JP3712498B2 - 旋回燃焼ボイラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電用あるいは工場用等の発電を行うためのボイラに係り、特に、火炉内に旋回流を発生させて燃焼を行うようにした旋回燃焼ボイラに関する。
【0002】
【従来の技術】
火炉壁に設置されたバーナから、仮想円の接線方向に燃料と1次空気を吹き込み、火炉中心に中心円が形成される旋回流を発生させて、燃焼を行うようにした旋回燃焼ボイラが従来から使用されている。
このような、旋回燃焼ボイラでは、平面形が略正方形に形成される火炉壁の4隅にそれぞれバーナを設けるとともに、各バーナからの燃料等の吹き込み方向を、仮想円の接線方向になるようにして、火炉中心に中心をもつ仮想円の周縁に沿って流れる旋回流を発生させ、燃料と1次空気との混合を良くして燃焼させ、燃焼効率を高めるようにしている。
【0003】
また、火炉壁に設けるバーナは、旋回燃焼ボイラの蒸気発生容量に応じて、上下方向に3〜6段にわたって配設されるとともに、各バーナからの燃料等の吹き込み方向を、上下方向および水平方向に変動できるようにして、旋回流の上昇速度、および上述した仮想円の直径を変動させて燃焼量を変動させ、発電需要に合せて旋回燃焼ボイラを稼動できるようにしている。
【0004】
図4、図5は、従来から使用されている、このような旋回燃焼ボイラの1例を示す図である。
図4において、01は旋回燃焼ボイラの火炉全体を示す図、02は内部に伝熱管が配設されるとともに、燃焼反応区画04を内部に形成する火炉壁、03は火炉壁02の4隅にそれぞれ配置されて1段を形成するものを、上下方向に3段にわたって設けたバーナ、03Uはバーナ03のうち上段に設置された上段バーナ、03Mは中段に設置された中段バーナ、03Lは下段に設置された下段バーナ、05はバーナ03のそれぞれから燃焼反応区画04に吹き込まれる燃料と1次空気との混合気である。
【0005】
また、図5に示すように、平面視で正方形に形成された火炉壁02の4隅に、それぞれ設けられるとともに、上下方向へ3段にわたって設けられた、上段バーナ03U、中段バーナ03Mおよび下段バーナ03Lからは、火炉中心06を中心とする仮想円07の周縁に沿って旋回する旋回流を、燃焼反応区画04に形成するように、それぞれ火炉中心06から外れた方向に混合気05が吹き込まれる。
【0006】
なお、燃焼反応区画04に吹き込まれる混合気05の吹き込み方向は、バーナ03のそれぞれを作動させることにより、上下方向には、図に示すように水平面と平行に吹き込むようにすることも、水平面に対して上方、又は下方向に向けて吹き込むようにすることも、さらに水平方向にも吹き込み方向を変えて吹き込むようにすることもできる。
【0007】
このようにすることにより、例えば、図示するように、吹き込まれる混合気05で形成される仮想円07の大きさが、上段バーナ03U、中段バーナ03M、下段バーナ03Lの順に、大きくなるようにすることも、また仮想円07を水平面から任意に傾斜するようにすることもできる。
このようにして、火炉壁02の四隅から火炉内04へ吹き込まれた混合気05は、図示されていない着火源により着火され火炎を形成する。
これらの火炎は、旋回流となってファイアボルテックス08を形成し、旋回半径を大きくしながら燃焼反応区画04を上昇する旋回燃焼を行い、火炉壁02内等に配設されてある伝熱管を加熱し、蒸気を発生させる。
【0008】
このような旋回燃焼を行うようにした、旋回燃焼ボイラ01では、燃焼反応区画04全体に旋回流が形成され、各段のバーナ03からそれぞれ吹き込まれた混合気の燃料と1次空気とが、燃焼反応区画04の略全域を有効利用して燃焼するために、局所的に燃焼ムラが生じることが少なく、灰中の未燃分の少くでき、また燃焼ガス中の窒素酸化物(NOx)が少くなる燃焼ができるという利点がある。
【0009】
しかしながら、上述した従来の旋回燃焼ボイラ01では、火炉壁の上下方向に複数段配置されたバーナ03から、燃焼反応区画04に吹き込まれる混合気05の全てが、旋回流となってファイアボルデックス08を形成するようにしているため、ファイアボルデックス08の中心部では、渦の効果により燃焼反応に使用されない領域ができることによる不具合がある。
