JP3709259B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏平率60%以下の空気入りタイヤにおいて、耐ハイドロプレーニング性能を十分に維持しつつ、ドライ路面における操縦安定性を向上することを可能にした空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
偏平タイヤはタイヤ断面高さに対する接地幅の比率を大きくするため、操縦安定性が優れているという利点がある。しかし、その反面で接地幅が広いためにウエット路面における排水性が劣るという欠点があった。
このような偏平タイヤが持つ欠点の対策として、トレッド面にタイヤ赤道からショルダー端に抜ける複数の傾斜溝をV字状に配置するようにしたタイヤが提案されている。
【0003】
しかしながら、このような傾斜溝を設けた偏平タイヤであっても、そのトレッド接地幅が大きくなり過ぎると、傾斜溝によるウエット性能の維持が難しくなる。すなわち、本発明者の検討したところによれば、偏平率60%以下のタイヤでは接地幅がトレッド展開幅の70%を超えるとウエット性能の低下が顕れることを見出した。この対策として、例えばトレッド面の溝体積を大きくすることが考えられるが、この方法では排水性を向上することは可能であるものの、逆にトレッドの剛性が低下することによりドライ路面における操縦安定性が低下してしまうという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、偏平率が60%以下の空気入りタイヤにおいて、耐ハイドロプレーニング性能を十分に維持しつつ、ドライ路面における操縦安定性を向上することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド面にタイヤ赤道から斜めに延長してショルダー端に抜ける複数本の傾斜溝を設けた偏平率60%以下の空気入りタイヤにおいて、トレッド接地幅をトレッド展開幅の70〜75%の範囲に設定すると共に、トレッド展開幅の75〜80%の中央領域より外側の領域における前記傾斜溝の溝深さを前記中央領域における溝深さよりも浅くしたことを特徴とするものである。
【0006】
このように偏平率が60%以下の空気入りタイヤにおいて、トレッド接地幅をトレッド展開幅に対して70〜75%の範囲に設定することにより、傾斜溝による耐ハイドロプレーニング性能の低下を最小限に抑制すると共に、傾斜溝の溝深さについてトレッド展開幅に対して75〜80%の中央領域では一般の溝深さにするが、該中央領域の外側では浅くすることにより、上記のようにして得た耐ハイドロプレーニング性能を十分に維持しながら、傾斜溝の底上げによってショルダー剛性を高めてドライ路面における操縦安定性を向上することができる。
【0007】
なお、本発明において、トレッド接地幅とは空気圧180kPaとし、JATMA規格(1997年度)に規定の最大設計荷重の88%をかけて平坦な路面に接地したときに生じる最大接地幅を意味する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドパターンを例示するものであり、図2はそのA−A断面を示すものである。なお、この空気入りタイヤは偏平率を60%以下に設定したものである。
【0009】
図において、トレッド面1には、タイヤ赤道Cを斜めに横切ってショルダー端に抜ける複数本の傾斜溝2がそれぞれタイヤ赤道Cの左右両側に延長するように設けられている。これら傾斜溝2からなるトレッドパターンは矢印Rの方向をタイヤ回転方向として指定された方向性パターンになっている。すなわち、傾斜溝2は回転方向Rに対してタイヤ赤道側の端部がショルダー側の端部よりも先に接地するようにタイヤ赤道Cの両側で互いに逆方向に傾斜している。この傾斜溝2のタイヤ周方向に対する傾斜角度は35°〜50°になっている。
【0010】
上記タイヤにおいて、トレッド接地幅はトレッド展開幅TDWに対して70〜75%の範囲になるように設定されている。また、タイヤ赤道Cを中心とする中央領域Mは上記トレッド接地幅よりも広く、トレッド展開幅TDWに対して75〜80%の範囲に設定されている。この中央領域Mにおいて、傾斜溝2の溝深さDは5〜8mmになっている。一方、中央領域Mの外側領域における傾斜溝2の溝深さEは底上げによって中央領域Mにおける溝深さDよりも浅くなっている。この中央領域Mの外側領域における傾斜溝2の溝深さEは、中央領域Mにおける傾斜溝2の溝深さDの5〜30%になっている。
【0011】
