、下図柄列15,16については昇順にそれぞれ配列されている。より詳しくは、図柄17Aは「1」の数字図柄N1及び「ドーベルマン」の絵図柄DG1の組み合わせによって構成されている。また、図柄17Bは「2」の数字図柄N2及び「ダックスフンド」の絵図柄DG2、図柄17Cは「3」の数字図柄N3及び「プードル」の絵図柄DG3、図柄17Dは「4」の数字図柄N4及び「オールドシープドッグ」の絵図柄DG4、図柄17Eは「5」の数字図柄N5及び「土佐犬」の絵図柄DG5、図柄17Fは「6」の数字図柄N6及び「テリア」の絵図柄DG6、図柄17Gは「7」の数字図柄N7及び「ブルドッグ」の絵図柄DG7、図柄17Hは「8」の数字図柄N8及び「セントバーナード」の絵図柄DG8の組み合わせによって、それぞれ構成されている。これらの図柄17A〜17Hは、特別遊技図柄としての大当たり図柄、外れリーチ図柄及び外れ図柄のいずれかになりうる(これらについては後述する)とともに、大当たり状態発生の有無を決定づけるための特別図柄を構成する。
【0025】
また、図柄17Kは「ハート」のマークによって構成されており、前記図柄17A〜17H間に配置される。さらに、当該図柄17Kは、外れ図柄にのみなりうる。
【0026】
図4に示すように、各々の図柄列14〜16においては、あたかも草原(背景図柄:これについても後述する)よりも手前側において表示される図柄17A〜17H,17Kが、右から左方向へと駆け抜けるかのごとく表示される。
【0027】
表示装置13の表示部13aでは、各図柄列14〜16の図柄変動(回転変動)が、遊技球5の作動口3への入賞に基づいて開始させられる。また、大当たり図柄、外れリーチ図柄、外れ図柄の中から1つが選択され、これが停止図柄として設定される。停止図柄とは、各図柄列14〜16が図柄変動を停止したときに表示される図柄である。本実施の形態では、図柄変動は、上図柄列14、下図柄列16、中図柄列15の順に停止させられるが、これはあくまでも1例にすぎず、別の順序で停止させられるようにしてもよい。なお、下図柄列16については、停止に際して、一時的にそれまでよりも高速で変動して急激に停止表示させられる場合がある(いわゆる「すべり」と称される)。
【0028】
図5,6は、表示部13aにおける大当たり時の画面を示す図である。同図に示すように、大当たり図柄は、リーチ遊技状態(リーチ状態)を経た後、遊技者に有利な特別遊技状態としての大当たり状態を発生させるための図柄である。詳しくは、全ての図柄列14〜16の変動が停止させられたとき、表示されている図柄17A〜17Hの組合せが、予め定められた大当たりの組合せ、すなわち、同一種類の図柄17A〜17Hが大当たりラインL1〜L5に沿って並んでいるときの同図柄17A〜17Hの組合せとなる場合がある。この組合せを構成する図柄が「大当たり図柄」である。
【0029】
本実施の形態では、左右の縦ラインL1,L2(図5(a),(b)参照)、中央の縦ラインL3(図6(a)参照)、及び斜めの2本のラインL4,L5(図6(b)参照)によって大当たりラインLが構成されている(5ラインと称される)。大当たりの組合せが成立すると、特別電動役物が作動し(大入賞口4が開かれ)、遊技者にとって有利な大当たり状態の到来、すなわち、より多くの景品球を獲得することが可能となる。
【0030】
また、図7(a)〜(d)に示すように、リーチ状態とは、大当たり直前の状態をいう(もちろん大当たり状態に至らない場合もある)。リーチ状態には、下図柄列16の図柄変動が、大当たりラインL1〜L5上において上図柄列14の停止図柄と同一種類の図柄で停止する状態が含まれる。例えば図7(a)に示す例では、大当たりラインL1上において、上図柄列14及び下図柄列16が同一の図柄17Aで停止しており、中図柄列15の図柄17A〜17H,17Kが未だ変動中の状態を示している。この場合において、中図柄列15の大当たりラインL1上における停止図柄が図柄17Aであることを必要条件に、大当たり状態が発生させられる。
【0031】
上記のリーチ状態には、中図柄列15の図柄変動が、最終的に上・下両図柄列14,16の停止図柄と同一種類の図柄(大当たり図柄)で停止して大当たり状態になるもの以外にも、異なる種類の図柄(これを「外れリーチ図柄」という)で停止して、大当たり状態とならないもの(以下、「外れリーチ状態」という)が含まれる。さらには、中図柄列15の図柄変動が一旦停止した後、再度全図柄列(或いは一部の図柄列)が変動し、その後全図柄列14〜16の図柄17A〜17H,17Kが停止するような場合(再変動リーチとも称される)も含まれる。
