JP3712280B2 - 内燃機関の学習制御方法及びその内燃機関 - Google Patents

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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は内燃機関の制御方法に関し、特に酸素濃度センサ(O2センサ)を用いた燃料噴射制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車を含む車両搭載エンジンや、モーターボートその他の小型船舶用エンジンは、マイクロコンピュータ等からなる制御回路を備え、予めセットされたプログラムに従って、運転状態に対応して最適な点火時期や燃料噴射量あるいは噴射タイミングを演算し、エンジンを最適な駆動状態で運転するように制御される。
【0003】
このようなエンジン(内燃機関)の制御方法において、2サイクルエンジンや4サイクルエンジンあるいは単気筒エンジンと多気筒エンジンに対応してそれぞれに適合した制御を行う必要がある。2サイクルエンジンは4サイクルエンジンに比べ、動弁機構を持たないため構造が簡単で小型となり、同一排気量、同一回転速度の場合大きな出力が得られる反面、掃排気を行う機構上ガス交換が完全に行われにくく、吹き抜け損失や燃料消費およびシリンダ等の熱損失が大きくなる。このため2サイクルエンジンでは運転状態に対応した微妙な制御がむつかしく、4サイクルエンジンでは実用化されているO2 センサー等を用いたエンジン制御は2サイクルエンジンでは実用化の段階に至ってない。
【0004】
また、多気筒エンジンの場合は、各気筒の配置状態の相違や気筒同士の影響により気筒ごとに運転状態が異なってくるため、各気筒をそれぞれ別個に制御する必要があり、制御方法も単気筒エンジンに比べ複雑になる。
【0005】
内燃機関の制御を行う場合、エンジン回転速度、スロットル開度、吸気温度、排気ガス酸素濃度、シフト位置等の各種運転状態を検出し、この検出情報に基づいて、予め定めた制御プログラムに従って、そのときの最適空燃比や燃料噴射量、噴射タイミング、点火時期等を演算し、この演算値を基にエンジンを駆動制御している。この場合、制御プログラムは、検出情報の読み込みルーチンと、読み込んだ検出情報に基づいて各制御量を演算する複数の演算ルーチンを予め定めたシーケンスに従って配置したメインルーチンを有し、このメインルーチンに従って演算処理が行われる。演算ルーチンにおいては、読み込んだ最新データに基づいて、各種運転状態に対応して予め最適制御量を記憶させた2次元マップあるいは3次元マップから、必要な読み込みデータに対応して演算を行う。
【0006】
このマップ演算においては、例えば多気筒エンジンの点火時期演算処理の場合、スロットル開度データとエンジン回転数データを縦横の座標軸として、所定のデータ値ごとに3次元的に点火時期のデータを記録した点火マップを気筒ごとに有し、この複数の点火マップを不揮発性メモリに予め記憶させておく。読み込んだデータ値、例えば検出した回転数データは、このマップの回転数データ軸の値と低回転側から順次比較され、検出データと一致するまで高回転側に進む。同様にスロットル開度データのマップ値と検出値の一致点を検索し両データ値の交点のマップ上に記録されている点火時期データを読む。この場合、検出データがマップの座標軸上のデータの中間位置のときには、比例演算処理により記録されたマップデータから検出データに対応した点火時期データを算出する。これを全気筒について各気筒ごとの点火マップに基づき順次実施し、全気筒の点火時期データを算出する。
【0007】
このようにして点火時期をマップ演算した後、この演算値を基本点火時期として、さらにエンジン温度や大気圧等の各種検出データに基づいて補正量を演算し、この補正を上記基本点火時期演算値に加えて最終的な各気筒ごとの点火時期を算出する。同様にして、燃料噴射量についても基本噴射量と補正量を検出データに基づいてマップ演算により算出し、運転状態に応じた各気筒ごとの最適燃料噴射量が演算される。
【0008】
このような演算処理において、検出データの読み込みは、メインルーチンの実行中に行われ、予め定めた一定の時間間隔で一定の読み込み処理時間で最新データが揮発性メモリに取込まれ、順次演算が行われる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
多気筒4サイクル内燃機関においては、通常排気管の集合部後方に排気ガス浄化用の三元触媒が設けられる。この三元触媒の触媒作用効率が最大となる空燃比で排気ガス浄化を行うために、三元触媒の前にO2センサを設け、このO2センサの出力に応じてほぼ理論空燃比(A/F=14.7)となるように燃料噴射量のフィードバック制御を行っている。この場合、目標値となる理論空燃比に向けてリーン方向およびリッチ方向の燃料噴射が全気筒に対し繰返される。
【0010】
このO2センサの出力は、理論空燃比近傍を境として大きく変化するため、このO2センサを用いて、三元触媒による浄化の目的以外に空燃比制御による燃料噴射制御を行うことが考えられる。
【0011】
一方、2サイクル内燃機関においては、その掃気行程で新気の吹き抜け現象が起こり、排気ガス中に新気中のO2成分が混入する。この新気中のO2成分の量は気筒燃焼状態や運転状態により大きく変化し既燃ガス中のO2成分に対する比率が変動する。このため、排気管にO2センサを取付けても、気筒内で実際に燃焼したガス中のO2成分の量を正確に検出できず、従って、この検出結果によっては空燃比を適正に制御することができない。
【0012】
この問題に対処するため、燃焼室から排気ポートを介して燃焼ガスが排出されるタイミング以前に、燃焼ガスを燃焼室シリンダ壁の別のポートを介して取り出し、この燃焼ガスのO2濃度を検出することによりO2センサによる空燃比のフィードバック制御を行うことが考えられる。
【0013】
このような4サイクルあるいは2サイクルの多気筒内燃機関におけるO2センサによる空燃比フィードバック制御(以下単にO2フィードバック制御という)は、各気筒について点火時期および燃料噴射等の基本制御量を演算しさらにエンジン温度その他の運転状態検出データに基づく補正演算を行った後に行われる。これにより、各気筒について演算した燃料噴射量等の制御結果に基づいてフィードバック制御により最適な空燃比が確実に得られるようにしている。
【0014】
一方、例えば船舶用エンジンにおいては、スロットルをほぼ全開にしたクルージング運転領域において、特に燃費の向上を目的として、燃料を通常運転時の理論混合比よりリーン側にセットするリーン制御が行われる。
【0015】
しかしながら、このようなリーン制御中にO2フィードバック制御を行うと、このO2フィードバック制御によるリッチ側およびリーン側への噴射量の変動がエンジン回転数に大きく影響し、特にリーン側の燃料噴射時にエンジン回転数が低下し回転が不安定となり出力低下の原因となる。
【0016】
また、経時変化等により、最適噴射量と演算結果にズレを生じた場合、O2フィードバック制御開始後収束までに時間を要し、さらにその間の噴射量変動によりエンジン回転数が変動するという不都合がある。
【0017】
本発明は、上記従来のO2フィードバック制御において考えられる問題点に鑑みなされたものであって、O2フィードバック制御領域内のリーンセット領域において、エンジン回転数の変動を抑制し、安定したエンジン回転が得られる内燃機関の空燃比制御方法の提供を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明では、酸素濃度フィードバック制御領域において、所定のリーンセット領域の運転状態になったときに、以前このリーンセット領域において演算した制御データに基づいて酸素濃度フィードバック制御を行うこととし、前記制御データは、基本噴射量に対する補正量であって、2回目以降のリーンからリッチまたはその逆への反転位置における所定数の補正係数を平均して求めた補正係数を基に演算した補正量であることを特徴とする内燃機関の学習制御方法を提供する。
【0019】
好ましい実施例においては、前記制御データは、基本噴射量に対する補正係数であって、2回目以降のリーンからリッチまたはその逆への反転位置における所定数の補正係数を平均して求めた補正係数を基に演算した補正量であることを特徴としている。
【0020】
さらに好ましい実施例においては、スロットル開度およびエンジン回転数を軸とするマップ上に書込まれた補正係数及び補正量に基づいて燃料噴射制御量を演算する学習制御方法であって、前記リーンセット領域の運転状態においては、演算した平均補正係数を基に計算した補正量を学習値としてマップに書込んでマップデータを更新することを特徴としている。
【0021】
前記目的を達成するために、本発明ではさらに、
酸素濃度フィードバック制御による燃料噴射の補正量を演算するための補正マップと、
所定のリーンセット領域における酸素濃度フィードバック制御を行うための学習マップと、
前記リーンセット領域において学習制御条件を判断する判別手段と、
前記学習制御条件に適合する場合に、前記学習マップに基づく所定数の補正係数の平均値を演算し、これを基に計算した補正量を新たなマップデータとして前記学習マップに書込み可能とするための記憶手段と、
を具備したことを特徴とする内燃機関の学習制御装置を提供する。
【0022】
さらに本発明では、
燃料噴射手段と、
エンジン回転数検出手段と、
負荷検出手段あるいは空気量検出手段と、
特定気筒の既燃ガスの酸素濃度を検出するための酸素濃度検出手段と、
上記エンジン回転数検出手段、および負荷検出手段あるいは空気量検出手段の検出結果に基づいて、上記燃料噴射手段の燃料噴射量を制御するための制御装置と、
上記制御装置による制御量演算のベースとなるデータをマップとして記憶するためのメモリ手段とを具備し、
所定の運転状態において、上記酸素濃度検出手段の検出出力に応じて噴射燃料を目標値に対しリッチ側およびリーン側に振らせて酸素濃度フィードバック制御を行うとともに、
所定のエンジン回転数、および負荷あるいは空気量の条件において空燃比をリーン側にセットするリーン制御を行う内燃機関において、
上記制御手段は、上記エンジン回転数、および負荷あるいは空気量がリーン制御領域にある場合に、上記マップにより演算した制御量を学習値として記憶し、次回のリーン制御のときにこの学習値に基づいて燃料噴射量を制御するように構成されたことを特徴とする内燃機関を提供する。
【0023】
【作用】
所定条件のリーンセット状態となった場合に、このリーン制御における制御量を学習値として記憶し、次回にリーンセット状態となった場合にこの学習値に基づいて燃料噴射を制御する。この場合、学習値は、例えばO2フィードバック制御の収束後、リッチからリーンへまたはその逆への切り替え点での制御量データを所定数ピックアップしてこれらの平均値を算出し、この平均値を基に計算した補正量を学習値として記憶する。
【0024】
【実施例】
まず、図1から図11を参照して本発明の実施例が適用される船外機について説明する。なお、各図において図を分かりやすくするために細部の省略や相違点および縮尺の相違等があるが基本構成は同じである。
【0025】
図1は本発明実施例に係る船外機の船尾側からみた立面構成図であり、図2は平面図である。図2のFは船の進行方向前方を示す。また、図3は上記船外機エンジンの燃料系統を含む構成図であり、図4は船外機の外観側面図である。なお図3においては、図の単純化のため1気筒のみ示してある。