本発明によれば、トレッド面1にタイヤ赤道Cを斜めに横切ってショルダー端に抜ける複数本の傾斜溝2を設けた偏平率60%以下の空気入りタイヤにおいて、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWに対して70〜75%の範囲に設定することにより、傾斜溝2によって得られる耐ハイドロプレーニング性能の低下を最小限に抑制することができる。しかし、このように偏平率60%以下の空気入りタイヤにおいて、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの70〜75%の範囲に設定すると、溝体積の変化が排水性に著しく影響するので、操縦安定性を更に向上するために単に傾斜溝2を底上げしたのでは耐ハイドロプレーニング性能が低下してしまう。
【0012】
そこで、トレッド展開幅TDWに対して特定の範囲で傾斜溝2の溝深さDを確保することで耐ハイドロプレーニング性能を維持し、特定の範囲で傾斜溝2を底上げすることでドライ路面での操縦安定性を向上させる。すなわち、トレッド展開幅TDWの75〜80%の範囲を中央領域Mとし、この中央領域Mより外側の領域だけで傾斜溝2を底上げすることが必要である。この中央領域Mがトレッド展開幅TDWの75%未満であると耐ハイドロプレーニング性能が不十分になり、逆に80%を超えると操縦安定性の向上効果が不十分になる。
【0013】
また、中央領域Mの外側領域における傾斜溝2の溝深さEは、中央領域Mにおける傾斜溝2の溝深さDの5〜30%にすることが好ましい。この中央領域Mの外側領域における溝深さEが中央領域Mにおける溝深さDの5%未満であると耐ハイドロプレーニング性能が不十分になり、逆に30%を超えると操縦安定性の向上効果が不十分になる。
【0014】
【実施例】
タイヤサイズを195/55R15とし、図1に示すトレッドパターンを有する偏平率60%の空気入りタイヤにおいて、傾斜溝2の底上げを行うことなくトレッド展開幅TDWに対するトレッド接地幅の割合だけを種々異ならせた試験タイヤを製作した。
【0015】
これら試験タイヤについて、下記試験方法により旋回時の耐ハイドロプレーニング性能と操縦安定性を評価し、その結果を表1に示した。
旋回時の耐ハイドロプレーニング性能:
各試験タイヤを空気圧240kPaとして自動車に装着し、半径100mの旋回路上を一定速度で走行し、この旋回路の一部に設けた水深10mmのプールに進入したときの最大横G発生速度をハイドロプレーニング発生速度として測定した。評価結果は、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの60%とした場合を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど、旋回時の耐ハイドロプレーニング性能が優れている。
【0016】
操縦安定性:
各試験タイヤを空気圧240kPaとして自動車に装着し、半径100mの旋回路上を一定速度で走行し、最大横G発生速度を測定した。評価結果は、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの60%とした場合を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど、操縦安定性が優れている。
【0017】
【0018】
この表1から明らかなように、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの70〜75%とした場合、耐ハイドロプレーニング性能の低下を最小限に抑制しながら、操縦安定性を向上することが可能であることが判った。
【0019】
次に、タイヤサイズを195/55R15とし、図1に示すトレッドパターンを有する偏平率60%の空気入りタイヤにおいて、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの75%にすると共に、中央領域Mの外側領域における傾斜溝2の溝深さEを中央領域Mにおける溝深さDの5%にし、トレッド展開幅TDWに対する中央領域Mの割合だけを種々異ならせた試験タイヤを製作した。
【0020】
これら試験タイヤについて、上記試験方法により旋回時の耐ハイドロプレーニング性能と操縦安定性を評価し、その結果を表2に示した。なお、旋回時の耐ハイドロプレーニング性能と操縦安定性の評価結果は、中央領域Mをトレッド展開幅TDWの100%とした場合を100とする指数で示した。
【0021】
【0022】
この表2から明らかなように、傾斜溝を底上げしない中央領域Mをトレッド展開幅TDWの75〜80%とした場合、耐ハイドロプレーニング性能の低下を最小限に抑制しながら、操縦安定性を向上することが可能であることが判った。
【0023】
