JP3708066B2 - 階調変換方法、階調変換装置、及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばテレビジョン信号の表示ディスプレイ上でより高画質の画像を得ることのできる画像表示方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年テレビ画面の大画面化が進み、40インチ以上の画面のものについては液晶パネルを用いた投写型のシステムが有望視されている。また、高品位テレビの放送が開始され、高解像度で大面積の表示デバイスの必要性が高まっている。さらに、3板式カメラ等により高ダイナミックレンジの撮像が可能となっている。しかし、高解像度で大面積の表示デバイスはコントラスト性能が充分でなく、また、高ダイナミックレンジの画像は従来の表示デバイスによっては十分に表現できない。これを改善する手法として、特開平7ー170428号公報(特願平6ー3457号)に示されるような技術が提案されている。以下に上記従来のコントラスト改善方法について説明する。
【0003】
図13は処理全体のブロック図であり、101は入力輝度の階調を変換する階調変換回路、102は入力輝度から錯視を生ずる波形を生成する錯視波形生成回路であり、階調変換回路101によって階調変換された輝度に錯視波形を重畳することにより、コントラストの改善された画像を得る。以下に階調変換回路101および錯視波形生成回路102の詳細について説明する。
【0004】
図14は階調変換回路101のブロック図である。フレームメモリ123は1フレーム分の輝度入力を記憶する。エッジ抽出回路124は輝度入力からエッジを検出する。階調変換テーブル計算回路125は図15に示す9領域の9点、q1〜q9における階調変換テーブルを計算しテーブルメモリ126に書き込む。階調変換テーブル補間回路129は、階調変換を行う座標値を読み出し制御回路127から読み込み、座標値に応じてq1〜q9における階調変換テーブルを補間(例えば近傍4点での階調変換テーブルを、4点と着目画素間の距離によって重みづけ加算する線形補間)しテーブルメモリ128に書き込む。読み出し制御回路127は、フレームメモリ123から走査順に輝度データを読み出し、読み出した座標値を階調変換テーブル補間回路に出力し、テーブルメモリ128から輝度に応じた変換値を読み出し、変換後の輝度として出力する。
【0005】
次に、錯視波形生成回路102について説明する。図16、図17はステップ入力及び、錯視波形生成回路102のステップ応答を示す。図16、図17では簡単のために輝度分布を1次元的に表す。錯視波形生成回路102のステップ応答は、ステップ入力の低周波成分を減衰し、出力特性(ゲイン特性)を観察時に違和感の生じない輝度振幅範囲に変換したものとなっている。
【0006】
図18は錯視波形回路102のステップ応答をステップ入力に重畳し観察する際に知覚される輝度分布を示す。図18において実線は錯視波形回路102のステップ応答をステップ入力に重畳した輝度レベルであり、波線は観察時に知覚される輝度分布である。図18は、錯視波形生成回路102の出力を重畳することによって心理的なコントラストが改善されることを示す。さらに、図19の実線のような輝度分布に対しては、波線で示すように位置x1においてi1−i0の輝度差を知覚し、位置x2においてi2−i1の輝度差を知覚し、位置x1とx2の間ではi1とi2の輝度差を知覚しないため、I3−I0の輝度範囲にI3−I0の輝度範囲よりも総和の大きな輝度差I1−I0,I3−I2を表示することができ、コントラストを改善できる。
【0007】
以上のように、従来では、エッジ近傍での輝度分布に基づく局所的な階調変換と錯視波形の重畳の双方を適用して、表示デバイスの階調再現能力を有効に利用し、かつ、画像観察時に知覚されるコントラストの改善を図っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記のような従来の構成では、
1)画像端部の無画部(水平、垂直ブランク期間に相当)の境界がエッジとして抽出され、前記境界近傍での輝度頻度分布(即ち画像周辺部の輝度頻度分布)が処理結果に大きく影響し、画像中央部でのコントラストが周辺部と比較して相対的に低下する。
