JP3711376B2 - 気体清浄化方法および気体清浄化装置 - Google Patents

気体清浄化方法および気体清浄化装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体中に存在する有害微量不純物を除去する気体清浄化方法及びその気体清浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体用クリーンルーム中の清浄空気や半導体プロセス装置に使用する高純度ガスに関しては、従来は微粒子濃度の低減が特に重要視され、微粒子除去用高性能フィルターとしてはHEPAフィルタ、またはULPAフィルタ、高純度ガスライン用の中空糸セラミックフィルタ等が知られている。
【0003】
しかしながら、半導体プロセスの高純度化と共に、クリーンルーム中の清浄空気や半導体プロセス装置用高純度ガス中にppbオーダの有機物があると、デバイスの特性不良の原因になる。また、塩酸ガスや硫酸ミスト等がppbオーダでクリーンルーム雰囲気に存在すると、シリコンウェハの金属汚染や微粒子汚染の原因になる。このような気体中に存在する有害物質は高性能微粒子除去用フィルタでは十分に除去することが困難である。このため、前記高性能微粒子除去用フィルタの前段に活性炭フィルタやアルカリを添着した活性炭フィルタまたは陰イオン交換フィルタ等の、いわゆるケミンルフィルタが使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記ケミカルフィルタは、有害不純物のフィルタエレメントに対する化学吸着や化学反応現象を利用するものであるため、作用がある時点で飽和すると共に、吸着作用は飽和の前に急速に低下する。したがって、高性能微粒子除去用フィルタに比べて寿命が短く、経済性の点で問題があった。
【0005】
フィルタ除去性能が劣化しても、容易に再生できれば経済性に関する欠点を補うことができる。しかしながら、活性炭エレメントは完全な再生が難しい。一方、イオン交換型のフィルタは理論的には再生できるが、再生のために相当量の薬品を必要とする。例えば、イオン交換型フィルタの場合には、苛性ソーダ液の処理を必要とし、さらに再生後にこの薬品を除去するために大量の超純水を必要とし、処理コストが高騰化する。また、フィルタを構成するエレメント以外の支持部材は一般に耐薬品性を満たさず、実際問題として再生が実施されない原因になっている。
【0006】
本発明は、気体中の有害物質等を長期間に亘って良好に除去することが可能な気体清浄化方法を提供しようとするものである。
本発明は、気体中のアルカリ性雰囲気による吸着能力の欠如を前段の陽イオン除去フィルタで補償して後段のフィルタによる有害物質等の除去性能を向上させ、かつ後段のフィルタの再生を可能にした気体清浄化装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る気体清浄化方法は、加熱溶融した石英インゴットを素材として酸水素炎中で吹き飛ばすことによって作製されたウール状物からなる繊維状物を圧縮して形成したエレメント、または前記繊維状物を布状または紙状に加工したエレメントで構成されるフィルタにより気体中の有機物および硫酸ミスト、塩酸ガスを除去することを特徴とするものである。
本発明に係る別の気体清浄化方法は、表層にシリカ(SiO 2 )が焼結された耐熱性繊維からなる繊維状物を圧縮して形成したエレメント、または前記繊維状物を布状または紙状に加工したエレメントで構成されるフィルタにより気体中の有機物および硫酸ミスト、塩酸ガスを除去することを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る気体清浄化装置は、前記2つの構成を有するフィルタのうちのいずれかのフィルタと、陽イオン除去フィルタとを具備したことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の気体清浄化方法を詳細に説明する。