【0032】
上記リーチ状態においては、種々のリーチパターンが設定されている。リーチパターンとしては、中図柄列15の図柄17A〜17H,17Kが単にスクロールする「ノーマルリーチ」の外に、図5に示すように、キャラクタとしてどろぼうが表示される「どろぼうリーチ(図7(a)参照)」、川及び丸太が表示される「丸太リーチ(図7(b)参照)」、背景画面に氷が表示される「氷リーチ(図7(c)参照)」、キャラクタとして女の子が表示される「女の子リーチ(図7(d)参照)」等が設定されている。これらリーチパターンのうち、「ノーマルリーチ」以外のリーチパターンは、いわゆる「スーパーリーチ」と称されるものである。「スーパーリーチ」の動作が開始された場合には、「ノーマルリーチ」の場合に比べて、大当たり状態が発生する期待値(大当たり期待値)が高くなるようになっている。また、「スーパーリーチ」においても、各リーチパターンによって大当たり期待値が異なったものとなっている(例えば、「どろぼうリーチ」よりも「女の子リーチ」の方が大当たり期待値は高い)。
【0033】
遊技球5の作動口3への入賞に基づいて各図柄列14〜16の図柄変動が開始させられることはすでに説明したが、この変動表示中にさらに遊技球5が作動口3に入賞した場合には、その分の変動表示は、現在行われている変動表示の終了後に行われる。つまり、変動表示が待機(保留)される。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められている。本実施の形態では保留最大回数が4回に設定されているが、これに限られるものではない。
【0034】
図1に示すように、表示装置13において、表示部13aの上方には、発光ダイオード(LED)からなる保留ランプ18a,18b,18c,18dが組み込まれている。保留ランプ18a〜18dの数は、前述した保留最大回数と同じ(この場合4個)である。保留ランプ18a〜18dは、変動表示の保留毎に点灯させられ、その保留に対応した変動表示の実行に伴い消灯させられる。このほかにも、パチンコ機1の複数箇所には、遊技効果を高めるための各種ランプが取付けられている。これらのランプは、遊技の進行に応じて点灯状態(消灯、点灯、点滅等)が変えられる。さらに、パチンコ機1には、遊技の進行に応じて効果音を発生する図示しないスピーカが設けられている。
【0035】
遊技者の操作に応じて変化するパチンコ機1の遊技状態を検出するべく、本実施の形態では、遊技盤2には、作動口用スイッチ21、Vゾーン用スイッチ22及びカウントスイッチ23等がそれぞれ取付けられている。作動口用スイッチ21は、遊技球5の作動口3への入賞を検出し、Vゾーン用スイッチ22は遊技球5の大入賞口4のうちのVゾーンへの入賞を検出し、カウントスイッチ23は、遊技球5の大入賞口4への入賞を検出する。
【0036】
本実施の形態では、各スイッチ21〜23の検出結果に基づき大入賞口用ソレノイド12、表示装置13(表示部13a)、各保留ランプ18a〜18d、スピーカ等をそれぞれ駆動制御するために制御装置24が設けられている。制御装置24は、図9に示すように、主基板61及び表示装置制御基板62等を備えている。主基板61はパチンコ機1の裏側の図示しない基板ボックス内に封印された状態で装着されている。また、表示装置制御基板62は、前記特別図柄表示装置13に組み込まれている。
【0037】
制御装置24の主基板61は、演算手段である中央処理装置(CPU)と、各種制御プログラム等を記憶した読み出し専用メモリ(ROM)と、各種データ等を記憶するためのランダムアクセスメモリ(RAM)とを備えている(いずれも図示略)。RAMには、コマンドバッファとコマンドカウンタとが設けられている。コマンドバッファは、制御データを一時的に記憶するためのバッファである。コマンドバッファの制御データは、所定の契機に基づいて実行される表示データ作成処理によって更新され、タイマ割込処理によって、表示装置制御基板62、ひいては表示部13aへと出力(送信)される。コマンドカウンタは、タイマ割込処理によって表示装置制御基板62へ送信される制御データの番号を示すカウンタである。コマンドバッファに書き込まれた制御データは、1回のタイマ割込処理により1バイトずつ表示装置制御基板62へ送信されるが、その送信される制御データの番号を示すものがコマンドカウンタである。
【0038】