2)画像全体を9つの局所領域に分割すると、もともと画面全体で一様な輝度であった領域が、画像周辺部で明るく中央部で暗く変換されたり、逆に、周辺部で暗く中央部で明るく変換され、観察時に違和感が生じる場合がある。
3)他の従来手法(輝度頻度均一化)と比較して回路規模が大きい。
という課題を有していた。
【0009】
本発明はかかる点に鑑み、画像周辺の無画部境界の影響を受けず、画像中央部での相対的なコントラスト低下を起こさず、少ない回路規模及び演算量で、コントラストの改善された高ダイナミックレンジの画像を表示する画像表示方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、画像内に代表領域を設定し、前記代表領域における画像のエッジ近傍での画素の輝度の階調頻度分布に基づき、階調変換テーブルを得、その階調変換テーブルを利用して、画素毎に異なる階調変換を行う階調変換方法であって、
(a)前記エッジ近傍での画素の階調頻度は、画像中央部では係数の大きな重み付けをし、画像周辺部では係数の小さな重み付けをしてカウントし、
(♭)輝度の階調変換を行う際に、各代表領域の有する各階調変換テーブルで変換し、得られた各変換結果を画素の位置に応じて内挿、外挿して、画素毎に階調変換を行うことを特徴とする階調変換方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
【0012】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における画像表示装置の構成図を示すものである。図1において、1はエッジ近傍の局所的な輝度頻度と画素の座標値に応じて輝度レベルを変換する階調変換回路、2は輝度レベルの錯視を生じさせる波形を生成する錯視波形生成回路、3は錯視波形生成回路2による遅延時間分に応じた遅延時間後に入力輝度を出力する遅延回路、4は入力輝度のエッジを抽出するエッジ抽出回路、5はエッジ近傍の局所的な輝度頻度に応じて階調変換テーブルを計算する階調変換テーブル計算回路、6は画像中に設定した代表領域毎の階調変換テーブルを記憶するテーブルメモリ、7は着目画素の座標値に応じて着目画素の輝度の各階調変換テーブルによる変換結果を補間計算する変換値補間回路、8は入力輝度の低空間周波数成分を減衰させる低周波減衰回路、9は低周波減衰回路8の出力の振幅特性を変換して錯視波形を出力する特性変換回路である。
【0013】
以下に上記構成の動作について説明する。遅延回路3は入力輝度を一定時間保持し、錯視波形生成回路2による遅延時間分に応じた遅延時間後に入力輝度を出力する。エッジ抽出回路4は、入力輝度の高域成分を抽出し出力する。
【0014】
階調変換テーブル計算回路5は、エッジ抽出回路4の出力の絶対値がしきい値以上の画素について、図2に示す4つの代表領域についての輝度頻度をカウントする。図2は、フィールド画像内に設定された4つの代表領域を示す図であり、図中p1,p2,p3,p4はそれぞれの代表領域の重心座標を示す。図2において、代表領域を画像の単部から離して設定することにより、無画部との境界がエッジとして抽出され、画像端部の輝度頻度が画像中央部の階調変換結果に強く影響を与えて、画像中央部で相対的にコントラストが低下することを防ぐ。
【0015】
次に、階調変換テーブル計算回路5は、それぞれの代表領域についてカウントされた輝度頻度より、(数1)による正規化された累積輝度頻度を計算し、階調変換テーブルとしてテーブルメモリ6に書き込む。
【0016】
【数1】
【0017】
ここで、hi(j)は、量子化された輝度jのi番目の代表領域における頻度であり、Hi(I)は、量子化された輝度Iのi番目の代表領域における正規化累積頻度(階調変換テーブル)、maxIは量子化された輝度の最大値(8ビット量子化時なら255、10ビット量子化時なら1023)である。各代表領域内でカウントされる輝度頻度に大きな片寄りがある場合には、変換結果が違和感のあるものとなったり、ノイズが目立つため、予め(数2)による制限を設け、輝度頻度の分布を修正することにより、階調変換テーブルのこう配を制御する。
【0018】
【数2】
【0019】
ここで、αは正で1より大きい係数、meanhiはi番目の代表領域での平均頻度、min()は最小値の選択を意味するものであり、αを設定することにより変換時の輝度伸張のゲインを制御する。さらに、(数3)により輝度頻度分布を修正することにより、諧調変換テーブルのゲインを確実に設定値α以下にできる。
