JP3711944B2 - 図面データ作成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力系統等の監視制御システムにおいて用いられる図面データの作成時に、回路データと図面データとの関連付けを自動的に行ない、データ間の整合性検査を容易に行なうことができる図面データ作成方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電力系統分野の監視制御システムにおいては、電力系統を表す図15に示す回路データ12の他にモニタ用画面で用いる図面データ13も用いられる。ここで、回路データ12は、設備情報、設備間接続線および設備と設備間接続線との接続情報からからなり、一方、図面データ13は設備図形要素情報、接続線図形要素情報からそれぞれ構成されている。図14は日立評論Vol.73,No.8(1991−8)に記載された、情報制御オンラインシステムを対象とした従来のマンマシン構築支援システムのシステム構成図である。
【0003】
図15に、電力系統分野の監視制御システムにおける、系統構成例11とその系統構成例に基づく回路データ12と図面データ13の例を示す。図15に示す通り、回路データ12は、例えば、系統構成例中の設備1(14)に関する情報や設備1(14)と設備間接続線1(16)に関する接続情報、および設備2 (15)と設備間接続線1(16)に関する接続情報などを持つ。一方、図面データ13は、設備図形要素17や接続線図形要素18の表示位置、表示色、および図形サイズなどの図面上の個々の図形要素に関する情報を保持している。
【0004】
図面データ13は回路データ12に合致したものでなければならない。したがって、設備図形要素情報と設備情報が図15における設備図形要素17と設備1(14)のように、また、接続線図形要素情報と設備間接続線情報が図15における接続線図形要素18と設備間接続線1(16)のように、それぞれ関連付けられる必要がある。
【0005】
従来、回路データ12と図面データ13との関連付けの際には、例えば、図16の回路データ一覧21と図面上の図形要素を相互に参照しながら、設備名称を用いてお互いを関連付けていた。図2の例では、図面データ上の接続線図形要素の名称を“設備間接続線1”と設定することにより、接続線図形要素と設備間接続線とを関連付け、設定された名称をもとに図形要素に対応する回路データを検索し、関連付けていた。そして、この関連付けは接続データ一覧22および関連付け一覧23により管理され、関連付け一覧と回路データ一覧とを相互に比較することにより、回路データ12と図面データ13との整合性を検証していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような関連付け方法では、図面上の全ての図形要素に対して名称を割り付けねばならない。名称の割り付けに際し、設備図形要素に対しては、その図形要素に対応する設備の名称を割り付ければよい。しかし、接続線図形要素については、対応する設備間接続線に名称が存在しないので、上記関連付けのためには、設備間接続線に対して明示的に名称を付加し、設備間接続情報19としてあらたに作成しなければならず、その作業には大きな手間がかかるといった問題点がある。
【0007】
さらに、図面編集時は、設備図形要素と接続線図形要素との接続状態の変更に伴い、関連付け一覧にデータを追加したり、既存データに対して関連づけの修正などをしなければならない。そのため、誤ったデータを入力する可能性が高く、回路データ12と図面データ13との間で不整合が生じ易いといった問題点がある。
【0008】
一方、回路データ12と図面データ13との整合性検査の際は、図面データ13が図面要素間の接続情報を持たないため、上記一覧表などを用いて双方のデータを比較して、設備と図面の対応関係や接続関係を検査していた。その他に、例えば、ある開閉器を“開”にするなどのように、特定の設備の状態を変化させることにより生じる現象を図面上で確認するなどの方法も用いられていたが、これらの方法は検査に手間が掛かり、データ作成者の負担が大きいといった問題点がある。
