JP3712027B2 - 搬送機械の惰走停止位置制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄鋼または非鉄等のプロセスラインにおける金属帯板をコイル状に巻き取った帯板コイル等を直入れ電動機や電磁弁を使用して搬送する搬送機械の惰走停止位置制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鉄鋼または非鉄プロセスラインの巻き戻しリール又は巻き取りリールのコイル取着部(マンドレル)からコイルを着脱する際には、リールの径方向に上下移動する昇降機能、及びリールの軸方向に移動する搬送機能を共に備えたコイルカーが用いられている。従来のコイルカーの昇降機能についての典型的な例としては、特開平5−138247号に開示されている「昇降力切替式コイルカー」が知られている。図5はその昇降力切替式コイルカーの構成図であり、V型スキッド方式のコイルカーの例を示している。図5において、リール220の下方にコイル210の尾端を支持することで、コイルを巻きゆるみなく巻き取り、巻き取ったコイルを払い出すためのコイルカー120が設けられている。コイルカー本体230にはV型スキッド240がガイドロッド250を介して、昇降駆動機構のV型スキッド昇降シリンダー260によって、昇降可能に支持されている。電磁弁130を上昇側に位置させて、圧油口から作動液を電磁弁130を通して昇降用シリンダー260のa側に供給することで、V型スキッド240が上昇する。又、電磁弁130を下降側に位置させれば、V型スキッド240は下降する。こうして電磁弁130、昇降用シリンダー260、V型スキッド240により昇降駆動機構を構成している。又、この昇降駆動力は圧力切替弁140、減圧弁150、160、リリーフ弁170によって、昇降力の低高圧切替えを可能にしている。
この構成で、コイルの巻取りが終了に近付くとコイルカー120を上昇させ、V型スキッド240がコイル210に接触し、この状態でコイル210の重量により昇降シリンダー260が押し下げられ、昇降シリンダー260側の圧力が高くなってリリーフ弁170が作動し、作動液はリリーフ弁170を通って返油口側へ流れるので、コイル210はスリ疵、巻ゆるみ等がなくコイルカー130に安定に支持され移送される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例においては、コイルカーの搬送制御でも特に停止制御は比較的ラフな走行環境のことでもあり、余り精度が考慮されることはなくスペース的にも限定されていたので、モータ制御についても高価なインバータを使った制御は行わずコストの低廉な直入れ制御方式を用いていたために、被搬送物体(コイル)の慣性質量のバラツキにより停止指令後の惰走距離が一定にならず、数回測定した惰走距離の平均値を用いた停止位置補正等を行っていたが、停止精度が確保できないために停止制御に時間がかかるという問題があった。
そこで、本発明は、高価なインバータ制御方式などによらない簡単な改善によって、コイルカーの停止精度を向上させることができる搬送機械の惰走停止位置制御方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、請求項1記載の発明は、直入れ電動機を使用して搬送物を搬送する搬送機械をCPU、RAMを有するシーケンサによって定位置に停止させる搬送機械の惰走停止位置制御方法において、前回の停止時の惰走距離を前記RAMに記憶して置き、次回の停止時に前記RAMから前回の惰走距離情報を得て前記CPUで停止惰走距離を補正する際に、予定位置に停止していれば、前記RAMの惰走距離の情報を更新して終了し、又、停止位置がずれていれば補正した後に前記惰走距離を演算し直し更新して終了することを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の直入れ電動機に代えて、電磁弁で制御される油圧機器を使用して搬送物を搬送するようにしている。
このように、次回の停止時に前回の停止惰走距離を補正して搬送機械の停止位置精度を向上させるので、被搬送物体の慣性質量が変わった場合も、その慣性質量により決まる惰走距離を使用してシーケンサは学習機能に基づき、定位置停止指令を出力するため、慣性質量の変化に関係なく停止位置精度を確保することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るシーケンサと搬送機械の概念ブロック図であり、図2は図1に示すシーケンサの制御動作のフローチャートである。
図3は図1に示すシーケンサのブロック図である。
図4は図1に示すシーケンサの停止指令出力タイミングを示す図である。
図1において、1は指令側の搬送プロセスコンピュータ(図示していない)からの指令を受けて、搬送機械を制御するシーケンサである。2は搬送機械としてのコイルカーであり、コイルカー2に被搬送物体(例えば金属帯板コイル)4を積載して、給電用SW(直入れ用SW)8を介してSSRモジュール等によるモータ制御回路7から給電される、直入れ電動機(モータ)5によりコイルカー2の車輪2aを回転駆動してコイルカー2を搬送する。なお、6はSSR並列回路等で構成するモータ正逆転SW回路である。
3はコイルカー2の昇降機構であり、油圧源を調節する電磁弁9によってV型スキッド3aを昇降するシリンダーにより、コイル4をV型スキッド3a上に支持積載する。
つぎに図2のフローチャートを参照して動作について説明する。