次に、タイヤサイズを195/55R15とし、図1に示すトレッドパターンを有する偏平率60%の空気入りタイヤにおいて、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの75%にすると共に、中央領域Mをトレッド展開幅TDWの77.5%にし、この中央領域Mの外側領域で傾斜溝2を底上げし、中央領域Mにおける溝深さDに対する外側領域における溝深さEの割合だけを種々異ならせた試験タイヤを製作した。
【0024】
これら試験タイヤについて、上記試験方法により旋回時の耐ハイドロプレーニング性能と操縦安定性を評価し、その結果を表3に示した。なお、旋回時の耐ハイドロプレーニング性能と操縦安定性の評価結果は、傾斜溝2の溝深さEを溝深さDの40%とした場合を100とする指数で示した。
【0025】
【0026】
この表3から明らかなように、外側領域における傾斜溝2の溝深さEを中央領域Mにおける溝深さDの5〜30%とした場合、耐ハイドロプレーニング性能の低下を最小限に抑制しながら、操縦安定性を向上することが可能であることが判った。
【0027】
次に、タイヤサイズを195/55R15とし、図1に示すトレッドパターンを有する偏平率60%の空気入りタイヤにおいて、傾斜溝2の底上げを全く行っていない従来タイヤと、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの75%にし、中央領域Mをトレッド展開幅TDWの80%にし、この中央領域Mの外側領域で傾斜溝2を底上げし、その外側領域における溝深さEを中央領域Mにおける溝深さDの5%にした本発明タイヤとを製作した。
【0028】
これらタイヤについて、下記試験方法により直進時の耐ハイドロプレーニング性能を評価し、その結果を表4に示した。
直進時の耐ハイドロプレーニング性能:
各試験タイヤを空気圧240kPaとして自動車に装着し、直進路上を一定速度で走行し、この直進路の一部に設けた水深10mmのプールに進入したときのスリップ率が規定値になったときの速度をハイドロプレーニング発生速度として測定した。評価結果は、従来タイヤを100とする指数で示した。この指数値が大きいほど、直進時の耐ハイドロプレーニング性能が優れている。
【0029】
この表4から明らかなように、本発明タイヤは直進時の耐ハイドロプレーニング性能を従来タイヤと略同等に維持していた。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、トレッド接地幅をトレッド展開幅の70〜75%の範囲に設定すると共に、トレッド展開幅の75〜80%の中央領域より外側の領域における傾斜溝の深さを中央領域における溝深さよりも浅くしたから、トレッド面にタイヤ赤道から斜めに延長してショルダー端に抜ける複数本の傾斜溝を設けた偏平率60%以下の空気入りタイヤにおいて、耐ハイドロプレーニング性能を十分に維持しながら、傾斜溝の底上げによってショルダー剛性を高めてドライ路面における操縦安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドパターンを例示する平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド面
2 傾斜溝
C タイヤ赤道
M 中央領域
TDW トレッド展開幅
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏平率60%以下の空気入りタイヤにおいて、耐ハイドロプレーニング性能を十分に維持しつつ、ドライ路面における操縦安定性を向上することを可能にした空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
偏平タイヤはタイヤ断面高さに対する接地幅の比率を大きくするため、操縦安定性が優れているという利点がある。しかし、その反面で接地幅が広いためにウエット路面における排水性が劣るという欠点があった。
このような偏平タイヤが持つ欠点の対策として、トレッド面にタイヤ赤道からショルダー端に抜ける複数の傾斜溝をV字状に配置するようにしたタイヤが提案されている。
【0003】