【0020】
【数3】
【0021】
ここで、hi2(j)は(数2)による修正後の頻度、hi1(j)は修正前の頻度である。(数3)による修正は、(数2)によりクリップされた頻度を全階調に均等に配分することを示す。この修正により、エッジ近傍の頻度分布がある階調に極端に偏っている場合においても、階調変換テーブルのゲインを確実に設定値以下に制限することができる。
【0022】
テーブルメモリ6への書き込みは、(数4)に示す時間変化に関する制限を設けることにより、画像の時間方向の変化が急な場合に、階調変換テーブルが時間的に急変して変換結果に違和感が生じることを防ぐ。
【0023】
【数4】
【0024】
ここで、Hiold()は前回テーブルメモリ6に書き込んだi番目の代表領域での階調変換テーブル、Hinow()は現フィールドについて階調変換テーブル計算回路5が計算したi番目の代表領域での階調変換テーブル、Hinew()は現フィールドによって更新され、新たにテーブルメモリ6に書き込まれるi番目の代表領域での階調変換テーブル、βは1以下の非負の小数である。βを設定することによって、階調変換テーブルの時間方向の変化に制限を加えることができ、階調変換テーブルが時間的に急変して変換結果に違和感が生じることを防ぐ。βの値としては、1/16から1/64程度に設定しフィールド毎に階調変換テーブルを更新することにより、シーンの切り替わり時等の階調頻度が急変する際でも、1、2秒の時間をかけて滑らかに階調変換テーブルを変化させ、変換結果に違和感が生じないようにする。
【0025】
変換値補間回路7は、テーブルメモリ6に記憶された4つの階調変換テーブルを参照して、遅延回路3からの入力輝度Iの階調変換値H1(I),H2(I),H3(I),H4(I)を得る。そして、変換値補間回路7は、入力輝度Iの画像中の座標値に応じて前記階調変換値と代表領域の重心座標p1〜p4を用いて内挿(もしくは外挿)計算を行い、輝度Iについての変換値を決定し出力する。
【0026】
図3は変換値補間回路7による変換値の補間方法の例を示す図である。図中、破線はフィールド画像内に設定された代表領域、p1〜p4は代表領域の重心であり、斜線を施したAの領域は、最近傍の代表領域で計算された階調変換テーブルにより階調変換を行う領域を示す。斜線を施したBの領域は、近傍の2つの代表領域で計算された階調変換テーブルによる変換値を、画素の座標値と代表領域の重心の座標値に応じて内挿して階調変換を行う領域を示す。中央部のCの領域は、4つの代表領域で計算された階調変換テーブルによる変換値を、画素の座標値と代表領域の重心の座標値に応じて内挿して階調変換を行う領域を示す。前記領域A,B,Cの境界は、図3(a)のように代表領域の重心を通るようにしてもよく、もしくは、図3(b)のようにしてもよい。なお、図3(a)では、領域A,B,Cの広さはは、この順に広く、図3(b)では、逆に領域A,B,Cの順に狭くなっている。
【0027】
低周波減衰回路8は、入力輝度の水平、垂直方向の空間周波数の低周波成分を減衰させる。特性変換回路9は、低周波成分減衰回路8の出力の振幅特性を変換し、錯視波形を出力する。図4は特性変換回路9の入出力特性の一例を示す。錯視波形生成回路の出力は階調変換回路1の出力と重畳され、出力輝度として出力される。
【0028】
以上のように本実施の形態によれば、画像の輝度レベルがエッジ近傍で大きく変化するように輝度を変換し、これに輝度レベルの錯視を生じさせる波形を重畳することで、表示デバイス上に表示される画像のコントラストを改善することができる。
【0029】
また、エッジ近傍での画素の階調頻度のカウントを、画像の端部では行わないようにすることで、階調変換テーブルが画像周辺部のエッジ近傍画素の頻度の影響を強く受けて観察時に画像中央部で違和感を生じたり、画像中央部でコントラストが低下ことのないようにすることができる。
【0030】
また、階調変換テーブルの時間方向の変化に制限を設けることにより、画像中の物体の明るさが時間方向に変化することによる観察時の違和感を低減することができる。
【0031】
また、階調変換テーブルの計算は、画像内の数個の代表領域における階調変換テーブルをエッジ近傍での画素の頻度分布をもとに計算し、各画素に対しては前記代表領域における階調変換値を内挿及び外挿することにより、演算量を低減することができる。