また、RAMは、大当たりの発生を決定するための乱数カウンタをも備えている。この乱数カウンタは、乱数更新処理により、所定(例えば「0」〜「199」)の範囲で、例えば2ms毎に、1カウントずつ更新される。本実施の形態では、乱数カウンタの値が例えば「7」であるときに、遊技球5が作動口3に入賞し、それが作動口用スイッチ21にて検出される(保留最大回数時は除く)ことに基づいて、前記大当たり状態が発生させられるようになっている。
【0039】
これらのCPU、ROM、RAMは、バスラインを介して互いに接続されている。バスラインは、また、主基板61の入出力ポート(図示略)にも接続されている。この入出力ポートは、コネクタ及びケーブルを介して、表示装置制御基板62の画像コントローラ74の入出力ポート75や他の入出力装置と接続されている。また、もちろん主基板61の入出力ポートは、コネクタを介して、前記作動口スイッチ21等に接続されている。すなわち、制御装置24の主基板61は、作動口スイッチ21等から入出力ポートを介して入力される入賞信号等に基づいて、入出力ポートを介して表示装置制御基板62や他の入出力装置(他の基板を含む)へ、制御データ等の各種の動作コマンドを送って、各装置を制御するのである。
【0040】
また、表示装置制御基板62は、上述した表示部13aに加えて、CPU63と、プログラムROM64と、ワークRAM65と、ビデオRAM66〜72と、キャラクタROM73と、入出力ポート75を内蔵してなる画像コントローラ74とを備えている。表示装置制御基板62のCPU63は、主基板61から送信される制御データに応じて、表示部13aの表示を制御するものであり、プログラムROM64には、このCPU63により実行されるプログラムが記憶されている。ワークRAM65には、CPU63によるプログラムの実行時に使用されるワークデータが記憶されている。
【0041】
また、ビデオRAM66〜72は、表示部13aに表示されるデータを記憶するメモリであり、このビデオRAM66の内容を書き換えることにより、表示部13aの表示内容が変更される。さらに、キャラクタROM67は、表示部13aに表示される図柄17A〜17H,17K、背景、キャラクタなどの各データを記憶するメモリである。画像コントローラ74は、CPU63、ビデオRAM66〜72、入出力ポート75のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM66〜72に記憶される表示データを、キャラクタROM73を参照して所定のタイミングで表示部13aに表示させるものである。
【0042】
次に、本実施の形態の特徴的部分について説明する。図9は表示装置13の複数のレイヤLY1〜LY5,LYD,LYNに表示される図柄の態様を示す原理図である。同図に示すように、表示装置13の表示部13aに表示される図柄は、複数(図示した例では7枚)のレイヤLY1〜LY5,LYD,LYNに別個の図柄が表示制御されてそれらを重ね透かし合わせることにより1画面として表示制御されるようになっている。実際には、図8のブロック図に示すように、レイヤLY1〜LY5,LYD,LYNに対応するビデオRAM66〜72に、1画面分のカラー画像がそれぞれ保持されるようになっている。また、ビデオRAM66〜72に保持される画像の表示データは、前記キャラクタROM73に記憶されており、キャラクタROM73から画像コントローラ74によって取り込まれた画像表示データが一旦ビデオRAM66〜72に保持された後、スキャンデータ信号に変換されて順次出力され、そのデータ出力信号に基づいて色、輝度等が制御されて所定の図柄が表示される。
【0043】
但し、本実施の形態では、優先順位の上位のビデオRAMに保持されている画像が下位のビデオRAMに保持されている画像に優先して表示されるように制御される。具体的には、第5の背景レイヤLY5に対応するビデオRAM66が最下位であり、以下、第4の背景レイヤLY4に対応するビデオRAM67、第3の背景レイヤLY3に対応するビデオRAM68、第2の背景レイヤLY2に対応するビデオRAM69、第1の背景レイヤLY1に対応するビデオRAM70、絵図柄レイヤLYDに対応するビデオRAM71、数字図柄レイヤLYNに対応するビデオRAM72の順に優先順位が上位となるように予め設定されている。さらに、画像コントローラ74に接続された主基板61からの信号によって、上記図柄17A〜17H,17Kの変動・停止制御のみならず、第1〜第5の背景レイヤLY1〜LY5によって構成される背景レイヤLYの変動制御も行われるようになっている。
【0044】
