JP3712088B2 - 歯科用ミラー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科用ミラーにおいて、治療時に口腔内湿度により発生する鏡面の曇りを防止した歯科用ミラーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
口腔内の特に歯を処置する際には、歯の舌側を充分に観察するための器具として、歯科用ミラーが利用されている。この歯科用ミラーは金属製の一体ものとして供給され、各患者間で化学的或いは熱的に消毒、殺菌をすることが多かったが、近年、エイズ等の院内感染の問題が提起されたのを機に、全体を合成樹脂にて形成し使い捨てタイプとした歯科用ミラーも利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの歯科用ミラーは、いずれも患者の口腔内に挿入された場合に、患者の呼吸動作によって、排気の持ち合わせた湿度と温度とが原因となって、歯科用ミラーの表面に曇りを生じることが避けられなかった。このような歯科用ミラーの曇りは、患部への正確な処置を誤らせることになるため、歯科用ミラーが曇ってきた都度、歯科医等は、一旦歯科用ミラーを口腔外へ取り出して鏡面の曇りを除去したり、時としては歯科用ミラーをブローしたり歯科用ミラーを交換する操作を必要としていた。
このような操作が必要となることにより、患者を治療したり処置する時間が長びいたり、歯科用ミラーを消毒する場合の手数が多くなるのを避けられなかった。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決して、口腔内処置に際して、口腔内部に挿入される歯科用ミラーのミラー面に発生する曇り現象を防止し、衛生的な歯科用ミラーを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するため、鋭意研究開発を進めた結果、次に示すような簡便な装置を用いることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の実施態様は、口腔内に挿入して患部を観察するための歯科用ミラーにおいて、軸部と先端部とにより構成され、該先端部は一面にミラーを把持し、他面に装填凹部を有する把持体により構成され、該装填凹部に吸湿により蓄熱する物質を充填するとともに、内外に通じる多数の小孔が穿設された蓋により該装填凹部の開放部を閉鎖し、さらに前記蓋の外面には封止膜が仮貼着されてなる歯科用ミラーを特徴とするものである。
【0006】
また第2の実施態様は、口腔内に挿入して患部を観察するための歯科用ミラーにおいて、軸部と先端部とにより構成され、該先端部は一面にミラーを把持した把持体により構成され、該ミラーの裏面側に、吸湿により蓄熱する物質を充填しかつ一面に内外に通じる多数の小孔が穿設された容器を貼着し、さらに前記容器の一面の外面には封止膜が仮貼着されてなる歯科用ミラーを特徴とするものである。
【0007】
本発明の実施に際して、前記軸部と先端部とは一体または着脱自在に形成されてなり、また前記吸湿により蓄熱する物質はゼオライト、生石灰、シリカゲル、活性アルミナまたは焼石膏等であり、さらに前記蓋は着脱自在または開閉自在であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に関して、図面を参照しながら以下に詳述すると、図1は本発明の一実施例を示す断面図、図2は図1に示す本発明の一実施例の斜視図、図3は本発明の他の実施例の側面断面図である。
【0009】
図1乃至図3に示すように、口腔内に挿入して患部を観察するための歯科用ミラー1は、歯科用ミラー1が軸部2と先端部3とにより構成され、該先端部3はミラー4と、把持体5と、装填凹部6とからなる。前記把持体5の一面にはミラー4が把持され、またミラー4の裏面と相対する他の面には装填凹部6が設けられている。前記装填凹部6の開放部には内外に通じる多数の小孔7が穿設されてなる蓋13が設けられ、一方前記装填凹部6には吸湿により蓄熱する物質8の粒状物が装填されている。
【0010】
さらに前記装填凹部6の多数の小孔7が穿設されてなる蓋13の外面には封止膜9が仮貼着され、口腔内部の処置に先だって、蓋13の外面に仮貼着されている前記封止膜9を剥離して用いるものである。
【0011】
また、歯科用ミラー1を構成する軸部2と先端部3を合成樹脂あるいはステンレス鋼で一体に形成したり、軸部2をステンレスで形成し、一方先端部3を合成樹脂にて形成することもできる。さらに軸部2と先端部3とを相互に螺合等することにより着脱自在とすることもできる。一方物質8に生石灰を用いた場合、先端部3のみを使用の都度交換して使い捨てとすることも可能となり、歯科用ミラー1による院内感染を防止することができる。
【0012】
上記した通り物質8は粒状物であるため、歯科用ミラー1を製作し利用した場合、ミラー4の表面の曇り現象は効果的に防止することができる。これは、物質8が患者の排気環境と接触する面積を広く保ち、吸湿効果をより高める作用をなすためである。
本発明の実施に際して、装填凹部6に装填される吸湿剤8の表面がミラー4の裏面10に直接接触するので、吸湿により蓄熱され発熱する物質8の熱がミラー4に伝えられて、ミラー4の表面の曇り現象を効果的に防止させている。