▲1▼ 搬送制御用のプロセスコンピュータ(図示していない)からの搬送指令を、図3に示すようなシーケンサ1がI/O20を介して受取る(S20)。
▲2▼ シーケンサ1は搬送指令を受けたら、コイルカー2の昇降機構3の電磁弁9を作動させて、コイル4をコイルカー2に積載する(S21)。
▲3▼ シーケンサ1は搬送指令に指定されている停止点の定位置を確認して、モータ5の回転方向、速度をモータ制御回路7で算出してSW8により給電駆動しコイルカー2の搬送を開始する(S22)。
▲4▼ シーケンサ1は次の停止点である定位置での前回の惰走距離をRAM23から読み出し(S23)、
▲5▼ 通常の停止指令実行ポイントから前回の惰走距離を減算した時点で、実際の停止指令を実行してモータ5への給電をSW8をOFFして遮断する(S24)。
▲6▼ この処理は図4に示すように、停止位置1は停止指令実行点から惰走距離(斜線部分)だけずれて停止するので、これを減じて停止位置を補正するものである。
▲7▼ 定位置に停止したか?の位置確認を行い(S25)、
▲8▼ 予定位置に停止していれば、停止位置等の情報をプロセスコンピュータへ通知して、RAM23の惰走距離を更新して終了する(S26)。
▲9▼ 又、停止位置がずれていれば補正した後、S26で惰走距離を演算し直し更新して終了する(S27)。
このように、本実施の形態によれば前回の惰走距離データにより補正制御を行っているので、従来のような数回の測定値の平均値を用いた固定値制御に比較すれば、はるかにリアルタイムの追従制御に近く、学習機能により刻々データを前回のものに更新することによって正確な停止位置制御が可能になる。
また、図3に示すように、直入れ電動機5に代えて、電磁弁9で制御される油圧機器10(例えば、油圧モータ、油圧シリンダ等)を使用して搬送物を搬送するようにしてももちろんよい。
なお、鉄鋼プロセスライン等の例で、自動車向け鋼板の生産ライン、スティンレス鋼の生産ライン、磁性鋼の生産ライン、といったロット毎にコイルの慣性による惰走距離データを交換して、停止指令の実行の都度データを更新するようにすれば、コイルの慣性質量が変わっても正確に対応することが可能である。
【0006】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、前回のコイルカー停止時の惰走距離を記憶して置き、次回の停止時に前回の停止惰走距離を補正して搬送機械の停止位置精度を向上させるように構成したので、搬送機械の定位置停止精度を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るシーケンサと搬送機械の概念ブロック図である。
【図2】図1に示すシーケンサの制御動作のフローチャートである。
【図3】図1に示すシーケンサのブロック図である。
【図4】図1に示すシーケンサの停止命令出力タイミングを示す図である。
【図5】従来の昇降力切替式コイルカーの構成図である。
【符号の説明】
1 シーケンサ
2 コルカー
3 昇降機構
4 コイル
5 直入れモータ
6 反転SW
7 モータ制御回路
8 直入れSW
9 電磁弁
10 油圧機器
20、21 I/O
CPU 22
RAM 23
ROM 24
Claims (2)
- 直入れ電動機を使用して搬送物を搬送する搬送機械をCPU、RAMを有するシーケンサによって定位置に停止させる搬送機械の惰走停止位置制御方法において、前回の停止時の惰走距離を前記RAMに記憶して置き、次回の停止時に前記RAMから前回の惰走距離情報を得て前記CPUで停止惰走距離を補正する際に、予定位置に停止していれば、前記RAMの惰走距離の情報を更新して終了し、又、停止位置がずれていれば補正した後に前記惰走距離を演算し直し更新して終了することを特徴とする搬送機械の惰走停止位置制御方法。
- 電磁弁で制御される油圧機器を使用して搬送物を搬送する搬送機械をCPU、RAMを有するシーケンサによって定位置に停止させる搬送機械の惰走停止位置制御方法において、前回の停止時の惰走距離を前記RAMに記憶して置き、次回の停止時に前記RAMから前回の惰走距離情報を得て前記CPUで停止惰走距離を補正する際に、予定位置に停止していれば、前記RAMの惰走距離の情報を更新して終了し、又、停止位置がずれていれば補正した後に前記惰走距離を演算し直し更新して終了することを特徴とする搬送機械の惰走停止位置制御方法。
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JP35760597A JP3712027B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 搬送機械の惰走停止位置制御方法 |
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US9026348B2 (en) | 2012-12-21 | 2015-05-05 | Honda Motor Co., Ltd. | System and method for brake coaching |
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1997
- 1997-12-25 JP JP35760597A patent/JP3712027B2/ja not_active Expired - Fee Related
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