JP3712221B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、記録用紙の幅方向に移動する記録ヘッドを有し、印刷デ−タに一致してインク滴を記録用紙に噴射して画像を形成するインクジェット式記録ヘッドを搭載した記録装置に適したキャッピング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧力発生室で加圧したインクをノズルからインク滴として記録用紙に吐出させて印刷デ−タを記録するインクジェット式記録装置は、ノズル開口からのインク溶媒の蒸発に起因するインクの粘度上昇や、インクの固化、さらには塵埃の付着、ノズル開口への気泡の混入などにより印刷不良を生じるという不都合を抱いている。
このため、インクジェット式記録装置は、通常、非印刷時に記録ヘッドのノズル開口を封止するためのキャッピング手段と、必要に応じてノズルプレートを清掃するクリ−ニング手段とを備えている。
たとえば、特開平6-8460号公報に見られるように、印刷領域外に配置され、記録ヘッドもしくはこれを担持するキャリッジに押圧されて非キャッピング位置とキャッピング位置とを移動するキャップと、記録ヘッドが非キャッピング位置からキャッピング位置へ移動する過程で、キャップを記録ヘッドのノズルプレート側に移動させるカム面とカムフォロア−とを備えたキャッピング装置が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これによればキャリッジの移動だけでキャップを確実にノズルプレートに弾接して、確実に封止することができるものの、高密度、高速印刷の要求によりブラックインクを吐出するブラック記録ヘッド、及び有色の3種類のインクを吐出するカラー記録ヘッドのノズル開口数が多くなり、紙送り方向及びキャリッジの移動方向のサイズが大きくなると、各記録ヘッドを封止するキャップのサイズも必然的に大きくなり、密封性に低下を来すなどの不都合が見られるようになった。
本発明は、このように事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、記録ヘッドを確実に封止することができるキャッピング装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解消するために本発明においては、記録ヘッドもしくはこれを担持するキャリッジに押圧されて、基台上を前記キャリッジの移動に一致して上下動しながら前記キャリッジの移動に追従するスライダと、前記記録ヘッドの前記キャリッジの移動方向では封止領域内に位置する一方、前記キャリッジの移動方向に直交する側では封止領域外で、かつ前記キャリッジの移動方向に直交する側の両側のそれぞれに位置するように配置された複数のバネにより前記記録ヘッド側に付勢された状態で前記スライダに保持されたホルダと、前記ホルダに配置され、前記記録ヘッドのノズル面を封止する弾性部材からなるキャップとからなるキャッピング装置を備えるようにした。
【0005】
【作用】
キャリッジの移動方向に直交する両側の外側にバネが配置されていて、高い調芯性と安定性を確保してキャップの封止面を記録ヘッドに均等に弾接させる。
【0006】
【発明の実施の形態】
そこで以下に本発明の詳細を実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例を示すものであって、キャリッジ1は、キャリッジモータ2にタイミングベルト3により接続されて、記録用紙4の幅方向に往復移動するように構成され、記録用紙4と対向する面にアクチュエータによりインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド5が設けられ、また上面には記録ヘッド5にインクを供給するインクカートリッジ6を着脱可能に搭載している。
【0007】
記録用紙4は、紙送りモータ7に後述する動力伝達機構を介して接続する搬送ローラ8により一定のピッチで、キャリッジ1の移動方向と直交する方向に紙送りされる。印刷領域の外側には記録ヘッド5を封止するキャッピングユニット9と、キャッピングユニット9よりも印刷領域側にクリーナユニット10が設けられている。
【0008】
キャッピングユニット9は、非印刷時に記録ヘッド5を封止してノズル開口の目詰まりを防止するほかに、ポンプユニット11からの負圧の供給を受けて、インク充填時やまた目詰まり解消時に記録ヘッド5からインクを強制的に吐出させる機能を備えている。
なお、図中符号12は、カットシートフィーダを示す。
【0009】