【0013】
なお、装填凹部6の開放部を閉鎖する蓋13を着脱自在とし、前記装填凹部6内に装填された物質8のみを交換することもできる。
本発明になる歯科用ミラー1を用いて口腔内部の処置を行う場合、装填凹部6に装填される吸湿により蓄熱する物質8は、ゼオライト、生石灰、シリカゲル、活性アルミナ或いは焼石膏などのいずれかからなるものであるが、直接人体に接触したとしても弊害を及ぼすものではない限り、吸湿により蓄熱する他の物質も使用することができる。
このように本発明の実施により、ミラー4の表面に発生する曇りを防止するできるのは、装填凹部6に設けられた小孔7を通じて患者の口腔内排気に含まれる湿気と接触した物質8の吸湿による蓄熱作用と、吸湿に伴う物質8の発熱作用との相乗効果によるものである。
【0014】
また、本発明で物質8にゼオライトを使用した場合は、加熱再生することにより再使用が可能であって、数千回にも及ぶ再使用が可能となる。
さらに、物質8を密閉した包装状態で保存し、使用に際して密閉して保存された包装を開封してのち、装填凹部6に設けられた蓋13の開閉により装填凹部6に装填するよう構成すれば、保管時の吸湿を防止することが可能となると共に、使用の際に取り扱いが極めて容易となる。
【0015】
次に本発明のさらに他の実施例を図4について説明する。
図4に示すように物質8を、一面に内外に通じる多数の小孔11aが穿設されたディスク状容器11に充填し、該容器11の前記一面の外面に封止膜15を仮貼着するとともに、容器11の他面に両面接着テープ14を設けておく。
このように構成すれば、図5のように両面接着テープ14によって容器11を先端部3の把持部5の裏面に接着し、また封止膜15を剥離することにより小孔11aを介して口腔内の湿気が容器11内に流入し物質8が発熱することによりミラー4の曇りを防止でき、使用に際し取り扱いが極めて容易となる。
【0016】
さらに、図6は本発明のさらに別の実施例を示すものである。
図6の実施例は、図4の容器11をミラー4の裏面に設けた装填凹部6に装填するよう構成したものであって、蓋13は細い鎖で首からつるす、いわゆる「ロケット」のように開閉自在となっている。この実施例では図4に示すディスク状容器11は使用するものの、裏面に設けられた両面接着テープ14は必ずしも必要ない。
【0017】
図4乃至図6に示す実施例においても、上記した図1乃至図3の実施例と同様に軸部2と先端部3とを相互に螺合等することにより着脱自在としたり、容器11のみを交換するようにしたり、歯科用ミラー全体を合成樹脂等の安価な材料で形成して使い捨てとしたり、物質8をゼオライトとして加熱再生することにより再使用が可能としたりすることができる。
【0018】
【発明の効果】
上記述べた通り、本発明によれば、軽便かつ簡易にして経済的にも好ましく、曇り現象を防止し、衛生的な口腔内処置用の歯科用ミラーを提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の断面図である。
【図2】 図1に示す本発明の一実施例の斜視図である。
【図3】本発明の他の実施例の側面断面図である。
【図4】本発明の他の実施例に係る物質を充填した容器の斜視図である。
【図5】 図4に示す実施例を適用した場合の側面断面図である。
【図6】本発明のさらに別の実施例の側面断面図である。
【符号の説明】
1 歯科用ミラー
2 軸部
3 先端部
4 ミラー
5 把持体
6 装填凹部
7 小孔
8 物質
9 封止膜
10 裏面
11 容器
11a 小孔
12 外縁部
13 蓋
14 両面接着テープ
15 封止膜

Claims (5)

  1. 口腔内に挿入して患部を観察するための歯科用ミラーにおいて、軸部と先端部とにより構成され、該先端部は一面にミラーを把持し、他面に装填凹部を有する把持体により構成され、該装填凹部に吸湿により蓄熱する物質を充填するとともに、内外に通じる多数の小孔が穿設された蓋により該装填凹部の開放部を閉鎖し、さらに前記蓋の外面には封止膜が仮貼着されてなることを特徴とする歯科用ミラー。
  2. 口腔内に挿入して患部を観察するための歯科用ミラーにおいて、軸部と先端部とにより構成され、該先端部は一面にミラーを把持した把持体により構成され、該ミラーの裏面側に、吸湿により蓄熱する物質を充填しかつ一面に内外に通じる多数の小孔が穿設された容器を貼着し、さらに前記容器の一面の外面には封止膜が仮貼着されてなることを特徴とする歯科用ミラー。
  3. 前記軸部と先端部とは一体または着脱自在に形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載の歯科用ミラー。
  4. 前記吸湿により蓄熱する物質はゼオライト、生石灰、シリカゲル、活性アルミナまたは焼石膏であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の歯科用ミラー。
  5. 前記蓋は着脱自在または開閉自在であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の歯科用ミラー。
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