【0026】
なおここで、本発明の実施例である点火制御、燃料噴射制御方法および装置を搭載する船外機についての特徴を以下のとおり要約する。
【0027】
小型船舶用エンジンの場合、水上での使用という異なる使用条件のため、陸上の車両搭載エンジンに比べ構成や機能が異なってくる。特に船外機用エンジンの場合、構成や機能が大きく異なってくる。
【0028】
(1)エンジンのクランク軸が縦置き(鉛直方向)に配置される。従って、多気筒エンジンの場合、複数の気筒を縦に1列または2列に配設している。
【0029】
(2)エンジンのシリンダが水平置きに配置される。即ち、上記(1)の縦置きクランク軸に対応してシリンダは横(水平)に設けられる。
【0030】
(3)排気通路を構成する排気管が垂直方向に延設され、この排気管端部がカウリング下部の膨張室内に開口する。主排気通路はこの膨張室からさらに下方に延び、水面下のプロペラボスの後端またはロアケーシングの後端に設けた主排気口と連通する。この構成により、高速前進時に水流によりプロペラボスの後端(たはロアケーシングの後端)の主排気口部分は負圧となり、排気ガスが吸出されるため、膨張室の圧力が下がり、特に2サイクルエンジンの場合、エンジンからの排気効率および掃気効率が促進され性能向上が図られている。なお、4サイクルエンジンを使用する船外機でも排気効率の向上、排気行程の終期と吸気行程の初期が重なり合う動弁系をもつものでは、吸気効率の向上により、性能向上を図ることができる。
【0031】
このような排気通路の構成、機能上の特徴に対応して、船速に応じた点火時期制御、燃料噴射量制御および噴射タイミング制御を実施している。この場合、船の重量、船底形状が定まれば、プロペラ性能によりプロペラ回転数(エンジン回転数に対し所定比で減速)は、船速とほぼ一定の関係となる。従って、エンジン回転数および/またはスロットル(アクセル)開度に応じて上記各エンジン制御を行う。船外機においては、自動車等の車両に比べ、このようなエンジン回転数やスロットル開度変化による加速や減速の影響が非常に大きいため制御方法についてもこの点を充分考慮して実施している。
【0032】
また、後進時には、主排気口に水圧が作用して膨張室の圧力が上昇する。このため前進時に比べ排気効率が低下してエンジン性能が低下するとともに燃費の低下や排気エミッションの悪化を来す。このような不具合を防止するため、後進時には、前進航行時とは異なる点火時期制御、燃料噴射量制御および燃料噴射タイミング制御を実施している。
【0033】
さらに、前進航行時には、船は船尾側の水を引っ張りながら進行する。このためアクセル閉動作や失火制御等の減速時に、船は先に減速されるが、船が引っ張っている水は船尾側から船に押寄せる形となりいわゆる追波が発生する。これにより、主排気口に水圧がかかり排気効率が低下する。従って、この場合にも一定速度の航行時とは異なる制御が必要となる。このためには、排気膨張室の圧力を検出したりあるいは船外機の前進、後進の切替を検知することにより、これらの検出情報に基づいて各制御を行うことが有効であり、これを採用している。
【0034】
(4)船外機は、前述の膨張室から水面上の排気口に連通する副排気通路を有している。低速運転時には、エンジンからの排気圧力より水圧の方が大きいので、水面下の主排気口からの排気はできないため、水面上の副排気口から大気中に排気ガスを放出する。この場合、騒音対策のため副排気通路は迷路構造を採用している。
【0035】
(5)縦置きエンジン構造で、排気通路が垂直方向配置で排気ガスが上から下に流れる構造のため、下の気筒程温度上昇しやすくまた排気管路長さが短い。このため、下気筒の方が噴射燃料が気化しやすく、また膨張室の負圧レベルの影響が上下の気筒で異なるため排気脈動の利用による性能向上は上下の気筒で一律ではない。従って、これを配慮した制御を実施している。
【0036】
(6)排気ガスの温度を下げるため、膨張室内に冷却水を導入している。この冷却水ポンプはプロペラ軸に取付けられ、エンジン回転数に応じて冷却水量が増加する。従って、エンジン回転数に応じて膨張室の温度や排気管温度が変化し排気脈動に影響する。従って、膨張室の温度や排気管温度に応じて点火時期等を制御することにより、排気脈動の有効利用を可能としている。
【0037】
(7)排気通路冷却のための冷却水がエンジン脈動によりエンジン近傍に逆流することがある。この逆流に対する抵抗性が必要になる。
【0038】
(8)船体の抵抗特性として、特に軽い船やエンジン出力が大きい船の場合、船速が増加しても抵抗は船速に伴って単純に増加するわけではない。これはある特定の船速で船全体が波の上に浮き上がるプレーニング現象により抵抗が減少するためである。従って、船速を検出して制御する場合、この船の抵抗特性を考慮して制御している。
【0039】
(9)船外機は船体に対し取付け角度が調整可能である。この船外機の鉛直線に対する相対角度(船体に対する相対取付け角度)はトリム角と呼ばれる。トリム角の変化により、船体に対するプロペラ推力の方向が変化し船速が変化する。プロペラ性能上、船速に応じた最適トリム角がある。さらに、主排気口をプロペラボス後端に設けた船外機においては、トリム角が背圧に影響し、この点でもエンジン性能に影響する。
【0040】
吸気管噴射の場合、トリム角変化により、吸気管路の水平面に対する姿勢が変化する。一方、噴射直後の燃料は十分気化していないので、燃料の一部が液膜流として吸気管壁に沿って流れる。トリム角が変化すると、この液膜流の流れが変化し、燃焼室の空燃比が変化する。これは過渡応答的に発生する。従って、トリム角に応じて点火時期や燃料噴射量および噴射タイミングを制御することによりエンジン性能や燃費および排気エミッションを向上あるいは維持可能としている。
【0041】
(10)船は波浪中を高速で航行すると、水面上にジャンプすることがある。プロペラは空中に出ると抵抗がなくなり、エンジン負荷が極端に減少するためエンジンが過回転状態になり、エンジントラブルを起こすおそれがある。従って、水面とプロペラの相対位置を検知するか、エンジン回転数そのものを検知して過回転状態にならないように、失火制御あるいは燃料噴射量を絞る等により出力ダウンする必要がある。
【0042】
また、船外機には水面上の流木等に衝突するとき、跳ね上がることにより衝撃を緩和するデバイスが取付けられている。このような流木衝突時にもプロペラは空中に出る。跳ね上げ後プロペラが水中に戻るとき、出力が大であると急激に加速されることになってエンジン燃焼が不安定になる。これに対処するための燃料噴射制御も実施している。
【0043】
(11)船は始動性を特に要求される。始動悪化の原因は、自動車等の車両と同様に低いエンジン温度、混合気(燃料)不足および火花低下等がある。特に船外機の場合、火花電流が海水雰囲気のため漏電しやすく火花低下を起こしやすい。また、制御装置等の電装品の耐海水性が要求される。
【0044】
(12)船速が遅いとき(エンジン回転数が小さいとき)にはトリム角を小さくし、プレーニングの後にはトリム角を大きくした方がエンジン性能が向上する。従って、加速中この点を考慮してトリム角を制御することにより、加速性能(時間当たりの加速割合)を向上させている。
【0045】
(13)吸気中に海水ミストが入りやすいため、噴射装置、燃料供給装置、クランク室圧力センサー等の耐海水性が要求される。
【0046】
(14)燃料の主タンクは船内に配置し、副タンクを船外機のカウリング内に配置し、この2つの燃料タンク間にクランク室の圧力変化を駆動源とする燃料ポンプを設けている。
【0047】
(15)2サイクルエンジンの船外機の場合には、潤滑油(エンジンオイル)の供給も制御しなければならず、点火制御および燃料噴射制御と同時に実施している。
【0048】
(16)船は、風や潮流あるいは川の流れにより位置が少しづつ移動する。魚釣り等においては、漁場や釣りのポイントから船が移動しないように、長い時間安定して船の位置を保持する必要がある。この場合、アンカーでは海底が深い場所での船位置保持が困難であり、また迅速に移動することが必要な場合の対応が困難になる。従って、船位置保持のためには、アクセルをほぼ最小あるいは任意の中間開度にほぼ保持した状態でエンジンが停止することなく、安定して回転が持続すること、即ちエンジンに僅かの負荷がかかっている状態で安定したエンジン回転が得られる低速安定性(トローリング性能)が要求される。
【0049】
特に2サイクルエンジンは掃排気を実施しているため、低速において掃排気効率が低下し残留ガス量が増加する。しかも各サイクルごとにこのガス量が変化し、不整燃焼を引起こしてエンジン停止の原因となるおそれがある。従って、低速での安定した回転のためには、残留ガス量を減らしたりバラツキを押えることにより掃排気効率の向上を図ることが有効となる。この場合、船外機特有の問題として、背圧が外部の波浪の影響により変化し、その結果掃排気効率ひいては残留ガス量のバラツキを引起こす原因になっている。
【0050】
なお、船内に2サイクルあるいは4サイクルのエンジンを搭載する小型船舶用エンジンにおいては、上記(3)(4)(6)(7)(8)(10)(11)(13)(15)(16)の特徴を有する。また、水噴射推進式小型艇において水噴射方向(これもトリム角と呼ぶ)を変化させるものでは、水面に対して艇体の傾きが変化し、これにより、水中の排気口に作用する水圧即ち背圧が変化するので、(9)(12)の特徴をさらに有する。
【0051】
小型船舶搭載エンジンについては、以上説明したような点を踏まえて点火時期制御や燃料噴射量制御および噴射タイミング制御を行っている。
【0052】
また、本実施例の制御方法、装置を船内に搭載される小型船舶用の2サイクルあるいは4サイクルエンジン用に採用することも可能である。この場合、上記(3)(4)(6)(7)(8)(10)(11)(13)(15)の特徴をもつ。また、小型船舶として水噴射推進式小型艇において、水噴射方向(トリム角)を変化させるものでは、水面に対して艇体の傾きがトリム角により大きく変化し、これによる水中の排気口に作用する水圧即ち背圧が変化するので、(9)(12)の特徴もさらに併せもつことになる。
【0053】
この船外機のエンジン1は、V型バンク型式の2サイクル6気筒エンジンである。このエンジン1は、#1〜#6の気筒を有し、3気筒づつ2列の左バンク2と右バンク3に配置される。左バンク2には奇数番号の気筒#1、#3および#5が配列され、右バンク3には偶数番号の気筒#2、#4および#6が配列される。各気筒はシリンダ本体4内に設けられる。シリンダ本体4には各気筒周囲や排気通路周囲等に水冷ジャケット(図示しない)が形成されている。この左右のバンク2、3は、図2に示すように、クランクケース22に対しV型に設けられる。各気筒頭部にはシリンダヘッド20が設けられ気筒内燃焼室77(図3)に向けて点火プラグ19が装着される。各気筒内にはコンロッド17を介してクランク軸21に連結されたピストン18が装着される。クランク軸21は垂直方向に設けられ、これに対し各気筒#1〜#6が水平に設けられる。クランク軸21の上端部にはフライホイルマグネット71が設けられる。6個の気筒#1〜#6は、同じクランク軸21に対しコンロッド17が干渉しないように、#1〜#6の順に高さをずらせて配置してある(図1参照)。
【0054】
