JP3712589B2 - インジェクタの応答性調整方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、インジェクタの応答性を調整する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
インジェクタは、ソレノイドコイルに通電して弁を電磁力で吸引し、閉弁位置に付勢されている弁を開弁位置に移動させる。
このインジェクタで燃料噴射量を正確に制御するためには、応答性、即ち、ソレノイドコイルに対する通電を開始してから単位時間あたりの燃料噴射量が一定値に達するまでの時間が、正確に意図した時間に調整されている必要がある。
従来のインジェクタは、弁を閉弁位置に付勢しているバネ力の調整によって前記の応答性を調整していた。インジェクタは、燃料通路を形成する筒状部材を有する。この筒状部材の中で弁は閉弁位置と開弁位置の間で往復動する。そしてこの筒状部材の内部で弁よりも後方側に圧縮バネを挿入し、その圧縮バネによって弁を閉弁位置に付勢する。
圧縮バネの後端を支えて弁に圧縮力を作用させるために、燃料通路を形成する筒状部材の中にもう一本の筒を挿入する。この筒の先端で圧縮バネの後端を支える。
この構造では、燃料通路を形成する筒状部材に対する圧縮バネ押え用の筒の挿入深さを変えることでバネ力が変化することを利用し、そのバネ力を変化させて応答性を調整する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の構造では、専らバネを抑えるためだけの部材が必要で部材点数が多い。また、筒状部材の中で筒の挿入深さを変える場合、より深く挿入することは比較的簡単であっても、深く挿入したものを引き出そうとすると、筒状部材に挿入されている筒の後端を調整用冶具に連結する必要があり、実際には難しい。現状では深く挿入しすぎたインジェクタは不良品としている。
そこで本発明では、調整の過程で不良品を作らない技術を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段と作用】
本発明のインジェクタの応答性調整方法は、先端に燃料噴射孔を持つ燃料通路を形成する筒部と、その燃料噴射孔を開閉する弁と、その弁を開弁させるために前記筒部の外周に配置されたソレノイドコイルと、その弁を閉弁側に付勢する付勢手段とを備えたインジェクタの応答性を調整する。この応答性調整方法は、筒部に対してソレノイドコイルを組付けた状態でインジェクタの応答性を測定する工程と、測定された応答性に応じて、ソレノイドコイルを軸周りに回転させることなく前記筒部に対して先端側又は後端側に移動させる工程と、を有する。そして、測定工程と移動工程とを繰返すことで筒部に対するソレノイドコイルの軸方向位置を調整して応答性を調整する。
この調整方法では、筒部の外周に配置されているソレノイドコイルの軸方向の位置を調整するために、先端側にも後端側にも調整でき、行き過ぎれば戻せばよいことから、調整の過程で不良品を作ってしまうことがない。
【0005】
また、先端に燃料噴射孔を持つ燃料通路を形成する筒部と、その燃料噴射孔を開閉する弁と、その弁を開弁させるために前記筒部の外周に配置されたソレノイドコイルと、その弁を閉弁側に付勢する付勢手段とを備えたインジェクタであり、ソレノイドコイルの軸方向位置がソレノイドコイルを軸周りに回転させることなく前記筒部の先端側と後端側のいずれの方向にも調整可能であり、前記インジェクタの応答性が前記筒部に対するソレノイドコイルの軸方向位置によって調整されているインジェクタの場合にも、調整過程で不良品となってしまうことがない。
【0006】
【発明の実施の形態】
最初に本実施の形態の特徴を列記する。
(形態1) ソレノイドコイルがそれ自身でコイル形状を維持する能力があり、このコイルが筒部の外周に直接装着されていることを特徴とする請求項2に記載のインジェクタ。このインジェクタによると、小型で応答性が均一なインジェクタを量産することができる。
【0007】