図2、図3は、上述の駆動力伝達機構の一実施例を示すものであって、搬送ローラ8は、一端に歯車13を有し、紙送りモータ7の軸上のピニオン14からアイドラ15を介して駆動され、また給紙ローラ駆動軸16は、一端に歯車17を有し、クラッチ機構18を介して歯車13と係合してカットシートフィーダ12に動力を伝達し、さらにポンプユニット11は、紙送りモータ7のピニオン14からアイドラ19及び排紙ローラ歯車20を介して排紙ローラ21の他端に設けられた歯車22により駆動される。クラッチ機構18は、常時は図示しないバネにより図2に示すように歯車13、17から離れた位置を保持し、またキャリッジ1に押された場合にはこれら歯車13、17を接続するように構成されている。
【0010】
つぎに各部の構成について説明すると、ポンプユニット11は、キャリッジ1の走行方向と直交する向きに固定したポンプフレーム23のホームポジション側の面に取付けられている。ポンプユニット11の軸24には、排紙ローラ21の歯車22とアイドラ25を介して噛合う歯車26が回動可能に設けられている。歯車26は、その背面にバネ27に押圧されて摩擦回転するアーム28を備えたクリーナカム29が遊転自在に取り付けられていて、アーム28によりクリーナユニット10を移動させる。
【0011】
ポンプユニット11の軸24には、ラチェットホイール31、中間伝達ホイール32、及びポンプホイール33が中間伝達ホイール32を遊転自在とするように積層して装入されている。ラチェットホイール31は、中間伝達ホイール32と対向する面に突起31aを、また中間伝達ホイール32は、両面にそれぞれ突起32a、32bを、さらにポンプホイール33には中間伝達ホイール32と対向する面に突起33aが突設されている。
【0012】
これにより、ラチェットホイール31が回転して、その突起31aが中間伝達ホイール32の突起32aに当接するまでは中間伝達ホイール32には伝達されない。またラチェットホイール31の突起31aが中間伝達ホイール32の突起32aに当接しても、突起32bがポンプホイール33の突起33aに当接するまではポンプホイール33には動力が伝達されない。すなわち、紙送りモータ7の回転方向が切り替わると、ラチェットホイール31とポンプホイール33との間には最大約2回転分の回転伝達遅れが設けられている。
【0013】
ポンプホイール33は、周知のように、一端が中心方向に、他端が外周方向に向けて延びる2本の軸孔33b、33bが設けられていて、ポンプホイール33の回転方向に応じてこれらの軸孔33b、33bに軸支したローラ34、34を、外周方向に片寄らせるか、中心方向に片寄らせること、つまり紙送りモータ7を正転させるか、逆転させるかにより、チューブ35をポンプケーシング36との間で扱くポンプ作用と、チューブ35を加圧しないレリース作用とを切替えるように構成されている。
【0014】
クリーナユニット10は、クリーナホルダ37の上面に溝38を形成してここに先端が記録ヘッド5のノズルプレートに弾接できる程度の高さのクリーニングブレード39を装入して構成されている。クリーナホルダ37は、その側部に形成された案内突起40をポンプケーシング36の上部の、キャリッジ1の移動方向に直交する向きに延びる案内溝42に係合され、また先端の上下方向に延びる長孔43がクリーナカム29の腕28の突起28aに係合されている。さらに、クリーナホルダ37は、クリーニングブレード39と案内突起40との間にキャリッジ1の側面に設けられたキャリッジストッパ1aに係合する係止突起44が形成されている。
【0015】
これにより、クリーナカム29が回動すると、案内溝40を往復移動し、退避位置からクリーニング位置、つまり、図の右端位置からキャリッジ1の走行領域内に移動すると、クリーニングブレード39が記録ヘッド5に弾接してノズル面を払拭するとともに、後述するキャップ80の始動端方向への動きを抑えるように構成されている。
【0016】
図4、図5は、キャッピングユニット9の一実施例を示すものであって、キャップフレーム51は、一端に突出した2本の係止突部52、52を前述したポンプフレーム23の係止孔23b、23bに係合させることによって、その長手方向をキャリッジ1の走行方向に向けて取付けられている。
【0017】
キャップフレーム51には、その両側に、ホームポジションの始端部側から終端部側へ、つまり、図5の左方から右方へと延びる上向き傾斜部53aと水平部53bとからなるカム溝53、53が両側に設けられていて、ここにスライダ56の突起57が摺動自在に取付けられている。
【0018】