【0032】
なお、本実施の形態においてエッジ抽出回路4と低周波減衰回路8を共有し、図5に示すような構成としても、同様の効果を得ることができ、また回路規模を削減することができ、本発明に含まれる。
【0033】
(実施の形態2)
図9は本発明の第2の実施の形態における画像表示装置の構成を示す。図9において、第1の実施の形態における画像表示装置と同一の動作をするものについては、同一の符号を付し説明を省略し、以下に階調変換テーブル計算回路16、テーブルメモリ17、変換値補間回路18の動作について説明する。
【0034】
階調変換テーブル計算回路16は、低周波減衰回路8の出力の絶対値がしきい値以上の画素について、図2に示す4つの代表領域についての輝度頻度をカウントする。図2は、フィールド画像内に設定された4つの代表領域を示す図であって、図中p1,p2,p3,p4はそれぞれの代表領域の重心座標を示す。
【0035】
図10は、階調変換テーブル計算回路16の構成の一例を示すブロック図である。図10において、19は書き込み制御回路、20a〜20dは各代表領域における階調頻度をカウントするカウンタ、21は各代表領域における階調頻度から階調変換テーブルを計算し、階調変換テーブルをテーブルメモリに出力するMPUである。以下に各構成の動作について説明する。
【0036】
書き込み制御回路19は、低周波減衰回路8が出力する入力輝度のエッジ成分の絶対値がしきい値以上であり、かつ、入力輝度の座標が図2に示す代表領域内にある場合、入力輝度の座標を含む代表領域に対応する頻度カウンタの入力輝度に応じた頻度値をインクリメントする。
【0037】
頻度カウンタ20a〜dは、各代表領域における階調頻度をカウントする。階調頻度のカウントは、全階調(8ビット時256階調、10ビット時1023階調)を16程度に分割して行う(即ち輝度の上位4ビット程度の頻度をカウントする)ことにより、回路規模を小さくできる。
【0038】
MPU21は、前記の全階調を分割してカウントした頻度に対し、(数1)から(数4)に示す演算を行って階調変換テーブルを計算し、垂直ブランキング期間中にテーブルメモリ17に書き込み、頻度カウンタ20の頻度値を0クリアする。
【0039】
変換値補間回路18は、代表領域毎にテーブルメモリ17に書き込まれた階調変換テーブルの値を補間し、入力輝度を階調変換する。図11は、階調変換テーブルのデータを補間し、入力輝度を階調変換する方法を示す図である。図11において黒点は、ひとつの代表領域において、全階調を16程度の区間に分割してカウントした頻度をもとに計算された階調変換テーブルデータである。変換値補間回路18は、各代表領域について離散的に計算された階調変換テーブルデータを直線補間し、入力輝度を変換する。そして、入力輝度の座標に応じて各代表領域における変換結果を補間し、出力輝度として出力する。
【0040】
図3は変換値補間回路18による、変換値の補間方法の例を示す図である。図中、破線はフィールド画像内に設定された代表領域、p1〜p4は代表領域の重心であり、斜線を施したAの領域は、最近傍の代表領域で計算された階調変換テーブルにより階調変換を行う領域を示す。斜線を施したBの領域は、近傍の2つの代表領域で計算された階調変換テーブルによる変換値を、画素の座標値と代表領域の重心の座標値に応じてして階調変換を行う領域を示す。中央部のCの領域は、4つの代表領域で計算された階調変換テーブルによる変換値を、画素の座標値と代表領域の重心の座標値に応じて内挿して階調変換を行う領域を示す。
前記領域A,B,Cの境界は、図3(a)のように代表領域の重心を通るようにしてもよく、もしくは、図3(b)のようにしてもよい。
【0041】
以上のように本実施の形態によれば、区間毎に階調を分割してカウントした頻度をもとに階調変換テーブルを計算することにより、頻度カウンタの回路規模とテーブルメモリの容量を小さくすることができ、(すなわち、8bitの階調頻度を例えば16の区間で計測すれば、全ての階調頻度を計測するのと比較して、計測に必要なカウンタの数を256個から16個に減少させ、頻度及び階調変換テーブル値のデータ数も同様に減少させることができる。)また、階調変換テーブルを補間して輝度入力を階調変換することにより、少ない回路規模と演算量で階調変換を行うことができる。