すなわち、本実施の形態では、優先順位の最下位のレイヤたる第5の背景レイヤLY5には、雲を含む空の背景図柄が最上部に表示制御され、次に優先順位の低い第4の背景レイヤLY4には、木及び建造物の背景図柄が中上部に表示制御され、次に優先順位の低い第3の背景レイヤLY3には、道路及び草原の一部の背景図柄が中央部に表示制御され、次に優先順位の低い第2の背景レイヤLY2には、草原の一部の背景図柄が中下部に表示制御され、次に優先順位の低い第1の背景レイヤLY1には、草原の一部の背景図柄が最下部に表示制御される。そして、全体として背景レイヤLYが渾然一体をなし、例えば図11(a)〜(c)に示すように、全体として1つの背景が表現されているかの如く変動表示される。さらに、絵図柄レイヤLYDには、前記絵図柄DG1〜DG8が、数字図柄レイヤLYNには、前記数字図柄N1〜N8が表示制御される。
【0045】
ここで、上記図柄17A〜17H,17Kの非変動時においては、第5の背景レイヤLY5、つまり雲を含む空の背景図柄のみが変動しているかの如く表示される。これにより、雲が風によって流れてゆくかの如くのどかな風景が演出表示されることとなる。
【0046】
また、上記図柄17A〜17H,17Kの変動時においては、第1〜第5のレイヤLY1〜LY5、つまり、雲のみならず、木、建造物、道路、草原等の風景を構成する背景表示対象が、図柄17A〜17H,17K(特に絵図柄DG1〜DG8)の変動に合わせて変動表示制御される。このとき、上記図柄17A〜17H,17Kの通常の変動時には、最下部の第1の背景レイヤLY1に表示制御される最も手前側の草原の一部の背景図柄が、最高速度で変動表示される。また、中下部の第2の背景レイヤLY2に表示制御される次に手前側の草原の一部の背景図柄、中央部の第3の背景レイヤLY3に表示制御される次に手前側の道路及び草原の一部の背景図柄、中上部の第4の背景レイヤLY4に表示制御される比較的奥側の木及び建造物の背景図柄の順に、変動速度が遅くなるようにして変動表示される。なお、最上部の第5の背景レイヤLY5に表示制御される雲及び空の背景図柄は、図柄17A〜17H,17Kの停止時と同様の速度で変動表示される(但し、当該速度は任意である)。
【0047】
また、第1〜第4の背景レイヤLY1〜LY4に表示制御される背景図柄は、図柄17A〜17H,17Kの変動停止とともに、停止表示される。より詳しくは、上図柄列14の図柄17A〜17H,17Kの変動停止に伴い、第3、第4の背景レイヤLY3,LY4に表示制御される背景図柄が停止表示され、下図柄列16の図柄17A〜17H,17Kの変動停止に伴い、第1、第2の背景レイヤLY1,LY2に表示制御される背景図柄が停止表示される。さらに、上述した下図柄列16についての「すべり停止」に際しては、第1、第2の背景レイヤLY1,LY2に表示制御される背景図柄も、図柄17A〜17H,17Kと同様に、一時的に高速で変動して急激に停止表示させられる。
【0048】
次に、上記のように構成されてなる本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0049】
上述のとおり、本実施の形態では、背景図柄が部位によって異なった速度で変動しているかの如く表示されるため、単調に全ての背景図柄が一定速度で変動表示されるにすぎなかった従来技術とは異なり、今までにはない挙動を呈することとなり、遊技者は新たな驚きを覚え、興趣の向上が図られる。特に、本実施の形態では、草原を主体とした風景が表示されるのであるが、この場合、最も近い側の草原に該当する第1の背景レイヤLY1に表示制御される(最下部の)背景図柄が最も早い速度で変動するとともに、遠くなるにつれて分断された背景図柄の変動速度が徐々に遅いものとなる。このため、変動表示される背景図柄に関し、さらに遠近感が付与されるとともに、より一層リアリティが増す。
【0050】
さらに、前記背景図柄は、渾然一体をなし、全体として1つの背景が表現されているかの如く表示される。従って、背景レイヤLY1〜LY5にて背景図柄を分断表示しているものの、見る者にとっては何らの違和感なく表示を視認することができる。
【0051】
併せて、本実施の形態では、大当たり状態を決定づけるための図柄17A〜17H,17Kを背景図柄に優先して表示することとした。従って、背景図柄に気をとられすぎてしまうことなく、図柄17A〜17H,17Kの変動・停止といった遊技の根幹をなす挙動に注意を払うことができる。
【0052】
