JP3713618B2 - ポリエステル繊維パイル布帛捺染法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、起毛布帛、モケット、ダブルラッシェルパイル編布、ウイルトンカーペット、タフテッドパイル布帛等のパイル布帛の捺染に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パイル布帛の捺染は、パイル表面に捺染スクリーンから捺染糊を押し出して印捺(スキージング)するか、又は、ノズルから染液を噴射して行われる。
【0003】
毛羽立った布帛には捺染糊が浸透し難いので、表面が毛羽で構成されるパイル布帛に印捺した捺染糊はパイル層に余り深くは浸透せず、パイル根元部は捺染糊に着色されずに残るので、パイル布帛を折り曲げたときには、その未着色のパイル根元部がパイルとパイルの間に露出してパイル表面の美観を損なうことになる。そこで、撥水剤を配合した捺染糊をパイル面に印捺して染色すると同時に、地染液を裏面に付与してパイル面に滲み出させ、その滲み出る地染液によって捺染糊の非印捺箇所を染色すると共に、捺染糊の印捺箇所であって捺染糊の浸透しないパイル根元部をも地染液によって染色する方法(以下、オーファー捺染法と言う。)が開発された。この方法によると、捺染糊の印捺箇所であって捺染糊の浸透しないパイル根元部が地染液によって染色されるので、未着色のパイル根元部がパイルとパイルの間に現れる不都合が解消されると共に、印捺箇所のパイル根元部が地染液に染色されるので捺染模様の色彩が深みを帯びる効果も生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、捺染糊の非印捺箇所は、裏面から滲み出る地染液によって染色されるので、パイル根元部は濃色に染色されても、パイル先端部は淡色になり、パイル面全体の発色性に欠ける点で改善を必要とした。
【0005】
【発明の目的】
そこで、本発明は、オーファー捺染法によるパイル面全体の発色性を高めることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るパイル布帛捺染法は、ポリエステル繊維がパイル糸に使用されたパイル布帛のパイル面に、撥水剤を配合した捺染糊を印捺し、次いで、地染液を裏面に付与してパイル面に滲み出させ、捺染糊によって印捺箇所を染色し、同時に、地染液によって捺染糊の非印捺箇所を染色する捺染工程に先立って、ポリエステル水分散液をパイル面全面に付与することを第1の特徴とするものである。
【0007】
本発明に係るパイル布帛捺染法の第2の特徴は、ポリエステル水分散液を、パイルの根元部を含まないパイル先端部に付与することにある。
【0008】
【発明の実施の形態】
パイル面に付与するポリエステル水分散液は、エステル結合の分子鎖〔−O・R・CO−〕n を有する親水性のポリエステルポリマーを界面活性剤で水中に分散させたエマルジョンであり、ポリエステル繊維その他の疎水性合成繊維に防汚性や柔軟性、制電性、吸水性等の親水性を付与する繊維仕上剤として市販され、ポリエステル樹脂とかポリエステル誘導体との成分表示がなされているものを使用することが出来る。好ましいポリエステル水分散液は、アニオンタイプ又はノニオンタイプのものである。
【0009】
繊維仕上剤として市販されているポリエステル水分散液の具体例を示すと、京浜化成(株)クラルミカルRX10、日華化学(株)ナイスポールPR−86とPR−333、大日本インキ(株)ファインテック135−SR、明成化学(株)メイカフィニッシュSRM−65、ユニオン化成(株)ユニコンPSR−1、三木理研(株)リケンレジンNP−26、一方社油脂(株)KK−2000とKYN−186、高松油脂(株)SR−1000等がある。
【0010】
ポリエステル繊維パイル布帛は、パイル織物(モケット)、パイル編物(ダブルラッシェル、起毛トリコット)の何れでもよい。パイルを構成するポリエステル繊維の単糸繊度は10デニール以下にし、パイル長は1〜10mm、パイル目付けは100〜1000g/m2 にする。本発明に好適なポリエステル繊維パイル布帛は、パイル長が2〜4mm、パイル目付けが200〜500g/m2 のものである。そのような仕様のパイルは基布から略直立しており、パイル面にパイル繊維の側面が現れず、パイル面がパイル繊維の先端だけで構成されており、そのパイル繊維の先端から1mm以内となる概して0.4mm前後の先端部にだけポリエステル水分散液を付与すればよい。