この方法は、少なくとも表面がシリカ(SiO2 )からなる繊維状物を圧縮して形成したエレメント、または前記繊維状物を布状または紙状に加工したエレメントで構成されるフィルタを用い、このフィルタに気体を通過させることにより前記気体中の有害な化学的微量成分および有害なミスト状汚染物を除去する。
【0010】
少なくとも表面がシリカ(SiO2 )からなる前記繊維状物としては、例えば加熱溶融した石英インゴットを素材として酸水素炎中で吹き飛ばすことによって作製されたウール状物が代表的である。
【0011】
前記ウール状物の各繊維は、太さ(直径)が0.1〜12μm、さらに好ましくは0.1〜3μmであることが望ましい。前記ウール状物の各繊維は、純度がAl10ppm以下、他の金属元素が1ppm以下であることが好ましいが、高純度あることに拘るものではない。
【0012】
少なくとも表面がシリカ(SiO2 )からなる前記繊維状物の他の例としては、表層にシリカ(SiO2 )が焼結させた耐熱性繊維からなるものが挙げられる。前記耐熱性繊維としては、例えばアルミナ繊維、カーボン繊維などが挙げられる。前記繊維状物は、予め耐熱性繊維をシート状に加工した後、シリカ(SiO2 )を表面に付着して焼結することが好ましい。このような繊維状物は、単一の成分からなる場合に限らず、数種の繊維を混紡してもよい。焼結されたシリカは、必ずしも高純度である必要がなく、目的に応じて副成分を加えることが望ましい場合もある。
【0013】
クリーンルーム、クリーンブース、クリーンベンチ、クリーンボックス等の雰囲気を清浄化するには、少なくとも表面がシリカ(SiO2 )からなる繊維を布状に織るか、または紙状に漉いて比重約0.1位のエレメントとし、これを平板状のまま、または波型にしてフィルタを構成する。このエレメントは、他のケミカルフィルタに比べて遥かに高流速で使用することが可能である。
【0014】
半導体プロセス装置用高純度ガス配管において、装置直前に使用するフィルタとしては石英ガラスで作られた円筒状ガラスフィルタの瀘過板上に圧縮したウール状石英を配置し、必要に応じてその後段に孔寸法が0.1μm程度の微粒子除去用セラミックフィルタを配置することが好ましい。このような形態の清浄化装置も高流速で使用することが可能である。
【0015】
前記フィルタは、半導体素子を構成するためのシリコンウェハまたはシリコン酸化膜に接する気体を清浄化するのに最も適する。半導体製造工場のクリーンルーム環境に放置されたウェハ表面の有機物を分析すると、シリコン面でもシリコン酸化膜面でも汚染有機物の大部分がジオクチルフタレート(DOP)で、次に環状シロキ酸やレジスト塗布前処理剤HMDS(ヘキサメチルジシラザン)の分解物トリメチルシラノ一ル等があり、比較的僅かな種類に限られる。
【0016】
一方、クリーンルーム中の雰囲気に多い有機物はトルエン、キシレン、鎖状炭化水素、アミン類等であって、これらはシリコン表面やシリコン酸化膜表面には殆ど吸着しない。したがって、クリーンルーム雰囲気中の有機物を活性炭フィルタで除去すると、シリコン表面やシリコン酸化膜表面に吸着しない有機物までも吸着して、寿命を縮める。
【0017】
本発明のフィルタエレメントの繊維状物は少なくとも表面がシリカ(SiO2 )であるため、シリコン表面やシリコン酸化膜表面に吸着し易いDOP等の有機物を全て選択的に吸着除去し、吸着し難い前述した有機物は通過させる。その結果、効率的な吸着がなされる。
【0018】
また、本発明のフィルタエレメントは通過する気体の風速を大きくしても対象有機物に対する吸着性能が低下しない。通常、ケミカルフィルタは関口形状がHEPAフィルターに合わせて60cm×60cm程度の寸法を有し、クリーンルームに要求される風速が0.5m/秒程度であるため、10m3 /分程度の風速が必要である。ケミカルフィルタのエレメント自体は気流が速くなると、除去性能が低下するため、エレメントをプリーツ型とし瀘過面積を大きくしている。この瀘過面積としては、通常5〜10m2 を必要としている。したがって、瀘過面積当たりの処理気体量は0.1〜0.2l/cm2 である。