加えて、本実施の形態では、前記背景図柄の変動方向は、前記図柄17A〜17H,17Kの変動方向とは逆方向である。従って、背景図柄に基づき表示される草原を、図柄17A〜17H,17Kが駆け抜けるかの如く表示される。そのため、従来に増して、変動表示についての面白味が増す。特に、本実施の形態では、図柄17A〜17Hを構成する因子として、犬の絵(キャラクタ)図柄DG1〜DG8を採用したため、背景図柄と当該絵図柄DG1〜DG8が関連づけられる。このため、上記のように変動方向を逆にしたことがより一層有意義なものとなり、その関連性が一層強められ、面白味に拍車がかけられる。
【0053】
さらにまた、本実施の形態では、図柄17A〜17H,17Kの非変動時においても、前記背景図柄の少なくとも一部(最上部の第5の背景レイヤLY5に表示制御される雲及び空の背景図柄)は変動表示される。従って、図柄17A〜17H,17Kの非変動時においても、遊技者は、当該雲等(草原等は変動しない)の挙動を視認、堪能することができる。
【0054】
併せて、本実施の形態では、下図柄列16についての「すべり停止」に際しては、第1、第2の背景レイヤLY1,LY2に表示制御される背景図柄も、図柄17A〜17H,17Kと同様に、一時的に高速で変動して急激に停止表示させられる。換言すれば、図柄17A〜17H,17Kの変動速度が変更された場合、それに対応して背景図柄の一部の変動速度も変更される。従って、図柄17A〜17H,17Kと背景図柄との一体感がより一層強められ、さらなる興趣の向上を図ることができる。
【0055】
尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0056】
(a)上記実施の形態では、草原等の背景図柄を表示部13aに表示することとしたが、海の中や、宇宙、空、家の中等いかなる背景図柄を表示することとしてもよい。
【0057】
(b)上記実施の形態では、縦方向に背景図柄を5段階に分断することとしたが、横方向や斜め方向、或いは曲線的に分断してもよいし、4段階以下、或いは6段階以上に分断してもよい。
【0058】
(c)上記実施の形態では、図柄17A〜17Hとして、絵(キャラクタ)図柄DG1〜DG8及び数字図柄N1〜N8の組み合わせを採用することとしたが、絵図柄のみとしてもよいし、数字図柄のみとしてもよい。また、他の絵図柄の組み合わせ等、実施の形態以外の図柄因子同士を組み合わせてもよい。さらに、3種以上の図柄因子同士を組み合わせてもよい。
【0059】
(d)上記実施の形態では、「すべり停止」を行うこととしたが、かかる停止を省略してもよい。
【0060】
(e)上記実施の形態では特に言及しなかったが、時期、所定の契機等に応じて、分断される背景図柄の比率を変更することとしてもよい。例えば、図柄17A〜17H,17Kの変動時においては、草原の面積が非変動時に比べて増大するかの如く表示してもよい。
【0061】
(f)表示装置13としては、上述した液晶ディスプレイ以外にも、CRT、ドットマトリックス、LED、エレクトロルミネセンス(EL)、蛍光表示菅等を用いてもよい。
【0062】
(g)部位に応じて分断された背景図柄の変動方向を異ならせることとしてもよい(例えば、犬の絵図柄DG1〜DG8と同様の方向へと流れる川を表示する等)。また、一部の背景図柄を変動しない構成としてもよい。
【0063】
(h)本発明は、上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等にも適用できる。例えば、大当たり図柄が表示された後に所定の領域に遊技球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン等の各種遊技機として実施することも可能である。なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作等することで図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に確定図柄を表示する図柄表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間が経過することにより図柄変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となる。
【0064】
(i)また、確率変動モードや、時間短縮モードを実行しうるパチンコ機にも適用してもよい。
【0065】
(j)上記実施の形態では、背景図柄は、渾然一体をなし、全体として1つの背景が表現されているかの如く表示されることとした。これに対し、分断された各背景図柄が全く別の背景を表現しているかの如く表示してもよい。
【0066】