このスライダ56は、終端部側にキャリッジ1に当接する当接片56aを、また図6(イ)に示したように当接片56aからキャップ80の長手方向の長さ分Lcの距離Lsを隔てた位置にキャップ80を支持するホルダ受け部が形成されている。スライダ56は、両側に記録ヘッド5を案内するガイド片56b、56bを備え、終端部側を突起57によりキャップフレーム51のカム溝53により支持され、また、始端部側をバネ58により終端部側に回動付勢力を受けたリンクを構成するレバー59によって保持されている。
【0019】
突起57は、図6(イ)に示したように、キャップ80の封止面80aとほぼ同一高さ(ΔH≒0)となる位置に形成されており、これにより図6(ハ)に示したようにスライダ56がキャッピング位置に移動して記録ヘッド1を封止する際、突起57を中心として回動した場合におけるずれ量ΔL1を最小とすることができる。これに比較して高低何れか別の位置(57’)に形成した場合には、ずれ量ΔL2が大きくなり、確実な封止を得ることが困難となる。
【0020】
またスライダ56の下部を支持するレバー59は、図6(ロ)に示したようにそのアーム長、つまりリフト量ΔH1がカム溝53の傾斜部53aのリフト量ΔH2よりも大きくなるように設定されている。なお、傾斜部53aを水平に近づけることにより、キャピング時の負荷を小さくできる。これによりキャリッジモータ2を駆動する電流を小さく抑えてキャリッジ1への衝撃を緩和して、記録ヘッド5のメニスカス破壊によるドット抜け等のトラブルを防止して高い信頼性を確保することができる。また、キャッピング時の負荷が小さくなった分、レバー59の長さを小さくできるため、回動量による水平方向への移動量を抑制でき、キャッピング装置全体のサイズを抑えることができる。
【0021】
スライダ56は、その下部に形成された長さLの係合孔60を介してレバー59の先端と係合して、係合孔60の長さ分L(図6(イ))の自由度をもった状態で結合されていて、非キャッピング状態を保持して始端部側、つまり、傾斜部53aの下端部側に引寄せられるように構成されている。
【0022】
これにより、非キャッピング状態の下では、クリーナユニット10の作動領域と重複する位置にまで最低位領域を移動して、キャップホルダ63の度当たり面63bをクリーナユニット10の先端面に対向する領域まで変位し、クリーナユニット10がキャリッジ1の移動領域内に突出するのを防止している。これにより、キャッピングユニット9を可能な限り、つまり大きな安全公差を要することなく、キャリッジ1の移動経路の記録用紙4側に寄せてキャッピングユニット9を配設することができ、その分だけ記録装置の幅方向寸法を縮めることが可能となる。
【0023】
このスライダ56は、その上面に、キャップ80の長手方向、及び短手方向の中心線を対称線とするように左右に、かつキャリッジ1の移動方向に分散してバネ受け座62、62が形成され、また始端部側の両側にキャップホルダ63の溝64、64’と係合する突起65、65’が形成され、さらに終端部側には中心線上にキャップホルダ63の突起66と係合する溝67が形成されている。
【0024】
キャップホルダ63は、その両側に突出するようにバネ受け部68、68が延出形成され、ここにキャリッジ1の移動方向に分散してバネ受け座69、69が形成され、始端部側の両側にスライダ56の突起65、65’と係合する溝64、64’が形成され、さらに終端部側には中心線上にスライダの溝67と係合する突起66が形成されている。
【0025】
そして溝64、64’の一方、例えば溝64’の底面が他方の溝64よりも若干高くなるように、または突起65、65’の一方、例えば65’が他方の突起65よりも溝64’に対向する面が突出するように形成されている。
【0026】
このような構成により、キャップホルダ63は、その溝64、64’をスライダ56の突起65、65’に、また突起66をスライダ56の溝67に係合され、各バネ受け部62、69に圧縮バネ70を装入されて、上方に付勢された状態でスライダ56に対して始端部側の一側を若干低い位置となる姿勢で3点で支持される。具体的には1mm以上、または記録ヘッド5のノズル面に対する傾きが2度以上となるように設定されている。
【0027】
また、キャップホルダ63が3点で支持されているため、これに収容されているキャップ80の封止面の位置決め高さをより正確に調整することができる。また、キャップ80を記録ヘッド5から離反させるとき、キャップ80より外側を支点として引き剥がし力を作用させてモーメントの増幅により、たとえキャップ80が記録ヘッド5にインクの固化等により貼り付いた場合にでも、容易に引き離すことができる。
【0028】