(形態2) ソレノイドコイルが筒状の外側コアと、円板状のヨークによって、筒部の外周に位置決めされている請求項2に記載のインジェクタ。このインジェクタによると、組付け完了後に簡単に応答性を調整することができる。
【0008】
(形態3) ソレノイドコイルの軸方向位置の調整後に、樹脂カバーが成形されて位置ズレ禁止効果が補強されている請求項2に記載のインジェクタ。このインジェクタによると、応答性が長期間に渡って一定範囲内に維持される。
【0009】
【実施例】
図1はユニット化されたインジェクタアッシの部品群を示している。(A)と(C)はインジェクタAを示し、これはインジェクタアッシの種類を問わないで共通的に利用される。(E)から(J)は延長アダプタC群を示し、いずれか1種類が選択されて利用される。(B)と(D)は、1種類の延長アダプタ(この場合、ロングタイプCL)がインジェクタAに接続されてインジェクタアッシBが形成された状態を示している。
【0010】
延長アダプタC群は、(E)に示すショートタイプCS、(F)に示すミディアムタイプCM、(G)に示すロングタイプCLに大別される。ショートタイプCSはエンジン側のインジェクタ取付け位置と燃料配管間の距離が短い場合に選択され、ミディアムタイプCMはその距離が中間の場合に選択され、ロングタイプCLはその距離が長い場合に選択される。
【0011】
距離を同じくするタイプにもさらに細かな種類が存在し、例えば(G)に示される標準型のロングタイプCLに対して、(H)は電力線端子を接続する位置が先端側にあるものCL1、(I)は電力線の端子形状が相違している場合に利用されるものCL2、(J)は燃料配管に対する接続部C4の形状が相違しているものCL3を示す。この(H)から(J)に示すバリエーションがショートタイプCSにもミディアムタイプCMにも存在する。
【0012】
(E)から(J)に示す延長アダプタC群は、いずれも、インジェクタAの燃料通路を形成する筒部の後端部32Aに対する接続部C2の形状が同じであり、任意の延長アダプタCをインジェクタAに接続することができる。
【0013】
また、(E)から(J)に示す延長アダプタC群は、いずれも、インジェクタAの端子28A、28B(以下集合的に28ということがある)に接続される第2端子C1(正確には一対存在するが、ここでは集合的に第2端子C1という)の形状と位置が同じであり、任意の延長アダプタCをインジェクタAに接続することができる。即ち、任意の延長アダプタCの接続部C2をインジェクタAの後端部32Aに接続すると、第1端子28に第2端子C1が接続される。第1端子28は筒部の後端部32Aと平行に延出している為に、燃料通路の接続と端子同士の接続が同時に単一の動作で完了する。
【0014】
ショートタイプCSではインジェクタAに対する接続部C2と燃料配管に対する接続部C4の距離が短く、ミディアムタイプCMではその距離が中間であり、ロングタイプCLではその距離が長い。(H)の場合、電力線の端子に接続する第3端子C3の位置が前方にあり、(I)の場合、その第3端子C3の形状が相違している為に電力線の端子形状が標準形でないものを接続することができ、(J)の場合、燃料配管に対する接続部C4の形状が相違し、燃料配管側のインジェクタ取付け部の形状が標準型でない場合に対応することができる。
【0015】
インジェクタAは従来の量産品に比して小型化されており、図(B)に示すインジェクタアッシB、即ち、インジェクタAに延長アダプタCを接続した状態で従来のインジェクタと同じサイズとなる。
【0016】
図2には、インジェクタAの断面図を示す。図中32は磁性材で形成された筒であり、その内部に燃料通路を形成している。筒32の先端には弁座体4が固定されている。
弁座体4は、外形が円柱状であり、筒32の内周に圧入されている。弁座体4の内側には、後方から円柱状の孔4Dが開けられ、その先端側に円錐面4Aが形成され、円錐面4Aの先端は弁座体4の先端面に開口して燃料噴射孔4Bを形成している。円柱状の孔4Dは球状の弁先端10を軸方向に案内するガイド面として機能し、円錐面4Aは球状の弁先端10と当接して燃料噴射孔4Bを閉じるシール面として機能する。円柱状の孔4Dの回りには、周方向に等距離な3箇所に軸方向に伸びる燃料通路4Cが形成されている。
