JP3713319B2 - 人工歯根 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
開示技術は、口腔内にて顎骨に対し埋設するチタンやチタン合金製のインプラントとしての人工歯根の構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
周知の如く、人間の歯は口腔内にて摂食、発声、表情発現等極めて重要な機能に深くかかわるものであり、したがって、該歯が欠損等で喪失することはこれらの機能を損うことで致命的な問題となる。
【0003】
したがって、旧くからかかる抜け歯等の欠損を補うために当該欠損した歯に近接した歯に処置等することにより対応するようにしてきたが、近時当該近接歯の喪失や交通事故や大きな疾患等により隣接する複数の歯が失われるような場合には、口腔内にて顎骨にチタンやチタン合金製等のインプラントとしての人工歯根を埋設する技術が開発され、一部では実用化されてはいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる技術については、例えば、特開平1−11539号公報(特公平7−71563号公報)等に開示されている発明のように優れた技術が開発されてはいるが、当該在来態様の人工歯根にあっては顎骨に埋入する脚部と上部の補綴物を維持する頭部と両者の間にあって粘膜を貫通する脚部とが一体のもの、或いは、当該頸部の一部を頭部として使用出来るようなものであるがために、次のような問題がある。
【0005】
而して、顎骨内に埋入するインプラントは該顎骨との強固な一体結合(オセオインテグレーション)の獲得が必要不可欠であるが、これまでの臨床上のデータから該オセオインテグレーションの有効な獲得には数ヵ月もの長時間を要することが分っており、そのため、顎骨内への埋入の初期より該獲得までの長時間の期間内に摂食や発声等の際の咬合圧が印加されたりすることは骨芽の成育上好ましくはなく、頭部の補綴物の義歯程度の自重すら好ましくないことが必要となっていることが分ってきており、したがって、インプラントの人工歯根を顎骨内に埋設する脚部から頭部の補綴物のところまで一体構造の態様ではかかる咬合圧の印加等の関係から好ましくないという欠点があった。
【0006】
又、強固なオセオインテグレーションの獲得はインプラントの埋入後の上述構造上の問題ばかりでなく、何らかの手段により咬合圧を印加しない構造が得られるとしても、粘膜上にインプラント構造体としての頭部の補綴物支持部が突出していることは施術後の感染上の観点からも好ましくない欠点があった。
【0007】
即ち、在来態様の一体構造のインプラントでは粘膜を貫通して頭部が一体的に突出している以上、当該施術後インプラントの頸部を介し下部への感染が避けられないという難点がある。
【0008】
更に、インプラントの埋入を行う手術に際しては粘膜の切開で始まり、縫合で手術が終了するが、当該切開手術は感染防止のために極めて重要であり、又、必然的に2回以上の手術がこれに伴って必要であり、感染を防止するにはインプラント埋入部位を避けて切開を行うことが極めて重要であり、したがって、当然のことながら、粘膜上に突出する構造物があってはならないことが好ましいこととなる。
【0009】
そして、インプラント本来の目的は該インプラントを顎骨内に埋入することではなく、それを利用して補綴物の上部構造物を作製することにあり、しかも、当該上部構造物は患者によっても異なり、患者によって隣接する歯や対合歯によっても異なり、埋入後の時間の経過、即ち、年齢の増加によっても異なり、そして、当該患者の顎骨内に於ける埋入部位やその時期に適合した「粘膜貫通部、及び、補綴物支持部」が必要である。
【0010】
そのためには「顎骨内植込み部」に対し、「粘膜貫通部、及び、補綴物支持部」が別体に独立した2つに分割可能にされていなければならず、このような構造学的、医学的な要望には従来技術の3者が一体構造のインプラント人工歯根では採用出来ない不都合さがあった。
【0011】
そして、顎骨内植込み部と粘膜貫通部及び補綴物支持部との結合構造を、又、患者に適合した最適な補綴物を臨床経過と共に、早期に選択交換等が出来るようにするためにも補綴物支持部が粘膜貫通部と一体でありながら交換自在に出来る構造が好ましいものであるにもかかわらず、前述在来態様のインプラントの人工歯根ではこれに適用出来ないマイナス点があった。
【0012】
又、インプラントの人工歯根の「顎骨内の植込み部」と「粘膜貫通部」、乃至、「補綴物支持部」の頸部と頭部が脚部に対し分離し得る2体分割方式のインプラントの人工歯根にあっても上述「顎骨内植込み部」と「粘膜貫通部、及び、補綴物支持部」とが2分割されねばならないさまざまな条件には対応出来ない不都合さがあった。