このようにキャップホルダ63がその封止領域の外側の両側で圧縮バネ70により記録ヘッド5側に弾圧されているため、図8(イ)に示したように両側の圧縮バネ70による圧縮力をPA、Pb、バネ70からキャップ80の封止点までの距離をLa、Lb、封止点間の距離、つまりキャップ80の幅Wとすると、各封止点の反力Ra、Rbは、それぞれ
Ra={Pa(W+La)−Pb・Lb}/W
Rb={Pb(W+Lb)−Pa・La}/W
となる。
そして記録ヘッド5との密着性を一定にするには、各封止点での反力Ra、Rbを同一とする必要があるので、
{Pa(W+La)−Pb・Lb}={Pb(W+Lb)−Pa・La}
Pa(W+2La)=Pb(W+2Lb)
なる条件、つまり
Pa=Pb
La=Lb
を満足する必要がある。
つまり、両側の圧縮バネ70に同一荷重を使用し、これらのバネ70をキャップ80に対して対称となる位置に配置すればよい。
【0029】
一方、キャップホルダ63は、溝64、64’の一つの高さ、または突起65、65’の一つの厚みを変えて始端部側の一側を若干低い位置となる姿勢を取るため、キャップ80が記録ヘッド5に密着を開始した時点では、荷重にアンバランスが生じる。
すなわち、図8(ロ)に示したように支持点A、Dの反力Ra、Rdは、それぞれ
Ra={Pa(W’+La)−Pb・Lb’}/W’
Rd={Pb(W’+Lb’)−Pa・La}/W’
となる。
そして前述のようにそれぞれの荷重Pa、Pbが同一値に設定されているから、
Ra=Pa+{Pa(La−Lb’)}/W’
Rd=Pa+{Pa(Lb’−La)}/W’
また、La>Lb’であるから、当然に{Pa(La−Lb’)}/W’>0となり、したがって
Ra=Pa+{Pa(La−Lb’)}/W’ >Pa
となる。
【0030】
すなわち、キャップ80が記録ヘッド5に密着を開始した時点では、バネ70自体による荷重Paよりも{Pa(La−Lb’)}/W’だけ大きな荷重が当接点に作用することになり、調芯性と密着性が高くなる。
なお、密着初期時の増分荷重{Pa(La−Lb’)}/W’を大きくするには、W’及びLbを小さく、またLaを大きくすれば良いが、W’はキャップ80のサイズにおり決まるので、Laを大きく、またLb’を小さくするのが現実的な方法となる。
【0031】
図8(ハ)は、本発明のキャップと、キャップの封止領域の内側の中心線に位置する2つのバネでキャップを保持した従来のキャップとの、キャップと記録ヘッドの距離と、キャップが記録ヘッドに作用する荷重との関係を示すものであって、実線(A)で示す本発明のものでは、接触初期に十分な荷重を与えることができるのに対して、従来のものでは点線(B)で示す様に全面に密着する直前に初めて密着荷重が作用することになる。
【0032】
キャップホルダ63は、底面63aの中心線上に2本の突起71が植設され、またさらに始端部側には2本の筒状体72、73が中心線に対称となるように形成され、筒状体73は垂直に外部に延長されてポンプユニット11のチューブ35に、また筒状体72は外部に延長されて底面に並行でかつ終端部側に曲げられてチューブ74を介して後述する弁座75に接続されている。
【0033】
このようにチューブ35、74をキャップ80の中心線にできる限り近くに取り付け、かつキャップに対して垂直、及び移動方向に並行に配置しているため、キャップ80に作用する曲げモーメントを可能な限り低減することが可能となる。
【0034】
弁座75は、スライダ56の終端部に固定され、弁座75には弁77が固定されている。作動杆79は、キャップフレーム51に設けられた当接片76と当接してキャリッジ移動方向にスライド可能で、かつバネ78に付勢された状態で常時弁77が閉止位置を保持するように弁77に対向する位置のスライダ56に取り付けられている。
【0035】
キャップホルダ63は、内部に耐インク性を備えたゴム等の弾性部材で形成されたキャップ80を、キャップ80に形成された凹部81、82と、突起71と爪83により保持している。
【0036】
キャップ80は、底面に筒状体72、73と連通する凹部84、85が形成されており、耐インク性を有する多孔質材からなる2枚のインク吸収シート86、87を、爪88で保持している。
【0037】
この実施例において、休止中においては、図9に示したようにクリーナユニット10の係止突起44がキャリッジストッパ1aに係合してキャリッジ1がロックされ、またキャップ80が記録ヘッド5を封止している。
【0038】
一方、記録動作が終了して、キャリッジモータ2によりキャリッジ1をホームポジションに移動させと、この移動の過程で図10に示したようにキャリッジ1がスライダ56の当接片56aに当接し、スライダ56を復帰バネ61に抗して、またレバー59をバネ58に抗して回動させながら終端部に向けて移動する。