【0042】
なお、本発明のすべての実施の形態において、輝度頻度のカウントは、画素の座標値に応じた重み付け(画像中央部では重み係数を大きく、画像周辺部では重み係数を小さくする。)をして行っても、画像中央部における相対的なコントラスト低下を解消することができ、本発明に含まれる。
【0043】
なお、エッジ抽出は水平方向の一次元フィルタによって行ってもよく、回路を簡略化することができ、本発明に含まれる。
【0044】
なお、第1および第2の実施の形態で説明した代表領域における階調変換テーブルの計算を、1フィールド期間につきひとつの代表領域について順次行い、同時に、階調変換テーブルの時間変化を制御する(数4)の係数βを代表領域の数に応じて大きく(第1および第2の実施の形態の場合、例えば4倍)することにより、演算量を低減して同様の効果を得ることができ、本発明に含まれる。
【0045】
なお、本発明のすべての実施の形態において、低周波減衰回路8は、図6に示すように水平方向のFIR型LPFと垂直方向のIIR型回路を含むLPFを用いることにより、水平方向には対称な位相特性を持ち、垂直方向には非対称な位相特性であるが回路規模を小さくして構成することができ、本発明に含まれる。図6は低周波減衰回路8の構成の1例であり、図6において、10は水平、垂直LPFによる遅延時間に応じて入力信号を遅延させる遅延回路、11はFIR型水平LPF、12はIIR型回路を含む垂直LPFである。水平および垂直方向の低周波成分である垂直LPFの出力は、遅延された入力信号から減算され、入力信号の低周波減衰成分が出力される。なお、FIR型LPF11と垂直LPF12の配置は図6に示すものと前後逆にしてもよい。
【0046】
なお、本発明のすべての実施の形態において、低周波減衰回路8は、図7に示すようにIIR型回路を含む垂直LPFの出力をFIR型水平LPFの入力とすることで、遅延回路10の大半を垂直LPFと共有し、回路規模を低減することができ、本発明に含まれる。図7において、13は1ライン分データを遅延して出力する遅延回路、14はデータを定数倍する乗算回路、15はFIR型水平LPFによる遅延(数画素程度)分データを遅延して出力する遅延回路である。
定数M4は1未満の小数であり(出力が発散しないための条件)、M0〜M3は和が1−M4になるように設定する(時間経過後のゲインが1になるための条件)。
【0047】
なお、本発明の第1及び第2の実施の形態では、4つの代表領域を設定した場合について説明したが、図8に示すように、画像の中央部にも代表領域を設定してもよく、画面中央部での違和感の発生やコントラスト低下を低減でき、本発明に含まれる。
【0048】
なお、本発明のすべての実施の形態の出力輝度(錯視波形重畳後の輝度)を表示デバイスの特性に応じてγ補正したり、階調変換回路の出力をγ補正したり、階調変換テーブルを表示デバイスの特性に応じて補正したり、階調に応じて重み付けした頻度のカウントを行ったり、全階調を区間に分割して頻度をカウントする際に階調に応じて区間長を変化させたり、入力輝度を予めγ補正することにより、表示デバイスの特性に応じたコントラスト改善を行うことができ、本発明に含まれる。
【0049】
階調に応じて重み付けした頻度のカウントは、図10のMPU21による階調変換テーブル計算時に、図12に示す重み係数を各区間における頻度に乗じてから階調変換テーブルを計算することにより、簡単にかつ回路規模を増やさずに行うことができる。図12に示す重み係数を乗ずることは、(数5)に示す階調変換を予め行うことを示す。即ち、階調補正前のγ補正を2次式で近似した変換をしていることになる。
【0050】
【数5】
【0051】
(数5)において、a・I+bは階調Iについての重み係数を示す。
【0052】
なお、重み係数の分布は図12に示した直線的に変化するものに限る必要はなく、曲線的に変化する分布にしてもよい。
【0053】
また、階調変換テーブルの表示デバイスの特性に応じた補正も、同様にMPU21において、階調変換テーブルの値にγ補正値を乗ずることにより、簡単にかつ回路規模を増やさずに行うことができる。階調変換テーブルの値にγ補正値を乗ずることは、階調変換後の値をγ補正することと等価である。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、画像の輝度レベルがエッジ近傍で大きく変化するように輝度を変換し、これに輝度レベルの錯視を生じさせる波形を重畳することで、表示デバイス上に表示される画像のコントラストを改善することができる。