【0011】
そのようにポリエステル水分散液をパイルの根元部を含まないパイル先端部にだけ付与するには、アルギン酸ソーダーやカルボキシメチルセルロースソーダー塩(C.M.C.)等の増粘剤を配合し粘度を3000〜6000mPas、好ましくは4000mPas前後に調整してパイル層への浸透を抑え、捺染スクリーンやロールコーター、ドクターロール、ドクターナイフ、スプレー等によりパイル面に付与する。増粘剤によって粘度を調整しパイル面に付与するポリエステル水分散液に含まれる親水性ポリエステルポリマーの含有量は1〜3重量%程度でよい。又、ポリエステル水分散液の中の親水性ポリエステルポリマーのパイル面への付着量は3.0〜5.0g/m2 程度でよい。撥水剤配合の捺染糊のパイル面への印捺や、地染液のパイル布帛の裏面への付与は、パイル面にポリエステル水分散液を付与したパイル布帛を150℃前後において約3分間熱処理して乾燥させてから行う。その熱処理はサーモゾル法によって行うとよい。
【0012】
パイル面に印捺する捺染糊や、それに配合する撥水剤、パイル布帛の裏面に付与する地染液の調製方法やパイル布帛への印捺・付与方法、それらの印捺・付与後のパイル布帛の処理方法については、オーファー捺染法に関する特開平9−279486号(特許公報第2903401号)に記載の通りである。
【0013】
即ち、捺染糊は、常法に従って元糊に染料を加え、撥水剤を追加して調製される。撥水剤には、パラフイン、ワックス、シリコン樹脂、弗素樹脂等を乳化剤と共に水に分散させたエマルジョン型の市販品を使用することが出来る。捺染糊の印捺には、ロータリースクリーン捺染機、フラットスクリーン捺染機、ローラー捺染機、インクジェット捺染機が使用される。加熱処理を必要とするシリコン樹脂系撥水剤や弗素樹脂系撥水剤を使用する場合は、捺染糊に含まれる染料の発色温度以下の温度であり、撥水剤に撥水効果を発揮させるに必要な温度において、パイル面を加熱し、印捺した捺染糊を乾燥させてから地染液を付与する。
【0014】
地染液は、液面下に2〜3mm沈むように支材を付設した染液槽の液面にパイル布帛を通し、その支材で液面下にパイル面が沈まないように支えつつ、パイル布帛の裏面を液面下に僅かに沈めて付与する。染液槽を通過してパイル布帛の裏面に付着した余剰の地染液はバキュームで拭き取り、加熱発色装置に通して捺染糊と地染液の染料を発色させる。地染液は、そのように染液槽の液面に通すほか、下方が染液槽の液面に沈められていて高速回転するブラシロールやシリンダーロールによって地染液を汲み揚げてパイル布帛の裏面に付与することも出来、又、スプレーによって付与することも出来る。
【0015】
【実施例1】
パイル目付420g/m2 ・パイル長3.2mm(地組織の厚みを含む)のポリエステル繊維パイル布帛(モケット)のパイル面に、7%カルボキシメチルセルロース元糊60重量%とアニオン性ポリエステル水分散液(高松油脂(株)製品;固形分10%)3重量%と水37重量%とから成る処理剤(粘度;4000mPas)をスクリーンプリント装置を用いて3.8g/m2 (乾燥重量)塗布し、サーモゾル法により150℃にて3分間熱処理して乾燥させる。
【0016】
次いで、オンデマント型インクジェットプリント装置を用いてパイル面に、エチレンクリコール20重量%と染料(C.I.デイスパース イエロー163)7重量%と弗素系撥水剤7重量%とイオン交換水66重量%とから成るインクAと、エチレングリコール20重量%と染料(C.I.デイスパース レッド 258)7重量%と弗素系撥水剤7重量%とイオン交換水66重量%とから成るインクBと、エチレンクリコール20重量%と染料(C.I.デイスパース ブルー 60)7重量%と弗素系撥水剤7重量%とイオン交換水66重量%とから成るインクCの3種類のインク(それぞれ粘度;4cp/25℃)を用意して印捺(インク塗布量;15cc/m2 )し、145℃にて3分間熱処理して乾燥させる。