【0017】
弁座体4の先端には、プレート6が固定されている。プレート6はリング状の溶接部位8で弁座体4に固定されている。プレート6には複数の小孔6Aが形成されており、この小孔6Aによって噴射される燃料が霧化され、かつ噴射方向が決められる。
弁座体4とプレート6は筒32に圧入された後、筒32の先端がかしめられて筒32に位置決めされている。
【0018】
弁座体4の後方に、弁9が筒32内で軸線方向に移動自在に収容されている。弁9は、球状の弁先端10と軸部12が接続部11でレーザ溶接されて形成されている。弁9の先端は、前記したように、球状の弁先端10が円柱状の孔4Dによって半径方向には移動不能で軸方向に移動可能に案内されている。弁9の後端は、拡径部12Dが筒32によって半径方向には移動不能で軸方向に移動可能に案内されている。軸部12の小径部12Bには直径上の2箇所に孔12Aが設けられており、軸部12の内部から外部に燃料が通過できる。軸部12の全体、あるいは少なくとも拡径部12Dは磁性化されている。
【0019】
筒32の内部で弁9の後方には、磁性材で形成されたパイプ36が圧入されて固定されている。パイプ36の軸方向距離の略中間部に内側にくびれたリング状部分36Aが形成され、そのリング状のくびれ部分36Aと弁9との間に圧縮バネ34が圧縮状態で収容されている。圧縮バネ34の先端側は、弁9の軸部12の拡径部12Dと小径部12B間のリング状のフランジ部12Cで受けられている。
【0020】
パイプ36は筒32に固定されているために、圧縮バネ34は弁9を先端側に付勢し、球状の弁先端10が弁座体4のシート面4Aに当接し、燃料噴射孔4Bが閉じられる。バネ34の力で弁9は閉弁されている。
【0021】
筒32の外周に、磁気力によって弁9をパイプ36側に吸引して弁9をシート面4Aから離して(即ち弁を開いて)燃料を噴射孔4Bから噴射させるソレノイドコイル18が組付けられている。ソレノイドコイル18は、円筒状の外側コア16と円板状のヨーク20によって筒32の外周に位置決めされている。円筒状の外側コア16の後端部には、図1(A)に良く示されるように、ソレノイドコイル18と第1端子28を接続する配線やその回りに形成される樹脂成形体22Aが通り抜ける開口が切り欠かれている。
【0022】
図3はソレノイドコイル18を示し、このソレノイドコイル18は断面が長方形または正方形の導電性ワイヤを円筒状に巻いた形状をしている。このワイヤは導電性の芯の回りに絶縁層が被覆され、絶縁層の表面に融着層が被覆されており、円筒状に巻かれた状態で融着層同士を融着している為に、ソレノイドコイル18自体が円筒形状を保つ。融着層にはポリビニルブチラール、ナイロン、エポキシが好適に用いられる。融着処理には溶剤を利用したり、あるいは熱をかけて融着させる。
このソレノイドコイル18は、従来使用されていた糸巻き(ボビン)を有しないことから小型化される。また、断面長方形または正方形のワイヤが利用されていることから円筒形状に巻いたときにワイヤ間の接触部に隙間がなく、同一磁束を得るために断面円形のワイヤを巻いて作ったソレノイドコイルに比して体積を小さくすることができる。即ち、ソレノイドコイルの軸線に沿った断面で見るとき、断面円形のワイヤを巻いて作ったソレノイドコイルではコイル間に隙間ができるのに対し、断面四角形のワイヤを巻いて作ったソレノイドコイルではコイル間に隙間ができないので、導電体の合計断面積を同じにする場合、断面四角形のワイヤを利用したほうがソレノイドコイルを小型化できる。
【0023】
糸巻きを有さず、しかもワイヤ間に隙間を有しないソレノイドコイル18を利用し、このソレノイドコイルを筒32の外周に隙間なく直接に装着したことから、インジェクタAを非常に小型化でき、図1(B)に示す従来のサイズの約半分の大きさに抑えることができた。この小型化に成功したことがインジェクタアッシBをインジェクタAと延長アダプタCに分離してユニット化することを可能とした。