【0013】
そして、先述した特開平1−11539号公報(特公平7−71563号公報発明)等に開示されている在来態様にあっては脚部と頸部、乃至、頭部が所謂凹凸係合による一体化連結構造であるために、臨床的に印加される咬合圧に対する対処が不充分であり、該咬合圧により結合部にぐらつきが生じ、結果的に補綴物が動揺し、人工歯根としての機能が満足に果せないという不具合があった。
【0014】
【発明の目的】
この出願の発明の目的は上述従来技術に基づく自然歯欠損に対処する優れたインプラントの人工歯根の技術が開発されながら構造学的に、又、解剖学的にも臨床学的にも充分に適用出来ない一体物、乃至、頸部を介して粘膜貫通部と補綴物支持部とが上下に2分割にされる構造の人工歯根の問題点を解決すべき技術的課題とし、術者がインプラントの顎骨内への埋入が容易に行え、粘膜貫通部の切開も極めてスムーズに行え、感染の虞も可及的に防止され、埋入後は半永久的に設計通りの摂食や発生による咬合等も確実に行えるようにして医療産業に於ける歯科技術利用分野に益する優れた人工歯根を提供せんとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段・作用】
上述目的に沿い先述特許請求の範囲を要旨とするこの出願の発明の構成は、前述課題を解決するために、欠損された歯に対するインプラントの人工歯根を顎骨内に埋設するに際し、人工歯根の脚部としての顎骨内植込み部と上部の補綴物支持部と両者の間に後者に一体的に介設され、頸部としての粘膜貫通部とを相互にネジ結合により、一体連結2体の分離が自在に行われるようにし、而して、当該顎骨内植込み部に於てはその側面の表面がワイヤーカット放電加工によって平均粗さが5μm以上の放電痕等を形成され、顎骨内への脚部の埋入に際し、確実にオセオインテグレーションの獲得が得られるようにし、又、リン酸カルシウム系セラミック被膜を有するようにして顎骨に対するなじみ性が良く、骨芽の発生を良好にし、又、当該顎骨内植込み部の側面には先端部に向けて2つ以上のノッチタイプの溝が刻設され、或いは、板状の突起が形成されて良好なオセオインテグレーションの獲得がなされ、咬合等の印加に際しても埋入後の脚部のぐらつき等がないようにし、又、当該顎骨内植込み部と粘膜貫通部との結合はネジ結合としネジ締め付けや解離に際しての回転トルクによる回転防止のために、当該粘膜貫通部の底部には3角以上の多角形状にして回転防止構造部とされ、更に、その上部に於ては断面円形に形成することにより水平応力に対する耐力構造部とし、又、顎骨内植込み部と粘膜貫通部との結合は二段式のネジの二重構造にし、該顎骨内植込み部に対する粘膜貫通部の結合に際してはネジの締め付け、又は、解離による回転を防止し、確実に締め付け,解離が行われ、良好なオセオインテグレーション獲得と補綴物支持部が患者の臨床経過に合せて随時選択的に交換出来るようにし、設計通りの骨芽発生による良好なオセオインテグレーション獲得が充分に図れるようにした技術的手段を講じたものである。
【0016】
【実施例】
次に、この出願の発明の実施例を図面に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0017】
尚、全図面を通じて同一態様部分には同一符号を用いて説明するものとする。
【0018】
そして、各実施例の態様において人工歯根の材質はチタン、又はチタン合金製である。
【0019】
図1〜図5に示す実施例は基本的な態様であり、1はこの出願の発明の要旨の中心を成すインプラントとしての人工歯根であり、該人工歯根1は脚部としての下部の顎骨内植込み部2と中間部の頸部としての粘膜貫通部3、及び、これに一体の上部の頭部としての補綴物支持部4との2分割体よりなる棒状体であり、歯肉5内に埋設され、それぞれネジ結合により2分割体に分離自在に一体化されるようにされるようにされている。
【0020】
そして、顎骨内植込み部2は顎骨6に対し埋入され、側部の表面全面が平均粗さ5μm以上(理想的には当該平均粗さが15〜25μmであることが好ましいことが実験的に判明している。)のワイヤーカット放電加工時の放電痕、或いは、リン酸カルシウム系セラミック被膜を有している。
【0021】
このように形成することにより、顎骨6に対する埋入時以降の骨芽の良好な成長による確実なオセオインテグレーション獲得が短期間に良好に達成出来ることが実験的に分っている。
【0022】
そして、該顎骨内植込み部2の中途部分から先端部にかけて周方向に3本のノッチ状の溝7がワイヤーカット放電加工により形成され、該溝7の中途部分には図4,図5に示す様に、両側からオーバーハング状のカバー8が一体的に形成されて骨芽の成長に伴う顎骨6との強固な一体化がなされ、回転応力や水平応力や垂直応力に対する強度を増加することが出来、又、顎骨6に対する接触面積も増加し、初期の有効なオセオインテグレーションを極めて容易に獲得することが出来るようにされている。