【0019】
フィルタ1cm2 当たり0.3l/分の流速で活性炭フィルタに空気を流すと、市販品ではDOPの除去率は80%程度に低下する。これに対し、本発明のウール状石英のエレメントでは1cm2 当たり0.7l/分の流速にしてもDOPに対しほぼ100%の捕集率が得られる。したがって、本発明に用いるフィルタは瀘布面積を活性炭エレメントの1/5に縮小することができるため、フィルタの使用形態として必ずしもプリーツ構造とする必要がない。また、構造が簡単になるため、エレメントをフィルタ筐体(収納部材)に固定するに際し、有機系シール剤等の使用を避けることも可能となる。
【0020】
また、気体清浄を長時間行った後のフィルタは有機溶剤、例えばアセトンでリンスすることにより吸着した有機物は容易に除去できる。この際、予めフィルタの支持部材をアルミニウム等の耐溶剤性のあるもので形成すれば、エレメントを筐体から分離せずに容易に再生することができる。
【0021】
シリコンウェハの表面では、硫酸あるいは塩酸の吸着が多い。硫酸や塩酸を含む洗浄剤でシリコンウェハを洗浄した時は硫黄(S)や塩素(Cl)の吸着が1015atoms/cm2 に達することがある。したがって、本発明に使用する表面がシリカ(Si02 )からなる繊維の表面は同程度の吸着がなされることが考えられる。前述した比重0.1、厚さ4mmのフィルタエレメントとして平均直径3μmのウール状石英を用いた場合、このエレメント布1cm2 当たりのウ一ルの全表面積は800cm2 と計算される。したがって、前記フィルタエレメントはシリコン表面と同程度の吸着能力があるとすると、8×1017分子/cm2 、即ち1.3μモル吸着できることになる。実際には、後述する実施例で示すように例えば硫酸ミストに対し、ウール状石英を用いたフィルタは1cm2 当たり16μモル捕集しても除去率が低下しない。塩酸ガスに対しても同様の傾向にある。
【0022】
以上説明したように本発明に用いる少なくとも表面がシリカ(SiO2 )からなる繊維状物を圧縮して形成したエレメント、または前記繊維状物を布状または紙状に加工したエレメントで構成されるフィルタは、シリコン表面並びにシリコン酸化膜表面を汚染する分子に対して有効な除去効果を有するのみならず、その吸着による除去能力はシリコン表面吸着量から計算される量より桁違いに大きいという特徴を有する。この値は陰イオン交換フィルタやアルカリ添着活性炭フィルタ等の瀘布エレメントに匹敵するレベルである。
【0023】
また、吸着した硫酸に関しては加熱した超純水でリンスして乾燥するだけで再生が可能であり、フィルタを分解することなく再生できる便利さがある。
ただし、本発明に用いるフィルタはアミンやアンモニア等の陽イオン型の不純物に対しては効果が少ない。この種の汚染物は、シリコン表面に酸を吸着していない場合には吸着しいくいが、シリコンウェハやその上の各種膜を選択エッチングするためのマスクとして用いる化学増幅型レジストの現像には有害である。したがって、陽イオン交換フィルタまたは添着型の陽イオン除去フィルタを少なくとも表面がシリカ(SiO2 )からなる繊維状物を圧縮して形成したエレメント、または前記繊維状物を布状または紙状に加工したエレメントで構成されるフィルタの前段(上流)に配置して気体清浄化装置を構成し、この後段に精密微粒子除去フィルタを配置することによって、半導体デバイス製造プロセスに有害な有機物、陰イオン、陽イオンの全てを除去した超清浄環境を実現することができる。このような目的を達成するためには従来のケミカルフィルタとしては陽イオン除去フィルタ、陰イオン除去フィルタ、活性炭フィルタの3段構造が必要であるが、本発明によれば2段構造で済み、スペースファクタと圧力損失を改善することができる。