【0009】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、回路データと図面データとの関連付けや整合性検査に関する負担を軽減する図面データ作成方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る図面データ作成装置は、プラントシステムの設備間の電気的接続を記述した回路データと、設備間の図的接続形態を記述した図面データとの接続関係の整合性を検査し、不整合な設備および設備間接続線を摘出する整合性検査部と、前記回路データと図面データとにより関連付けられる設備間の同一経路に対して複数の設備間接続線が存在するとき、整合性が確認された設備間接続線について、前記接続関係に基づいて必要な接続線のみを優先的に選択し、該接続線に対して前記回路データと図面データとの関連付けデータを自動的に生成するデータ関連付け生成部とを備えたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本発明を適用したシステムの一実施の形態を示すブロック図である。上記目的は、回路データ12および図面データ13を編集するデータ編集部31、編集されたデータを保存するデータ保存部32、図面データ13をもとに、対応付け可能な回路データ12を検索する回路検索部33、回路データ12と図面データ13の整合性を検査する整合性検査部34、図面上の図形要素と回路データ12を関連付けるデータ関連付け生成部35、さらに、図面を表示したり、整合性検査において不整合と判定された設備図形要素または接続線図形要素を色替表示するデータ表示部36を備えることにより達成される。
【0012】
図2はデータを格納するためのデータベースとして、関係データベースを用いた場合の設備間接続情報の管理方法を示す。関係データベースではテーブルを用いてデータを管理する。設備データを扱う場合は、各設備に対応したテーブルである設備テーブル群41を用意して設備データを管理する方法が一般的である。ここで、各テーブルはテーブル内のデータを一意に特定するためのキー項目43を必ず持つ。図2の例では(設備種別項目とid項目)の組がこれにあたる。ところで、接続情報を管理するためには、設備テーブル以外に接続管理テーブル42も必要である。接続管理テーブル42では、例えば接続先種別1、接続先設備id1、接続先種別2,接続先設備id2などの項目を用いて接続する設備間の情報を管理する。図2の例では、接続先種別1項目や接続先種別2項目は各設備テーブルの設備種別項目に、接続先設備id1項目や接続先設備id2項目は各設備テーブルのid項目にそれぞれ対応する。したがって、各設備テーブルと接続管理テーブルを相互に参照することにより、設備間の接続関係をたどることができる。
【0013】
回路データ12と図面データ13との整合性検査のフローチャートを図3に示す。本発明による図面データ作成方法において、回路データと図面データとの整合性を検査する際には、まず、全ての設備について図面上の設備図形要素との整合性を検査する。前記の通り、設備図形要素と設備情報とはお互いに対応付けられている。したがって、着目した設備図形要素と設備情報を比較し、正しく対応付けされている場合を正とする。一方、二つの設備情報間で相違があれば不整合な対応付けであると判定し、データ表示部36により不整合な設備図形要素を色替表示し、警告メッセージを出力する。この整合性検査を、すべての設備図形要素について行う。次に、その設備図形要素に対応する設備の設備idをもとに接続テーブルから得られる設備間接続線についての情報に基づき、この接続線に接続する設備を検索する。そして、検索された設備に関して上記と同様の比較検査を行ない、設備間接続線についての整合性検査が行なわれる。検査時に不整合と判定された場合は、データ表示部36により不整合となる図形要素が色替表示されると共に警告メッセージが出力される。
【0014】
前記整合性検査の際に、ある設備間接続線について、それに隣接している設備と図面データ上の設備図形要素とが正しく対応している場合は、着目した設備間接続線が図面データ上の接続線図形要素と関連付けられ、関連付けデータが自動的に生成される。
【0015】
実施の形態2.