【0017】
次いで、パイル面を上に向け、マイグレーション防止剤(アクリル酸系重合物)10.0g/m3 と霜降り防止剤(アクリル酸系重合物)2.0g/m3 と湿潤浸透剤(アニオン・ノニオン配合物)1.0g/m3 とPH調整用酸剤0.7g/m3 と染料(C.I.ディスパース レッド258)5.0g/m3 と染料(C.I.ディスパース ブルー 60)15.0g/m3 と水66.3g/m3 とから成る地染液が投入されており、液面下1.5mmの深さまで丸パイプ(支材)を沈めた染液槽の液面にポリエステル繊維パイル布帛を通過させ、余剰の地染液をパイル布帛の裏面からバキュームノズルで吸引除去して地染液の付着量を105%にし、表面温度600℃の遠赤外線発生面発熱バーナーをパイル布帛搬送面から30cm離して上下に並べた予備加熱装置(パイル布帛搬送面での加熱温度95±5℃)に1分間通して予備乾燥後、更に、熱風乾燥機に140℃×3分間通して完全乾燥し、スチーマーにて160℃×8分間発色処理して後、還元洗浄し、脱糊・水洗・乾燥し、捺染模様の形際が先鋭であり、印捺部と非印捺部に色相の濁りや染斑はなく、綺麗に発色した捺染ポリエステル繊維パイル布帛を得た。
【0018】
【実施例2】
実施例1で使用のポリエステル繊維パイル布帛のパイル面に、7%カルボキシメチルセルロース元糊60重量%と非イオン性ポリエステル水分散液(明成化学(株)製品;固形分10%)3重量%と水37重量%とから成る処理剤(粘度;4000mPas)を実施例1と同様に塗布し熱処理して乾燥させる。
次いで、実施例1で使用のインクを用い、実施例1と同様にパイル面にインクを印捺して加熱乾燥後、実施例1で使用の地染液を用い、実施例1と同様に裏面から地染液を付与して加熱発色処理し、還元洗浄、脱糊・水洗・乾燥し、捺染ポリエステル繊維パイル布帛を得た。
【0019】
【比較例1】
実施例1で使用のポリエステル繊維パイル布帛のパイル面に、7%カルボキシメチルセルロース元糊60重量%と水溶性熱可塑樹脂(明成化学(株)製品;固形分10%)3重量%と水37重量%とから成る処理剤(粘度;4000mPas)を実施例1と同様に塗布し熱処理して乾燥させる。次いで、実施例1で使用のインクを用い、実施例1と同様にパイル面にインクを印捺して加熱乾燥後、実施例1で使用の地染液を用い、実施例1と同様に裏面から地染液を付与して加熱発色処理し、還元洗浄、脱糊・水洗・乾燥し、捺染ポリエステル繊維パイル布帛を得た。
【0020】
【比較例2】
実施例1で使用のポリエステル繊維パイル布帛のパイル面に、7%カルボキシメチルセルロース元糊60重量%とカチオン性特殊セラミックス樹脂水分散液(共栄社化学(株)製品;固形分10%)3重量%と水37重量%とから成る処理剤(粘度;4000mPas)を実施例1と同様に塗布し熱処理して乾燥させる。次いで、実施例1で使用のインクを用い、実施例1と同様にパイル面にインクを印捺して加熱乾燥後、実施例1で使用の地染液を用い、実施例1と同様に裏面から地染液を付与して加熱発色処理し、還元洗浄、脱糊・水洗・乾燥し、捺染ポリエステル繊維パイル布帛を得た。
【0021】
【比較例3】
実施例1で使用のポリエステル繊維パイル布帛のパイル面に、7%カルボキシメチルセルロース元糊60重量%と非イオン性ポリウレタン系樹脂水分散液(一方社油脂(株)製品;固形分10%)3重量%と水37重量%とから成る処理剤(粘度;4000mPas)を実施例1と同様に塗布し熱処理して乾燥させる。次いで、実施例1で使用のインクを用い、実施例1と同様にパイル面にインクを印捺して加熱乾燥後、実施例1で使用の地染液を用い、実施例1と同様に裏面から地染液を付与して加熱発色処理し、還元洗浄、脱糊・水洗・乾燥し、捺染ポリエステル繊維パイル布帛を得た。
【0022】
【比較例4】
実施例1で使用のポリエステル繊維パイル布帛のパイル面に、7%カルボキシメチルセルロース元糊60重量%とカチオン性アクリル系樹脂水分散液(一方社油脂(株)製品;固形分10%)3重量%と水37重量%とから成る処理剤(粘度;4000mPas)を実施例1と同様に塗布し熱処理して乾燥させる。