【0024】
また、半導体製造工程において、シリコン表面がHF処理を受けても短時間で自然酸化膜が成長されるので、シリコンウェハ表面と熱酸化やCVDで形成されたシリコン酸化膜表面とは、セラミック系のSiO2 の表面と吸着現象に関して同質と考えられる。シリコン表面と酸化膜表面は、雰囲気からの吸着に関し類似した選択性を有しているため、雰囲気中のこれらの表面に活性な有害不純物のみに対し、同様の選択性を有する少なくとも表面がSiO2 からなる本発明に用いる繊維状物は効果的な除去を行うことができる。単位面積当たり吸着量に関しては、ウェハ酸化膜表面より本発明に用いる繊維表面の方がはるかに大きい点と、酸性不純物に対する選択的効果については、明確な説明ができない。いずれにしても、本発明は有意義な吸着選択性と吸着面積からの予測よりはるかに大きい吸着能力に支えられている。
【0025】
アルカリ性雰囲気に対する吸着能力欠如は陽イオン交換除去フィルタを前段に配置して捕捉する組み合わせにより、塩のミストが多い場合でもこのエレメントで酸性化し、酸性不純物に効果のある本発明に用いるエレメントとで相乗的除去効果が得られる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
<ウール状石英およびSiO2 膜形成繊維の作製>
ウール状の石英は、加熱溶融した円柱状石英インゴットを細棒にした後、0.2mmほどの細線にまで加熱して引伸ばす。この線を酸水素炎中に連続的に導入して、高速の燃焼ガスにより吹き飛ばしてウール状とし、このウール状物を金網で回収する。この場合、ウール状繊維の線径は酸水素炎の速さと母材の細線の直径に依存し、0.1μmから12μmのものが得られる。この実施例では、平均3μmのものを作製した。これらはそのまま圧縮し、また厚さ約4mmの布として使用した。
【0027】
また、TEOS(テトラエトキシシラン)に塩酸を添加して加水分解し、これをエタノ一ルで均一ゾルとした後pHを低下させてシリカゲルに変え、この中に耐熱性繊維であるアルミナ繊維を浸漬した。つづいて、加温乾燥した後1200〜1400℃で繊維面にSiO2膜を焼結することによりSiO2膜形成繊維作製した。SiO2膜の厚さは自由に制御することができるが、この実施例では約0.2μmとした。次いで、前記SiO2膜形成繊維を用いて厚さ約2mmのシートとした。
【0028】
(実施例1)
前記ウール状石英からなる厚さ4mmの瀘布から直径3cmの円板を各3枚ずつ切り出して以下に説明する吸着捕集性能のテスト試料とした。
【0029】
また、比較例1として厚さ約5mmの市販活性炭瀘布とから直径3cmの円板を各3枚ずつ切り出して以下に説明する吸着捕集性能のテスト試料とした。
まず、ジオクチルフタレート(DOP)に対する捕集性能を調べるために、14C標識DOPを合成し、図1、図2に示す試験装置を用いてRIトレーサ法により吸着捕集性能を測定した。
【0030】
図1中の1は、上部に混合器2を有する14C標識DOP発生器である。前記発生器1は、内部に配置されたガラスビーズ充填層と、この充填層に含浸された14C−DOP液を気化する機構とを備えている。一端が図示しない高圧空気ボンベに連結された空気供給管3は、他端が前記混合器2に連結されている。互いに隣接して配列された第1、第2の吸収容器41 、42 は、前記発生器1に隣接して配置されている。DOP吸収液51 、52 は、前記各吸収容器41 、42 内にそれぞれ収容されている。ゴム栓61 、62 は、前記各吸収容器41 、42 の開口部付近に嵌着されている。長尺細管71 、72 は、前記各ゴム栓61 、62 に下端が前記DOP吸収液51 、52 内まで達するようにそれぞれ挿着されている。短尺細管81 、82 は、前記各ゴム栓61 、62 に下端が前記吸収液51 、52 の上方位置するようにそれぞれ挿着されている。