図4は、回路データと図面データとの整合性検査において、関連付け可能な設備間接続が複数個存在する場合の例を示す。図4に示す系統構成例において、図面データ中の点線で囲まれた接続線図形要素61に関連付け可能な設備間接続線としては、回路データ中の接続関係情報62と接続関係情報63より、設備間接続線1と設備間接続線2の二本が考えられる。このような場合、以下の3つのいずれかの方法を用いて不要な接続線を削除し、必要な接続線のみについて対応付けを行なう。
【0016】
第一の方法は、対応付け可能な設備をデータ作成者が選択する方法である。この場合、特に優先順位などはつけていないので、データ作成者自身の判断により適切な設備を選択する。この方法のフローチャートを図5に示す。回路検索部33は、図面データをもとに、対応付け可能な回路データ検索する。このとき、図面上のある接続線図形要素に対して対応付け可能な設備間接続線が複数個存在するかどうかを判定する。対応可能な設備間接続線が一本のみの場合は、整合性検査部(34)において整合性が判定された後、その設備間接続線の関連付けデータが生成され、データ関連付け生成部35により図面データと関連付けられる。一方、対応付けの可能な設備間接続線が複数個存在する場合は、データ作成者自身の判断により、適切な設備間接続線が選択され、該当する図形要素に関連付けされる。
【0017】
第二の方法は、設備間接続線の接続先の設備種別等により対応付けの優先順位を決め、その優先順位に基づき、最も優先順位の高い設備を自動選択する方法である。この方法のフローチャートを図6に示す。回路検索部33は、図面データをもとに、対応付け可能な回路データ検索する。このとき、図面上のある接続線図形要素に対して対応付け可能な設備間接続線が複数個存在するかどうかを判定する。対応可能な設備間接続線が一本のみの場合は、整合性検査部34において整合性が判定された後、その設備間接続線の関連付けデータが生成され、データ関連付け生成部35により図面データと関連付けられる。一方、対応付けの可能な設備間接続線が複数個存在する場合は、接続している設備を元に関連付け可能な設備間接続線について優先順位をつける。そして、その優先順位に基づき、最も優先順位の高い設備間接続線を自動選択し、該当する図形要素に関連付けれる。
【0018】
第三の方法は、対応付けの優先順位を決めた後、データ作成者に対し、優先順位に基づく設備間接続線を提示する方法である。この方法のフローチャートを図7に示す。回路検索部33は、図面データをもとに、対応付け可能な回路データ検索する。このとき、図面上のある接続線図形要素に対して対応付け可能な設備間接続線が複数個存在するかどうかを判定する。対応可能な設備間接続線が一本のみの場合は、整合性検査部34において整合性が判定された後、その設備間接続線の関連付けデータが生成され、データ関連付け生成部35により図面データと関連付けられる。一方、対応付けの可能な設備間接続線が複数個存在する場合は、接続している設備を元に関連付け可能な設備間接続線について優先順位をつける。そして、データ作成者に対して、その優先順位に基づく設備間接続線を提示する。データ作成者が適切な設備接続線を選択した後、選択された設備接続線が関連付けられ図面データと対応付けられる。
【0019】
実施の形態3.
本実施の形態では、図8に示すように、実際の設備や設備間の接続に忠実な回路図面データに対して、設備に対応する図形要素の配置変更や、図形要素間の接続の変更などの編集をデータ編集部31が行うことにより、図面データを作成する。回路図面データを元に図面データを作成しているため、回路図面データ上の図形要素と図面データ上の図形要素との対応付けを容易に行うことができる。
【0020】
さらに、図9に示すように等価な回路接続同志の変換ルールを与えておく。変換前の接続状態(回路図面データ上の図形要素間の接続状態)と変換後の接続状態(図面データ上の図形要素間の接続状態)を記述することにより、変換前の接続状態と変換後の接続状態の違いが変換ルールとなる。変換ルールに基づき、回路図面データから図面データを生成する。この時、回路図面データ上の図形要素と図面データ上の図形要素との対応付けを行う。
【0021】
図10は、回路図面データの一例である。変電所の一部が、母線、回路遮断器、変圧器、開閉器、各設備間の接続線などから成り立っていることを示している。これらの設備に対してレベル設定を行い、母線(太横線)、回路遮断器(四角形のシンボル)のレベルをその他の設備のレベルよりも高いものとし、母線、回路遮断器を境界とすることにより、設備管理図面を自動的に分割可能となる。図11は、分割結果である。分割された部分は、変換ルール記述単位(図9の変換ルール記述画面202で示せば、左側の変換前の部分)になる。これにより請求項3が実現される。