【0010】
すなわち、従来の旋回燃焼ボイラでは、上述したように燃焼反応区画04の略全域が燃料と1次空気との燃焼に利用でき、他の燃焼方式を採用したボイラに比較して、燃焼効率を向上させることができるものの、ファイアボルテックス08の中心部が火炉としての有効利用されないため、火炉有効利用率が低く、燃焼反応区画04の全域を燃焼反応に有効に利用することができず、燃焼効率をさらに向上させることができないという不具合があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来の旋回燃焼ボイラの不具合を解消するため、旋回燃焼するファイアボルテックスの中心部をも、燃料と燃焼空気との燃焼反応に使用するようにして、燃焼反応区画全域を燃焼反応に有効利用できるようにして、火炉有効利用率を高め、燃焼効率をさらに向上させることのできる旋回燃焼ボイラを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明の旋回燃焼ボイラは次の手段とした。
火炉壁の上下方向に複数段のバーナが配置され、各段においてそれぞれ火炉中心を中心にして前記火炉壁内に形成される仮想円の接線方向に前記バーナから燃料と空気の混合気を吹き込み、旋回燃焼させるようにした旋回燃焼ボイラにおいて、前記バーナのうち中央の段に設置されたバーナが前記仮想円の中心に向けて燃料と空気の混合気を吹き込むように配置した。
【0013】
なお、バーナが上下方向に3段以上配置されるものにおいては、中央の段に配置されるバーナが、仮想円の中心を指向するように配置されることが好ましい。すなわち、上下方向に3段配置されるものにおいては2段目のバーナ、4段配置されるものにおいては2段目、3段目のバーナ、5段配置されるものにおいては3段目のバーナ、6段配置されるものにおいては3段目、4段目のバーナがそれぞれ仮想円の中心を指向するように配置されることが好ましい。
【0014】
本発明の旋回燃焼ボイラは、上述の手段の採用により、例えば、上段および下段のバーナからは、従来の旋回燃焼ボイラと同様に火炉中心に設定された仮想円の周縁接線方向に混合気を吹き込み、燃焼反応区画に旋回流を発生させ、ファイアボルテックスを形成し、燃焼反応区画の略全域を有効に利用して燃焼させることができるとともに、中段のバーナからは、火炉中心に向けて混合気を吹き込み、旋回燃焼を行っている旋回流の中心部にも火炎を形成し、燃焼を行わせることができるので、従来の旋回燃焼ボイラでは燃焼反応に使用されていなかった旋回流の中心部が、さらに、燃焼反応に使用されることとなり、燃焼反応区画の全域が燃焼反応に有効に利用されることになる。
【0015】
これにより、従来の旋回燃焼ボイラに比較して、局所的に発生することのある燃焼ムラが、さらに低減し、吹き込まれた燃料の未燃分がさらに少くなるようにして燃焼を行うことができる。
さらに、この燃焼効率の向上により、燃焼により発生し、排ガスとともに排出されるNOx量を、さらに低減することができる。
なお、本発明者等の実験によれば、本発明の旋回燃焼ボイラでは、従来の旋回燃焼ボイラに比較して、灰中未燃分を2%から1.5%に低減できるとともに、NOx量を110ppmから80ppmに低減できることが判明した。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の旋回燃焼ボイラの実施の一形態を図面にもとづき説明する。
図1は本発明の旋回燃焼ボイラの実施の第1形態を示すボイラ火炉全体の縦断面図、図2(a)は図1の矢視A−A、図2(b)は図1の矢視B−B、図2(c)は図1の矢視C−Cのそれぞれにおける横断面図である。
【0017】
図1において、1は旋回燃焼ボイラ、2は火炉壁、3はバーナで上段に設置された上段バーナ3U、中段に設置された中段バーナ3Mおよび下段に設置された下段バーナ3Lからなる。
また、4は燃焼反応区画、5はバーナ3から燃焼反応区画4に吹き込まれる燃料と1次空気の混合気である。
【0018】