【0024】
図3に示すように、ソレノイドコイル18の後方には樹脂製の板30が配置されている。樹脂製の板30には、一対の端子28A、28Bとなる金属板がインサート成形されており、一対の端子28A、28Bの位置決めをする。また、樹脂製の板30は、ソレノイドコイル18の一対の端末をそれぞれの端子28Aと28Bに接続した状態を保持する。
【0025】
図2に示すように、ソレノイドコイル18と樹脂製の板30は、外側コア16とヨーク20によって位置決めされる。このとき、ソレノイドコイル18が外側コア16の内部でおどらないようにワッシャ15が利用されている。外側コア16とヨーク20は筒32の外周に圧入されてその軸方向位置が決められる。
【0026】
外側コア16と、筒32と、弁9の少なくとも拡径部12Dと、パイプ36と、ヨーク20は強磁性材料で形成されている。但し、筒32のうち、弁9の拡径部12Dとパイプ36が当接しあう近辺では全周に亘って非磁性化されている。このためにソレノイドコイル18に通電されると、外側コア16から、筒32、弁9の拡径部12D、弁9の拡径部12Dとパイプ36間の微小空間、パイプ36、ヨーク20を経て外側コア16に戻る磁気通路が形成される。この結果、バネ34の力に抗して弁9がパイプ36側に吸引されて燃料噴射孔4Bが開けられる。
【0027】
上記磁気経路の磁気抵抗は、ソレノイドコイル18の筒32に対する軸方向位置によって変化する。従ってソレノイドコイル18によって弁9をパイプ36側に吸引する力、ひいてはソレノイドコイル18に通電を開始してから弁9が開くまでの時間もまたソレノイドコイル18の筒32に対する軸方向位置によって変化する。
このインジェクタAでは、インジェクタAの組付け後に外側コア16とヨーク20の軸方向位置を調整して、インジェクタの応答性、即ち、ソレノイドコイル18に通電を開始してから弁9が開いて単位時間あたりの燃料噴射量が一定量になるまでの時間を一定時間に調整する。この調整方法によると、調整のための装置を簡単に製造できる。また、調整時間を短縮化できる。さらに、従来は応答性の調整のために、パイプ36の圧入位置を調整している為に圧入しすぎると再調整できず、不良品となってしまっていたが、本実施形態では、ソレノイドコイル18を先端側にも後端側にも調整できる為に、上記の不都合が存在しない。
この実施の形態ではパイプ36の筒32に対する挿入深さは一定に維持される。従ってバネ力は調整されない。代って、ヨーク20をまず筒32の右側から圧入してほぼ一定の位置に固定する。ついで、コイル18と円板30を筒32の左側から取付ける。最後に外側コア16を筒32の左側から圧入して、コイル18をヨーク20と外側コア16によって位置決めする。
この状態で応答性を調整する。この実施例の場合、ソレノイドコイル18を先端側にシフトすると弁9をパイプ36側に吸引する力が強まる。そこでソレノイドコイル18に対する通電開始タイミングから単位時間あたりの流量変化を測定し、一定流量になるまでの時間を測定する。測定された時間が遅すぎればヨーク20を先端側にさらに深く圧入する。早すぎれば外側コア16を後方側にさらに深く挿入する。このようにして応答性を調整した後に、後記する樹脂カバー22、2等を射出成形する。樹脂製カバー22はソレノイドコイル18が軸方向に変位することを禁止するように補助する。
ソレノイドコイルに糸巻きが利用されていると、磁気経路は糸巻きを取り囲むことになり、長くなる。本実施形態では糸巻きを有しないソレノイドコイル18が筒32の外周に直接装着されていることから磁気経路が短く磁気抵抗が小さくされており、これがまた小さなソレノイドコイル18で必要な磁気吸着力を得ることを可能にしている。
【0028】
図2において、図示14はインジェクタAとエンジン側の接続部を気密に保つオーリングであり、24はインジェクタAと延長アダプタCの接続部を気密に保つオーリングであり、26は燃料から異物を除去するフィルタである。また、2はインジェクタAの先端部を覆うアダプタであり、22は樹脂製の円板30とヨーク22と外側コア16の後端部の外周を覆うカバーであり、ともに、樹脂が射出成形されて形成されている。この樹脂のカバー22は概ね円筒形であるが、図1(A)に示すように、第1端子28の存在部位では、側方に突出し、第1端子28の基部となる。