【0039】
この移動過程でレバー59がキャリッジ1の移動とともに起き上がり、またスライダ56の突起57がカム溝53の斜面部53aを移動する。キャリッジ1に押されたスライダ56はさらにその突起57がカム溝53の水平部53bに移動させられると、その過程でキャップホルダ63は、始端部側の一側を若干低い位置となる姿勢となるようにスライダ56に取り付けられている関係上、まずキャップ80はその終端部側の一点を全圧縮バネ70の圧縮力により記録ヘッド5のノズル面に当接する。そして図9に示したようにスライダ56が終端部に移動した段階では、キャップ80の全周が全圧縮バネ70の圧縮力を受けて記録ヘッド5のノズル面に当接して確実に封止する。
【0040】
この当接初期から全面封止に至る過程において、突起57は、キャップ80の封止面80aとほぼ同一高さ(ΔH≒0)に位置しているから、図6(ハ)に示したようにスライダ56がキャッピング位置に移動する際、突起57を中心として回動した場合におけるずれ量ΔL1が極めて小さく確実に記録ヘッド5のノズル面に当接して確実に封止する。
【0041】
またキャップ80は、若干傾いた状態姿勢を取るように倣い性が与えられているため、開放時にはキャップ始端部側の一端から徐々に開口面積を拡大しながら記録ヘッド5から離間することになる。これにより、インクの強制排出時に伴って記録ヘッド5のノズル面とキャップ80の封止面80aとの境界に毛細管力等で残留しているインクが、表面張力により膜を形成しようとしても開口面積の徐々なる拡大に追従して移動することが可能となるから、最終的にキャップ80が最後に記録ヘッド5の表面から離れる端部の一点に移動させることができ、キャップ80を一気に開放する場合に比較してインク膜の面積が小さくなった段階でインクの膜が破裂するから、ノズル面へのインクの付着量を少なくして印字品質の低下を小さく抑えることができる。
【0042】
一方、印刷期間中に記録ヘッド5のフラッシングが必要となった場合には、キャリッジ1を始端部方向に若干移動させて図11に示したように記録ヘッド5とキャップ80とに間隙ΔGを形成する。この状態で記録ヘッド5にフラッシング信号を供給してノズルからインク滴をキャップ80に吐出させると、キャップ80の面が記録ヘッド5のノズル面に対して角度θで傾斜しているため、インク吸収シート86から跳ね返ったインク飛沫がノズル面に付着するのを可及的に防止できる。なお、キャリッジの紙端部方向への若干の移動は、レバー59の係合孔60の長さL分で行われるため、レバー59が不作状態を維持するから、たとえキャリッジ1がスライダ56に当接しても、キャリッジ1への衝撃を可及的に緩和でき、記録ヘッド5のメニスカスの損傷を防止して高い信頼性での印刷を確保することができる。
【0043】
また、スライダ56がキャリッジ1の移動方向に細長い係合孔60を介してアーム59に係合している関係上、キャップ80を係合孔60の長さL分だけ印刷領域側にオフセットさせることが可能となり、フラッシング時のキャリッジ1の移動距離を短縮してスループットを向上することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明においては、記録ヘッドもしくはこれを担持するキャリッジに押圧されて、基台上をキャリッジの移動に一致して上下動しながらキャリッジの移動に追従するスライダと、記録ヘッドの封止領域の両側の外側で記録ヘッド側にバネにより付勢されてスライダに保持されたホルダと、ホルダに収容され、記録ヘッドのノズル面を封止する弾性部材からなるキャップとを備えたので、封止面の外側のバネにより高い調芯性と安定性を確保でき、大型の記録ヘッドであってもキャップを均等に弾接させて確実に封止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット式記録装置に一実施例を示す図である。
【図2】同上記録装置の駆動動力伝達系を示す図である。
【図3】同上装置におけるポンプユニットの分解斜視図である。
【図4】図(イ)、(ロ)は、同上装置に使用するキャッピングユニットの一実施例を、両側から見た状態で示す斜視図である。
【図5】同上装置に使用するキャッピングユニットの一実施例を示す分解斜視図である。
【図6】図(イ)乃至(ハ)は、それぞれスライダとキャップフレームの各サイズを説明する図、及びキャピング時のずれ量を説明する図である。