しかしながら、このような傾斜溝を設けた偏平タイヤであっても、そのトレッド接地幅が大きくなり過ぎると、傾斜溝によるウエット性能の維持が難しくなる。すなわち、本発明者の検討したところによれば、偏平率60%以下のタイヤでは接地幅がトレッド展開幅の70%を超えるとウエット性能の低下が顕れることを見出した。この対策として、例えばトレッド面の溝体積を大きくすることが考えられるが、この方法では排水性を向上することは可能であるものの、逆にトレッドの剛性が低下することによりドライ路面における操縦安定性が低下してしまうという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、偏平率が60%以下の空気入りタイヤにおいて、耐ハイドロプレーニング性能を十分に維持しつつ、ドライ路面における操縦安定性を向上することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド面にタイヤ赤道から斜めに延長してショルダー端に抜ける複数本の傾斜溝を設けた偏平率60%以下の空気入りタイヤにおいて、トレッド接地幅をトレッド展開幅の70〜75%の範囲に設定すると共に、トレッド展開幅の75〜80%の中央領域より外側の領域における前記傾斜溝の溝深さを前記中央領域における溝深さよりも浅くしたことを特徴とするものである。
【0006】
このように偏平率が60%以下の空気入りタイヤにおいて、トレッド接地幅をトレッド展開幅に対して70〜75%の範囲に設定することにより、傾斜溝による耐ハイドロプレーニング性能の低下を最小限に抑制すると共に、傾斜溝の溝深さについてトレッド展開幅に対して75〜80%の中央領域では一般の溝深さにするが、該中央領域の外側では浅くすることにより、上記のようにして得た耐ハイドロプレーニング性能を十分に維持しながら、傾斜溝の底上げによってショルダー剛性を高めてドライ路面における操縦安定性を向上することができる。
【0007】
なお、本発明において、トレッド接地幅とは空気圧180kPaとし、JATMA規格(1997年度)に規定の最大設計荷重の88%をかけて平坦な路面に接地したときに生じる最大接地幅を意味する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドパターンを例示するものであり、図2はそのA−A断面を示すものである。なお、この空気入りタイヤは偏平率を60%以下に設定したものである。
【0009】
図において、トレッド面1には、タイヤ赤道Cを斜めに横切ってショルダー端に抜ける複数本の傾斜溝2がそれぞれタイヤ赤道Cの左右両側に延長するように設けられている。これら傾斜溝2からなるトレッドパターンは矢印Rの方向をタイヤ回転方向として指定された方向性パターンになっている。すなわち、傾斜溝2は回転方向Rに対してタイヤ赤道側の端部がショルダー側の端部よりも先に接地するようにタイヤ赤道Cの両側で互いに逆方向に傾斜している。この傾斜溝2のタイヤ周方向に対する傾斜角度は35°〜50°になっている。
【0010】
上記タイヤにおいて、トレッド接地幅はトレッド展開幅TDWに対して70〜75%の範囲になるように設定されている。また、タイヤ赤道Cを中心とする中央領域Mは上記トレッド接地幅よりも広く、トレッド展開幅TDWに対して75〜80%の範囲に設定されている。この中央領域Mにおいて、傾斜溝2の溝深さDは5〜8mmになっている。一方、中央領域Mの外側領域における傾斜溝2の溝深さEは底上げによって中央領域Mにおける溝深さDよりも浅くなっている。この中央領域Mの外側領域における傾斜溝2の溝深さEは、中央領域Mにおける傾斜溝2の溝深さDの5〜30%になっている。
【0011】
本発明によれば、トレッド面1にタイヤ赤道Cを斜めに横切ってショルダー端に抜ける複数本の傾斜溝2を設けた偏平率60%以下の空気入りタイヤにおいて、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWに対して70〜75%の範囲に設定することにより、傾斜溝2によって得られる耐ハイドロプレーニング性能の低下を最小限に抑制することができる。しかし、このように偏平率60%以下の空気入りタイヤにおいて、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの70〜75%の範囲に設定すると、溝体積の変化が排水性に著しく影響するので、操縦安定性を更に向上するために単に傾斜溝2を底上げしたのでは耐ハイドロプレーニング性能が低下してしまう。
【0012】
そこで、トレッド展開幅TDWに対して特定の範囲で傾斜溝2の溝深さDを確保することで耐ハイドロプレーニング性能を維持し、特定の範囲で傾斜溝2を底上げすることでドライ路面での操縦安定性を向上させる。すなわち、トレッド展開幅TDWの75〜80%の範囲を中央領域Mとし、この中央領域Mより外側の領域だけで傾斜溝2を底上げすることが必要である。この中央領域Mがトレッド展開幅TDWの75%未満であると耐ハイドロプレーニング性能が不十分になり、逆に80%を超えると操縦安定性の向上効果が不十分になる。
【0013】