【0029】
図4と5は、インジェクタAに延長アダプタCを接続したインジェクタアッシBを示す。図4に示されるように、延長アダプタCは、内部に一対の金属片40E,40Fがインサート成形された樹脂成形品42で一体に成形されている。一対の金属片40E、40Fは、それぞれが一端に、第1端子を受け入れる第2端子40A、40Bを持ち、他端に、電力線の端子を接続する第3端子40C、40Dを持つ。図4では、一対の金属片40Eと40Fが重なって表示されており、記号のみを二重に付している。それぞれの第2端子40A、40Bは2枚の金属板間に第1の端子28A、28Bを受け入れる。それぞれの第3端子40C、40Dは軸線方向に対して斜め上方に突出する。一対の電力線のそれぞれの先端には第4の端子が取付けられており、それぞれの第4端子は2枚の金属板間にそれぞれの第3端子40C、40Dを受け入れる。第2端子40A、40Bが図1では集合的にC1で示されている。第3端子40C、40Dが図1では集合的にC3で示されている。
【0030】
樹脂成形品42は、樹脂で一体に成形され、以下の形状を持つ。42Aは電力線先端の端子付きプラグ部を受け入れる筒部である。42Bは筒を作る壁であり、内部に燃料通路42Fを形成している。42Cは燃料配管に対する接続部であり(図1ではC4で示される)、オーリング44が燃料配管と延長アダプタCの接続部を気密に保つ。42Dと42Eは、インジェクタAの筒部32の後端部32Aを受け入れる部分であり、オーリング24によってインジェクタAと延長アダプタCの接続部が気密に保たれる。インジェクタAの筒部32の後端部32Aに対する接続部42D、42Eが図1では集合的にC1で示されている。42GはインジェクタAの樹脂製カバー22の後端部を受け入れて外から被覆する筒部である。但し、この筒部42Gは円周方向の一部で切り欠かれてインジェクタAの第1端子28の基部22Aを受け入れる。この筒部42Gには図5に示されるように、直径上の2箇所に貫通孔42Hが形成されている。
【0031】
樹脂製カバー22には、貫通孔42Hに対応する直径上の2箇所に外側に突出するバネ22Bが形成されている。このバネ22Bは、インジェクタAに延長アダプタCが接続されたとき、貫通孔42H内に突出してインジェクタAと延長アダプタCを抜止めする。
インジェクタAと延長アダプタCの抜止めは、バネ22Bと貫通孔42Hのスナップフィットでもよいが、両者を溶着、圧入、または接着して抜止めしても良い。あるいは接続用クリップを利用して両者を抜止めしても良い。
【0032】
インジェクタAに延長アダプタCが接続されて形成されたインジェクタアッシBは、従来のインジェクタと同様に、エンジン側と燃料配管の間に設置されて用いられ、第3端子40C、40Dに電力線が接続されて用いられる。
【0033】
上記したところから明らかに、燃料の噴射を制御する機能はインジェクタAで達成される。延長アダプタCは、インジェクタのエンジン側への取付け部と燃料配管の距離にあわせてインジェクタAの燃料通路を延長するものであり、樹脂で一体成形されている。延長アダプタCは多種類のものを用意しても元々安価に製造できるものであり、大きな問題とならない。それに対してインジェクタAには精巧な機構が組み込まれており、製造するコストが高い。このユニット化されたインジェクタによると、インジェクタのエンジン側への取付け部と燃料配管の距離のバリエーションに抗して同一のインジェクタAが利用できることから、製造コストが高価なインジェクタAについて十分な量産効果を得ることができインジェクタないしインジェクタアッシ一個あたりの製造コストを大幅に低下することが可能となる。
【0034】
上記したインジェクタAは延長アダプタCと接続して使用することもできるが、図6に示すように、燃料配管60に直接接続することもできる。ここで、122は、インジェクタAの樹脂製カバーであり、その外周から一対のバネ片122Aが突出している。このインジェクタAは、図1に示した樹脂製カバー22を形成するときの金型を代えるだけで製造でき、他は図2のものと同一である。