各気筒には排気ポート5が開口し、排気管6に連通している。また各気筒には掃気ポート29が開口し掃気通路30を介して燃焼室77とクランク室31とを連通させる。エンジン1はカウリング7内に収容され、カウリング7の下部にはアッパーケーシング8が装着されその下部にロアケーシング9が設けられる。ロアケーシング9の下部にプロペラ10が装着される。プロペラ10は、プロペラ軸35上に装着され図示しない伝達機構を介してエンジン1のクランク軸21と連結されている。
【0055】
排気管6の端部はアッパーケーシング8内の主膨張室11に開口する。主膨張室11は、ロアケーシング9内に設けた排気通路(図示しない)を介してプロペラ10の後面に設けた主排気口13に連通する。主膨張室11はさらに水面上のカウリング7内の副膨張室12と連通する。この副膨張室12には図示しない副排気口が形成される。
【0056】
気筒#1には後述する排気センサー(O2センサー)14が設けられる。この 実施例ではこの気筒#1が基準気筒となり、後述のようにこの気筒#1についての酸素濃度および各制御量を演算し、これを基本制御量として残りの気筒#2〜#6については、この酸素濃度または基本制御量に対する補正量をマップ演算して各気筒の制御量を算出する。
【0057】
この船外機38(図4)は、船体36に対しブラケット37を介して枢支軸41廻りに回転可能であり、取付け角度(トリム角)が調整可能に装着される。ブラケット37にはトリム角を検出するためのトリム角センサー39が設けられる。また、カウリング7内には後述のシフトセンサー40が設けられる。
【0058】
各気筒にはノックセンサー34(図3)およびエンジン温度センサー301(図1)が設けられる。なお、ノックセンサーおよびエンジン温度センサーは、排気センサー14と同様に基準気筒#1にのみ設けて他の気筒#2〜#6については、基準気筒#1の検出データを補正して制御量演算用のデータを算出してもよい。また、クランク軸21にはリングギヤ(図示しない)の回転に応じてパルスを発してクランク角を検出するクランク角センサー33が設けられる。
【0059】
図3に示すように、クランク室22には、吸気マニホルド24に連通する吸気ポート80が開口する。吸気ポート80にはリード弁23が設けられる。吸気マニホルド24にはインジェクター26が設けられるとともにスロットル弁25が備る。吸気マニホルド24には吸気温度センサー32が設けられる。また、吸気マニホルド24の外側において、スロットル弁25にはスロットル開度センサー15(図7参照)が設けられる。
【0060】
インジェクター26に供給される燃料は燃料タンク63内に溜められている。この燃料タンク63内の燃料は低圧燃料ポンプ64により水分離およびゴミ除去用フィルター66を介してサブタンク67に送られる。サブタンク67内の燃料は、高圧燃料ポンプ65によりインジェクター26に送られ、後述のように制御された噴射量および噴射タイミングで燃料が吸気マニホルド24内に噴射され所定空燃比の混合気を形成する。インジェクター26で噴射されなかった高圧燃料は、戻り配管70を通してサブタンク67に回収される。戻り配管70上には圧力レギュレータ69が設けられ、インジェクター26の噴射圧力を一定に保つ。これにより、インジェクター26の開弁による噴射時間を制御することにより燃料噴射量が制御できる。
【0061】
図5は直列3気筒エンジンの詳細図である。前述のV型6気筒エンジンと同様に、各気筒#1、#2、#3のシリンダ壁には掃気ポート29および排気ポート5が形成され、各排気ポート5は排気管6に連通している。また、各気筒周囲のシリンダ本体4には水冷ジャケット75が形成される。
【0062】
基準気筒#1のシリンダ壁には排気ガス検出ポート78が開口し、ガイド通路73を介して排気センサー14の蓄圧室(図示しない)に連通する。一方、この排気センサー14の蓄圧室は、図示しない他のガイド通路を介して他の気筒または#1気筒のクランク室に開口する補助ポートと連通している。この補助ポートの開口位置の設定により、ピストンのサイクル運動に伴う各気筒内の圧力変動に応じて、基準気筒#1の燃焼ガスのみを排気センサー14の蓄圧室に導入し、他の気筒の燃焼ガスや掃気時の新気の導入を阻止することができる。これにより基準気筒#1の排気ガス中の酸素濃度を確実に検出することができる。
【0063】
図6は、直列3気筒エンジンを搭載する船外機のアッパーケーシング8およびロアケーシング9内の排気通路の構成図である。排気管6の端部は主膨張室11に開口する。主膨張室11は、ロアケーシング9内の排気通路73を介してプロペラ軸35を通り主排気口(図1の13と同様)と連通する。主膨張室11内の排気ガスは、水冷ジャケット72内の冷却水とともに排気通路73を通して主排気口から水中に放出される。
【0064】
図7は上記エンジンの吸気部を示す平面構成図である。クランク室22には、吸気マニホルド24に連通する吸気ポート80が開口する。吸気マニホルド24には吸気通路79を通してエアクリーナ(図示しない)からの外気(吸気)が点線矢印Gのように導入される。吸気通路79の途中にはサイレンサ28が設けられる。81はオイルタンクを示し、76はスタータを示している。オイルタンク81にはオイルレベル検出センサー(図示しない)が設けられる。オイル供給系統は、図3で説明した燃料供給系統と同様に、船内にメインタンクを有し、オイルタンク81内の量が少なくなるとメインタンクから補給する。また、メインタンク内のオイル量が空になるとエンジンの高負荷運転をしないように制御される。スタータ76にはスタータ検出センサー(図示しない)が連結される。オイルタンク81のオイルは、クランク軸21により駆動されるオイルポンプ302により不図示のエンジンの潤滑必要部に送られる。オイル供給量はエンジン回転数が増加する程増加するとともに、スロットル弁レバー304の動きが連結リンク303によりオイルポンプ302に伝えられ、スロットル開度が大となる程増加する。なお、図は排気センサー14が取付けられた基準気筒#1を示している。図8は排気センサー14の詳細図である。この実施例の排気センサー14は、円筒形の金属製保護スリーブ104を有し、この保護スリーブ104の一端に締結具105が取付けられている。この保護スリーブ104内にジルコニア製の検出素子106が収容される。この検出素子106は、保護スリーブ104から突出しさらに締結具105からも突出している。締結具105から突出した検出素子106の端部は複数の孔111を有する着脱自在なプロテクタ109により覆われる。検出素子106の反対側の端部にはリード線107が連結され、後述の演算処理装置に接続される。検出素子106の先端部の内部には空洞108が形成され、またこの先端部近傍の検出素子内にセラミックヒータ112が設けられる。
【0065】
排気ガスはプロテクタ109の孔111を通して自由に流通し内部の検出素子106に接する。この検出素子106の内外両表面には白金の電極がメッキされ、この検出素子106の内外の酸素濃度差に応じて発生する起電力によって、排気ガス中の酸素濃度が検出される。また、セラミックヒータ112により検出素子106を適宜加熱することにより、運転状態によらず活性化することができ、安定した検出ができる。このような排気センサー14は、図5および図7に示すように、燃焼ガスのガイド通路73を介して基準気筒#1の燃焼室内および必要に応じて他の気筒と連通し、前述のように、この気筒#1の排気ガス中の酸素濃度を検出する。V型6気筒エンジンにおいても、図1に示すように基準気筒#1の排気ガス中の酸素濃度を検出する。
【0066】
図9は、排気センサー14を別の位置に取付けた構成例を示す。この例では、排気管6の途中にポート83を開口し、このポート83を介して排気センサー14側に排気ガスを導入する構成である。排気センサー14は固定支持部82を介して排気管6の側面に保持される。ポート83は、基準気筒(本実施例では#1)に近い位置に設けて基準気筒からの排気ガス酸素濃度を検出するように構成し、他の気筒についてはこの検出値を補正演算することにより酸素濃度データまたは制御量を求めるように構成する。なお、ポート83を排気管6上の適当な位置に設け排気ガス中の酸素濃度を代表値として検出し、これを直列3気筒エンジンでは各気筒#1〜#3、V型6気筒エンジンでは各気筒#1〜#6について補正演算して各気筒ごとの酸素濃度を求めてもよい。また、掃気サイクルでの新気がセンサー側に導入されることを防止するために、この排気センサーの検出部をさらに排気通路の下流側と連通させ、ピストンサイクルに伴う圧力変動を利用して排気行程時にのみポート83を介して排気ガスを導入するように構成してもよい。
【0067】
図10はプロペラ軸への動力伝達機構の詳細図である。前述のように、軸を鉛直方向に配置したクランク軸21にドライブシャフト42が連結され、その下端部にピニオン43が固定される。このピニオン43の前後に前進ギヤ44および後進ギヤ45がそれぞれ噛み合い反対方向に回転する。前進ギヤ44および後進ギヤ45の間にドッグクラッチ46が設けられる。このドッグクラッチ46はプロペラ軸35の軸に沿って摺動可能であり、前進ギヤ44または後進ギヤ45のいずれか一方と選択的に噛み合うことができる。図はいずれのギヤとも噛み合っていない中立位置を示している。このドッグクラッチ46は、プロペラ軸35を構成する前方軸35bおよび後方軸35aのうち前方軸35bに対してスプライン結合しており、前後方向に摺動可能かつ回転方向に前方軸35bと一体化しており、さらにクロスピン47を介してプロペラ軸35の軸方向に摺動可能なスライダー48に連結される。スライダー48の前端頭部はカムフォロア49に対し回転自在に連結される。このカムフォロア49は、シフトレバー50の下端部に設けたカム51により駆動される。即ち、シフトレバー50をその軸廻りに回転させてカム51を回転させ、これに応じてカムフォロア49を前(F)または後(R)に移動させる。これにより、スライダー48が前後に摺動し、ドッグクラッチ46が前進ギヤ44または後進ギヤ45のいずれか一方と噛み合い、ピニオン43の回転を前進方向または後進方向の回転力として前方軸35bに伝え、前方軸35bと摩擦溶接により一体化された後方軸35aに伝達する。
【0068】
なお、図10において、73はロアケーシング下部の排気通路を示し、排気ガスが冷却水とともに矢印Cのように流れ、主排気口13から矢印Dのように水中に放出される。
【0069】
図11は、上記ギヤシフトの駆動操作系統の構成図である。船外機38は、前述のように、ブラケット37aおよびクランプブラケット37bを介して船体36に対しチルト軸305廻りにトリム角θを変更可能に取付けられる。306はトリム角可変アクチュエータ、39はトリム角センサーを表している。
【0070】
カム51を端部に有するシフトレバー50は、カウリング内でピボット片52を介してリンクバー53に連結される。リンクバー53の端部にはピン55が突出して設けられる。このピン55は、カウリング内に固定した長孔ガイド54内で矢印Aのようにスライド可能に装着される。
【0071】