また、中央領域Mの外側領域における傾斜溝2の溝深さEは、中央領域Mにおける傾斜溝2の溝深さDの5〜30%にすることが好ましい。この中央領域Mの外側領域における溝深さEが中央領域Mにおける溝深さDの5%未満であると耐ハイドロプレーニング性能が不十分になり、逆に30%を超えると操縦安定性の向上効果が不十分になる。
【0014】
【実施例】
タイヤサイズを195/55R15とし、図1に示すトレッドパターンを有する偏平率60%の空気入りタイヤにおいて、傾斜溝2の底上げを行うことなくトレッド展開幅TDWに対するトレッド接地幅の割合だけを種々異ならせた試験タイヤを製作した。
【0015】
これら試験タイヤについて、下記試験方法により旋回時の耐ハイドロプレーニング性能と操縦安定性を評価し、その結果を表1に示した。
旋回時の耐ハイドロプレーニング性能:
各試験タイヤを空気圧240kPaとして自動車に装着し、半径100mの旋回路上を一定速度で走行し、この旋回路の一部に設けた水深10mmのプールに進入したときの最大横G発生速度をハイドロプレーニング発生速度として測定した。評価結果は、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの60%とした場合を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど、旋回時の耐ハイドロプレーニング性能が優れている。
【0016】
操縦安定性:
各試験タイヤを空気圧240kPaとして自動車に装着し、半径100mの旋回路上を一定速度で走行し、最大横G発生速度を測定した。評価結果は、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの60%とした場合を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど、操縦安定性が優れている。
【0017】
【0018】
この表1から明らかなように、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの70〜75%とした場合、耐ハイドロプレーニング性能の低下を最小限に抑制しながら、操縦安定性を向上することが可能であることが判った。
【0019】
次に、タイヤサイズを195/55R15とし、図1に示すトレッドパターンを有する偏平率60%の空気入りタイヤにおいて、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの75%にすると共に、中央領域Mの外側領域における傾斜溝2の溝深さEを中央領域Mにおける溝深さDの5%にし、トレッド展開幅TDWに対する中央領域Mの割合だけを種々異ならせた試験タイヤを製作した。
【0020】
これら試験タイヤについて、上記試験方法により旋回時の耐ハイドロプレーニング性能と操縦安定性を評価し、その結果を表2に示した。なお、旋回時の耐ハイドロプレーニング性能と操縦安定性の評価結果は、中央領域Mをトレッド展開幅TDWの100%とした場合を100とする指数で示した。
【0021】
【0022】
この表2から明らかなように、傾斜溝を底上げしない中央領域Mをトレッド展開幅TDWの75〜80%とした場合、耐ハイドロプレーニング性能の低下を最小限に抑制しながら、操縦安定性を向上することが可能であることが判った。
【0023】
次に、タイヤサイズを195/55R15とし、図1に示すトレッドパターンを有する偏平率60%の空気入りタイヤにおいて、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの75%にすると共に、中央領域Mをトレッド展開幅TDWの77.5%にし、この中央領域Mの外側領域で傾斜溝2を底上げし、中央領域Mにおける溝深さDに対する外側領域における溝深さEの割合だけを種々異ならせた試験タイヤを製作した。
【0024】
これら試験タイヤについて、上記試験方法により旋回時の耐ハイドロプレーニング性能と操縦安定性を評価し、その結果を表3に示した。なお、旋回時の耐ハイドロプレーニング性能と操縦安定性の評価結果は、傾斜溝2の溝深さEを溝深さDの40%とした場合を100とする指数で示した。
【0025】
【0026】
この表3から明らかなように、外側領域における傾斜溝2の溝深さEを中央領域Mにおける溝深さDの5〜30%とした場合、耐ハイドロプレーニング性能の低下を最小限に抑制しながら、操縦安定性を向上することが可能であることが判った。
【0027】
次に、タイヤサイズを195/55R15とし、図1に示すトレッドパターンを有する偏平率60%の空気入りタイヤにおいて、傾斜溝2の底上げを全く行っていない従来タイヤと、トレッド接地幅をトレッド展開幅TDWの75%にし、中央領域Mをトレッド展開幅TDWの80%にし、この中央領域Mの外側領域で傾斜溝2を底上げし、その外側領域における溝深さEを中央領域Mにおける溝深さDの5%にした本発明タイヤとを製作した。