前記第1吸収容器41 の短尺細管81 と前記第2吸収容器42 の長尺細管72 とは、配管9により連結されている。前記第2吸収容器42 内のガスは、その短尺細管82 に連結された配管10を通して外部に放出される、前記混合器2と前記第1吸収容器41 の長尺細管71 とを連結する配管11には、試料ホルダ12が介装されている。この試料ホルダ12は、ガス導入穴13と連通し、内周面にネジ切り加工が施された円柱状の収納穴14を有する円錐台形状の試料保持容器15と、この保持容器15にOリング16を介して気密に固定されたガス導出穴17を有する円錐台形状の蓋体18とを備えている。前述したフィルタである3枚の円板状試料191 〜193 は、前記試料保持容器15の収納穴14内に収納され、かつ前記収納穴14に螺着された円筒状係止部材20により前記収納穴14内に固定されている。
【0031】
次に、前述した図1、図2に示す試験装置による実施例1、比較例1のフィルタ性能の試験を説明する。
まず、DOP発生器1を作動して気化した14C−DOPを混合器2に導入すると共に、図示しない高圧空気ボンベから空気を空気供給管3を通して前記混合器2に供給して前記14C−DOPガスと所定の割合で混合した。このガスを配管11を通して試料ホルダ12内に導入し、その中の3枚の円板状試料191 〜193 を通過させた後、第1、第2の吸収容器42 のDOP吸収液51 、52 を通過させ、配管10から外部に放出した。
【0032】
前記試料ホルダ12から第1吸収容器41 までの配管11は実際には可能な限り短くしてあるので、前記試料ホルダ12内の1枚目の試料191 表面に到達した14C−DOPガスは3枚の試料191 〜193 に捕捉されたものと、2つの吸収液51 、52 に捕捉されたものの総和としてよい。RIトレーサ法であるから、それぞれの捕捉14C−DOPの放射能量を全部の放射能量の和で除して%で表示し、各試料並びに各吸収液のDOP捕集率とした。各試料の放射能量は、試料をイメージングプレート(IP)で露光してその読取装置により求めた。また、各吸収液の放射能量は吸収液を液体シンチレーターで測定して求めたものである。
【0033】
空気の流速を試料の空気通過領域面積1cm2 当たりO.3l/分とし、混合した14C−DOPの濃度を0.1ppbとした時、各試料及び吸着液の14C−DOPの捕集率を下記表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003711376
【0035】
前記表1から明らかなように実施例1のフィルタエレメントは空気中の有機物を速い流速で除去するのに適することがわかる。
また、14C−DOPを十分に捕捉したエレメント試料を円筒型ガラスフィルタの瀘過板面上に置き、アセトンで10回リンスした。その結果、試料はまったく放射能を示さなくなった。アセトンは蒸留による再生精製が容易であるから、本発明のエレメントは有機物汚染しても再生使用が容易である。
【0036】
(実施例2)
APIMSで有機物汚染が起こっていることを確認した高純度のアルゴンを配管を通してステンレス製小箱の中に放出させ、この箱の中にシリコンウェハを放置し、Arを1l/分の流速で24時間流した。前記シリコンウェハとしては、SC−1(NH4 OH:H22 :H2 O=1容:1容:5容)洗浄により水滴接触角が約2.5゜に親水性化したものを用いた。その後、前記ウェハの水滴接触角を測定した。その結果、13゜になり、ウェハ面が著しく有機汚染したことがわかった。
【0037】
石英ガラス製の円筒状ガラスフィルタの瀘過板上に、前述し方法で作製したウール状石英を見掛け比重が0.1、厚さ約3cmになるように圧縮して詰め込んだ。このフィルタの円筒状口を気体導入管を有する蓋で密栓し、前記フィルタの末端には0.01μmの孔サイズのセラミックフィルタを接続した。前記導入管にアルゴン配管に接続した。アルゴンを前記微粒子除去フィルタを通して前記小箱の中に放出させ、同様の親水性ウェハを同条件で放置した。その結果、前記ウェハの水滴接触角は全く変化しなかった。