【0023】
尚、顎骨6との強固なオセオインテグレーションの獲得には該顎骨6に対して局部的応力集中のない構造が必要であり、当該溝7は長手方向に段階的な構造ではなく、先端部に漸近的に集中するような形状に形成されている。
【0024】
そして、粘膜9に対する該粘膜貫通部3の底部に於ては顎骨内植込み部2に対しての結合部10に於て図2〜図4に示すように先端部が六角形状の臨床的に印加される咬合圧のうちの回転応力に対する回転防止構造部としての多角形状部11とその上部の当該咬合印加時の水平方向の分力に対する耐力構造部としての断面円形部12が一体的に形成され、そして、その上部にはストレート状の粘膜貫通部本体13が形成され、更にその上部にはテーパー状の補綴物支持部4の側面にはネジ結合時における回転トルク発生に対処するための平面状の大小の削り部7´ ,7´ が図2に示す様に、周方向に6面形成されている。
【0025】
そして、当該粘膜貫通部3には同心的に顎骨内植込み部2に対する結合部10に於ける固定ネジ15に対するネジ孔16が刻設されている。
【0026】
尚、18は補綴物としてのセメント固定形成物である。
【0027】
又、削り部7´ は補綴物支持部4の上部に対する人工歯根締め付けのための図示しないロックネジによる回転防止のためのレンチ係合用のフラットな削り部を兼ねているものである。
【0028】
上述構成において、手術者により粘膜9に対する切開部を介し顎骨6に予め形成しておいた埋入孔に棒状の顎骨内植込み部2を挿入し、顎骨6内との初期のオセオインテグレーションを獲得後、顎骨内植込み部2に粘膜貫通部3をその結合部10によりセットされている固定ネジ15を介し連結して両者を一体化する。
【0029】
この時、図1に示す様に、固定ネジ15は顎骨内植込み部2の上部と粘膜貫通部3の下端部とにネジ螺合して二段的に確実に連結されるようにされているために、手術後の経時的な臨床的咬合印加によっても歪んだりすることはなく、したがって、オセオインテグレーション獲得を充分に保証することが出来る。
【0030】
或いは、先に1回目の手術を行って粘膜9を切開し、顎骨6に穿設した埋入孔に埋入した顎骨内植込み部2に対し粘膜貫通部3を固定ネジ15により二段的に螺合連結する。
【0031】
この際、固定ネジ15は粘膜貫通部3と顎骨内植込み部2との結合部10に於て二段的にネジ螺合されるために連結は緊結状態になされ、埋入後の臨床経過における咬合等の応力が印加されても結合部10に於ける緩みやガタツキ等が防止される。
【0032】
又、顎骨内植込み部2に於ける溝7,7,7がその顎骨6に対する接触面積を大きくし、又、カバー8,8が顎骨6に食い込むようにされるために、埋入後の顎骨6に於ける骨芽の初期発生が良好に行われ、オセオインテグレーション獲得において良好に果されることになる。
【0033】
このようにして頸部内植込み部2と補綴物支持部4を一体に有する粘膜貫通部3の2分割体が一体連結された状態で歯肉5に対する埋設が終了し、図1に示す様に、粘膜貫通部3と補綴物支持部4にかけて補綴物としてのセメント固定形成物18を所定にセットし、人工歯根1の施術を終了する。
【0034】
そして、摂食や発声等の際に咬合圧が印加され、又、患者の歯ぎしり現象等が生じても、補綴物支持部4と粘膜貫通部3と顎骨内植込み部2とが一体的に固定ネジ15を介し強固に連結されているために緩みやガタツキが生ぜず、初期のオセオインテグレーションが有効に図られる。
【0035】
又、咬合圧の印加や歯ぎしり等の際に、顎骨内植込み部2と粘膜貫通部3との結合部10に対する回転力が印加されても六角状の回転防止構造部11により回転による応力は阻止され、又、これに伴う、或いは、独立して印加される水平力は断面円形状の耐力構造部12により平均に応力分散がされて獲得されたオセオインテグレーションが確実に保持される。
【0036】
又、不測にして補綴物のセメント固定形成物18を交換等するに際し、粘膜貫通部3、顎骨内植込み部2から取り外すような場合においても、固定ネジ15の取り外し,再装着等のネジ締め付けや解離が獲得されたオセオインテグレーションを失うことなくスムーズに行われる。
【0037】
そして、当該実施例においては顎骨内植込み部2と粘膜貫通部3とが固定ネジ15を介し二段的に強固に一体的に連結されているために手術の際の切開が粘膜9に対する最適部位で行われることにより先述した感染等の虞も生じない。
【0038】