一方、船内にはギヤシフトおよびスロットル操作用のリモコンボックス56が設けられる。このリモコンボックス56は、船外機38に対しシフトケーブル57、スロットルケーブル58および電気信号ケーブル59の3本のケーブルを介して連結されている。シフトケーブル57はカウリング内で前述のリンクバー53のピン55に結合されている。リモコンボックス56には操作レバー60が設けられ、これを中立位置(N)から前進または後進側に駆動操作してシフトケーブル57を介してピン55を長孔リング54内でスライドさせる。これにより、リンクバー53が平行移動するとともに、その根元部のピボット片52を矢印Bのように回転させる。これにより、シフトレバー50がその軸廻りに回転し、カム51が回転して、前述のように、ドッグクラッチを介してクランク軸と前進用ギヤまたは後進用ギヤとを連結する。操作レバー60を前進または後進のシフト操作完了位置即ちスロットル弁全閉位置からさらにF方向(前進時)またはR方向(後進時)に移動させることにより、スロットルケーブル58を介して船外機38内のエンジンのスロットル弁が全開方向に動作する。 このシフトケーブル57には、シフトカットスイッチ(図示しない)が設けられている。これは、高負荷運転時にドッグクラッチ46(図10)をギヤ44または45から切り離そうとする際、クラッチとギヤ間の噛み合い面圧が非常に大きくなるため、ケーブルに大きな荷重がかかる。シフトカットスイッチは、この荷重によるケーブルの弾性変形量を検出することにより過大なクラッチ噛み合い圧力を検知し、エンジン回転を下げてクラッチの切り替えを楽に行うようにするためのものである。このようなシフトカットスイッチはカウリング内に設けてもよいし、あるいはリモコンボックス内に設けてもよい。
【0072】
リモコンボックス56にはさらに落水検知スイッチ(図示しない)が設けられている。この落水検知スイッチは、例えば乗員の身体に結び付けたワイヤにスイッチを連結し、落水事故等の緊急時にスイッチを動作させてエンジンを停止させ直ちに船を停止させるためのものである。また、リモコンボックス56には独立のエンジン停止操作スイッチ(図示しない)も設けられている。
【0073】
次に上記構成の船外機の制御全般について図12から図18を参照して説明する。図12は、本実施例の制御系統全体を示すシステムブロック図である。制御プログラムを格納したマイクロコンピュータ等からなる演算処理装置の入力側(図の左側)に、エンジンの各種運転状態を検出するためのセンサー等からなる各検出手段が接続される。これらの検出手段について、以下順次説明する。
【0074】
気筒検出手段#1〜#6は、クランク軸廻りに6個配置され、各気筒についての制御演算を実行する場合のイベント割込み(後述のTDC割込み)を実行するためのトリガ信号を発生する。これは、例えば各気筒のピストンが上死点またはそれより所定角度(クランク角度)手前に位置する瞬間に信号を発するように構成する。従って、本実施例ではクランク軸の1回転中に60度ごとに1つの気筒検出信号が各気筒#1〜#6から順番に演算処理装置に送られる。
【0075】
クランク角検出手段202は、点火時期制御のベースとなる角度パルスを発するものであり、クランク軸に係合するリングギヤの歯数に対応してパルス信号を発する。例えばギヤ歯数112歯に対応して1回転中に448パルスを発するように構成すれば、1パルスごとにクランク軸が0.8度回転することになる。
【0076】
スロットル開度検出手段は、吸気マニホルドに設けたスロットル弁の開度に応じてアナログ電圧信号を発する。演算処理装置はこのアナログ信号をA/D変換してマップ読取り等の演算処理を行う。
【0077】
次のトリム角度検出手段から吸気温度検出手段までは、エンジンの運転条件に対する環境変化があった場合にこの変化に応じて制御量を補正するためのものである。トリム角度検出手段は、前述のように、船外機の取付け角度を検出するものである。E/G温度検出手段は、各気筒(または基準気筒)のシリンダブロックに温度センサーを取付けその気筒の温度を検出するものである。大気圧検出手段は、カウリング内の適当な位置に設けられる。吸気温度検出手段は吸気通路上の適当な位置に設けられる。大気圧および吸気温度は空気の体積に直接影響するものであり、演算処理装置は、これらの大気圧および吸気温度の検出値に応じて空燃比等の制御量に対する補正演算を行う。
【0078】
既燃ガス検出手段は、前述の排気センサー14のことである。検出した酸素濃度に応じて燃料噴射量等のフィードバック制御を行う。
【0079】
ノック検出手段は、各気筒の異常燃焼を検出するものであり、ノッキングがおきた場合に点火を遅角側にシフトさせたりまたは燃料をリッチ側に設定してノッキングを解消し、エンジンの損傷発生を防止する。
【0080】
オイルレベル検出手段は、カウリング内のサブタンクおよび船内のメインタンクの両方にレベルセンサーを設けたものである。
【0081】
サーモスイッチは、バイメタル式温度センサー等の応答性の速いセンサーからなり、冷却系異常等によるエンジンの温度上昇等を検出し焼き付きを防止するための失火制御を行う。なお、前述のエンジン温度検出手段はシリンダブロックに設けられ燃料噴射の制御量補正のために使用されるが、このサーモスイッチはエンジンの温度上昇に直ちに対処するため応答性が速いことが要求される。
【0082】
シフトカットスイッチは、前述のように、シフトケーブル57(図11)のテンションを検出してドッグクラッチ46(図10)の切り替えを容易にするためのものである。
【0083】
DES検出手段は、船尾に船外機を2台並列して備えた型式の船舶において、一方の船外機のエンジンがオイル不足、温度上昇等により失火制御を行っている場合にこの失火運転状態を検出するものである。このDESの検出により、他方のエンジンも同様に失火制御を行って、両方のエンジンの運転状態を同じにして走行のバランスを保つ。
【0084】
バッテリ電圧検出手段は、インジェクタの駆動電源電圧の変化によりバルブの開閉動作の速さが変り吐出量が変化するため、バッテリ電圧を検出してこの電圧に基づいて噴射量を制御するために用いる。
【0085】
スタータスイッチ検出手段は、エンジンが始動運転中かどうかを検出するためのものである。始動状態であれば、燃料のリッチ化等を行い始動運転用の制御を行う。
【0086】
2種類あるE/Gストップスイッチ検出手段は、エンジン停止操作スイッチや落水検知スイッチのことであり、このうち落水検知スイッチは落水事故等の緊急状態を検出するものであり、緊急時にエンジンを直ちに停止するように制御する。
【0087】
以上のような各検出手段からの入力信号に基づいて、演算処理装置内で各制御量の演算を行い、演算結果に基づいて出力側(図12の右側)の燃料噴射手段#1〜#6、点火手段#1〜#6、燃料ポンプおよびオイルポンプを駆動制御する。なお、燃料噴射手段および点火手段はそれぞれ、前述のインジェクタおよび点火プラグであり、各気筒ごとに独立して順番に制御される。
【0088】
このような演算処理装置での演算を実行するために、図示したように、演算処理装置には、制御プログラムやマップ等を格納したROM等からなる不揮発性メモリおよび各検出信号やこれに基づく演算のための一時的なデータを記憶するためのRAM等からなる揮発性メモリが備る。
【0089】
次に、図13を参照して、本発明が適用される船外機エンジンの点火時期制御および燃料噴射制御について説明する。図13はこのような制御フローを実行するための構成を示すブロック図である。各ブロックは、前述の図12の演算処理装置内に演算処理回路として組込まれている。
【0090】
気筒判別手段201は、気筒検出手段#1〜#6(図12)に対応するものであり、各気筒からの入力信号に基づいてその気筒番号を判別する。周期計測手段1000は、この気筒検出手段からの検出信号に基づいて、各気筒からの入力信号の時間間隔を計測し、これを6倍することにより1回転の時間(周期)を算出する。エンジン回転数算出手段203は、この周期の逆数を演算して回転数を求める。スロットル開度読み込み手段204は、スロットル開度に対応したアナログ電圧信号により開度を読み込む。
【0091】
スロットル開度読み込み手段204からのスロットル開度信号はA/D変換され、E/G回転数算出手段203からの回転数信号とともに、基本点火時期算出手段210および基本燃料噴射算出手段211に送られ、基準気筒である#1の気筒の点火時期および燃料噴射量がそれぞれ3次元マップを用いて算出される。このエンジン回転数信号およびスロットル開度信号は、さらに気筒別点火時期補正値演算手段208および気筒別燃料噴射量補正値演算手段209に送られ、残りの気筒#2〜#6についての基本点火時期および基本噴射量に対する補正値を各気筒ごとにマップ演算して求める。
【0092】
一方、トリム角度読み込み手段205、機関温度読み込み手段206および大気圧読み込み手段207は、それぞれの検出手段(図12)からの検出信号を読取り、これを点火時期補正値算出手段212および燃料噴射量補正値算出手段213に送り、各運転状態に応じた補正値を算出する。この場合、点火時期補正値については、基本点火進角の値に対して加算する補正進角(あるいは遅角)の角度数を、各読み込みデータの種類ごとに予め記憶させたマップにより求める。また、燃料噴射量の補正値については、予め定めた比例係数を基本噴射量に対し乗算することにより求める。
【0093】
なお、点火時期補正および燃料噴射量補正について、図示していないが、さらに吸気温度の検出データを各算出手段212、213に入力して吸気温度に基づく補正を行ってもよい。
【0094】
点火時期補正値算出手段212および燃料噴射量補正値算出手段213の算出出力は、それぞれ点火時期補正手段214および燃料噴射量補正手段215に入力され、ここで基本点火時期および基本燃料噴射の算出値に加算して#1気筒の点火時期および燃料噴射の制御量が算出される。
【0095】
この基準気筒#1の点火時期および燃料噴射の制御量は気筒別点火時期補正手段216および気筒別燃料噴射量補正手段217に入力され、ここで#1気筒についての補正された基本点火時期および燃料噴射量に対し、#2〜#6の気筒についての気筒別点火時期補正量演算手段208および気筒別燃料噴射量補正値演算手段209による制御補正量を加えることにより、#2〜#6までの気筒の点火時期および燃料噴射量の制御量が算出される。
【0096】
このようにして算出された#1から#6までの各気筒に対する点火時期および燃料噴射の制御量に基づいて、点火出力手段218は、各気筒ごとの点火進角の角度の値で算出された制御量をタイマーセットし、燃料出力手段219は開弁時間に相当するクランク角をタイマーセットする。
【0097】
次に、図14を参照して、本発明の実施例に係る船外機の制御全体のフローについて説明する。図14は、船外機エンジンの制御処理プロセス全体のシーケンスを示すメインルーチンのフローチャートである。
【0098】
メインスイッチが投入され電源が立上がってエンジン操作が開始されると、所定のリセット時間後まず制御処理装置内の各処理回路が初期化される(ステップS11)。次にステップS12において、運転状態が判断され結果がメモリーに保持される。ここでは、図12のスタータSW検出手段による始動判断、特定気筒を休止させた気筒休止運転すべきかどうかの判断、酸素濃度のフィードバック制御を行うべきかどうかの判断、特定の制御条件の場合に制御データを学習記憶させるかどうかの判断、失火制御をさせるエンジンの過剰回転、オーバーヒート、オイル不足等の判断、エンジン停止時にエンジン停止前制御をするかどうかの判断、シフトレバーがニュートラル位置にあるかどうかの判断、パルサ信号抜けがあった場合のフェール判断、2機がけ運転の場合にDES検知手段により分かる運転状態判断、急加速または急減速中かどうかの判断、クラッチ切り替え時のシフトカットを行うかどうかの判断が行われる。このような判断は、最初は始動状態として判断され、以下のルーチンにおいて情報読取り後は、読取ったセンサーからの検出情報や演算結果等の各種情報に基づいて行われる。
【0099】