(k)上記実施の形態では、各背景レイヤLY1〜LY5に、個々に分断された背景図柄を表示制御することとしたが、背景図柄にはオーバーラップする部分があっても何ら差し支えない。かかる構成とすることで、境界部分をぼやかしたり、グラデーション効果を奏せしめること等が可能となる。
【0067】
(l)上記実施の形態では、背景図柄をスクロール変動させるようにしたが、コマ送り的に変動させてもよいし、揺動させるようにしてもよい。
【0068】
(m)所定の契機に基づき、少なくとも一時的に背景図柄に変化を設けることとしてもよい(例えば、家の煙突から煙がでるかの如く表示する等)。
【0069】
(n)また、当該変化をリーチ予告や大当たり予告として採用してもよい。このように構成することで、遊技者は、さらに背景画面を注意深く視認することとなり、より一層の興趣の向上を図ることができる。
【0070】
(o)上記実施の形態では、第1の背景レイヤLY1から第4の背景レイヤLY4の順に、背景図柄の変動速度が遅くなるようにしたが、部分的に同じ速度で変動せしめてもよい。例えば、第3の背景レイヤLY3に表示制御される背景図柄と、第4の背景レイヤLY4に表示制御される背景図柄とを同速度で変動しているかの如く表示してもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、遊技に関与する図柄を可変表示しうる表示装置を備えたパチンコ機等の遊技機において、興趣の飛躍的な向上を図ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】(a),(b)ともに表示部の表示状態の例を示す模式図である。
【図3】表示部に表示されうる図柄の種類を説明する図である。
【図4】(a),(b)ともに表示部における図柄列の変動状態を示す図である。
【図5】(a)(b)ともに表示部における大当たりライン及び大当たり状態を示す図である。
【図6】(a)(b)ともに表示部における大当たりライン及び大当たり状態を示す図である。
【図7】(a)は表示部におけるどろぼうリーチ状態を示す図であり、(b)は丸太リーチ状態を示す図であり、(c)は氷リーチ状態を示す図であり、(d)は女の子リーチ状態を示す図である。
【図8】制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】表示装置の複数のレイヤに表示れる図柄の態様を示す原理図である。
【図10】背景レイヤの構成を説明するための背景図柄全体を示す図である。
【図11】背景図柄の変動態様を示す図である。
【符号の説明】
1…パチンコ機、2…遊技盤、3…作動口、4…大入賞口、5…遊技球、13…表示装置、13a…表示部、14…上図柄列、15…中図柄列、16…下図柄列、17A〜17H,17K…(特別)図柄、DG1〜DG8…絵図柄、N1〜N8…数字図柄、24…制御装置、LY,LY1,LY2,LY3,LY4,LY5…背景レイヤ。

Claims (4)

  1. 遊技に関与する特別図柄を表示部において可変表示しうる表示装置を備えた遊技機であって、
    作動口への遊技球の入球検出に基づき、遊技者にとって利益となる特別遊技状態を発生させるか否かを決定づける特別図柄を、前記表示部において一定方向に変動表示し、その後停止表示する特別図柄変動表示手段と、
    前記表示部において、背景表示対象、前記特別図柄が優先されるよう表示するとともに、当該背景表示対象を前記特別図柄の変動方向とは逆方向に変動表示る背景変動表示手段とを備えていることを特徴とする遊技機。
  2. 前記背景変動表示手段は、前記特別図柄の変動方向とは逆方向に変動表示される背景表示対象を、部位によって異なった速度で変動表示することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
  3. 前記背景変動表示手段は、前記背景表示対象を複数の背景図柄によって構成し、所定の背景図柄に対して、画像の表示される優先順位が上位の別の背景図柄を、前記所定の背景図柄よりも下部に表示するとともに、前記所定の背景図柄よりも高速で変動表示することを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
  4. 前記特別図柄の変動速度が変更された場合、当該変更に対応して前記背景表示対象の一部の変動速度が変更されうることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
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