このようにして顎骨内植込み部2と粘膜貫通部3が固定ネジ15による連結を介し強固に一体連結され、しかも、ネジの締め付けや解離に際して回転トルクの印加作用が阻止されるために、当該ネジの締め付け、或いは、解離に際しての応力作用が阻止されるために、初期に良好に獲得されたオセオインテグレーションが損われることがなく、又、顎骨内植込み部2の側面には溝7が周方向に形成されているために、顎骨6との接触面積が多くなり、骨芽の初期の形成が良好に行われ、又、該溝7は周方向に沿って均等に形成されているために、顎骨6の骨芽の形成が応力集中のない構造によって安定して行われる。
【0039】
又、人工歯根1は材質的にチタン、或いは、チタン合金製であるために、施術後の臨床経過において変質することがなく、為害作用等は生じない。
【0040】
そして、このことは生物学的試験や動物学的実験や臨床試験の結果データからも充分に保証されている。
【0041】
そして、更に顎骨内植込み部2の表面平均粗さ5μm以上、好ましくは15〜25μmであるようにワイヤーカット放電加工によって放電痕が形成され、或いは、リン酸カルシウム系セラミック被膜を有するように形成されているために、該材質は骨成分に類似していることにより、顎骨6との初期のオセオインテグレーション獲得が極めて短期間に良好に達成出来ることが実験的なデータからも分っている。
【0042】
次に、図6に示す実施例は顎骨内植込み部2と粘膜貫通部3とが1本の固定ネジ15´ で連結一体化され、更に、該粘膜貫通部3とその上部の補綴物支持部4とが該固定ネジ15´ に対するロック用の1本の固定ネジ17でネジ締め固定されるようにされている態様であり、したがって、構造が簡単で手術時の人工歯根1´ の連結状態が保持され、該粘膜貫通部3に対する補綴物のセメントの固定形成物18の交換の際の施術がよりし易く、該施術が極めて容易であり、スムーズに行われるようにしたメリットを有するものである。
【0043】
又、当該実施例においては顎骨内植込み部2に対する粘膜貫通部3を連結する固定ネジ15´ を当該粘膜貫通部3に対するロック用の固定ネジ17を一種のロックナット的に二重連結にすることにより、固定ネジ15´ 、即ち、顎骨内植込み部2に対する補綴物貫通部3の緩みを確実に防止することが出来るメリットもある。
【0044】
そして、図7に示す実施例は補綴物のセメントの固定形成物18´ が異形物であるのに適合した上部を斜切した傾斜型の粘膜貫通部3´ を有するようにした態様であり、顎骨内植込み部2に対する粘膜貫通部3´ の連結用の固定ネジ15´ に対しロック用ネジ15´´を螺合する態様であり、傾斜型の粘膜貫通施術がより更にスムーズに行われるようにした態様である。
【0045】
尚、この出願の発明の実施態様は上述各実施例に限るものでないことは勿論であり、例えば、溝については溝とは逆に板状の突起体を一体的に設けること等種々の態様が採用可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上、この出願の発明によれば、基本的に在来開発されて実用化されているインプラントとしての人工歯根のメリットをフルに生かしながら、顎骨内に埋入する脚部としての植込み部と頸部としての粘膜貫通部、及び、補綴物支持部を一体にして2分割体としネジ連結を介し一体化出来るようにしたことにより、2回の手術にも充分に適用出来、就中、粘膜の2回の切開を確実に行うことが出来、患者によって隣接歯、対合歯により臨床経過が異なる態様に対処して充分に最適な切開を行うことが出来、したがって、切開に伴う感染をも充分に確実に防ぐことが出来るという優れた効果が奏される。
【0047】
そして、粘膜貫通部に対し頭部としての補綴物支持部が一体化されていることにより、臨床経過に伴い補綴物の交換等に際し補綴物支持部を粘膜貫通部と共に顎骨内植込み部から簡単に取り外すことが出来るために、その施術がスムーズに、且つ、容易に行われるという優れた効果が奏される。
【0048】
又、当該補綴物支持部の顎骨内植込み部に対するネジ締め付けや解離を行うに顎骨内植込み部の底部に回転防止構造部を形成させたことにより、当該補綴物支持部のネジによる締め付け,解離作用に伴って印加される回転トルクによる顎骨内植込み部の回転を防止出来、確実に粘膜貫通部に対する補綴物支持部の装着,固定,解離が行われるという優れた効果が奏される。
【0049】
又、顎骨内植込み部に対する粘膜貫通部の接合部に於て1本の固定ネジにより連結したことにより、臨床経過時の咬合圧印加によっても緩みやガタが生ぜず、一旦獲得された初期のオセオインテグレーションの消失が防止され設計通りの人工歯根の機能が維持されるという効果がある。
【0050】