次にステップS13において、ループ1のルーチンワークを行うかどうかの判別が行われる。YESであれば、ステップS14に進みスイッチ情報の読み込みが行われる。ここではE/Gストップスイッチ、メインスイッチおよびスタータスイッチからの情報が読取られる。続いてステップS15において、ノックセンサーおよびスロットルセンサーからの情報が読取られる。このループ1による情報読み込みの終了後ステップS16に進み、ループ2のルーチンワークを行うかどうかが判別される。
【0100】
演算処理装置はハード的あるいはソフト的に4ms間隔でループ1の処理用フラグ1を1にセットし、8ms間隔でループ2の処理用フラグ2を1にセットする。
【0101】
ステップS13において、フラグ1をチェックし1であればステップS14、ステップS15を実施する。なお、ステップS14に進むと同時にフラグ1はクリアされ0となる。ステップS13において、フラグ1が0であることが確認されると、ステップS16に進み、フラグ2が1であるかをチェックする。フラグ2が1であればステップS17に進むと同時にフラグ2はクリアされ0となる。ステップS16でフラグ2が0である場合はステップS12に戻る。
【0102】
ステップS17においては、オイルレベルの検出、シフトケーブルのテンションの検出、およびDES検出によるエンジン2機掛け運転状態のときに片側のエンジンが異常運転をしているかどうかの検出が行われる。さらにステップS18において、大気圧情報、吸気温度情報、トリム角情報、エンジン温度情報、およびバッテリ電圧情報が読取られる。
【0103】
次に、ステップS19において、失火制御が行われる。これは、読み込んだ情報から、前記ステップS12の運転状態判断において、過回転、オーバーヒート、オイルエンプティ、DES等の異常状態が検出されたときに、特定気筒の失火を行うように燃料制御するものである。次に、エンジンが回転しているかどうかの判断およびオイルタンクのレベルセンサーからの情報に基づいて、燃料ポンプおよびオイルポンプが駆動制御される(ステップS20)。これは、燃料については、エンジンが回転中ならば燃料ポンプを駆動し、エンジン停止中ならば燃料ポンプを停止し、オイルについては、オイルタンク内の量が少ないときにポンプを駆動してオイルを補給するものである。
【0104】
次に、ステップS21において、気筒休止運転の判断を行う。これは、前述の運転状態判断ステップS12において、所定の低負荷低回転状態のときに休筒運転を行う判断をした場合に、演算処理のマップを選択するための判別ステップである。休筒運転でなければ通常の全気筒運転による通常運転マップを用いて点火時期および噴射時間の基本演算およびこれに対する気筒別の補正演算を行う(ステップS22)。休筒運転状態であれば、特定の気筒を休止した休筒運転用の気筒休止マップを用いて点火時期および噴射時間の演算および気筒別の補正演算を行う(ステップS24)。
【0105】
次に、ステップS23において、大気圧やトリム角等の運転状態に応じて、基本の点火時期や燃料噴射に対する補正値が演算される。続いて、ステップS25において、酸素濃度のフィードバック制御に伴う補正値が演算される。このとき、演算情報の学習判定とO2センサーの活性化の判定が行われる。さらに、ステ ップS26において、ノックセンサーからの検出信号に基づいて、エンジンの焼き付き防止等のために制御量の補正値が演算される。
【0106】
次にステップS27において、基本の点火時期および燃料噴射の制御量に対し補正値を加えて最適な点火時期、噴射時間および噴射時期を演算する。この後、ステップS290において、エンジン停止前制御の演算が行われる。これは、ステップS12で、メインスイッチあるいはエンジンストップスイッチ等が切られて、エンジン停止状態と判断された場合に、再始動を考慮して点火のみを止めて燃料噴射は所定時間継続するための制御ルーチンである。以上によりループ2のルーチンを終了し、元の運転状態判断ステップS12に戻る。
【0107】
図15はTDC割込みルーチンのフローを示す。クランク軸には各気筒検出手段近傍を順次通過する時各気筒においてピストンが上死点にあることを知らせる信号を各気筒検出手段から出力させるマーカが固着されている。TDC割込みとは、#1から#6までの気筒検出手段による各気筒からのTDC信号の入力に基づき、随時メインルーチンに割込まれるルーチンである。
【0108】
まず、信号が入力された気筒の番号を判定する(ステップS28)。次にその気筒番号を前回の入力信号の気筒番号と比較することにより、運転すべき回転方向に対するエンジンの正逆回転を判定する(ステップS29)。逆転していればエンジンを直ちに停止する(ステップS33)。エンジンが正転していれば、例えば#1と#2の気筒間の時間間隔をカウントしてこれを6倍することによりエンジン回転の周期を算出する(ステップS30)。続いてこの周期の逆数を演算することにより、回転数を算出する(ステップS31)。この回転数が予め定めた所定の回転数よりも小さいときには、エンジンを停止する(ステップS32、33)。
【0109】
次に、ステップS34において、入力されたTDC割込み信号が特定の基準気筒#1からのものかどうかが判別される。基準気筒#1からの信号であれば、休筒運転状態かどうかが判別され(ステップS35)、休筒運転中であれば、休止すべき気筒のパターンを変更すべきかどうかが判別され(ステップS37)、パターンを切り替え(ステップS38)または切り替えずにそのままステップS39に進み、点火制御による休筒運転情報をセットする。割込み信号が#1からでない場合(ステップS34)あるいは休筒運転中でない場合(ステップS35)には、そのまま、あるいは休筒情報をクリアして(ステップS36)ステップS39に進み、点火制御による休筒運転情報をセットする。この点火休筒情報に基づき点火すべき気筒の点火パルスをセットする(ステップS40)。
【0110】
この点火パルスセットの詳細を図16に示す。演算により求められる点火時期は、V型6気筒エンジンにおいて、TDCより60度前のクランク角すなわち基準に何度になるかに換算され、0.8で割ってパルス数にまるめられる。60度前にTDCとなる気筒のTDC信号が入力されると、点火出力手段218を構成するタイマーにまるめられたパルス数のデータが保持されると同時に、以降クランク角検出手段からのパルスがタイマーに届くごとに、保持するパルス数を1づつ減じていき、保持パルス数が0となると、点火出力手段218が点火プラグ19をスパークさせる。
【0111】
本実施例は、図1に示したように、6気筒のV型2バンク型式のエンジンを対象とし、奇数番号の気筒(#1、3、5)を左バンクに配設し、偶数番号の気筒(#2、4、6)を右バンクに配設している。これらの気筒をバンクごとに制御するために、バンクごとに別のタイマーを有している。これらのタイマーに点火時期に対応するクランク角パルス数をセットする場合、図示したように、まず気筒番号が偶数か奇数かを判別し、偶数か奇数かに応じてそれぞれ点火時期データを対応するバンクのタイマー(図では奇数バンクをタイマ3、偶数バンクをタイマ4としている)にセットし、点火気筒番号をセットする。
【0112】
その後、点火制御において失火させる休止気筒について燃料噴射制御における燃料噴射量を減少させる気筒を燃料噴射制御による休筒情報としてセットし(ステップS41)、該点火制御において失火させる休止気筒について算出される燃料噴射の制御量より減少させた燃料噴射量に対応する噴射時間と、その他の気筒について算出される燃料噴射の制御量に対応した噴射時間に、それぞれ気筒ごとに対応した噴射パルスをセットする(ステップS42)。
【0113】
前述のエンジン周期を計測する場合、1つの気筒からの入力信号(TDC信号)があると、これに応じて図15のTDC割込みが行われるとともに、TDC周期計測タイマーがTDC信号の入力時点で一定周波数パルスのパルス数のカウントを開始し、次の気筒のTDC信号が入力した時点でリセットされ次の気筒のカウントを開始する。この場合、カウント値が所定値以上になると、オーバーフローとなりカウントがリセットされる。このオーバーフローが起きた時点、即ち、クランク角60度の周期が所定以上の時間である低速回転であることが検知された時点でタイマーオーバーフロー割込みが実行される。
【0114】
図17は、このオーバーフロー割込みを示す。オーバーフローが起きるとまずその回数を記憶するとともに、エンジンの始動運転状態かどうかが判別される。始動状態の運転モードであればオーバーフローはエンジン回転が低いためであり、そのまま運転を続ける。始動モードでない場合には、TDC信号のパルスが抜けた、即ち何等かのトラブルによりTDC信号パルスが伝えられなかったためのオーバーフローかどうかが判別され、パルス抜けのない正常な信号伝達によるオーバーフロー検出であればエンジンが低回転であるためエンジンを停止する。パルス抜けがあった場合には、オーバーフロー検出が2回目かどうかが判別され、2回目となった場合も回転が低すぎるとしてエンジンを停止する。これにより、低回転において信号発信系統に異常があるときには必ずエンジン停止することとなる。
【0115】
図18は、各気筒の点火タイミングを設定するための前述の各バンクに対応したタイマー3、4の割込みルーチンを示す。エンジン回転信号(TDC信号)が各気筒から入力されるとこのタイマー3、4の割込みが行われる。まず、エンジンが所定の低回転以下の状態のために点火休筒運転を行うかどうかの休筒情報およびオーバーヒートあるいはオーバーレボ(過回転)検出により点火を失火させるかどうかの失火情報を読み込む。この後気筒番号に応じたタイマー3あるいは4に点火タイミングに応じたタイマー値をセットする。その後、休筒情報あるいは失火情報により失火させる場合には、点火処理のルーチンは行わないためタイマーで設定されたタイミングになっても点火プラグへの放電はさせないようにしてそのままメインフローに戻る。失火させない場合には、点火すべき気筒の番号を読み込み、タイマーで設定されたタイミングでその気筒の点火駆動回路の点火出力ポートからパルス(HI)を出力して点火プラグを放電させる。点火時間はパルス幅に対応しタイマにより設定される。このタイマによる所定の点火時間が経過後、点火出力ポートからの信号はLOWとなり点火プラグの放電が終了する。
【0116】
以上が本発明が適用される船外機エンジンの機構上の構成および制御系全体のシステム構成およびその作用のフローである。
【0117】
本発明は前述のように、O2センサを用いた空燃比のフィードバック制御において、所定のリーンセット制御領域の条件になった場合に、エンジンの回転変動を抑制して安定したエンジン回転が得られる空燃比制御方法の提供を目的としている。
【0118】
このような本発明の実施例について、図19〜図33を参照して以下にさらに説明する。この実施例は、前述の船外機用6気筒V型バンクエンジンの気筒#1〜#6のO2フィードバック制御を行う例を示すものである。
【0119】
図19は、エンジン制御の演算処理に用いるマップの使用領域を示すマップ遷移図である。マップ領域は、エンジン温度TEと、エンジン回転数Nと、スロットル開度θとによって定まる。全気筒マップ領域は、6気筒全てを燃焼可能とする制御量を計算する領域であり、エンジン温度TEと、エンジン回転数Nと、スロットル開度θのほぼ全使用領域をカバーする。この全気筒運転領域のうち、特に2サイクルエンジンにおいて、特定の運転状態の場合に一部の気筒の燃焼を停止し、不正燃焼を抑えガス交換を促進して燃焼安定性および燃費の向上等を図るために、休筒運転が行われる。即ち、この領域は全気筒マップ領域内にあり、全気筒について演算は行われるが、休筒気筒では実際の燃焼はなされない。この休筒運転で用いる休筒マップ領域は、エンジン回転数Nが約400〜1900rpm、スロットル開度θは全閉から約10°(スロットルセンサ出力約1V)の範囲である。また、エンジン温度については、40℃以下(矢印Aの領域)では暖機運転のため全回転域で全気筒マップを使用し、休筒マップは使用しない。これは、例えば冷気始動時の温度が低い状態であり、休筒運転を行うと休止気筒の温度が上昇しないため、休筒運転を行わない領域である。