【0038】
(実施例3)
市販されている陰イオン交換フィルタは瀘布面積が10m2 で総イオン交換容量は硫酸では1.6モル程度である。このフィルタは、16μモル/cm2 に相当する。本発明のフィルターは硫酸ミストの除去に効果があるので、この寿命を35Sで標識した硫酸ミストを用いてトレーサ法により調べた。
【0039】
実施例1で用いたウール状石英瀘布試料3枚を同様に図2に示す試料ホルダにセットし、図1の発生器からこのRI標識硫酸ミストを発生させ、同様の実験を行った。硫酸ミストを含む空気の流速は同じく瀘布cm2 当たり0.3l/分としたが、35S標識硫酸の濃度は約3.5ppmとし、6時間、即ち16μモル/cm2 の条件で流した後、3個の試料の捕捉した硫酸量の比をIPによる測定から求め、放射線量により計算した。その結果、1枚目の試料で98%、2枚目の試料で2%が捕捉され、3枚目の試料には全く硫酸は到達していないことがわかった。
【0040】
本発明のエレメントに吸着した硫酸は水で除去できることから、再度、前記3枚の試料を同じ順序で試料ホルダにセットし、3枚目の側から空気と逆向きに80℃に加熱した超純水を10分流した後、温風を流して乾燥させ、前述したのと同様に硫酸ミストを含む空気を16μモル/cm2 の条件で流して実験を行った。その結果、1枚目の試料で95%、2枚目の試料で5%捕捉され、3枚目の試料には全く到達しなかった。
【0041】
さらに、同じ再生処理を繰り返し、3回目の16μモル/cm2 の条件で流す実験を行った。その結果、1枚目の試料で97%、2枚目の試料で3%捕捉され、3枚目の試料には全く到達しなかった。
【0042】
以上から本発明のフィルタエレメントは気体中の陰イオンに対し十分な除去効果があると共に、試料ホルダに取付けた試料(フィルタ)に単に超純水処理を行うだけで有効な再生ができることがわかる。
【0043】
(実施例4)
前述したSiO2 膜焼結アルミナ繊維シートから直径3cmの試験用試料を3枚切り出し、前述した図1、図2に示す試験装置を用いて実施例1と同様の試験を行った。ただし、RI標識化合物の発生は36Clで標識化した塩酸とした。濃度は10ppbとし、空気の流速は1cm2 当たり0.7l/分と高速にし、10時間後、同様なIPによる放射線測定で捕捉率を求めた。1枚目の試料では97%、2枚目の試料では3%、3枚目の試料では0%で、HClガスに対しても本発明のフィルタエレメントは有効で、しかも高流速の気体に対し、十分な捕捉率で不純物除去ができることがわかった。
【0044】
(実施例5)
本発明のフィルターエレメントは、雰囲気中のアンモニアやアミンのような陽イオンに対しては吸着能力が弱い。特に、気体が高流速の場合には著しく劣る。なお、実施例の36Clで標識した塩酸の代わりに14Cで標識したモノメチルアミンを用い、その濃度を0.1ppbと低くした以外、全く同条件の評価を行った。その結果、1枚目の試料で56%、2枚目の試料で35%、3枚目の試料で9%であった。このような不純物はシリコン表面に比較的吸着し難いのと同様である。ただし、半導体製造プロセスとしては陽イオンを嫌う場合もある。その対応策として、アンモニアとトリメチルシラノ一ル等の分解によって発生するヘキサメチルジシラザン(HMDS)プロセス用クリーンベンチに本発明を適用した場合について、図3のクリーンベンチ断面の概略図で示す。
【0045】
クリーンベンチ21内のULPAフィルタ22から送られた無塵空気はプロセス環境23を経てプロセスで発生した汚染ガスを伴い、グレーティング24から送風機25によりプリーツ型エレメントを有する陽イオン交換繊維フィルタ26に送られる。このフィルタ26は、引出式の枠に納められており、寿命がなれば把手27によりべンチ21後方のユーティリティ領域より随時交換できるようになっている。陽イオンが除去された空気は、前記ベンチ21内を上昇して斜めに保持された平板状あるいは波板状の本発明のSiO2 繊維布エレメントフィルタ28に達する。ここで有機物と陰イオンが除かれ、再びULPAフィルタ22に到達して空気は循環する。なお、図3中の29は寿命となった前記フィルタ28を再生した別のフイルタに交換するための後方扉である。