燃料配管60には、インジェクタAの後端部32Aを受け入れる開口部60C(これは燃料通路に連通している)、樹脂製カバー122を受け入れるくぼみ60B、第1端子28A、28Bを受け入れる第2端子(これは陰になっていて図示されていない。第2端子は燃料配管60の壁に埋設されている電力線に接続されている)、一対のバネ片122Aを受け入れる一対の貫通孔60Aが形成されている。
【0035】
この場合にも、一対の第1端子28A,28Bが筒部の後端部32Aに平行に伸びていることから、インジェクタAを燃料配管60に差し込むだけで燃料と電気の接続が完成する。
このようにして得られる部品組立体は、インジェクが小型化されているために、燃料配管とエンジン間の距離を短くすることができ、エンジンルームの小型化に対応しやすくなる。
【発明の効果】
この発明によると、インジェクタの応答性が簡単に調整され、調整過程で不良品をもたらすこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ユニット化されたインジェクタアッシの全体構成を示す図。
【図2】 インジェクタの断面を示す図。
【図3】 ソレノイドコイル部分を示す斜視図。
【図4】 インジェクタに延長アダプタを接続した状態の断面図。
【図5】 図4の状態の外観図。
【図6】 インジェクタを燃料配管に直接接続した組立体を説明する図。
【符号の説明】
A :インジェクタ
B :インジェクタアッシ
C :延長アダプタ
28 :端子
32 :筒部
18 ;ソレノイドコイル

Claims (4)

  1. 先端に燃料噴射孔を持つ燃料通路を形成する筒部と、その燃料噴射孔を開閉する弁と、その弁を開弁させるために前記筒部の外周に配置されたソレノイドコイルと、その弁を閉弁側に付勢する付勢手段とを備えたインジェクタの応答性調整方法であり、
    前記筒部に対してソレノイドコイルを組付けた状態でインジェクタの応答性を測定する工程と、
    測定された応答性に応じて、ソレノイドコイルを軸周りに回転させることなく前記筒部に対して先端側又は後端側に移動させる工程と、を有し、
    前記測定工程と移動工程とを繰返すことで前記筒部に対するソレノイドコイルの軸方向位置を調整して応答性を調整する方法。
  2. 先端に燃料噴射孔を持つ燃料通路を形成する筒部と、その燃料噴射孔を開閉する弁と、その弁を開弁させるために前記筒部の外周に配置されたソレノイドコイルと、その弁を閉弁側に付勢する付勢手段とを備えたインジェクタであり、
    ソレノイドコイルの軸方向位置がソレノイドコイルを軸周りに回転させることなく前記筒部の先端側と後端側のいずれの方向にも調整可能であり、前記インジェクタの応答性が前記筒部に対するソレノイドコイルの軸方向位置によって調整されているインジェクタ。
  3. 筒部の一方側から筒部に圧入された筒状の外側コアと、筒部の他方側から筒部に圧入された円板状のヨークと、をさらに備え、
    ソレノイドコイルが、外側コアとヨークによって筒部の外周に位置決めされており、
    前記筒部に対する外側コアの圧入位置と、前記筒部に対するヨークの圧入位置を調整することで、前記筒部に対するソレノイドコイルの軸方向位置がインジェクタの先端側と後端側のいずれの方向にも調整可能であることを特徴とする請求項2に記載のインジェクタ。
  4. ソレノイドコイルの軸方向位置の調整後に、樹脂カバーが成形されて位置ズレ禁止効果が補強されている請求項2又は3に記載のインジェクタ。
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US9359987B2 (en) 2009-02-16 2016-06-07 Robert Bosch Gmbh Injector

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