【0120】
なお、基準気筒の吸気マニホールド24のスロットル弁25の下流側に配置される吸気センサー32の近傍に吸気負圧センサーを配置し(図3参照)しても良い。またスロットル弁を開閉するアクセル装置にアクセル位置センサーを配置してもよい。これらの検出値はいわゆる負荷と言われるものである。
【0121】
この場合、図19は、Thrθ軸を、スロットル弁開度と同様負荷と言われる吸気負圧、あるいはアクセル位置に置き換えたマップ遷移図となる。休筒マップ領域、O2フィードバック制御領域、学習制御領域の位置関係に変化はない。この場合、図14のステップS15で実施されるセンサ情報読み込み1において、スロットルセンサ情報の代りに吸気管負圧情報あるいはアクセル位置情報等の負荷情報を読み込ませ、これら負荷情報を用いた基本制御量マップ、等により各制御量を演算させるようにする。
【0122】
つまり、吸気マニホールド24のスロットル弁25の下流側に抵抗性あるいはカルマン渦カウンター等による空気量検知装置を配置し、時間当たりの空気量を算出するか、クランク室31に圧力センサーを配置し、最大圧力と最小圧力の差圧から時間当たりの空気量を算出するようにしても良い。空気量はスロットル弁角度Thθとエンジン回転数と一定の関係があり、上記負荷情報の代りに空気量情報を用いて基本制御量マップ等により各制御量を演算させるようにしても良い。そしてこの場合には、図19は、Thθ軸を空気量軸に置き換える。これに応じ各領域の位置関係に変化はないものの、それぞれの領域の形状は変ることとなる。
【0123】
O2フィードバック制御領域は、エンジン回転数が約500〜5200rpmの範囲であり、スロットル開度はほぼ全域に対応する。またサーモスイッチが所定のオーバーヒート温度に達してONになると(矢印Bの領域)、燃料をリッチ化して焼き付き防止を図る必要があり、O2フィードバック制御によるリッチ、リーンの繰り返し噴射を避けるためにO2フィードバック制御を行わない。
【0124】
このO2フィードバック制御領域の一部(エンジン回転数約3000〜5000rpm,スロットル開度約20°〜30°(1.5V〜2.0V)の範囲)に学習制御領域がある。この領域は、例えば一定の高速運転を行うクルージング領域であり、常にリーン状態にセットされる領域である。この学習制御領域では、リーン状態にセットされた運転状態において、O2フィードバック制御のマップ演算によるリッチ、リーンの最適繰り返し噴射量時のO2センサの検出値を記憶し、この検出値に基づき噴射量の学習補正係数演算マップを書換えることにより、次回のO2フィードバック制御開始後の収束までの時間短縮を図る。
【0125】
図20はO2センサの出力電圧を示すグラフである。出力電圧は、理論空燃比Stを境に急激に変化する。この変化位置の傾きは2サイクルエンジンでは緩くなる傾向にあり、またリッチ側に移行する傾向にある。本実施例においては、このO2センサを基準気筒である#1気筒に設け、O2センサからの出力電圧に基づいて基準気筒#1の空燃比フィードバック制御を行っている。このO2フィードバック制御は、前述の図14のメインフローに示したように、点火時期および燃料噴射について各気筒について基本演算を行って基本制御量を算出し(ステップS22またはS24)、その後トリム角やエンジン温度等に基づいて補正係数演算を行った後(ステップS23)、O2フィードバック制御の補正係数の演算を行い(ステップS25)、各気筒についての制御量を算出した後(ステップS27)、この演算した制御量をもとに、O2センサを用いて燃料噴射量のフィードバック制御を行うものである(ステップS25)。このO2フィードバック制御は、目標とするA/Fにするためにマップを用いて補正係数を演算し、O2センサの出力に応じてこの補正係数を付加した燃料噴射を行う。
【0126】
図21は、基準気筒のO2フィードバック制御における補正係数の変化の状態を示す図である。O2フィードバック制御が開始されると、まずリッチ方向の制御パラメータに基づいて噴射量が制御される。Δt1は制御開始直後の収束前の制御周期であり、Δt2は収束後の制御周期である。収束前は、目標とする空燃比に近づいていない状態であり、短時間で収束させるためにΔt1はΔt2よりも短く設定されている。Δt1の周期で一旦収束した後は空燃比の制御精度を高めるために周期を変えてΔt2の周期で制御が行われる。P1、P2はそれぞれリッチ側およびリーン側に切り替えたときの比例定数であり、次の切り替え点に速く達するために噴射量をステップ的に変化させる係数である。I1,I2はそれぞれリッチ方向およびリーン方向の積分定数である。前述の周期Δt1またはΔt2における補正係数の増加量を表す。このように、比例定数P1、P2および積分定数I1,I2をリッチ方向およびリーン方向にそれぞれ独立してもつのは、O2センサの応答性が制御方向により異なるためである。
【0127】
図22は、補正係数を演算する場合の上記各制御パラメータのマップテーブルを示す。これらの図は、上記パラメータ、P1,P2,I1,I2,Δt1,Δt2およびリッチからリーンへの切り替え電圧V1とリーンからリッチへの切り替え電圧V2のテーブルを示す。V1およびV2は、それぞれ基準気筒#1をO2センサの出力に基づいて制御する場合に、目標とする空燃比を越えた時点でリッチからリーンへおよびその逆の方向へ制御を切り替えるための閾値電圧である。このような8つの図示したテーブルには、エンジン回転数(rpm)に対応して各パラメータの値が書込まれている。このように各パラメータをエンジン回転数に応じて変えているのは、エンジン回転数に応じエンジン圧力波が変化し、O2センサに対する既燃ガスの入替わり速度が異なってくるためである。この場合、片方向側(例えばリッチ側)の比例定数と積分定数のみをエンジン回転数に応じて可変とするマップテーブルを作成し、もう一方(リーン側)は、リッチ側の定数に予め実験等により求めた係数を乗ずることにより演算してもよい。これにより、メモリ量を低下させるとともに演算時間の短縮が図られる。
【0128】
図23は、上記マップテーブルのパラメータを用いて演算した補正係数の変化状態を示す。時間t1でO2フィードバック制御がスタートすると、まずリッチ方向への燃料噴射が行われる。ここでは、図21に示したように、P1による増加後周期Δt1での短いステップ状に補正係数が演算されこれに基づきリッチ方向に燃料噴射が行われる。時間t2でA/Fが目標空燃比を上回ると、O2センサの出力電圧がV1に達し、リッチからリーン方向へ制御方向が切り替わる。ここで補正係数がP2(図21)に対応して減少する。これがリッチ側からリーン側への第1回目の切り替わり点A1である。ここからリーン方向への噴射を行い周期Δt2ごとにI2に対応して補正係数を減少させ噴射量を減少させると、時間t3で再び目標空燃比に戻り、O2センサの出力電圧がV2になる。この時点で再びリーン方向からリッチ方向へ制御方向を切り替える。ここがリーン方向からリッチ方向への第1回目の切り替え点B1(切り替え点としては2回目)である。ここで前述の比例定数P1に対応して噴射量を立上げ、その後周期Δt2ごとに積分定数I1に対応して燃料を増量する。これにより、再びA/Fが目標空燃比を上回り、時間t4でO2センサの出力電圧がV1に達する。この時点でリッチからリーンへ制御方向が切り替わり、この方向の2回目の補正係数の方向切り替わり点A2となる。ここで前記切り替え点A1のときと同様に、比例定数P2に対応して燃料を減量し、さらに周期Δt2ごとに積分定数I2に対応して補正係数を減少させることにより、時間t5で再び切り替え点B2に達する。以降同様にしてリッチ側およびリーン側への噴射制御が繰り返し行われる。
【0129】
補正係数を付加した燃料噴射量TINJは以下のようにして演算される。
【0130】
TINJ=TINJB×TINJC+(TINJB+TL)×C+TL+TINV (1)
ここで、TINJBは、図14のステップS22またはS24で演算した基本燃料噴射時間、TINJCは、ステップS23で演算したエンジン温度補正係数、大気圧補正係数およびトリム角補正係数を乗じた噴射補正係数である。Cは本実施例に係るO2フィードバック制御により演算した補正係数である(図14のステップS25)。またTINVは、無効噴射時間である。これはバッテリ電圧によりインジェクタの弁の開閉時間が変るため、これを補正するためのものである。また、TLは学習補正噴射時間であり、学習制御領域において、所定の学習マップから求められる。この学習制御は、例えば所定の運転状態で燃料噴射をリーン側にセットした領域において、マップ演算した所定の補正量に基づいて燃料噴射制御を行うとともに、この補正量から所定の学習値を算出してこれを学習マップに書込んで更新し、次回の学習制御領域の運転ではこの学習値に基づいて空燃比を制御するものである。なお、図23において、時刻t2、t4におけるA/F検知値は目標A/Fを僅かに上回り、時刻t3、t4においては僅かに下回る。
【0131】
以上のようにして、基準気筒#1に対しては、O2センサの出力に基づいてO2フィードバック制御が行われる。残りの気筒#2〜#6に対しては、第1回目のリッチ側からリーン側への補正係数の切り替わり点A1を除くこの方向の切り替わり点A2、A3・・・、およびリーン側からリッチ側への補正係数の切り替わり点B1、B2・・・のうち、連続して隣り合う2つの切り替わり点の補正係数から代表値を算出し、この代表値に基づき一定量の燃料を噴射する。即ち、反転するごとに代表値の値を更新する(なお、実施例に示すように、反転のペアができるごとに値を更新してもよい)。従って、#2〜#6気筒に対しては、リッチ、リーンの周期的繰り返し制御は行われず、一定の補正係数に基づいて燃料噴射制御が行われる。代表値としては、2つの反転位置の補正係数の平均値あるいは所定の中間値を演算する。この場合、基準気筒#1のO2フィードバック制御開始後の最初の補正係数の反転位置は、制御の方向が必ずリッチ側から行われるため、この最初の反転位置の補正係数を代表値の演算に用いると、代表値が基準気筒の補正係数と大きく異なり燃費が悪化することあるいはエンジン回転変動等が発生することが考えられる。これを防止するために、安定して目標空燃比に近づく収束後の状態となった2回目からの反転位置の補正係数を代表値演算に用いる。 図24は、メインフロー(図14)におけるO2フィードバック制御の補正演算ステップS25の詳細フローを示す。まずステップS191で、O2センサが一定以上の温度となってO2濃度の検出が可能状態かどうかの判定(活性化の判定)が行われる。次に、ステップS192で、O2フィードバック制御を行うかどうかが判別される。これは、エンジンが急加減速中でないこと、始動制御中でないこと、スロットルおよび回転数が所定の範囲内でかつ変動が一定範囲内で所定時間以上続くこと、失火制御中でないことおよびノック制御中でないこと等をの条件を判定するものである。続いて、ステップS193で、O2フィードバック制御の学習制御を行うどうかが判別される。これは、図19のマップ遷移図において、O2フィードバック制御領域の内学習制御領域の条件となっているかどうかを判別するものである。これらの判別ステップS192およびS193の結果に基づき、O2フィードバック制御を行うとともに(ステップS194)、学習領域であれば各運転状態およびそのときの噴射量より学習補正噴射時間を求め、その値を書込んで学習マップを更新する(ステップS195)。