次いで、実施例1で使用のインクを用い、実施例1と同様にパイル面にインクを印捺して加熱乾燥後、実施例1で使用の地染液を用い、実施例1と同様に裏面から地染液を付与して加熱発色処理し、還元洗浄、脱糊・水洗・乾燥し、捺染ポリエステル繊維パイル布帛を得た。
【0023】
【比較例5】
実施例1で使用のポリエステル繊維パイル布帛のパイル面に、7%カルボキシメチルセルロース元糊60重量%と水40重量%とから成る処理剤(2)(粘度;4000mPas)を実施例1と同様に塗布し熱処理して乾燥させる。次いで、実施例1で使用のインクを用い、実施例1と同様にパイル面にインクを印捺して加熱乾燥後、実施例1で使用の地染液を用い、実施例1と同様に裏面から地染液を付与して加熱発色処理し、還元洗浄、脱糊・水洗・乾燥し、捺染ポリエステル繊維パイル布帛を得た。
【0024】
【比較例6】
実施例1で使用のポリエステル繊維パイル布帛のパイル面に、前処理を行うことなく、実施例1で使用のインクを用い、実施例1と同様にパイル面にインクを印捺して加熱乾燥後、実施例1で使用の地染液を用い、実施例1と同様に裏面から地染液を付与して加熱発色処理し、還元洗浄、脱糊・水洗・乾燥し、捺染ポリエステル繊維パイル布帛を得た。
【0025】
【性能比較試験】
上記実施例1と2及び比較例1〜6で得られた捺染ポリエステル繊維パイル布帛について、濃染性と均染性と表面風合いの比較試験を行い、その試験結果を次の表1に示す。濃染性と均染性については、測色計にてL値を計測し、マイクロスコープでパイル断面を拡大してモニタ上で計測して比較試験を行っている。
【0026】
濃染性については、発色が極めて濃く鮮明なパイルについては「◎」を付し、発色が稍々濃く鮮明なパイルについては「○」を付し、ポリエステルその他の水分散液で前処理せずにオーファー捺染法で捺染したもの(比較例6)よりも若干濃いパイルについては「△」を付し、ポリエステルその他の水分散液で前処理せずにオーファー捺染法で捺染したもの(比較例6)と殆ど差が認められないパイルについては「×」を付して次の表1に示している。
【0027】
均染性については、ポリエステルその他の水分散液で前処理せずにオーファー捺染法で捺染したもの(比較例6)よりも捺染型際が鮮明なパイルについては「○」を付し、ポリエステルその他の水分散液で前処理せずにオーファー捺染法で捺染したもの(比較例6)に比較して捺染型際が殆ど変わらないパイルと捺染型際にブリードが認められるパイルについては「△」を付して次の表1に示している。
【0028】
又、表面風合いについては、ポリエステルその他の水分散液で前処理せずにオーファー捺染法で捺染したもの(比較例6)と同等の風合いのパイルについては「○」を付し、それよりも風合いが粗硬なパイルについては「×」を付して次の表1に示している。
【0029】
総じて言うと、比較例1には捺染部にブリードが認められ、比較例2と3と5では濃染効果が小さく、比較例4では仕上がりの表面風合いが硬く、これらの比較例に比して、実施例1と2では濃染性と均染性が高く風合いのよい捺染ポリエステル繊維パイル布帛が得られた。
【0030】
【表1】
【0031】
【実施例3】
実施例1で使用のポリエステル繊維パイル布帛のパイル面に、粘度4000mPasに調整した7%カルボキシメチルセルロース元糊60重量%とアニオン性ポリエステル水分散液(高松油脂(株)製品;固形分10%)3重量%と水37重量%とから成る処理剤を実施例1と同様に3.8g/m2 塗布し、サーモゾル法により150℃にて3分間熱処理して乾燥させる。次いで、実施例1で使用のインクを用い、実施例1と同様にパイル面にインクを印捺して加熱乾燥後、実施例1で使用の地染液を用い、実施例1と同様に裏面から地染液を付与して加熱発色処理し、還元洗浄、脱糊・水洗・乾燥し、捺染ポリエステル繊維パイル布帛を得た。
【0032】
【実施例4】