【0022】
また、図11で示す分割結果を、変換ルール記述単位を分類する際、図12に示すように、図形要素間の接続形式が同一な変換ルール記述毎に分類する。
【0023】
図13は整合性検査の例を示す図である。図において、回路データ中の点線で囲まれた設備間接続線101は、前記図5のフローチャートにより関連付けられ、図面データ上の接続線図形要素102と対応付けられる。しかし、LS2とLS3間の接続線図形要素103には、対応付け可能な設備間接続線が存在しないため、不整合と判定されてこの部分が色替表示されるとともに警告メッセージも出力される。
【0024】
【発明の効果】
本発明の図面データ作成装置によれば、プラントシステムの設備間の電気的接続を記述した回路データと、設備間の図的接続形態を記述した図面データとの接続関係の整合性を検査し、不整合な設備および設備間接続線を摘出する整合性検査部と、前記回路データと 図面データとにより関連付けられる設備間の同一経路に対して複数の設備間接続線が存在するとき、整合性が確認された設備間接続線について、前記接続関係に基づいて必要な接続線のみを優先的に選択し、該接続線に対して前記回路データと図面データとの関連付けデータを自動的に生成するデータ関連付け生成部とを備えているので、設備間接続線の関連付けデータが自動的に生成され、回路データと図面データの整合性検査が容易に行えるとともに、冗長な設備間接続線を排除し、回路データと整合性のある図面データが容易に作成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用したシステムの一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】 関係データベースを用いた接続情報管理の様子を示す図である。
【図3】本発明による設備間接続線と設備図形要素との対応付けのフローチャートである。
【図4】 対応付け可能な設備間接続線が複数個存在する場合の例を示す図である。
【図5】 対応付け可能な設備間接続線が複数個存在する際に、データ作成者が適切な設備を選択する場合のフローチャート図である。
【図6】 対応付け可能な設備間接続線が複数個存在する際に、最も優先順位の高い設備を自動選択する場合のフローチャート図である。
【図7】 対応付け可能な設備間接続線が複数個存在する際に、データ作成者に設備を提示し、選択させる場合のフローチャート図である。
【図8】 回路図面データから図面データを作成する様子を示す図である。
【図9】 変換ルールを用いて、回路図面データから図面データを作成する様子を示す図である。
【図10】 回路図面データの一例を示す図である。
【図11】 図9を自動分割した結果を示す図である。
【図12】 図10を自動分類した結果を示す図である。
【図13】 本発明による整合性検査の例を示す図である。
【図14】 従来のマンマシンシステム構築支援システムのシステム構成図である。
【図15】 監視制御システムにおける、回路データと図面データの例を示す図である。
【図16】 回路データと図面上の図形要素との関連付けの様子を示す図である。
【符号の説明】
11 系統構成例、12 回路データ、13 図面データ、14 設備1、15 設備2、16 設備間接続線、17 設備図形要素、19 設備間接続情報、18 接続線図形要素、21 設備データ一覧、22 接続データ一覧、23 関連付け一覧、31 データ編集部、32 データ保存部、33 回路検索部、34 整合性検査部、35 データ関連づけ生成部、36 データ表示部、41 設備テーブル群、42 接続管理テーブル、43 キー項目、61 検査対象となる接続線図形要素、62 接続関係情報、63 接続関係情報、101 設備間接続線、102 対応づけられる接続線図形要素、103 不整合と判定された接続線図形要素、201 回路図面データ、202 変換ルール記述画面。
Claims (1)
- プラントシステムの設備間の電気的接続を記述した回路データと、設備間の図的接続形態を記述した図面データとの接続関係の整合性を検査し、不整合な設備および設備間接続線を摘出する整合性検査部と、前記回路データと図面データとにより関連付けられる設備間の同一経路に対して複数の設備間接続線が存在するとき、整合性が確認された設備間接続線について、前記接続関係に基づいて必要な接続線のみを優先的に選択し、該接続線に対して前記回路データと図面データとの関連付けデータを自動的に生成するデータ関連付け生成部とを備えた図面データ作成装置。
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