【0132】
前述の基準気筒#1に対するO2フィードバック制御は以下に示す条件1が満足された場合に行われる。即ち、(イ)急加速あるいは急減速中でないこと、(ロ)始動時あるいは始動後の始動制御中でないこと、(ハ)エンジン回転およびスロットル開度が一定範囲内にあること、(ニ)エンジン回転およびスロットル開度の変動が一定範囲内にある状態が一定期間以上継続すること、(ホ)エンジン温度が一定値以上であること、の5つである。(イ)の急加減速中は、出力増加あるいはエンジンストールや焼き付き防止のために燃料を濃くする必要があるため、O2フィードバック制御は行わない。(ロ)の始動制御中は、エンジン温度が低く暖機のために燃料を増量する必要があるため、O2フィードバック制御は行わない。(ハ)のエンジン回転およびスロットル開度一定範囲の条件は、例えばスロットル開度70度以上、回転数5200rpm以上等の高負荷高回転時には、燃料噴射量を振らせずに一定量を供給して安定した運転状態とする必要があるためである。(ニ)の安定したエンジン回転等の状態が一定期間以上続く条件は、変動が激しい場合には、O2フィードバック制御により燃料噴射量を振らせることは好ましくないからである。(ホ)のエンジン温度が一定値以上の条件は、エンジン温度が低いと、O2センサが活性化していない場合があり、O2濃度検出値の信頼性が確かでない場合があるためであり、またエンジン温度が低いとリッチ側にセットして暖機されるため、O2フィードバック制御により噴射量を振らせてリーン側になると暖機に時間がかかり、またエンジンストールの可能性があるためである。O2フィードバック制御はこのような条件1をクリアした場合にのみ行われる。
【0133】
さらに、船外機特有の条件として、以下の条件2による失火制御中の場合および粗悪ガソリン使用等によるノック制御中については、O2フィードバック制御によるリーン方向制御時の基準気筒のリーン化によってエンジンが焼き付くことを防止するためO2フィードバック制御は行わない。条件2の失火制御中とは、(イ)オーバーヒート状態、(ロ)オーバーレボ(過回転)状態、(ハ)オイルエンプティ状態、および(ニ)2機がけ運転時の片方のエンジンが上記(イ)〜(ハ)の状態となってDES検出された状態の場合である。
【0134】
上記(イ)のオーバーヒート状態の失火制御とは、例えばシリンダヘッドに設けたバイメタルスイッチによりエンジン過熱が検出された場合に、燃焼を抑えて温度を下げるために回転数を例えば2000rpm以下に抑える目的で、特定気筒の点火を止めるものである。また、(ロ)のオーバーレボ状態とは、エンジン回転数が例えば6000rpm以上の高回転となった場合であり、この場合にも回転を抑えるために特定気筒の失火を行う。(ハ)のオイルエンプティ状態とは、オイルレベルスイッチによりカウリング内のオイルタンク内のオイル量が減った場合に、オイルの消費を抑えるために回転数を低下させるものである。このようなオイルエンプティの場合にも特定気筒を失火させ回転数を例えば2000rpm以下に抑えることにより、オイルの消費を抑え、特に船外機の場合、少ないオイルで確実な帰港を図るものである。
【0135】
図25は、本実施例に係る学習制御ルーチンを含むO2フィードバック制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、前述のステップS194の詳細フローチャートである。
【0136】
まずステップS220で、前記判別ステップS192の結果に基づきO2フィードバック制御を行うフラグが立ったかどうかが判別される。O2フィードバック制御を行うのであれば、ステップS221に進み、O2フィードバック制御が開始され初めてこの処理に入ったかどうかが判断される。初回(YES)であれば、ステップS222で周期計測のタイマO2F/B補正係数や制御方向フラグのリセット等の初期化を行う。続いて、ステップS223において、制御周期が計算される。これは、前述の図22に示した収束前の周期Δt1あるいは収束後の周期Δt2をマップ演算するものであり、その詳細フローを図26に示す。図示したように、制御方向が1回以上反転していれば既に収束した状態であり、周期Δt2をテーブル(図22)から演算し、1回も反転していない状態であれば収束前であるため周期Δt1を演算する。
【0137】
次にステップS224において、各周期ごとに周期時間に達しているかどうかが判別される。周期時間内の途中であれば何もせず周期時間に達するまでフローを循環する。所定の制御周期時間(Δt1またはΔt2)に達すると、ステップS225に進み、O2フィードバックの制御の方向状態が判定される。この詳細フローを図27に示す。まずO2フィードバック制御が初回かどうかが判別される(ステップS249)。初回であれば反転フラグを立てリッチ方向へ制御するフラグを立てる。初回でなければ、ステップS250でリーン方向へ制御中かが判別され、リーン方向であれば切り替え電圧V2を図22のテーブルより演算する(ステップS251)。このV2とO2センサの出力を比較し(ステップS252)、O2センサ出力がV2に達して反転が必要であれば、反転フラグを立てリッチ方向へ制御するフラグをセットする(ステップS256)。一方、O2センサ出力がV2に達せず反転が必要なければ、反転フラグをクリアし、現在立てられているリーン方向のフラグをそのままセットする(ステップS259)。一方、ステップS250でリッチ方向の制御中であれば、上記リーンの場合と全く逆にステップS253、S254、S268、S259、(またはS260、S256)を介して、リーン方向への反転またはリッチ制御の続行が行われる。
【0138】
図25のフローチャートに戻り、前述のようにステップS225で制御方向が判定されいずれかの方向にセットされさらに反転フラグがセットもしくはクリアされている状態で、ステップS226に進む。ここで反転フラグの状態が判別される。方向反転時であれば、比例定数P1またはP2(図22)を演算する(ステップS227)。さらにステップS228で、残りの気筒#2〜#6についての補正係数の代表値を計算し、学習制御中であれば、学習により学習マップに書込む値を計算する(ステップS229)。
【0139】
一方、ステップS226で方向反転時でなければ、周期ごとのステップ状に燃料を増加または減少するための積分定数I1またはI2(図22)がマップテーブルより演算される(ステップS230)。
【0140】
これらのステップS227の比例定数計算およびステップS230の積分定数計算のフローチャートをそれぞれ図28および図29に示す。図示したように、比例定数計算においては、リッチかリーンの方向が判別され(ステップS261)、リッチ方向であれば図22のP1が演算され(ステップS262)、リーン方向であればP2が演算される(ステップS264)。その後、反転前の方向の積分演算の回数がクリアされる(ステップS263)。
【0141】
図29の積分定数計算においては、リッチかリーンの方向が判別され(ステップS265)、リッチ方向であれば図22のI1が演算され(ステップS266)、リーン方向であればI2が演算される(ステップS268)。その後、積分演算の回数がインクリメントされる(ステップS267)。この積分回数は#1気筒の補正係数演算に用いる(ステップS277)。
【0142】
このようにして基準気筒#1のO2フィードバック制御におけるP1、P2,I1,I2,積分回数及び反転位置の補正係数から算出した代表値に基づいて、図25のステップさ231において、全気筒#1〜#6の補正係数が演算される。 このようにして全気筒の補正係数が計算されたなら、ステップS232において、全気筒について、前述の燃料噴射時間TINJ中の(TINJB+TL)×Cを計算する。
【0143】
図30は、本発明の実施例に係る学習制御方法の説明図である。図30のリーンセット領域は所定のスロットル開度範囲およびエンジン回転数範囲内の領域である。本実施例の学習制御を行う条件の1つは、このリーンセット領域内において、スロットル開度の変化ΔTHθが所定の判定値より小さいことおよびエンジン回転数の変化Δrpmが所定の判定値より小さいこと、およびこのようにスロットル開度およびエンジン回転数の変化が小さい状態が所定時間以上継続することである。このような条件を含み前述の条件1および条件2の失火制御およびノック制御に関する条件に適合した場合に、学習制御が行われ学習補正係数が演算される。
【0144】
本実施例における学習補正係数の演算は以下のように行われる。
【0145】
O2フィードバック制御がスタートして最初のリッチからリーンの反転位置の補正係数γ0’を除き、リッチからリーンへの4つの反転位置の補正係数γ1、γ3、γ5、γ7およびリーンからリッチへの4つの反転位置の補正係数γ0、γ2、γ4、γ6をメモリに格納する。演算時には格納されたこれらの8つのデータを読み出しこれに基づき、以下の学習補正係数▲1▼〜▲4▼をまず算出する。
【0146】
学習補正係数▲1▼=(γ1+γ0)/2
学習補正係数▲2▼=(γ3+γ2)/2
学習補正係数▲3▼=(γ5+γ4)/2
学習補正係数▲4▼=(γ7+γ6)/2
次にこれらの学習補正係数▲1▼〜▲4▼の平均をとってこれを学習補正係数平均値とする。即ち、
学習補正係数平均値=(学習補正係数▲1▼+▲2▼+▲3▼+▲4▼)/4
とする。
【0147】
さらにこの学習補正係数平均値より学習マップの更新値を計算により求める。このような学習マップの更新値は、上記8つの反転位置のエンジン回転数およびスロットル開度のそれぞれの平均値を座標とするマップ上の位置に学習値として書込まれる。即ち、エンジン回転数NE(rpm)およびスロットル開度THθ(V)について、
NE(rpm)=(REVMAX0+REVMAX1+REVMAX2+REVMAX3+REVMIN0+REVMIN1+REVMIN2+REVMIN3)/8
THθ(V)=(THθMAX0+THθMAX1+THθMAX2+THθMAX3+THθMIN0+THθMIN1+THθMIN2+THθMIN3)/8
を算出し、この値と学習マップの軸のデータと比較し、最も近い軸データのマップ上の座標に上記学習値を書込む。
【0148】
このように学習値が更新された学習マップを用いて、学習補正噴射時間を求め、さらに燃料噴射時間TINJを前述のように(1)式から算出する。
【0149】
TINJ=TINJB×TINJC+(TINJB+TL)×C+TL+TINV (1)
(TINJ:補正係数を付加した燃料噴射量、TINJB:基本噴射時間、TINJC:噴射補正係数、(TINJB+TL)×C:O2フィードバック制御による補正量、TL:学習補正噴射時間(マップ値)、C:O2フィードバック制御の補正係数、TINV:無効噴射時間)
ここで、学習補正噴射時間TLは、前述のように、学習補正係数▲1▼〜▲4▼の平均を求め、さらにそれから学習補正量平均値に変換し、これを前回のマップ値に加えることにより学習値を更新する。即ち、
TL(更新値)=TL+学習補正量平均値
である。ここで学習補正量平均値=(TINJB+TL)×(学習補正係数平均値)である。
【0150】
図31は、図24のフローにおけるO2フィードバック制御の学習制御の実行判定ルーチン(ステップS193)の詳細フローを示す図である。