【図7】図(イ)乃至(ハ)は、それぞれキャップホルダの一実施例を、キャップを装入した状態で示す上面図、キャップを取り外した状態で示す断面図、及びキャップの一実施例を示す断面図である。
【図8】図(イ)キャップに作用する荷重を示す説明図であり、図(ロ)は記録ヘッドへの当接初期における荷重を示す説明図であり、図(ハ)は本発明のキャップと、キャップの封止領域の内側の中心線に位置する2つのバネでキャップを保持したものとの、キャップと記録ヘッドの距離とキャップが記録ヘッドに作用する荷重との関係を示す線図である。
【図9】図(a)、(b)は、それぞれクリーナユニット、及びキャッピングユニットの動作の内、封止状態を平面と側面から示す図である。
【図10】図(a)、(b)は、それぞれクリーナユニット、及びキャッピングユニットの動作の内、キャリッジによりスライダを上昇させる過程を平面と側面から示す図である。
【図11】図(a)、(b)は、それぞれクリーナユニット、及びキャッピングユニットの動作の内、フラッシング状態を平面と側面から示す図である。
【符号の説明】
1 キャリッジ
2 キャリッジモータ
5 記録ヘッド
6 インクカートリッジ
7 紙送りモータ
8 搬送ローラ
9 キャッピングユニット
10 クリーナユニット
11 ポンプユニット
12 カットシートフィーダ
13、17、22、26 歯車
14 ピニオン
16 給紙ローラ駆動軸
18 クラッチ機構
21 排紙ローラ
28 アーム
29 クリーナカム
31 ラチェットホイール
32 中間伝達ホイール
33 ポンプホイール
34 ローラ
35 チューブ
36 ポンプケーシング
37 クリーナホルダ
38、64、64’、67 溝
39 クリーニングブレード
40 案内突起
42 案内溝
43 長孔
44 係止突起
51 キャップフレーム
53 カム溝
53a 傾斜部
53b 水平部
56 スライダ
56a 当接片
59 レバー
60 係合孔
63 キャップホルダ
68 バネ受け部
70 バネ
74 チューブ
75 弁座
77 弁
80 キャップ
86、87 インク吸収シート
Claims (9)
- 記録ヘッドもしくはこれを担持するキャリッジに押圧されて、基台上を前記キャリッジの移動に一致して上下動しながら前記キャリッジの移動に追従するスライダと、前記記録ヘッドの前記キャリッジの移動方向では封止領域内に位置する一方、前記キャリッジの移動方向に直交する側では封止領域外で、かつ前記キャリッジの移動方向に直交する側の両側のそれぞれに位置するように配置された複数のバネにより前記記録ヘッド側に付勢された状態で前記スライダに保持されたホルダと、前記ホルダに配置され、前記記録ヘッドのノズル面を封止する弾性部材からなるキャップとからなるキャッピング装置を備えたインクジェット式記録装置。
- 前記バネが前記キャリッジの移動方向、及び前記キャリッジの移動方向に直交する方向に対称に配置されている請求項1に記載のキャッピング装置を備えたインクジェット式記録装置。
- 前記各バネのバネ力が同一である請求項2に記載のキャッピング装置を備えたインクジェット式記録装置。
- 前記ホルダが前記キャリッジの移動方向の前後の3つの支持点で前記スライダに支持されている請求項1に記載のキャッピング装置を備えたインクジェット式記録装置。
- 前記3つの支持点の1つが、他の支持点と前記記録ヘッドに対する距離が相違する請求項4に記載のキャッピング装置を備えたインクジェット式記録装置。
- 前記相違する距離が1mm以上、または前記記録ヘッドのノズル面に対する傾きの角度が2度以上である請求項5に記載のキャッピング装置を備えたインクジェット式記録装置。
- 前記キャップのほぼ中心線上に吸引手段と、大気連通手段に連通する開口が形成されている請求項1に記載のキャッピング装置を備えたインクジェット式記録装置。
- 前記吸引手段に連通する開口に前記ホルダの底面に垂直にチューブが接続されている請求項7に記載のキャッピング装置を備えたインクジェット式記録装置。
- 前記大気連通手段に連通する開口に前記キャリッジの移動方向に平行に延びるチューブが接続されている請求項7に記載のキャッピング装置を備えたインクジェット式記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26816097A JP3712221B2 (ja) | 1996-11-22 | 1997-09-12 | インクジェット式記録装置 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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