図2(a)、図2(c)に示すように、横断面形状が正方形に形成された火炉壁2の4つのコーナ部近傍に、3段にわたって設けられ、混合気5を燃焼反応区画4に吹き込むバーナ3のうち、上段バーナ3Uおよび下段バーナ3Lは、従来の旋回燃焼ボイラ01と同様に火炉中心6を中心にもつ仮想円7を燃焼反応区画4に形成するように、それぞれ火炉中心6から外れた方向に混合気5が吹き込まれるように、方向決めされて火炉壁2に設置されている。
【0019】
なお、燃焼反応区画4に吹き込まれる混合気5の吹き込み方向は、バーナ3U,3Lのそれぞれを作動させることにより変えることができ、この吹き込み方向の変更により、これらのバーナ3U,3Lから吹き込まれる混合気5で形成される旋回流、換言すれば仮想円7の大きさ、および傾きを変え、これらの旋回流から形成され上昇していくファイアボルテックス8の形状を変えるようにすることもできる。
また、図2(b)に示すように、中段に設置された中段バーナ3Mにおいては、ファイアボルテックス8の中心、すなわち、火炉中心6に向けて対角線上に混合気5を噴射するようにしている。
【0020】
このように、本実施の形態の旋回燃焼ボイラ1では、中段バーナ3Mによりファイヤボルテックス8中心、すなわち火炉中心6に向けて、対角線上に混合気5を噴射することにより、中段バーナ3Mから吹き込まれる混合気5による仮想円7は形成されないが、上段バーナ3Uおよび下段バーナ3Lによって形成されるファイアボルテックス8の中心部、すなわち従来の旋回燃焼ボイラ01では、渦の効果により燃焼反応に使用されることのなかった領域が、燃焼反応に有効に利用されるようになる。
これにより、ファイアボルテックス8の中心部に火炎が形成され、これにより燃焼反応区画4の全域が燃焼反応に利用されることにより、火炉の有効利用率をさらに高めることができる。
【0021】
以上、本実施の形態の旋回燃焼ボイラ1について説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではなく、発電用あるいは工場用等の旋回燃焼ボイラの火炉高さ方向に複数段設置されるバーナの配置において、ある段のバーナにおいては、ボイラの火炉中心に中心を設定した仮想円に対して燃料を接線方向に噴射して、ファイヤボルテックスを形成し、特定の段のバーナにおいては、火炉中心に向けて対角線上に燃料を噴射し、ファイアボルテックス中心部に燃料を供給し燃焼を行うことで、ファイアボルテックスの中心部に火炎を形成するようにしたものであれば良いものである。
【0022】
また、3段以上のバーナ段数を持つものでは、表1に示す中段のバーナを火炉中心に向けて、対角線上に混合気を噴射し、ファイアボルテックス中心部で燃焼を行い、ファイアボルテックスの中心部に火炎を形成するようにした「特定の段」のバーナにすることが望ましい。
【0023】
次に、図3は従来の旋回燃焼ボイラ01と本実施の形態の旋回燃焼ボイラ1との火炉出口でのNOx量と灰中未燃分の比較をするために、本発明者等が取得した実証データである。
この実証データは、出願人が所有するバーナ段数6段の1.5t/hマルチバーナ試験炉の3段および4段を、上述した「特定の段」のバーナにし、燃料および燃焼条件を表2の通りにして得られたものである。
図3に示されるように、本実施の形態の旋回燃焼ボイラ1におけるNOx量は、従来の旋回燃焼ボイラ01のものよりも30ppm低減した80ppmに、また、灰中未燃分は、0.5%低減した1.5%にすることができた。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の旋回燃焼ボイラによれば、火炉壁の上下方向に複数段のバーナが配置され、各段においてそれぞれ火炉中心を中心にして前記火炉壁内に形成される仮想円の接線方向に前記バーナから燃料と空気の混合気を吹き込み、旋回燃焼させるようにした旋回燃焼ボイラにおいて、前記バーナのうち中央の段に設置されたバーナが、前記仮想円の中心に向けて燃料と空気の混合気を吹き込むように配置したことにより、特定の段以外に設置されたバーナからは、従来の旋回燃焼ボイラと同様に火炉中心に設定された仮想円の周縁接線方向に混合気を吹き込み燃焼反応区画に旋回流を発生させ、ファイアボルテックスを形成し、燃焼反応区画の略全域を有効に利用して燃焼させることができるとともに、特定の段のバーナからは火炉中心に向けて混合気を吹き込み、旋回燃焼を行っている旋回流の中心部にも火炎を形成して、燃焼を行わせることができる。