【0028】
これらタイヤについて、下記試験方法により直進時の耐ハイドロプレーニング性能を評価し、その結果を表4に示した。
直進時の耐ハイドロプレーニング性能:
各試験タイヤを空気圧240kPaとして自動車に装着し、直進路上を一定速度で走行し、この直進路の一部に設けた水深10mmのプールに進入したときのスリップ率が規定値になったときの速度をハイドロプレーニング発生速度として測定した。評価結果は、従来タイヤを100とする指数で示した。この指数値が大きいほど、直進時の耐ハイドロプレーニング性能が優れている。
【0029】
この表4から明らかなように、本発明タイヤは直進時の耐ハイドロプレーニング性能を従来タイヤと略同等に維持していた。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、トレッド接地幅をトレッド展開幅の70〜75%の範囲に設定すると共に、トレッド展開幅の75〜80%の中央領域より外側の領域における傾斜溝の深さを中央領域における溝深さよりも浅くしたから、トレッド面にタイヤ赤道から斜めに延長してショルダー端に抜ける複数本の傾斜溝を設けた偏平率60%以下の空気入りタイヤにおいて、耐ハイドロプレーニング性能を十分に維持しながら、傾斜溝の底上げによってショルダー剛性を高めてドライ路面における操縦安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドパターンを例示する平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド面
2 傾斜溝
C タイヤ赤道
M 中央領域
TDW トレッド展開幅
Claims (2)
- トレッド面にタイヤ赤道から斜めに延長してショルダー端に抜ける複数本の傾斜溝を設けた偏平率60%以下の空気入りタイヤにおいて、トレッド接地幅をトレッド展開幅の70〜75%の範囲に設定すると共に、トレッド展開幅の75〜80%の中央領域より外側の領域における前記傾斜溝の溝深さを前記中央領域における溝深さよりも浅くした空気入りタイヤ。
- 前記中央領域より外側の領域における前記傾斜溝の溝深さを前記中央領域における溝深さの5〜30%にした請求項1に記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15957297A JP3709259B2 (ja) | 1997-06-17 | 1997-06-17 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15957297A JP3709259B2 (ja) | 1997-06-17 | 1997-06-17 | 空気入りタイヤ |
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JPH115412A JPH115412A (ja) | 1999-01-12 |
JP3709259B2 true JP3709259B2 (ja) | 2005-10-26 |
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ID=15696653
Family Applications (1)
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JP15957297A Expired - Fee Related JP3709259B2 (ja) | 1997-06-17 | 1997-06-17 | 空気入りタイヤ |
Country Status (1)
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Families Citing this family (2)
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JP6581371B2 (ja) * | 2015-03-20 | 2019-09-25 | 株式会社ブリヂストン | 自動二輪車用タイヤ |
-
1997
- 1997-06-17 JP JP15957297A patent/JP3709259B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH115412A (ja) | 1999-01-12 |
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