【0055】
また、エッジ近傍での画素の階調頻度のカウントを、画像の端部では行わないようにすることで、階調変換テーブルが画像周辺部のエッジ近傍画素の頻度の影響を強く受けて観察時に画像中央部で違和感を生じるたり、画像中央部でコントラストが低下することのないようにすることができる。
【0056】
また、階調変換テーブルの時間方向の変化に制限を設けることにより、画像中で同一物体の明るさが時間方向に変化することによる観察時の違和感を低減することができる。
【0057】
また、階調変換テーブルの計算は、代表領域における階調変換テーブルをエッジ近傍での画素の頻度分布をもとに計算し、各画素に対しては前記代表領域における階調変換値を内挿及び外挿することによって、演算量を低減することができる。
【0058】
また、階調変換テーブルの計算は、区間毎に階調を分割してカウントした頻度をもとに計算し、この階調変換テーブルを補間して輝度入力を階調変換することにより、頻度カウンタの回路規模とテーブルメモリの容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像表示装置の構成図
【図2】局所的な輝度頻度(ローカル・ヒストグラム)を計算する領域を示す図
【図3】 (a),(b)は階調変換結果の内挿および外挿を示す図
【図4】特性変換回路の入出力特性の一例を示す図
【図5】エッジ抽出回路と低周波減衰回路を共用した画像表示装置の構成図
【図6】低周波減衰回路の構成の一例を示す図
【図7】回路規模を低減した低周波減衰回路の構成の一例を示す図
【図8】局所的な輝度頻度(ローカル・ヒストグラム)を計算する領域を示す図
【図9】本発明の第2の実施の形態における画像表示装置の構成図
【図10】階調変換テーブル計算回路の構成の一例を示す図
【図11】折れ線近似した階調変換テーブルによる階調変換を示す図
【図12】階調変換値を補正するための重み係数の分布を示す図
【図13】従来の画像表示装置の構成図
【図14】従来の画像表示装置における階調変換回路の構成図
【図15】局所的な輝度頻度(ローカル・ヒストグラム)を計算する領域を示す図
【図16】ステップ入力を示す図
【図17】低周波減衰回路のステップ応答を示す図
【図18】コントラスト改善結果を示す図
【図19】コントラスト改善結果を示す図
【符号の説明】
1 階調変換回路
2 錯視波形生成回路
3 遅延回路
4 エッジ抽出回路
5 階調変換テーブル計算回路
6 テーブルメモリ
7 変換値補間回路
8 低周波減衰回路
9 特性変換回路
Claims (4)
- 画像内に代表領域を設定し、前記代表領域における画像のエッジ近傍での画素の輝度の階調頻度分布に基づき、階調変換テーブルを得、その階調変換テーブルを利用して、画素毎に異なる階調変換を行う階調変換方法であって、
(a)前記エッジ近傍での画素の階調頻度は、画像中央部では係数の大きな重み付けをし、画像周辺部では係数の小さな重み付けをしてカウントし、
(♭)輝度の階調変換を行う際に、各代表領域の有する各階調変換テーブルで変換し、得られた各変換結果を画素の位置に応じて内挿、外挿して、画素毎に階調変換を行うことを特徴とする階調変換方法。 - 画像内に代表領域を設定し、前記代表領域における画像のエッジ近傍での画素の輝度の階調頻度分布に基づき、階調変換テーブルを得、その階調変換テーブルを利用して、画素毎に異なる階調変換を行う階調変換方法であって、
(a)前記エッジ近傍での画素の輝度の階調頻度のカウントの際、階調に応じて重み付けをしてカウントし、
(b)輝度の階調変換を行う際に、各代表領域の有する各階調変換テーブルで変換し、得られた各変換結果を画素の位置に応じて内挿、外挿して、画素毎に階調変換を行うとともに、表示デバイスの特性に応じたγ補正処理を併せて行うことを特徴とする階調変換方法。 - 請求項1又は2に記載された階調変換方法により駆動することを特徴とする階調変換装置。
- 請求項1又は2に記載された階調変換方法を駆動手段として有することを特徴とする画像表示装置。
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