【0046】
このようなクリーンベンチ21において、前方扉30を閉じ、スピンナーによりウェハにヘキサメチルジシラザン(HMDS)を塗布した後、0.5m/秒の流速で3分間空気を循環させ、プロセス環境23の空気をインピンジャーでサンプリングし、陰イオン、陽イオンの分析を行った。HCl、H2 SO4 、NH3 の全てにおいて0.1ppb以下であり、また親水性シリコンウェハを使った前述した水滴接触角テストでも全く角度の変化はなかった。したがって、半導体製造プロセスに有害な空気中不純物に関する限りは、超清浄環境が得らていることがわかった。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の気体清浄化法によれば、半導体デバイス製造工程でシリコンウェハ表面や酸化膜ウェハ表面に吸着汚染しやすい雰囲気中の不純物だけを選択的に除去することができるため、極めて除去効率が高く、かつフィルタ寿命の点でも有利である。
【0048】
また、有機物並びに陰イオンについて特に清浄化効果が強く、しかも通常の活性炭フィルタや陰イオン除去用のフィルタが早い流速の気体に対して除去効果が劣るのに対し、高流速での除去性能が著しく改善され、エレメント面積を1/5に縮小しても良好な除去能力を維持することができる。
【0049】
さらに、少なくとも表面がシリカ(SiO2 )からなる繊維状物に吸着した有機物は少量の有機溶剤で除去でき、また陰イオンは超純水だけで除去できるため、清浄化能力が劣化してもこの方法で容易に最初の性能まで再生できる。したがって経済性にも優れている。
硫酸や塩酸あるいは油性有機物に対して強い除去能力があるので、利用分野は半導体分野には限らない利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のフィルタエレメントの性能を評価する試験装置を示す概略図。
【図2】図1の試験装置に組み込まれる試験ホルダを示す断面図。
【図3】本発明のフィルタエレメントを組み込んだ超清浄環境用クリーンベンチを示す概略図。
【符号の説明】
1…14C標識DOP発生器、
2…混合器、
1 、42 …吸収容器、
1 、52 …DOP吸収液、
12…試料ホルダ、
15…試料保持容器、
18…蓋体、
191 〜193 …円板状試料、
21…クリーンベンチ、
22…ULPAフィルタ、
28…SiO2 繊維布エレメントフィルタ。

Claims (4)

  1. 加熱溶融した石英インゴットを素材として酸水素炎中で吹き飛ばすことによって作製されたウール状物からなる繊維状物を圧縮して形成したエレメント、または前記繊維状物を布状または紙状に加工したエレメントで構成されるフィルタにより気体中の有機物および硫酸ミスト、塩酸ガスを除去することを特徴とする気体清浄化方法。
  2. 表層にシリカ(SiO 2 )が焼結された耐熱性繊維からなる繊維状物を圧縮して形成したエレメント、または前記繊維状物を布状または紙状に加工したエレメントで構成されるフィルタにより気体中の有機物および硫酸ミスト、塩酸ガスを除去することを特徴とする気体清浄化方法。
  3. 前記フィルタで処理される気体は、半導体用シリコンまたはシリコン酸化膜表面に吸着される有機物を含有することを特徴とする請求項1または2記載の気体清浄化方法。
  4. 請求項1または2記載のフィルタと、陽イオン除去フィルタとを具備したことを特徴とする気体清浄化装置。
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