実施例1で使用のポリエステル繊維パイル布帛のパイル面に、粘度4000mPasに調整した7%カルボキシメチルセルロース元糊65重量%とアニオン性ポリエステル水分散液(高松油脂(株)製品;固形分10%)1重量%と水34重量%とから成る処理剤を実施例1と同様に3.8g/m2 塗布し、サーモゾル法により150℃にて3分間熱処理して乾燥させる。次いで、実施例1で使用のインクを用い、実施例1と同様にパイル面にインクを印捺して加熱乾燥後、実施例1で使用の地染液を用い、実施例1と同様に裏面から地染液を付与して加熱発色処理し、還元洗浄、脱糊・水洗・乾燥し、捺染ポリエステル繊維パイル布帛を得た。
【0033】
【比較例7】
実施例1で使用のポリエステル繊維パイル布帛のパイル面に、7%カルボキシメチルセルロース元糊X重量%とアニオン性ポリエステル水分散液(高松油脂(株)製品;固形分10%)Y重量%と水100−(X+Y)重量%とから成り、表2に示す通り、それぞれその組成分比率(X・Y)を変えて粘度を2500〜7000mPasに変えた粘度と組成分比率の異なる処理剤A・B・C・D・Eを実施例1と同様に3.8g/m2 塗布し、サーモゾル法により150℃にて3分間熱処理して乾燥させる。次いで、実施例1で使用のインクを用い、実施例1と同様にパイル面にインクを印捺して加熱乾燥後、実施例1で使用の地染液を用い、実施例1と同様に裏面から地染液を付与して加熱発色処理し、還元洗浄、脱糊・水洗・乾燥し、捺染ポリエステル繊維パイル布帛を得た。
【0034】
【比較試験】
上記粘度と組成分比率の異なる前処理剤を使用した実施例3と4、及び、比較例6と7で得られた捺染ポリエステル繊維パイル布帛の濃染性の比較試験を測色計を用いL値を計測して行い、その試験結果を次の表2に示す。表2に示す通り、処理剤はパイル先端部の0.4〜0.7mmまで浸透し、処理剤の粘度が4000mPasであり、アニオン性ポリエステル水分散液の配合量が1〜3重量%のとき高い濃染効果が得られ、その配合量が5重量%を超えると処理剤が浸透し過ぎて地染液がパイル先端部の0.7mm以上の部分に分散して高い濃染効果が得られないことが判明した。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】
上記実施例と比較例により明らかな通り、本発明によると、インクジェット印捺部及び非印捺(連続染色)部の両方において濃染性と均染性に非常に優れた捺染ポリエステル繊維パイル布帛が得られる。更に、本発明によると、インクジェット捺染方式では印捺されたインクの一部が連続染色(地染)時に染液中に溶解(色落ち)して色ムラが発生するのが防止される。
【0037】
即ち、オーファー捺染法では、地染液をパイル布帛の裏面から浸透させてパイル面に付与するが、本発明では、親水性ポリエステルポリマーがパイル面に付与されており、裏面から浸透してパイル面に達した地染液がパイル先端部に付着している親水性ポリエステルポリマーに吸引され、捺染糊の非印捺部ではパイル先端部における地染液の付着量が増え、捺染糊の印捺部ではパイル先端部の撥水性捺染糊に被覆された部分と被覆されない部分との境界の間際まで地染液が吸引され、パイル面の色彩が深みを帯びたものとなる。
【0038】
そして、親水性ポリエステルポリマーは、ポリエステル繊維と同様に一種のポリエステル樹脂であってポリエステル繊維用の染料によって着色することが出来、而も、ポリエステル繊維に比して染着性が高いので、撥水性捺染糊が印捺されず地染液によってのみ染色される非印捺部のみならず、撥水性捺染糊の印捺された印捺部での発色性も向上し、オーファー捺染法によるパイル面全体に濃染・均染効果が生じて鮮明な捺染模様が描出されることになる。
Claims (2)
- ポリエステル繊維がパイル糸に使用されたパイル布帛のパイル面に、撥水剤を配合した捺染糊を印捺し、次いで、地染液を裏面に付与してパイル面に滲み出させ、捺染糊によって印捺箇所を染色し、同時に、地染液によって捺染糊の非印捺箇所を染色する捺染工程に先立って、ポリエステル水分散液をパイル面全面に付与することを特徴とするポリエステル繊維パイル布帛捺染法。
- 前掲請求項1に記載のポリエステル水分散液を、パイルの根元部を含まないパイル先端部に付与する前掲請求項1に記載のポリエステル繊維パイル布帛捺染法。
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