又、顎骨内植込み部に対する粘膜貫通部、或いは、補綴物支持部に印加される咬合圧のうち回転トルクは該粘膜貫通部の下部の三角以上の断面多角形の回転防止構造部分により、該回転トルクによる応力印加が生ぜず、又、多角形部の上部に断面円形の耐力構造部分が形成されていることにより歯ぎしりや咬合力印加時の水平応力が平均して分散されることにより、顎骨内植込み部の顎骨に対する初期形成のオセオインテグレーションが消失されない点から、確実に該オセオインテグレーションの獲得状況が維持されるという優れた効果が奏される。
【0051】
そして、顎骨内植込み部の側面にはその軸方向に沿って複数の溝が形成されていることにより該溝が顎骨内植込み部の側面の顎骨に対する接触面積を大きくし、獲得された良好なオセオインテグレーションを充分に維持することが出来るという優れた効果が奏される。
【0052】
又、該溝が軸方向に沿って滑らかに形成されている設計とすることにより、顎骨に対する局部的応力集中がない効果があり、この点からも一旦獲得されたオセオインテグレーションが確実に維持されるという優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の1実施例の概略断面図である。
【図2】粘膜貫通部の概略側面図である。
【図3】同、平面図である。
【図4】顎骨内植込み部の概略斜視図である。
【図5】図5のV −V 部分断面図である。
【図6】図1相当他の実施例の概略断面図である。
【図7】同、更に別の実施例の概略断面図である。
【符号の説明】
6 顎骨
1,1´ ,1´´ 人工歯根
2 脚部(顎骨内植込み部)
3 頸部(粘膜貫通部)
4 頭部(補綴物支持部)
9 粘膜
11 回転防止構造部
12 耐力構造部
15,15´ ,15´´,17 固定ネジ
7 溝
8 カバー
7´ 受け部
Claims (8)
- 顎骨に対して埋設する下部の顎骨内植込み部、上部の補綴物支持部及び両者間の粘膜貫通部より成る人工歯根において、
上記補綴物支持部と粘膜貫通部とが一体となって貫通支持部を構成し、
上記貫通支持部と顎骨内植込み部とが2体に分離自在な一体構造体として構成され、
上記顎骨内植込み部に形成された凹構造と、上記貫通支持部に形成された凸構造とで構成される凹凸結合部を有し、該凹凸結合部が回転防止構造部及び水平応力に対する耐力構造部を有し、
上記顎骨内植込み部の凹構造と上記貫通支持部の凸構造とを凹凸結合させた状態で、両者がネジにより固定され、
上記貫通支持部が回転トルク受け部を有しており、上記ネジを締める又は緩める時に発生する回転トルクを、該回転トルク受け部を固定することにより受け止め、その結果、埋設された顎骨内植込み部に回転トルクがかからないようになっていることを特徴とする人工歯根。 - 上記凹凸結合部の回転防止構造部において、上記顎骨内植込み部の凹構造と上記貫通支持部の凸構造は、それぞれ、回転防止のためにその横断面形状が3角以上の多角形状に形成されており、
上記凹凸結合部の耐力構造部において、上記顎骨内植込み部の凹構造と上記貫通支持部の凸構造は、それぞれ、水平応力に耐え得るようにその横断面形状が円形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の人工歯根。 - 上記顎骨内植込み部の側面にはその先端に向けて2つ以上の溝が形成され、又は1以上の板状の突起が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の人工歯根。
- 上記貫通支持部の補綴物支持部側にメネジ構造を設け、補綴物をオネジにより固定出来る構造を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の人工歯根。
- 上記顎骨内植込み部と貫通支持部とを固定するネジ頭部が別の固定ネジで二重固定されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の人工歯根。
- 上記顎内植込み部、粘膜貫通部及び補綴物支持部がチタン又はチタン合金であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の人工歯根。
- 上記顎骨内植込み部がチタン又はチタン合金であって、その側面の表面が平均粗さ5μm以上の放電痕又はリン酸カルシウム系セラミック被膜を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の人工歯根。
- 上記貫通支持部の回転トルク受け部が、該貫通支持部の側面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の人工歯根。
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