【0027】
これにより、従来の旋回燃焼ボイラでは、燃焼反応に使用されることのなかった旋回流の中心部が燃焼反応に使用されることとなり、燃焼反応区画の全域が燃焼反応に有効に利用され、局所的な燃焼ムラがさらに低減し、吹き込まれた燃料の未燃分を、さらに少くして燃焼させることができるとともに、燃焼により発生するNOx量をさらに低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の旋回燃焼ボイラの実施の第1形態を示すボイラ火炉全体の縦断面図,
【図2】図1の横断面図で、図2(a)は図1の矢視A−Aにおける横断面図,図2(b)は図1の矢視B−Bにおける横断面図,図2(c)は図1の矢視C−Cにおける横断面図,
【図3】本発明および従来の旋回燃焼ボイラにおけるNOx量、灰中未燃分を比較するための実証データ,
【図4】従来の旋回燃焼ボイラのボイラ火炉全体の縦断面図,
【図5】図4の横断面図で、図5(a)は図4の上段バーナ位置における横断面図,図5(b)は図4の中段バーナ位置における横断面図,図5(c)は図4の下段バーナ位置における横断面図である。
【符号の説明】
1 旋回燃焼ボイラ
2 火炉壁
3 バーナ
3U 上段バーナ
3M 中段バーナ
3L 下段バーナ
4 燃焼反応区画
5 混合気
6 火炉中心
7 仮想円
8 ファイアボルテックス
Claims (1)
- 火炉壁の上下方向に複数段のバーナが配置され、各段においてそれぞれ火炉中心を中心にして前記火炉壁内に形成される仮想円の接線方向に前記バーナから燃料と空気の混合気を吹き込み、旋回燃焼させるようにした旋回燃焼ボイラにおいて、前記バーナのうち中央の段に設置されたバーナが、前記仮想円の中心に向けて燃料と空気の混合気を吹き込むように配置されていることを特徴とする旋回燃焼ボイラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09728297A JP3712498B2 (ja) | 1997-04-15 | 1997-04-15 | 旋回燃焼ボイラ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09728297A JP3712498B2 (ja) | 1997-04-15 | 1997-04-15 | 旋回燃焼ボイラ |
Publications (2)
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JPH10288305A JPH10288305A (ja) | 1998-10-27 |
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Family
ID=14188167
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP09728297A Expired - Fee Related JP3712498B2 (ja) | 1997-04-15 | 1997-04-15 | 旋回燃焼ボイラ |
Country Status (1)
Country | Link |
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Families Citing this family (1)
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---|---|---|---|---|
JP5271660B2 (ja) * | 2008-10-10 | 2013-08-21 | 三菱重工業株式会社 | 旋回燃焼ボイラ |
-
1997
- 1997-04-15 JP JP09728297A patent/JP3712498B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH10288305A (ja) | 1998-10-27 |
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