【0151】
まず学習制御を行う前提となるO2フィードバック制御を行うフラグがセットされていることを判定する(ステップS348)。これは、O2フィードバック制御を行うための条件1、条件2の失火制御およびノック制御の各条件に適合しているかどうかを判定するものである。続いて、図30で説明したように、エンジン回転数が所定の範囲内か(ステップS349)、回転変動(Δrpm)が所定の判定値以下か(ステップS350)、およびこの変動状態が一定時間以上続いたか(ステップS351)が判別される。
【0152】
さらに、スロットル開度についても同様に、開度が所定の範囲内か(ステップS352)、変動幅が所定値以下か(ステップS353)およびこの所定値以下の小変動状態が一定時間以上継続したか(ステップS354)が判別される。以上の判定ステップS348〜S354がすべてYESの場合に学習許可フラグが立てられる(ステップS355)。1つでも条件に適合しない(NO)のステップがあれば学習制御は行わない(ステップS356)。
【0153】
図32は、学習制御を行う場合の学習噴射時間計算ルーチンのフロー図である。このルーチンは、O2フィードバック制御ルーチン(図24のステップS194)内で補正係数の代表値演算の後に行われるものである。
【0154】
まず学習制御を行うフラグを確認し(ステップS357)、リッチからリーンまたはその逆への方向が反転したかどうかを判別する(ステップS358)。これは、それぞれの方向反転位置での補正係数(前述のγ0〜γ7)のMAX側かMIN側かを判定するためのものである。リーンからリッチ側に方向が反転した状態であれば、反転直前(反転位置)の補正係数γn-1(MIN側)を揮発性メモリに保管し(ステップS359)、さらに反転直前のスロットル開度およびエンジン回転数データをメモリに保管する(ステップS360)。この状態ではまだ学習値は演算されていないため学習値書込みは行わない(ステップS361)。次に、リッチからリーンに方向が反転すると、前記補正係数γn-1(MIN側)のデータが保管されていることを確認し(ステップS362)、このリーンからリッチへの反転直前(反転位置)の補正係数γn(MAX側)およびスロットル開度とエンジン回転数のデータを保管する(ステップS363、S364)。続いて、ステップS365で、保管した反転位置の補正係数データから平均補正係数(学習補正係数▲1▼〜▲4▼)(γn+γn-1)/2を演算する。さらに反転が8回終了した時点でこれに基づいて学習補正係数平均値を求めた後、学習マップの更新値を計算する(ステップS367)。この学習噴射量は基本噴射量に対し補正により付加される噴射量である。続いて、上記反転位置のスロットル開度およびエンジン回転数データの平均値を求めてこれを保管する(ステップS367)。このスロットル開度およびエンジン回転数の平均値データは学習マップの書込み位置のデータである。続いて、学習値書込みの許可フラグをセットして(ステップS368)、このルーチンを終了する。
【0155】
なお、本実施例においては、前述のように、リッチ側からリーン側およびその逆方向の合計8つの反転位置でのデータに基づいて学習値を演算するため、上記フロー中のγnおよびγn-1は、n=1、3、5、7であって前述のγ0〜γ7の8つのデータに対応するようにプログラムが構成される。
【0156】
図33は、O2フィードバック制御の学習制御による噴射量書込みルーチンを示すフローチャートである。このフローは、図24のステップS195の詳細フローである。
【0157】
まず、O2フィードバック制御で学習制御を行うかどうか(ステップS369)および学習値の書込みができる状態かどうか(ステップS370)が判別される。その後、学習値演算に用いた8ヵ所の反転位置のスロットル開度平均値をメモリから読み出し、このデータに最も近い学習マップのスロットル軸の値をサーチする(ステップS371)。このスロットル開度平均値データは、前述の図28のフローのステップS367で、メモリに保管されたデータである。次に、同様にメモリからエンジン回転数平均値のデータを読み出し、これに最も近い学習マップのエンジン回転数軸の値をサーチする(ステップS372)。次に、このようにサーチした学習マップの軸データから、学習マップ上の学習値書込みアドレスを計算し(ステップS373)、このアドレス位置に前述のように演算した学習値(=TL(更新値))を書込む(ステップS374)。
【0158】
このようにして、γ0〜γ7の8つの反転位置における補正係数とスロットル開度とエンジン回転数のデータを平均しそれぞれのメモリエリアに保管した後、これらのデータに基づいて、前述の図29で説明したように、学習マップの所定の演算したアドレスに学習噴射量が書込まれる。なお、学習マップには、初期値として、試験運転や実験等により求めた最適な噴射量補正データを予め記録しておき、最初に学習領域に入ったときにはこの初期値に基づいて補正演算を行う。
【0159】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、O2フィードバック制御を行う場合に、所定のリーンセット領域に入ったとき、O2フィードバック制御による補正量をメモリに記憶しておき、次に同じリーンセット領域に入ったときに、この記憶した補正量に基づいて噴射量を演算する学習制御を行っているため、リーン状態における通常のO2フィードバック制御のリッチ、リーンへの変動に伴うエンジン回転変動が軽減されるとともに、経時変化による最適噴射量にズレを生じた場合、O2フィードバック制御収束までの噴射量変化によるエンジン回転変動が軽減され安定したエンジン駆動が達成される。これにより、特に船舶用エンジンにおける、クルージング運転でのエンジン回転の安定性が向上し、燃費の向上およびエンジン動作の信頼性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される船外機の要部構成図である。
【図2】 図1のエンジンの平面図である。
【図3】 図1の船外機の燃料系統を含む構成図である。
【図4】 図1の船外機の側面外観図である。
【図5】 図1のエンジンの左バンクの詳細図である。
【図6】 図1のエンジンの排気通路の説明図である。
【図7】 図1のエンジンの吸気系を含む構成図である。
【図8】 図1のエンジン制御に用いる排気センサーの構成図である。
【図9】 排気センサーの別の取付け例の説明図である。
【図10】 船外機プロペラ軸への伝達機構の構成図である。
【図11】 船外機のシフト機構の要部構成図である。
【図12】 本発明実施例に係るシステムブロック図である。
【図13】 本発明実施例に係る制御手段のブロック図である。
【図14】 本発明実施例に係るメインルーチンのフロー図である。
【図15】 図14のメインルーチンにおけるTDC割込みのフロー図である。
【図16】 図16の点火パルスセットの詳細フロー図である。
【図17】 図14のルーチンにおけるタイマーオーバーフローの詳細フロー図である。
【図18】 図14のルーチンにおける点火時期制御用タイマーの割込みフロー図である。
【図19】 本発明の実施例に係るマップ領域の遷移図である。
【図20】 O2センサの出力電圧を示す図である。
【図21】 本発明の実施例に係るO2フィードバック制御方法の補正係数の変化の説明図である。
【図22】 本発明の実施例に係るマップテーブルの説明図である。
【図23】 本発明の実施例に係るO2フィードバック制御の動作説明図である。
【図24】 図14のフローチャートの補正係数演算ステップS25の詳細フローを示す図である。
【図25】 図24のO2フィードバック制御の詳細フローチャートである。
【図26】 図25のフローにおける制御周期計算ステップの詳細フローチャートである。
【図27】 図25のフローにおけるO2フィードバック制御の状態判定ステップの詳細フローチャートである。
【図28】 図25のフローにおける比例定数計算ステップの詳細フローチャートである。
【図29】 図25のフローにおける積分定数計算ステップの詳細フローチャートである。
【図30】 本発明の学習制御の演算データの説明図である。
【図31】 図24のフローチャートのステップS193の詳細フローを示す図である。
【図32】 本発明の実施例に係る学習噴射時間計算ルーチンのフローチャートである。
【図33】 本発明の実施例に係る学習噴射量書込みルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
1:エンジン
2:左バンク
3:右バンク
4:シリンダ本体
5:排気ポート
6:排気管
7:カウリング
8:アッパーケーシング
9:ロアケーシング
13:主排気口
14:排気センサー
21:クランク軸
25:スロットル弁
26:インジェクタ

Claims (3)

  1. 酸素濃度フィードバック制御領域において、所定のリーンセット領域の運転状態になったときに、以前このリーンセット領域において演算した制御データに基づいて酸素濃度フィードバック制御を行うこととし、
    前記制御データは、基本噴射量に対する補正量であって、2回目以降のリーンからリッチまたはその逆への反転位置における所定数の補正係数を平均して求めた補正係数を基に演算した補正量であることを特徴とする内燃機関の学習制御方法。
  2. 負荷情報及びエンジン回転数情報、あるいは時間当たりの空気量情報、あるいは負荷情報及びエンジン回転数情報により算出される時間当たりの空気量情報、あるいは時間当たりの空気量情報及びエンジン回転数情報、を含む運転検知状態検出情報を軸とするマップ上に書込まれた補正係数に基づいて燃料噴射制御量を演算する学習制御方法であって、前記リーンセット領域の運転状態においては、演算した平均補正係数を基に計算した補正量を学習値としてマップに書込んでマップデータを更新することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の学習制御方法。
  3. 燃料噴射手段と、
    エンジン回転数検出手段と、
    負荷検出手段あるいは空気量検出手段と、
    特定気筒の既燃ガスの酸素濃度を検出するための酸素濃度検出手段と、
    上記エンジン回転数検出手段、および負荷検出手段あるいは空気量検出手段の検出結果に基づいて、上記燃料噴射手段の燃料噴射量を制御するための制御装置と、
    上記制御装置による制御量演算のベースとなるデータをマップとして記憶するためのメモリ手段とを具備し、
    所定の運転状態において、上記酸素濃度検出手段の検出出力に応じて噴射燃料を目標値に対しリッチ側およびリーン側に振らせて酸素濃度フィードバック制御を行うとともに、
    所定のエンジン回転数、および負荷あるいは空気量の条件において空燃比をリーン側にセットするリーン制御を行う内燃機関において、
    上記制御手段は、上記エンジン回転数、および負荷あるいは空気量がリーン制御領域にある場合に、上記マップにより演算した制御量を学習値として記憶し、次回のリーン制御のときにこの学習値に基づいて燃料噴射量を制御するように構成され、前記制御データは、基本噴射量に対する補正量であって、2回目以降のリーンからリッチまたはその逆への反転位置における所定数の補正係数を平均して求めた補正係数を基に演算した補正量であることを特徴とする内燃機関。
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